普通借地権と定期借地権の違いは?メリット・デメリットや売却時の注意点

普通借地権と定期借地権の違いは?メリット・デメリットや売却時の注意点

普通借地権と定期借地権の違いやメリット・デメリットについて把握しておくことが重要です。借地権付きの建物を売却する際に支障をきたす恐れがあります。

本記事では、普通借地権と定期借地権の特徴や、売却時の注意点を詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。

土地の相続についてお考えの方は、『土地相続の手続きの流れ!費用や税金を抑えられる特例、相続放棄の方法も』も併せてご覧ください。

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1.定期借地権と普通借地権の違い

定期借地権と普通借地権は、異なる特徴を持ちます。ここでは、以下の5つの違いを解説します。

  • 契約更新の可否
  • 書面契約の要否
  • 地代相場
  • 売買価値
  • 保証金の有無

それぞれを比較して、違いを知っておきましょう。

定期借地権、普通借地権について詳しくは、以下の記事でも解説しています。ぜひご覧ください。

1-1.契約更新の可否

契約更新の可否

定期借地権と普通借地権の大きな違いは、契約期間終了後の更新可否です。

定期借地権は、契約期間が終了すると原則として更新されません。一方、普通借地権は契約期間終了後も、借地人の請求や建物の継続使用により更新が可能です。

定期借地権は、事前に定めた期間だけ土地を使用する契約であり、契約終了後に土地を返還することを前提としています。例えば、20年間の定期借地契約で商業施設を建てる場合、契約満了後には施設を撤去し、土地を所有者に返すことが必要です。

一方、普通借地権では、契約期間終了後に借地人が更新を請求し、借地上の建物を利用している場合や、地主が正当な事由を示したうえで拒否しない限り、契約は更新されます。例えば、50年間の普通借地契約で住宅を建てた場合、期間満了時に借地人が更新を請求すれば、引き続きその土地の使用が可能です。

1-2.書面契約の要否

定期借地権と普通借地権では、書面契約の必要性にも違いがあります。

定期借地権は、必ず書面で契約を交わします。一方、普通借地権は口頭契約も認められますが、トラブル防止のために書面での契約がおすすめです。

定期借地権は契約終了後に更新がないため、双方の権利義務を明確にするために書面での契約が義務付けられています。例えば、定期借地権で土地を借りて建物を建てる場合、契約期間終了後に建物を撤去しなければならないことが書面で明示されます。

一方、普通借地権は口頭契約も可能ですが、口頭契約では契約内容の確認が困難であるため、後々のトラブルを避けるために書面契約がおすすめです。例えば、普通借地権で土地を借りて住宅を建てた場合、契約内容を文書で確認することで、契約更新時の条件を明確にできます。

1-3.地代相場

地代相場については、定期借地権と普通借地権で異なる傾向があります。

普通借地権の地代は、定期借地権に比べて低いことが一般的です。借地人が更新を続ける限り、半永久的に契約を継続できるため、通常の地代相場を下回った金額となっていることが多いといえます。

定期借地権の土地に家を建てた場合、地代は土地価格の2~3%程度になります。一方、普通借地権の場合、地代は固定資産税の3倍程度に設定されることが一般的です。

固定資産税の金額は土地価格の1%未満であるため、結果として普通借地権の地代は土地価格の1%にも満たない金額となります。この違いから、定期借地権のほうが地代が高い傾向にあります。

1-4.借地権の売買価値

定期借地権と普通借地権では、普通借地権のほうが売買価値が高い傾向にあります。普通借地権は契約更新が可能であり、長期間にわたる利用が見込めるためです。

例えば、普通借地権を利用したアパート経営は安定した収益を見込めるため、高値で取引されることがあります。

一方、定期借地権は契約期間が限定されており、契約終了後には土地を返還する必要があるため、残存期間が少ないほど価値が低くなることが一般的です。

1-5.保証金の有無

最後に、保証金の有無についての違いを見ていきましょう。

定期借地権では一般的に、保証金が必要になります。定期借地権は契約期間が終了すると土地を返還する必要があり、その際のリスクをカバーするために保証金が求められることが多いからです。

保証金は、地代の不払いなど債務不履行がない場合、契約終了時に返還される一時金です。ただし、全額が返還されるとは限らず、1~3割程度が償却されることもあります(費用として充当されるため)。

一方、普通借地権では、保証金が不要な場合が多いです。普通借地権では長期間にわたる利用が見込まれるため、借地人が定期的に地代を支払うことで保証金の必要性が低くなります。

したがって、定期借地権では保証金が必要となることが多く、初期コストが高くなりがちです。一方の普通借地権では保証金が不要な場合が多く、初期コストを抑えられます。

2.普通借地権と定期借地権のメリット・デメリット

定期借地権と普通借地権には異なる特徴があり、どちらを選ぶかによって将来の計画や費用に大きな影響を与えます。ここでは、普通借地権と定期借地権のメリット・デメリットを詳しく解説します。

普通借地権と定期借地権のメリット・デメリット一覧
借地権の種類 メリット デメリット
普通借地権 ・契約更新が可能
・長期的な安定性がある
・売買価値が高い
・契約解除が難しい
・管理コストがかかる
定期借地権 ・契約期間が明確
・土地の長期的使用が確保できる
・(貸主は)賃料収入が安定的
・契約更新ができない
・契約期間中の変更が難しい

2-1.普通借地権のメリット

普通借地権のメリットは、以下の通りです。

  • 契約更新が可能
  • 長期的な安定性がある
  • 売買価値が高い

普通借地権の大きなメリットは、契約更新が可能な点です。契約更新ができることで、借地人が長期的に土地を利用できます。例えば、借りた土地を利用して住宅を建てる場合、30年間の契約が満了したあとでも更新が可能であり、引き続きその土地で生活することが可能です。

また、長期的な安定性が確保されるため、借地人は将来の計画を立てやすくなります。例えば、子どもの成長に合わせて住宅のリフォームを行う場合でも、長期にわたる建物の利用が見込まれるため、安心です。

さらに、普通借地権は売買価値が高い点も魅力です。土地の利用期間が長いため、売却時に高値で取引されることが多いです。例えば、アパート経営を行う場合、安定した収益を見込めるため、高値で売却できる可能性があります。

2-2.普通借地権のデメリット

反面、普通借地権には以下のようなデメリットがあります。

  • 契約解除が難しい
  • 管理コストがかかる

契約解除が難しい点は、主なデメリットです。普通借地権では、特別な事由(地代の滞納や契約違反行為など)がない限り、契約途中での解除が基本的に認められません。

そのため借地人としては、契約期間中に土地を返還したい場合でも、契約満了まで使用を続ける義務があります。例えば、事業の縮小や転居などで土地を手放したいと思っても、契約が終了するまで待たなければなりません。

さらに、管理コストがかかる点もデメリットです。長期間にわたる土地利用を前提としているため、建物の維持管理や修繕費用が必要となります。例えば、アパート経営の場合、定期的なメンテナンスや修繕が必要であり、コストが経営を圧迫する恐れがあります。

普通借地権は契約解除が難しく、管理コストがかかるため、長期的な資金計画と管理体制を考慮することが必要です。

2-3.定期借地権のメリット

定期借地権のメリットは以下の通りです。

  • 契約期間が明確
  • 土地の長期的使用が確保できる
  • 賃料収入が安定的

契約期間が最初から決まっているため、期間内での利用が確実であり、事業計画や住居の利用計画を立てやすいという点がメリットです。

また、定期借地権では、契約期間中は土地を利用し続けることが保証されています。契約期間中は安定して土地を使用することができ、突然の契約終了や退去要求に悩まされることがありません。

さらに、定期借地権は長期間の契約が前提となっており、その期間中は賃料が安定しているため、契約期間の支出を予測しやすく、事業計画や生活設計が立てやすいでしょう。

定期借地権は借地人にとって安心して長期的な計画を立てることができる契約形態といえます。

2-4.定期借地権のデメリット

一方で、定期借地権には以下のようなデメリットがあります。

  • 契約更新ができない
  • 契約期間中の変更が難しい

定期借地権の大きなデメリットは、契約期間が終了すると契約が更新できず、土地を返還しなければならない点です。例えば、20年間の定期借地契約期間が終了すると、引き続きその土地を利用することができなくなり、新たに別の土地を探す必要が生じます。

また、定期借地権では契約期間中に柔軟な対応が難しい点もデメリットです。例えば、現在の土地が手狭になったり、建物を改築する必要が生じたりしても、定期借地権の契約内容は固定されているため、契約期間が終わるまでそのままの状態で使い続けなければいけません。

普通借地権で解説したデメリットの場合は、事業の縮小や転居などで土地を手放したいと思っても「契約解除が困難」であるのに対し、定期借地権は「契約内容に縛られているため柔軟な対応が難しい点」であり、事業の成長や計画の変更に対応しづらいといえるでしょう。

3.定期借地権付き物件を売却する際の注意点

定期借地権付き物件を売却する際には「売却価格の設定」に注意が必要です。定期借地権は契約期間が終了すると土地を返還する必要があるため、通常の物件よりも価値が低く評価される傾向があります。

また、定期借地権付き物件を売却する際には、地主の承諾が必要です。借地権を譲渡することで、地主にさまざまな影響を与えるからです。

例えば「新しい借地人に支払い能力があるかどうか」は、地主にとって重要です。地代を滞納するような借地人に売却してほしくないと思うのは、自然なことでしょう。

したがって、売却の際は地主との信頼が損なわれないよう注意を払いつつ、地主と取り交わした契約内容を買い手にも明確に伝えることが求められます。

普通借地権と違い契約期間が終了すると土地を返還しなければならないことや、契約書における「返還条件」・建物の「処分方法」について買い手にしっかりと説明することで、後々のトラブルを防止できます。

借地権付き建物の売却についての詳細は、以下の記事でも解説しています。ぜひご覧ください。

まとめ

定期借地権は契約期間が決まっており、更新がないため、土地の使用期限が明確で、あらかじめ定められた期間内での計画を立てやすいというメリットがあります。

一方、普通借地権は契約期間の終了後も更新が可能なため、長期的な事業計画や住居利用に適しています。

ただし、長期間にわたる土地利用を前提としているため、建物の維持管理や修繕費用が必要となり、契約解除が困難な点もデメリットです。

また、定期借地権付き物件の売却を検討中の方は、複数の不動産会社に査定を依頼することが重要です。NTTデータグループが運営する不動産一括査定サイト「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」をぜひご活用ください。

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