中古住宅を売りたい理由は「住み替えたい」「相続した家を売りたい」「賃貸物件を売却したい」などさまざま。
そこでこの記事では中古住宅を売りたい方へ、中古住宅を売る際の流れから高く売るために知っておきたい相場の調べ方や査定ポイント、不動産会社選び、注意点まで解説していきます。
こんな方はぜひ参考にしてくださいね。
- 家を売る手順がわからない
- 少しでも高く売りたい
- 売りに出したけどなかなか売れない
- 住宅ローンが残っているけど売りたい
Contents
1.中古住宅を売る際の手順
中古住宅を売りたいとき、どんな手順で何をすればよいのでしょうか?
中古住宅売却の主な流れは以下の通りです。
中古住宅の売却にかかる一般的な期間は、家の価格査定を依頼してから引き渡しまで、6か月程度です。
まずは全体像を把握するため、時系列で中古住宅を売る手順を確認していきましょう。
1-1. 相場を調べる
売りたい中古住宅がいくらくらいで売れるのか、まずは自分で相場を調べます。相場を知っておくことで、適正価格より低く売り過ぎて損をしたり、高く売り出し過ぎてなかなか売れなかったりするリスクを避けることができます。
どうやって自分で相場を調べればよいのかは、2章で詳しく説明しますので参考にしてください。
1-2. 査定の依頼をする
およその相場が分かったら、不動産会社に査定を依頼します。査定には、簡易的な情報で査定する「机上査定」と、実際の家に不動産会社の人が訪問して適正な価格を出す「訪問査定」があります。
まずは「HOME4U」のような一括査定サービスで机上査定を行い、査定価格や対応を見て、訪問査定をお願いする不動産会社をいくつか選ぶとよいでしょう。
査定でチェックされるポイントについては、3章で詳しく解説しています。
1-3. 媒介契約を結ぶ
仲介してもらう不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。
物件の状態や立地条件などによって適した媒介契約がありますが、中古住宅の場合は「専任媒介契約」がおすすめです。
媒介契約については4章で詳しく解説しています。
1-4. 販売活動
媒介契約を結んだら、いよいよ販売活動をスタートします。
販売活動は主に、不動産会社が店頭で紹介したり、チラシやWEBサイト、店頭物件情報などで出したりします。
売主は、購入希望者が出てきた場合に、内覧の対応が必要です。内覧時の印象は購入決定に大きく影響します。内覧について詳しく解説している下記の記事も参考にしてください。
1-5. 売買契約
買主が決まったら売買契約を結びます。はじめに手付金として販売価格の10%を受け取り、不動産会社に仲介手数料の半分を支払います。
ちなみに万が一、買主の自己都合で売買契約が解除された場合は、手付金を返さなくてもよいことになっています。ただし、住宅ローンの審査に落ちた場合は自己都合には当たりません。
1-6. 引っ越し
物件の引き渡しまでに新居を決め、引っ越しを済ませておきます。
住み替えで家を購入する方は、あらかじめ売却と購入のスケジュールを立てておく必要があります。住み替えの方は、このスケジュールが非常に重要ですので、以下の記事もぜひ参考にしてくださいね。
1-7. 決済・引き渡し
売買契約で取り決めた引き渡し日に、物件の引き渡しと販売代金の残金の支払いが行われます。
買主は住宅ローンが残っている場合はこの時点で完済し、抵当権の抹消を行わなければなりません。また、不動産会社の仲介手数料の残りも支払います。
もし売却金額を受け取っても住宅ローンの完済が難しい場合に関しては、7章でご紹介しています。
1-8. 確定申告
中古住宅を売って利益が出た場合、「譲渡所得」とみなされ税金が課税されますが、確定申告することで控除を受けられる可能性があります。
特例はいくつか種類があり、税金を大きく減らすことが可能です。中古住宅の売却にかかる税金の種類や特例については、下記の記事で詳しくご紹介しています。
ここまで中古住宅を売る際の流れを説明してきましたが、不動産売買では大きな金額が動くため、さまざまな疑問や注意点が出てきます。中古住宅をスムーズに損せずに売るために、以下の記事もぜひチェックしてみてくださいね。
2. 中古住宅の相場を自分で調べる方法6つ
中古住宅の売却を成功させるためには、査定を依頼する前に、自分でおよその相場を掴んでおくことが大切です。
中古住宅の相場を自分で調べるには、主に6つの方法があります。
- チラシや不動産会社の張り紙
- 土地総合情報システム
- 国土交通省地価公示・都道府県地価調査(地価公示価格)
- 国税庁ホームページ(路線価)
- 納税通知書(固定資産税評価額)
- ネットの便利なサービスを利用する
それぞれ、どんな方法か説明していきますね。
2-1. チラシや不動産会社の張り紙
今住んでいる家の売却の場合、ポストに入ってくるチラシや近くの不動産会社に貼られている物件情報は、同じエリアの最新情報として有効です。とくにチラシは最新情報が多いので取っておくとよいですよ。
2-2. 土地総合情報システム
土地総合情報システムは国土交通省が運営しているサイトで、過去に行われた実際の不動産取引価格を確認することができます。過去の内容ですが、実際の取引価格が分かり、非常に参考になりますよ。
「土地総合情報システム」サイトはこちら。
2-3. 国土交通省地価公示・都道府県地価調査
国土交通省が運営する標準地・基準地システムです。土地の価格の基準となる「地価公示価格」を知ることができます。
「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」サイトはこちら。
2-4. 財産評価基準書路線価図・評価倍率表
国税庁のホームページにある「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」では、土地の価格の指標となる「路線価」を知ることができます。
「路線価×面積=土地の値段の相場」です。ただし、路線価は公示価格の約8割なので、あくまでも相場の参考として使用します。
国土交通省「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」はこちら。
2-5. 納税通知書
不動産を所有している人に届く納税通知書では、土地・建物の価格が分かる「固定資産税評価額」の確認ができます。納税通知書が見つからない方は、役所で固定資産課税台帳を閲覧したり、固定資産評価証明書を取り寄せたりすることもできます。
なお、「固定資産税評価額」は、不動産売却で必要になる譲渡所得税、固定資産税などにも使用しますよ。
2-6. ネットの便利なサービスを利用する
ネット上の便利な一括査定サイトを使用して相場を調べることもできます。ただし、この方法は不動産会社に相談することを前提としたサービスになりますので、ある程度、上記のどれかで相場を調べてから使用するのがおすすめです。
たとえば、NTTデータグループが運営する一括査定サイト「不動産売却 HOME4U」を使うと、一度に複数の不動産会社に自宅の査定をしてもらうことができます。一度に複数社の査定価格や対応を見て比較できるため、仲介してもらう不動産会社探しにも役立ちますよ。
そのほかにも査定で利用できるWEBサイトを以下の記事でご紹介しています。
3. 中古住宅の査定ポイント5つ
家を売るならできるだけ高く売りたいですよね。中古住宅の販売価格を決める査定ポイントには、以下のようなものがあります。
3-1. 築年数・老築化
中古住宅では築年数や老築化が査定の大きなポイントです。
築年数では、現在の耐震基準を満たす時期に建築されているか。住宅ローン減税対象となる築20年以下かなどが影響します。老築化では、水回りや配管、外装や内装の劣化、シロアリ被害といった内容が査定に影響します。
そして必要があれば修繕しておくことをおすすめします。コストはかかりますが、修繕を怠ったゆえに購入希望者から「大きな値下げ」を要求されたり、買い手が見つからなかったりすることを避けられますよ。
修繕は必要ですがリフォームはおすすめしません。その理由は5章でご説明しています。
3-2. 眺望・日当たり
周囲に高い建物がなく眺望が良かったり、南向きで日当たりが良かったりすると、買い手が付きやすいためプラスの査定ポイントになります。ほかにも、富士山やスカイツリーなど人気スポットが見えるとプラス査定となる可能性がありますよ。
3-3. 間取り・設備
どんな間取りか、どんな設備があるかも査定ポイントになります。生活・家事動線の良さ。購入層にとって使いやすい部屋数、間取りになっているかもポイントです。
また、空調設備や太陽光パネルなどの設備も査定のポイントになります。設備はプラス査定になる一方で、万が一壊れているとトラブルになることも。詳しくは5章で説明していますので、参考にしてください。
3-4. 土地の形状・道路との接地面
査定ポイントは建物だけでなく土地も評価されます。使い勝手が良い形状か。面積はどのくらいかなどが査定に反映されます。
また、道路の接地面積と、その道路の環境も査定ポイントです。まったく道路に面していないと不便なケースもありますが、交通量の多い幹線道路沿いは排気や安全性でマイナス査定になる場合もあります。
3-5. 立地・利便性
立地と利便性も大きな査定ポイントです。最寄り駅の路線の利便性や駅からの距離。周辺に病院やスーパー、学校など暮らしの利便性も見られます。
また、その中古住宅が立っている土地が、商業施設が立ちやすい「商業地域」か、高い建物が建築できない「低層居住専用地域」かなどによっても評価が変わります。中古住宅の場合、建て替えが難しい「市街化調整区域」かどうかも確認が必要です。
4. できるだけ高く早く売るコツは不動産会社選び
中古住宅をできるだけ高く早売るためには、どの不動産会社を選び、どんな契約を結ぶのかが重要です。
売主にとって良い不動産会社とは、以下のような条件が当てはまるでしょう。
- 良い価格で販売してくれる
- 熱心な販売活動をしてくれる
- 不安や疑問に丁寧に対応してくれる
4-1. 複数社に査定を依頼して比較する
良い不動産会社を探すには、一括査定サービスで複数社に見積もりを取ってもらうのがおすすめです。
一括査定サービスならNTTデータグループが運営する「不動産売却 HOME4U」がおすすめです。業界大手から地域密着型まで全国約1,800の不動産会社から、あなたの物件に適した会社を複数社選んで一括で査定依頼します。
ぜひ比較して、信頼できる不動産会社を見つけてくださいね。
4-2. 中古住宅は専任媒介契約がおすすめ
媒介契約には3種類ありますが、中古住宅では専任媒介契約がおすすめです。
その理由は、それぞれの特徴にあります。
【理由1】不動産会社の利益になりやすいため積極的に売ってくれる
一般媒介契約だけが複数社の仲介を依頼できますが、不動産会社視点で見ると、ほかの不動産会社で売買契約が決まってしまう可能性があります。
一方、専任媒介契約と専属専任媒介契約は、ほかの不動産会社に取られることがないため、売買契約を決めれば自社の報酬にすることができます。そのため不動産会社が優先的に熱心な販売活動を行ってくれる可能性があるのです。
【理由2】自分で見つけてきた買主にも売ることができる
また専属専任媒介契約は、売主本人が親戚や知人などの買主を見つけてきた場合に売ることが禁止されています。
中古住宅は、親類や知人が買ってくれるケースも多いため、自分で見つけてきた買主にも売ることができる専任媒介のほうがより売却できる可能性が上がるといえるでしょう。
5. 中古住宅を売るときの注意点
ここまで中古住宅をスムーズに高く売るための情報を確認してきましたが、注意すべき点もしっかり抑えておきましょう。
5-1. 売主には契約不適合責任(瑕疵担保責任)がある
契約時に伝えていない設備の故障や内装の劣化、シロアリ被害などがあると、売主の契約不適合責任が問われるので、注意が必要です。
以前は「瑕疵担保責任」といわれていましたが、制度が更新され「契約不適合責任」では、より売主の責任が大きくなっています。トラブルにならないためにも、以下の記事もぜひ併せてご覧ください。
5-2. 不要なリフォームはしないほうがいい
リフォームは物件や状況によってやるべきかどうかが変わります。特に近年、家を買う人は「なるべく安く家を購入して、自分で好みにリフォームしたい」と考える傾向にあります。
こうした時代的背景があるため、せっかくかけたリフォーム費用が無駄になったり、売却の妨げになったりする可能性もあります。リフォームは個人の判断で行わず、必ず不動産会社に相談してから決めてください。
6. 中古住宅を売るときにかかる費用
売却では大きなお金が入るだけでなく、かかる費用もあります。新居購入や引っ越しなども見据えて、出ていく費用も抑えておきましょう。
このほかにも、固定資産税(売主と買主で話し合い負担)、引っ越し費用、ハウスクリーニング代などケースによってかかる金額は変わります。
不動産売却時にかかる税金については下記の記事で詳しく説明しています。併せて参考にしてください。
7. 条件のある中古住宅を売りたい場合のポイント
中古住宅を売りたい場合、築年数が古かったり、住宅ローンが残っていたりして、売却に不安を持つ方も多くいます。
ここでは、3つの場合に参考になる情報をお伝えします。条件に当てはまる方は、ぜひ参考にしてくださいね。
7-1.築年数が古い中古住宅でも取り壊さずに売ったほうがいい
「築年数が古い家の場合、取り壊して更地で売ったほうがいいのではないか」と悩む方がいますが、古くても家を取り壊さずに売るほうがおすすめです。
築年数が古い家でもそのままがいい理由は
- 瑕疵担保責任が面積になる
- 家が立っていると買主が住宅ローンを利用できる
- 家があるほうが固定資産税が安い
それぞれの詳細は、下記の記事で解説していますので、気になる方はぜひ読んでみてください。
7-2. 買ったばかりの中古住宅は買ったときの相場価格で売れる
中古の家を購入したのに、事情があってすぐに売り出さなければならない場合、買ったときより安く売らなければならないのか、不安になりますよね。
しかし、買ったばかりの中古住宅は、購入時と相場変動が少ないため、ほぼ同じ価格で売れると考えられます。
新築の場合、「新築」という特典がなくなるため、買ったばかりでも購入価格より売り出し価格が下がる可能性がありますが、中古住宅では大きな相場変更がない限りは、ほぼ同じ値段で売れるでしょう。
ただし、売却には費用がかかるため、その分は出費となる可能性があります。
7-3. 住宅ローンが残っている場合でも家を売る方法はある
一般的な中古住宅の売却では、住宅ローンを支払い終えているか、売ったお金で完済できることが売却の条件です。
しかし、住宅ローンが残っていても中古住宅を売る方法があります。
- 住み替えローンを利用する
- 任意売却を利用する
- 住み替えローン
- 住み替えローンは、売る家の住宅ローンとこれから買う家の新しい住宅ローンを併せて、1つの住宅ローンにして借りなおす方法です。便利な方法ですが、審査が厳しい、住み替えのスケジュールが難しいなどの難点もあります。詳しくは以下の記事をご覧ください。
- 任意売却
- 任意売却は、住宅ローンを借り入れしている金融機関の承諾の下、相場価格で売りに出す方法です。任意売却は住宅ローンの返済が滞っている場合のみ利用できる方法で、家を売っても返せない部分の残債は、金融機関との話し合いにより返済方法を考えていく必要があります。
- 住宅ローンを滞納した場合に、強制的に相場より低い価格で売りに出される競売よりはよい条件で売却できる可能性があります。
詳しくは、下記の記事でご紹介しています。
まとめ
いかがでしょうか?中古住宅を売りたいとき、どうすればいいのか。いくらで売れるのか。高く売るコツ、注意点、特殊なケースにできることなどをご紹介してきました。
近年、中古住宅はよい立地に安く家が買えたり、購入後に自分の好きなリフォームができるなど注目を集めており、新築でなくても買い手がつきやすいケースもあります。
この記事を参考に、中古住宅の売却だからこそのポイントを押さえ、少しでも高く、そしてスムーズな売却を行ってくださいね。
- 「不動産を売りたいけど、どうしたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
- 「不動産一括査定」なら複数社に査定依頼でき”最高価格(※)”が見つかります ※依頼する6社の中での最高価格
- 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます
この記事のポイント まとめ
- 相場を調べる
- 査定の依頼をする
- 媒介契約の結ぶ
- 販売活動
- 売買契約
- 引っ越し
- 決済・引き渡し
- 確定申告
それぞれについて詳しくは「1.中古住宅を売る際の手順」で解説しています。
- チラシや不動産会社の張り紙
- 土地総合情報システム
- 国土交通省地価公示・都道府県地価調査(地価公示価格)
- 国税庁ホームページ(路線価)
- 納税通知書(固定資産税評価額)
- ネットの便利なサービスを利用する
詳細は「2. 中古住宅の相場を自分で調べる方法6つ」をご覧ください
築年数・老築化 | 耐震基準、住宅ローン対象建築数、水回りや配管の状態、外装・内装の劣化、シロアリ被害など |
眺望・日当たり | 隣接する建物の距離、窓やバルコニーの向き、日当たり、景観など |
間取り・設備 | 生活・家事動線、部屋の数や位置、空調設備や太陽光パネルなどの設備など |
土地の形状・道路との接地面 | 凹凸があるかないか、細さ、広さなどの形状。公道との設置面積、接する道路の環境など |
立地・利便性 | 最寄りの路線・駅からの距離。病院、学校、スーパーなどからの近さ。商業地域か低層住居専用地域かなど |
詳しくは「3. 中古住宅の査定ポイント5つ」をご参考ください。
良い不動産会社を選んで専任媒介契約にするのがおすすめです。
その方法と理由は「4. できるだけ高く早く売るコツは不動産会社選び」でご紹介していますので、参考にしてください。
- 売主には瑕疵担保責任がある
- 不要なリフォームはしないほうがいい
トラブルは損をしないためにも「5. 中古住宅を売るときの注意点」をぜひお読みください。
抵当権抹消費用 | 不動産についている抵当権(住宅ローンの担保となる権利)を抹消する登記費用 |
住宅ローンの残債 | 売却時点での住宅ローンの残債 |
仲介手数料 | 不動産会社の売買契約成功報酬 |
印紙税 | 売買契約書に貼る印紙代 |
譲渡所得税 | 家を売って得た利益にかかる税金 |
金額の目安や出し方は「6. 中古住宅を売るときにかかる費用」でご確認にいただけます。
記事では、古い家や住宅ローンの残債がある中古住宅を売る方法もご紹介していますので、ぜひ参考にしてください