【全解説】マンション売却手数料│相場から費用節約の特例・値引き方法まで

マンションを売却した場合の手数料や各種費用を含めた諸費用は、売却額の5〜7%程度が相場と言われています。

諸費用の内訳は、

  • 不動産会社に支払う仲介手数料
  • 売却に関わる登記費用
  • 各種税金(印紙税・固定資産税・譲渡所得税など)
  • 住宅ローンの清算時の金融機関への手数料

などさまざまです。売却時点で、手元に入る金額を把握するためには、「マンション売却に伴う手数料や費用がどの程度か」を知っておくことが必要です。

この記事では、マンション売却時の手数料や費用の算出方法、マンション売却時に使える特例・節税制度について解説していきます。

マンション売却時の手数料と特例制度を理解してマンションをお得に売却しましょう

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Contents

1-1.売却時には仲介手数料がかかる!

マンションを売却する場合は、買主を見つけないといけません。買主を見つける方法には、以下の3つの方法があります。

  1. 不動産会社に買い取ってもらう
  2. 不動産仲介会社と媒介契約を結び、買主を探してもらう
  3. 自分で買主を探す

この中で、よく利用されるのが2番の不動産会社に仲介を依頼する方法です。ただし、無料で買主に仲介をしてもらえるわけではありません。買主が見つかり売買が成立した時点で、不動産仲介会社へ「仲介手数料」を支払う必要があります。仲介手数料とは、不動産売買を仲介してくれた不動産会社へ支払うもので、売買が成立した際に支払う成功報酬です。

1-2.仲介手数料は何のお金?

不動産仲介会社に支払う仲介手数料は、次のような業務に支払われるものです。

  • 広告費用(チラシ作成・配布)
  • 購入希望者の内覧立ち合い
  • 売却希望者の相談に乗る
  • 買主との契約書の作成・立ち合い
  • 売却にかかる業務全般の人件費

そのため、売主が特別に依頼した以下のようなことに関しての費用は、仲介手数料には含まれません。

  • チラシの作成・配布頻度を予定より多くする
  • 遠くの購入希望者のところまで行って物件の説明を行う

これらのように、売主の要請で特別に行われた販促活動に対して、不動産仲介会社は仲介手数料以外に実費を請求することができます。

1-3.複数の不動産仲介会社に依頼している場合、手数料はどうなる?

もし、複数の会社に依頼している場合でも、一般媒介契約であれば仲介手数料を支払うのは売買を成立させてくれた不動産仲介会社のみで構いません。なぜなら、仲介手数料は、あくまで成功報酬で売買契約成立の報酬として後に支払う手数料だからです。

ただし、不動産会社との媒介契約には一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3種類ありますが、複数社に依頼が可能なのは一般媒介契約のみですので注意が必要です。不動産会社との媒介契約については、3章3-2で解説しています。

マンション売却にかかる費用はシミュレーションが可能です。
詳しくは以下の記事をご覧ください。

1-4.仲介手数料はどうやって計算する?

「仲介手数料の計算方法は難しそう」と苦手意識を感じてしまう方も多いのではないでしょうか?実は、速算式があるのでかんたんに計算することができます。この機会に、仲介手数料の計算方法についても覚えておきましょう。

仲介手数料は上限があり、「宅地建物取引業法」で売買価格の金額によって3段階に分けられています。以下の計算式を使って計算します。

売買価格 報酬額(税別)
売買価格200万円以下部分 売買価格の5%以内
売買価格200万円超400万円以下部分 売買価格の4%以内
売買価格400万円超部分 売買価格の3%以内

ただ、上記の表を使って「売却金額が2,000万円だから200万円までの部分は200万円×5%……」とするのは面倒です。そこで、400万円以上の契約の場合は速算式を使って求めることができます。

速算式:売却価格×3%+6万円+消費税

例えば2,000万円の場合の算出方法は、以下の通りです。

2,000万円×3%+6万円=66万円+消費税

上記が仲介手数料の上限となります。

1-5.不動産売却手数料の上限について

前項で紹介した計算式で算出される金額が仲介手数料の上限価格です。ただし、仲介手数料は、上限を守れば各不動産仲介会社で自由に設定できます。そのため、不動産仲介会社を探す際は、売却価格だけでなく、仲介手数料も考慮して決めるようにしてください。

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2.マンション売却にかかる手数料以外の費用相場

マンションを売却した場合、仲介手数料以外にもさまざまな費用がかかります。

費用 金額 支払いタイミング
譲渡所得税 譲渡所得× 税率(20.315%~39.63%) マンションを売却した翌年の2月16日~3月15日までに確定申告を行う
登記関連費用 ・抵当権抹消費用:1,000円
※不動産の筆数ごとに1,000円ずつかかる
・司法書士報酬:約1万5,000円
※関東地区平均
抵当権抹消費用:登記申請時
司法書士報酬:司法書士への依頼時
※支払いタイミングは一例です
印紙税 (契約金額が500万円超~1億円以下の場合)
5,000円~3万円
※契約金額によって税額は異なる
※上記は軽減措置後の金額で軽減措置は2022年3月31日まで(2021年3月時点)
契約書作成時に、収入印紙を契約書へ貼付
固定資産税の精算 引き渡し日によって売主・買主の負担割合を決定することが慣例 第1期:4月末日
第2期:7月末日
第3期:12月末日
第4期:翌年2月末日
※固定資産税の精算分を買主が売主へ渡し、納付手続きは売主が行う
引っ越し関連費用 移動距離15㎞未満、4人家族以上の場合:10万円~15万円未満程度
※荷物の多さや距離、引っ越し時期などで異なる
引っ越し時
住宅ローン清算金
※住宅ローンが残っている場合
各自による マンション引き渡し時

その他、必要に応じて不用品処理費用や、ハウスクリーニング費用がかかる場合もあります。

2-1.譲渡所得税

譲渡所得税とは、マンション売却で売却益が出た際に、売却益に対してかかる税金です。
譲渡所得税とは、「所得税・住民税・復興特別所得税」を含みます。

項目 所得税 住民税 復興特別所得税 合計
短期譲渡所得(5年以下) 30% 9% 0.63% 39.63%
長期譲渡所得(5年超) 15& 5% 0.315% 20.315%

(※復興特別所得税は、東日本大震災の復興財源確保のための税金で、2037年(令和19年)までは、所得税に2.1%をかけた金額が課税されます。)

譲渡所得税は、マンションの所有期間によって税率が変わり、5年以下(短期所有)の場合は、税率39.63%、5年超の場合(長期所得)は20.315%の税率がかかります。

実は、譲渡所得税には特例制度が設けられていて、譲渡所得の3,000万円までは非課税になり税金がかかりません。(3,000万円の特別控除を受けるためには確定申告が必要です。)
昨今ではマイホームの売却益が3,000万円を超えることは稀で、非課税になることが多く5つの手数料には含んでいませんが、知識としておさえておきましょう。

参考:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例

詳しくは、こちらの記事もご覧ください。

マンション売却時の税金と節税で注意したい5つのこと

2-2.登記関連費用

マンション売却の際にかかる登記関連費用として、具体的には、「抵当権抹消費用」が発生します。マンション売却時点で住宅ローンが残っている場合もあるでしょう。住宅ローンがある物件には、「抵当権」が設定されているため、抵当権を抹消した状態で引き渡しをしなければいけません。

抵当権とは、住宅ローンが支払えなくなったときの保全として金融機関が物件に設定するものです。例えば、競売などにかけられた場合、抵当権者(この場合は金融機関)が優先して弁済を受けることができます。

マンションを売却して、その売却益で住宅ローン完済をする場合は、抵当権を抹消していないと売却できないため、抵当権の抹消手続きが必要になります。

また、抵当権抹消には先に引き渡しが必要になります。そのため、抵当権を抹消するタイミングは、売却物件の引き渡しと同時に最後に行われます。

抵当権抹消費用は、不動産の個数ごとに1,000円がかかります。

一戸建ての場合は、「土地」と「建物」で2個と数えますが、マンションの場合は「抵当権設定契約書」にある「不動産(物件)の表示」欄を確認しましょう。物件によって、不動産の個数は異なるので注意してください。

また、抵当権抹消手続きは自分で行うこともできますが、一般的には司法書士に依頼し手続きを代行してもらう傾向です。各地区の司法書士へ依頼した場合の平均報酬額は、以下の通りです。

地区名 平均報酬額
北海道地区 1万5,532円
東北地区 1万3,863円
関東地区 1万5,613円
中部地区 1万6,638円
近畿地区 1万8,795円
中国地区 1万5,289円
四国地区 1万4,409円
九州地区 1万3,821円

出典)日本司法書士会連合会「報酬アンケート結果(2018年1月実施)

こちらは、あくまでも地区ごとの平均額となるため、実際に依頼する際は事前にきちんと金額を確認するようにしましょう。

2-3.印紙税

マンション売却に伴い発生する費用に印紙税があります。

印紙税は、契約書へ収入印紙を貼付することで納税します。マンションを売却する際は、不動産売買契約書を作成するため、こちらに収入印紙を貼付することが必要です。印紙税の負担率は、「売主・買主双方で折半する」というのが一般的といえるでしょう。

なお、「売主用」「買主用」と契約書を2通作成した場合は、印紙税も2通分かかります。

不動産の譲渡に関する契約書の印紙税は、軽減措置が取られており印紙税額は以下の通りです。

売買契約書の記載金額 印紙税額 軽減後の税額
1万円以上10万円以下 200円 軽減なし
10万円超~50万円以下 400円 200円
50万円超~100万円以下 1,000円 500円
100万円超~500万円以下 2,000円 1,000円
500万円超~1000万円以下 10,000円 5,000円
1000万円超~5000万円以下 20,000円 10,000円
5000万円超~1億円以下 60,000円 30,000円
1億円超~5億円以下 100,000円 60,000円

2022年(令和4年)3月31日まで軽減措置適用。

2-4. 固定資産税

固定資産税は、地方税で一般的に「固定資産税評価額×1.4%」で計算します。ただし、自治体によっては税率が1.5%や1.6%といった自治体もあるため注意が必要です。対象年度の1月1日時点で不動産を保有している方に対してかかります。

そのため、年度の途中で売却した場合でも税金の支払いは売主がしないといけません。ただ、この状態では売主側が損するケースもあるため、不動産業界の慣例では売主と買主で負担割合を決めて按分する傾向があります。

なお、按分する際の起算日は、関東と関西で異なるため、確認が必要です。「自分の地域がどちらに該当するか」は、不動産仲介会社に尋ねておきましょう。

  • 関東:1月1日が起算日
  • 関西:4月1日が起算日

この按分方法は、地域によって課税される「都市計画税」の場合も同様です。

2-5.引っ越し関連費用

現在住んでいるマンションを売却する際は、引っ越し費用も準備しておかないといけません。引っ越し費用は、世帯人数や時期などで大きく異なるため、複数の会社に査定を依頼しましょう。

なお、新居を建築中にマンション売却ができた場合、仮住まいを準備することが必要です。その際は、引っ越し費用が2回分かかるため負担が大きくなります。また、異動が多い3月ごろは引っ越し会社の繁忙期となり費用が高くなる傾向です。

予約も取りづらくなるため、売却を急がない場合は、繁忙期は避けることも考えてください。

2-6.住宅ローンの精算

売却するマンションの住宅ローンが残っている場合は、売却代金で残債を精算する必要があります。住宅ローンを清算する方法は、繰り上げによる一括返済が通常で、金融機関への手数料が1~3万円ほどかかります。また、ローンの融資元(銀行など)から抵当権を抹消する手続きも忘れてはなりません。

「住宅ローンの完済+売却関連費用」がマンションの売却価格から捻出できるかも、マンションを査定する段階でしっかりチェックしておきましょう。

2-7. 費用や手数料は不動産会社に確認を

先ほども書いた通り、費用や手数料に関して、売主側ですべて細かく把握する必要はありません。

売却の仲介をお願いする不動産会社が支払う金額やタイミングを細かく説明してくれます。マンションを売却することが決まっていたら、まずは不動産会社探しから始めましょう。

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複数の不動産会社に申し込むことで、価格や企業を比較し、最適な不動産会社を手間なく探すことができます。

不動産売却 HOME4U」を利用して賢く不動産売却しましょう。

3. マンション売却時の仲介手数料の値引きは可能?

マンションを売却する際は、売却にかかる手数料は極力おさえて「なるべく手取り金額を増やしたい」と考える方が多いでしょう。不動産会社へ払う仲介手数料は値引きができるのか?仲介手数料の値引きについて詳しく説明していきます。

マンション売却時の仲介手数料と値引きについて、詳しくはこちらもご覧ください。

マンション売却の仲介手数料と相場を解説!値引きはできる?

3-1.売買価格が高額になったら手数料の値引き交渉を

仲介手数料の値引きをすることは可能です。なぜなら、仲介手数料の上限額は決められていますが、その範囲内であれば不動産仲介会社で自由に設定できるからです。

例えば、売買価格が高額になった場合は、値引きの成功率が高くなります。なぜなら、多少仲介手数料を値引いたとしても入ってくる金額が大きいことに変わりはないからです。その他、不動産仲介会社との媒介契約の結び方でも値引き交渉が成功する可能性があります。

3-2.不動産仲介会社との契約次第で手数料の値引きは可能に

不動産売却において仲介を不動産会社に依頼する場合、媒介契約を結ぶ必要があります。媒介契約には、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があり、それぞれ特徴があります。一般的に、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」は値引き交渉がしやすいと言われています。

媒介契約の違いには以下の5つの項目があります。

  • 同時に複数の不動産会社へ依頼可能か
  • 売主自ら買い手を見つける取引
  • 媒介契約を結ぶ契約期間
  • 不動産流通機構(レインズ)への登録義務の有無
  • 売主への販売状況報告義務の有無
一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
複数の不動産会社へ依頼 ×
(契約は1社のみ)
×
(契約は1社のみ)
自己発見取引(自分で買い手を見つける取引) ×
契約期間 規定なし 最長3カ月 最長3カ月
不動産流通機構(レインズ)登録義務 ×
登録義務なし

契約から 7日以内

契約から 5日以内
販売状況の報告頻度 規定なし 2週間に1回 1週間に1回

それぞれの媒介契約の違いや特徴を理解して、納得のいく不動産売却を行いましょう。

一般媒介契約

一般媒介契約は、3種類の媒介契約の中では一番制限が少なく自由度が高い方法です。

依頼主は複数の不動産会社に仲介を依頼することが可能で、依頼主自ら買い手を見つけた場合でも売買をすることができます。国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営する不動産物件情報システム(レインズ)への登録義務もありません。

ただし、複数社に依頼できることから不動産会社側は他社よりも早く成約しないと仲介手数料が発生しないため、物件によっては積極的な売却活動を期待できないこともあります。また、不動産会社側からの報告義務はないため販売状況が把握しにくいというデメリットもあります。

メリット デメリット
一般媒介契約 複数の不動産会社へ依頼可能
自由度高く制限少ない
積極的な売却活動を期待しにくい
販売状況の把握が難しい

専任媒介契約

専任媒介契約は、不動産会社1社のみに依頼をし、ほかの不動産会社に同時に依頼することはできません。しかし、依頼主自ら買い手を見つけた場合は、売買をすることができます。

1社に限定することで、不動産会社は成約すれば確実に仲介手数料を得られることから、不動産会社が積極的に売却活動をしてくれることが期待でき、また条件によっては売却手数料の割引交渉がしやすい点がメリットです。

不動産流通機構(レインズ)への登録義務が法律で定められており、媒介契約から7日以内の登録、2週間に1回の販売状況の報告義務があります。

メリット デメリット
専任媒介契約 積極的な販売活動が期待できる
自己発見取引も可能
仲介手数料の割引交渉しやすい
複数の不動産会社へ依頼不可

専属専任媒介契約

専属専任媒介契約は、不動産会社1社のみに依頼をし、ほかの不動産会社に同時に依頼することはできません。また、依頼主自ら親族や知人など買い手を見つけた場合でも、不動産会社を媒介して契約しなければなりません。

不動産流通機構(レインズ)への登録義務が法律で定められており、媒介契約から5日以内の登録、1週間に1回の販売状況の報告義務があります。

制限は3種類の中で1番厳しいものの、1社に限定し自己発見取引も制限することで、不動産会社は成約すれば確実に仲介手数料を得られることから、積極的な売却活動が期待できます。専任媒介契約と同様に、売却手数料の割引交渉がしやすい点もメリットです。

自分で買い手を見つける予定がないのであれば、専任媒介契約ではなく専属専任媒介契約を結ぶことがおすすめです。

メリット デメリット
専属専任媒介契約 積極的な販売活動が期待できる
仲介手数料の割引交渉がしやすい
複数の不動産会社へ依頼不可

不動産媒介契約について詳しくはこちらの記事もご覧ください。

「専任媒介契約」が「一般媒介」よりもあなたに有利な3つの理由。

3-3.手数料値引きのデメリットも知っておこう

仲介手数料の値引きをすれば手取り金額も増え、大変お得なように感じるかもしれませんが注意点もあります。それは、手数料を値引きすることで販売活動に力を入れてもらえなくなる可能性がある点です。

値引きしてもらったことで「広告が少なくなった」「販促活動が活発ではなくなった」という事態が起こる可能性はゼロではありません。値引きをしてもらう場合は、「その後の販促活動がどうなっているか」についてもチェックしておくことが必要です。

4.マンション売却にかかる費用を抑える方法

マンション売却にかかる全体の費用の相場は、売却金額の5〜7%程度と言われています。

売却にかかる費用として、仲介手数料・印紙税・譲渡所得税・諸手続き手数料・ハウスクリーニング代・引っ越し費用・固定資産税などがあげられます。
少しでも手元に残るお金を多くするために、売却にかかる費用を抑える方法をいくつか紹介します。

4-1.購入後、5年間は売却しない

マンション売却にかかる費用を抑えるために、マンション購入後5年間は売却しないというのも1つの方法です。

不動産を売却をし売却益が出た場合には、譲渡所得税がかかります。譲渡所得税は売却した不動産の保有期間が5年以上かどうかによって、短期譲渡所得と長期譲渡所得の2つの区分に分けられ税率が大きく変わってきます。

不動産売却をした年の1月1日時点で、所有期間が5年以下のものは短期譲渡所得、5年以上のものは長期譲渡所得となり税率は以下の通りです。

所得の種類 所有期間 所得税率 住民税率
長期譲渡所得 5年超 15% 5%
短期譲渡所得 5年以下 30% 9%

表からもわかるように、マンション購入後5年以内の売却は所得税率が30%、住民税率が9%と5年以上の長期譲渡所得と比べて高いことがわかります。

マンション売却にかかる費用を抑えるには、まずは購入後5年は売却しない方がいいでしょう。

4-2.控除の申請をする

マンション売却の費用を抑える方法として、適用できる特別控除を申請することも1つの方法です。それぞれ細かい規定がありますが、該当している場合は忘れずに申請するようにしましょう。
マンション売却にまつわる控除には以下のようなものがあります。

マイホームを売却して、譲渡益(利益)がある場合

  • 3,000万円の特別控除の特例
  • 軽減税率の特例

詳しくは6章「マンション売却時に使える5つの節税制度」で解説します。

4-3.閑散期に引っ越しをする

マンション売却にかかる費用を抑えるために、引っ越し業界の閑散期に引っ越しをするというのも1つの方法です。

引っ越し業界の繁忙期は、3月です。3月の卒業シーズンと4月の新年度で引っ越しが多くなるため、料金も1年の中で1番高い料金設定です。反面、7~8月は閑散期で引っ越し自体をする人が少なく、料金も安めに設定されています。

引っ越し費用はまとまったお金がかかるため、閑散期に引っ越しをするためにも時期も考えてマンション売却をするといいでしょう。

4-4.マンション買取を依頼する

マンション売却の費用を抑えるために、不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」という方法もあります。不動産買取であれば、仲介手数料がかかりません。

不動産買取は、すべての物件に向いているわけではありませんが、仲介手数料を抑えて売却にかかる費用を安くする方法の1つとしておさえておきましょう。
不動産買取については、次の5章で詳しく説明します。

5.マンション買い取りの時は仲介手数料は不要

不動産会社にマンション売却の仲介を依頼した場合は仲介手数料がかかりますが、売却が成立しても仲介手数料が発生しない場合があります。例えば、「マンションを不動産会社に買い取ってもらう場合」です。ここでは、不動産買取について解説していきます。

5-1. 「仲介」と「買取」の違い

不動産の売却方法には「仲介」と「買取」の2種類の方法があります。仲介と買取に関しては、以下の通りです。

仲介:不動産会社が仲介に入り買い手を探す方法
買取:不動産会社に直接物件を買い取ってもらう方法

買取 仲介
不動産の買い手 不動産会社 個人
売却完了までの目安 1カ月程度 3~6カ月
(売れないこともある)
仲介手数料 なし あり
(売却価格×3%+6万円+消費税)

不動産の売却方法で一般的なのは、不動産会社に仲介を依頼する不動産仲介です。不動産の買取は、不動産会社が買主となります。別途買主を探す必要がないため、条件が合えばすぐ契約成立となり、短期間で売却代金を受け取りたい方に向いています。また、買取では不動産会社の仲介業務がないため、仲介手数料も必要ありません。

5-2.買取を依頼する時の注意点

買取には、「仲介に比べ価格が低めになる」というデメリットもあります。

なぜなら、不動産会社は買い取った物件を、リフォームやリノベーションして販売し利益を得るため、物件を市場価格より1~3割ほど安く買取金額を設定するからです。買取は、すぐに売却することができ現金化しやすいというメリットはありますが、市場価格よりは1〜3割ほど低めの価格になる特性があります。

築年数が経っていて需要の低いエリアの場合、なかなか物件が売却できないときは買取を検討してみるのも一つの方法です。

不動産の買取については、こちらの記事もご覧ください。

不動産の「買取」とは?「仲介」との違いやメリット・デメリットを比較

6.マンション売却時に使える5つの節税制度とは

マンションを売却した場合、さまざまな手数料・費用を除いた後、売却代金が手に入ります。しかし、場合によっては売却代金にも税金がかかります。売却代金にかかる税金の節税制度についてご紹介します。

マンション売却時に使える節税制度についてはこちらもご覧ください。

6-1.マイホームを売却したときに使える3,000万円特別控除

マンションなどマイホーム(居住用住宅)を売却して利益が出た場合は、所有期間に関係なく譲渡所得から最高3,000万円までは控除の適用が受けられる「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」があります。(国税庁:No.3302 マイホームを売ったときの特例)なお、特別控除を受けるためには、確定申告が必要です。

譲渡所得の出し方は、

譲渡所得=譲渡価格ー取得費ー譲渡費用

となり、上記の計算式で出た譲渡所得が3,000万円までは特例として非課税になります。マイホームを売却した場合は、譲渡所得が3,000万円を超えるケースはめずらしく、特別控除の適用範囲内であることが多いため、忘れずに申請するようにしましょう。

6-2. 所有してから10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例

物件を所有してから10年が経過していて、3,000万円の控除を利用しても譲渡所得が出る場合は、「所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率」を利用しましょう。

マイホーム(居住用財産)を売却して、一定の要件に当てはまる場合は、長期譲渡所得の税額を通常よりも低い税率で計算する軽減税率の特例の適用が受けられます。軽減税率の特例を受けるためには、確定申告をすることが必要です。所有期間が10年超で売却した場合に使える軽減税率です。

譲渡所得金額 所得税 住民税
6,000万円以下の部分 10% 4%
6,000万円超の部分 15% 5%

6-3. 特定の居住用財産の買い換え特例

新居を購入するために、今のマンションを売りたい場合は、「特定の居住用財産の買換え特例」の利用ができるかもしれません。新居の購入金額が現在の家の売却金額よりも高い場合、一定の条件で課税が繰り延べられるという制度です。令和4年度の国土交通省の税制改正により、制度が2年間延長され2023年(令和5年)12月31日まで適用されます。

例えば、1,000万円で購入したマンションを3,000万円で売却、その後5,000万円の新居を購入したとします。この場合、2,000万円の譲渡益が生じているため、本来ならば課税対象となるはずです。しかし、買い換え特例を利用すると、5,000万円で購入した新居を売却するまで課税が繰り延べされることになります。もし、5,000万円で購入した新居が将来6,000万円で売れたとしたら、譲渡益1,000万円に以前の譲渡益2,000万円を加算し、3,000万円に課税されるということです。
※諸費用は考慮していません

ただし、売却する家や、新居についてさまざまな条件があるため、利用したい場合は内容についてしっかりと確認しましょう。

6-4. 相続したマンション売却時の取得費加算の特例

自分が住む家ではなく、相続したマンションを売却する方もいるかもしれません。その場合、マイホームに該当しないため、3,000万円の特別控除などは利用できません。しかし、売却する方が相続税を払った方であれば、譲渡所得を以下の計算で出し、税金を抑えることが可能になります。

・売却価格-取得費-取得費に加算する相続税額-譲渡費用=譲渡所得

取得費に加算する相続税額は以下の計算で算出します。

・その者の相続税額×その者の相続税課税価格の計算基礎とされたその譲渡した財産の価額÷その者の相続税の課税価格+その者の債務控除額

6-5. マイホームを売却したときの税金還付を受けるための税金特例

マイホーム(以前の家)を売却して新たにマイホーム(新居)を購入した場合に、不動産売却で損失を出してしまった場合、「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を使い、一定の要件を満たせば損失額をその年の所得から控除(損益通算)することができます。(2023年(令和5年)12月31日まで適用)

損益通算を行っても控除しきれなかった譲渡損失は、翌年以降3年以内に繰り越して控除(繰越控除)することが可能です。

源泉徴収で、すでに支払っている場合でも還付が受けることが可能です。万が一のときのために、この特例についても覚えておきましょう。

まとめ

マンションを売却する場合、仲介手数料や税金関連などかかる費用は多くあります。「売却代金がいくら入るか」だけでなく、出ていくお金についても調べておきましょう。また、譲渡益が出た場合は、そちらにも課税されます。ただし、控除がいくつもあるため、節税のためにも把握しておくことが大切です。

この記事のポイント まとめ

マンション売却にかかる仲介手数料とは?

マンション売却にかかる仲介手数料は以下の通りです。

  • 仲介手数料とは不動産売買を仲介してくれた不動産会社へ支払うもので、売買が成立した際に支払う成功報酬です。
  • 複数の会社に依頼していても、仲介手数料を支払うのは、売買を成立させてくれた不動産会社1社のみです。

不動産売却にかかる仲介手数料について、詳しくは「1.マンション売却でかかる仲介手数料とは?」を参照ください。

仲介手数料以外にかかる費用の相場は?

マンション売却に必要な仲介手数料以外にかかる費用は以下の通りです。

  • 譲渡所得税
  • 登記関連費用
  • 印紙税
  • 固定資産税
  • 引っ越し費用関連
  • 住宅ローンの精算

マンション売却時にかかる5種類の手数料について、詳しくは「2.マンション売却にかかる手数料以外の費用相場」を参照ください。

マンション売却の費用をおさえる方法は?

マンション売却にかかる費用を抑える方法は以下の通りです。

  • 購入後、5年間は売却しない
  • 控除の申請をする
  • 閑散期の引っ越し
  • マンションの買取依頼

マンション売却にかかる費用を抑える方法について、詳しくは「4.マンション売却にかかる費用を抑える方法」を参照ください。

マンションを売る時に使える節税対策は

マンション売却時に使える5つの節税対策は以下の通りです。

  • 3,000万円の特別控除
  • 所有10年超の居住用財産譲渡した場合の軽減税率の特例
  • 特定の居住用財産の買い換え特例
  • 相続したマンション売却時の取得費加算の特例
  • マイホームを売却した時の税金還付を受けるための税金

マンション売却時に使える5つの節税方法について、詳しくは「6.マンション売却時に使える5つの節税制度とは」を参照ください。