空き家の売却時に知っておきたい税制優遇や効果的に売る方法

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2015年5月より「空家等対策の推進に関する特別措置法(通称・空家法)」が制定されたことにより、空き家に関する関心度が高まっています。

空家法の制定を受け、「空き家の売却」に関しても税制改正が行われました。空家法ができたのは、世の中から危険な空き家を無くしたいということが背景にありました。そのため、この税制改正により、空き家は以前よりも売却しやすくなっています。

空き家は所有しているだけで固定資産税や都市計画税といった税金がかかり、家計には負担ですよね。さらに定期的に掃除や除草をするなどメンテナンスを行う必要もあります。もしどこかが傷んでいて、その破損がもとで人的被害が出てしまっては、本当に大変なことになります。そんなことにならないようにするには、「売却」するのが一番オススメです

そこでこの記事では、空き家を売却するメリットや売却する方法を紹介していきます。また、売却にまつわる税金についても詳しく解説しますので、ぜひこの記事を参考にして、空き家売却のメリットを実感してください。

1. 空き家を売却するメリット

空き家を売却する最大のメリットは「維持費がかからなくなる」という点です。空き家は、保有しているだけで土地と建物に固定資産税や都市計画税の税金が発生します。また、たまに空気の入替を行ったり、掃除を行ったり、維持にも手間や費用がかかるため、空き家は保有するだけでもコストがかかる厄介者です。

但し、従来、空き家を「売ること」や、「取り壊すこと」には阻害要因があったため、維持費がかかったとしても「売らない、取り壊さない」という選択をする人が多くいました。その阻害要因とは何だと思いますか?

その要因とは「税金」だったのです

不動産は売却して譲渡益が出てしまうと、所得税が課税されます。空き家は購入時期が古いケースが多いため、購入したときの金額が不明なものや、購入額がわかっていても安いものがたくさんあります。

購入額が不明な空き家や、購入額が安い空き家は、売却すると譲渡益が出やすいため、税制改正前は売却すると税金が発生する場合が多かったのです。特に、相続税を納税した人にとっては、相続によって得た空き家を売却し、さらに所得税の支払いが発生するのは、かなり抵抗があることですよね。

ところが、税制改正によって、相続で取得した空き家売却による所得税に関しては税金が発生しにくくなりました。また、所得税以外にも固定資産税がありますが、空き家は取り壊すと小規模住宅用地の特例がなくなるため、土地の固定資産税が上がります。

この点も空き家が取り壊されずに放置される大きな原因となっていました。取壊しに関しても、空家法が制定されてことにより、空き家を取り壊さないことのメリットが薄れつつあります。

空家法によって、危険な空き家(特定空家)に指定されてしまうと、小規模住宅用地の特例を受けることができなくなります。「危険な空き家」とは、「倒壊の危険がある空き家」であったり「衛生上有害である空き家」であったりする空き家のことです。

この特定空家に指定されてしまうと空き家を取壊しても、取り壊さなくても土地の固定資産税が上がります。つまり、空き家を保有する固定資産税に関しては、取り壊さないことのメリットが無くなりつつあるのです

このように、税制改正と空家法の2つにより、「売ること」と「取り壊すこと」に関しては、阻害要因が解消されつつあります。空き家は売却しやすくなったため、維持費の負担から解放されることを考えたら、空き家を売却することにはおおいにメリットがあるのです。

2. 空き家を売却する方法

空き家を売却する場合、「取り壊さずに売る」か「取壊してから売る」かの判断が迫られます。どちらを選択すべきかについて見ていきます。

2-1. 取り壊さずに売る

木造戸建住宅の場合、築25を過ぎると市場価値がゼロとなるのが一般的です。築25年以上の築年数が古い物件を購入する人は、

① 購入後もそのまま使う
② 購入後にリフォームを行う
③ 購入後自分で取り壊す

という選択を行います。

築年数が古い物件では、建物の状態によって、購入者のその後の選択が変わります。購入者にとってそのまま使えると思える建物であれば継続して利用をしますが、そのままでは使えないと思えば取り壊すこともあり得ます。

購入者が購入後そのまま使うケースでは、築年数が古い物件は建物価値がゼロとなるため、「土地価格」が売却目線となります。

また購入者が取壊しを前提とするケースでは、築年数が古い物件は、「土地価格から取壊し費用を控除した価格」が売却額の目安となります。

つまり、取壊しが前提となるような築年数が古い物件では、売却価格は土地価格よりも安くなることもあり得ます。同じ築年数でも、建物の維持管理の状態が良ければ、購入後そのまま使うケースは十分にありますが、維持管理の状態が悪ければ取り壊すこともあります。

購入者がどちらの選択をしそうかについては、一度プロに見てもらい、客観的な意見を聞くのが良いでしょう。
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2-2. 取り壊して売る

築年数が古い物件は、取壊して売却すると更地となるため、購入者が購入しやすくなります。

通常、購入者の取壊し費用は住宅ローンの対象とはなりません。現金を多く持っている人でない限り、取壊しを前提に空き家を購入することは難しくなります。すると、買主に取壊しを負担させる売却では、購入希望者が極端に少なくなります。購入希望者が少なくなれば、当然に価格も下がります。

一方で、更地であれば購入できる人が増えます。更地は多くの人が買い求めやすい状態であるため、価格も上がりやすくなります。そのため、空き家を高く売却するのであれば、売主で取壊してから売却することをお勧めします。

理屈の上では、取壊しを売主が負担するのか、買主が負担するのかだけであり、価格差はないような気がします。しかしながら、実際には需要の多寡から、売主で更地にして売却した方が、早く高く売れるようになります

HOME4Uで査定を依頼する場合、更地にしたらいくらになるかも査定しておくことをお勧めします。更地は最も売却しやすい不動産であるため、空き家がある状態よりも、高い査定額が得られる可能性があります

3. 空き家の原因と税制特例

3-1. 普通の空き家と相続空き家

ここで、空き家には2種類あることを知っておく必要があります。

1つ目は、アパートや賃貸マンションなどの空室や、自分が引越したために生じた空き家です。これらは便宜上、「普通の空き家」と呼ぶことにします。2つ目は、相続をきっかけとして発生した「相続空き家」です。ここで定義する「相続空き家」は、一戸建てに限ります。

現在、空き家は増えつつありますが、空き家が増える最も大きな原因は「相続」です。子供が地元を離れてサラリーマンをやっており、実家で親が他界することにより発生する空き家が典型的なパターンです。

中でも、社会的に問題となっているのは、一戸建ての「相続空き家」です。一戸建ての空き家は、放火の可能性や犯罪組織の拠点となる可能性があります。また雪や落雷、老朽化などによる崩壊の可能性もあるため、危険です。

そのため、国としてはこの相続空き家を、なんとか減少させることを目的として、空家法を制定しました。もちろん、「普通の空き家」も問題がないわけではありません。しかしながら、国の抱える喫緊の課題としては、「相続空き家」の解消です。そのため、税制改正も「相続空き家」を対象として行われています。

次章より解説する税制に関しては、基本的には一戸建ての「相続空き家」を対象としています。尚、マンションの「相続空き家」や「普通の空き家」は対象とはなりませんので、ご注意ください。

3-2. 相続空き家と特別控除

繰り返しますが、空き家が発生する原因で最も多いものは「相続」です。国が抱えている空き家問題を解消するためには、相続空き家を売却しやすくする必要があります。

相続空き家を売りやすくした税制改正とは、「3,000万円の特別控除」の改正です。3,000万円の特別控除は従来からマイホームの売却を対象として存在していた特例です。その適用範囲がマイホームだけでなく相続空き家まで広がったというのが改正ポイントとなります。

簡単に言うと、売却して利益が出たとしても、その利益から3,000万円を引いた金額が課税の対象となるため、税金が減額されるという特例です。「3,000万円の特別控除」の詳細については、後述します。

ここではどのような相続空き家が「3,000万円の特別控除」の対象となるのかを示します。「3,000万円の特別控除」の適用対象となる相続空き家は、以下の家屋の要件と譲渡の要件を満たしたものが対象となります。

家屋の要件

  1. 相続開始直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋であること。
  2. 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること。
  3. マンション以外の家屋であること。
  4. 相続開始直前においてその被相続人以外に居住したいた者がいなかったこと。
  5. 相続のときから譲渡のときまで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていなかったこと。

※家屋を取り壊した場合は以下の要件も必要

  1. 相続のときから取壊しのときまで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていなかったこと。
  2. 土地が相続のときから譲渡のときまで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていなかったこと。

譲渡の要件

  1. 譲渡価額が1億円以下であること。
  2. 家屋を譲渡する場合、その譲渡時において、その家屋が現行の耐震基準に適合するものであること。

従来、相続した物件では3,000万円特別控除は使えませんでした。しかしながら、上記の要件を満たす相続空き家に限っては、3,000万円特別控除が適用できるようになりました。

3-3. 相続空き家は取り壊し売却がお勧め

相続空き家で建物を取り壊さないまま空き家を売る場合、3,000万円の特別控除を受けるには注意が必要です。

相続空き家の要件として、以下のものがありました。

家屋の要件の一つ

 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること。

一方で譲渡の要件にも以下のようなものがありました。

譲渡の要件の一つ

 家屋を譲渡する場合、その譲渡時において、その家屋が現行の耐震基準に適合するものであること。

この2つの要件は矛盾しています。実は、わざと矛盾させているという点がポイントです。

現行の新耐震基準とは、昭和56年6月1日以降に確認申請を取って建築したものになります。昭和56年5月31日以前に建築された家屋は、多くの場合、現行の耐震基準を満たしていません。

そのため、相続空き家で建物を取り壊さずに3,000万円特別控除を適用させようとすると、耐震リフォームをしてから売却しなければいけないことになります

但し、昭和56年5月31日以前に建築された家屋は、全て現行の耐震基準を満たしていないわけではありません。頑丈に建てられた建物であれば、現行の耐震基準を満たしている場合もあります。

相続空き家で建物を取り壊さずに売却する場合は、耐震診断を行って耐震基準を満たしているかどうかを確認することが第一歩になります。建物を取り壊さずに3,000万円の特別控除を適用させようとすると、多くの場合、耐震リフォームをしてから売却することになります。

耐震診断や耐震リフォームを行うのは、とても面倒です。空家法は空き家を無くすことを目的としているため、3,000万円特別控除も、リフォームすることより空き家を取り壊すことが選択されやすいように誘導しているのです。

したがって、相続空き家の売却では、建物は取壊して売却することをお勧めします

3-4. 相続税の納付期限は10ヶ月

相続空き家を売却する際は、もう一つ考えるべき点があります。それは売却のタイミングです。
相続税を支払わなければならない場合、相続税の納付期限は「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月」以内となります。

相続税を払う納税資金がない場合には、10ヶ月以内に相続空き家は売却し、納税資金を確保することが有効です。相続空き家の売却は、相続税を払う人にとって納税対策になります。尚、相続税を納税する必要があるかどうかは、被相続人の財産が基礎控除額以上の場合に限ります。

相続税の基礎控除額は、「3,000万円+法定相続人の数×6,00万円」です。
例えば、相続人が子供2人だけの場合、被相続人が4,200万円以上の相続財産を持っていれば、4,200万円を超えた分に対して相続税が課税されます。

3-5. 遺産分割でも売却のメリットはある

相続税を納税する必要はなくても、相続そのものは全ての人に発生します。相続税を支払わなくて良い人たちであっても、相続では遺産分割の問題が発生します。

相続の発生時点においては、相続財産は相続人の共有となります。相続人が2人の場合、相続空き家も2人の共有となります。例えば、被相続人が現金で1,000万円を現金で遺した場合、2人の相続人で500万円ずつ分けることが可能です。

一方で、被相続人が1,000万円相当の空き家を遺した場合、売却して現金化しない限り、2人で分けることはできません。

不動産は現金よりも相続税評価額を低くできる性質があるため、節税対策としては有効です。しかしながら、分けにくいという性質も持っているため、分割対策としては有効ではありません。

そのため、相続は資産の評価額の低い不動産の状態で行い、分割は相続後に売却して現金で行うのが、一番自然な流れです

相続空き家の売却は、相続税を払う人の納税対策となるメリットだけではありません。相続税を払わない人にとっても、分割対策となるメリットもあります。

相続空き家の売却を検討することは、全ての人にとって十分に意味のあることなのです。

4. 家を売却したときの税金の基礎知識

査定額の根拠を確認しましょう!

この章では、家を売却したときの税金について詳しくご紹介します。

4-1. 譲渡所得の計算方法

個人所得は、譲渡所得、不動産所得、事業所得、山林所得、給与所得、退職所得、利子所得、配当所得、一時所得、雑所得の10種類があります。このうち、不動産を売却したときに発生する所得は、譲渡所得になります。

譲渡所得が発生すると、所得税がかかります。但し、譲渡所得は常に発生する訳ではありません。譲渡所得は、売却額ではなく、「売却益のようなもの」と思ってください。

譲渡所得とは、以下の計算式で表されるものになります。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用

譲渡価額とは売却額のことを指します。取得費とは、購入した価格と言いたいところですが、厳密には購入額ではありません。

取得費は、建物については減価償却後の価額となります。減価償却とは、建物の取得原価を建物の法定耐用年数に渡り、計画的・規則的に費用配分する会計上の手続きです。

減価償却を行うと、建物価格は毎年、減価償却費の分だけ目減りします。そのため、取得費は購入当初の建物価格ではなく、減価償却後の建物価格です。築年数が古ければ、相当に目減りしています。尚、土地については減価償却がありません。

また、取得費には購入当時の仲介手数料や、購入当時に支払った立退料、購入時の売買契約書に貼付した印紙代、不動産取得税、登録免許税等も含むことができます。

よって、取得費とは、必ずしも購入額とは一致しません。さらに、譲渡費用とは売却に要した費用であり、売却時の仲介手数料や売却時の売買手数料に貼付した印紙代、建物の取壊し費用等が含まれます。

このように、譲渡所得を計算する上では、譲渡費用の他に、購入額とは一致しない取得費もあるため、譲渡所得は「売却益」ではなく、「売却益のようなもの」と表現した方が正しいです。

そこで再度、譲渡所得の計算式を見てみます。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用

ここで、問題となるのが取得費です。相続空き家の場合、家は親もしくは祖父等が購入したものである場合が多く、当時の購入額がいくらだったのか分からないという問題が良くあります。取得費が不明の場合には、「概算取得費」というものを用いて計算することが認められています。

概算取得費は、譲渡価額の5%で計算されます。例えば、3,000万円で相続空き家が売却された場合、150万円が取得費という計算になります。仮に、売却したときの譲渡費用が仲介手数料の96万円のみだったとします。すると、この場合、譲渡所得は以下のように計算されます。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用
     = 3,000万円 - 150万円 - 96万円
     = 2,754万円

この場合、2,754万円もの譲渡所得が発生し、この譲渡所得に対して税金がかかることになります。冷静に考えてみると、3,000万円で売却できる空き家の取得費が、たった150万円しかないというのは少し不合理な気がします。

従来、相続空き家を売却しようとすると、上述のような計算をしていました。特に、取得費の分からない人にとっては、わざわざ税金を払うために売却するようなものでした。譲渡所得の発生は、相続空き家の売却に大きな障害となっていたのです。

ところが、2016年4月1日から2019年12月31日までの間は、相続空き家の売却においても、3,000万円の特別控除が適用されるようになりました。そこで次に3,000万円の特別控除について解説します。

4-2. 3,000万円の特別控除

3,000万円の特別控除を適用すると、譲渡所得が以下のように計算されます。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円

これは、従来から居住用財産を売却する際は適用されていた制度となります。居住用財産とは、言い換えるとマイホームになります。アパートや賃貸マンションはマイホームではないため、居住用財産には該当しません。

居住用財産の正確な定義は以下のようになります。

居住用財産の定義

  1. 現に居住している家屋やその家屋と共に譲渡する敷地の譲渡の場合
  2. 転居してから3年後の12月31日までに、居住していた家屋やその家屋と共に譲渡するする敷地の譲渡の場合(この間に貸付や事業用に供していても適用となる)
  3. 災害などにより居住していた家屋が滅失した時は、災害のあった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、その敷地だけ譲渡する場合
  4. 転居後に家屋を取り壊した場合には、転居してから3年後の12月31日までか、取壊し後1年以内か、いずれか早い日までに譲渡する場合(取壊し後にその敷地を貸し付けたり、事業の用に供したりすると適用外となる)

従来、3,000万円の特別控除は居住用財産の売却に限られていましたが、2016年4月1日からは相続空き家も適用対象となり、範囲が拡大しています。

相続空き家に3,000万円の特別控除が適用されると、その効果はとても大きなものになります。ここで再度、譲渡価額が3,000万円、取得費が150万円、譲渡費用が96万円の例を考えます。

3,000万円の特別控除が適用されない場合、譲渡所得は以下のように計算されました。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用
     = 3,000万円 - 150万円 - 96万円
     = 2,754万円

一方で、3,000万円の特別控除が適用された場合、譲渡所得は以下のように計算されます。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円
     = 3,000万円 - 150万円 - 96万円 - 3,000万円
     = ▲246万円

3,000万円の特別控除を適用した結果、譲渡所得がマイナスとなった場合、不動産売却による所得税は発生しません。3,000万円の特別控除を適用しても、譲渡所得がプラスとなった場合には、不動産売却による所得税が発生することになります

郊外の一戸建ての規模を考えれば、3,000万円の特別控除を適用すると、ほとんどのケースで譲渡所得はマイナスとなります。相続空き家に3,000万円の特別控除が適用でき様になったことで、かなりの人が相続空き家を売却しやすくなったと考えられます。

一方で、3,000万円の特別控除を適用しても、都心部の物件や大型物件を持っている人たちであれば、譲渡所得がプラスとなるようなケースはありえます。

譲渡所得がプラスとなるような人たちには、所得税が発生します。では、譲渡所得が発生した場合の所得税は、どのように計算されるのか、次に税率について見ていきます。

4-3. 税率

所得税と聞くと、所得が大きくなれば税額も大きくなる累進課税を思い浮かべる人も多いと思います。ところが、譲渡所得が発生した場合の所得税は、累進課税とは別の税率を掛けることによって計算されます。

個人にとって不動産の売却は、滅多にないことです。そこに譲渡所得を累進課税に加えてしまうと、売却した年だけ所得税が一気に高額になってしまいます。これでは個人が不動産の売却をすることが困難になってしまうため、国としては譲渡所得を累進課税の対象とはしない方針を取っています。

そこで、譲渡所得の所得税は、別途、独立して税率を有しています。しかもその税率は所得の大きさではなく、不動産を保有している期間で異なります。

まず、譲渡所得に対する所得税率は、不動産の所有期間が(1)5年超か(2)5年以下かで変わることが原則です。5年超の場合を長期譲渡所得と呼び、5年以下の場合を短期譲渡所得と呼びます。それぞれの所得税および住民税の税率は以下の通りです。

  1. 長期譲渡所得:所得税率15%、住民税率5%、合計20%
  2. 短期譲渡所得:所得税率30%、住民税率9%、合計39%

短期譲渡所得の方が税率は高い理由としては、かつて、バブル時代に「土地転がし」と呼ばれる投機的取引が流行ったためです。投機的取引が増えると一般消費者が土地を購入しにくくなるため、投機的取引を防ぐ目的で短期の売買は税率を上げています。

税率に関しては、所有期間が長いほど投機的取引ではないと判断されるという考えが根底にあります。また、居住用財産の場合には、所有期間が10年を超えるとさらに税率が低くなるという「所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」というものもあります。

「所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」が適用されると、譲渡所得が6,000万円以下の部分に対しては、所得税率が10%、住民税率が4%、合計14%となります。但し、この特例は相続空き家を売却した場合には、適用できないため注意が必要です。

「所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」の適用要件は以下のようになります。

軽減税率の適用要件

  1. 現に自分が住んでいる住宅
  2. 以前に自分が住んでいた住宅で、自分が住まなくなった日から3年後の12月31日までに譲渡したもの
  3. 上記1や2の住宅およびその家屋とともに譲渡された敷地
  4. 災害によって滅失した①の住宅の敷地で、その住宅が滅失しなかったならば、その年の1月1日における所有期間が10年を超えている住宅の敷地

このように、「所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」は、あくまでも「自分が住んでいた住宅」に適用される特例です。

相続空き家の3,000万円特別控除は、「被相続人が住んでいたこと」が条件となっています。つまり、相続空き家を売却する場合、たとえ被相続人の所有期間が10年超であったとしても、適用される税率は、「長期譲渡所得」の20%ということになります。

自分で住んでいたマイホームであれば、「3,000万円の特別控除」と「10年超の軽減税率の特例は併用すること」ができますが、相続空き家の売却では、「3,000万円の特別控除」と「10年超の軽減税率の特例は併用できない」という点が注意点です。

5. 空き家を売却したときの税制優遇と注意点

相続空き家は安易に有効活用をしてはいけないという点が注意点です。相続空き家で3,000万円特別控除を適用する上で、要件の中の注意すべき部分を再度確認します。

注意すべき要件

  1. 相続のときから譲渡のときまで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていなかったこと。
    ※家屋を取り壊した場合は以下の要件も必要
  2. 相続のときから取壊しのときまで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていなかったこと。
  3. 土地が相続のときから譲渡のときまで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていなかったこと。

相続空き家の3,000万円特別控除では、平たく言うと、「他人に貸すことを禁じている」ことになります。言い換えると、人に貸せるような空き家であれば、3,000万円特別控除を適用できる空き家として認めないと言っています。

相続で空き家を手に入れると、「何か人に貸して有効活用できないか」と考えがちです。実際、古い家屋をリノベーションして古民家カフェなどで成功している物件もあります。ところが、3,000万円特別控除の要件を考えると、一度でも他人に貸してしまうと要件から外れてしまうため、アウトです。

相続空き家で安易に有効活用を行うことには注意が必要です。賃貸業が上手くいかず、後から売却しようとした場合、多額の税金も払わなければならないという結末にもなりかねません。

相続空き家を有効活用することは、3,000万円特別控除の権利を放棄することでもあります。有効活用を検討するにあたっては、必ず「売却と有効活用」の両方を十分に検討した上で、判断するようにして下さい。

では次に空き家売却に要する費用について見ていきます。

6. 空き家売却に要する費用

相続空き家の売却では、通常の売却費用の他に、ゴミ処分費用と取壊し費用が発生します。相続空き家では、遺品を整理する必要があります。取り壊さない場合はもちろん、取壊しを行う場合でも、不要なゴミは事前に撤去しなければなりません。

通常、解体業者は、ゴミの収集運搬撤去までは行いません。建物の取り壊しは、ゴミのない完全なる空き家の状態からスタートすることが通常です。ゴミ処分費用は、通常の家であれば10万円前後の費用がかかります。ゴミ屋敷レベルであれば、20~30万円程度です。

尚、相続空き家の場合、遺品の中でも捨てられない遺品というものもあります。例えば、故人が遺した絵などの創作品もその一つです。故人の魂のこもった作品であれば、捨てるのには忍びなく、一方で売却しようにも売れず、引き取り手もいないというものもあります。

このように、捨てるに捨てられないものに関しては、相続人同士で誰が保管するのか決めておく必要があります。意外と相続人同士で、揉める部分ですので、捨てられない遺品はどうするか、早めに決めておきましょう。

取壊し費用に関しては、木造の場合、坪単価で4~5万円が一つの目安です。延床面積が25坪であれば、100万円~125万円程度かかります。但し、解体費用は、解体しにくい立地の物件の場合、高くなる傾向があります。

例えば、物件が住宅地の奥まったような場所にあるようなケースで、ガードマンを2人以上配置しなければいけないようなときは、解体費用が高くなったりすることがあります。

解体費用は、敷地が広く、重機も入りやすいような土地ほど安く、解体作業が困難な物件ほど高くなります。解体する場合は、事前に解体業者に見積を取ることが重要です。

相続の場合、解体費用についても、誰が拠出するのか、決めておくことが必要となります。

まとめ

いかがでしたか?空き家の売却前に知っておきたい税制優遇や効果的に売る方法について見てきました。

空き家の売却の最大のメリットは「維持費がかからなくなる」ということでした。特に、相続空き家の売却は、納税対策にも分割対策にもなるというメリットがあります。

相続空き家は3,000万円特別控除の適用対象となったことにより、売却しやすくなりました。

空き家を売却する方法には、取り壊さずに売る方法と取り壊してから売る方法の2通りがあり、取り壊しをすべきかどうかの判断が必要です。

空き家の売却を検討する際は、HOME4Uで複数の不動産会社に査定を依頼し、各社からプロの意見を聞いて、最良の選択をすることをおススメします。

HOME4Uを上手く活用しながら、ぜひ空き家の売却を成功させてください。

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