マンションを売却する場合、仲介以外にも「買取」で進める方法も考えられます。 買取は比較的早く売却できるメリットがあるものの、いくつか注意点もあるため、事前におさえておかないと損をしかねません。

この記事では、マンションの売却で買取のメリットを活かすコツや、失敗を回避するための具体的な注意点を解説します。

この記事を読めば、自分に本当に買取が合っているかが分かり、不動産会社への依頼もスムーズに進められます。

1.マンションの「買取」と「仲介」の違い

マンションの「買取」とは、不動産会社にマンションを直接買い取ってもらうことを指します。
買い取ったあと、不動産会社がリフォームをして再販するのが一般的な流れです。

買取と比較される方法として、「仲介」が挙げられます。
仲介とは、売り手と買い手の間に入って話をまとめて契約することです。
不動産会社が、売り手と買い手をマッチングさせる役割を担っていると考えると分かりやすいでしょう。

他にも以下の通り細かい違いがあります。

上記の違いについて、詳細を確認していきましょう。

1-1.買取では売却活動が不要

買取と仲介の大きな差のひとつが、「売却活動が必要かどうか」です。

買取では、不動産会社がそのまま買い手になるため、売却活動を行う必要はありません。
一方、仲介では不動産会社が買い手を探さなければならないため、売却活動を行う必要があります。

1-2.買取では査定額がそのまま売却価格になる

買取では査定額がそのまま売却額になります。
査定額は、不動産会社が「この金額なら買い取っても良い」と判断した金額であるためです。

一方、仲介では査定額がそのまま売却額になるとは限りません。
売れない期間が長く続いたり、買い手から「この金額なら購入できるので値下げしてほしい」と申し出があったりして、査定額より低い額で売却しなくてはいけないことも往々にしてあります。

1-3.買取では仲介手数料が発生しない

買取で仲介手数料は発生しません。 不動産会社が販売活動をサポートしないので、手数料が発生する余地がないためです。

一方、仲介の場合は不動産会社に仲介手数料を払わなくてはいけません。
仲介手数料の上限額は「取引価格×3％＋6万円＋消費税」（売買代金が400万円超の場合）と決められています。

1-4.買取では売却前に手をつけなくてもいい

買取では売却前の事前準備は不要です。
家電や家具などの残置物がある物件でも、買い取ってもらえることが少なくありません。

一方、仲介の場合、売却前の事前準備が必要です。
購入検討者が内覧を希望した場合応対しなくてはいけない上、引っ越すときも荷物をすべて持って行かなくてはいけません。
残置物のある物件は、所有権や処分の費用・手間の面から敬遠されがちだからです。

買取の詳しい手順は以下の記事で解説しています。

マンション買取がおすすめの物件は？仲介との違いと失敗しない売却方法

マンションを売却するには、「仲介」と「買取」というふたつの方法があるの

買取か仲介か迷っている方は、まず仲介の査定額を知っておくと判断しやすいかと思います。
仲介の査定では、売主が希望とする期間内に売れるであろう価格を算出してくれますので、時間が限られている方も、仲介で挑戦するべきか判断するヒントになります。

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2.マンション買取の注意点

マンション買取の依頼で失敗してしまうと、希望していた額より低い額で売却することになったり、住宅ローンが完済できなかったりするなどのトラブルに見舞われます。

トラブルに巻き込まれないためにも、以下の点に注意して準備を進めましょう。

• 仲介による売却と併せて検討する
• 売却価格の相場を把握しておく
• ローン残高を事前に調べておく
• 管理費・修繕積立金は完済しておく
• 必要書類を早めに用意しておく

ひとつずつ見ていきましょう。

2-1.仲介による売却と併せて検討する

高額売却できる見込みのあるマンションを売る場合は、仲介による売却も併せて検討しましょう。 「築年数が浅い」「立地条件が良い」といったマンションであれば、仲介でも買い手がつきやすいでしょう。

買取は早期に手放せるのがメリットですが、その分仲介に比べると売却価格が安くなりがちです。
築年数が浅かったり、立地条件がよかったりするマンションは買い手がつきやすく、早期に手放せる可能性も十分にあります。

まずは、仲介によるマンションの売却を優先させ、買い手がなかなかつかない場合は買取に切り替えるのも1つの方法です。

なお、不動産会社によっては、買取保証で対応してくれるケースがあります。
買取保証とは、仲介で一定期間を過ぎても不動産が売れなかった場合、不動産会社が買い取ってくる制度のことです。
ある程度時間がかかっても構わないなら、買取保証での対応ができないか交渉してみましょう。

2-2.売却価格の相場を把握しておく

マンションの買取相場を事前に把握しておくことも重要です。

相場を把握しておかないと、不動産会社から提示された買取額が相場に見合っているのか判断できません。

売却価格の相場は以下のサイトで調べられます。

• レインズマーケットインフォメーション
• 土地総合情報システム
• 不動産ポータルサイト

なお、買取の場合の売却価格は、不動産会社やマンションの状態などによっても異なりますが、仲介の場合の7～9割程度になるのが一般的です。
不動産会社から提示された買取額が、この範疇に収まっているかあわせて確認してください。

2-3.ローン残高を事前に調べておく

買取を依頼する前に、ローン残高は調べておきましょう。

マンションを含め、不動産は原則としてローンが残った状態で売却できません。
そのため、売却額でローンを完済する見込みが立ちそうか把握しておく必要があります。

売却額がローン残高を上回っていたり、売却額に手元の預貯金を足せばローンを完済できそうな場合は、買取を依頼して構いません。

しかし、売却額がローン残高を大きく下回っていて完済が難しいケースも考えられます。

2-4.管理費・修繕積立金は完済しておく

買取に先立ち、管理費・修繕積立金を完済しておくことも重要です。

管理費・修繕積立金の未払い分があっても売却はできます。
しかし、未払い分が売却価格から減額処理され、実際に手元に残る金額がわかりづらくなるため注意してください。

管理費・修繕積立金の未払い分がないかを確認し、あった場合は完済しておくことをおすすめします。

2-5.必要書類を早めに用意しておく

買取でも仲介でも、不動産を売却するためにはさまざまな書類を用意しなくてはいけません。
不動産会社によって多少の差はありますが、一般的に求められる書類は以下の通りです。

買取の主な必要書類

「登記済権利証」と「固定資産税納税通知書」はどの不動産会社を使う場合でも必要です。

• 登記済権利証（登記識別情報）：登記名義人が対象物件の所有権を保有していることを公的に証明する書類
• 固定資産税納税通知書：固定資産税納税額の確認や所有権移転登記時の登録免許税の算出に必要な書類

紛失したなどの理由で手元にない場合は、早めに不動産会社の担当者に相談し、指示を仰ぎましょう。

3.マンション買取業者を選定する際の注意点

マンション買取を依頼する不動産会社は慎重に選ばなければなりません。
うまく選べないと、以下のリスクが発生するためです。

• 事務手続きに時間がかかる
• 相場より低い価格で売却する羽目になる
• 無許可の不動産会社に頼んでしまうとトラブルのおそれがある
• 準備が不十分なまま引き渡しに臨む

これらのリスクを回避するためにも、以下の点には特に注意してください。

• 買取の実績が豊富な不動産会社を選ぶ
• 複数の不動産会社に査定を依頼する
• 不動産会社の免許番号をチェックする
• 引き渡し時の条件・時期を確認する

詳しく見ていきましょう。

3-1.買取の実績が豊富な不動産会社を選ぶ

不動産会社を選ぶ際は、買取の実績が豊富かどうかを基準にしましょう。

買取の実績が浅い会社だと、赤字を出すことを恐れるあまり、相場より低い買取価格を提示してくることも珍しくありません。

しかし、実績が豊富な会社であれば、地域の事情に精通していることも多く、買い取った物件の活用法についても道筋が見えています。
そのため、高い買取価格を提示してくれることも多く、満足のいく取引ができる可能性が高いです。

買取の実績が豊富な不動産会社を探すためには、マンションのある地域に絞って調べてみることをおすすめします。

例えば、Webで検索する場合は「不動産　買取業者　東京都北区　マンション」などのように、地域と物件の情報も併せて入力すると探しやすいでしょう。

3-2.複数の不動産会社に査定を依頼する

買取の際は、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。 1社のみに依頼すると、査定額や提供サービスの比較検討ができないからです。

買取で高くマンションを売るためには、自分で複数の不動産会社に査定を依頼し、高い価格を提示してくれたところに依頼するのが基本です。
4～5社程度の不動産会社に査定を依頼し、条件がよかったところと買取に向けて交渉を進めてください。

不動産会社によって査定で重視するポイントが異なるため、査定結果にも差が生じます。
ときには数百万以上もの差が出るので、複数社の査定価格を比較した上で不動産会社を選ぶのが得策です。

複数社への査定依頼に便利なのが、NTTデータグループが運営する一括査定サイト「不動産売却 HOME4U（ホームフォーユー）」です。

「不動産売却 HOME4U」なら、最短1分の簡単な情報入力で、全国の優良不動産会社2,300社の中から最大6社にまとめて査定依頼ができます。

ぜひ「不動産売却 HOME4U」で比較して、信頼できる最適な不動産会社を見つけてください。

買取を依頼する場合は、備考欄に必ず「買取希望」の旨を記載してください。

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3-3.不動産会社の免許番号をチェックする

不動産会社を選ぶ際は、宅建業免許番号にも着目してください。
宅建業免許番号は、不動産会社が宅地建物取引業の免許を受けたときに割り振られる数字のことです。

複数の都道府県に事業所がある不動産会社の場合、宅建業免許番号は「国土交通大臣免許（10）○○号」と記載されます。

一方、事業所が1つの都道府県のみにある不動産会社の場合、宅建業免許番号は「大阪府知事免許（1）○○号」のように記載されます。

なお、カッコ内の数字は、免許の更新回数です。数字が大きいほど、歴史がある不動産会社と言えます。

宅建業免許番号の確認を怠ると、無許可で営業している不動産会社に頼んでしまうことになりかねません。
トラブルのもとになるため、事前に確認することが大切です。

不動産会社の免許番号は、国土交通省の「建設業者・宅建業等企業情報検索システム」から確認できます。
他にも、以下の情報を知ることが可能です。

• 免許更新前の取引件数、金額
• 業者の商号、代表者氏名、役員氏名、事務所所在地
• 専任の取引主任者
• 資産状況
• 行政処分履歴

「建設業者・宅建業等企業情報検索システム」で不動産会社の情報を検索してもヒットしない場合、そこに依頼するのは避けましょう。

3-4.引き渡し時の条件・時期を確認する

マンションの買取を依頼する際は、引き渡し時の条件および時期を確認してください。
引き渡しは以下の流れで行われます。

• 物件や書類の最終確認
• 残代金受領
• 各種負担金の精算
• 鍵の引渡し
• 関係書類の引渡し
• 諸費用の精算

期日の確認を怠ると、事前に取り決めた日程通りに引き渡しができなくなる可能性があるため、特に注意してください。

期日通りに引き渡しができないと違約金が発生します。
具体的な金額は当事者間の取り決め次第ですが、一般的には売却価格の20％程度が相場です。

そのため、事前に取り決めた期日通りに引き渡しができるよう、準備を進めましょう。
どうしても厳しい場合は、特約を定めて期日を先延ばしにしてもらうのも1つの選択肢です。

契約の締結から引き渡しまでをスムーズに進められるよう、引き渡し時の条件・時期に関しては、不動産会社に相談しながら決めることをおすすめします。

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4.マンション買取で査定を依頼する際の注意点

マンション買取で査定を依頼する際には、いくつか注意点があります。

ここでは、具体的な注意点として以下4点を解説します。

• 買取希望価格と売却時期を伝える
• 残置物を極力撤去する　
• 掃除をきちんとする
• リフォームせずに売る

詳しく見ていきましょう。

4-1.買取希望価格と売却時期を伝える

「いくらで買い取ってもらいたいか」と「いつ売りたいか」を事前に伝えましょう。

買取希望価格があれば、それを加味した査定額が提示される可能性があります。

売却予定時期も伝えると、新居の準備ができたタイミングに合わせて買い取るといった調整もしてくれるでしょう。

「いくらで」「いつ」の売却を希望するか伝えておくのがおすすめです。

4-2.残置物を極力撤去する

買取では、家電や家具などの残置物がある物件でも売却できる可能性があります。

とはいえ、残置物があると買取価格が下がってしまうおそれがあるので、極力撤去しておいたほうがいいでしょう。

古くなったガスコンロやエアコンなど、そのまま活用できそうにない物があると、買い取った不動産会社が処分費用を負担します。

査定時に残置物の処分費用がどれくらいになるかも見込んだ価格が算出されるため、結果的に売却額が下がってしまうのです。

査定額を下げないよう、残置物はできる限り撤去しておきましょう。

4-3.掃除をきちんとする

買取の場合、掃除は売却後に清掃業者が行います。

そのため、買取価格はハウスクリーニング費用の分が差し引かれるのが一般的です。

しかし室内に目立つ汚れがあると、度合いによっては査定額が大幅に下がってしまうおそれがあるので、査定前に掃除をきちんと済ませておいたほうがいいでしょう。

特にキッチンや浴室といった水回りは、汚れているとマイナスポイントになりかねません。

査定額を落とさないため最低限の掃除はしておくようにしましょう。

4-4. リフォームせずに売る

買取ではリフォームをせずに売るのが得策です。

リフォームによって査定額はほんの少しだけ上がる可能性はあります。

リフォームにかかる費用は数十万円以上。査定額が上昇したとしても費用負担のほうが大きくなると、結果的に損をしてしまいます。

リフォームは買い取った不動産会社側が必要に応じて行うため、売主側でする必要性はほとんどないと言っていいでしょう。