滅失登記を申請する際に必要な書類を全解説!取得方法や申請を行う流れも

滅失登記を申請する際に必要な書類を全解説!取得方法や申請を行う流れも

建物が解体や火災・災害などで消失した場合にしなければならないのが、滅失登記です。

不動産については、取引の安全のため、土地・建物の情報や権利関係を誰でも知ることができる登記制度が設けられており、建物がなくなった場合、その事実を記録するよう義務付けられています。

本記事では、滅失登記の必要書類や申請の流れについてわかりやすく解説します。

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1.滅失登記の申請が必要なケース

老朽化した建物を解体して土地だけで売却する場合、あるいは相続した建物を解体して土地を活用する場合など、建物が現存しなくなった場合には滅失登記が必要となります。

不動産の登記制度では、取引の安全のため、土地・建物の面積や所有者などの情報を誰でも閲覧できるように公示されており、建物が現存しなくなれば、登記簿上の記録を閉鎖することになります。

滅失登記の義務を負っているのは建物の所有者であり、取り壊しの日から1か月以内に滅失登記を申請しなければ、10万円以下の過料に処せられる恐れがあります(不動産登記法第57条、第164条)。

滅失登記について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

2.滅失登記を申請する際に必要な書類

ここでは、自分で滅失登記を申請する際に必要となる以下の書類について、取得方法を含めて解説します。

2-1.登記申請書

登記申請書は、法務局の窓口あるいはホームページで入手できます。

登記申請書 見本
出典:“建物滅失登記申請書 記載例”. 法務局. 2024-03-29. (参照2024-08-06)

登記申請書の記載事項は次のとおりです。

  • 登記申請日
  • 申請人の住所・氏名・連絡先
  • 建物の情報(所在地・家屋番号・種類・構造・床面積)
  • 登記原因(取り壊しなど)とその日付

申請人の情報については、建物の登記事項証明書(登記簿謄本)の所有権に関する事項に記載されている現在の所有者の住所、氏名を記載します。

また、建物の情報についても、登記事項証明書(登記簿謄本)の表題部に記載されている内容を誤りのないように記載します。登記事項証明書(登記簿謄本)は、法務局の窓口で入手できるほか、郵送・オンラインでも取得できるため、登記事項証明書(登記簿謄本)の作成前にあらかじめ準備しておきましょう。

なお、不動産番号(※)を記載した場合は、建物の情報の記載を省略することができます。

※不動産番号とは、登記簿上、一筆の土地、一個の建物ごとに付けられた13桁の番号で、登記事項証明書に記載されています。

2-2.建物の配置図

取り壊した建物の場所や配置がわかる図面も必要となります。

建物図面や各階平面図があれば、該当の土地のどの場所に、どのような建物が建っていたかがわかります。1つの土地に複数の建物が建っている場合も考えられるため、法務局側が確認を行うために便利です。

また、必ずしも必要ありませんが、公図や住宅地図があれば、建物があった土地の特定が容易になります。これらがない場合には、インターネット上の地図情報を印刷し、該当箇所に印を付けたものでも代用できます。

2-3.建物取壊証明書

建物が取り壊されたことを証明する書類として、建物取壊証明書の提出が必要です。建物滅失証明書ともいい、取り壊しを行った事業者が作成・発行してくれます。

事業者によって、事前に発行する場合と解体工事完了後に発行する場合があり、なかには発行まで時間がかかる事業者もいるため、受け取れるタイミングをあらかじめ確認しておくとよいでしょう。

2-4.登記事項証明書(登記簿謄本)

事業者が法人の場合、建物取壊証明書の真実性を担保する書類として、事業者の登記事項証明書(登記簿謄本)が必要です。

登記事項証明書(登記簿謄本)とは、法人の商号や所在地、代表者氏名などが記載され、法人の存在を公的に証明する書類です。

登記事項証明書(登記簿謄本)は法務局で取得でき、窓口であれば即日、オンラインで請求し郵送で受け取る場合でも3日~1週間程度で受け取れます。ただし、通常は取り壊しを行った事業者から建物取壊証明書と併せて渡されます。

2-5.取り壊した会社の印鑑証明証

取り壊しを行った会社の印鑑証明書も必要です。

法人の印鑑証明書は、法人の所在地に関係なくどこの法務局でも取得できます。事業者が個人の場合は、住民登録地の市区町村で取得できる印鑑証明書を添付します。

通常は、法人の登記事項証明書(登記簿謄本)と同様に、印鑑証明書も取り壊しを行った事業者から提供されます。

なお、事業者が法人の場合、登記申請書に会社法人等番号を記載することで、登記事項証明書(登記簿謄本)や印鑑証明書の添付を省略することが可能です。

滅失登記の費用について詳しく知りたい方は、関連記事も併せてご覧ください。

2-6.状況に応じて必要な書類

その他、状況に応じて必要となる書類があります。

例えば、滅失登記の申請を自分では行わず、土地家屋調査士に依頼する場合、委任状が必要です。

建物の所在地から離れた場所に住んでいる、あるいは手続きに不安がある場合などは、費用はかかりますが土地家屋調査士への依頼を検討するとよいでしょう。

「不動産登記であれば司法書士に依頼するもの」と思われる方もいるかもしれませんが、司法書士が扱うのは、建物の「権利に関する登記」のみです。建物を新築した場合の表題登記や取り壊し後の滅失登記は、土地家屋調査士のみが請け負います。

また、建物の登記事項証明書(登記簿謄本)に記載されている所有者の住所と現在の住所が一致しない場合、登記上の住所から現在の住所までの異動を証明できる住民票の写し、あるいは、戸籍の附票の写しなどを申請書に添付する必要があります。

さらに、登記簿上の所有者が亡くなったあとに相続登記をしていない場合、所有者が亡くなったことを証明する書類や申請人が相続人であることを証明するために次の書類が必要です。

  • 亡くなった方の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)もしくは除籍全部事項証明書(除籍謄本)
  • 亡くなった方の住民票の除票もしくは戸籍の附票
  • 申請者の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)

3.滅失登記の申請を行う流れ

自分で滅失登記の申請をする場合の流れは次のとおりです。
滅失登記の申請を行う流れ

  1. 【書類準備】解体事業者から建物取壊証明書などを入手
  2. 【書類準備】登記事項証明書(登記簿謄本)や建物の配置図など必要書類を準備
  3. 【申請書作成】建物の登記事項証明書(登記簿謄本)を見ながら登記申請書に記入
  4. 【法務局申請】建物所在地を管轄する法務局に申請
  5. 【登記完了】登記完了証を受領

滅失登記の申請を行うためには、まず建物の解体を行った事業者から建物取壊証明書など必要書類を入手するとともに、建物の登記事項証明(登記簿謄本)や配置図を準備します。

それらを基に登記申請書に必要事項を記入し、建物の所在地を管轄する法務局に申請します。

滅失登記の申請は、窓口以外に郵送でも行えますが、不備があると申請期限を過ぎてしまう可能性があるため、窓口で確認しながら申請するほうが安心です。

登記完了後は、申請を行った法務局で登記完了証を受け取ります。各法務局の状況にもよりますが、申請から登記完了までは、通常1週間から10日程度かかります。

登記完了予定日は各法務局の窓口やホームページで確認できるため、あらかじめ把握しておくとよいでしょう。

なお、窓口で申請あるいは登記完了書を受け取る場合は、業務取扱時間内(平日午前9時から午後5時)に行かなければなりません。

いらない家の処分方法についてお悩みの方や、建物を取り壊さずに古家付きの土地の売却を検討している方は、以下の記事をご覧ください。

4.建物取壊証明書がない場合の対処法

滅失登記には建物取壊証明書が必要ですが、紛失してしまった場合や、過去に解体した際に証明書を受け取っておらず、依頼した事業者も不明といった場合もあるでしょう。

このような場合、建物取壊証明書の代わりに上申書を添付して申請することができます。

上申書には、建物の所在地や家屋番号、建物の種類、床面積、構造などの情報のほか、建物が取り壊されて存在しないことを明記します。

所有者が署名のうえ実印を捺印し、印鑑証明書を添付することで、建物取壊証明書がなくても申請を受け付けてもらえます。

5.相続した建物を解体する場合は相続登記は不要

不動産の相続が発生した場合、土地・建物の名義を亡くなった方から相続人に変更するための相続登記が必要です。相続登記の申請は、2024年(令和6年)4月1日から義務化されています。

ただし、相続した建物を解体し土地だけを売却する、あるいは解体後に土地を活用するという状況もあるでしょう。このような、相続する建物を取り壊す場合、相続登記を行う必要はありません。

つまり、相続した建物を取り壊す場合は、相続登記の手続きを経ることなく直接、滅失登記ができるのです。相続人が複数の場合、取り壊しには相続人全員の同意が必要ですが、滅失登記自体は相続人のうちの一人が単独で申請できます。

なお、建物を取り壊して土地を売却する場合、信頼できる不動産会社に依頼することが大切です。そこで、複数の不動産会社の査定を比較できる、不動産一括査定サイトの活用がおすすめです。

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まとめ

建物を解体した場合や火災・災害などで滅失した場合、所有者や建物を相続した相続人は、滅失登記をしなければなりません。

滅失登記の期限は建物が滅失した日から1か月以内であるため、短期間で申請手続きを進める必要があります。申請を怠ると過料に処せられるため、解体後は必要書類の準備を早めに進めることが大切です。

建物の所在地から遠方に住んでいる方や手続きが不安という方は、土地家屋調査士に依頼することをおすすめします。

申請に必要な書類の中には、解体を請け負った事業者が準備するものも多いため、解体工事のスケジュールだけでなく、解体後から必要書類受領までの日程をあらかじめ事業者に確認しておきましょう。