固定資産税路線価や相続税路線価、公示価格、基準地価といった公的評価がわかる便利なサイトに全国地価マップがあります。
地図で表示されるため、簡単に知りたい評価額等を調べることができますが、専門用語が多く、また様々な情報を閲覧できるために、扱いを難しく感じる方も少なくありません。
この記事を通して、全国地価マップの正しい見方を確認し、知りたい情報を適切に調べられるようにしましょう。
路線価が表示されない地域は評価額の調べ方が異なりますので、該当する方に向けた他の調べ方まで解説しています。
- 相続税路線価の見方
- 固定資産税路線価の見方
- 地価公示・地価調査の見方
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Contents
1.全国地価マップでわかること
全国地価マップを使えば、公的評価を簡単に調べられます。
この章では、全国地価マップでわかる以下4つについて簡単に解説いたします。
- 相続税路線価
- 固定資産税路線価
- 地価公示・地価調査
1-1.相続税路線価
相続税路線価とは、土地の相続税評価額を求めるために前面道路に割り振られた土地の単価のことです。
相続税路線価は、「相続税」と「贈与税」の計算根拠に用いられる評価額になります。
発表は、国税庁から毎年7月初旬に行われます。
価格時点は、1月1日時点です。
1-2.固定資産税路線価
固定資産税路線価とは、土地の固定資産税評価額を求めるために前面道路に割り振られた土地の単価のことです。
固定資産税路線価は、「固定資産税」や「都市計画税」、「不動産取得税」、「登録免許税」の計算根拠に用いられる評価額になります。
発表は、市町村から3年に1度、4月に行われます。
価格時点は、基準年の1月1日時点です。
相続税路線価は国税庁のホームページ、地価公示や地価調査は国土交通省のホームページで調べることもできますが、固定資産税路線価は公的なサイトで他に調べられる手段がありません。
従来、固定資産税評価額は土地の所有者にしか公表されなかった情報でもあったため、固定資産税路線価がわかる全国地価マップは貴重な情報ソースです。
そのため、全国地価マップといえば固定資産税路線価を調べられるサイトともいうことができます。
1-3.地価公示・地価調査
地価公示とは、国が毎年行っている土地の評価のことです。都道府県地価調査(以下、地価調査と略)は、毎年都道府県が行っている土地調査になります。
地価公示の評価ポイントは標準地と呼ばれ、全国に約26,000地点が存在します。一方で、地価調査の評価ポイントは基準地と呼ばれ、全国に約21,000地点あります。
地価公示も地価調査も評価地点の土地単価であり、いずれも「点」の情報です。相続税路線価や固定資産税路線価が「線」の情報であるのに対し、公示地価や基準地価は「点」の情報である点が異なります。
そのため、全国地価マップで地価公示と地価調査の地図を開いても、その範囲内に標準地や基準地のポイントがなければ何も表示されません。地図上に何もなければ、少し移動したり、範囲を広げたりすると標準地や基準地が出てくる可能性があります。
公示地価も基準地価も表示されるのは土地の単価です。両者の価格水準は基本的に同じであり、時価に比較的近い価格とされています。
ただし、価格時点が地価公示は1月1日であり、地価調査は7月1日である点が異なる点です。土地の値動きを細かく知るために、わざと半年間ずらして調査を行っています。
また、相続税路線価と固定資産税路線価の価格時点も1月1日です。(固定資産税路線価は評価年の1月1日となります。)
相続税路線価と固定資産税路線価は、同じ価格時点の公示地価と連動しており、相続税路線価は公示地価の80%程度、固定資産税路線価は地価公示の70%程度の水準で評価されています。
全国地価マップでは、公示地価も基準地価も最新年を含めて4年間分を見ることができます。
2.相続税路線価の見方
相続税路線価には、次の2種類があります。
- 路線価地域
- 倍率地域
路線価地域とは、道路に路線価が割り振られている地域のことです。
倍率地域とは、道路には路線価が割り振られておらず、別途定められている倍率を用いて相続税評価額を求める地域になります。
つまり、全国地価マップの地図上では路線価地域なら路線価が表示されますが、倍率地域なら路線価は表示されないことになります。
全国地価マップで路線価が表示されない場所は、恐らく倍率地域であるものと思われます。路線価地域は都市部に多く、倍率地域は地方に多いです。
都市部の中でも、例えば市街化調整区域の場合には倍率地域となっていることもあります。市街化調整区域とは、市街化を抑制する地域のことであり、市街地に近い都市農村のことです。
路線価地域では、相続税路線価に土地面積を乗じることで更地の相続税評価額を求めることができます。
一方で、倍率地域では、土地の固定資産税評価額に倍率を乗じることで更地の相続税評価額が求められます。
2-1.相続税路線価の見方
路線価地域では、所在地を絞り込んでいくと、該当する地域の路線価図が表示されます。
対象地の前面道路に記載されている数字と記号が相続税路線価です。
出典:資産評価システムセンター.”全国地価マップ”.(参照2024-04-30)
相続税路線価は、「250D」のように数字と記号(アルファベット)で表現されています。
数字は、千円単位の土地単価です。
「250」であれば、「250,000円/平米」という意味になります。
記号(アルファベット)は、借地権割合です。
借地権割合とは、更地価格に対する借地権価格の割合を指します。例えば、更地価格が1億円となる土地で、借地権価格が6,000万円である場合は、借地権割合は60%です。
A~Gまでの記号には、それぞれ借地権割合が決まっておりAなら90%、Bなら80%、Cなら70%、Dなら60%、Eなら50%、Fなら40%、Gなら30%を意味します。借地権割合は、例えば賃貸物件が建っている土地(貸家建付地という)等の評価額を求める際に利用する数字です。
相続税路線価は、毎年更新される価格になります。全国地価マップでは、最新年を含めて4年間分の相続税路線価も見られるようになっており、地図上で過去の相続税路線価を簡単に比較することができるようになっています。
2-2.路線価が表示されない?評価倍率での見方
以下に、路線価地域と倍率地域の境目の場所の地図を示します。地図の下半分には路線価が表示されており、下側は路線価地域です。
上半分には路線価が表示されておらず、上側は倍率地域となります。
出典:資産評価システムセンター.”全国地価マップ”.(参照2024-04-30)
倍率地域では、対象地をクリックすると旗印が表示され、左側に「倍率表を開く(PDF)」というリンクが表示されます。
出典:資産評価システムセンター.”全国地価マップ”.(参照2024-04-30)
「倍率表を開く(PDF)」をクリックすると、倍率表のホームページが表示されます。該当する町名や地域、地目等から対象の土地の倍率を探します。
例えば、倍率が「1.1」であれば、固定資産税評価額を1.1倍すると相続税評価額になるということです。
出典:資産評価システムセンター.”全国地価マップ”.(参照2024-04-30)
3.固定資産税路線価の見方
固定資産税路線価の見方について解説します。
固定資産税路線価にも路線価地域と状況類似地域の2種類があります。
路線価地域とは道路に路線価が割り振られている地域であり、状況類似地域とは路線価が割り振られていない地域となります。
状況類似地域は、相続税路線価でいう倍率地域とほぼ同じような場所が指定されています。
状況類似地域では固定資産税路線価が割り振られていないため、固定資産税路線価が表示されない地域です。
全国地価マップで何も表示されない場合には、当該地域が状況類似地域である可能性が高いといえます。
3-1.固定資産税路線価の見方
路線価地域では、所在地を絞り込んでいくと、該当する地域の固定資産税路線価図が表示されます。
対象地の前面道路に記載されている数字が固定資産税路線価です。
出典:資産評価システムセンター.”全国地価マップ”.(参照2024-04-30)
固定資産税路線価は、「250000」のように数字で表現されています。数字は円単位の土地単価であり、「250000」であれば、「250,000円/平米」という意味です。
固定資産税路線価も、最新年を含めて4年間分を見ることができます。ただし、固定資産税路線価は、3年に1度しか評価が行われない価格です。そのため、固定資産税路線価は評価年から3年分は同じ価格が表示されることになります。
3-3.路線価が表示されない?状況類似地域での見方
状況類似地域の見方について解説します。
以下に、路線価地域と状況類似地域の境目の場所の地図を示します。地図の下半分には路線価が表示されており、下側は路線価地域です。
上半分には路線価が表示されておらず、上側は状況類似地域となります。状況類似地域は左側にある「状況類似地域(図)」をクリックすると状況類似地域がピンク色に表示されます。
出典:資産評価システムセンター.”全国地価マップ”.(参照2024-04-30)
状況類似地域は点線で囲まれた部分が同じ状況類似地域です。状況類似地域の中には、その地域を代表する土地単価を示す標準宅地が存在します。標準宅地をクリックすると、左側に標準宅地の単価が表示されます。
出典:資産評価システムセンター.”全国地価マップ”.(参照2024-04-30)
状況類似地域では、標準宅地の単価に面積を乗じることで、固定資産税評価額の概算額を計算することができます。
4.地価公示・地価調査の見方
地価公示・地価調査の見方について解説します。
地価公示・地価調査の地図では、公示価格が「黒の四角」、基準地価が「赤の三角」のマークで表示されます。
それぞれのポイントをクリックすると、左側に評価ポイントの内容が表示されます。
出典:資産評価システムセンター.”全国地価マップ”.(参照2024-04-30)
公示価格も基準地価も、「町名-1」のように町名に直接枝番が振られている地点は住宅地の価格を表します。
「町名5-1」のように「5-」となっている地点は商業地です。
「町名9-1」のように「9-」となっている地点は工業地を表します。
この記事のポイントまとめ
相続税路線価には路線価地域と倍率地域があります。
路線価地域であれば相続税路線価を見ることができますが、倍率地域では相続税路線価は表示されません。
詳しくは「2.相続税路線価の見方」をご覧ください。
固定資産税路線価には路線価地域と状況類似地域があります。
路線価地域であれば固定資産税路線価見ることができますが、状況類似地域では固定資産税路線価は表示されません。
詳しくは「3.固定資産税路線価の見方」をご覧ください。
公示地価は「四角」、基準地価は「三角」のマークで表示されます。
詳しくは「4.地価公示・地価調査の見方」をご覧ください。