古家付き土地を売却する方法│更地で高く売るか?費用・税金を抑えるか?

古家付き土地を高値で売却したいけど「売れるか不安」と感じている方は多いのではないでしょうか。

古家付き土地は、解体費がかからず固定資産税も安価なため、費用を抑えられるというメリットがあります。

一方、自由な土地活用はしにくいため一定の買主から敬遠されるというデメリットもあります。そのため、早く高く売りたい場合は更地にすることも併せて検討しておき、柔軟に対応することが大切です。

この記事を読めばわかること
  • 古家付き土地で売却するメリット・デメリット
  • 【チャート診断】古家付き土地で売却すべき?ケース別対策
  • 古家付き土地の売却にかかる費用と税金

家売却の基礎知識を知りたい方は、「家を売る方法」「空き家を売却する方法は?」も併せてお読みください。

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1.古家付き土地とは「古い家を残した土地」

1.古家付き土地とは「古い家を残した土地」

古家付き土地とは、「古い家を残した状態の土地」のことを指します。

古家付き土地の「古家」とは、不動産取引において経済的に価値がない建物を意味します。

「古家付き土地」という名称は、居住が可能な中古住宅と「経済的価値がない物件が残った土地」を広告上で区別する目的で記載しており、販売する際は土地として売り出します。

「古家」の明確な基準はありませんが、木造住宅の法定耐用年数が22年と定められていることから、築22年以上が経過している木造住宅は「中古物件」ではなく、「古家」に分類される傾向があります。また、建物の劣化が激しく、取り壊す選択肢しかない場合の住宅なども古家と表現されます。

また、「古家付き土地」として表現することで、リノベーションを想定して安く購入したい層にターゲットを絞ってアピールすることが可能です。

2.古家付き土地の6つのメリット

2.古家付き土地の6つのメリット│費用や税金を抑えられる

古家付き土地で売却すると、費用や税金が抑えられるメリットが大きいため節約効果を期待できます。

理由は以下のとおりです。

できる限り費用をおさえて売りたい場合は、古家付き土地として売却することを検討しましょう。

2-1.建物の解体費用が不要

古家付き土地として売却すると、建物の解体費用は原則不要です。

古家付き土地は解体が前提となる物件が多いですが、解体にかかる費用は買主負担が基本です。木造住宅の解体費用の相場は坪単価4万円程度と言われており、延床面積が50坪の家であれば約200万円の解体費用がかかります。

そのため、古家付き土地のままで売却できれば費用を大幅に節約でき、売主の負担は最小限に抑えられます。

2-2.土地の固定資産税等を安く抑えられる

古家付き土地で売却すると、「住宅用地の軽減措置特例」を適用できるため、土地の固定資産税と都市計画税を安く抑えられます。

軽減措置特例が適用されると、固定資産税は最大1/6まで軽減され、都市計画税は最大1/3にまで引き下げられます。

対象となる土地 土地の内容 特例率│固定資産税 特例率│都市計画税
小規模住宅用地 住宅用地で住宅1戸につき200平米までの部分 固定資産税評価額×1/6 固定資産税評価額×1/3
一般住宅用地 小規模住宅用地以外の住宅用地 固定資産税評価額×1/3 固定資産税評価額×2/3

出典:東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)>【土地】2 住宅用地及びその特例措置について」

住んでいない古家でも、建物さえあれば固定資産税と都市計画税を抑えながら売却活動ができます。

2-3.建物を残すと「3,000万円特別控除」の適用期間が延長される

古家に居住していた場合、売却時の利益に対して発生する税金(譲渡所得税)から「3,000万円特別控除」の適用期間が3年に延長されます。

特例を受けるための要件は、以下のとおりです。

  • 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
  • その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。

出典:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」

つまり古家付き土地であれば、住まなくなった日から3年後の12月31日までに売却すれば、3,000万円特別控除を適用できます。

注意点としては、建物を解体すると適用期間が1年になることです。

建物を解体すると適用期間が1年になる

「家屋を取り壊した日から1年以内に譲渡契約の締結」という決まりがあるため、売主負担で解体される場合は、工事にかかる期間と契約締結が1年以内に完了するよう計画してください。

古家付き土地を売却して、購入時より大きな利益がでるケースは多くはありませんが、知識として覚えておくとよいでしょう。

2-4.相続した古家付き土地にも「3,000万円特別控除」が適用できる

相続した古家付き土地にも「3,000万円特別控除」が適用できます。

親などが住んでいた古家付き土地を相続した際に活用できる特例で、売却した利益にかかる税金(譲渡所得税)から、最大3,000万円まで控除が可能です。

相続されてから3年を経過する年の12月31日までに売却、かつ売却代金が1億円以下であるなどの条件を満たしていれば適用できます。

2-5.建築後をイメージしやすい

建物を残した状態であれば建築後をイメージしやすいため、売主・買主ともにメリットがあります。

また、日当たり状況や家からの見晴らしなど、実際に内見しながら説明できるので、土地の利点をよりアピールしやすくなります。買主が建て替えを検討する際にも、デザインを考えやすくなるでしょう。

2-6.住宅ローンを適用できる

古家付き土地であれば住宅ローンが適用できる可能性があります。

もし解体して更地にすると土地として扱われますので、家を建てる場合は「つなぎ融資」を利用することになります。

つなぎ融資は住宅ローンより金利が高かったり、家の完成が遅れると支払い利息が増えたりするので、家を建てたい買主にとっては古家付き土地を購入する方が費用面でのメリットが大きくなります。

3.古家付き土地のデメリット

3.古家付き土地のデメリット

古家付き土地のデメリットは、価格交渉を受けやすいため、売出し価格より実際の売却価格が下がる可能性が高いということです。また、解体がネックとなり売れにくくなるリスクもあります。

ここでは、古家付き土地のデメリットについて理解しておきましょう。

3-1.売却価格は下がる可能性がある

古家付き土地として売り出す場合、解体費用分もしくは修繕費用分を差し引いた価格にして欲しいと価格交渉され、売却価格が下がる可能性があります。

ただし、解体した方が手元に残る金額(手残り額・手取り額)が多くなるケースも十分にあります。「少しでも利益を確保したい」という方は、まずは金額をシミュレーションしてから判断することをおすすめします。

3-2.解体がネックで売れにくくなる

古家付き土地は、家の解体がネックとなり売れにくくなる可能性があります。

「2.古家付き土地で売却すると費用を抑えられるメリットが大きい」で解説したとおり、木造住宅の解体費用で坪単価4万円程度かかり、坪数が大きくなるほど費用負担も増えます。

また、「早く家を建てたい」「駐車場やトランクルームなどで土地活用をしたい」といった購入層の機会も逃してしまうことになります。

4.【チャート診断】古家付き土地で売却すべき?

4.【チャート診断】古家付き土地で売却すべき?

古家付き土地で売却すべきか判断する基準は、以下のとおりです。

  • 費用をおさえるなら「古家付き土地」
  • 早く高く売却したいなら「更地」
  • 建物の劣化が少なく利用価値があるなら「中古住宅」

それぞれの売却方法について、メリット・デメリットをおさえておきましょう。

4-1.費用をおさえるなら「古家付き土地」

建物の価値がなく、費用をおさえて売却したいなら「古家付き土地」で売却しましょう。

古家付き土地で売り出せば、解体費用はもちろん、固定資産税などの税金負担も抑えられますので、売主の負担をもっとも軽減できる方法と言えます。また、リノベーション需要を取り込むことができれば、より良い条件での売却も期待できます。

ただし、売却期間が長引く可能性もあるため、時間をかけて売却できる方に向いている方法です。

4-2.早く高く売却したいなら「更地」

なるべく早く高く売却したいなら「更地」にしてから売却することをおすすめします。

解体費用は売主負担ですが、購入後すぐに土地を活用でき用途が広がるため、古家付き土地よりも買い手は見つけやすくなります。例えば、駐車場やトランクルームなどで使用したいなどの層です。

さらに、買い手にとっては解体費用の負担が減る点も魅力です。ただし売却スピードは土地のニーズの高さに左右されるため、事前に不動産会社に相談してアドバイスをもらいましょう。

4-3.建物に利用価値があるなら「中古住宅」

建物の劣化がそれほど激しくなく、まだ利用価値があるなら「中古住宅」として売却しましょう。

古家付き土地や更地は土地のみの評価で金額が決まってしまうので、建物に価値がある場合は損をしてしまいます。

古民家やリノベーションの需要は増加傾向にあるため、築年数が経過していても立地や物件によっては良い条件で売却できる可能性はあります。

「古家付き土地として売るべきか」悩まれている場合は、まずは不動産会社の査定を受けてみることをおすすめします。

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5.古家付き土地の主な売却費用と内訳

5.古家付き土地の主な売却費用と内訳

古家付き土地の主な売却費用と内訳は、以下のとおりです。

項目 費用の目安
仲介手数料 売却価格×3%+6万円(+消費税)
解体費用 4万円程度~/坪(木造の場合)
測量費用 約50万円〜80万円(測量会社によって異なる)
登記・抵当権抹消費用 10万~15万円程度(登録免許税、抵当権抹消費用、司法書士への依頼報酬含む)

仲介手数料とは、売却が成立した際に不動産会社に支払う成功報酬のことです。売却価格に応じて一定の割合で費用がかかります。

解体費用を負担する場合は、木造で坪単価4万円程度が相場となっており、構造と坪数で費用は変動します。

測量費用は、売買に必要な測量図を所有していない場合にかかる費用です。測量図がないと、境界がわからず近隣とのトラブルや、正確な査定ができずに売却価格に影響が出る場合があるため準備しておきましょう。

登記・抵当権抹消費用には3種類の費用が含まれています。土地の所有権を移転する際にかかる「登録免許税」、土地に住宅ローン残債がある場合にかかる「抵当権抹消費用」、これら2つを司法書士に依頼した場合にかかる「司法書士への報酬」です。

6.古家付き土地の売却にかかる税金

6.古家付き土地の売却にかかる税金

古家付き土地の売却にかかる税金は、以下のとおりです。

項目 費用の目安
譲渡所得税 譲渡所得×所有年数に応じた税率
印刷税 5,000円~6万円程度(売却価格によって異なる)
固定資産税 売却した時点での固定資産税を日割りで清算

譲渡所得税は、土地売却で得た利益(譲渡所得)に対してかかる税金のことです。損失となった場合、支払う必要はありません。

譲渡所得は以下の計算式で算出できます。

譲渡所得=売却価格−(取得費+譲渡費用)

上記の計算式から特別控除適用額を差し引いて、課税譲渡所得を計算します。

課税譲渡所得=譲渡所得-特別控除

また、譲渡所得税は土地の所有期間によってかかる税率が異なります。

売却した1月1日時点での所有期間が5年以下の「短期譲渡所得」であれば39.63%5年以上の「長期譲渡所得」であれば20.315%の税率が課されます。

印紙税は、売買契約書を作成する際に発生する税金のことです。

印紙税の金額は、以下のように売却代金に応じて異なります。

印紙税
売却代金 本則税率 軽減税率
10万円を超え50万円以下 400円 200円
50万円を超え100万円以下 1千円 500円
100万円を超え500万円以下 2千円 1千円
500万円を超え1千万円以下 1万円 5千円
1千万円を超え5千万円以下 2万円 1万円
5千万円を超え1億円以下 6万円 3万円
1億円を超え5億円以下 10万円 6万円
5億円を超え10億円以下 20万円 16万円
10億円を超え50億円以下 40万円 32万円
50億円を超え 60万円 48万円

出典:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」

軽減税率とは、標準税率(本則税率)よりも低い税率を適用する措置のことで、令和6年3月31日までに作成された契約書であれば適用されます。

固定資産税は、土地などの「固有資産」を所有している場合にかかる税金です。毎年1月1日時点で所有している不動産に対してかかり、年途中で売却した場合は、
1月1日から売却した時点までの固定資産税を日割りで計算して支払います。

また、固定資産税とあわせて徴収される税金に都市計画税がありますが、都市部のエリアでない場合には課税されません。

7.古家付き土地を売却する場合の注意点

7.古家付き土地を売却する場合の注意点

古家付き土地を売却する場合の注意点は、以下のとおりです。

  • 契約不適合責任を免責できるか確認する
  • 境界線を明確にする
  • 古家にあるゴミは処分してから売却する

3つのポイントを把握して、古家付き土地をスムーズに売却しましょう。

7-1.契約不適合責任を免責できるか確認する

古家付き土地を売却する際は、契約不適合責任を免責できるか確認しておきましょう。

契約不適合責任とは、売買契約時に伝えていなかった雨漏りやシロアリ被害などの不具合が後から発覚した場合、売主が補修費用や損害賠償などの責任を負わなければいけない責任のことです。

古家付き土地の場合、建物に価値がないことを前提にしているため契約書に面積の特約が記載されるケースがほとんどです。ただし、リフォームなどで古家を再生利用したい買い手もいるため、念のため免責である旨を確認しておきましょう。

7-2.境界線を明確にする

土地を売却する際、売主には「境界明示義務」があるため境界線を明確にする必要があります。

境界線が明確でないと売却価格に影響が出たり、隣地との境界が曖昧で売却が長引いたりするなどのトラブルに発展するケースがあります。また、原則境界線が曖昧なままでは土地を売却できません。

境界確定測量は土地家屋調査士に依頼します。土地の境界を明確に定めた書類「確定測量図」を作成してもらうことで安心して売却ができます。

7-3.古家にあるゴミは処分してから売却する

古家にあるゴミは処分してから売却しましょう。

ゴミが残っているとゴミの処分費用が別途発生するためです。また、買主が解体を前提に古家付き土地を購入する場合も、ゴミを処分しておく必要があります。

解体時に発生するゴミは「産業廃棄物」、家の中にあるゴミは「一般廃棄物」と扱いが異なるため、家にゴミが残っている状態だと解体作業を行えない可能性があります。

まとめ

古家付き土地で売却するメリット・デメリット、かかる費用や税金などを解説しました。

古家付き土地のままであれば、建物の解体費用がかからなかったり、固定資産税などの税金の支払いを抑えられたりするメリットがあります。一方で売却価格が下がる可能性があり、買主が解体費用を負担するため購入までのハードルが高いなどのデメリットもあるため注意が必要です。古家付き土地を売却する際のポイントを把握すれば、自分の目的にあった納得できる売却につながるでしょう。

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