「親から相続した実家を売りたい」「ボロ家は解体しないと売れないんじゃないか…」とお悩みの方へ。
古い家が建ったままの土地でも売却は可能です。この記事では土地を売る際の基本的な流れを紹介するとともに、古い家が建ったままで土地を売る場合のポイントを分かりやすく説明します。
この記事を参考にして、ぜひ古い家つきの土地を上手に売却してくださいね。
- ▶ 地売却の流れ、高く売るコツ
- ▶ 古い家が建ったままの土地を売る際のメリットと注意点
隅倉広樹(すみくら・ひろき)
宅地建物取引士を保有し、不動産仲介・管理業務を中心としたライフプラン設計・資産運用を幅広く支援。その傍ら、不動産に関わるコンテンツの監修を多数手がける。管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士・損害保険募集人・2級FP技能士といった多数の資格を保有。
Contents
1.土地売却の流れ
まずは、初めての方でも全体像を把握しやすいように、基本的な土地売却の流れを図にしてみました。
では、それぞれのステップについて詳しく説明していきます!
1-1.土地の相場を調べる
土地売却は、あなたが所有している土地を「商品」として市場に出すということです。
売出価格は、あなた自身が自由に決めることができますが、実際にその金額で売却できるとは限りません。
買ったときの金額、残っているローン、住み替えの資金など、個人的に売りたい金額はあると思いますが、実際の市場の状況を把握して、売れる金額を客観的に想定することが大切です。
どのようにして土地売却相場を調べるのか、ここでは2つの方法をご紹介します。
① 売りに出されている土地の価格を調べる
オウチーノなどの土地の購入サイトで、自分の土地のあるエリアがどのくらいの坪単価で売られているのか見てみましょう。
この段階では、もしお持ちの土地に建物があったとしても「土地そのものがいくらくらいか」の見当がつけられればOKです。
② 成約価格や取引状況を調べる
国土交通省 土地総合情報システムで、過去の成約価格や取引状況を調べられます。
そのエリアの数年分の平均単価をグラフで見られるので、変動状況も知ることができます。売りたい土地がすでに建物がなく更地になっている場合には、より具体的な金額がわかるでしょう。
1-2.【☞ 一番大切】 不動産会社を探す
土地の相場感がつかめたら、次は売却をお願いする不動産会社を探します。
不動産会社は、あなたの大切な財産の売却を担当するだけでなく、売買契約の際に売主(あなた)と買主の間に立って折衷するなど、土地を引き渡すまでさまざまにサポートしてくれます。
すなわち、土地売却の成功のカギを握るのは、信頼のおける優秀な不動産会社を選べるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。
不動産会社といってもマンションが得意であったり、売買より賃貸が強かったり、それぞれ得意とする分野があります。また、地域の情報やルートを持った地域密着型の個人経営から、日本全国の豊富な情報やサービスを提供する大手企業まで、エリアや規模もさまざまです。
その中から、あなたが所有する土地の売却を任せられる不動産会社を選ぶためのポイントは2つです。
☞ 一括査定サービスを利用する
☞ 複数の不動産会社を比較する
一括査定サービスとは、1回の入力であなたの土地売却に対応可能な複数の不動産会社をマッチングし、同時に査定を依頼できるサービスです。
そして、依頼を受けた各不動産会社が出してきた査定結果を見ながら、
- 査定価格(3か月で売れるであろう土地の値段)の根拠は説得力があるか?
- あなたの土地と類似した土地の売却実績は豊富か?
- 営業担当者の話や対応は明確で誠実か?
- インターネット広告など、どのような販売戦略で土地を売るのか?
- すでに土地を探している「見込み客」はいるのか?
など、さまざまな視点で複数の不動産会社を比較し、その中から一番信頼できそうな不動産会社を選べばいいのです。
建物のある土地を売る場合には状況を詳しく説明し、より具体的で現実的な提案をしてくれる不動産会社を選びましょう。
NTTデータグループが運営する不動産一括査定サービスHOME4U(ホームフォーユー)は、販売力と安心観のある大手企業から、独自のルートで購入者を探し出してくれる地域密着型企業まで、全国2,300社の優良不動産会社の中から最大6社にまとめて査定を依頼します。
あなたの大切な財産である土地を安心して任せられる不動産会社を見つけるために、HOME4Uの一括査定サービスをご活用ください。
不動産一括査定サイトHOME4U(ホームフォーユー)
売却ではなく別の活用を考えている場合
あなたが現在お持ちの土地を「売る」のではなく、アパート経営やマンション経営、駐車場経営など「土地活用」についてもお考えなら「HOME4U土地活用」がおすすめです。
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各社の提案を比べながら、収益を最大化するためのプランを見つけましょう。
1-3.不動産会社と媒介契約を結ぶ
不動産会社が選べたら、正式にその会社に売却活動を依頼するため媒介契約を結びます。
媒介契約は3種類
媒介契約は一種類だけでなく、専属専任媒介・専任媒介・一般媒介の3つがあります。 それぞれの違いは以下の表のとおりですが、もっともおススメなのは専任媒介です。
メリットは主に次の2点です。
☞ 専属専任媒介と違い、自分でも買主を見つけてくることができる
突然、知人のツテなどで買主が現れるようなケースもあるので、この選択肢を残す方が賢明です。
☞ 一般媒介と違い、売却活動の報告を必ず受けることができる
不動産会社1社とだけ契約を結び、報告の義務がある分、不動産会社も熱心に売却活動を行ってくれます。また、一般媒介の場合は不動産会社からの報告の義務がありませんので、およそ2~3社の不動産会社との契約となりますが、それぞれの不動産会社に対して自分から売却活動の状況を聞く必要があるでしょう。
つまり専任媒介は、他の2つの媒介契約の良いところを兼ね備えています。
専属専任媒介 | 専任媒介 | 一般媒介 | |
---|---|---|---|
2社以上の不動産会社と契約できるか | × できない |
× できない |
◯ できる |
自分で買主を探して直接取引できるか | × できない |
◯ できる |
◯ できる |
不動産会社から受ける活動報告の頻度 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | 法令上の定めなし |
不動産会社のレインズ※への登録義務 | 媒介契約から5日以内 | 媒介契約から7日以内 | 法令上の定めなし |
契約期間 | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 | 法令上の定めはないが、行政指導では3ヶ月以内 |
(※レインズとは「不動産流通標準情報システム」のことで、全国の不動産物件の情報が集められたインターネット総合サイトのようなものです。登録した不動産会社が物件を閲覧可能になるので、販売の際に登録してもらうことをおすすめします)
また、媒介契約に基づいて、不動産会社が行う主な業務は以下のとおりです。
- 物件の基礎調査と価格査定
- 指定流通機構レインズへの登録(一般媒介の場合は定めなし)
- 購入希望者の募集
- 購入希望者との交渉
- 定期的な売却活動の報告(一般媒介の場合は定めなし)
- 売買契約に関する書面、重要事項説明書の作成・交付
- 契約締結、決済、引き渡し準備、登記申請手続きの補助
土地の売却では測量、また古家が建っている場合には解体の必要が出てくる場合もあります。
そのようなときにも、不動産会社はアドバイスや、専門家、業者の紹介をしてくれます。
1-4.土地を売り出す
媒介契約を結んだら、売却活動が始まります。
いくらで市場に出すか、不動産会社と相談し売出価格を決めましょう。
売出価格を決めるにあたり、不動産会社は売却する土地の現地査定を行い、周辺の状況、日当たり、法令上の制限などを加味したより精度の高い価格を算定します。あなたの要望や事情をしっかり伝えて、納得のいく価格を設定して売り出しましょう。
建物が建っている土地は、「土地(現況 古家あり)」または「土地付き中古一戸建て」として購入者を募集します。ただし、この時はいずれかの募集となり、「土地(現況 古家あり)」と「土地付き中古一戸建て」を重ねて広告することはできませんのでご注意ください。
もし、「より早く売りたい」という場合には、あなたの希望売出価格よりも、不動産会社の算定した査定価格に近い金額に設定して売り出すのがよいでしょう。
査定価格は、市況や現地調査などからおおよそ3か月を目処に売却できる可能性の高い金額として、不動産会社が根拠を持って提案している金額だからです。
1-5.買い手が見つかったら、売買契約を交わす
買い手が見つかったら、買付証明書(購入申込書)という書類によって、買い手側から希望購入価格・支払い条件・引き渡し希望日などが提示され、不動産会社を交えて契約条件の調整が行われます。
売り手と買い手の双方が合意に達すれば、いよいよ売買契約です。
金額や引き渡し日などの契約条件がすべて決まったら、不動産会社が契約書や重要事項説明書などの必要な書面を作ってくれます。重要事項説明書には土地の情報が細かく記載されますので、不動産会社から土地売却に関する書類の提出や情報の提供を求められることがあります。不動産会社からの案内に沿って進めてください。
契約の際には契約書に貼る印紙代がかかりますが、印紙代は売買価格によって異なります。事前に不動産会社から連絡がありますので、必要な書類とあわせて契約までに準備しておきましょう。
当日は、買主に対し宅地建物取引士(不動産会社)が重要事項説明書を読み上げて説明を行った後、お互いに売買契約書の内容を確認し調印します。 同時に買主から手付金を受け取ります。
契約書には契約の解除について、売買代金支払い、契約不適合責任(旧瑕疵(かし)担保責任)の期間などの細かい取り決めが記されていますのでよく確認し、不明な点があれば不動産会社に訊ねるようにしてください。
(契約不適合責任については、下の2-1と3-2の節で述べます)
1-6.引き渡し
いよいよ土地を引き渡す日がやってきました。
契約書の定め通り売買代金(手付金以外の残りの金額)を受け取り、必要な書類などを買主に渡します。ローンが残っている場合には抵当権の抹消を行い 、所有権移転登記の手続きなどを行いますが、手続きは不動産会社が指南してくれるので、心配はいりません。
固定資産税の清算や登記費用の支払いなど、すべての手続きが完了したら、売買完了確認書に署名捺印をして不動産会社へ仲介手数料を支払います。契約書通りに引き渡しができない場合、債務不履行として違約金を支払うことになりますので、十分注意して余裕を持って準備をすすめましょう。
仲介手数料をはじめとする土地売却の手数料については、いつ、いくら必要になるかを事前に不動産会社に確認しましょう。
2.古い家が建ったままの土地を売る際のメリット
古い家が建ったままの土地は、「古家付き土地」とも呼ばれています。
それではここから、「中古物件としては売れないような古家付き土地を売却するケース」について、解説して行きます。
一見、悪いことにしか見えないシチュエーションですが、実は更地であるよりもメリットを享受できている面もあります。
2-1.瑕疵(かし)担保責任を免責にできる
築年数が古い一戸建てはそのまま売却してしまうと、雨漏りやシロアリの被害など、住んでいる間には知らなかった瑕疵(欠陥や不具合)があった場合、契約不適合責任を負わなければなりません。
土地(「現況 古家あり」)として売却する場合は、あくまで売買の対象は土地です。建っている家の契約不適合責任を負わないという特約が有効になりますので、売買契約の条件としたい意向を事前に不動産会社に伝えましょう。ただし、土地にも土壌汚染などのリスクが存在しますので、それらリスクの責任を負わないための免責を不動産会社に相談しましょう。
なお、「契約不適合責任」は旧来の「瑕疵(かし)担保責任」に値しますが、2020年4月の民法改正により、名称とともに内容が変更されています。
2-2.住宅ローンを使って購入できる
2つ目のメリットは、買い手が住宅ローン融資を受けられるなどのメリットがあるので売りやすい場合がある ということです。
住宅ローンは、住宅を購入する場合にしか適用されないので、土地だけを購入する場合は、融資を受けるのにさまざまな制限がつき、手続きが煩雑になります。
しかし、建物が建っている土地については住宅とみなされるため、買主は住宅ローンを受けることができます。
また、建物が建っていることで、2階からの眺望や日当たり具合など、更地の場合より暮らしがイメージしやすい というメリットもあります。
2-3.固定資産税が安い
土地の固定資産税の評価額は一般的に建物が建っている場合、更地の場合の6分の1になります。 (面積によって特例があります)
万が一、売却期間が長引いてしまったときでも、固定資産税が安く済むというメリットがあります。
3.古い家が建ったままの土地を売る際の注意点
それでは逆に、古屋付き土地を売却する際に発生しやすいデメリット、注意すべきことはなんでしょうか。主な事例を紹介していきます。
3-1.解体または値引きを求められることがある
「建物つきでも売れるのか?解体して更地にすべきか?」は、多くの売主にとって悩みどころです。
どちらにすべきか判断がつかない場合は、不動産会社に建物つきで売った時の価格と、更地での価格の2つの査定依頼をするのもひとつの手です。
建物の取り壊しは買主の負担となりますが、申し込みの段階で買主から建物の取り壊し後の引き渡しや、解体費用の相当額の値引きを交渉され、売主がそれに応じる形で成約するケースが多いようです。
また、解体にどのくらい費用がかかるかを事前に調べて、ある程度の値引きを想定しておく必要があります。なお、解体することによって「住宅用地の特例(人が居住する家屋の土地は税金が軽減される)」の対象から外れてしまい、固定資産税が高くなる可能性もありますので注意が必要です。
3-2.土地の埋設物などが確認できない
土地売却でしばしば契約不適合責任が問われるのが、地中に埋設物があった場合です。建物が建っている場合は、建物の下に何が埋まっているのか事前に確認できません。
買主が購入後、建築工事を始めたときに大きな石や廃材などが発見されることがあります。これは契約不適合責任では、契約の内容に適合しないとして扱われ、もし埋設物が見つかった場合は、除去や処分等にかかる費用を売主が負担することになる可能性もあります。
3-3.隣地との境界を決めておく
土地を売り出したら「早く売れてほしい」と誰もが思います。
速やかに買い手を見つけて売買契約を取り付けるためにも、もし隣地との境界がはっきりしていない場合は、不動産会社に相談し確定測量を行って境界確定図を取得しておきましょう。
なぜなら、土地の購入を検討している人は「その土地に自分の希望する家(建物)が建てられるかどうか」「駐車場などの目的に合っているか」などということを重視しているため、土地の正確な情報を求めています。測量には費用がかかりますが、土地の状態を明確にすることで売れやすくなる可能性が高まります。
メリットもあればデメリットもありますが、きちんと踏まえたうえであれば、土地の売却活動をするのに躊躇することはありません。
心配事、悩み事があれば、不動産会社に率直に相談してみましょう。不動産のプロがあなたの力になってくれるはずです。
まとめ
それではおさらいです。
土地売却を成功させるために一番大切なことは、一括査定サービスを活用することと、複数の不動産会社を比較することでした。
あなたの土地の売却に相応しい不動産会社に出会えれば、その会社が抱える見込み客が買主となり、電光石火で売却できるかもしれません。
また、古い家が建ったままでも土地の売却は可能です。あなたの事情や状況を考慮して、しっかりとサポートしてくれる不動産会社が必要不可欠となりますので、一括査定サービスを上手に利用 し、ぜひあなたの物件にマッチした不動産会社を見つけてくださいね。
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この記事のポイント
土地売却の流れは以下の6ステップです。
- 土地の相場を調べる
- 不動産会社を探す
- 不動産会社と媒介契約を結ぶ
- 土地を売り出す
- 買い手が見つかったら、売買契約を交わす
- 引き渡し
詳しくは「1.土地売却の流れ」をご覧ください。
古い家が建ったままの土地を売るメリットは以下となります。
- 瑕疵(かし)担保責任を免責にできる
- 住宅ローンを使って購入できる
- 固定資産税が安い
詳しくは「2.古い家が建ったままの土地を売る際のメリット」をご覧ください。
古い家が建ったままの土地を売る際の注意点は以下となります。
- 解体または値引きを求められることがある
- 土地の埋設物などが確認できない
- 隣地との境界を決めておく
詳しくは「3.古い家が建ったままの土地を売る際の注意点」をご覧ください。
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