不動産評価額は5つある!それぞれの調べ方と目的別の参考になる評価額を紹介

不動産評価額は5つある!それぞれの調べ方と目的別の参考になる評価額を紹介

所有している不動産の評価額がいくらになるのか、また、どのように調べればよいのかと疑問に思う方も多いでしょう。不動産の評価額は税金売却価格に大きく影響するため、正しく理解しておくことが重要です。

そこでこの記事では、不動産評価額の種類や調べ方、目的別に参考になる評価額について詳しく解説します。

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1.不動産の評価額とは?

不動産の評価額とは、不動産に関する税金の計算や売却価格を決める際の基準となる価格のことです。土地や建物の状態、立地、周辺環境などの要素を総合的に考慮して決定されます。

例えば、同じ広さの土地でも、都心部にあるか郊外にあるかで評価額は大きく異なります。また、建物の新旧、周辺のインフラや公共施設の充実度なども評価額に影響を与えます。

このように、不動産の評価額はさまざまな要因によって決まるのです。

2.固定資産税評価額は固定資産税の基準になる

固定資産税評価額とは、固定資産税を計算する際の基準とするために、不動産の価値を評価した金額です。ここでは、固定資産税評価額の調べ方や、固定資産税の計算方法を解説します。

評価額の調べ方については以下の記事でも解説しています。ぜひご覧ください。

2-1.【図解】固定資産税評価額の調べ方

固定資産税評価額の調べ方には、以下の3つがあります。

通知書の確認

毎年4~5月ごろに送付される固定資産税の納税通知書に同封されている課税明細書に評価額が記載されています。なお、納税通知書が届くのを待たなくても、4月1日以降であれば、市町村の役所(東京23区は都税事務所)に行って固定資産税評価額を直接確認することもできます。

役所に問い合わせる

固定資産評価証明書を市町村役場(東京23区は都税事務所)で取得することも可能です。基本的に本人でないと取得できませんが、委任状があれば家族や不動産会社の担当者といった代理人でも取得が可能です。委任状の書式は市町村などによって異なることがあるため、事前に役所に確認して準備することが大切です。

「全国地価マップ」の確認

一般財団法人資産評価システム研究センターが公開している「全国地価マップ」を利用すると、該当する不動産の評価額を検索できます。地図上で物件の所在地を指定するだけで評価額が表示されるため、手軽に利用できる方法だと言えるでしょう。

以下では、「全国地価マップ」を使って評価額を調べる方法について画像と共に詳しく説明します。

全国地価マップ1

出典:“全国地価マップ”. 一般財団法人資産評価システム研究センター. (参照2024-09-03)

まず、全国地価マップのウェブサイトにアクセスし、「固定資産税路線価等」を選択します。

固定資産税路線価等

出典:“全国地価マップ”. 一般財団法人資産評価システム研究センター. (参照2024-09-03)

すると日本地図が表示されるため、調べたい不動産がある都道府県をクリックし、さらに市区町村を選択します。

市区町村を選択
拡大

出典:“全国地価マップ”. 一般財団法人資産評価システム研究センター. (参照2024-09-03)

土地や建物の前を通る道路に沿って数字が記載されていることがわかります。この数字が「固定資産税路線価」と呼ばれるもので、1平米あたりの評価額(円/平米)を示しています。

固定資産税評価額は、この固定資産税路線価を基に算出されます。路線価にその土地の面積を掛け合わせることで、土地全体の評価額を求めることができるのです。

例えば、画像の中の赤色の円で囲った土地の路線価は159万円/平米です。仮に土地の面積を150平米とする場合、固定資産税評価額は159万円 × 150平米=2億3,850万円となります。

この方法を使えば、役所に行く手間をかけずに、自分で手軽に固定資産税評価額を把握することが可能です。また、インターネット環境さえあれば、どこからでもアクセスできるため、複数の不動産について一度に調べたい場合や、急ぎで評価額を知りたい場合にも便利です。

全国地価マップや各評価額の調べ方に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

2-2.固定資産税の計算方法

固定資産税は、不動産の所有者が毎年納付する税金で、次のような手順に基づいて算出されます。

固定資産税の計算方法

出典:“地方税制度.固定資産税の概要”. 総務省. (参照2024-09-03)

(1) 固定資産税評価額の確認

最初に、固定資産税を算出する基準となる評価額を確認します。この評価額は、各自治体が土地や建物の市場価値に基づいて算出を行います。評価額は、固定資産税の納税通知書に同封される課税明細書や、全国地価マップを使って確認することができます。

(2)課税標準額の算出

固定資産税評価額に基づいて「課税標準額」を算出します。土地の場合、住宅用地には「小規模住宅用地に対する特例」が適用され、200平米以下の部分については課税標準額が1/6に減額(200平米を超える部分は1/3に減額)されます。

この特例は全国で適用される法律に基づく措置ですが、条件によって適用されない場合もあるため、詳細はお住まいの自治体に確認することが大切です。

【計算例】
  • 土地の固定資産税評価額:1,000万円
  • 200平米以下の住宅用地
  • 課税標準額:1,000万円 × 1/6 = 約166.7万円

(3)税率の適用

課税標準額に対して固定資産税の標準税率1.4%を掛けることで、年間の固定資産税額を求めます。

【計算例】
  • 課税標準額:約166.7万円
  • 税率:1.4%
  • 年間固定資産税額:約166.7万円 × 1.4% = 約23,338円

(4)都市計画税の加算

一部の地域では、固定資産税に加えて「都市計画税」が課されます。これは、市街化区域内に土地および建物を所有している人に対して課税される税金です。

各自治体によって異なりますが、一般的には0.3%程度の税率が適用されます。都市計画税も同様に課税標準額に税率を掛けて算出します。

【計算例】
  • 課税標準額:約166.7万円
  • 都市計画税率:0.3%
  • 都市計画税:約166.7万円 × 0.3% = 約5,001円

(5)最終税額の確認

最後に固定資産税と都市計画税を合算することで、年間で支払うべき税額が確定します。

【最終計算例】
  • 年間固定資産税額:約23,338円
  • 都市計画税:約5,001円
  • 合計:約28,339円

固定資産税は、固定資産税評価額から課税標準額を求め、その課税標準額に税率を適用して計算します。具体的な計算を行うことで、年間でどれくらいの税金が発生するのかを事前に把握し、納税の準備をすることが重要です。

また、特例措置や減額制度の対象に当てはまる場合は、積極的に活用して負担を軽減することも検討しましょう。

3.そのほか4つの不動産評価額の調べ方

不動産の評価額を知るためには、固定資産税評価額を利用する方法以外にも、さまざまな方法があります。ここでは、固定資産税評価額以外の4つの評価額の調べ方を解説します。

3-1.公示地価

公示地価とは、土地取引の際の目安となる価格のことです。売買する土地の価値や資産の評価をする際に使われます。

公示地価は「地価公示法」に基づいて、国土交通省が全国各地について定めています。具体的には、全国で主要な場所(これを「標準地」といいます)を選び、土地の価格を調査します。

1つの標準地ごとに2人以上の不動産鑑定士が調査を行い、専門的な判断によって土地の価格を評価します。その後、これらの評価額を基に、国土交通省が正式な公示地価として1月1日時点の1平米あたりの価格を発表します。

公示地価については以下の記事でも解説しています。ぜひご覧ください。

3-2.基準地価

基準地価とは、都道府県が毎年9下旬ごろに発表する、土地の価格の目安です。公示地価が住宅地や商業地の土地価格を評価したものであるのに対し、基準地価は幅広いエリア(工業地や林地なども含む)での土地価格を把握するために活用されています。

その年の7月1日時点の価格として発表され、公示地価(1月1日時点での算出)が発表されたあとの市場動向を反映しています。そのため、基準地価は公示地価の補完的な役割も担います。

3-3.路線価

路線価とは、土地の相続税評価額を算出するための1平米あたりの単価を指します。路線価には「相続税路線価」と「固定資産税路線価」の2種類がありますが、一般的に「路線価」といわれる場合は、相続税路線価を指すことがほとんどです。

相続税路線価

相続税路線価は、国税庁が毎年1月1日時点で設定し、7月初旬ごろに公表する土地の評価額です。主に、相続税や贈与税を計算する際の基準となります。

土地の面積に相続税路線価を掛けることで、その土地の評価額が決まり、相続税額が算出されます。

固定資産税路線価

固定資産税路線価は各自治体が設定する土地の評価額で、固定資産税・都市計画税・不動産取得税・登録免許税の算出根拠として使用されます。毎年1月1日を基準日とし、3〜4月ごろに公表されます。

固定資産税路線価は、公示価格の70%程度に設定されることが多いです。

路線価について、詳しくは以下の記事でも解説しています。ぜひご覧ください。

3-4.実勢価格

実勢価格とは、実際に不動産が売買された価格のことです。公示地価や路線価は目安ですが、実勢価格は実際に取引された価格のため、需要と供給が一致しやすい「現実的な価格」と言えます。

ただし、土地の特徴や売主の事情(売り急いでいる場合は低くなる)によって、適正価格よりも高くなることもあれば、低くなることもある点は押さえておく必要があります。

実勢価格は、不動産会社に問い合わせたり、不動産情報サイトで調べたりすれば、すぐに確認することができます。実勢価格を知っておくことで、不動産を売却する際に適切な価格設定を行う助けとなるでしょう。

4.【目的別】参考になる評価額

不動産は、目的によって参考にすべき評価額が異なります。ここでは、不動産を売却する場合・相続する場合・財産分与を行う場合の3つのパターンについて、それぞれの目的に合った評価額について詳しく解説します。

4-1.不動産を売却する場合

不動産を売却する場合に最も参考になる評価額は、実勢価格です。

実勢価格は、実際に取引が成立した価格であり、条件の近い不動産が現在の市場でどの程度の金額で売買されているかを示しています。そのため、売却時には実勢価格が適正な価格設定の目安となるのです。

例えば、同じエリア内にあるマンションでも、築年数や立地条件によって実勢価格は異なります。新築マンションと築20年のマンションでは、当然、大きな価格差が出るでしょう。

不動産情報サイトや、不動産会社が提供する査定サービスを活用して実勢価格を確認し、それを基に売却価格を設定することをおすすめします。

4-2.不動産を相続する場合

不動産を相続する場合は、相続税路線価が参考になります。

相続税路線価は、相続税や贈与税を計算する際の基準となる評価額です。土地の相続にあたっては、この相続税路線価に基づいて税額が算出されています。例えば、相続税路線価が10万円/平米で、相続する土地が100平米の場合、評価額は1,000万円となります。

また、相続税の申告期限は相続開始後(被相続人の死亡を知った日の翌日)10か月以内であるため、早めに路線価を確認し、必要な手続きを進めることが重要です。

4-3.財産分与を行う場合

財産分与を行う場合に参考となるのが、公示地価や実勢価格です。

財産分与では、公平な分割が求められるため、実際の市場価値や標準的な土地の価格を基に評価額を決定することが重要です。財産分与における不動産の評価額の決定は、当事者同士で合意することも可能ですが、正確で公平な評価を行うために、専門家である不動産会社に査定を依頼することをおすすめします。

例えば、離婚による財産分与を行う場合、夫婦で所有していた不動産の価値を公平に分割するために、公示地価や実勢価格を参考にします。また、家庭裁判所の調停や裁判でも、これらの評価額が基準となるケースが多いです。不動産会社に査定を依頼して、実勢価格を把握することも有効でしょう。

公示地価や実勢価格を基にして不動産の価値を適切に評価することで、トラブルを防ぎ、円滑な財産分与を実現できます。

5.不動産評価額は売却価格とは異なる

不動産の評価額は、売却価格とは異なるケースが多いと言えます。

不動産の評価額は、公示地価や路線価、実勢価格などによって決まりますが、実際の売却価格は市場の動きや購入希望者の要望によって大きく変わることがあるのです。

例えば、土地の評価額が1,000万円だとしても、その価格での購入希望者が現れなければ値下げする必要があるかもしれません。反対に、人気のあるエリアに位置していれば評価額以上の価格で売れることもあるでしょう。

評価額はあくまで目安として考え、適正な売却価格を知るには不動産会社に査定を依頼するのがおすすめです。

不動産をスムーズに売却したいなら、不動産一括査定サイト「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」を利用して、複数の不動産会社による査定を受けてみましょう。

複数の査定結果を比較することで、適正な売却価格をより詳しく把握することができます。

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まとめ

不動産の評価額を理解することは、資産管理や売却の計画に欠かせません。不動産評価額の基本的な調べ方や、固定資産税評価額の計算方法を把握しておくようにしましょう。

さらに、公示地価や路線価など、複数の評価額があることや、それぞれの調べ方も知っておくことで、目的に応じた適切な判断が可能になります。

ただし、評価額は必ずしも売却価格と一致するわけではありません。適切な売却価格を知りたい場合は、不動産会社に査定を依頼することが大切です。

これらの知識を基に、不動産を売却する際の参考にしてみましょう。