親の家や土地を売る 方法(代理・相続等)│費用・税金も解説

親が亡くなった、施設に入居したなどで家や土地を手放すとき、まず何から始めればいいのでしょうか?

親の不動産を売却するのは、以下のケースが想定されます。

困った!こんな時、親の不動産をどう売る?

親が亡くなったが、何から手をつけるべきかわからない!

1.【親の家や土地を売却する方法1】親が亡くなって不動産を相続した場合

親が施設に入ることになった。家を代理で売る方法は?

2. 【親の家や土地を売却する方法2】施設に入る・同居等で親の代わりに売る場合

親が認知症になってしまったら家族が家を売っても大丈夫?

3.【親の家や土地を売却する方法3】親が認知症になった場合

本記事では具体的な売却方法や手順、知っておくと安心な家を売る際の費用や税金などもあわせて解説しています。

なお、空き家売却については「空き家を売却する方法は?売却にかかる費用と税金・特例がわかる!」で詳しく紹介していますので、ぜひあわせてお読みください。

この記事を読めばわかること
  • ケース別│親の不動産を売る方法
  • 親の家や土地を売却する際の費用と税金
  • 親の家や土地を売却する際の注意点
「不動産を売りたい」と悩んでいる方へ
  • 「不動産を売りたいけど、どうしたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
  • 「不動産一括査定」なら複数社に査定依頼でき”最高価格”が見つかります
  • 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます

1.【親の家や土地を売却する方法1】親が亡くなって不動産を相続した場合

1.【親の家や土地を売却する方法1】

亡くなった親の不動産を売却する場合は、事前にいくつかのや相続手続きが必要となります。

不動産売却前の“相続手続き”
  1. 遺産分割協議
  2. 相続登記(名義変更)
  3. 不動産倍売却

流れにそって、おさえておくべきポイントを解説します。

1-1.遺産分割協議

遺産分割協議とは、相続人全員で故人の残した財産をどう分けるか話し合うことです。

もし遺言書が残されていれば内容に沿って相続を実行しますが、言書がない場合は相続登記の前に遺産分割協議を実施しなければなりません。

また、遺産分割協議では相続人全員の合意が必要となるため、相続人が不明な場合は、被相続人の戸籍謄本を取得して「相続人調査」を行います。

遺産分割協議では具体的な分割方法を決めますが、家や土地などの不動産は金銭よりも複雑になる場合が多く、注意が必要です。

遺産分割の方法は、以下の4つがあります。

現物分割 相続財産をそのままの状態で相続する
換価分割 家や土地を売却して得た現金を相続人で分割する
代償分割 現物で相続した相続人が、他の相続人に代償金を支払って分割する
共有分割 相続人全員の共有名義にして平等に所有する

家や土地の相続では「換価分割」と「代償分割」が公平に分配しやすいためトラブルになりにくいといえる方法です。

なお、遺産分割協議に期限はありませんが、被相続人が死亡した日(あるいは知った日)から10か月以内に相続税を申告し税金を支払わなければならないため、早めに話し合いましょう。

1-2.相続登記(名義変更)

遺産分割協議で合意を得て遺産分割協議書を作成したら、以下の流れで相続登記(名義変更)を行います。

相続登記に必要な手順
  1. 必要書類の準備
  2. 法務局への登記申請

必要書類の種類や入手場所、法務局への申請方法について解説します。

1-2-1.必要書類の準備

相続登記の前に、まずは必要書類の準備から始めましょう。

親の家や土地を相続する際に必要な書類は以下の通りです。

必要書類 入手場所
被相続人死亡後の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書) 本籍地の市区町村
被相続人の住民票の除票 住居地の市区町村
相続人全員の戸籍謄本 本籍地の市区町村
相続人全員の住民票 住居地の市区町村
固定資産税の評価証明書 毎年4月頃に市区町村から送付される
遺言書 (有効な遺言書がある場合)
遺産分割協議書 (遺産分割協議を行った場合)

出典:PDF相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等│法務局

必要書類は原則として原本を提出します。相続登記を司法書士へ依頼する場合は、書類の準備が整った段階で提出し、不備がないか確認してもらいましょう。

1-2-2.法務局に申請

必要書類が揃えば、売却する家や土地を管轄する法務局へ登記申請します。

登記申請の際には、登録免許税を納めます。相続登記にかかる登録免許税は、「相続する家や土地の固定資産税評価額 × 0.4%」で算出した金額です。

なお、登記申請の方法は、法務局の窓口か郵送、オンライン申請の3つがあります。

費用や営業時間は以下のように違いますので、申請前に把握しておきましょう。

   登録免許税の支払い方法 営業時間
法務局の窓口で申請 現金納付、収入印紙による納付 平日の午前8時30分~午後5時15分
郵送による申請 電子納付、現金納付、収入印紙による納付 制限なし
オンライン申請 現金納付、収入印紙による納付 平日8時30分から21時
(17:15分以降は翌業務対応)

登記申請は1週間〜10日程度で完了し、「登記識別情報通知書」が送られてきます。登記識別情報通知書は不動産を売却する際に必要ですので、大切に保管してください。

1-3.名義変更が完了したら不動産を売却

名義変更の登記手続きが完了したら、不動産の売却に向けて動きます。不動産売却は、以下の手順で進めましょう。

【図解1】相続した不動産の売却~確定申告までの流れ

査定依頼から家の引渡しまで最低でも3か月〜6か月程度かかることを想定してください。

また、売却活動は、内覧の問い合わせ件数や物件の需要によって前後します。エリアの需要が低い場合や、売買が活発でない時期の売却活動となれば、長期化してしまう可能性もあるでしょう。

売却活動が思うように進まない場合は、不動産会社との媒介契約を見直すなどして改善を図りましょう。不動産会社選びは、不動産査定時に複数社に依頼して、どれだけ親身に対応してくれるかを比較することが大切です。

複数社への査定なら、NTTデータグループが運営する一括査定サイト「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」の活用がおすすめです。

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親の家や土地を売却するなら、ぜひ「不動産売却 HOME4U」をご活用ください。

2.【親の家や土地を売却する方法2】施設に入る・同居等で親の代わりに売る場合

2.【親の家や土地を売却する方法2】

施設への入居や同居などを理由に、親に代わって不動産を売却する場合は、委任状を作成して不動産会社に提出しなければなりません。

委任状の作成から不動産売却まで、以下の流れで進めます。

  1. 代理人として売却するための委任状を作成
  2. 本人確認書類等を不動産会社へ提出
  3. 不動産を売却

委任状の作成方法や、不動産会社へ提出する書類などについて詳しく解説します。

2-1.代理人として売却するための委任状を作成

親の代理人として家や土地を売却することになったら、まずは委任状の作成から始めましょう。

委任状は指定されたフォーマットはないため、必要事項を記載してご自身で作成することが可能です。

委任状に記載すべき必要事項は以下の通りです。

  • 委任状の作成日
  • 不動産の所在地、面積、構造など(登記簿に記載されている情報)
  • 委任の範囲(売買契約の締結に関する権限、売買代金の受領に関する権限など)
  • 売買代金や手付金の額など、売買に関する取り決め事項
  • 代理人と所有者(親)の住所、署名、実印の押印
  • 委任状の有効期限

委任状を作成する際は、必ず「委任した日」を記載し、「いつから代理人としての権利が発生するのか」を明確にしましょう。

また、売買に関する取り決め事項については、代理人の判断で契約が進む機会が発生しないよう、売買金額や手付金の金額などは具体的に設定してください。

2-2.本人確認書類等を不動産会社へ提出

委任状と一緒に本人確認書類なども不動産会社へ提出しなければなりません。

提出時に必要な書類と取得場所は以下の通りです。

   必要書類 取得場所
所有者 印鑑証明書 住所登録地の市区町村
住民票 制限なし
本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカード等) 自分で用意
実印 自分で用意
代理人 本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカード等) 自分で用意
実印 自分で用意

なお、委任状と本人確認書類等が揃っていたとしても、必ず不動産会社もしくは司法書士から所有者本人(親)へ意思確認が行われます。そのため、意思確認が行われることをあらかじめ所有者に伝えておきましょう。

代理人として認められれば、「1-3.名義変更が完了したら不動産を売却」の流れに沿って、不動産売却に向けた準備を進めていきます。

3.【親の家や土地を売却する方法3】親が認知症になった場合

3.【親の家や土地を売却する方法3】

親が認知症の場合、法的に意思能力があると判断できないことから、代理人による売却が認められません。

そのため、認知症の親に代わって家や土地を売却する場合は、「成年後見制度」を利用することで売却を進めることになります。

成年後見制度とは、判断能力がないとみなされる人を保護するための制度です。本章では、成年後見制度の申請方法について解説します。

3-1.成年後見人の申請

支援を受ける方(親)を成年被後見人、代わりに土地を売却する側の人を成年後見人と言います。

まずは、親を成年被後見人に、自分を成年後見人として認めてもらうための申請手続きを行います。

以下の必要書類を揃え、家庭裁判所へ提出しましょう。

3-1-1.家庭裁判所へ提出する必要書類を揃える

家庭裁判所に成年後見人の申請を行うため、以下の一覧表を参考に書類を準備しましょう。

   取得場所
後見開始申立書 申立て先の家庭裁判所
申立事情説明書
親族関係図
財産目録
収支報告書
後見人候補者事情説明書
親族の同意書
医師の診断書 病院
本人および後見人等候補者の戸籍謄本 本籍地の市区町村
本人及び後見人等候補者の住民票 住居地の市区町村
後見登記されていないことを証明する書類 法務局(本局)
愛の手帳の写し お持ちの方のみ

出典:申立てをお考えの方へ(成年後見・保佐・補助)東京家庭裁判所後見センター│最高裁判所

申立て先は、成年被後見人(親)の住民票登録地を管轄する家庭裁判所です。裁判所のホームページから管轄する家庭裁判所を調べられますので、確認の上、書類をダウンロードしましょう。

3-1-2.家庭裁判所へ申請

必要書類を準備したら、家庭裁判所へ申請します。上述した管轄の家庭裁判所にて審判の上、成年後見人が正式に決定されます。

成年後見人が確定したら、後見登記が行われた後、登記事項証明書の発行が可能となります。

後見登記から登記事項証明書の発行が可能になるまで、最低でも数週間〜1か月程度はかかりますので、売却を検討されているのであれば余裕をもって手続きを行ってください。

3-2.成年後見人に選任されたら不動産の売却手続き

成年後見人の選任が住み、登記事項証明書が発行できるようになれば不動産売却の手続きを進められます。

不動産売却の流れは、相続や代理人による売却などと同じですので、「1-3.名義変更が完了したら不動産を売却」の流れに沿って、準備を進めましょう。

複数社への査定依頼は、「不動産売却 HOME4U」が便利です。

3-3.居住用不動産処分許可の手続き

売買契約が締結したら、居住用不動産処分許可の手続きを行わなければなりません。

居住用不動産処分許可の手続きとは、成年後見人が成年被後見人に代わり居住用の不動産を売却することを、家庭裁判所に許可してもらうための手続きです。

本手続きは、成年被後見人の意思なく勝手に不動産を売却されることを防ぐための制度です。

居住用不動産処分許可の手続きには、以下の書類が必要です。

   取得場所
不動産登記簿 管轄の法務局
不動産の評価証明書 所有する不動産がある市町村
相続人同意書 相続人が用意
売買契約書 不動産会社
不動産査定書 不動産会社

書類が揃ったら家庭裁判所へ申立てを行います。

申立てから許可が降りるまでは、おおよそ1か月程度かかります。

申立てが許可されなかった場合は売買契約が無効となるので、不備なく手続きを進めましょう。

4. 親の家や土地を売却する際にかかる費用と税金

4. 親の家や土地を売却する

親の家や土地を売却する際は、次のような費用や税金がかかります。

不動産売却時の費用と税金
費用の項目 費用の目安
仲介手数料 (物件価格×3%+6万円)+消費税
譲渡所得税 売却利益×所有期間に応じた税率
印紙税 1,000円~60,000円
登録免許税 不動産1件につき1,000円
司法書士依頼料 1万円~3万円
一括返済の手数料 1万円~6万円
ハウスクリーニング代 5万円~8万円(3LDK~4LDKの場合)
測量費用 35万円~80万円
解体費用 1坪あたり3万円~5万円
引っ越し代金 シーズンや業者によって異なる

計算方法や仲介手数料の早見表を関連記事でご紹介しています。あわせてご参考ください。

5. 親の家や土地を売却する際の注意点

5. 親の家や土地を売却する際の注意点

親の家や土地を売却する際は、以下の5つに注意が必要です。

  1. 相続した不動産の売却は相続人全員の同意が必要
  2. 境界線の不明瞭は隣人トラブルのもと
  3. 契約不適合責任は「免責」にする
  4. 売却後は確定申告を忘れない
  5. 査定は複数社に依頼し比較する

5-1.相続した不動産の売却は相続人全員の同意が必要

相続した不動産を売却する場合、必ず相続人全員からの同意が必要です。

相続人が複数いる状態とは、遺言がなくこれから遺産分割協議を行う段階や、共有分割によって複数人で不動産を相続した場合などが挙げられます。

相続人のうち、誰か一人でも反対すれば売却できません。しかし、複数人での相続は、売却時に時期や価格を巡って相続人同士で揉めるケースが珍しくありません。

将来的に売却することを想定しているのであれば、事前に相続人全員から売却することへの同意を得ておくか、現物分割あるいは代償分割を選択し、一人で不動産を相続することが望ましいです。

5-2.境界線の不明瞭は隣人トラブルのもと

家や土地を売却する前に、土地の境界線が明確になっているかを確認しましょう。土地の境界線とは、土地と土地の境目を示す線のことです。

境界線が不明瞭な状態で売却手続きを進めてしまうと、境界線を巡って隣人とトラブルに発展する可能性があります。

また、境界線が明確でないということは、不動産価格も正しいとは言えないため、本来の価格よりも安く売ってしまうことにも繋がります。

境界線を明確にするためには、土地家屋調査士に境界確定測量を依頼しましょう。、土地家屋調査士への依頼費用は、35万円~80万円ほどが相場です。

5-3.契約不適合責任は「免責」にする

契約不適合責任とは、売却後に契約に明記していない欠陥や不具合が発覚した場合、売主が負う責任のことです。

例えば、売却後しばらくしてからシロアリや雨漏りが発覚した場合、売買契約書に記載していなければ売主が修繕費用などを負担しなければならない可能性があります。

そのため、築年数の古い家だと、売却後にさまざまな不具合が生じる可能性が高いので、買主の同意を得て、「契約不適合責任を免責とする」内容を契約書に盛り込むことを強くおすすめします。

免責としない場合は、売却時に認識している欠陥や不具合については売買契約書に詳細を明記し、売主と買主の間で相互認識するようにしてリスクを回避しましょう。

5-4.売却後は確定申告を忘れない

家を売却して利益(譲渡所得)が発生したら、確定申告が必要です。

また、売却時に「3,000万円特別控除」などの特例を適用した場合は、利益が発生していない場合でも確定申告しなければなりません。

代理人として売却、あるいは成年後見人として売却する場合、確定申告の対象となるのは所有者(親)ですが、手続きがやや難しいため代わりに申告しても問題ありません。

確定申告の期限は、不動産を売却した翌年の2月16日~3月15日までとなっています、期限内の申告を怠った場合、延滞税や無申告加算税などのペナルティが科せられますので、忘れずに行いましょう。

No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁

5-5.査定は複数社に依頼し比較する

家や土地の査定を不動産会社に依頼する時は、必ず複数社から査定を受けて結果を比較するようにしましょう。

不動産査定の基準は不動産会社によって異なり、査定額に差が出やすいためです。中には100万円以上の差が出ることも少なくありません。

また、より良い条件で売却できるか、売却活動をスムーズに進められるかは、不動産会社の担当者との相性でも違ってきます。

担当者との相性は査定結果だけでなく、査定を依頼した時の対応や質問に対する回答、受け答えなどもふまえて、どの不動産会社に依頼するか決めてください。

複数社へ査定を依頼するなら、個人で一社ずつ問い合わせするよりも、無料の一括査定サービス「不動産売却 HOME4U」が便利です。

不動産売却 HOME4U」複数社に査定を依頼した中から、安心して売却を任せられる会社を見つけてください。

まとめ

親の家や土地の売却方法は、親の状態や相続するのかによって判断が変わります。親が亡くなって不動産を相続したのであれば、遺言書や遺産分割協議によって相続登記(名義変更)を行った後に売却となります。

親が施設に入るなどの理由でご自身が代理で売却手続きを行う場合は、委任状を作成し、不動産会社に代理人として認めてもらう必要があります。

親が認知症の場合は成年後見人を利用することで売却が可能です。

親の家や土地を売却する際は、相続人全員の同意が得られているのか、境界線が明確になっているかなどを確認してください。

あわせて、「不動産売却 HOME4U」で査定を依頼し、親の家や土地がいくらで売れるのか把握し、売却計画を立てましょう。

「不動産を売りたい」と悩んでいる方へ
  • 「不動産を売りたいけど、どうしたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
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