
転勤などで「マンションを貸したい」と考えている人もいらっしゃるでしょう。
転勤の間、マンションを貸せば家賃収入も得られますし、家の管理も自然にできることになります。
一方で、マンションを貸すということは賃貸業を行うことになるわけですから、ある程度、不動産の知識も必要です。
では、マンションを貸す場合は、どのようなことを知っておけば良いのでしょうか?
また、どのような手順を踏み、何に注意すべきでしょう?
気になりますよね?
そこでこの記事では、マンションを貸すことを検討中の方に向けて、知っておくべき基本事項や貸すための手順などについて、わかりやすく紹介していきます。
ぜひ最後までおつきあいいただき、この記事の情報を活かしてください。
Contents
1.分譲マンションを貸すメリット
まずは基本事項として、「メリット」「デメリット」を押さえておきましょう。
最初に「分譲マンションを貸すメリット」から解説していきます。
メリットは主に3点です。
1-1.家賃収入が入る
マンションを貸すメリットは、なんといっても家賃収入が入るという点です。
マンションは、固定資産税や火災保険料など、持っているだけでも維持費がかかります。
維持費以上に家賃収入を得られれば、経済的な負担を軽くすることができます。
1-2.自然と管理もできる
マンションを貸せば、自然と管理もできるという点もメリットです。
マンションは、定期的に空気の入れ替えをしないと、室内にカビが繁殖します。
また、排水管も定期的に水を流さないと、排水管の中の封水が蒸発し、家の中に悪臭が充満してしまいます。
人に貸せば、換気や通水が自然とできるため、建物の資産価値も維持できます。
1-3.戻ってきたときに再び家を買わなくて済む
転勤等でマンションを貸す場合、戻ってきたときに再び家を買わなくて済むという点がメリットです。
家を売却してしまうと、売却時に仲介手数料もかかります。
購入すれば、登録免許税等の費用も再び生じます。
売買をすることで余計な費用が生じてしまうため、再び家を買わなくて良いというのは経済的にもメリットがあるのです。
2.分譲マンションを貸すデメリット
続いて「分譲マンションを貸すデメリット」について解説します。
デメリットも3点です。
2-1.賃貸人としての修繕義務が発生する
マンションを貸すと、賃貸人としての修繕義務が発生するという点がデメリットです。
借主がわざと壊したものでない限り、貸主が修繕することになります。
特に築10年以上のマンションは、既に設備の老朽化が進んでいますので、修繕費が発生する可能性が高くなります。
2-2.住宅ローン控除の再開が1年遅れる
マンションを貸すと住宅ローン控除の再開が1年遅れるというデメリットもあります。
家族が全員で引っ越すと、その間は貸すか否かにかかわらず住宅ローン控除は利用できません。
住宅ローン控除とは返済期間が10年以上のローンを組んで住宅を購入した際、自分が住むことになった年から一定の期間に渡り、所定の額が所得税から控除される制度です。
転勤中に貸さない場合は、再入居した年から住宅ローン控除を再開することができます。
しかしながら、転勤中に家を貸してしまうと、住宅ローン控除の再開が再入居の翌年からとなってしまいます。
貸すことで、住宅ローン控除の再開が1年遅れるという点は、あらかじめ知っておきましょう。
2-3.確定申告が必要となる
サラリーマンであっても、年間20万円超の給与所得以外の所得が生じる場合には、確定申告が必要です。
マンションを貸したときの所得は不動産所得と呼ばれます。
不動産所得の計算式は以下の通りです。
不動産所得 = 収入金額 - 必要経費
収入金額とは家を貸した時に入ってくる家賃です。
必要経費とは、土地と建物の固定資産税及び都市計画税、建物の保険料、修繕費、建物の減価償却費等になります。
マンションを貸した場合、毎年、不動産所得を計算し、確定申告をしなければならないので手間がかかるという点がデメリットです。

マンションを貸して不動産所得が赤字となると、損益通算によって節税できるというメリットはあります。
損益通算とは、損失の出た所得を他の所得から控除して課税所得を求める確定申告の手続きのことです。
例えば、不動産所得が▲50万円で、給与所得が800万円だった場合、損益通算によって全所得が750万円となります。
会社では給与所得が800万円であることを前提に源泉徴収していますので、実際の所得が750万円であれば、税金は払い過ぎていたことになります。
よって、確定申告によって払い過ぎていた税金の還付を受けることができます。
ただし、普通にマンションが貸せれば、不動産所得が赤字になることはレアケースです。
損益通算による節税は、あくまでもその場しのぎ的なテクニックと捉えておいてください。
3.分譲マンションを貸す手順
この章では分譲マンションを貸す手順について解説します。
初めてだと「何から始めたら良いのかわからない」という方も多いと思いますが、今からわかりやすく紹介しますので、ぜひこの手順を実行してください。
3-1.住宅ローン返済中の物件は銀行の承諾を得る
住宅ローン返済中の物件を貸す場合、銀行の承諾を得ることが必要です。
住宅ローンを借りる際、銀行と契約した金銭消費貸借契約では、資金使途が定められています。
資金使途とは、貸したお金の使い道のことです。
住宅ローンの資金使途は自宅の購入となっており、投資物件の購入ではありません。
もし、住宅ローンを借りて購入した自宅を他人に貸した場合、投資物件の購入と同じことを行うわけですから、資金使途違反となってしまいます。
そのため、住宅ローンを返済中のマンションは他人に貸すことができないのが原則です。
しかしながら、社命による転勤等は「必要やむを得ない事情」と判断してくれることが多いため、転勤期間中であれば多くの銀行も貸し出すことを認めてくれます。
転勤中の賃貸は認めてもらえる可能性が高いことから、必ず事前に銀行の了承を得てから貸し出すようにしてください。
なお、単純に賃料収入を得たいだけの場合には、銀行はマンションを貸すことを認めないのが一般的です。
家賃収入を得るために貸す場合、銀行から金利が高い不動産投資ローンへの借り換えを求められることがあります。
よって、単純に賃料収入を得たいだけの場合には、住宅ローン完済後に貸すのが適切です。
3-2.賃貸借契約の種類を決める
マンションを貸す場合、賃貸借契約の種類を決めることが必要です。
賃貸借契約には、「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があります。
両者の違いは、普通借家契約は更新ができる契約で、定期借家契約は更新ができない契約になります。
普通借家契約は借主から更新したい旨の希望があると、更新するのが原則です。
もし、貸主側から更新拒絶をしたい場合には、正当事由と立ち退き料の両方が必要となります。
正当事由とは、借主を立退かせるための正当な理由のことです。
普通借家契約は、借主の権利が強く守られており、借主が更新したいといえば更新ができてしまうという契約になります。
一旦、普通借家で貸してしまうと、自分の家を簡単に取り戻せなくなるという点が特徴です。
それに対して、定期借家契約とは、契約期間満了時に確定的に賃貸借契約が終了します。
定期借家の契約終了時は、正当事由も立ち退き料もいずれも不要です。
定期借家契約は、貸主の権利もしっかり守られている契約になります。
そのため、転勤等の期間限定でマンションを貸す場合は、確実にマンションを取り戻せる定期借家契約がおススメです。
ただし、定期借家契約は借主にとって不利な契約であるため、賃料相場が低いというデメリットがあります。
定期借家の賃料相場は、立地や契約期間等にもよりますが、普通借家契約の50%~80%程度です。
また、定期借家契約は、契約期間中に貸主側から中途解約をすることができないというデメリットもあります。
例えば、転勤期間が急遽短くなって予定よりも早く戻ってきた場合、貸主側から中途解約はできません。
後々トラブルにならないよう、あらかじめこれらを念頭において、賃貸借契約をするようにしてください。
3-3.管理会社を決める
マンションを貸す場合は、管理会社を決めることが必要です。
平たく言えば、管理会社さえ決めてしまえば、誰でもマンションを貸すことをスタートできます。
管理会社の業務は主に「入居者管理」と「入居者募集」の2つです。
まず、入居者管理とは以下のような業務になります。
- 賃料の集金と貸主への送金
- 入居者からのクレーム対応
- 賃貸借契約の締結業務
- 家賃滞納時の督促
- 退去時の原状回復の立会い
住宅の賃貸では、夜間でも入居者から「お湯が出ない」、「ウォシュレットが壊れた」等の突発的なクレームが入ることから、管理会社を入れた方が無難です。
また、万が一、家賃滞納が発生した場合、督促には専門的な知識が必要となりますが、管理会社は法的知識に基づき督促を行ってくれます。
次に、入居者募集とは以下のような業務です。
- インターネット広告の掲示
- 物件案内
- 入居審査
管理会社は、入居者募集業務も行いますので、賃貸仲介が得意な不動産会社に管理を依頼すると、空室も少なくなります。
賃貸仲介が得意な管理会社を探すには、「 賃貸経営 HOME4U(ホームフォーユー)」を利用すると便利です。
「 賃貸経営 HOME4U」は、運営元のNTTデータグループにより、厳正な審査を元に賃貸仲介が得意な管理会社だけが選ばれて登録されています。
貸し出したいマンションの所在地や間取りなどの簡単な項目を入力するだけで、対応可能な会社が自動的にピックアップされ、瞬時に優良な管理会社を見つけることができます。
賃料の提案、管理手数料、管理業務の細かな内容などは、各企業により異なるので、複数の管理会社にプラン請求を行い、しっかり比較してからどの会社にするか決定するのが失敗のない手順です。
4.分譲マンションを貸すときの注意点
この章では「分譲マンションを貸すときの注意点」について解説します。
たった2点ですので、ぜひ意識するようにしてください。
4-1.入退去時の物件確認をしっかりと行う
マンションを貸すときは、入退去時の物件確認をしっかりと行うことが重要です。
マンションに限らず、賃貸経営で最も多いトラブルは原状回復に関するものになっています。
原状回復とは、借主が物件を入居した時点の状態に戻して返すことです。
ただし、完璧に元通りに戻すという意味ではなく、借主の責任によって生じた汚れや傷を戻すという意味になります。
経年変化や通常損耗は原状回復の対象とはなりません。
原状回復の対象になるものとならないものを例示すると以下の通りです。
原状回復の対象となるもの | 原状回復の対象とならないもの |
---|---|
・タバコによる畳の焼け焦げ ・引っ越し作業で生じた引っかき傷 ・借主が結露を放置したことで生じたシミやカビ |
・壁に貼ったポスターや絵画の跡 ・家具の設置によるカーペットの凹み ・日照等による畳やクロスの変色 ・画鋲の穴 |
原状回復では、元々あった傷までを借主に修繕を要求するようなケースでトラブルになります。
例えば、床のキズが「元々あったもの」なのか、「借主が傷付けたもの」なのかによって原状回復の対象となるかどうかが変わります。
マイホームですので、物件を傷付けられたくない人も多いと思います。
傷付けられたら、しっかりと原状回復を請求できるよう、貸出時点の状態を細かく写真に撮っておきましょう。
4-2.将来売る可能性がある人は節税特例の適用期限を意識する
貸し出したマンションを将来売る可能性がある人は、節税特例の適用期限を意識することが重要です。
元々マイホームであったマンションは、売却時に税金が生じる場合、「3,000万円特別控除」と呼ばれる節税特例を利用することができます。
3,000万円特別控除とは、売却時の税金計算で生じる譲渡所得と呼ばれる所得から3,000万円を差し引くことができる非常に節税効果の高い特例です。
貸したマンションで3,000万円特別控除を利用するには、「転居してから3年後の12月31日までに売却」しなければならないという期限があります。
よって、売却で3,000万円特別控除を利用する可能性のある人は、自分が転居してから3年後の12月31日までにマンションを売ることが必要なので、頭に入れておいてください。
ちなみに、マンションを売る場合には、「不動産売却 HOME4U」の一括無料査定サービスを使うと早く売ることができます。
「不動産売却 HOME4U」は、マンション売却を得意とする最大6社の不動産会社に査定を依頼することができるサービスです。
いずれもマンション売却に慣れた不動産会社ですので、査定から売買契約の成立まで、スムーズな売却活動が期待できます。
売却が将来の選択肢にある人は、節税特例の期限を意識して、準備を進めるようにしてください。
まとめ
いかがでしたか。
マンションを貸すための基礎知識をお伝えしてきました。
分譲マンションを貸すことのメリットとしては、家賃収入が入る、自然と管理もできる等があります。
一方で、デメリットとしては、賃貸人としての修繕義務が発生し、確定申告も必要となるという点です。
分譲マンションを貸す手順の中では、管理会社を決めることが一番のポイントとなります。
賃料の提案、管理の手数料、業務内容の詳細は各企業で異なるので、必ず複数の管理会社を比較するようにしましょう。
ぜひ「 賃貸経営 HOME4U」を使って、手間なく優良な管理会社を見つけてください。
皆さんのマンションがスムーズに理想の賃料で貸し出せるよう、願っています。