
空き家は所有しているだけで固定資産税や都市計画税などの税金がかかります。また、定期的に修繕や清掃などメンテナンスを行う必要もあります。
空き家を放置していると、老地化で崩壊や火災による被害が出たり、害虫や犯罪の温床になったりして、高額な損害賠償請求をされる可能性があります。
それらの費用負担や手間、リスクをなくすには、「売却」するのが一番おすすめです。
この記事では、空き家をスムーズに売却する2つの方法とそれぞれのメリット、デメリット、費用や高く売るコツについて解説します。
ぜひ空き家を所有している方は、この記事を参考にしてなるべく早めに空き家を売却し、不安をなくしてくださいね。
不動産会社選びで、売却は数百万円「売値」が変わります。
査定価格は不動産会社によって違うので、高く・早く売るなら、複数の不動産会社の査定価格を比較することが大切です。
かんたん一括査定で複数の査定価格を取り寄せましょう。
Contents
1. 空き家を売却する2つの方法のメリット・注意点
空き家を売却するには2つの方法があり、まずはどちらがよいのかを選ぶ必要があります。
- 空き家をそのまま売却する
- 空き家を取り壊して売却する
それぞれのメリットや注意点を確認し、自分が所有する空き家はどちらの売却方法が向いているのかを考えていきましょう。
1-1. 空き家をそのまま売却する
空き家を取り壊さずに建物と土地を売る方法です。
買主が購入後、建物をそのままの状態で使うことを希望しているならば、取り壊しの必要はありません。この場合、築年数が古い物件は建物価値がゼロとなるため、「土地価格」が売却額の目安となります。
買主がリフォームを考えている場合も、売却額は同じ考え方となります。ただしリフォーム代金がかかる分、値引き交渉されるかもしれません。
なお、築年数が経過している古い建物であっても、維持管理の状態が良ければそのまま使えるため比較的売却しやすいでしょう。逆に状態が悪ければ、取り壊した方が売却しやすいこともあります。
- 解体費用がかからない
- 固定資産税が更地にするより上がらない
- 特約をつければ契約不適合責任は免責になる
契約不適合責任は、売主に課せられるものです。詳しくは下記の記事で解説しています。
- リフォーム代金を請求されることがある
- 古い家は取り壊し費用を請求されることがある
1-2. 空き家を取り壊して売却する
建物を解体し、更地に変えて売却する方法です。
築年数が古くそのまま住みづらい物件の場合は、取壊して売却すると購入希望者が解体する必要がなくなるため、買い手が付きやすくなります。
築年数が古く解体前提の物件の場合、家がある状態で売るか、取り壊してから売るかの違いは、解体費用を負担するのが売主か買主かの違いになります。
「家があっても解体費用を請求されるなら、価格に差はないのでは?」と思うかもしれません。
しかし実際には需要の多さから、売主側で更地にしてから売却した方が「早く高く売れる」傾向があるのです。
ただし、更地にすることで固定資産税が6倍程度、都市計画税が3倍程度上がるため、なかなか売れないと負担が大きくなります。
また、建物がないと買主が住宅ローンを組めないという問題もあるので、建物の状態や立地条件、耐震基準などによって決めることが大切です。
判断が難しい場合は、取り壊す前に不動産会社に相談するのがおすすめです。
- 住めない状態の空き家ならないほうが高く売れやすい
- 解体前提で売る場合、更地のほうが買い手が早くつきやすい
- 建物がなくなると固定資産税・都市計画税が上がる
- 建物がなくなると買主が住宅ローンを組めなくなる
空き家の解体費用の目安については以下の記事も参考にしてください。
2. 空き家を売却する際の流れ
空き家を売却する手順は、その空き家の所有者の状態によって違いがあります。
実家が空き家になっている場合には、親が存命だけれど住まなくなった場合と、親が他界してしまい空き家になっている場合で売る方法が変わってきます。
住んでいる地域から遠い空き家の売却では、必要書類を集めるのが大変なケースも。空き家の売却が決まったら早めに必要書類を集めるようにして、WEBサイトで取り寄せられるものはネットを活用しましょう。
2-1. 親が住まなくなった空き家を売却する場合
親との同居や介護施設への入所などの理由で実家が空き家になった場合、空き家の所有者である親が売却する必要があります。
しかし、親が売却の手続きができない場合は、代理人が売却を行う必要があります。
それぞれについて見ていきましょう。
2-1-1.親の代理人を決定する
本人が売却できない場合、代理人を立てますが、健康状態によって代理人の選定方法が変わります。
通常の場合 | 配偶者、親、子、または弁護士、司法書士、社会福祉士などに本人が委任状を書いて代理売却してもらう |
---|---|
親が認知症の場合 | 成年後見制度を利用して家庭裁判所が選定した成年後見人に代理売却してもらう |
また、元気なうちに任意後見制度を利用して、家の所有者本人が自分で代理人を決めておけば、万が一、所有者が認知症になっても、あらかじめ選んでおいた代理人が家を売却できます。
2-2-2.不動産会社に査定を依頼する
空き家がいくらで売れるのかの目安となる査定価格を不動産会社に出してもらいます。
不動産会社によって査定価格は変わるため、複数社に依頼するようにしましょう。遠方に不動産がある人でも「不動産売却 HOME4U」のような一括査定サイトを使えば、売却物件に適した不動産会社複数社にまとめて査定を依頼できますよ。
2-2-3.販売活動を行う
不動産会社を選んで仲介契約(媒介契約)を結び、販売活動を行います。
空き家の売却では、専門家のアドバイスがとても有効です。不明点はどんどん不動産会社に相談して、その物件にとって最適な方法を選びましょう。
また、遠方の空き家で内覧希望がある場合、不動産会社に立ち会いをお願いすることも可能です。
媒介契約とは何かについては5章を参考にしてください。
2-2-4.売買契約の締結する
購入希望者から「購入申込書」が渡されたら、希望条件(価格、引き渡しスケジュールなど)を確認し、不動産売却を通じて交渉します。
売主、買主双方が合意したら売買契約を行います。売買契約では、販売代金の一部を手付金として受け取ります。
2-2-5.決済・引き渡しを行う
引き渡し日には、売主、買主が対面し、不動産会社担当者の立ち合いのもと、売買代金や仲介手数料の支払いを行います。
売る家に住宅ローンが残っている場合は完済と抵当権の抹消が必要ですが、実家の場合は住宅ローンが完済されているケースが多く、この行程はないこともあります。
ただし、不動産の所有者が変わったことを登記する不動産移転登記は必ず必要です。
2-2.相続した家を売却する場合
親が亡くなってしまい、住んでいた家が空き家になった場合の売却方法は、相続が絡みます。
ケースによって変わりますが、大まかな流れは以下の通りです。
2-2-1.相続人全員の合意を得る
相続した家の売却には、相続人全員の合意が必要です。
空き家を複数の相続人で相続した場合、まずは遺言や遺産分割協議で遺産分割方法を決定し、空き家を売却するのか、それとも売らずに遺産を分配するのかなどを決定します。
相続した不動産の分け方については以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
2-2-2.所有権移転を行う
不動産を相続したら、登記簿の不動産所有権を移転する相続登記を行う必要があります。不動産の名義が亡くなった人のままでは不動産を売ることができないので、必ず相続登記を行ってください。
相続登記には期限がないのですが、そのままにしておくと相続人の人数が増えたり、連絡がつかない人が出てきたり、複雑になる可能性があります。
相続人が複雑になって空き家を売却できなくなり、困っているケースが増えています。
相続人全員の合意のもと、早めに相続登記を行うことは非常に重要ですよ。
2-2-3.不動産会社に査定を依頼する
空き家の査定を不動産会社に依頼し、査定価格を出してもらいます。
空き家をなるべく早く高く売るには、不動産会社選びが重要です。複数の不動産会社に依頼して対応や価格を比較し、よい不動産会社を選びましょう。
空き家の近くに住んでいなくても、「不動産売却 HOME4U」のような一括査定サイトを使えば、自宅から不動産査定の依頼を複数社に依頼でき、便利ですよ。
2-2-4.販売活動を行う
不動産会社と仲介契約(媒介契約)を結び、販売活動をスタートします。
空き家の売却は通常の家を売るより難しいケースがあります。
不動産会社に相談しながら、一番よい方法で売却を進めていってくださいね。
購入希望者が内覧を希望した場合、空き家であれば不動産会社に立ち合いをお願いすることもできます。
媒介契約について詳しくは5章を参考にしてください。
2-2-5.売買契約の締結する
購入希望者が出てきたら「購入申込書」に書かれている希望条件(価格、引き渡しスケジュールなど)を確認して、条件交渉を行います。
売主、買主双方が合意したら売買契約の締結です。このとき販売代金の一部を手付金として受け取り、残金は引き渡し日に受け取ることになります。
これらの作業は間に不動産会社が入ってくれるので、相談しながら進めることができますよ。
2-2-6.決済・引き渡しを行う
引き渡し日には、売主と買主、不動産会社担当者が集まり、売買代金や仲介手数料の清算を行います。
空き家の場合、住宅ローンが残っていることは少ないですが、ある場合はこの時点で完済し、不動産に付いている抵当権を抹消します。
2-2-7.相続人全員で決定した方法で遺産分割する
不動産売却後は、初めに決定しておいた遺産分配方法に従って、遺産の分配を行います。
分配の方法によって、売却益に対する納税や減税制度の利用方法が変わるので、詳しくは下記の記事を参考にしてください。
3. 空き家を売却する際の費用
「普通の空き家」の売却では、通常の売却費用の他に、ごみ処分費用と取壊し費用が発生します。
取り壊さない場合はもちろん、取壊しを行う場合でも不要なごみは事前に撤去しなければなりません。
さらに相続した空き家の場合、遺品を整理する必要があります。
3-1. 不動産売却にかかる一般的な費用
空き家に限らず、一軒家を売却するときにかかる主な費用です。
親が長く住んでいた空き家では住宅ローンを完済しているケースが多く、その場合、抵当権抹消費用や住宅ローン返済手数料はかかりません。
費用名 | 内容・目安 |
---|---|
仲介手数料 | 売買契約を仲介した不動産会社に、成功報酬として支払う費用です。目安は「( 売却額 × 3% + 6万円 ) + 消費税」で計算できます。 |
測量費用 | 土地の境界線測量が必要な場合にかかります。一般的に50~80万円程度です。 |
抵当権抹消費用 | 不動産1件につき1,000円です。建物と土地は別になるので、建物1つ、土地1つの場合は2,000円です。 |
専門家報酬 | 登記を弁護士や司法書士などに頼んだ場合にかかる費用です。 |
住宅ローン返済手数料 | 住宅ローンの残りを一括完済する際、借り入れ先に支払う手数料です。金融機関により5,000円~3万円程度です。 |
3-2. 空き家の売却にかかることがある主な費用
費用名 | 内容・目安 |
---|---|
ごみ処分費用 | ゴミ処分費用は、通常の家であれば10万円前後。「ゴミ屋敷」といわれるレベルであれば、20~30万円程度です。 |
取り壊し費用 | 取壊し費用に関しては、木造の場合、坪単価で4~5万円が一つの目安。延床面積が25坪であれば、100万円~125万円程度かかります。 |
遺品整理費用[1] | 部屋の広さや荷物の量、作業時間によって、空き家の場合、15万円~25万円程度が相場です。荷物が多すぎると60万円くらいかかるケースもあります。 |
解体費用は、解体しにくい立地(細い路地の先や急こう配にあるなど)の場合、高くなる傾向があります。
費用が加算される要素として、車両を誘導するガードマンの人数、重機の入りにくさ、解体作業にリスクのある立地などがあります。
解体する場合は、事前に解体業者に見積を取ることが重要です。また、「相続空き家」の場合、解体費用を誰が拠出するのか、決めておくことが必要となります。
4. 空き家を売却する際にかかる税金
空き家を売却した場合、税金がかかります。どんな種類の税金がいくらくらいかかるのか確認しましょう。
なお、減税措置を活用することで、税額を大きく減らすことができます。
空き家を売却したときにかかる税金は以下の通りです。
税金の名称 | 内容の説明 |
---|---|
印紙税 | 売買契約書に貼る印紙の代金 |
譲渡所得税 | 不動産を売って売却(譲渡所得)が出た場合のみかかる税金。 この3つを併せて「譲渡所得税」と呼ぶのが一般的 |
住民税 | |
復興特別税 |
空き家を売ったときにかかる税金の金額や、大きく減税される特例に関しては、以下の記事で詳しく説明しています。ぜひ参考にしてください。
5. 空き家を早く高く売却するコツ
親の老後の資金のため、相続で残してくれた資産を大切にするため、できるだけ高く空き家を売りたいですよね。
空き家は立地条件や建物の状態がよければ高く売れますが、古い家や放置して劣化していると売るのが難しくなります。
ここでは、空き家をできるだけ高く売却するコツをご紹介します。
5-1. 空き家売却実績にある不動産会社を選ぶ
空き家の売却で最も重要なポイントになるのが、不動産会社選びです。特に売りづらい空き家は、空き家売却の実績があったり、その地域に強い不動産会社がおすすめです。
そうはいっても自分で不動産会社を探し、よいかどうかを判断するのは難しいもの。遠方に住んでいる場合はなおさらですよね
そこでおすすめなのが、一括査定サイト「不動産売却 HOME4U」です。
「不動産売却 HOME4U」は、WEBに売りたい空き家の情報を入力するだけで、その物件に合う不動産会社を複数選んで査定の申し込みができます。
1回につき最大6社まで依頼できるので、査定価格を比較することもできますよ。
- 遠方の不動産でもWEBから簡単査定依頼ができる
- 一度に6つの不動産会社に査定依頼できる
- 大手から地元密着型まで全国1,500の不動産会社が参画している
- NTTデータグループが運営しているからセキュリティも安心
5-2. 不動産仲介を「専任媒介契約」にする
不動産に仲介を依頼する際には3つの契約方法があります。
3つの大きな違いは以下の通りです。
契約名 | 契約できる数 | 自分で買主を見つけた場合 |
---|---|---|
専任媒介契約 | 1社のみと契約 | 売却できる |
専属専任媒介契約 | 1社のみと契約 | 売却できない |
一般媒介契約 | 複数社と契約 | 売却できる |
空き家は、築年数が立っていたり長い間放置していたり、人気の一等地以外の場合は、売れにくいことがあります。
売れにくい物件は以下のような理由で、専任媒介契約がおすすめです。
積極的な売却活動が期待できる
専任媒介契約と専属専任媒介契約は1社の不動産会社のみと仲介契約する方法です。
このため、不動産会社からすると複数の不動産会社と契約している物件より自社での利益になる可能性が高くなり、販売活動をより熱心に行ってくれる可能性があります。
レインズへの登録や販売活動の報告義務がある
全国の不動産会社に物件情報を届ける「レインズ」への登録義務や販売活動内容の報告義務は、一般媒介契約は任意ですが、専任媒介契約と専属専任媒介契約は義務化されています。
このため専任媒介契約か専属専任契約にすれば、状況を把握しながら売却を進めていくことができます。
自分で見つけた売主にも売却できる
専任媒介契約は、自分で買主を見つけた場合にも売却することができます。
5-3. 必要に応じてハウスクリーニングや修繕を行う
空き家を売却する場合、古さや劣化が原因でなかなか売れなかったり、安く値引きされたりすることがあります。
もし、ハウスクリーニングや修繕で見栄えがよくできるレベルの古さや劣化であれば、多少の費用をかけても実施しておいたほうが、少しでも早く高く売れる可能性は高まるでしょう。
5-4. 売れにくい空き家は買取も検討する
建物の状態や立地条件、家のなかで親が亡くなったなどの理由があり、なかなか通常の売却では売れにくい空き家の場合は、「仲介」ではなく「買取」という方法で売却するとよいでしょう。
買取とは、不動産会社を通じて買主を探すのではなく、不動産会社が買主となって物件をすぐに買い取ってくれるという方法です。
不動産会社は買い取ったあと、居住する新たな買主を探すか、新しい建物を建てて売りに出します。しかし、売却後の話なので、空き家を売った人にはその後、売れるかどうかは関係ありません。
- すぐに売却してまとまった現金が手に入る
- 相場より低い価格で取引される
買取はこれらの特徴があるため、あくまでも売れにくい物件の場合や、すぐに売却して現金化したい場合に利用するのがおすすめです。
まとめ
空き家の売却には、さまざまなケースや問題があります。
空き家をそのまま売るのか、取り壊してから売ったほうがよいのかは、メリットや注意点を見て検討してください。
また、空き家を売る際、その家の所有者が存命なのか、他界されているのかによって売却の流れが違います。
空き家を早く高く売るためにも、売りたい空き家がある場合ははやめに不動産会社に相談するとよいですよ。
この記事のポイント まとめ
- 空き家をそのまま売却する
- 空き家を取り壊して売却する
いずれが良いかは物件によりますので「1.空き家を売却する2つの方法のメリット・注意点」を参考にご検討ください。
- 親が住まなくなった空き家を売却する場合
- 相続した家を売却する場合
どちらかで違いますので、詳しくは「2.空き家を売却する際の流れ」で詳しく解説しています。
以下のような費用がかかりますが、住宅ローンが完済している場合は、かからない費用もあります。また、空き家を解体するか、処分する荷物があるかなどによっても費用は大きく変化します。
- 仲介手数料
- 測量費用
- 抵当権抹消費用
- 専門家報酬
- 住宅ローン返済手数料
- ごみ処分費用
- 取り壊し費用
- 遺品整理費用
どんな費用か、金額の目安など詳しくは「3.空き家を売却する際の費用」をご覧ください。
空き家がどんな物件によりますが、以下のような対策がおすすめです。
- 空き家売却実績にある不動産会社を選ぶ
- 不動産仲介を「専任媒介契約」にする
- 必要に応じてハウスクリーニングや修繕を行う
- 売れにくい空き家は買取も検討する
詳しくは「5. 空き家を早く高く売却するコツ」で解説しています。
空き家は放置するとコストやリスクがかかり続けるので、早めの売却をできるようこの記事を参考にしてくださいね。