
仲介手数料は、不動産売却の中で最も大きな費用となります。
これから不動産を売却しようとする方の中には、
「仲介手数料っていくらくらいかかるのだろう?」
「仲介手数料の仕組みや支払い時期について詳しく知りたい」
と思っている方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、不動産売却における仲介手数料について解説します。
仲介手数料の特徴や計算方法、支払い時期、キャンセル時の返金ルール等、これさえ読めば仲介手数料の全てが分かる内容となっています。
最後までお読みいただき、仲介手数料の理解に役立てて頂けると幸いです。
Contents
1.不動産売却でかかる仲介手数料とは
仲介手数料とは、不動産会社が仲介業務を行ったときに得る報酬のことです。
仲介やあっせんのことを、法律用語では「媒介」、仲介手数料は「媒介報酬」と呼ばれます。
ここでは仲介手数料について、基本的なことを説明します。
1-1. 仲介手数料は「成功報酬」=契約成立までは基本的にお金はかからない
仲介手数料は「成功報酬」型の手数料です。つまり、売買契約が成立しない限り、不動産会社に仲介手数料の請求権は発生しません。
もちろん、着手金や前金のような金額は一切発生しません。
仮に不動産会社が前金のようなものを要求してきたら、それは法律違反となります。
不動産会社は売却前に査定を行ってくれますが、査定料は必ず無料です。
その他、売買を成立させるまでの間に、調査費や広告等で実費が発生する場合もありますが、これらの費用が途中で請求されることは原則としてありません。
不動産会社は売買が成立するまで、色々「無料で」対応してくれますが、無料でサービスをしてくれるのは、仲介手数料が成功報酬だからです。
また、媒介契約の中には、複数の不動産会社に同時に依頼できる一般媒介契約があります。
一般媒介で複数の不動産会社に仲介を「依頼」したとしても、「売買を成立」させるのはその中の1社のみなので、支払う仲介手数料もその1社に対してのみになります。
1-2.仲介手数料が発生する3要件
不動産会社が媒介報酬を請求できるようになるには、3つの要件を満たす必要があります。
媒介報酬請求権の3要件
- 不動産会社と依頼者との間で媒介契約が成立していること
- その契約に基づき不動産会社が行う媒介行為が存在すること
- その媒介行為により売買契約等が有効に成立すること
仲介手数料の算出には簡単な計算式があり、その式を使って計算されるのが一般的です。あらかじめ計算方法を知っておくと、どれくらいの費用がかかるのか事前に把握しておくことができます。
この仲介手数料の計算式については、詳しくは2章で説明します。
2.仲介手数料の計算方法
仲介手数料には、不動産会社が受領できる上限額が宅地建物取引業法で定められています。そのため、不動産会社がその上限額を超えた請求をすると違法になります。
2-1.仲介手数料の計算式
不動産の仲介手数料について、国土交通省の告示では以下のように定めています。
取引額が200万円以下の場合:取引額の5%
取引額が200万円超から400万円以下の場合:取引額の4%
取引額が400万円超の場合:取引額の3%
媒介報酬は上記の「1」~「3」の合計金額以内とする
国土交通省:令和元年8月30日改正(令和元年10月1日施行)「昭和45年建設省告示第1552号」参照
この計算式は、売却額をそれぞれの価格帯ごとに分けて手数料を計算し、合算するため、計算に手間がかかります。図に表すと以下のようになります。
そこで、仲介手数料の上限額は、一般的には「速算式」と呼ばれる以下の式で求めるのが便利です。
取引額(※1) | 仲介手数料(別途消費税) |
---|---|
200万円以下 | 取引額の5% |
200万円超から400万円以下 | 取引額の4%+2万円 |
400万円超 | 取引額の3%+6万円 |
※1 取引額=売却額
実際に、上記の計算式を使って、仲介手数料を計算してみましょう。
(例)3,500万円で売却された場合の仲介手数料の計算結果
仲介手数料 = 取引額の3%+6万円
= 3,500万円×3%+6万円
= 105万円+6万円
= 111万円(※)
※この仲介手数料に、別途消費税が加算されます。
なお、宅建業法の一部改訂(平成30年1月1日施行)により、400万円以下の不動産売買の仲介手数料については、上限が18万円となっています(売主にのみ適用。事前に不動産仲介業者から売主への説明と合意が必要)。
<参考>国土交通省:告示第千百五十五号 2ページ第七項
2-2.仲介手数料を知るために、売却価格を調べたい場合
上記のとおり、仲介手数料は実際の売却価格がわからないと、計算式がわかっていても算定できません。
実際の売却価格は売買契約を結ばないと確定しませんが、売ろうと思っている不動産のおおまかな「査定価格」を知ることで、仲介手数料についてもある程度目星をつけることが可能です。
売却を考えている不動産のおおまかな価格を知りたい場合は、一括査定サービスのご利用をおすすめします。
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3.仲介手数料を支払う流れと2回に分けて支払う理由
仲介手数料は、売買契約時に50%、引渡時に50%を支払うのが一般的です。
3-1.仲介手数料は「売買契約時」50%、「引渡時」50%を支払うのが一般的
不動産の売買では、通常、売買契約と引渡の間1カ月ほど時間を空けます。この1カ月の最初と最後に仲介手数料を支払う、というイメージです。
売買契約~引渡に1カ月必要な理由は以下のとおりです。
【買主】
・売買契約書がないと住宅ローンの本審査を申し込むことができないため、引渡までの間は1カ月ほどの時間が必要
【売主】
・空き家の状態で物件を引渡すため、売買契約と引渡の間に引っ越しを行う必要がある
・引渡までの間に、売主と買主の立会いのもと、設備の動作確認、戸建てや土地の売却では、境界の確認も行う必要がある(設備の不良等でトラブルが発生した場合には、不動産会社に相談しながらトラブル解決に向け対応)
引渡当日には、残金入金(2回目の入金)があります。
住宅ローンが残っている場合には、抵当権の抹消も同日で行いますので、不動産会社に具体的な必要書類を指示してもらいます。
3-2.仲介手数料を2回に分けて支払う理由
実は、不動産会社には売買契約時点において、全額100%の仲介手数料の請求権が発生しています。そのため、本来であれば売買契約時に不動産会社から100%の請求があっても違法ではありません。
しかしながら、実際には売買契約後も、引渡までの間は不動産会社には多くの業務が残っています。
売買契約時に全額仲介手数料を支払ってしまうと、その後、不動産会社が急に仕事を雑にやり始める可能性もゼロだとは言い切れないですよね。
売主としては、仲介手数料の支払いは引渡時まで留保したいという気持ちが本音ではないでしょうか。
そこで、間を取って、売買契約時に50%、引渡時に50%を支払うことが商習慣として根付きました。
仲介手数料の半額を引渡まで留保することで、不動産会社に最後まで頑張ってもらう意図があることを理解しておきましょう。
4.仲介手数料には消費税がかかる
仲介手数料は課税取引であるため、消費税が発生します。
不動産の売買では、課税取引と非課税取引があるため、仲介手数料も連動して誤解されることが多いですが、仲介手数料には複雑なルールはなく、全て課税取引となるのが原則です。
売主がサラリーマンのような「個人(課税事業者ではない)」で、所有している「自宅や別荘など(不動産投資など、継続した事業に供するものではない)」を売却する場合は、「土地」「建物」どちらにも消費税は発生しません。(課税事業者が取り扱う場合は、「建物」には消費税がかかります。後述参照)
仲介手数料は、「取引額」に対して一定料率を乗じます。取引額とは、消費税を除いた金額です。
(例)取引額 = 土地価格+建物価格 7,000万円の場合
仲介手数料 = 取引額×3%+6万円
= 7,000万円×3%+6万円
= 216万円(課税前)
仲介手数料は課税取引であるため、消費税を含めて計算すると、以下のようになります。(2020年10月現在、消費税10%の場合)
仲介手数料(税込) = 216万円×1.10
= 237.6万円
まとめると、以下の2点がポイントとなります。
- 「不動産そのもの」の消費税が非課税か課税かに関わらず、「仲介手数料」には消費税が発生する。
- 「仲介手数料」の計算対象となる取引額は、税抜き価格で計算する。
不動産の売却について調べていて「建物には消費税がかかる」と書いてある記事などもあり、混乱した方もいるかもしれません。
上記のとおり、売主が個人で、自宅などを売却する場合は、建物にも消費税はかかりません。
不動産の売買において、売主が課税事業者と呼ばれる消費税の納税義務がある事業者の場合には、土地と建物を売ると、建物に対しては消費税が課されます。
このように、不動産は売る方(課税事業者であるかどうか)や売る物件(土地か建物か)によって消費税が発生する場合と発生しない場合がありますが、仲介手数料については消費税が非課税・課税に関わらず、単純に消費税が発生します。
5.契約解除の場合の仲介手数料の返金ルール
3章で見たとおり、売買契約から引渡までの間は、時間的には1カ月もあります。
その間に万が一、契約解除が発生したら、売買契約時に支払った50%の仲介手数料はどうなってしまうのでしょうか?
手付解除とローン特約による解除では、既に支払った50%の仲介手数料の扱いが異なります。
この章では「契約解除」になった場合の仲介手数料の返金ルールについて解説します。
5-1.手付解除する場合
手付解除の場合は、既に支払った仲介手数料は取り戻せないというのがルールとなります。
「手付」とは、売買契約などの有償契約において、契約を結ぶ際に、契約における当事者の一方から相手方に交付される金銭などを指します。
手付を交付することによって、後から契約を解除することができる場合、これを「手付解除」と呼びます。
(手付)
第五百五十七条 買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。引用:e-Gov「民法」
手付には解約手付、証約手付、違約手付の3種類がありますが、原則的に民法において手付=解約手付であるとされています。
さらに、宅地建物取引業法では、買主を保護する観点から、売主が宅地建物取引業者である場合は不動産の売買契約で交付される手付は解約手付であると定められています。
(手付の額の制限等)
第三十九条
2 宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであつても、買主はその手付を放棄して、当該宅地建物取引業者はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
さらに具体的に見ていきましょう。
不動産の売却では、売買契約時点に、売主は買主から手付金を受領することが一般的です。手付金の相場は、売買代金の10~20%となります。
引渡まで何もなく順調に行けば、手付金はそのまま売買代金に充当されます。引渡時は、手付金を除いた残代金が入金される仕組みです。
手付金は、売買契約の成立を証拠立てる「証約」の役割を果たします。
一方で、手付金には、手付金をもって契約を解除できる「ペナルティー」としての役割もあります。
売買契約以降、引渡までの間に、買主は手付金を放棄することで契約解除をすることが可能です。それに対して、売主は手付金を倍返しすることで契約解除をすることが可能になります。
売主だけ倍返しというのは重い感じがしますが、売主は既に買主から手付金を受領している状態ですので、売主から預かっている手付金に加え、自らも手付金を払うことで「倍」になります。つまり、売主も買主も、手付金の「1倍」の額を払えば契約を解除できるというのが「手付解除」です。
この手付解除は、売主や買主の一方的な都合で解除ができます。極端に言えば、「やっぱり気が変わったので売るのを止めます」という気まぐれな気持ちでも解除できてしまう解除方式です。
しかしながら、ここで問題となるのが既に不動産会社へ支払った半額の仲介手数料についてです。
手付解除で解除される場合、売主や買主の一方的な都合による解除のため、不動産会社には「非」がありません。不動産会社はせっかく頑張って売買契約を成立させたのに、勝手な都合で契約を解除されてしまったら、気の毒です。
そのため、「手付解除の場合には、売買契約時に支払った仲介手数料は取り戻せない」というのがルールになります。
手付解除では、仲介手数料が戻ってこないことに憤慨する方が多いので、ルールを知っておきましょう。
5-2.ローン特約による解除の場合
ローン特約による解除の場合は、既に支払った仲介手数料は取り戻せるのがルールとなります。
ローン特約とは、買主が住宅ローン等のローンを使って物件を購入する場合、買主が銀行の融資審査に通らなかったときのルールを定めた契約条文のことです。
「ローン特約」とは俗称で、契約書上では「融資利用の特約」「融資利用の場合」などの名称で規定されている条文のことを指します。
住宅ローンの本審査を通すときは、売買契約書が必要となります。そのため、買主の本審査は売買契約から引渡までの間に行うことが通常です。この間に買主が本審査に通らなかった場合、ローン特約では違約金無しで解除できることを定めています。
この理由としては、ローン特約による解除は、銀行の融資姿勢が厳し過ぎることが原因で生じたものであり、特段、買主が悪いというわけではないという考え方を採用しているためです。
「融資が通らないのは買主が悪いのでは?」という考えも浮かばなくはないですが、銀行によっては一方的に厳しい態度を取るところも有りますので、ローン特約では買主には非がないという解釈をします。
以上のように、ローン特約による解除はノーペナルティーによる解除ですので、まず、売主が既に受領した手付金に関しては、満額、返金することになります。
次に、不動産会社が売主から受領した50%の仲介手数料についても、満額売主に返金となります。
よって、ローン特約では、手付金や50%の仲介手数料は、一旦全て元の方のところに戻ることになります。
ローン特約による解除は、仲介手数料に関してはあまりトラブルになることはありません。
ただし、手付金については、「売主が既に使ってしまい、返せない」というトラブルが起こることがあります。手付金は引渡が終わるまで手を付けないようにしてください。
売れたと思った不動産が、ローン特約が原因の契約解除になってしまったら、がっかりしてしまいますよね。
ローン特約による解除は、仮審査を通った買主のみに売買契約することで、解除リスクを回避することができます。
仮審査とは、売買契約書がない時点で銀行が行ってくれる簡易的なローン審査です。仮審査に通っている買主なら、ほとんど本審査に通ります。
ローン特約による解除を回避するには、売主から「この人は、仮審査に通っていますか?」と、ひと言、不動産会社に確認することがポイントです。
なお、仮審査を通った買主のみしか契約させないという配慮をしてくれる気の利いた不動産会社もあります。仲介を依頼する不動産会社を一括査定サービス「不動産売却 HOME4U」で選ぶ際には、このようなことにも着目してみてください。
6.仲介手数料の値引きや無料化は可能?
不動産の売却にかかる仲介手数料については、おおむね把握できたのではないでしょうか。
「イメージしていたよりも高いかも…」「値引きや、無料にしてもらうことはできる?」と気になった方もいるかもしれません。
結論から言えば、仲介手数料の値引きを交渉することは可能です。ただし、デメリットやリスクもあります。
どのようなケースで値引きが期待できるのか、交渉のタイミング、注意点とともに見ていきましょう。
6-1.値引き交渉が比較的提案しやすいケース
ここでは比較的、値引き交渉が持ち掛けやすいケースを紹介します。
(1)「専属選任媒介契約」「専任媒介契約」にするケース
不動産会社に売却の仲介を依頼するとき、「専属選任媒介契約」または「専任媒介契約」にすると、不動産会社は売主との直接契約を結ぶことになります。不動産会社にとって競合がいないことから、仲介手数料の値引きを提案しやすくなります。
ただし、この契約の場合、売主は他社へ売却を依頼することができません(「専任媒介契約」の場合のみ、「自己発見取引」(売主が自分で見つけた買主との直接取引)は可能です)。
なお、売主が自分で見つけてきた買主と直接取引し、成約して専任媒介契約を解除した場合、契約を結んでいた不動産会社は広告など物件売却のための活動にかかった費用を売主に請求することができるので、注意が必要です。
(2)「両手取引」で割引や無料が可能になるケース
売主側も買主側も同じ不動産会社が仲介する場合、この形を「両手取引」といい、不動産会社は両方から仲介手数料を受け取れます。(詳しくは7章Q&A参照)
「仮に売主側の仲介手数料を無料にしても、買主側から手数料が受け取れることになる」ため、「長い目で見れば、仲介手数料を値引いてもスムーズに成約したほうがよい」と、値引きに応じてもらえたり、不動産会社から割引や無料を持ち掛けられたりすることもあるようです。
※あくまでも仲介手数料の値引きや無料化は、物件状況や不動産会社の判断によります。
6-2.値引きの最適タイミングと注意点
仲介手数料には下限額の決まりはないため、値引き交渉をすること自体は問題にはなりません。
そこで、もしも値引き交渉をする場合は、不動産会社に相談する最初のタイミング、契約前に行いましょう。契約締結前ならば、契約獲得のために、不動産会社も前向きに考えてくれるかもしれません。また、契約締結後になると契約内容の変更が必要になるため、交渉しても値引きしてもらえる可能性は薄くなるでしょう。
注意点として、値引き交渉を強引に行った場合、売主と仲介してくれる不動産会社との関係が悪化する可能性があります。仮に値引き交渉を行う場合でも、お互いに無理がない範囲で進めることが大切です。
「できるだけ仲介手数料を安くしたい!」と考えてしまうかもしれませんが、売却の手続きなどをスムーズに進めるためにも、丁寧に仕事をしてくれる良い不動産会社に出会い、良い関係を継続することが大切です。
仲介手数料の値引きより、物件そのものを他の不動産会社よりも高く査定してくれる不動産会社を探すほうが建設的といえます(他と比較してあまりにも物件査定価格が高い会社には要注意。契約締結のために、相場とはかけはなれた金額で査定している可能性があります)。
不動産会社に査定を依頼する場合は、必ず複数の不動産会社に依頼をして、査定価格を比較するようにしましょう。その際、仲介手数料について質問してみてもよいでしょう。
「不動産売却 HOME4U」ならば、信頼のおける不動産会社複数への一括査定依頼が可能です。
7.不動産売却の仲介手数料に関するQ&A
不動産の仲介手数料に関して、よく寄せられる質問、疑問に対してお答えします。
7-1. 不動産の仲介手数料、高い気がしますが…
すでに見てきたように、個人がマンションや戸建てを売却する場合の仲介手数料は、報酬上限額が相場です。400万円超の取引なら「取引額の3%+6万円」となります。
「不動産の仲介手数料は高い」というイメージを持っている人もいるかもしれませんが、「3%」というのは、成功報酬の料率としてはかなり低い部類で良心的です。
例えば不動産以外の世界の例でいうと、近年はインターネットで個人間売買もできるようになっています。
インターネットの個人間売買で、仲介会社が取る手数料は10%程度といわれています。
最近流行っているクラウドソーシングなどでは、仲介会社の手数料は20%にもなる場合があります。
「他と比べてこうだから、不動産の仲介手数料は安い!」とまでは言えませんが、不動産取引は宅地建物取引業法の法規制があるため、消費者がしっかりと守られているというメリットがあります。不動産の仲介手数料では、上記のことにも目を向けて頂ければと思います。
7-2. 速算式の「+2万円」や「+6万円」って何?
「仲介手数料の速算式の+2万円や+6万円って何ですか?」という質問が非常に多いですが、「6万円は計算上生じる端数」と理解しておけば十分です。しかし気になる方もおられると思いますので、ここでは速算式の「+2万円」「+6万円」はどこから出てきたのか、根拠を説明します。
【400万円超の物件の場合】
Aの部分の面積:横軸がX万円、縦軸が3%であるため、「X万円×3%」
Bの部分の面積:横軸が200万円、縦軸が2%(=5%‐3%)であるため、「4万円(=200万円×2%)」
Cの部分の面積:横軸が200万円、縦軸が1%(=4%‐3%)であるため、「2万円(=200万円×1%)」
仲介手数料はABCの合計であるため「X万円×3%+4万円+2万円」、つまり、400万円超の速算式は、「取引額の3%+6万円」となります。
7-3.「両手仲介」「片手仲介(分かれ)」って何ですか?
6章でも出てきた「両手仲介」、そして「片手仲介(分かれ)」という言葉について、この両者の違いを解説します。
日本の不動産業では、不動産会社が売主からも買主からも仲介手数料を受領することが認められています。
元付と客付が同じ不動産会社であり、売主からも買主からも仲介手数料を受領することを、「両手」と呼びます。
それに対し、元付と客付の不動産会社が別であり、売主もしくは買主の一方のみから仲介手数料を受領することを「片手(分かれ)」と呼びます。
なお、元付の不動産会社が自社で買主を見つけるか、他社の力を借りて買主を見つけるかの違いであるため、「両手」でも「片手(分かれ)」でも、依頼者(売主)が不動産会社に支払う仲介手数料は同じです。
まとめ
いかがでしたか。この記事では、不動産売却にかかる仲介手数料について説明しました。
- 仲介手数料の計算式は、取引額が400万円超では「取引額の3%+6万円」で計算できる
- 仲介手数料は成功報酬であり、報酬上限額が定められている
- 消費税の課税取引であるため、消費税が非課税の土地の売買を行う場合でも、仲介手数料には消費税が発生する
- 仲介手数料は、売買契約時に50%、引渡時に50%を支払うことが一般的
- 売買契約から引渡までの間に、契約が手付解除で解除されたら仲介手数料は返金されない。ローン特約によって解除された場合は返金される
仲介手数料には、計算ルールや支払い時期の商習慣、返金ルールなど、はじめて売却をする方にとっては知らないことも多いのではないでしょうか。
仲介手数料は大きな金額になりますので、この記事を参考にしっかり理解して、売却を依頼するようにしてくださいね。
(2020/10/20改訂・追記:本記事の掲載内容は、公開日時点での情報です)