長期間にわたって家が売れないと、ストレスを感じてしまうものです。うまく売却につなげるためには、何が原因なのかを知り、適切な対応を行っていく必要があります。
また、無理に売却を急いでしまうと思いがけない失敗をする可能性もあるので、注意しておきましょう。
この記事では、家を売るときに気をつけたいポイントと、売却につなげるための方法を詳しく紹介します。
- 家が売れない原因
- 家が売れないときの対策方法
- 家を売るコツ
Contents
1.そもそも家が売れない原因は?
家の売却を進めたいと思っても、なかなか買い主が現れないと焦りやストレスを感じるものです。まずは、どうして売れないのかの原因を探るところから始めてみましょう。
家が売れない原因はさまざまありますが、大きな原因を挙げると次の3つに当てはまる場合が多いと言えます。
- 売り出し価格が適切でない
- 物件状況に難点がある
- 不動産会社が売却活動に熱心でない
これらの3つの原因について、さらに詳しく解説します。
1-1.売り出し価格が適切でない
家が売れない原因として、「売り出し価格が適切でない」という点が挙げられます。家の購入を検討している方にとって、相場よりも何となく高いと感じた場合、購入候補から除外してしまうでしょう。
物件に魅力がないから売れないのではなく、物件が持っている価値と価格に釣り合いが保てていないため、なかなか買い主が見つからないということです。売り出し価格は不動産会社の担当者と話し合って決めるものですが、提示されている売り出し価格が適切なものであるかを自分でも確かめてみましょう。
例えば、国土交通省が情報提供している「土地総合情報システム」やREINS(不動産流通機構)の「レインズ・マーケット・インフォメーション」を利用すれば、誰でも手軽に相場を調べられます。不動産会社が行う査定とは異なり、自宅の価値を直接確かめることはできませんが、近隣エリアで実際に行われた取引価格を知ることができるので、大まかな相場を把握することに役立つはずです。
サービス名 | 概要 |
---|---|
土地総合情報システム |
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レインズ・マーケット・インフォメーション |
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土地の相場を知りたいときは「土地総合情報システム」、一戸建てやマンションの売却を考えるときは「レインズ・マーケット・インフォメーション」を使ってみると良いでしょう。自分でも相場をある程度把握したうえで、不動産会社の担当者と売り出し価格を見直してみることが必要だと言えます。
1-2.物件状況に難点がある
売り出し価格に問題がないにもかかわらず、思うように買い主が現れないときは、「物件状況に難点がある」ことが考えられます。例えば、再建築が行えないような旗竿地の場合であれば、周辺の相場よりも価格を下げなければ買い主が見つからないこともあるでしょう。
不動産のニーズを考えるときには、物件の価格だけではなく、物件の状況についても押さえておく必要があります。不動産の購入を考える方は、基本的に住みやすい場所を求めていますので、交通アクセスが悪かったり、買い物に不便さを感じてしまったりする立地であれば敬遠されがちです。
しかし、立地条件や周辺環境、各種規制(高さ制限等)は売り主自身がどうにかできるものではないため、粘り強く売却活動を進めていくことを心がけましょう。売りづらい物件でも熱心に対応してくれる不動産会社を選ぶことも重要です。
1-3.不動産会社が売却活動に熱心でない
不動産会社選びに失敗をすれば、「不動産会社が売却活動に熱心でない」ことが原因で買い主が見つからないこともあります。きちんと物件の状況を把握したうえで、売り主の立場に立って売却活動を進めてくれる会社を選んでみましょう。
不動産会社の熱意が低下する原因の1つとして、物件価格が低い不動産だと仲介手数料が低くなるといった点が挙げられます。仲介手数料は宅建業法によって、以下のように上限額が定められています。
取引額 | 仲介手数料 |
---|---|
200万円以下の金額 | (取引額の5%以内)+消費税 |
200万円以上400万円以下の金額 | (取引額の4%以内)+消費税 |
400万円を超える金額 | (取引額の3%以内)+消費税 |
仲介手数料は物件の取引額に応じて増減するため、不動産会社としては物件価格ができるだけ高い物件を取り扱いたいと考えるはずです。そのため、あまり需要の多くない物件については、敬遠しやすいという部分があるでしょう。
しかし、取引額が400万円以下の物件の場合、宅建業法で定められた範囲よりも仲介手数料を上乗せできる制度が設けられているので、物件価格が低いからといって一概に不熱心になるというわけではありません。
不動産会社の対応に何らかの問題があるときは、思いきって不動産会社そのものを変えてみるのも1つの選択肢だと言えるでしょう。
2.ストレスを感じるほど家が売れない場合の対応策
家が売れずにストレスを抱えてしまうときは、家を売りやすい環境を整えていくことが重要です。主だった方法としては、具体的に以下の7つのやり方が挙げられるでしょう。
- 売り出し価格を下げる
- 売却活動の見直しを図る
- 一部をリフォームする
- 瑕疵担保保険を付ける
- ホームインスペクションを行う
- 媒介契約を変更する
- 不動産会社を変更する
それぞれの対応策について、さらに詳しく解説します。
2-1.売り出し価格を下げる
前述のとおり、物件の売り出し価格が適正なものでなければ、思うように買い主を見つけることができません。不動産会社の担当者からアドバイスを受けると同時に、自分でも相場を調べてみることが大切です。
そのうえで、どの程度の金額までなら下げることを許容できるのかを考えてみましょう。売却することだけを目的とするならば、購入希望者に割安な物件と思ってもらえる範囲まで、売り出し価格を下げてみるのも良いでしょう。
物件の売却は一般的に、4~6ヶ月程度がかかりますが、ある程度の期間が経過しても売れないときには売り出し価格を見直していくことが必要です。
2-2.売却活動の見直しを図る
物件の売却活動そのものは、仲介業務を依頼した不動産会社が行いますが、売り主自身も積極的に関わっていくことが大切です。担当者が提案してくる内容で、売却がスムーズに進むのかを精査してみましょう。
不動産会社によって、得意とする分野や成約実績は異なるので、複数の会社から提案を受けてみることも重要だと言えます。同じ物件であっても、売却活動の進め方次第で反応が変わってくる部分もあるので工夫が必要な部分もあるのです。
また、担当者があまり熱心に提案をしてくれない場合は、他の担当者に変更してもらうことも必要です。担当者の力量によって、物件が売却できるかどうかが決まってくる部分もあります。
2-3.一部をリフォームする
建物の一部をリフォームすることで物件の価値を高め、売却しやすい流れを作っていくことも選択肢の1つとして考えられます。
ただし、気をつけておきたいのは、リフォームにかけた費用を売却価格にどれだけ上乗せできるのかを事前に把握しておく点です。
築年数の多い物件であれば、全面的なリフォームを考えることもあるでしょうが、数百万円を超える費用がかかる場合もあります。また、リフォームを行ったとしても、買い主のニーズに合っているかを事前に判断することは難しいので、どの部分をリフォームするか慎重に考える必要があるでしょう。
水回り設備のリフォームであれば、どのような購入者でも満足してもらえる可能性が高いので、費用対効果は大きいと言えます。不動産会社の担当者のアドバイスも参考にしながら、リフォームについても検討してみましょう。
2-4.瑕疵担保保険を付ける
中古住宅の売却を進める場合、買い主の立場からすれば「建物に不具合がないか心配」といった部分があります。そうした買い主の不安を取り除くためにも、瑕疵担保保険に加入することを検討してみましょう。
瑕疵担保保険とは、中古住宅に何か不具合があった場合に、検査と保証を行ってくれる保険です。新築住宅の場合であれば品確法という法律によって、物件の引き渡しから10年間は住宅に不具合があったときの保証があります。
しかし、中古住宅は品確法の対象ではないため、瑕疵に対する責任については売買契約書の内容によるものとされています。そのため、瑕疵担保保険に加入しておくことで、買い主に安心して購入してもらえる状況を整えてみましょう。
ただし、瑕疵担保保険に加入するには、建物の耐震基準を満たしておく必要があります。1981年(昭和56年)以前に建てられた建物の場合、現在の耐震基準を満たしていないことがあるので、耐震診断を受けた上で必要に応じて耐震補強工事を行う必要があるでしょう。
自治体によっては、住宅の耐震化のための補助金制度を設けていることもあるので、まずは住まいのある自治体の制度をよく確認しておくことが大切です。
2-5.ホームインスペクションを行う
ホームインスペクション(住宅診断)とは、建築士などの専門家が住宅状況を検査してくれる仕組みです。長く住み続けている家の場合、売り主自身もどのような不具合があるのかを把握していないことがあるので、売却する際に不安なときはホームインスペクションを受けてみると良いでしょう。
物件の広さや建物の状況によりますが、検査にかかる費用は数万円程度なので、比較的手軽に行えます。ホームインスペクションを行ったうえで、見つかった不具合を売買契約書に盛り込んでおけば、売却後に発生しがちなトラブルを未然に防ぐことができます。
2020年(令和2年)4月の民法改正に伴い、「契約不適合責任」という仕組みが設けられました。これは事前に売り主から説明されていない不具合が見つかったときに、買い主が修繕や返金、損害賠償を求められる権利であり、売り主にとってはリスク要因となるものです。
ホームインスペクションを実施しておけば、売り主・買い主の双方が納得したうえで不動産取引が行えるので、スムーズな売却活動を進めやすくなるでしょう。
2-6.媒介契約を変更する
不動産の売却は仲介業務を不動産会社に任せることで進めていくのが一般的です。不動産会社との間で交わす契約のことを媒介契約といい、主に3つの契約形態に分けられます。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
---|---|---|---|
複数の不動産会社との契約 | 〇 | × | × |
売り主が見つけた相手との取引 | 〇 | 〇 | × |
REINSへの登録義務 | 任意 | 7日以内 | 5日以内 |
売り主への業務報告 | 任意 | 14日ごとに1回以上 | 7日ごとに1回以上 |
媒介契約の有効期間 | 任意 | 最長3ヶ月 | 最長3ヶ月 |
3つの媒介契約にはそれぞれ特徴があるので、売却しようとする物件に合ったものを選ぶことが大切です。家がなかなか売れずにストレスを感じてしまっているときは、一般媒介契約よりも、専任媒介契約や専属専任媒介契約のほうが良いでしょう。
一般媒介契約のように複数の不動産会社と契約をすることはできませんが、熱心に売却活動を進めてもらえる可能性があります。また、これらの契約ではREINSへの登録義務や売り主への業務報告が義務付けられているため、売却活動を進めやすくなるはずです。
仮に一般媒介契約を結んでいて、思うように家が売れないときは、他の媒介契約への変更を検討してみましょう。一般媒介契約の場合であれば、いつでも解約が行えるので、売り主の要望に合わせて自由に契約を結ぶことができます。
2-7.不動産会社を変更する
家を売るためのさまざまな対応策を講じても、なかなか売却できないときは、不動産会社を思いきって変更してみるのも良いでしょう。担当者が熱心に売却活動を進めてくれなかったり、仲介業務を結ぶ不動産会社が不得意とする物件の売却を進めていたりするときは、時間ばかりが経過してストレスを感じやすくなります。
細かなことでも何でも質問でき、親身になって対応してくれる不動産会社を選ぶことが、家の売却を円滑に進めるには重要なことだと言えます。しかし、自分に合った不動産会社を見つけようとしても、1社ずつ個別に問い合わせを行っていては効率が悪い部分もあるでしょう。
不動産の一括査定サービスを活用すれば、家の査定を行ってもらうだけでなく、複数の会社を比較することができます。送られてくる査定結果には査定額だけでなく、売却活動に関する提案内容や類似した物件の取引事例などが記載されているはずです。
売却しようとする物件と同じような取引事例があれば、その不動産会社に仲介業務を依頼するほうが、結果としてスムーズに売却活動を進められるでしょう。
ここでは、不動産の一括査定サービスである不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)の基本的な特徴を紹介します。
不動産売却 HOME4Uは、2001年(平成13年)に開始した国内初の不動産一括査定サービスです。20年以上にわたり、累計で45万件以上の査定依頼の実績があります。
独自の審査基準で厳選した2,100社の優良企業を紹介しており、査定依頼時には最大6社まで選択できます。必要な情報の入力は最短1分で完了でき、初めて利用する方でも簡単に操作可能です。
また、不動産売却 HOME4Uは情報サービス事業で業界最大手のNTTデータグループが運営を行っています。長年にわたって培ってきたセキュリティ技術によって、個人情報の取り扱いなど安心して利用していただける環境を整えています。
家の売却を考えるときには、不動産売却 HOME4Uを活用して信頼できる不動産会社を見つけてみましょう。
3.家が売れないときにやってしまいがちなNG行為
家が長期間にわたって売れないと、気持ちが焦るあまりマイナスとなる行動をとってしまいがちです。短期的な視点で行動を起こしてしまえば、かえって売却活動に支障が出てしまうこともあるので注意が必要です。
家が売れないときに気をつけておきたいNG行為としては、次の3つが挙げられます。
売れないときに注意したい3つのNG行為
- 空き家のまま放置してしまう
- 賃貸として貸し出す
- フルリフォームをしてしまう
各NG行為について、ポイントを解説します。
3-1.空き家のまま放置してしまう
家が売れないからといって、空き家のまま放置してしまうことは避けましょう。誰も住んでいないからといって、物件を管理する責任がなくなるわけではなく、必要なメンテナンスは居住しているときと同様に行う必要があります。
長い間放置してしまえば、建物自体が損傷するだけでなく、近隣の住民にも被害をもたらす可能性があります。また、物件を所有し続ければ、毎年固定資産税などの税金も発生します。
今後も物件に住む予定がなければ、早めに売却活動を進めたほうがトータルでかかる費用を抑えることができるでしょう。
3-2.賃貸として貸し出す
売却することが難しいからといって、安易な気持ちで他人に貸すことは避けたほうが無難です。他人に貸し出せば、家賃収入が入ってくることが期待できるので、一見良さそうな対応策のように見えます。
しかし、賃貸借契約においては借り主の権利が守られている部分が大きいので、貸し主が不利になる状況が生まれやすいでしょう。また、建物に不具合があれば、その都度修繕費用なども発生します。
何より、物件を貸し出してから新たに買い主が見つかった場合であっても、借り主は借地借家法という法律で守られているため、すぐに退去してもらうことはできません。賃貸物件として貸し出すときには、慎重な判断が必要になる部分があるのです。
3-3.フルリフォームをしてしまう
物件の価値を少しでも高めてスムーズな売却につなげようとすること自体は悪くありませんが、フルリフォームを行うことは慎重に判断してみましょう。
物件の状況にもよりますが、フルリフォームを行う場合は新たに建て替えを行う場合と同じくらいの金額がかかることがあります。
また、せっかくフルリフォームを行ったとしても、売却価格にどれだけ反映させられるかは不透明な部分があるでしょう。リフォームに多額の費用をかけるのであれば、その分売却価格を値引くなどして対応したほうが、スムーズな売却に結びつくはずです。
4.家が売れないストレスを解消するなら買取も選択肢の1つ
さまざまな方法を試してみても、物件の売却が進まないときは「買取」を選択してみるのも良いでしょう。仲介と買取の違いを比較すると、以下のようになります。
家を売る方法 | 特徴 |
---|---|
仲介 | 不動産会社に買い主を探してもらう方法。相場に近い金額で売却できる可能性が高いと言える。 |
買取 | 不動産会社が家を買い取る方法。買い主を探さずに済むのでスピーディーな売却ができる一方で、相場よりも安い金額で売却する傾向がある。 |
上記のように、買取では不動産会社と契約条件や金額などで折り合いがつけば、すぐに買い取ってもらえます。買い主を見つける必要がないため、家を売却するまでにかかる時間を大幅に短縮できると言えるでしょう。
しかし、仲介と比較した場合、買取は相場よりも低い金額で売却することになるので注意が必要です。また、すべての物件を買い取ってくれるわけではありません。
物件の買取を検討する際は、早めに不動産会社に相談をしてみましょう。買取の有無や金額などを踏まえたうえで、納得できる形で売却できるのかを考えてみてください。
なお、築年数が経ったマンションを売却したい、すぐにでもマンションを売却したいという場合にも、買取は有効な手段です。お悩みの方は、ぜひ以下の記事も併せて参考にしてください。
まとめ
家が売れなくてストレスを感じてしまうときは、なぜ売れないのかの原因を深く探ることが大切です。原因に応じて、適切な対応策を施すことで、家の売却に道筋をつけていくことができるでしょう。
また、家を売却するための方法はさまざまあるので、1つの方法だけにこだわってしまわずに柔軟な視点でとらえていくことも大切です。売却活動に関する悩みは1人で考えるのではなく、不動産会社とよく相談をしながら進めていきましょう。
不動産の一括査定サービスを活用すれば、自分に合った不動産会社を見つけるきっかけをつかめます。複数の会社の中から、希望に沿った形で売却活動を進めてくれる会社を見つけてみてください。
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この記事のポイント まとめ
家が売れずにストレスを感じてしまう際の対応策は、次の7つです。
- 売り出し価格を下げる
- 売却活動の見直しを図る
- 一部をリフォームする
- 瑕疵担保保険を付ける
- ホームインスペクションを行う
- 媒介契約を変更する
- 不動産会社を変更する
詳しくは「2.ストレスを感じるほど家が売れない場合の対応策」をご覧ください。
家が売れない時にやってしまいがちなNG行為は、次の3つです。
- 空き家のまま放置してしまう
- 賃貸として貸し出す
- フルリフォームをしてしまう
詳しくは「3.家が売れないときにやってしまいがちなNG行為」をご覧ください。