
マンションを売却するときには、様々な税金がかかります。
中古マンション市場は上昇傾向が続いているので、高く売れたらますます税金が心配になってしまいますよね。
最も注意したいのは、利益が出たときにかかる「所得税」と「住民税」です。
利益に対して課税される税率は、所有期間が5年以下で約39%、5年超なら約20%。
買ったときよりも大幅に高く売れた場合には、所得税等は高額になる場合があります。
とは言っても、マイホームとして暮らしていた居住用マンションを売るときは、多額の税金がかかるケースは少ないので安心してください。
なぜかというと、マイホームの場合は3,000万円までの利益が非課税になる特例制度があるからです。
この他に、マンションの売却では、利益が出なくても印紙税などがかかりますが、こちらは数万円以下になることがほとんどです。
この記事では、「利益に課税される所得税・住民税」と「利益が出なくても課税される税金」、そして「節税する方法」についてわかりやすく解説していきます。
節税できる制度をしっかり活用して、売却で手元に残るお金を最大化しましょう。
- 「マンションを売りたいけど、どうしたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
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Contents
1.マンションの売却で発生する税金
マンションの売却で発生する税金には、「利益が出たときに課税されるもの=所得税・住民税」と、「利益が出なくても課税されるもの=印紙税・登録免許税」があります。
それぞれ詳しくみていきましょう。
税金の名称 | どんなとき課税される? | 支払いの時期は? |
---|---|---|
譲渡所得税・住民税 ・復興特別所得税 |
利益が出たとき ※ただしマイホームを売ったときは「3,000万円の特別控除」という制度があるので非課税になることが多い |
売却の翌年 |
印紙税 | 売買契約書に貼り付けるので、必ず必要 | 売買契約のとき |
登録免許税 | 住宅ローンを借りていたとき | 引渡し前 |
1-1.「譲渡所得税・住民税・復興特別所得税」は非課税にできる可能性がある
マンションの売却で最も注目したいのが、利益が出たときに課税される「譲渡所得税・住民税・復興特別所得税」です。
譲渡所得とは、不動産を売って得た利益のことです。
大きな利益が出れば、それだけ高い税金が課税されますが、マイホームなら一定の要件を満たせば利益のうち3,000万円まで非課税です。
昨今の不動産市場では、売却益が3,000万円を超えることは少ないので、一般的なマイホームなら税金の心配は少ないです。
「3,000万円の特別控除」の適用要件については2章で詳しく解説し、「譲渡所得税・住民税・復興特別所得税」の具体的な計算方法を3章、それぞれの詳しい内容は6章で解説します。
1-2.「印紙税」と「登録免許税」は売却時に支払う
「印紙税」と「登録免許税」は利益が出なくても発生する税金です。
でも、「印紙税」や「登録免許税」は比較的少額ですし、不動産会社が支払金額や支払いのタイミングを教えてくれるので、それほど負担に感じないはずです。
「印紙税」は売買契約書に印紙を貼り付けて納税する税金で、売買代金に応じて決まっています。
例えば売買代金が1千万円超5千万円以下の場合なら、印紙税は1万円です。
印紙税の一覧
(※2020年(令和2年)3月31日までに作成されるものは表の右側の軽減税率が適用されます)
契約金額 | 本則税額 | 軽減税額 |
---|---|---|
10万円を超え 50万円以下のもの | 400円 | 200円 |
50万円を超え 100万円以下のもの | 1千円 | 500円 |
100万円を超え 500万円以下のもの | 2千円 | 1千円 |
500万円を超え 1千万円以下のもの | 1万円 | 5千円 |
1千万円を超え 5千万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5千万円を超え 1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え 5億円以下のもの | 10万円 | 6万円 |
5億円を超え 10億円以下のもの | 20万円 | 16万円 |
10億円を超え 50億円以下のもの | 40万円 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |
国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」
「登録免許税」は住宅ローンを借りていた場合に、金融機関が設定している抵当権の抹消登記をするために必要となります。
抵当権抹消登記の登録免許税は、土地1筆・建物1棟あたり1,000円なので、マンション1部屋なら数千円以下になることがほとんどです。
1-3.不動産投資家でなければ消費税増税の影響は軽微
2019年10月に消費税が増税となりましたが、個人のマンション売却では売買代金そのものに消費税がかからないので、あまり影響がありません。
仲介手数料や司法書士の報酬などには消費税がかかりますが、増税の影響は小さいです。
例えば売買代金が2,000万円の場合の仲介手数料の上限は66万円(2,000万円×3%+6万円)ですので、消費税10%で税額は66,000円です。
なお、不動産投資家などで課税事業者の人が投資用マンションを売却した場合には、建物価格に消費税がかかります。
課税事業者かどうかは、2年前の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかで判断します。
税金以外に売却時にかかる諸費用については、下記の記事もぜひ参考にしてください。
2.最初にチェック!「3,000万円の特別控除」が使えるか?
マンションの売却で利益が出そうな人は、まず、「3,000万円の特別控除」が使えるかどうかチェックしましょう。
「3,000万円の特別控除」は、マイホームを売却した人のための制度です。
マイホームは生活の基盤となる大切な資産なので、手放した人の負担を減らすように配慮されています。
その内容は、利益のうち3,000万円まで「譲渡所得税・住民税・復興特別所得税」が非課税になるというもの。
もしも利益が4,000万円なら、差額の1,000万円に対して課税されます。
ただし、不動産バブルの時代とは違って、昨今では3,000万円を超える利益が出るのはレアケースです。
この制度さえ使えれば、譲渡所得税等をゼロにできる可能性がかなり高くなります。
2-1.「3,000万円の特別控除」の適用要件
「3,000万円の特別控除」の主な要件は、次のとおりです。
- 自分が住んでいる家を売ること(別荘や投資用でないこと)。
- 以前に住んでいた家の場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
- 売った年の前年及び前々年にこの特例を使っていないこと。
- 売った年、その前年及び前々年にマイホームの買換えや交換の特例を使っていないこと。
- 売却した相手が親子や夫婦などの特別な関係の人でないこと。
詳しくは国税庁ホームページをご覧ください。
国税庁「マイホームを売ったときの特例」
2-2.「3,000万円の特別控除」は確定申告が必要
「3,000万円の特別控除」を使うには、マンションを売却した翌年の2月16日頃から3月15日までに確定申告が必要です。
利益が3,000万円以下で、要件を満たしていても、自動的に非課税になるわけではないことにご注意ください。
マンションの売却で利益が出たら、「3,000万円の特別控除」を使う場合も使わない場合も、確定申告が必要です。
3.「譲渡所得税、住民税、復興特別所得税」の計算方法
それでは、「譲渡所得税・住民税・復興特別所得税」を具体的に計算してみましょう。
なるべく専門用語を減らしてご説明します。
計算式は次のとおりです(わかりやすくするため、一部簡略化しています)。
- 「3,000万円の特別控除」を使わないなら、
(売った値段-(買った値段-減価償却費※1)-諸費用※2)×税率 - 「3,000万円の特別控除」が使えるなら、
(売った値段-(買った値段-減価償却費※1)-諸費用※2-3,000万円)× 税率
計算で使用する税率は次のとおりです。
所有期間※3 | 譲渡所得税・住民税の税率 (復興特別所得税を含む) |
---|---|
5年以下(短期譲渡所得) | 39.63% |
5年超(長期譲渡所得) | 20.315% |
10年超のマイホーム※4 | 14.21%(利益のうち6,000万円まで) 20.315%(利益のうち6,000万円超の部分) |
※1 減価償却とは、建物を使用したり時間が経過することによって、価値が少しずつ減っていくという考え方です。
マンションを買ったときよりも現在の価値は減っているはずなので、それを考慮して計算することになります。
マイホームとして利用していたマンションの減価償却費は、次の式で計算します(鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造の場合)。
参考:国税庁「建物の取得費の計算」
減価償却については、以下の記事で詳しく説明していますので、参考にしてくださいね。
※2 「諸費用」は、マンションを売ったときと買ったときの費用を計上します。
仲介手数料、印紙税、登録免許税、司法書士報酬など。
※3 所有期間は、マンションを売った年の1月1日時点で数えるのでご注意ください。所有期間が5年を超えるかどうかで税率が大きく変わります。
また、所有期間は引渡し日で考えるのが原則ですが、契約日を採用できるケースもあるので、判断に迷う場合は税務署に相談してください。
相続したマンションの場合は、相続発生日ではなく、亡くなった人が取得した日から数えます。
※4 「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」が使える場合の税率です。
この特例を適用するためには一定の要件を満たす必要があります。
参考:国税庁「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」
計算例1
売却価格:4,500万円
取得価格:4,000万円(このうち建物価格は2,500万円)
諸費用:300万円(売却時と購入時の合計)
所有期間:8年
構造:鉄筋コンクリート
用途はマイホームだが、「3,000万円の特別控除」を使わないものとする。
減価償却費
=建物の取得価格×0.9×0.015×経過年数
=2,500万円×0.9×0.015×8年=270万円
譲渡所得税・住民税(「復興特別所得税」含む)
=(売った値段-(買った値段-減価償却費)-諸費用)×20.315%
=(4,500万円-(4,000万円-270万円)-300万円)×20.315%
=約95万円
計算例2
上記の例で、「3,000万円の特別控除」が使える場合
譲渡所得税・住民税(「復興特別所得税」含む)
=(売った値段-(買った値段-減価償却費)-諸費用-3,000万円)
=(4,500万円-(4,000万円-270万円)-300万円-3,000万円)≦0
となるので、譲渡所得税・住民税・復興特別所得税は0円
4.購入価格がわからない人は要注意
次に、購入時の契約書などの書類を紛失していて、購入代金がわからない場合をみていきましょう。
購入代金が不明な場合には、売却代金の5%で買ったとみなして「取得費」を計算します。
例えば4,000万円で売れたら、4,000万円×5%=200万円で取得したとみなします。
このように5%ルールで計算すると、利益がたくさん出てしまって、結果的に課税額が大きくなりがちです。
ただし、売却代金が「3,000万円+諸費用」以下で、「3,000万円の特別控除」が使えれば、5%ルールで計算しても非課税になります。
計算例
売却価格:4,000万円
取得価格:不明
諸費用:130万円
「3,000万円の特別控除」が使えるケース
取得費=4,000万円×5%=200万円
譲渡所得税・住民税(「復興特別所得税」含む)
=(売った値段-買った値段-諸費用-3,000万円)×税率
=(4,000万円-200万円-130万円-3,000万円)×税率
=670万円×税率
※税率は所有期間が5年以下39.63%、5年超20.315%、10年超14.21%
5.税金で損をしないために注意したい5つのこと
マンション売却の税金で損をしないためには、次の5つにご注意ください。
- 購入代金がわかる書類を探しておくこと
- 売却損が出たときには特例の利用を検討すること
- 「3,000万円の特別控除」と「住宅ローン控除」は原則的に併用できないこと
- 売却のタイミングは慎重に判断すること
- 税金の専門家と不動産会社の両方に相談しながら売却を進めること
それぞれ詳しくみていきましょう。
5-1.購入代金がわかる書類を探しておくこと
取得費を売却代金の5%として計算すると、利益が大きく出てしまって、課税額が大きくなってしまうケースが多いです。
そのため、余計な税金を払わないようにするためには、マンション購入時の書類を探すことが大切です。
相続したマンションの場合には、亡くなった人がマンションを購入した価格で計算します。
相続の場合には特に、どうしても購入時の書類が見つからないケースがあります。
売買契約書でなくても、預金通帳の写しなど、購入代金が客観的に確認できるような資料があれば認められる可能性もあるので、証拠書類を集めて税務署に相談してみてください。
5-2.売却損が出たときには特例の利用を検討すること
マンションを売却して損失が出たときにも、税金の優遇制度があります。
損失が出たときに特例が使えるのは2つのケースです。
これらの制度の要件にあてはまれば、給与所得などに課税された税金が還付されます。
- マイホームの買換えで売却損が出たケース
「マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」 - 住宅ローンが残っているマイホームを売却して損失が出たケース
「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」
損失が出たときには確定申告は義務ではありませんが、要件に当てはまる場合にはぜひ利用しましょう。
5-3.「3,000万円の特別控除」と「住宅ローン控除」は原則的に併用できないこと
「3,000万円の特別控除」はとても有利な制度ですが、マンションを売却して買い替える場合にはご注意ください。
マンションの売却時に「3,000万円の特別控除」を利用すると、※2年以内に購入する新居について「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」が利用できなくなります。
※2年以内とは
新居に入居した年、その前年又は前々年に、「3,000万円の特別控除」を受けた場合には、「住宅ローン控除」の適用を受けることはできません。
新居に入居した年の翌年又は翌々年中に、「住宅ローン控除」の対象となる資産以外の資産を譲渡して「3,000万円の特別控除」の適用を受ける場合にも、「住宅ローン控除」の適用を受けることはできません。
参考:国税庁「マイホームを売ったときの特例」
このため、「3,000万円の特別控除」と「住宅ローン控除」のどちらを使ったほうが有利なのか検討することが必要です。
マンションの売却益が少額ならば、「3,000万円の特別控除」は使わずに、購入した新居に「住宅ローン控除」を使ったほうがトクになる可能性があります。
どうしても両方使いたい場合には、
- 売却時に「3,000万円の特別控除」を使って、賃貸住宅に3年以上住んでから「住宅ローン控除」を使って新居を購入する
- 「住宅ローン控除」を使って先に新居を購入し、3年目の年初から年末までの間に旧宅を売却するといった工夫が必要になります。
5-4.売却のタイミングは慎重に判断すること
売却のタイミングによっては、有利な特例などが受けられなくなってしまうことがあります。
まずは不動産会社に売却査定を依頼し、利益が出そうなのかどうか確認した上で、税金対策を考えることが大切です。
もう住んでいない場合は3年以内に売る!
「3,000万円の特別控除」はマイホームを売却した人に配慮する制度なので、先に新居を見つけて引っ越した人は注意が必要です。
住まなくなってから3年を経過する日の属する年の年末までに売ることが要件の1つになっています。
相続税を支払った場合は3年10ヶ月以内に売る!
相続したマンションで相続税を支払った場合には、「取得費加算の特例」により、相続税額を経費に計上できます。
この特例を使うには、相続開始日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過するまでに売却する必要があります。
参考:国税庁「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
所有期間が5年を超えると税率が下がる
マンションの売却で「所得税・住民税」が課税される場合には、所有期間が5年を超えるかどうかに注意を払ってください。
逆に言うと、売却損が出る場合や、3,000万円の特別控除を使って非課税になるケースなら、5年を気にする必要はありません。
所有期間が5年以下と5年超では税率が倍近く変わりますので、あと少しで5年になる場合には、売却のタイミングをずらすのも一つの作戦です。
ただし、現在の中古マンション市場は非常に好調で、いつ下がってもおかしくないと言われているので、高値で売れるうちに利益確定してしまうのもよいでしょう。
5-5.税金の専門家と不動産会社の両方に相談しながら売却を進めること
ここまで、税金について様々な注意点を見てきましたが、迷ったら誰に相談すればいいのでしょうか?
不動産仲介の担当者であれば「3,000万円の特別控除」などの基本的な知識は持っているはずです。
そこで、不動産会社に一般論として税金に関する質問をするのは問題ありません。
ただし、法律上、「この制度とこの制度はどちらを利用するのがトクか」といった具体的なケースについてのアドバイスは税理士や税務署しかできないことになっています。
具体的な税務相談をしたい場合には、不動産会社と提携している税理士に相談するか、税務署等に相談する必要があります。
大切なのは、税金をなるべく抑えて、最終的に手元に残るお金を最大化することです。
場合によっては、100万円節税するよりも、100万円高く売るほうが簡単かもしれません。
マンションは売り方しだいで売却価格が大きく変わりますので、そのエリアのマンション市場に精通し、税金についての基礎知識も持っている不動産会社を見つけて売却の戦略を相談することが大切です。
税金の専門家と不動産会社の両方に相談しながら売却を進めましょう。
力のある不動産会社の見付け方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
6.マンション売却の際に使える特例・控除
マンションの売却にかかる税金には、特例や控除などの減税措置があります。それぞれの内容や適用要件などについて詳しく見ていきましょう。
なお、これらの特例を受けるためには、確定申告が必要です。
6-1.居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
マンションや戸建て、土地などの不動産売却で得たお金を「譲渡所得」といいますが、この譲渡所得から最高3,000万円が控除される特例があります。
ちなみに、譲渡所得は以下の計算式で出すことができます。
6-1-1.適用要件
- 実際に住んでいたマイホーム(居住用財産)であること(居住3年以内の物件)
- 売った年の前々年までに「3,000万円の特別控除」または「損益通算及び繰越控除の特例(6-3.譲渡損失の損益通算・繰越控除で説明)」「マイホームの買換えやマイホームの交換の特例」を受けていないこと
- 公共事業などの「収用の特例」を受けていないこと
- 売る相手が血族関係者や内縁関係、関連の深い法人などではないこと
細かな条件については、「国税庁ホームページ 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」でご確認ください。
6-2.特定の居住用財産の買換えの特例
マンションを売却して利益が出たときに使える特例です。
買い換えた新居を、将来さらに譲渡するときまで譲渡益に対する課税を繰り延べることができます。
6-2-1.適用要件
- 10年以上所有者として住んでいる国内の居住用財産(退去3年以内)であること
- 売った年の前々年までに「3,000万円の特別控除」「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」「損益通算及び繰越控除の特例」を受けていないこと
- 公共事業などの「収用の特例」を受けていないこと
- 売却代金が1億円以下
- 3年以内に買い替え、現居の床面積が50平方メートル以上で、新居の土地の面積が500平方メートル以下であること
- 売る相手が血族関係者や内縁関係、関連の深い法人などではないこと
- 新居が耐火建築物以外の中古住宅の場合、取得の日以前25年以内に建築されたものであるか、一定の耐震基準を満していること
詳しい条件については、「国税庁のホームページ 特定の居住用財産の買換えの特例」でご確認ください。
6-3.マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
マイホームの買い替えで損益が出てしまった場合に、その譲渡損失を所得から控除(損益通算)できる特例です。
また、損益通算しても損失がある場合、翌年以降3年ないに繰り越す(繰越控除)ことができます。
6-3-1.適用要件
- 令和3年12月31日までに売却して、新たにマイホーム(新居宅)を購入した場合に、旧居宅の譲渡による損失(譲渡損失)が生じたとき
- 実際に住んでいた国内のマイホーム(退去3年以内)の譲渡であること
- 譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年以上であること
- 新居が国内であり、家屋の床面積が50平方メートル以上であること
- 新居の住宅ローンが10年以上であること
適用を除外される要件もありますので、詳しくは「国税庁のホームページ マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」で確認してください。
6-4.特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
住宅ローンが残っているマンションを売却して損益が出た場合に、住宅ローンの残高から売却価格(譲渡価格)を差し引いた残りを3年間繰越控除できる特例です。
こちらは新しくマイホームを買わない場合でも利用可能です。
6-4-1.適用要件
- 令和3年12月31日までに住宅ローンのあるマイホームを住宅ローンの残高を下回る価額で売却して損失(譲渡損失)が生じたとき
- 実際に住んでいた国内のマイホーム(退去3年以内)の譲渡であること
- 譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年以上であること
- 住宅ローンが10年以上の残高があること
適用を除外される要件もありますので、詳しくは「国税庁のホームページ 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」で確認してください。
まとめ
それではおさらいです。
マンションの売却で発生する税金のうち、最も注意したいのは利益が出るときに課税される「譲渡所得税・住民税・復興特別所得税」です。
「印紙税」や「登録免許税」は比較的少額なので心配ありません。
マンションを売却して利益が出そうな場合は、「3,000万円の特別控除」が使えるかどうか、初めにチェックしましょう。
この制度が使えれば、利益のうち3,000万円まで「譲渡所得税・住民税・復興特別所得税」が非課税になります。
「譲渡所得税・住民税・復興特別所得税」の計算式は、次のとおりです。
「3,000万円の特別控除」を使わないなら、
(売った値段-(買った値段-減価償却費)-諸費用)×税率
「3,000万円の特別控除」が使えるなら、
(売った値段-(買った値段-減価償却費)-諸費用-3,000万円)×税率
税率は、所有期間が5年以下なら39.63%、5年超なら20.315%、10年超のマイホームで「軽減税率の特例」が使えるなら14.21%です。
税金で損をしないために注意したい点は次の5つでした。
- 購入代金がわかる書類を探しておくこと
- 売却損が出たときには特例の利用を検討すること
- 「3,000万円の特別控除」と「住宅ローン控除」は原則的に併用できないこと
- 売却のタイミングは慎重に判断すること
- 税金の専門家と不動産会社の両方に相談しながら売却を進めること
大切なのは、節税と高値売却により、最終的に手元に残るお金を最大にすることです。
税金の専門家と、頼れる不動産会社の両方に相談しながら、マンション売却を成功させましょう。
(20201/09/22追記:本記事の掲載内容は、公開日時点での情報です。消費税増税に伴い、一部の表記を修正いたしました。)
マンション売却を成功させたい方は、ぜひ下記の記事も参考にしてください。
この記事のポイント まとめ
売却の翌年にかかる税金
- 譲渡所得税
- 住民税
- 復興特別所得税
売買契約・引き渡し時にかかる税金
- 印紙税
- 登録免許税
- 消費税(仲介手数料や司法書士に依頼した場合にかかる)
控除により非課税になる場合もありますので、詳しくは「1.マンションの売却で発生する税金」を参照ください。
マンションを売却するなら、まずは税金が大きく控除される3,000万円の特別控除の適用要件を満たしているか確認するとよいでしょう。
主な適用要件
- 自分が住んでいる家を売ること
- 以前に住んでいた家の場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 売った年の前年及び前々年にこの特例を使っていないこと
- 売った年、その前年及び前々年にマイホームの買換えや交換の特例を使っていないこと
- 売却した相手が親子や夫婦などの特別な関係の人でないこと
詳細については、「2.最初にチェック!「3,000万円の特別控除」が使えるか?」または「6.マンション売却の際に使える特例・控除」でご確認ください。
簡易的な計算式は以下の通りです。
- 「3,000万円の特別控除」を使わない場合
-
(売った値段-(買った値段-減価償却費)-諸費用)×税率
- 「3,000万円の特別控除」が使う場合
-
(売った値段-(買った値段-減価償却費)-諸費用-3,000万円)× 税率
詳しくは「3.「譲渡所得税住民税、復興特別所得税」の計算方法」をご覧ください。
また、購入価格が不明な人の場合、税率を5%で計算します。ただし、この場合は注意点がありますので、詳しくは「4.購入価格がわからない人は要注意」をご覧ください。
マンション売却にかかる税金で損をしないためには、5つの注意点があります。
- 購入代金がわかる書類を探しておくこと
- 売却損が出たときには特例の利用を検討すること
- 「3,000万円の特別控除」と「住宅ローン控除」は原則的に併用できないこと
- 売却のタイミングは慎重に判断すること
- 税金の専門家と不動産会社の両方に相談しながら売却を進めること
詳しくは「5.税金で損をしないために注意したい5つのこと」をご覧ください。
マンション売却では、以下のような特例があります。
- 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
- 特定の居住用財産の買換えの特例
- マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
- 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
それぞれの詳しい内容は「6.マンション売却の際に使える特例・控除」をご覧ください。
マンション売却にかかる税金は特例を使うと非常に節税できますので、この記事をぜひ参考にして、損のないマンション売却を行ってくださいね。