不動産投資で収益マンション探しをしていると、真っ先に目が行くのが「利回り」ではないでしょうか。
利回りはそのマンションに投資の価値があるかを図る一つの目安となりますが、見方を誤ると判断を誤りかねません。
利回りには、代表的なものに「表面利回り」と「実質利回り」があります。
「表面利回り」と「実質利回り」について、おさらいをしたい方はこちらの記事を先にご覧ください。
良い物件は、コストがかかりすぎない「実質的な利回り」が高い物件をさします。まずは投資マンションの利回りの相場をおさえ、表面利回り・実質利回りとの関係を見極めて判断しなければなりません。
今回は、マンション経営で長い目で安定した収益を得られる(本当に価値のある)良い物件を探すためのポイントを紹介します。
Contents
1. マンション投資のタイプと利回り相場
良い物件を見つけるためには、そもそもの「利回りの相場」を知っておかなければなりません。
相場と同程度以上の利回りが望めるかどうかが、その物件に投資をする価値があるかどうかの良し悪しを決める一つのポイントになるからです。まずは、タイプ別のマンション経営利回りの相場を紹介します。
1-1. 中古マンション1棟
利回りの相場は、マンションの築年数によって大きく変わります。
築年数が古いマンションは、築浅のものよりも利回りが高くなる傾向にあります。不動産の価格が安くなるわりに家賃が大きく下がらないためで、表面利回りで8%を超えるものも見受けられます。
しかし、古いマンションは修繕費が多くかかってしまうため、実質利回りでは4~6%程度に収まることが一般的には多いようです。また、築古マンションでは空室リスクも十分考慮する必要があります。表面利回りは満室想定としていることも多いため、実際の入居状況を確認するとよいでしょう。
1-2. 新築マンション1棟
新築・築浅マンションは、物件価格が高くなるため表面利回りも低めで、5~7%程度のものが多くなります。
ただ、修繕費が少なくて済むため、実質利回りになおすと、3~5%程度になることが多い傾向です。実質利回りの予測をするには、周辺の物件の経営状況を確認することをおすすめします。さまざまなリスクも考慮して、満室想定の8割ほどで利回り予測をするのが一般的です。
1-3. 中古区分マンション
区分マンションの場合、1棟経営に比べて、1室での賃貸経営となるため空室リスクが深刻であることが特徴です。区分マンション管理に長けている管理会社・仲介会社に依頼して、入居者を早くみつけるとよいでしょう。
区分マンションの表面利回り相場は3~5%といわれています。築古区分マンションの場合、リノベーションやリフォームをして賃貸とするのが一般的です。家賃収入が1室分しかない分、改修にかける金額をできる限り抑えることが高利回りにすることになるでしょう。
また、リロケーション(自宅を賃貸化する)の場合、家賃設定が相場より安くなるため、利回りへの影響に注意が必要です。
1-4. 新築区分マンション
新築物件や築浅物件の区分マンションでのマンション投資は、ワンルームマンションや単身者向けマンションを対象とすることが多い傾向です。
新築マンションでの表面利回りは、ワンルームマンションの場合は購入価格を安く抑えられる一方、面積当たりの家賃をファミリータイプより高く設定できるため、中古区分物件とそん色ない3~5%が期待できるでしょう。
ただし、ワンルームマンションは入退去のスパンが短いことが一般的です。そのたびに入居者募集費用がかかるなど、実質利回りは低くなる傾向であることを考慮しておいたほうがよいでしょう。
マンション経営では管理の行き届いた物件が選ばれる傾向が高いため、管理会社選びは利回りにも影響する重要なポイントです。「賃貸経営HOME4U」で簡単に自分に合った管理会社探しができます。
2. マンション投資の地域別利回り相場
マンション投資の利回りは、地域によって大きな差があります。特に1棟経営ではその傾向が顕著です。ここでは、賃貸マンション1棟経営の利回りの相場を地域別にまとめました。
北海道 | 5~9% |
---|---|
東北 | 5~11% |
関東 | 4~7% |
東海 | 5~10% |
関西 | 5~9% |
中四国 | 6~12% |
九州 | 5~10% |
※HOME4U調べ
大都市で不動産需要の高いエリアほど物件価格が高まるため、利回り相場も低くなります。現況では、利回りの数値は低い水準となっていることが特徴です。
3. マンション投資の利回りに影響を与える要因
間取りや広さ、築年数などが似たような物件でも、利回りには差があるものです。周辺環境などに違いがあるのがその理由です。
利回りに影響を与える主な要因には、
- 立地(周辺環境・利便性)
- 建物の築年数
- 物件の用途(ターゲット)
- 購入時期
などが挙げられます。
住む家を探している人が同じ家賃ならアクセスのよい便利な物件を選ぶように、投資物件として不動産を探している人も立地の良いものを選びます。
そのため、住む人に人気がある物件は「より確実に利益が得られる不動産」として価格が上昇し、利回りが低くなりやすいのです。
住む人に人気があるというのには、いくつかの勝因があります。人気のあるエリアかどうか、築年数が古すぎないか、人気のある間取りか、駅や都心部へのアクセスがよいかなど、より便利であるほど利回りは低くなる傾向にあります。
ということは、逆に表面利回りがとても高い物件は、居住者にとっても不動産投資家にとっても、人気がなく物件価格が安くなることで利回りが上がっている可能性もあると言えます。
明らかに満室になりにくい物件と考えられる場合には、実質利回りで計算すると非常に低く、実は投資するには良い物件ではないと言うこともできるのです。
この他、物件の用途や購入時期によっても、利回りが変動することがあります。
ワンルームマンションよりも、ファミリータイプのほうがわずかに利回りが高く、空室リスクがさらに高くなるオフィスビルはマンションよりも高い利回りとなる傾向にあります。
また、新築物件が多くなるときや不動産投資の人気が高まっているときには、利回りが低下する可能性があります。
4. 実質的な利回りが高いマンション物件の見極め方
不動産の表面利回りは、「満室(区分マンションの場合は、空室でない時)の場合の家賃収入と不動産価格を比較したもの」です。
そのため、本当に投資価値のある良い物件を探すには、実質利回りが表面利回りよりも大きく下がってしまわないかどうかを見極めることが大切です。
選ぶポイントは
- 空室率が低い物件
- 維持費(ランニングコスト)が掛かりにくい築浅物件などかどうか
- 高利回りの背景を確認する
の大きく3点になります。
投資マンションの選ぶポイントを詳しく解説します。
4-1. 空室率が低い物件か
空室が出てしまうと、その分の家賃収入がなくなってしまうため、利回りが低下します。空室率が低く推移している物件であれば、高い実質利回りを維持できるでしょう。
交通アクセスがよい物件や築浅の物件は人気があるため、満室状態で販売しているケースが多くあります。また、築年数が経っているマンションであっても、建物全体のメンテナンスや部屋自体の維持管理が行き届いて、リフォームがされている場合、空室がほとんど出ない状態で売り出されることもあるでしょう。
4-2. 維持費が少なくて済む物件か
高い実質利回りを実現するには、経費などの支出が少ないことも大切です。そのため、維持費が少なくて済む築浅物件は、表面利回りよりも実質利回りが大きく下がるということはあまりないと考えてよいでしょう。
築年数が経っている物件の場合は、大規模な修繕がされているかにも注目します。
大規模修繕が行われた後は、多額の修繕費はかかりにくいため、比較的良い利回りになりやすい傾向です。
なお、大規模修繕のために積み立てる「修繕積立金」が不足している物件は、大規模修繕時にオーナーが追加で費用負担しなければならないケースもあるので注意が必要です。
また、経費に関しても、入退去が頻繁であればそれだけ経費がかかります。経費が経営をひっ迫しないかどうかも物件選びではポイントになります。
4-3. 高利回りの背景を確認する
高い表面利回りでも良い物件である例には、次のようなものがあります。
まず、「早く売らなければならない理由がある」というケースが考えられます。
相続税の支払いなどの理由があると、早く売る必要があるため、マンション売却価格は相場よりも低い設定になりがちです。売却価格が低いということは利回り計算の分母が小さくなるため、利回りも高くなります。こうした場合、物件の収益性を背景とした高利回りとはいえないため、慎重な見極めが必要となります。
一方、空室率が高く、一見買うメリットがなさそうな物件であっても、建物(マンション全体)が汚い・リフォームされていないといった理由だけであれば、実は隠れ「良い物件」であるかもしれません。
安い金額で購入したあと、外壁の修繕や部屋のリフォームを行うことで人気が出そうなのであれば、実質利回りも高くできる可能性もあります。
この他、あまりないケースですが、価格設定が相場よりも安い場合があります。
査定を行った不動産会社の評価が厳しく、相場よりも安い価格で売りに出されてしまうことも稀にあります。また、現金化を急いでいるわけではないものの、売却時に手間をかけるのを嫌って、安めに設定する売主もいるでしょう。
ただ、こういった物件は、すぐに買い手が決まってしまうため、めったに出会うことができません。運がよければ見つけられるという程度で考えるべきです。
まとめ
エリアや築年数などによっても変わりますが、マンションは、実質利回りで3~6%程度が相場です。
マンションを含め不動産投資の利回りは、表面利回りで判断されがちですが、本当に大切なのは実質利回りであること、そして利回りの相場に照らし合わせて判断するとよいでしょう。
ただ、表面利回りが相場よりも高ければ良い物件なのではなく、空室や維持費が少ない物件が本当に良い物件です。
相場を参考にしながら、それよりも少しでも良い利回りが期待できる物件がないかをじっくり探すようにしましょう。
本記事を参考にしていただき、ぜひ長い目で安定した収益を得られる(本当に価値のある)良い収益マンション物件に出会ってください。
この記事のポイントまとめ
収益性が高く、経営時の高利回りが見込まれるマンションを見極めるには、以下のポイントから判断します。
- 空室率が低い物件か
- 維持費が少なくて済む物件か
- 高利回りの背景を確認する
詳しくは「実質的な利回りが高いマンション物件の見極め方」をご覧ください。