所有する分譲マンションに住まなくなる事態となった際、売却するか、賃貸にして管理するか、そのままにするか、の問題に直面します。しかし、どちらが正解の選択かは難しい判断といえるでしょう。ケースによっても選択は変わってきます。
そこで今回は、マンションを賃貸するか、売却するかの判断基準について、メリット・デメリットなどを踏まえて解説します。
マンションを貸すとき・売るとき、それぞれの注意点や手順、費用もわかる内容です。
ぜひ最後までお読みいただき、納得のいく答えを出すためのご参考にしてください。
Contents
1.空きマンションは賃貸?売却?どっちが向いている?
空きマンションを賃貸にするか、売却するかの判断はケースバイケースです。まずは、それぞれどんな人が向いているのか、見てみます。
1-1.「賃貸」がおすすめの人
貸すのが向いているのは次のようなケースです。
- 利便性の高い場所のコンパクトな間取りで貸しやすいマンション
- 住宅ローンを完済している人
- 一時的な転勤などで後々マンションに戻る可能性が高い人
- マンションへの思い入れが強く、なるべくなら手放したくない人
転勤などで一時的に賃貸に出す場合では、賃貸管理をする必要が出てきます。また、いずれ戻るときに退去を求める場合には賃貸借契約の仕方にも注意が必要です。また、相続に不安がある場合にも賃貸という選択が功を奏すケースがあります。
こうした一時的な賃貸経営であるリロケーションでは、専門的な知識が豊富でリロケーションに強い管理会社探しが重要となるでしょう。リロケーションについては次の記事で詳しく解説しています。
1-2.「売却」がおすすめの人
マンション売却が向いているのは次のようなケースです。
- 駅から遠い、部屋が広すぎる等、高い賃料が見込めない
- 築年数が古く、大規模なリフォームが必要
- 再びそのマンションに住む予定がない人
- 高齢者施設への入居費用など、まとまったお金が必要な人
- 賃貸経営のことを考える時間的ゆとりのない人
ライフステージを考えたとき、近年中にお金が大きく動く予定がある場合は、キャピタルゲインが得られる売却がおすすめです。また、そのマンションに二度と戻る予定がない場合も売却を優先的に考える必要があります。
売却の際は、一括査定サイトなどで複数社を比較検討するとよいでしょう。
1-3.空き家のまま保有しておくのがおすすめの人
空き家のまま保有しておくのが向いているのは、次のようなケースです。
- 2年程度で戻ってくる可能性が高いが、貸すためにはリフォーム費用が高くなる場合
- マンションを離れている間に、空気の入れ替えや清掃などを頼める人が身近にいる人
ただし、空き家のまま保有していると、マンションの管理費・修繕積立金・固定資産税等の維持費が発生するだけでなく、部屋が早く傷む(湿気によるカビ、排水溝からの悪臭、鳥害など)というデメリットがあります。
まずは売却や賃貸を検討した上で、やむを得ず空き家にしておく場合には、定期的に空気を入れ替えて状況を確認してくれる空き家管理サービスを利用するのがおすすめです。
2.マンション賃貸と売却のメリットを比較
マンションを賃貸に出すメリット | マンションを売却するメリット |
---|---|
・月々家賃収入がある |
・大きな現金収入がある |
所有しているマンションを賃貸するか、売却するか、はその後のライフスタイルに大きく影響します。どちらのメリットがその後のライフスタイルに好影響が多いかを検討するとよいでしょう。3章と4章でそれぞれのメリットを詳しく解説します。
3.マンションを賃貸にするメリット
マンションを賃貸にして入居者が見つかると、毎月家賃収入が生まれます。所有するマンションを賃貸にすることで得られるメリットについて、どのような作用があるかを解説します。
マンションを賃貸する方法は以下の記事で詳しく解説しています。
3-1.月々家賃収入がある
マンションを保有しているとそれだけで維持費や税金がかかります。賃貸に出せば、家賃収入を得られるため、こうした所有にかかる費用を家賃で賄えます。
また、マンション購入の住宅ローンに残債がある場合もあるでしょう。その場合、家賃から月々の返済にあてられます。ただし、住宅ローン返済中の不動産を貸しだす場合には、住宅ローンを融資している金融機関の許可が必要です。事前に相談することで、事情を考慮して住宅ローンのままでいられるケースもあります。
3-2.資産を維持できる
せっかく購入したマンションを手放すというのは一大決心となります。不動産は一度手放すと、二度と同じ物件を手に入れられないことがほとんどです。住まなくなっても賃貸物件として賃貸経営を始めれば、手放さずに資産を維持することが可能になります。
子どもに資産を残す際にも不動産は金融資産よりも相続税対策になります。賃貸している状態であれば、不動産の評価額に借家権割合などをかけるため評価が下がり、節税効果があるためです。
3-3.経費計上で所得税の節税ができる
マンションを賃貸に出して入居者が見つかると、不動産所得が発生します。不動産所得は確定申告が必要です。確定申告では、賃貸経営に必要な費用は経費として計上できるため、もれなく計上するようにしましょう。経費となるのは、管理委託費用や修繕にかかった費用、マンションの管理費も計上できます。
また、給与所得があるオーナーであれば、もしマンション賃貸経営がマイナスになった場合、給与所得と合わせて損益通算が可能です。損益通算とは、利益(給与所得)と損失(不動産所得)を相殺して、所得税計算できることで、所得税負担が減らせます。
ただし、入居者が入っている場合は、赤字経営は現実的ではないでしょう。
マンションを賃貸に出すなら、最重要課題は管理会社選びです。「賃貸経営 HOME4U」であれば、多くの提携企業から所有マンションの管理を任せられる最適な管理会社探しが簡単になります。
4.マンションを売却するメリット
マンションを売却すると大きな現金収入が得られることとなり、それを資金としてさまざまな可能性が生まれます。所有するマンションを売却することで得られるメリットについて、どのような作用があるかを解説します。
4-1.大きな現金収入がある
マンションが売却できれば、大きな現金収入が得られます。売却益をもとにしてほかの不動産を取得する、ライフイベントに備える、老後の資金とする、といった使い道も自由です。また、売却益で月々の負担があった住宅ローンが完済できることもあります。
住んでいたマンションを賃貸にする場合、ハウスクリーニングや修繕などが必要となるため、多少の費用がかかります。もし、帰ってくる予定がない、管理が難しいなどの状態であれば、費用負担して賃貸に出す手間よりも、売却してしまったほうが後は楽になるケースもあります。
4-2.税金の控除ができる
マンションの売却益には、譲渡所得税がかかります。譲渡所得税は、給与所得などとは区分して確定申告して納税する必要があります。
譲渡所得税は、譲渡所得額に所得税率(15%もしくは30%)、住民税率(5%もしくは9%)をかけて算出します。このとき、売却した物件が居住用であれば、いくつかの税制優遇制度を受けられます。
- 3,000万円特別控除:売却益から3,000万円分を控除できる。
- 10年超所有軽減税率の特例:10年を超えて使用していた不動産の売却益のうち、6,000万円以下の金額の税率が軽減される。
- 買い替え特例:買い替え目的の売却で利用できる特例。新しく購入する居住用不動産が売却価格より高い場合に適用できる。
参考:国税庁No.3302 マイホームを売ったときの特例、No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例、No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例
上記の特例が利用できるケースであれば、マンション売却は得といえるでしょう。
4-3.維持や管理の必要がなくなる
マンションをただ所有するだけで、維持費用や管理のための手間が発生します。また、毎年固定資産税の負担もあり、ほかに居を構えると二重の負担になります。
しかし、売却を決断すれば、所有マンションの維持や管理にかかる手間から解放され、その分の手間をほかに割くことができるようになるでしょう。二度と所有マンションに戻る予定がない場合に効果的な選択です。
ただし、一度手放してしまうと多くの場合で二度と取り戻すことはできません。収益化のチャンスも失われるため、一度賃貸が可能かを検討してからでも遅くはないでしょう。
- 「マンションを売りたいけど、どうしたらいいか分からない方」は、まず不動産会社に相談を
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- 「NTTデータグループ運営」のHOME4Uなら、売却に強い不動産会社に出会えます
5.マンション賃貸と売却のデメリットを比較
マンションを賃貸に出すデメリット | マンションを売却するデメリット |
---|---|
・貸すためには費用がかかる |
・売却価格に差が出ることがある |
賃貸と売却を比較検討するには、リスクがどこにあるかを確認することが大切です。ここではリスクにつながるデメリットをそれぞれ6章と7章で詳しく解説します。
6.マンションを賃貸にするデメリット
マンションを賃貸に出すときには次の5つの点に注意が必要です。デメリットを留意しておかないと、マンションの取り扱いは取り返しのつかないことにもなりえません。ここでは、マンションを賃貸にするときのデメリットを解説します。
6-1.貸すためには費用がかかる
マンションを貸すとき、オーナーが負担する費用があります。
主に以下の5種類です。ひとつずつ確認します。
(1)クリーニング費用
オーナーが自分で掃除すればいいと思う方もいらっしゃいますが、家賃を取って人に貸すためには、プロのハウスクリーニングが必要です。入居者入れ替えの際にもクリーニング費用が発生します。
(2)リフォーム費用
水回りを中心にしたリフォームが効果的です。どこまでのリフォームが必要か、管理会社に相談して決めるとよいでしょう。優良なリフォーム会社を紹介してもらえることもあります。
(3)修繕費用
貸している間に室内の設備が故障したら、基本的にオーナーに修繕義務が生じます。エアコンはリビングだけにし、照明器具は外しておくなど、最低限の設備に留めて賃貸に出すとよいでしょう。
(4)管理手数料
マンションの賃貸管理を委託する場合にかかる費用です。契約時に事務手数料が発生し(家賃1ヶ月分)、毎月かかる管理手数料は賃料の数パーセントなど、管理会社によって違います。
(5)固定資産税、都市計画税、マンションの管理費、修繕積立金など
基本的に全てオーナー負担です。
マンションを貸すときには意外と経費がかかるので、費用をしっかり試算し、損のない賃料設定にできるかどうかを検討しましょう。
空室になってしまうと、その期間の家賃収入がないので、経費がそのままオーナーの持ち出しとなります。
マンションを貸して不労所得が得られれば理想的ですが、賃貸に出したばかりに預貯金が減っていく、なんてことにならないように注意してください。
また、マンションを貸し出したときの利益は、「不動産所得」になります。
不動産所得=収入-経費
収入から経費を差し引きした「不動産所得」が20万円を超えたら確定申告が必要です。
確定申告で不動産所得を算出し、その結果に応じて所得税・住民税が課税されます。
6-2.住宅ローンが残っているときは貸せない場合もある
住宅ローンは、あくまでも「自分が居住するための住宅」を購入するときのローンです。
そのため、マンションを賃貸に出す場合には、原則として住宅ローンを借り続けることはできません。
住宅ローンが残っている場合は銀行に相談が必要です。
銀行側が「やむを得ない事情がある」と判断すれば、住宅ローンの返済を継続したまま賃貸経営をできます。
住宅ローンを返済しながら賃貸できる主なケース |
---|
・期間限定の転勤 |
銀行によっては、「セカンドハウスローン」に切り替えが必要で金利が上がることがありますが、一時的な転勤の間に貸すなら、住宅ローンのまま認められるケースが多いです。
住宅ローンをそのままにして賃貸してしまうと契約違反となり、最悪の場合には金融機関から「一括返済」が求められることもあるのでご注意ください。
6-3.税制優遇が受けられない
一度賃貸として活用すると、住居として使用していたマンションであっても、いくつかの税制優遇が受けられなくなるケースがあることに注意が必要です。
所得税からの控除が可能である住宅ローン控除は、賃貸物件となると要件を満たさなくなるため、受けられなくなります。リロケーションとして一定期間のみ賃貸をする場合は、再入居の翌年から特別控除が再適用されます。
また、再入居の予定がなくなり賃貸で維持する必要がなくなり売却となった場合、住宅の売却益の3,000万円特別控除も受けられません。賃貸で十分な収益を得ないままの売却は分譲マンションの場合、損失が大きくなる恐れがあります。賃貸か、売却かを検討する際は出口戦略をしっかり見通すとよいでしょう。
6-4.管理会社選びが難しい
賃貸中のマンションの管理は、多くの場合管理会社に委託する措置をとります。しかし、そこで問題となるのが、入居者を見極める力のある管理会社選びです。
手数料が安いというだけで管理会社を選んでしまうのは危険です。
安いからといって安易に選んでしまうと、入居者管理が滞り、トラブル発生時の対応が悪いといった問題が生じる可能性があります。こうしたトラブルの対処は管理会社によって大きく変わってきます。管理会社選びに失敗すると、経営にも悪影響が大きいことを念頭においておきましょう。
マンションの貸賃を成功させるポイントは、入居審査で質のいい入居者をいち早く選び、空室の期間を一日でも減らすことです。
良い管理会社を選べば、余計な手間をかけずに迅速に手続きを進めてくれます。
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マンションの所在地や間取りなど基本情報を入力するだけで、複数の優良な賃貸管理会社を探し出し、管理委託についてまとめて提案を受けられます。
適切な賃料設定についても管理会社のアドバイスが受けられますので、ぜひ賃貸経営の頼りになるパートナーを見つけてください。
6-5.退去のタイミングが難しいことがある
リロケーションの場合、転勤の期間が決まっていたり、親との一時的な同居だったりするケースもあるでしょう。その場合、オーナーが戻るタイミングで退去を求められることが理想です。しかし、住宅の賃貸契約では借地借家法で、貸主の権利より借主の権利のほうを重視して保護しています。
賃貸契約は普通賃貸契約を結ぶのが一般的です。しかし、普通借家契約では、貸主側の都合による退去を求める権利が認められません。そのため、リロケーションの場合は定期借家契約で契約更新のない契約内容とするなどの措置をあらかじめとっておく必要があります。
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管理会社によって、管理手数料だけでなく、管理サービスの内容にも違いがあります。
入居者募集の豊富なノウハウを持ち、手厚いサポートが期待できる優良な管理会社を選ぶことが大切です。
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管理会社を選ぶときには、過去に似たようなマンション貸賃をどれくらい扱ったかなど、質問してみてください。
地域の事情に精通した管理会社であれば、的確な家賃設定をアドバイスし、効果的に入居者募集をしてくれるため、空室リスクを抑えることができます。
7.マンションを売却するときのデメリット
マンション売却ではキャピタルゲインが入り、住宅ローンを完済できる可能性があるなど、金銭面での大きなメリットがあります。しかし、金銭面で逆にデメリットやリスクが生じることがあるため注意が必要です。売却におけるデメリットも確認しておきましょう。
7-1.売却価格に差が出ることがある
マンション価格は築年数などの建物そのものの状態のほかにも外的要因の影響を受けます。たとえば、近隣に大規模開発の計画が進行していて、その発表がある直前に売却をしてしまうと大損をしてしまう、という可能性もあるのです。そのため、売却前にも周辺のリサーチをすることは大切です。
また、マンションを売るときには、不動産会社に売却を依頼することになります。
実は、売却を依頼する不動産会社しだいで、売却価格に数百万円の差が生じたり、スピーディーに売却できるかどうかも変わってきます。
優良な不動産会社を見つけるには、複数の不動産会社の査定を受けて、しっかり比較検討するのがコツです。
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7-2.売却費用と税金がかかる
マンションを売りに出すときは、売却に必要な諸費用や税金もあらかじめ押さえておくと安心です。
7-2-1.売却費用
マンション売却時には、次の3つの費用がかかります。
- 仲介手数料(売買価格が400万円を超える場合の仲介手数料は、売買代金×3%+6万円)
- 印紙税(売買代金が1~5千万円なら1万円)
- 抵当権抹消費用(2万円前後。住宅ローンの残債があったときのみ)
7-2-2.税金
売却で利益が出ると所得税・住民税がかかります。
ただしマイホームなら3,000万円まで非課税になることが多いです。
マンション売却時の税金についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
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売却を依頼する不動産会社の手腕によって、売却価格や売却までの期間も大きく変わってきます。
その理由は、それぞれの不動産会社に得意分野や得意エリアがあるためです。
あなたのマンション周辺のエリアに精通していて、分譲マンションの売却のノウハウを持った企業を見つけましょう。
また、買主とのあいだでトラブルにならないように契約書等を作成し、スムーズな売却をサポートしてくれることも大切です。
どの不動産会社を選べばいいのかわからないという場合、複数の不動産会社の査定を受ければ、査定価格の違いや売却の戦略をしっかり比較検討することで、ベストな不動産会社を見極めやすくなります。
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7-3.買い手が見つからないことがある
マンション売却はすぐに買い手が見つかるとは限りません。転居後しばらく買い手が見つからない場合は、マンションの管理組合への管理費負担や固定資産税の負担などが続きます。売却を決断しても、売却まで数か月かかると考えておいたほうがよいでしょう。
売却を急いでいる場合、売りに出しても長く売却できない場合は、不動産会社に相談してマンション価格が適正であるかどうかを再検討する必要があります。
8.賃貸か売却かの判断基準
マンションを賃貸にするか、売却するかは将来的なビジョンをもとに判断する必要があります。ここでは、判断の基準となる視点を3つ紹介します。
8-1.物件の状態と周辺環境の状況
売却をする場合、懸念すべき点は物件に買い手がつくかです。きれいに住んでいても築年数が経過している物件はローンを組むのが難しいため、なかなか売却に結びつかない傾向にあります。その場合は、リフォームして賃貸物件とするなどの対応が吉とでることもあるでしょう。
また、住宅ローンの残債がある場合、売却益で完済ができるかも判断基準になります。
賃貸の場合は、入居希望者が現れるかどうかが判断基準として大きなポイントとなるでしょう。駅から徒歩圏の物件かは借り手にとって大きなポイントです。また、区分マンションの場合、ファミリー層からの人気を獲得できる可能性があるため、子育て環境が整っているかもポイントになります。
8-2.将来使用する可能性があるか
将来的にそのマンションに住む予定があるか、も判断の大きなポイントです。まずはこれが最大の分岐点となるといっても過言ではありません。将来的に使用する予定があるなら、迷わず「賃貸」です。ただし、あまりお金をかけられない、短期間の不在などの場合は「そのまま」を選択することもあります。
また、ゆくゆくは売却、を検討していて賃貸に出す場合、売却益の節税対策である3,000万円特別控除が受けられなくなることを留意しなければなりません。迷っている間だけ賃貸にしておくと、結果的に損をすることになりかねないので、賃貸で所有し続けるか、売却するかをしっかり決める必要があります。
8-3.賃貸時の利回り試算
リロケーションとして賃貸をする場合でも、立派な賃貸経営です。経営となれば、最低限ローンの返済、管理費用などの経費をペイできるだけの収益を確保する必要があります。
まずは、賃貸とした場合の家賃設定などを管理会社や不動産会社に相談してみて、物件賃貸経営の利回りを試算してみることが大切です。
9.マンションを賃貸にする場合の注意点
マンションを賃貸にすることは、経営を始めるということです。ここでは、リロケーションとしてマンション賃貸を行う場合の注意点を紹介します。
9-1.一度貸したら退去してもらうのは大変!?
「しばらくは賃貸に出して、またマンションに戻れるタイミングで自分たちが住もう。」という将来プランで貸そうと思っている人は要注意です。
なぜかというと、マンションを人に貸すと、自分の都合で簡単に借主に「出て行って!」とは言えない契約を結ぶことになるのが普通だからです。
賃貸の契約には2種類あります。
9-1-1.普通借家契約
世の中のほとんどのアパート等は、普通借家契約で貸し出されています。
普通借家契約は、オーナーの都合に合わせて簡単に退去させたり、更新を拒絶したりすることができません。
借地借家法という法律で入居者は強く守られるからです。
9-1-2.定期借家契約
定期借家契約は、契約期限が決まっている契約です。
期限が来たら確実に賃貸借契約は終了し、更新はありません。
オーナーが戻る予定の時期を契約終了日に設定すれば、都合の良いタイミングで戻ってくることが可能です。
転勤のあいだだけ貸すといったケースに向いていて、「リロケーション」とも呼ばれます。
ただし、賃貸期間が限定されているため、家賃が相場の5~7割程度まで安くなることと、借主が見つけにくいのがデメリットです。
マンションを貸す場合には、普通借家契約で貸すのか、定期借家契約で貸すのか、慎重に選ぶ必要があります。
ただし定期借家契約で貸したいと思っても、借主が見つからず、結果的に普通借家契約で貸すといったケースもあります。
9-2.家賃の決め方が大切
マンションの家賃は、「相場」と「収支」の両面から検討する必要があります。
- ●相場を考慮する
-
まずは不動産情報サイトで周辺の家賃を検索し、相場を確認してみてください。
アパートではなく、なるべくご自身のマンションと似ているマンションの家賃と比較しましょう。
分譲マンションは、もともと賃貸マンションとして作られた建物よりも仕様・設備が良いため、賃料は高めに設定できますが、周辺相場に上乗せできる金額には限度があります。
- ●収支を考慮
-
マンションを貸して得られた「家賃」から「経費(管理費・管理手数料・税金等)」を引いた金額が「収益」となります。
マンションを賃貸に出すなら、上記の費用を差し引いてもプラスが出るように賃料設定するのが理想です。
ただし、転勤の間だけ貸すなら、住宅ローンだけ家賃でカバーできればよいと考えるケースもあるでしょう。
- ●家賃の最終的な決め方
-
管理会社を探すときには、適正な家賃も査定してもらえます。
近隣相場、環境、物件グレード、借主のニーズなども考慮して算出してもらえるので、専門企業に相談しながら妥当な家賃を見極めることが大切です。高めの家賃で募集して、空室期間が長くなるのも困りますが、安めの家賃で入れてしまうと値上げは難しいので避けたいところです。
もしも賃貸に出すことで赤字になってしまうのであれば、マンションを無理に貸し出すのではなく、需要があるうちに売却するほうが良いかもしれません。
9-3.管理会社選びが大切
管理会社は、入居者の募集、契約、家賃の回収、クレーム対応などの経営の根幹となる部分をオーナーに代わって担ってくれます。
管理会社によって手数料やサービス内容が異なるので、幾つかの会社と比較して物件に合った管理会社を選びましょう。サービスと内容のバランスを考え、サポートがしっかりしている管理会社に委託するのが賢明です。
管理会社のサービスを比較するため、一社一社に打診するのには手間がかかります。そこでおすすめが「賃貸経営 HOME4U(ホームフォーユー)」の利用です。
マンションの所在地や間取りなど基本情報を入力するだけで、複数の優良な賃貸管理会社を探し出し、管理委託についてまとめて提案を受けられます。
9-4.出口戦略を考えておかないと後悔する可能性がある
10年後、20年後、将来的にマンションをどうするのか、考えておくことが大切です。
売却せずに賃貸経営を続けたいのか、いずれはまた自宅として利用するのか、さまざまな可能性を考慮しておきましょう。
賃貸に出した後で「こんなはずじゃなかった」と後悔することもあります。5年後、10年後に修繕積立金が上がる可能性や、老朽化により家賃を下げざるを得なくなり、収益性が下がる可能性も考えておかなければなりません。
また、売却時に利益が出るときには税金にも注意が必要です。
通常、マイホームとして住んでいたマンションを売るときには、3,000万円まで非課税になる特別控除を利用できるケースがほとんどです。
自分が転居してから3年後の年末までに売却すれば「マイホームの3,000万円控除」を利用できますが、この期間を超えると3,000万円控除が使えなくなります。
そのため、3年以上賃貸に出していざ売ろうと思った時には、納める税金が高くなってしまう可能性があります。
短期間で売却することが決まっているなら、賃貸に出す前に売却したほうが有利になることが多いです。
9-5.賃貸と売却の同時進行も可能
賃貸と売却どちらにも大きなメリットがあるため、決めきれないケースもあるかもしれません。そうした場合、売却を模索しながら賃貸経営をする、という手段もあります。
賃貸経営はおおよその経営計画は作成できても、実際にやってみないと入居者がすぐ決まるか、収益を出せるかはわかりません。実際の収益性から経営を継続させるか判断してもよいでしょう。
ただし、同一の不動産会社に賃貸仲介と売却仲介を依頼する場合、不動産会社はより成功報酬の高い売却を推し進める可能性があることに注意が必要です。
また、入居者がいる状態のままマンションを売る場合には、「オーナーチェンジ物件(収益物件)」となり、収益性に応じた価格になります。
安く貸してしまうと収益性が低いので、相場よりも安くなってしまう可能性が高いことにも注意しましょう。
まとめ
マンションを賃貸に出す場合には、7つの注意点があります。
- 一度貸したら退去してもらうのは大変!?
- 貸すためには費用がかかる
- 住宅ローンが残っているときは要注意
- 管理会社選びが大切
- 家賃の決め方が大切
- 出口戦略を考えておかないと後悔する可能性がある
- 「不動産所得」が20万円を超えたら確定申告が必要
マンションを貸すなら、「 賃貸経営 HOME4U」を使って、複数の管理会社から賃料査定や管理プランの提案を受けてみてください。
やっぱり売却しようと思うときは、
- 不動産会社しだいで売却価格に差が出る
- 売却費用と税金も考慮する
という2点にご注意ください。
マンションを売るなら、「不動産売却 HOME4U」を使って、複数の不動産会社の査定を受けることから始めましょう。
売却と賃貸でどうしても迷う場合は、両方の提案を聞いてから決めることもできます。
頼れる専門家の力を借りて、納得のいく答えを見つけてください。
この記事のポイントまとめ
マンションを賃貸にするか、売却にするかは以下のような視点で判断します。
- 物件の状態と周辺環境の状況
- 将来使用する可能性があるか
- 賃貸時の利回り試算
詳しくは「賃貸か売却かの判断基準」をご一読ください。
所有のマンションを賃貸にしたほうがよいケースの一例を紹介します。
- 利便性の高い場所のコンパクトな間取りで貸しやすいマンション
- 住宅ローンを完済している
- 一時的な転勤などで後々マンションに戻る可能性が高い
- マンションへの思い入れが強く、なるべくなら手放したくない
詳しくは「空きマンションは賃貸?売却?どっちが向いている?」」をご覧ください。
所有のマンションを売却したほうがよいケースの一例を紹介します。
- 駅から遠い、部屋が広すぎる等、高い賃料が見込めない
- 築年数が古く、大規模なリフォームが必要
- 再びそのマンションに住む予定がない
- 高齢者施設への入居費用など、まとまったお金が必要
- 賃貸経営のことを考える時間的ゆとりがない
詳しくは「空きマンションは賃貸?売却?どっちが向いている?」をご覧ください。