【不動産売却の仲介手数料】依頼する前に知っておきたい全知識

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

仲介手数料は、不動産売却の中で最も大きな費用となります。

これから不動産を売却しようとする方の中には、仲介手数料について詳しく知りたいと思っている方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では不動産売却における仲介手数料について解説します。

仲介手数料の特徴や計算方法、相場、支払い時期、キャンセル時の返金ルール等、これさえ読めば仲介手数料の全てが分かるような内容となっています。

最後までお読みいただき、仲介手数料の理解に役立てて頂けると幸いです。

売却を考えているけど、難しい話をたくさん読むのは苦手」「すぐに売却したい」という方は、この記事をざっくりと大枠で押さえた上で、まずは「HOME4U(ホームフォーユー)」を使って複数の不動産会社にまとめて売却査定を依頼してみることをおススメします。
NTTデータグループが運営する「HOME4U」は、全国規模の大手企業から、実績豊富な地域密着型の企業まで、全国約1,300社と提携しています。複数の優良企業から査定価格をまとめて取り寄せることができるので、1社1社、自ら不動産会社を探して依頼する必要がありません。複数の企業を比較できるから、あなたの不動産を高く売ってくれる会社が見つかります
ぜひ比較して、信頼できる、最適な不動産会社を見つけてください。

1. 仲介手数料とは

仲介手数料とは、不動産会社が仲介業務を行ったときに得る報酬のことです。

仲介やあっせんのことを、法律用語では「媒介」と呼び、仲介手数料は「媒介報酬」と呼ばれます。

不動産会社が媒介報酬を請求できるようになるには、3つの要件を満たす必要があるとされています。

また、仲介手数料の算出には簡単な計算式があり、その式を使って計算されるのが一般的です。
あらかじめ計算方法を知っておくと、どれくらいの費用がかかるのか事前に把握しておくことができます。

この章では、仲介手数料の3つの要件と、算出方法を解説していきます。

1-1. 仲介手数料が生じる3つの要件

最初に、不動産会社に仲介手数料の請求権が生じる3つの要件について解説します。

媒介報酬請求権の3要件

  1. 不動産会社と依頼者との間で媒介契約が成立していること
  2. その契約に基づき不動産会社が行う媒介行為が存在すること
  3. その媒介行為により売買契約等が有効に成立すること

(1) 媒介契約が成立していること

1つ目の要件は、「媒介契約が成立していること」です。
媒介契約とは、不動産会社に依頼する仲介の契約のことです。

媒介契約には、「専属専任媒介契約」、「専任媒介契約」、「一般媒介契約」の3種類があります。

専属専任媒介契約と専任媒介契約は、1社の不動産会社にしか仲介を依頼できない契約です。
それに対して、一般媒介契約は複数の不動産会社に同時に仲介を依頼できる契約となります。

専属専任媒介契約と専任媒介契約の違いは、専属専任媒介契約は自己発見取引も禁止されており、専任媒介契約では自己発見取引はできるという点です。
自己発見取引とは自分で買主を見つけてくることを指します。

仲介手数料が発生する要件としては、まず専属専任媒介や、専任媒介、一般媒介のいずれかの契約が成立していることが前提です。

そのため、仮に不動産会社が仲介を行って売買を成立させたとしても、契約がなければ媒介報酬の請求権は発生しないことになります。

尚、媒介契約は口頭では成立しません。
不動産会社には書面交付義務がありますので、書面で締結して、はじめて媒介契約が成立します。

(2) 媒介行為が存在すること

2つ目の要件は、「媒介行為が存在すること」です。

媒介行為とは、不動産会社が契約成立に向け尽力することを指します。
具体的には、現地案内や物件・権利関係の調査、売主や買主に対する説明、代金額その他契約条件の調整などの行為が契約成立に向けた尽力が該当します。

不動産の売買では、売主側の不動産会社と買主側の不動産会社が別になることがあります。
売主側の不動産会社のことを「元付(もとづけ)」、買主側の不動産会社のことを「客付(きゃくづけ)」と呼びます。

客付の不動産会社が買主を見つけてきたら、元付の不動産会社が何もしていないのではないかと感じる方もいますが、そのようなことはありません。

元付の不動産会社がしっかりと物件調査を行い、広告等を行った結果、別の客付の不動産会社が現れたことになります。

そのため、たとえ客付の不動産会社が買主を見つけてきたとしても、元付の不動産会社には媒介行為が存在しているといえるのです。

(3) 売買契約等が有効に成立すること

3つ目の要件は、「売買契約等が有効に成立すること」です。

これは、1つ目と2つ目の要件が揃っていたとしても、売買契約が成立しない限り、不動産会社に仲介手数料の請求権は発生しないということです。

つまり、仲介手数料は成功報酬型の手数料であることを意味しています
もし不動産会社が売却を決めることができなかったら、一切費用は請求できないというタイプの報酬形態ということです。

もちろん、着手金や前金のような金額は一切発生しません
仮に不動産会社が前金のようなものを要求してきたら、それは法律違反となります。

不動産会社は売却前に査定を行ってくれますが、査定料は必ず無料です。
理由としては、売却前の査定は仲介活動の中の一連の営業行為であり、売買が成立していない段階では報酬を受け取ることができないからです。

その他、売買を成立させるまでの間に、調査費や広告等で実費が発生することもありますが、これらの費用が途中で請求されることは原則としてありません。

不動産会社は売買が成立するまで、色々無料で対応してくれますが、無料でサービスをしてくれるのは、仲介手数料が成功報酬だからです。

また、媒介契約の中には、複数の不動産会社に同時に依頼できる一般媒介契約がありました。
仮に一般媒介で複数の不動産会社に仲介を依頼したとしても、売買を成立させるのは、1社のみです。

仲介手数料は成功報酬であるため、1社に依頼しても、複数社に依頼しても同じになります。

1-2. 仲介手数料の限度額と計算式

仲介手数料には、不動産会社が受領できる上限額が定められています。
仲介手数料の上限額は、即算式と呼ばれる以下の式で求めるのが便利です。

取引額(※1) 仲介手数料(別途消費税)
200万円以下 取引額の5%
200万円超から400万円以下 取引額の4%+2万円
400万円超 取引額の3%+6万円

※1 取引額=売却額

上記のうち、最もよく使われる計算式は以下の計算式です。

取引額(※1) 仲介手数料(別途消費税)
400万円超 取引額の3%+6万円

実際に、上記の計算式を使って、仲介手数料を計算してみましょう。
例えば、3,500万円で売却された場合の仲介手数料の計算例は以下の通りです。

仲介手数料 = 取引額の3%+6万円
      = 3,500万円×3%+6万円
      = 105万円+6万円
      = 111万円(※)

※この仲介手数料に、別途消費税が加算されます。

冒頭の計算式の中ででてくる、「+2万円」や「+6万円」となっている理由について疑問に思う方も多いと思います。

これらの端数が生じるのは、料率が階段状に定められていることが理由となります。
これから詳しく解説していきます。

まず、仲介手数料については、国土交通省の告示では以下のような定め方をしています。

  1. 取引額が200万円以下の場合は取引額の5%
  2. 取引額が200万円超から400万円以下の場合は取引額の4%
  3. 取引額が400万円超の場合は取引額の3%
  4. 媒介報酬は上記の「1.」~「3.」の合計金額以内とする。

報酬上限額は、「1.」~「3.」の合計であることがポイントです。

国土交通省の告示による定め方を、縦軸を料率、横軸を取引額として図にすると以下のような階段状の概念図で表現されます。

200万円超から400万円以下の場合の「取引額の4%+2万円」について解説します。
取引額を200万円超から400万円以下の間で、「X万円」とします。

仲介手数料は、下図のAとBの面積の合計額となります。

上図のAの部分の面積は、横軸がX万円、縦軸が4%であるため、「X万円×4%」です。
Bの部分は、横軸が200万円、縦軸が1%(=5%‐4%)であるため、「2万円(=200万円×1%)」となります。

仲介手数料はAの部分とBの部分の合計であるため、「X万円×4%+2万円」ということです。
つまり、200万円超から400万円以下の速算式は、「取引額の4%+2万円」となります。

次に、400万円超の場合の「取引額の3%+6万円」について解説します。
400万円超の場合の場合は、下図のAとB、Cの3つの部分の合計額となります。

上図のAの部分の面積は、横軸がX万円、縦軸が3%であるため、「X万円×3%」です。
Bの部分は、横軸が200万円、縦軸が2%(=5%‐3%)であるため、「4万円(=200万円×2%)」となります。
Cの部分は、横軸が200万円、縦軸が1%(=4%‐3%)であるため、「2万円(=200万円×1%)」です。

仲介手数料はAの部分とBの部分、Cの部分の合計であるため、「X万円×3%+4万円+2万円」ということになります。
つまり、400万円超の速算式は、「取引額の3%+6万円」です。

仲介手数料は、「+6万円って何ですか?」という質問が非常に多いですが、6万円は計算上生じる端数と理解しておけば良いでしょう。

2. 仲介手数料と消費税

仲介手数料は課税取引であるため、消費税が発生します。

課税取引とは、消費税が課税される取引のことを指します。

不動産の売買では、課税取引と非課税取引があるため、仲介手数料も連動して誤解されることが多いです。
仲介手数料には複雑なルールはなく、全て課税取引となるのが原則です。

不動産の売買では土地には消費税は発生せず、建物には発生します。
売主が課税事業者と呼ばれる消費税の納税義務がある事業者の場合、土地と建物を売ると建物だけに消費税が課されます。

土地価格が5,000万円、建物価格が2,000万円だとしたら、消費税は建物価格の2,000万円に対してのみ発生し、200万円(=2,000万円×10%)となります。(2019年10月現在)

よって、消費税込みの売買代金は、以下のように計算されます。

消費税込みの売買代金
  = 土地価格+建物価格+建物消費税
  = 5,000万円+2,000万円+160万円
  = 7,160万円

次に仲介手数料について計算します。
仲介手数料は、取引額に対して一定料率を乗じます。
取引額とは、消費税を除いた金額です。

取引額は消費税を除いた土地と建物の取引額の合計となります。
従って仲介手数料の上限額は以下のように計算されます。

取引額 = 土地価格+建物価格
    = 7,000万円

仲介手数料 = 取引額×3%+6万円
      = 7,000万円×3%+6万円
      = 210万円+6万円
      = 216万円

仲介手数料は課税取引であるため、消費税を含めて計算すると、以下のようになります。(2019年10月以降。消費税10%の場合)

仲介手数料(税込) = 216万円×1.10
        = 237.6万円

ここでポイントとなるのが、以下の2点です。

  • 不動産の消費税が非課税か課税かに関わらず、仲介手数料には消費税が発生する。
  • 仲介手数料の計算対象となる取引額は、税抜き価格で計算します。

消費税は、売主が課税事業者であっても、土地についてはかかりません。
また、売主がサラリーマンのような個人が、自宅を売却するような場合には、建物にも消費税は発生しないです。

このように、不動産は売る方(課税事業者であるかどうか)や売る物件(土地か建物か)によって消費税が発生する場合と発生しない場合があります。

消費税に関しては、不動産の売買そのものにはルールが複雑ですが、仲介手数料については消費税が非課税や課税に関わらず、単純に消費税が発生します。

また、仲介手数料の計算対象となる取引額には税抜き価格で計算します。
不動産を消費税込みの金額で取引した場合には、仲介手数料は消費税を抜いた金額で計算する必要があります。

3. 「400万円以下」の現地調査等の費用とは

2018年1月1日以降より、400万円以下の低価格な空き家等の取引については、不動産会社は媒介報酬に加え、現地調査等の費用を受領することができるようになりました。

不動産会社は仲介手数料に現地調査等の費用を加えることができ、最大18万円まで受領することが可能です。

仲介手数料は、200万円超から400万円以下なら「取引額の4%+2万円」、200万円以下なら「取引額の5%」というのが原則的なルールになります。
この料率のルールに関しては今でも変わりません。

例えば、200万円の取引なら、仲介手数料は10万円ということになります。
2018年1月1日以降のルールでは、これに8万円までの「現地調査等の費用」を加えることができ、最大18万円まで受領できるようになりました。

このような新しいルールが取り入れられたのは、全国の空き家の増加が理由です。
空き家は、火災の発生や不審者の不法滞在による犯罪の発生等、周辺の住環境に悪影響を及ぼす可能性があります。

全国的に空き家が増えてしまったため、今や空き家の処分は社会的な課題です。

しかしながら、空き家が発生するようなエリアは、少子高齢化が進む地方に多く、不動産価格が400万円以下となる地方に多い傾向があります。

このようなエリアでは、購入需要も低く、売却の難易度が高いです。

一方で、不動産会社が得られる仲介手数料は取引額に応じて金額が決まるため、低価格な空き家の売却では、不動産会社はほとんど儲かりません。

難易度が高く難しい仕事であるのに、儲からないという矛盾が発生するため、低価格な空き家の売却はやりたがらない不動産会社が多いです。

すると、仮に空き家の売主が空き家を売却したいと思っても、不動産会社の協力が得られず、ますます空き家の処分が進まないという問題が生じます。

このような社会的背景があり、400万円以下の取引では、現地調査等の費用を加え最大18万円まで不動産会社がもらっても良いというルールになったのです。
その目的は、不動産会社の協力姿勢を促し、全国の空き家の処分を促すことにあります。

18万円という数字は、ちょうど取引額が400万円の場合、仲介手数料の上限額が18万円(=400万円×4%+2万円)であるところから設定されています。

対象となる不動産は、特に空き家だけではなく、「空き家でない建物」や「宅地」も含まれます。

つまり、売主が支払う仲介手数料は400万円以下の物件なら、難しい計算をしなくても常に18万円が上限額ということです。

18万円には消費税が加算されますので、総額は8%の消費税を加えて194,400円となります。(2019年7月現在)

尚、18万円ルールは、あくまでも売主のみに対して適用されます。
不動産会社が買主から受領する金額は、引き続き従来の仲介手数料の上限額のままです。

理由としては、買主側の仲介手数料まで上げてしまうと、買主が空き家を購入するハードルまで高くなってしまい、空き家の処分が逆に進まなくなるからです。

400万円以下の報酬上限額が改定されたことから、低価格な空き家も以前よりは売却しやすくなっています。

低価格な空き家の売却で、以前に不動産会社から断られた方でも、今なら協力してくる不動産会社もあるかもしれないので、再度、依頼をしてみるのも良いでしょう。

4. 仲介手数料の相場

個人がマンションや戸建てを売却する場合の仲介手数料は、報酬上限額が相場です。

つまり、400万円超の取引なら「取引額の3%+6万円」が相場となります。

仲介手数料は高いイメージがありますが、成功報酬の料率としてはかなり低いです。
成功報酬は、「○○の10%」とか、「○○の20%」というような料率水準が多いため、3%というのはかなり良心的です。

不動産以外の世界では、近年はインターネットで個人間売買もできるようになっています。
インターネットの個人間売買で仲介会社が取る手数料は10%程度です。
最近流行っているクラウドソーシングなどは、仲介会社の手数料は20%にもなります。

今どき、何かの手数料がたった3%で済むというのは、正直、あまり聞きません。
「たから不動産の仲介手数料は安い」とまでは言いませんが、不動産売買は法律がしっかり整備されているので消費者がきちんと守られているのは事実です。

インターネットビジネスは、まだ新しい商売なので、報酬に対する法規制がありません。
一方で、不動産取引は宅地建物取引業法の法規制があるため、消費者がしっかりと守られているという特徴があります。

不動産の仲介手数料では、消費者がしっかり守られているというメリットにも目を向けて頂ければと思います。

5. 「両手」と「分かれ」の違い

不動産の仲介手数料では、「両手」と「分かれ」という言葉も出てきますので、両手と分かれの違いについて解説します。

日本の不動産業では、不動産会社が売主からも買主からも仲介手数料を受領することが認められています。

元付と客付が同じ不動産会社であり、売主からも買主からも仲介手数料を受領することを、「両手」と呼びます。

それに対し、元付と客付の不動産会社が別であり、売主もしくは買主の一方のみから仲介手数料を受領することを「分かれ」と呼びます

いずれにしても、「両手」でも「分かれ」でも、依頼者が不動産会社に支払う仲介手数料は同じです。

元付の不動産会社が自社で買主を見つけるか、他社の力を借りて買主を見つけるかの違いであるため、「両手」でも「分かれ」でも、売主が支払う仲介手数料の額には影響を及ぼさないということになります。

6. 仲介手数料の支払い時期

仲介手数料の支払い時期は、売買契約時に50%、引渡時に50%を支払うのが一般的です。

不動産の売買では、通常、売買契約と引渡の間1ヶ月ほど時間を空けます。
買主は売買契約書がないと住宅ローンの本審査を申し込むことができないため、引渡までの間は1ヶ月ほどの時間が必要なのです。

また、売主は空き家の状態で物件を引渡すため、売買契約と引渡の1ヶ月の間に引っ越しを行います。

さらに、引渡までの間に、売主と買主の立会いのもと、設備の動作確認を行います。
戸建てや土地の売却では、境界の確認も行います。

その間に、設備の不良等でトラブルが発生した場合には、不動産会社に相談しながらトラブル解決に向け対応します。

最後、引渡当日は、残金入金があります。
住宅ローンが残っている場合には、抵当権の抹消も同日で行いますので、不動産会社に具体的な必要書類を指示してもらいます。

売買契約と引渡までの間は、やることが多く、引渡当日まで、不動産会社の仕事も多いです。

ここで、媒介報酬の請求権の発生要件には、「売買契約等が有効に成立」がありました。
引渡ではなく、売買契約であることがポイント
です。

実は不動産会社には売買契約時点に全額100%の仲介手数料の請求権が発生しています。
そのため、本来であれば売買契約時に不動産会社から100%の請求があっても違法ではありません。

しかしながら、実際には売買契約後も引渡までの間は不動産会社には多くの業務が残っています。

売買契約時に全額仲介手数料を支払ってしまうと、その後、不動産会社が急に仕事を雑にやり始める可能性もゼロではありません。

売主としては、仲介手数料の支払いは引渡時まで留保したいという気持ちが本音だと思います。
そこで、間を取って、売買契約時に50%、引渡時に50%を支払うことが商習慣として根付きました。

仲介手数料の半額を引渡まで留保することで、不動産会社に最後まで頑張ってもらう意図があることを理解しておきましょう。

7. 契約解除と仲介手数料の返金ルール

売買契約から引渡までの間は、時間的には1ヶ月もあります。

その間に契約解除が発生したら、売買契約時に支払った50%の仲介手数料はどうなってしまうのでしょうか。

そこで、この章では契約解除と仲介手数料の返金ルールについて解説します。

7-1. 手付解除の場合

手付解除の場合は、既に支払った仲介手数料は取り戻せないというのがルールとなります。

不動産の売却では、売買契約時点に、売主は買主から手付金を受領することが一般的です。
手付金の相場は、売買代金の10~20%となります。

引渡まで何もなく順調に行けば、手付金はそのまま売買代金に充当されます。
引渡時は、手付金を除いた残代金が入金される仕組みです。

手付金は、売買契約の成立を証拠立てる「証約」の役割を果たします。
一方で、手付金には、手付金をもって契約を解除できるペナルティー金額の役割もあります。

売買契約以降、引渡までの間に、買主は手付金を放棄することで契約解除をすることが可能です。
それに対して、売主は手付金を倍返しすることで契約解除をすることができます

売主だけ倍返しというのは、重い感じがしますが、売主は既に買主から手付金を受領している状態ですので、売主から預かっている手付金に加え、自らも手付金を払うことで「倍」になります。

つまり、売主も買主も、手付金の「1倍」の額を払えば契約を解除できるというのが「手付解除」です。

この手付解除は、売主や買主の一方的な都合で解除ができます。
極端に言えば、「やっぱり気が変わったので売るのを止めます」という気まぐれな気持ちでも解除できてしまう解除方式です。

しかしながら、ここで問題となるのが既に不動産会社へ支払った半額の仲介手数料になります。

手付解除で解除される場合、売主や買主の一方的な都合による解除のため、不動産会社には「非」がありません。

不動産会社はせっかく頑張って売買契約を成立させたのに、勝手な都合で契約を解除されてしまったら、気の毒です。

そのため、手付解除の場合には、「売買契約時に支払った仲介手数料は取り戻せない」というのがルールになります。

手付解除では、仲介手数料が戻ってこないことに憤慨する方が多いので、ルールを知っておきましょう。

7-2. ローン特約による解除の場合

ローン特約による解除の場合は、既に支払った仲介手数料は取り戻せるというのがルールとなります。

ローン特約とは、いわゆる俗称で、契約書上では「融資利用の特約」とか、「融資利用の場合」といった名称で規定されている条文のことを指します。

ローン特約とは、買主が住宅ローン等のローンを使って物件を購入する場合、買主が銀行の融資審査に通らなかったときのルールを定めた契約条文のことです。

住宅ローンの本審査を通すときは、売買契約書が必要となります。
そのため、買主の本審査は売買契約から引渡までの間に行うことが通常です。

一般的に、ローン特約では買主が本審査に通らなかった場合、違約金無しで解除できることを定めます。

理由としては、ローン特約による解除は、銀行の融資姿勢が厳し過ぎることが原因で生じたものであり、特段、買主が悪いというわけではないという考え方を採用しているためです。

「融資が通らないのは買主が悪いのでは?」という考えも浮かばなくはないですが、銀行によっては一方的に厳しい態度を取るところも有りますので、ローン特約では買主には非がないという解釈をします。

ローン特約による解除は、ノーペナルティーによる解除ですので、まず、売主が既に受領した手付金に関しては、満額、返金することになります。

次に、不動産会社が売主から受領した50%の仲介手数料についても、満額売主に返金となります。

手付解除との違いは、ローン特約では解除の原因を作っているのは第三者である銀行であり、売主も買主も不動産会社も誰も悪くないためです。

よって、ローン特約では、手付金や50%の仲介手数料は、一旦全て元の方のところに戻ることになります。

ローン特約による解除は、50%の仲介手数料がすんなり戻ってくるため、仲介手数料に関してはあまりトラブルになることはありません。

ただし、手付金については、「売主が既に使ってしまい、返せない」というトラブルがあります。

ローン特約は売主がトラブルの原因となってしまうことがあるので、手付金は引渡が終わるまで手を付けないようにしてください。

尚、ローン特約による解除は、仮審査を通った買主のみに売買契約することで、解除リスクを回避することができます。

仮審査とは、売買契約書がない時点で銀行が行ってくれる簡易的なローン審査です。
仮審査に通っている買主なら、ほとんど本審査に通ります。

気の利いた不動産会社は、仮審査を通った買主のみしか契約させないという配慮をしてくれる不動産会社もいます。

ローン特約による解除を回避するには、売主から「この人は、仮審査に通っていますかね?」と、ひと言、不動産会社に確認することがポイントです。

手付解除とローン特約による解除では、既に支払った50%の仲介手数料の扱いが異なるということを理解しておきましょう。

まとめ

いかがでしたか。

仲介手数料は成功報酬であり、報酬上限額が定められているという特徴があり、消費税の課税取引であるため、消費税が非課税の土地の売買を行う場合でも、仲介手数料には消費税が発生します。

仲介手数料の計算式は、取引額が400万円超では「取引額の3%+6万円」で計算できます。
また、400万円以下の取引では、現地調査等の費用も請求させることがあります。

仲介手数料は、売買契約時に50%引渡時に50%を支払うことが一般的です。
売買契約から引渡までの間に、契約が手付解除で解除されたら仲介手数料は返金されずローン特約によって解除されたら返金されます

仲介手数料には、計算ルールや支払い時期の商習慣、返金ルールなど、はじめて知るようなことも多いと思います。
仲介手数料は大きな金額の費用ですので、しっかり理解して売却を依頼するようにしてください。

(2019/10/2追記:本記事の掲載内容は、公開日時点での情報です。消費税増税に伴い、一部の表記を修正いたしました。)

SNSでもご購読できます