
不動産査定は、不動産会社に依頼していくらで売れるかを試算してもらうものです。ただ、「今はまだ売る気はないけれど、資産価値を知りたくて査定をお願いしたい」という方や、「相続が発生しそうだから、前もって資産価値を知っておきたい」という方もおられるでしょう。どちらにしても「いくらで売れるか?」が最も気になるところですね。
この記事では、
- 本気で売りたい方への「高く売るために知っておきたい、不動産査定のコツ」
- ”とりあえず、資産価値を知りたいだけ”という方への「不動産会社に依頼をせずに概算を調べる方法」
- 査定で成功するための「不動産会社選びのポイント」
について説明します。不動産査定を依頼する際の参考にしていただき、納得のいく査定価格を得て売却するヒントにしてください。
Contents
1.査定の必要性と不動産売買価格決定のプロセス
1-1.不動産査定とは
不動産を売却するには、不動産の「時価」を知ることが必要です。そのために取る手段が、不動産会社に査定を依頼する「不動産査定」となります。
査定額は、所有する不動産にどのぐらいの価値があり、いくらの価格で売れるのかを示すものとなります。査定結果を受けて、売主は不動産会社と媒介契約を締結します。不動産査定そのものは無料で行われることが一般的です。
1-2.査定価格と売出価格の違い
必ず知っておいていただきたいのが、「査定価格と売却価格は違う」という点です。
不動産の売買は、車やバイクと違って業者が買い取りをしてくれるわけではありません。 物件を買ってくれる人を不動産会社が探す「仲介」という方法が一般的です。
いくら安く売り出したとしても、買ってくれる人が見つからなければ売れません。逆に相場より高く売り出しても、その物件をどうしても欲しいという人が現れれば売れることもあります。
もし購入希望者が現れない場合は、売出価格を下げる必要があります。 ほとんどの場合、購入者が現れた後で、契約前に価格交渉(値引き交渉)がおこなわれるものです。査定価格と最終的な売却価格はまったく別物なのです。
高く買ってくれる購入者をいかに早く見つけるかは、契約する不動産会社の腕にかかっています。
1-3.複数会社への査定依頼の意義と高く売る方法との関係
査定には机上査定と訪問査定があります(2章で説明)。最初は机上査定を申し込み、内容を見て訪問査定を申し込むのが一般的です。
不動産の価格には、上記のとおり「正解」がありません。「相場」を自分で調べることもある程度は可能ですが(3章で説明)、不動産の売却を考えているオーナーが「適正な価格」を知るためには、不動産のプロである不動産会社に査定を依頼することが最も近道です。
ところで、不動産に対する評価(査定額)は、不動産会社によって異なります。これも、不動産の価格の特性が影響しています。土地ごとの個性(広さや立地条件など)を不動産会社がどのように見るかは、おおむね近い数値で出るものの、細かい点で違いが出ます(これは不動産鑑定士であっても同様のため、公示地価の鑑定においても複数の鑑定士が同じ土地について鑑定を行います)。
そのような理由から、例えば1社のみに査定を依頼すると、
- その会社がそのエリアの売買実績が乏しければ適正な査定額にならない場合があります。
- 不動産会社が戸建ての売却ではなくマンションの売却が得意なのに、戸建ての売却を依頼してしまうと、やはり適正な価格で査定してもらえない可能性があります。
- 1社だけに依頼すると、査定額が実際に売れる価格よりも低く見積もられることも考えられます。
これらのデメリットを防ぐには、複数社に同時に査定を依頼して、その査定額を比較する方法があります。
4社に査定を依頼したとします。この4社のうち、1社だけが他の3社と比べて大幅に低い、または高い価格を出しているとすると、その会社は相場観を見誤っているか、何かその価格になった独自の理由があると考えられます。他の3社が同じような価格になっているならば、その価格帯は適正であると判断できます。
さらに、もしもこの4社の中で一番高い査定額の会社の価格に「適正な理由」があるならば、この会社に仲介を依頼することで、他の会社よりも高く売れる可能性が高くなります。以上の理由から、不動産の査定は複数の不動産会社に依頼することをおすすめします。
とはいえ、「複数の不動産会社に見積もりを依頼する時間は無い」という方もおられるでしょう。そんな方におすすめしたいのが、「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」の一括査定サービスです。
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2.不動産査定の流れ
ここでは一般的な不動産査定について概要と流れを説明します。不動産査定の依頼から媒介契約の締結までは通常、以下のようなステップで進めていきます。
2-1.必要書類を確認、準備する
査定に関して必要な書類を用意します。登記簿謄本や土地の公図は必須となります。
その他に必要な書類は不動産会社によって異なります。依頼した不動産会社に確認して、前もって必要書類を揃えておくようにしてください。
2-2.不動産会社に机上査定(簡易査定)を依頼する
「机上査定」とは、査定する不動産の条件(駅距離や築年数など)を参考に査定価格を算出することを指します。簡易査定と呼ばれることもあります。
机上査定に関しては、電話での依頼やインターネットを利用した一括査定で依頼することも可能です。査定期間に関しても比較的短期間で行われますので、この段階で複数の不動産会社に査定を依頼し、その内容を比較・検討するとよいでしょう。
2-3.訪問査定を依頼し訪問日時を決める
机上査定の結果が出た後に、より詳細な査定額の算出を行ってもらうために、不動産会社へ訪問査定を依頼します。
この訪問査定に関しても、簡易査定結果の内容をもとに信頼できる複数の不動産会社に依頼をすることで、より高い信頼性のある不動産会社と媒介契約を結ぶことができるでしょう。
訪問査定の依頼を行ったら、次は訪問日時を決定します。
2-4.担当者来訪、面談とヒアリング
訪問日時の決定後、実際に現地に不動産会社の担当者が訪れます。
「上下水道、ガス管などの引込状況」「査定依頼者がその不動産の所有者であるかどうか(権利証などを持っているか)」などについて、確認を面談で行います。不動産が土地の場合は、「境界の確定状況」「地下埋設物の有無」なども確認します。
質問等があればあらかじめ用意しておき、直接たずねてみましょう。その際の担当者の対応や答えの内容なども、実際に媒介契約を結ぶ不動産会社を選ぶ際の参考にしてください。
2-5.現地調査、役所調査と査定
不動産会社の担当者が、査定を行います(役所調査は別途不動産会社が行うため、オーナーの立会い等は不要です)。
2-6.査定結果を聞き、査定書受領
訪問査定終了後、不動産会社から実際の査定額を提示してもらいます。この結果は査定書として書面で受け取ります。届くまでには通常、1週間~2週間前後かかります(不動産会社や状況により異なります)。
査定結果の内容の確認や検討を行った後、「この会社に任せたい」となれば、媒介契約の締結となります。査定から媒介契約の締結までの期間としては一般的に2~4週間となります。インターネットを使った一括査定で、査定期間を短くすることも可能ですので、ご都合に合わせて活用していくとよいでしょう。
3.【査定前に】不動産の相場を調べる方法
この章では、査定以外のやり方で不動産価格を調べる方法を紹介します。相場がわかっていると、不動産査定時に実態とかけ離れた査定価格を提示してくる不動産会社を見抜くことができます。
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まだしばらく売る気がない方
相場をインターネットで調べる方法がよいでしょう。この章の2つの方法をお試しください。 -
すぐに売りたい方
最終的には不動産会社に査定を依頼することになりますが、まずは自分で相場を調べておくと、査定額が適正かどうかの目安とすることができます。自分でだいたいの不動産価格を掴んでおく経験は、後々重要になってきます。
3-1.土地総合情報システムを利用する
国土交通省が提供する「土地総合情報システム」は、実際に過去に取引された物件の価格を見ることができます。
このサイトでは、都道府県や市区町村、物件の種類を選んでいくと、土地やマンションの実際の売買価格を見ることができます。 「不動産取引価格情報検索」をクリックして、エリアや物件の種類を選択してください。自分の不動産と似た物件が、過去にいくらで取引されているかチェックして、相場感覚を掴んでおきましょう。
ただし、過去の取引事例のため、現在の価格とは異なっている場合があります。
3-2.REINS(レインズ)を利用する
「レインズ・マーケット・インフォメーション」は、不動産流通機構(国土交通大臣指定)が運営・管理する不動産情報システムです。こちらも過去の取引データですが、直近の取引価格がグラフ表示されるため、自分の不動産があるエリアの似た物件の相場がどのくらいなのか、すぐに把握できます。
例えば「戸建」の売買価格を調べたい場合は、「戸建」を選び、都道府県・地域を選択、検索ボタンを押します。直近1年間の、実際の取引情報が、グラフと一覧表表示されます。
相場がだいたい把握できたら、2章で説明した流れも参考に、本格的に不動産会社に査定を依頼してみましょう。冒頭でもお話ししたように、不動産会社選びはとても重要です。 1社だけではなく、複数の不動産会社に査定を依頼して、対応や知識を比較することをおすすめします。
4.不動産査定を依頼する時のポイント
ここでは、不動産査定を依頼する際に大切な、覚えておきたいポイントをお伝えします。
4-1. 査定価格だけで不動産会社を判断しない
査定を依頼すると、不動産会社が不動産査定価格を提示してきます。 複数の会社に依頼すると、査定価格が数百万円違うことも珍しくありません。どの金額が妥当なのか、判断するのは難しいですが、査定価格だけで不動産会社を判断しないことが重要です。
不動産会社によっては、契約を取りたいがためにあえて高額な査定価格を提示してくる会社もいます。1章で説明したとおり、査定価格と実際の売却価格は違います。 査定価格は、売出価格を設定する際の根拠となるものなので、とても大切なものではありますが、「この価格で必ず売れる」という保証額ではないのです。
そのため、査定価格で判断するのではなく、その不動産会社が信頼できるかどうか見極めて選ばなくてはいけません。
4-2.不動産会社を選ぶ時の3つの確認ポイント
良い不動産会社を選ぶために、次に紹介する3つのポイントをおさえてください。
- 査定価格を出した根拠をしっかり説明してくれたか?
- そのエリアで実績は豊富にあるか?
- あなたの都合を親身になって聞いてくれた上で適切なアドバイスをくれたか?
詳しく説明していきます。
4-2-1.査定価格を出した根拠の説明があるか確認する
複数の会社に査定をお願いすると、数十万円~数百万円違うことは多々あります。高くても、安くてもどちらが悪いわけではなく、重要なのはその根拠です。 周辺の取引実績や市況を詳しく説明してくれたうえで査定価格を提示してくれるか、話を聞いてみてください。
あなたが納得できるような説明を丁寧にしてくれたなら、その不動産会社は信頼できる会社でしょう。 逆に、根拠が不透明で、説明もきちんとしてくれないような会社であるなら、他の不動産会社を選んだ方が後悔しない可能性が高いといえます。
4-2-2.そのエリアで実績があるか確認する
不動産会社は、「マンションが得意」「住居用物件より投資物件が得意」「実は売買よりも賃貸が得意」など、各社が得意分野を持っています。あなたの物件を得意とする不動産会社を見つけたほうが、高く早く売れる可能性が高まります。売りたい物件の条件に近い実績を豊富に持っているか、ぜひ確認してみてください。
たとえば、マンションだったら同じマンションの売却実績、一戸建てや土地の場合は、周辺のエリアでの同じ物件種類の売却実績を聞いてみるとよいでしょう。実績数を聞くことで、その不動産会社の得意分野が見えてきます。
4-2-3.最適な方法を模索してくれるところを選ぶ
不動産の売却理由は人さまざまです。買い替えをしたい方、 住宅ローンの支払いが苦しくてなるべく早く売りたい方など時間に制限がある方も多いでしょう。また、 2,000万円以上で売れないと困る、 など価格の希望を強く持っている場合もありますよね。
相談した不動産会社はあなたの都合を親身になって聞いてくれるか?そして適切なアドバイスをくれるか?その点を、見極めてください。
例えば、買い替えの場合、高く売れることにこしたことはありませんが、新居の頭金にするには「高く」よりもむしろ「早く」売れることが大切です。新居や引越し後のライフプランも加味した上で、”あなたにとって最適な方法は何なのか”をアドバイスくれるような会社が安心といえるでしょう。
5.査定時に、不動産会社がチェックする5つのポイント
不動産会社が査定をする際にチェックするのは、立地や建物の構造です。以下の5つが主なチェックポイントになります。
不動産会社が査定時にチェックするポイント
- 駅からの距離や周辺環境
- 眺望や方角、騒音などの環境状況
- 建物の構造や築年数
- 一戸建ての場合は雨漏りやリフォームの有無などの建物の状態
- マンションの場合はブランドであるかどうか など
「不動産会社が査定で訪問する前に、クリーニングをしておいたほうがいいの? という質問がたびたび出るようですが、答えは、「必要ありません」。人に見られて恥ずかしくない程度に掃除をしておけば大丈夫です。
逆に、クリーニングが必要になるのは、購入希望者が物件を内覧にくるタイミングです。 不動産会社と契約してから、クリーニングやリフォームをするか相談するとよいでしょう。
6.査定依頼後の流れと売れるまでの期間
不動産査定をした後は、売却まで下記のような流れで進みます。
査定依頼から売却がすべて完了するまでには、通常3~6ヶ月かかります。 売却は、とても時間がかかるものなのです。「売ろうかな」と思ったら、なるべく早く行動することをおすすめします。
7.不動産査定に関するよくあるQ&A
ここでは、不動産査定を行う際によく疑問として挙げられる点についてまとめました。円滑に査定を進めていくために必要なポイントですので、確認しておきましょう。
Q1. 査定額に納得がいかない場合、どうしたらいいですか?
Answer
金額の高さのみで決めるのではなく「なぜ、その価格なのか」という理由を、納得できるまで説明してもらうことが重要です。
前述のように、査定額はあくまでもひとつの目安であり、必ずその査定額で売れるという保証はありません。そのため、売れるまでに時間がかかってしまう場合もあります。
なお、査定額に関しては媒介契約を結ぶためだけに高い査定額を提示している可能性もあります。疑問に思うことはどんどん質問しましょう。その際の対応で、信頼できる不動産会社かどうかがわかります。
Q2. ネットで査定するとき、個人情報は守られますか?
Answer
個人情報の取り扱いは、基本的に各サイトがプライバシーポリシーを設けて厳密に管理しています。そのため外部に情報が漏れてしまう心配をする必要はありませんが、万が一を考え、できるだけ信頼性の高い査定サービスを選ぶほうがよいでしょう。
インターネットでの一括査定を利用する際、個人情報の取り扱いに関して不安を抱かれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。確かに、査定依頼の際には個人名や電話番号などの入力が必須です。
ほとんどの不動産会社や一括査定サイトでは、個人情報を守る仕組みを厳重に構築しています。最近では、AIを利用した匿名性の高い査定サイトもあり、気軽に査定依頼が可能です。
ただし、中には信頼性の低いサイトもあるかもしれません。実績があり、情報の取り扱いに信頼のおける不動産一括サイトを選びましょう。
Q3. 相続不動産の相場を知りたいのですが…
Answer
遺産相続した不動産に関しても、不動産会社による査定が可能です。査定してから、そのまま売却まで依頼することも可能であり、査定によって相場観をつかむこともできます。通常の査定を同じといえるでしょう。
将来的に相続した不動産を売却する予定がないのであれば、まずは簡易査定の利用が適しています。
なお、もし不動産の相続に関する争いが親族の間で起きているなど、裁判所への提出等公的な書類としての利用するのであれば、不動産鑑定士への依頼をご検討ください。
まとめ
いかがでしたか。この記事では、不動産の査定について、順を追ってわかりやすく説明しました。
不動産査定は売却の第一歩です。「査定価格」ではなく「不動産会社」を比較することが最も大切であることを心得てください。
不動産売買は一生に一度あるかないかの経験です。 そして金額が大きいだけに、失敗なく進めたいですね。不動産査定のコツをおさえて、失敗のない売却活動をスタートさせましょう。