不動産売却の税金はどのくらいかかる?節税に役立つ13の対策方法

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不動産を売った際に、所得税や住民税などが発生する場合があります。「少しでも安く税金を抑えたい」と思われる方も多いことでしょう。

不動産売却の税金を節税するには

  • 譲渡所得(不動産売却で利益に相当する部分)を小さくする
  • 特例を活用する

という2つのアプローチを実践することがポイントです。

この記事では、「不動産売却における税金の節税方法」について解説します。税金の基礎知識と、上に挙げた2項目を実現するための13種類の節税方法について紹介します。ご自分に合った節税方法を見つけていただき、ぜひ不動産売却で損をすることのないよう、ベストな行動を取ってください。

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Contents

1.不動産売却でかかる税金と発生のタイミング

不動産の売却では、「所得税」および「住民税」、「復興特別所得税」、「印紙税」、「抵当権抹消の登録免許税」の税金が発生します。それぞれの税金の発生のタイミングは以下の通りです。

2. 課税されるのは「売却額」ではなく「差額」

不動産を売却したときの税金は、売却額に対してかかるわけではありません

普通の商売では、税金は売った金額と仕入れた金額の差額の「利益」に対してかかります。不動産の売却も同じ考え方です。大雑把な表現をすると、売った金額と買った金額の差額に対して税金が課税されます。

不動産の売却では、利益に相当する部分を「譲渡所得」、売った金額のことを「譲渡価額」、買った金額のことを「取得費」、諸費用を「譲渡費用」と呼びます。

ただし、取得費は単純に買った金額ではないという点がポイントです。不動産は買ったときから相当に時間が経った後に売却するため、建物の価値が落ちています。そこで、「減価償却」という計算手続によって価値を落とした金額を「取得費」としています。

譲渡所得は、以下の計算式で求めることができます。

譲渡所得 = 譲渡価額※1-取得費※2-譲渡費用※3

※1 譲渡価額とは売却価額です。
※2 取得費とは、土地については購入額、建物については購入額から減価償却費を控除した価額になります。
※3 譲渡費用は、仲介手数料や印紙税、測量費など、売却に要した費用のことを指します。

計算の結果、譲渡所得がプラスのときは税金が生じ、譲渡所得がマイナスのときは税金が生じないというのが基本ルールです。高く売れたとしても、取得費や譲渡費用が大きく、譲渡所得が小さくなれば税金は節税できることになります。

譲渡所得にかかる税金の種類と計算方法については3章を、取得費の計算方法については4章をご覧ください。

3. 譲渡所得にかかる税金の種類と計算方法

この章では、譲渡所得にかかる税金について解説します。譲渡所得にかかる税金は次の4つです。

  • 所得税(譲渡所得税)
  • 住民税
  • 印紙税
  • 登録免許税

3-1.譲渡所得税(譲渡所得にかかる所得税)

譲渡所得税とは、所有している資産を譲渡して生じた譲渡所得に対して課される所得税や住民税を指します。「譲渡所得税」という正式な名称はなく、上記を総称して使う場合があります。この記事では便宜的に「譲渡所得にかかる所得税」を、以下「譲渡所得税」と使います。対象となる資産には土地や建物などの不動産の他に、株式等やゴルフ会員権、宝石、書画、船舶等が含まれます。

不動産売却でかかる譲渡所得税は、課税譲渡所得に定められた税率を乗じて求めることができます。

税金 = 譲渡所得×税率

有償無償にかかわらず、所有する資産を移転させる行為が該当するため、不動産取引においては通常売買の他、財産分与や競売、収用等も譲渡所得税の対象です。

<参考>長期譲渡所得と短期譲渡所得

譲渡所得税の税率は不動産の所有期間によって長期譲渡所得と短期譲渡所得の2つの区分に分けられ、税金の計算もそれぞれ別に行います。

不動産を売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるものは長期譲渡所得で、税率は15%。不動産を売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下のものは短期譲渡所得で、税率は30%です。いずれも、起算日は土地や建物を取得した日です。それぞれの税率は以下の通りです。

所得の種類 所有期間 所得税率 住民税率
長期譲渡所得 5年超 15% 5%
短期譲渡所得 5年以下 30% 9%

上記の税率でそれぞれ計算し、さらに2037年までは「所得税」に対して一律2.1%をかけた金額が「復興特別所得税」として納税額にプラスされます。所有期間の判定は、売却する年の1月1日時点であることがポイントです。

例えば、2020年に売却するのであれば、2014年12月31日以前より持っている場合には長期譲渡所得として判定されます。

譲渡所得の課税方法は申告分離課税に区分されています。そのため、総合課税である会社員の給与所得や事業所得とは区別し、租税特別措置法に基づいた税率によって計算し、確定申告を行って納付します。

【参考】国税庁:「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)

3-2.住民税

不動産売却でかかる住民税は、課税譲渡所得に定められた税率を乗じて求めることができます。計算式は次の通りです。

住民税=課税譲渡所得×税率

譲渡所得税と同じように、住民税の税率も不動産の所有期間によって異なります(上表参照)。課税譲渡所得に課される住民税の税率は、長期譲渡所得の場合は5%、短期譲渡所得の場合は9%です。

3-3.印紙税

印紙税とは、売買契約書に印紙を貼付して納税する税金です。印紙税の金額は取引額(消費税抜き)に応じて以下のように定められています。印紙税は印紙を売買契約書に貼り付け、消印をすれば納税完了です。

契約書に記載する売買金額 本則 軽減税率※
1万円未満 200円 非課税
1万円以上10万円以下 200円 200円
10万円超50万円以下 400円 200円
50万円超100万円以下 1,000円 500円
100万円超500万円以下 2,000円 1,000円
500万円超1,000万円以下 10,000円 5,000円
1,000万円超5,000万円以下 20,000円 10,000円
5,000万円超1億円以下 60,000円 30,000円
1億円超5億円以下 100,000円 60,000円
5億円超10億円以下 200,000円 160,000円
10億円超50億円以下 400,000円 320,000円
50億円超 600,000円 480,000円
金額の記載のないもの 200円 200円

※2014年4月1日~2022年(令和4年)3月31日まで

出典:国税庁「印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで

<参考>譲渡所得に関する税金の確定申告について

譲渡所得には譲渡所得税と復興特別所得税、住民税が課税されます。このうち、譲渡所得税と復興特別所得税は確定申告にて納付の手続きを行いますが、住民税は個別の申告手続きは必要ありません。譲渡所得税の申告手続きを行った時点で、住民税の申告も済ませたことになるからです。

確定申告手続き後、住民税納付書が届いたら、指定された金融機関で納付します。支払い方法は一括納付または分割納付となります。(分割納付の回数や支払期限等は市町村によって異なります。)

3-4.登録免許税

抵当権が付いている不動産を売却するときは、売却時に抵当権抹消に対して登録免許税が生じます。

抵当権とは、住宅ローンを借りる際、銀行がマンションに付けた担保権のことです。抵当権抹消の登録免許税は、「不動産の個数あたり1,000円」です。例えば、土地2筆(筆とは土地の単位)、建物1棟の場合には、3,000円となります。抵当権抹消の登録免許税には節税方法はありません。

4. 取得費の計算方法

この章ではマイホーム等の非事業用不動産の取得費の求め方について解説します。取得費は、土地については購入額、建物については購入額から減価償却費を控除した価額です。取得費を式で表すと以下のようになります。

取得費 = 土地購入価額+(建物購入価額-減価償却費)

4-1.減価償却費について

取得費を計算するには、まず購入額を土地と建物に分け、建物に関しては減価償却計算を行うことが必要です。

マイホーム等の非事業用不動産の減価償却の計算式は以下のようになります。

減価償却費 = 建物購入価額×0.9×償却率×経過年数

4-2.償却率について

償却率については建物の構造によって以下のように数値が定められています。

構造 非事業用の償却率
木造 0.031
木造モルタル 0.034
鉄骨造(3mm以下) 0.036
鉄骨造(3mm超4mm以下) 0.025
鉄骨造(4mm超) 0.020
鉄筋コンクリート造 0.015
鉄骨鉄筋コンクリート造 0.015

出典:国税庁「減価償却費の計算について

4-3.経過年数について

経過年数は築年数ではなく、購入の引渡から売却の引渡までの所有期間を表します。6ヶ月以上の端数が出た場合は1年と計算し、6ヶ月未満の端数が出た場合は切捨てで計算します。

(償却期間の計算例)

1996年3月~2019年6月・・・23年3ヶ月は「23年」として計算
2001年2月~2019年10月・・・18年8ヶ月は「19年」として計算

4-4.取得費の具体的計算方法

上記をふまえて、実際に取得費を計算してみましょう。以下は、全て消費税抜で計算しています。

(1)条件

建物構造:木造戸建て住宅
購入価額:5,000万円
  内訳:土地購入価額:3,000万円
     建物購入価額:2,000万円
経過年数:20年

(2)計算方法

最初に減価償却費を求めます。

減価償却費 = 建物購入価額×0.9×償却率×経過年数
      = 2,000万円×0.9×0.031×20年
      = 1,116万円

よって取得費は以下のように求められます。

取得費 = 土地購入価額+(建物購入価額-減価償却費)
    = 3,000万円+(2,000万円-1,116万円万円)
    = 3,000万円+884万円
    = 3,884万円

<参考>税金計算の具体例

ここまでの全ての条件をふまえて、税金の計算方法について見ていきましょう。

【条件】

譲渡価額:5,000万円
取得費 :3,884万円
譲渡費用:160万円
所有期間:20年(長期譲渡所得)

【計算方法】

(1)最初に、譲渡所得を求めます。

譲渡所得 = 譲渡価額-取得費-譲渡費用
     = 5,000万円-3,884万円-160万円
     = 956万円

(2)今回の条件では、長期譲渡所得の税率が該当するため、そちらを用いて、各税金を計算します。

・所得税 = 譲渡所得×所得税率
     = 956万円×15%
     = 143.4万円
・復興特別所得税 = 所得税×復興特別所得税率
         = 143.4万円×2.1%
         ≒ 約3.0万円
・住民税 = 譲渡所得×住民税率
     = 956万円×5%
     = 47.8万円
・税金 = 所得税+住民税+復興特別所得税
    = 143.4万円+47.8万円+約3.0万円
    ≒ 約194.2万円
ご自身の不動産について計算する際の、計算見本としてください(正確な数字とは異なる場合があるため、詳しくは専門家へ相談することをおすすめします)。

5. 不動産売却でかかる税金を節税する13の方法

ここまで、この章では不動産売却時の税金を節税する、13の方法について解説します。

節税方法 利用するケース
1. 取得費が不明な場合は取得費が分かる資料を探す 全部の取得費が不明なとき
2. 土地だけ取得費が分からないときは建物取得費を加算する 土地だけ取得費が不明なとき
3. 譲渡費用を漏れなく計上する 少しでも譲渡所得を小さくしたいとき
4. 取得費に加算できるものを加える 少しでも譲渡所得を小さくしたいとき
5. リフォーム費用を取得費に加える 少しでも譲渡所得を小さくしたいとき
6. 各種特別控除を適用する 大幅に譲渡所得を下げたいとき
7. マイホームの3,000万円特別控除が使えるタイミングで売る 3,000万円特別控除を使いたいとき
8. 共有名義は全員が3,000万円特別控除を適用する 特例を効果的に使いたいとき
9. 税率が下がったタイミングで売る 税率を下げたいとき
10. 住宅ローン控除と有利な方を選ぶ 買い替えのとき
11. 平成21年及び22年中の土地の取得でないか確認する 他に利用できる特例を確認したいとき
12. 相続空き家の3,000万円特別控除を利用する 相続した空き家を売却するとき
13. 相続した物件は取得費加算の特例を利用する 相続税を支払ったとき

5-1. 【節税方法1】取得費が不明な場合は取得費が分かる資料を探す

節税で最も効果があるのは、購入時の売買契約書等の取得費が分かる資料を探すことです。購入価額が不明の場合には、「概算取得費」と呼ばれる取得費を計算に用いても良いとされています。

概算取得費 = 譲渡価額×5%

概算取得費を用いてしまうと、譲渡所得が大きくなってしまうことから、税金が多く生じてしまいます。そのため、節税するには「購入時の売買契約書」を見つけ取得費をしっかり計算することが最も効果的です。

概算取得費は法的に強要された計算方法ではなく、取得費が分からない場合には、合理的な計算方法であれば良いとされています。例えば、以下のような資料を準備することで税務署に対し取得費を証明できる場合があります。

取得費が不明の場合に取得費の参考となる資料

  1. 新築物件の場合、当時の販売ディベロッパーから購入当時の売買契約書の写しをもらう
  2. 中古物件の場合、当時仲介してくれた不動産会社や個人売主から購入当時の売買契約書の写しをもらう
  3. 通帳の出金履歴から購入額を推測する
  4. 住宅ローンの金銭消費貸借契約書から購入額を推測する
  5. 抵当権設定額から購入額を推測する
  6. 一般財団法人日本不動産研究所が公表している市街地価格指数から土地の取得費を算定する
  7. 一般財団法人建設物価調査会が公表している着工建築物構造別単価から建物の取得費を算定する

上記のような資料を準備できる場合には、個別に税務署に相談してみましょう。

5-2. 【節税方法2】土地だけ取得費が分からないときは建物取得費を加算する

土地だけ取得費が分からないときは、建物取得費を加算することが節税対策となります。

不動産の中には、先祖から引き継いだ土地の上に注文住宅を建てているような場合、土地だけ取得費が分からないケースがあります。このようなとき、土地建物全体を概算取得費としてしまうのではなく、建物だけでも取得費はしっかり計上することで取得費を大きくでき、譲渡所得を小さくすることができます。

土地だけ購入価額が不明の場合、土地の取得費の求め方は以下の通りです。

土地の取得費 = (譲渡価額-建物取得費)×5%
取得費 = 土地の取得費+建物取得費

例えば、以下のようなケースで取得費を計算してみます。建物取得費を含めたほうが譲渡所得を小さくできることがわかります。

(例)

  • 譲渡価額:4,000万円(税別)
  • 土地の取得費:不明
  • 建物の取得費:2,000万円(税別)

土地の取得費 = (譲渡価額-建物取得費)×5%
       = (4,000万円-2,000万円)×5%
       = 100万円

取得費 = 土地の取得費+建物取得費
    = 100万円+2,000万円
    = 2,100万円

  • 土地の取得費のみの場合の譲渡所得=4,000万円-100万円=3,900万円
  • 建物取得費を含む場合の譲渡所得=4,000万円-2,100万円=1,900万円

5-3. 【節税方法3】譲渡費用を漏れなく計上する

節税を行うには、譲渡費用となるものは漏れなく計上することがポイントです。
譲渡費用になるものとしては、一般的に以下のようなものがあります。

譲渡費用として認められる支出の一例

  1. 土地や建物を売るために支払った仲介手数料
  2. 印紙税で売主が負担したもの
  3. 貸家を売るため、借家人に家屋を明け渡してもらうときに支払う立退料
  4. 土地などを売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用とその建物の損失額
  5. 既に売買契約を締結している資産を更に有利な条件で売るために支払った違約金(例えば土地などを売る契約をした後、その土地などをより高い価額で他に売却するために既契約者との契約解除に伴い支出した違約金のこと)
  6. 借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書換料など

譲渡費用として認められるかどうかは、「支出の目的が専ら譲渡実現のためであり、その効果も専ら譲渡に帰属するもの」が判断基準となっています。例えば、「媒介契約締結日以降に実施したハウスクリーニング費用」は譲渡費用として認められる可能性があります。

一方で、以下のような費用は、譲渡時に支出されたものであっても譲渡費用として認められません。

譲渡費用として認められない支出

  • 抵当権抹消費用
  • 遺産分割のために要した支出
  • 移転先家屋の購入費、修繕費、移転費用等
  • 譲渡資産の維持管理費等
  • 引越代、飲食代、交通費、宿泊費等

「抵当権抹消費用」は誤解の多い部分ですが、譲渡費用にはなりません。その他の支出も、譲渡費用になるかどうかは、最終的に税務署に確認の上、個別に判断を仰ぐようにしてください。

5-4. 【節税方法4】取得費に加算できるものを加える

取得費が少しでも大きくなれば譲渡所得が小さくなりますので、取得費に加算できるものを加えることが節税対策となります。取得費は、土地や建物の購入額の他、以下のものを加えることができます。

取得費に加えられるもの

  • 購入の際の仲介手数料
  • 購入の際に支払った立退料・移転料
  • 購入時の売買契約書に貼付けした印紙税
  • 購入時の登録免許税や司法書士へ支払った登録手数料
  • 購入時の不動産取得税
  • 購入時の搬入費や据付費
  • 購入時の建物等の取壊し費用

一方で、仲介手数料のように土地と建物に一体として支払われたものに関しては、購入当時の土地建物価格割合に応じて、それぞれに配分します。
一方で、仲介手数料のように土地と建物に一体として支払われたものに関しては、購入当時の土地建物価格割合に応じて、それぞれに配分します。

建物に配分された取得費は、減価償却の対象です。例えば、購入当時の土地価格が3,000万円、建物価格が2,000万円、仲介手数料が150万円だったケースを考えてみましょう。

  • 土地と建物の価格割合:土地=60%、建物=40%
    よって、仲介手数料のうち90万円(=150万円×60%)が土地、60万円(=150万円×40%)が建物に配分される
  • 購入当時の取得費:土地=3,090万円、建物=2,060万円
    建物の2060万円全額が減価償却の対象となる

なお、分譲マンションでは購入時にエアコンやウォシュレット、家具等のオプションがあります。これらのような、後から取り付け可能な家具や電化製品は取得費に含めることはできません。もちろん、譲渡費用にも含まれません。取得費は、あくまでも建物と一体となっている物だけが対象となり、取り外しが可能な家具等のオプションは取得費に含まれないことになります。

5-5. 【節税方法5】リフォーム費用を取得費に加える

取得費を大きくする方法として、増改築費用等のリフォーム費用を取得費に加えることも節税対策となります。増改築費用は全て建物取得費に配分され、減価償却の対象となります。減価償却で用いる償却率は、建物本体のものと同じです。

例えば、非事業用(マイホーム)で木造住宅をリフォームした場合、償却率は「0.031」を計算に用います。以下に、木造住宅をリフォーム工事したときの取得費の求め方を示します。

(与条件)
建物の用途:自宅(非事業用)
構造:木造(償却率0.031)
購入時の価格:3,000万円(税別)
 (内訳)土地価格:1,000万円
     建物価格:2,000万円
購入の経過年数(償却期間):15年
リフォーム工事費用:300万円
リフォームの経過年数(償却期間):7年

(取得費の求め方)
最初に建物本体部分の取得費を求めます。

本体部分の減価償却費 = 2,000万円×0.9×0.031×15年
           = 837万円

本体部分の取得費 = 2,000万円-837万円
         = 1,163万円

次にリフォーム部分の取得費を求めます。

リフォーム部分の減価償却費 = 300万円×0.9×0.031×7年
              = 58.59万円

リフォーム部分の取得費 = 300万円-58.59万円
            = 241.41万円

取得費 = 土地取得費+本体部分の取得費+リフォーム部分の取得費
    = 1,000万円+1,163万円+241.41万円
    = 2,404.41万円

リフォーム部分の取得費が加わることで取得費が大きくなりますので、計算される譲渡所得は小さくなります。

5-6.【節税方法6】各種特別控除を適用する

不動産の売却では、条件に合った各種特別控除を適用することが節税対策として効果的です。

特別控除を利用できる売却では、譲渡所得は以下のように計算されます。

譲渡所得 = 譲渡価額-取得費-譲渡費用-特別控除額

特別控除が受けられるケースと控除額の組み合わせは以下の通りです。

特別控除が受けられるケース 特別控除額
公共事業などのための収用で土地建物を売ったとき 5,000万円
マイホーム(居住用財産)を売ったとき 3,000万円
特定土地区画整理事業などのために土地を売ったとき 2,000万円
特定住宅地造成事業などのために土地を売ったとき 1,500万円
農地保有の合理化などのために土地を売ったとき 800万円

上記の特別控除を適用した結果、譲渡所得がマイナスとなった場合には譲渡所得はゼロとして扱われ、税金は生じないこととなります。

例えば、居住用財産の3,000万円特別控除を適用できる場合、譲渡所得の具体的計算例は以下の通りです。

譲渡価額:4,000万円(税別)
取得費:3,500万円
譲渡費用:126万円

譲渡価額 = 譲渡価額-取得費-譲渡費用-3,000万円
     = 4,000万円-3,500万円-126万円-3,000万円
     = ゼロ(マイナス2,626万円のため)

上記の場合、3,000万円特別控除を利用しないと譲渡所得が374万円となるため税金が生じますが、3,000万円特別控除を利用すると譲渡所得がゼロとなるため、税金は生じないことになります。

5-7.【節税方法7】マイホームの3,000万円特別控除が使えるタイミングで売る

マイホームは3,000万円特別控除が使えるタイミングで売ることが節税対策となります。
3,000万円特別控除は、居住用財産と呼ばれる不動産に適用することが可能です。

アパートやワンルームマンション等の収益物件は居住用財産に該当しません。
居住用財産は、あくまでもマイホームが対象となります。
居住用財産の定義は以下の通りです。

居住用財産の定義

  1. 現に居住している家屋やその家屋と共に譲渡する敷地の譲渡の場合
  2. 転居してから3年後の12月31日までに、居住していた家屋やその家屋と共に譲渡する敷地の譲渡の場合(この間に貸付や事業用に供していても適用となる)
  3. 災害などにより居住していた家屋が滅失した時は、災害のあった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、その敷地だけ譲渡する場合
  4. 転居後に家屋を取り壊した場合には、転居してから3年後の12月31日までか、取り壊し後1年以内か、いずれか早い日までに譲渡する場合(取り壊し後にその敷地を貸し付けたり、事業の用に供したりすると適用外となる)

「2.」の要件は、転居してから3年後の12月31日までに売れば、居住用財産ということです。
この場合、その間に他人に貸して収益物件になっていたとしても居住用財産として認められます。

「4.」の要件は、取り壊しても原則として1年以内なら更地売却でも居住用財産として認められるという要件です。

ただし、取り壊した場合は、取壊し後の更地を駐車場のように他人に貸してしまうと居住用財産にはなりません。
取り壊した後は、何もせず、すぐに売却するというのが節税するための大きなポイントです。

5-8.【節税方法8】共有名義は全員が3,000万円特別控除を適用する

夫婦の共有名義で持っているマンションを売却した場合等、3,000万円特別控除は共有者がそれぞれ3,000万円まで控除できます。
共有名義は全員が3,000万円特別控除を適用することが節税対策となります。

例えば、以下のような共有物件で3,000万円特別控除を適用する場合の具体的計算例を示します。

譲渡価額:5,000万円(税別)
取得費:850万円
譲渡費用:150万円
共有持分割合:夫60%、妻40%

共有物件では、最初に全体の譲渡所得を計算します。

譲渡価額 = 譲渡価額-取得費-譲渡費用
     = 5,000万円-850万円―150万円
     = 4,000万円

次に、譲渡所得を共有持分割合で配分します。

夫の譲渡所得 = 4,000万円×60%
       = 2,400万円

妻の譲渡所得 = 4,000万円×40%
       = 1,600万円

最後にそれぞれ3,000万円特別控除を適用して譲渡所得を計算します。

夫の譲渡所得 = 2,400万円-3,000万円=ゼロ
妻の譲渡所得 = 1,600万円-3,000万円=ゼロ

上記の例では、単独所有の場合だと、3,000万円特別控除を適用しても1,000万円(=4,000万円―3,000万円)の譲渡所得が発生してしまいます。

一方で、共有物件で計算すると、夫婦それぞれが3,000万円特別控除を適用できるため、譲渡所得はゼロになりました。

5-9.【節税方法9】税率が下がったタイミングで売る

不動産は税率が下がったタイミングで売ることが節税対策となります。
税率は3章でご紹介した、長期譲渡所得と短期譲渡所得で異なりますので、所有期間は5年超のタイミングで売却するのが節税になります。

また、居住用財産においては、「所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」があります。

特例の適用要件は、「居住用財産で所有期間が10年超となるもの」が対象です。
特例を適用すると、税率は以下のようになります。

譲渡所得金額※ 所得税 住民税
6,000万円以下の部分 10% 4%
6,000万円超の部分 15% 5%

※譲渡所得は、3,000万円特別控除の適用後の譲渡所得が対象です。

復興特別所得税の税率に関しては2.1%のままになります。

つまり、3,000万円特別控除を適用しても譲渡所得がプラスの場合には、所有期間が10年超のタイミングで売却すると節税することができるのです。

5-10.【節税方法10】住宅ローン控除と有利な方を選ぶ

買い替えでは、購入物件で住宅ローン控除を利用するケースがあります。
住宅ローン控除とは返済期間が10年以上のローンを組んで住宅を購入した際、自分が住むことになった年から一定の期間に渡り、所定の額が所得税から控除される制度です。

住宅ローン控除は、売却物件の以下の3つの特例とは同時に利用することができません。
そのため、住宅ローン控除と比較して有利な方を選ぶことが節税対策となります。

住宅ローン控除と併用できない特例

  1. 3,000万円の特別控除
  2. 所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
  3. 特定の居住用財産の買換え特例

一般的には住宅ローン控除の方が節税効果は大きくなることが多いですが、十分に比較検討してから有利な方を選択するようにしてください。

住宅ローン控除は、購入物件に入居した年の他、その前年または前々年あるいはその翌年または翌々年に3,000万円特別控除等を適用すると利用できなくなります。

仮に、どうしても2つの特例を利用したい場合は、以下のような組み合わせを行うことで3,000万円特別控除等と住宅ローン控除の2つを利用することができます。

  • 先に購入を行い、購入物件に入居した後、3年目以降に売却する
  • 先に売却を行い、一度賃貸物件に引っ越した後、3年目以降に購入する

尚、住宅ローン控除の控除対象限度額は、売主が誰かによっても金額が異なります。
中古住宅を購入する場合、個人が売主の物件を購入するよりも、不動産会社等の消費税課税事業者が売主の物件を購入した方が節税効果は大きいです。

売主 控除対象の借入限度額 最大控除額
個人 2,000万円 200万円
消費税課税事業者 4,000万円 400万円

売主によって控除額に差がある理由は、住宅ローン控除が消費税軽減対策だからです。

尚、購入物件が中古住宅の場合、住宅ローン控除を利用できる物件には木造のような非耐火建築物なら築20年以内、鉄筋コンクリート造のような耐火建築物なら築25年以内等の条件があります。

条件を満たしていない物件を購入してしまうと、住宅ローン控除を利用できませんので、中古住宅の購入の際は十分に要件を確認してから購入するようにしてください。

参考:国税庁「中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)

5-11.【節税方法11】平成21年及び22年中の土地の取得でないか確認する

平成21年及び平成22年に取得した土地等を所有期間が5年を超える時点に売却した場合、土地の譲渡所得については、1,000万円特別控除を利用できるという特例があります。

平成21年に取得した土地等については平成27年1月1日以降の売却で、平成22年に取得した土地等については平成28年1月1日以降の売却でこの特例を適用することができます。

1,000万円の特別控除を適用した場合、譲渡所得は以下のように計算されます。

譲渡所得 = 譲渡価額-取得費-譲渡費用-1,000万円

この特例は、居住用財産の3,000万円特別控除等の他の特例とは重複適用できません。
居住用財産の3,000万円特別控除等を適用できない場合には、念のため土地の取得が平成21年及び22年中でなかったか確認するようにしてください。

5-12.【節税方法12】相続空き家の3,000万円特別控除を利用する

相続した戸建てのうち、一定の要件を満たす空き家については、マイホームでなくても売却時に3,000万円特別控除を利用することができます。

譲渡所得 = 譲渡価額-取得費-譲渡費用-3,000万円

対象となる空き家は、昭和56年5月31日以前に建築された戸建てです。
マンションは対象外となります。

「相続空き家の3,000万円特別控除」は要件が細かいため、国税庁の示す要件を十分に確認した上で利用するようにしてください。

参考:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例)

「相続空き家の3,000万円特別控除」には、「耐震リフォームを行って売る」のと「取壊して売る」という2つの選択肢があります。

戸建ての場合、耐震リフォームは500万円程度、取壊し費用は150万円程度となり、コストは取り壊しの方が安いです。

また、売却のしやすさも耐震リフォームして古い家を売るよりは、取り壊して更地として売却した方が売りやすくなります。

よって、「相続空き家の3,000万円特別控除」を利用する場合、「コスト」や「売りやすさ」の面からは、取壊しを選択することをおススメします。

5-13.【節税方法13】相続した物件は取得費加算の特例を利用する

相続税を納税した方は、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに不動産を売却すると、取得費加算の特例を利用することができます。

取得費加算の特例を適用したときの譲渡所得の計算方法は以下の通りです。

譲渡所得 = 譲渡価額-取得費-取得費に加算する相続税額-譲渡費用

取得費に加算する相続税額とは、以下の計算式で求められるものになります。

その者の相続税額 × その者の相続税の課税価格の計算の基礎とされたその譲渡した財産の価額
その者の相続税の課税価格+その者の債務控除額

取得費加算の特例を適用するには、以下の要件が必要です。

  1. 相続や遺贈により財産を取得した者であること。
  2. その財産を取得した人に相続税が課税されていること。
  3. その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。

なお、相続した不動産を売却する場合には、所有期間は被相続人(他界した人)の所有期間を引き継ぎます
例えば、親の所有期間が5年超であれば、相続後、すぐに売却しても長期譲渡所得の税率が適用されます。

お家のいろは コラム “印紙税の節税”は可能だがおすすめしない

売買契約書は印紙税を貼らなければならない課税文書です。売買契約書は、売主と買主の双方で原本を保管することが通常ですが、売買契約書の原本を1つだけにすれば、印紙税を節税することは可能です。

買主は住宅ローンの本審査で売買契約書の原本が必要となるため、原本保管は買主がマストです。一方、売主は確定申告時に売買契約書が必要になりますが、「写し」でも構いません。

しかしながら、不動産は高額な取引であり、後々のトラブルを防ぐためにも、売主も売買契約書の原本は保管しておくべきです。印紙税はそれほど大きな金額ではないため、節税するよりも、割り切って払うことをおすすめします。

6.不動産の売却時における税金に関する基礎知識

不動産の売却で動く金額は大きいため、それに伴う税金の額も大きくなります。損をしないためにも、いつ・どのような税金がいくら必要になるのか、どのように納めたらよいのかを知っておくことが大切です。ここでは、不動産の売却時に抱きやすい税金の疑問点について解説します。

6-1. 消費税がかかるもの、かからないもの

個人間の不動産売買においては、土地は消費税非課税となります。土地の売買は資本の移転に当たるものと考えられているため、一般的な土地取引は消費税の課税対象外となっています。

一方、建物は消費税課税対象です。しかし、売却する建物の所有者名義が個人であれば、消費税はかかりません。消費税は、「国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、資産の貸付け及び役務の提供に対して課税される」(国税庁)と定められているためです。

つまり、売主が課税事業者なら課税対象、個人なら非課税対象ということになります。(課税事業者であっても一部、社会的配慮等によって非課税対象になる場合もあります)。

なお、不動産売却時に不動産会社等に仲介を依頼したときの仲介手数料は、サービスの提供に対する対価とみなされるため、消費税の課税対象となります。

6-2. 具体的な税金の支払い方法

不動産を売却して譲渡所得が発生したら、基本的に譲渡した日の翌年の2月16日~3月15日(※1)の間に確定申告と納付をします(※2)。
納税地の税務署で確定申告書を提出し、納付書をもらって納付する形となります。

譲渡所得税の支払いは、銀行や郵便局で直接振り込むか、口座引き落としで振替納税をするかの2つの方法から選択できます。

なお、住民税の支払いについては、所得税の申告に基づき、翌年度分の住民税として課税されることになりますので、個別に申告する必要はありません。
譲渡所得税の確定申告時に特別徴収(※3)か普通徴収(※4)にするかを選択可能です。

※1 2021年(令和3年)の確定申告・納付期限は4月15日まで延長されています。
※2 譲渡所得税と併せて、復興特別所得税も自身で計算して納付する必要があります。
※3 給与から源泉徴収して事業主が代わりに支払う方法です。
※4 市区町村から送付される納税通知書にて納税義務者自身が支払う方法です。

6-3. 確定申告が必要

先述したとおり、不動産を売却して譲渡所得が発生したら確定申告をする必要があります。

所得税の確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間に得た所得に対してかかる税金を計算し、国に納めるべき税額を申告する手続きのことをいいます。期限までに手続きを済ませなければ、無申告税が加算されてしまうため注意が必要です。

個人が所有する居住用不動産の売却で発生した譲渡所得は、申告分離課税となりますので、所得税及び復興特別所得税として申告します。

譲渡所得がある方は、確定申告書B様式、申告書第三表、譲渡所得の内訳書を用意(※1)して必要事項を記入し、その他の申告書添付書類(※2)と併せて提出します。

確定申告の方法は、以下の3つの方法があります。

(1)税務署の窓口に出向いて直接提出する
(2)税務署に郵送する
(3)電子申告(e-Tax)を利用する

詳しくは、PDF国税庁の所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引きをご確認ください。

※1 税務署から直接書類をもらう、または国税庁HPからダウンロードします。
※2 譲渡所得にかかわる申告書添付書類についてはこちら

まとめ

いかがでしたか?この記事では、不動産売却で生じる税金の種類、計算方法、13の節税方法について解説しました。

節税のポイントは、「譲渡所得を小さくする」ことと、「特例を活用する」こと。そして、この2つを同時に行うことです。

具体的な対処法として挙げた13種類の節税方法のうち、1~6が「譲渡所得を小さくする」方法、7~13が「特例を活用する」方法に該当します。譲渡所得の計算方法、計上できる譲渡費用のリストアップ、13種類の節税方法を行うための具体案も紹介しました。

不動産の税金計算に関しては、素人には難しいものが多いといえます。どのくらい支払いが生じるのか、節税のための特例対象に該当するのかなど、正確に知るためには専門家の意見を利用したほうがよいでしょう。本記事のメソッドとともに上手く活用して、不動産を売却した際、節税を行ってくださいね。

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