土地の権利書とは?紛失した場合の対処法も!土地の登記の流れや費用も解説

土地の権利書とは?紛失した場合の対処法も!土地の登記の流れや費用も解説

土地を購入した際に交付される権利書について、大切な書類とは聞いているものの、実際にどのような書類かよくわからないという方もいるのではないでしょうか。

本記事では、登記簿との違いを含めて権利書の意味や役割を紹介するとともに、どのような場面で権利書が必要となるかなどを解説します。

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1.そもそも土地の権利書とは?

権利書とは、その不動産の所有者であることを証明する書類です。正式には「登記済権利証」と言い、後半部分を取って権利証と呼ばれることもあります。

土地の権利書は、土地の権利を取得した登記名義人に対して管轄の法務局から発行される重要な書類です。

権利書というと紙の書類を想像するかもしれませんが、2005年(平成17年)3月7日に改正された不動産登記法によって紙の権利書は廃止され、代わりに登記識別情報通知が導入されました。

登記識別情報とは、登記名義人である申請人ごとに定められた、アラビア数字とその他の符号の組み合わせからなる12桁の英数字(パスワード)です。

登記識別情報は、登記が申請された際に申請人に対して、物件および登記の内容とともに法務局から通知されます(下図参照)。

登記識別情報の通知を希望しない場合、その旨を申請書に記載すれば通知されません(オンライン申請)。

ただし、実務上は、オンライン上で登記識別情報をダウンロードすることは稀で、登記識別情報通知書として紙で発行してもらい、登記手続きを依頼した司法書士から受け取ります。

登記識別情報通知書

出典: “登記識別情報通知(見本)”. 法務省. (参照2024-08-22)

1-1.土地の権利書はどのようなときに必要か

土地の権利書や登記識別情報は、土地を売却したり、抵当権を設定したりする際など、その土地の所有者であることを証明しなければならない場合に必要になります。

土地の所有権を売主から買主に移転する際に、登記義務者(移転登記によって権利を失う方)である売主の権利書を法務局に提出することで、売主の売却意思を確認するのです。

なお、亡くなった方(被相続人)から相続人に不動産の登記を移転するための相続登記には、原則として権利書は必要ありません。

相続は当事者(被相続人)の意思に基づくものではなく、相続が発生したことは戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)や除籍全部事項証明書(除籍謄本)で証明できるためです。

ただし、例外的に、被相続人の最終の住所と登記上の住所のつながりが証明できない場合に、権利書や相続人全員の印鑑証明書などを添付して手続きを進める場合があります。

1-2.権利書と登記識別情報は同じもの

権利書と登記識別情報

権利書と登記識別情報は、いずれも不動産の権利を持つ方に発行され、基本的な用途や役割は同じです。

2005年(平成17年)3月7日に施行された改正不動産登記法において、オンラインでの登記申請も可能になったことに伴い、紙の権利書の発行が廃止され、登記識別情報の制度が導入されました。

従来の権利書は書面そのものに効力があり、登記が完了したことを証する法務局の赤い印が押されています。売却などの登記手続きの際には、この権利書の原本が必要です。

登記識別情報

一方の登記識別情報は、通知された12桁の英数字(パスワード)に効力があり、番号が合っていればコピーしたものやメモでも登記申請ができます。

ただし、登記識別情報に制度が変更になったあとも、従来の権利書が無効になるわけではありません。制度切り替え前に発行された権利書は引き続き効力を有するため、大切に保管する必要があります。

なお、従来の権利書には登記が完了したことを証明する役割もあったため、登記識別情報に切り替わった現在は、その役割を代替するものとして「登記完了証」が交付されます。

1-3.登記簿との違いは何?

不動産登記簿とは、不動産取引の安全のために、土地や建物の情報や権利関係を誰でも閲覧できるよう、登記所に備え付けられているものです。

不動産登記簿には土地登記簿と建物登記簿があり、それぞれ表題部と権利部(甲区、乙区)で構成されています。

土地の不動産登記簿に記載されている情報は次のとおりです。

記載事項
表題部 土地の所在、地番、地目、地積(土地の面積)など
権利部(甲区) 所有者に関する事項(いつ、どのような原因で所有権を取得したか)、
所有権に関する仮登記、差押え、仮処分など
権利部(乙区) 所有権以外の権利に関する事項(抵当権、地上権、地役権など)

出典:「“不動産登記のABC 登記記録(登記簿)とは?”. 法務省. (参照2024-08-22)」をもとに、お家のいろはが独自に作成

表題部には、土地の所在地や面積などが記録され、甲区には所有権に関する事項、乙区には、所有権以外の権利(抵当権や地上権など)に関する事項が記録されています。

登記簿の情報を記載した「登記事項証明書(登記簿謄本)」は、法務局あるいはインターネットで誰でも申請することができ、売買や担保設定などの取引に役立てることができます。

一方の権利書は、不動産の権利が移転した場合に登記名義人に対してのみ発行され、通常は所有者(登記名義人)の手元で保管されるものです。

2.土地の登記に必要な書類

一口に土地の登記と言っても、登記の原因となる法律行為や発生した事実によってさまざまな種類があります。

登記の種類 必要となるケース
所有権移転登記 売買や贈与、相続などで所有者が変わった場合
抵当権設定登記 土地を担保に資金を借り入れする場合
土地表題登記 これまで登記されたことのない土地を取得し、登記を行う場合
土地分筆登記 一筆の土地を分割(分筆)した場合
土地合筆登記 複数の土地を一筆の土地にまとめた場合
地目変更登記 宅地や畑など、土地の地目を変更する場合

ここでは、土地の売買に伴う所有権移転登記に必要な書類について解説します。

  • 登記申請書
  • 権利証もしくは登記識別情報
  • 登記原因証明情報(売買契約書)
  • 売主の印鑑証明書(発行から3か月以内のもの)
  • 買主の住民票
  • 固定資産評価証明書
  • 司法書士への委任状

登記申請書は、法務局の窓口もしくは法務局のウェブサイトで入手できます。

登記申請書

出典:“所有権移転登記申請書(売買)”. 法務局. 2019-05-10. (参照2024-08-22)」

登記原因である売買を証明する書類として、売買契約書が必要となります。また、不動産登記の手続きのために使用するものではありませんが、登記の際に課される登録免許税を計算するために固定資産評価証明書が必要です。

加えて、司法書士に登記手続きを依頼する場合は、委任状が必要となります。

3.土地の登記にかかる費用

土地の登記にかかる費用として、登録免許税があります。登録免許税は、登記手続きをする際に国に納める税金です。

所有権移転登記の登録免許税は、土地や建物の評価額(固定資産税評価額)に税率をかけて算出します。また、土地を担保にお金を借りる際の抵当権設定登記にかかる登録免許税については、借入金額に税率をかけて計算します。

下表は、登録免許税の算出方法を土地の取引態様ごとにまとめたものです。

取引態様 税率
所有権移転登記(売買) 評価額 × 2%
※2026年(令和8年)3月31日までに登記する場合は1.5%
所有権移転登記(相続) 評価額 × 0.4%
所有権移転登記(贈与) 評価額 × 2%
抵当権設定 借入額(債権額) × 0.4%

出典:「“No.7191 登録免許税の税額表”. 国税庁. (参照2024-08-22)」
“登録免許税はどのように計算するのですか?”. 法務局. (参照2024-08-22)」をもとに、お家のいろはが独自に作成

土地の評価額である固定資産税評価額は、毎年4~6月頃に市区町村の役所から送られてくる課税明細書(価格もしくは評価額の欄)で確認できるほか、役所に備え付けられている固定資産税課税台帳を閲覧することで調べられます。

例えば、評価額が800万円の土地を売買する際の登録免許税は、800万円 × 1.5% = 12万円となります。

また、登記手続きは司法書士に依頼することが一般的であり、登録免許税のほかに司法書士への報酬が必要となります。

所有権移転登記であれば、5~10万円程度が報酬の目安となり、土地を担保に融資を受ける際の抵当権設定登記を依頼する場合は2~5万円程度の費用が必要です。

なお、売買に伴う所有権移転登記にかかる費用は買主が負担し、売買契約書にもその旨が明記されることが一般的です。

また、相続登記のため、戸籍などのさまざまな証明書の収集や遺産分割協議書の作成などをまとめて依頼する場合は、7~15万円程度が相場となります。

4.【ケース別】土地の権利書に関して知っておきたいこと

ここでは、土地の権利書について知っておきたいことをケース別に解説します。

4-1.権利書を紛失した場合

権利書を紛失した場合、土地の所有者にはどのような影響があるのでしょうか。

Q:権利書を紛失!土地の権利はなくなってしまう?

土地の権利書を紛失したとしても、土地の権利を失うわけではありません。

権利書は土地の所有者であることを確認するための書類の一つであり、権利書の有無だけで登記上の記録が変わることはありません。

登記手続きには、登記原因を証明する売買契約書や土地所有者の印鑑証明書などの書類も必要となるため、権利書を紛失しただけで所有権が否定されたり、設定した抵当権の効力が失われたりするわけではないのです。

Q:権利書を紛失したら再発行できる?

権利書や登記識別情報は、災害などのやむを得ない場合も含め、理由を問わず再発行はできません。そのため、交付されたら大切に保管しておく必要があります。

Q:権利証を紛失しても土地の売却はできる?

権利書を紛失しても土地の売却はできます。

土地売却時の所有権移転登記の際に権利書を添付できない正当な理由がある場合は、ほかの手続きで登記申請することが可能です。

具体的には、登記所から登記名義人の宛てに、本人限定受け取り郵便で「登記申請があった旨」および「その登記申請が真実であるときは2週間以内に申し出ること」を通知する事前通知制度があります(不動産登記法第23条1項)。

また、司法書士に依頼して「本人確認情報」を作成してもらう方法もあります(不動産登記法第23条4項1号)。

この場合、司法書士が登記名義人と面談し、不動産の購入時期の確認や、本人の運転免許証、パスポートなどの身分証明書の提示を受けます。そこで本人に間違いないことが確認できれば、その旨の文書を作成し、登記申請書と一緒に提出する流れです。

4-2.権利書が盗難された場合

権利書を紛失ではなく盗難された場合にしなければならないことはあるのでしょうか。

Q:権利書が盗難された場合、悪用される恐れはある?

権利書が盗難された場合、悪用される可能性がゼロではないため、警察に被害届けを提出すると同時に実印と印鑑登録証があるかを確認しましょう。

第三者が不正に登記しようとしても、権利書だけではできず、所有者の実印と印鑑証明書が必要となるためです。

また、念のため法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取得し、不正な登記がされていないかを確認したほうがよいでしょう。

加えて、法務局に不正登記防止の申し出をすることもできます。不正登記防止の申し出とは、申し出から3か月以内に不正が疑われる登記申請があった場合に、本人に通知される制度です。

さらに、盗難されたものが登記識別情報通知書で、誰かにパスワードを見られた可能性がある場合には、登記識別情報の失効手続きをすることもできます。

4-3.権利書を登記識別情報に変更したい場合

2005年(平成17年)の不動産登記法の改正によって登記識別情報の制度が導入され、それまで活用されていた紙の権利書の発行は廃止されました。

Q:権利書を登記識別情報に変更できる?

権利書として発行された書類を登記識別情報に変更することはできません。登記識別情報の制度導入後も従来の権利書は有効であり、所有権移転登記などの手続きの際に必要となります。

まとめ

土地の権利書は、所有者であることを証明する大切な書類です。土地を売却する場合や、土地を担保に融資を受ける場合に必要となるため、大切に保管しなければなりません。

2005年(平成17年)の不動産登記法の改正によって、紙の権利書からオンライン申請にも対応できる登記識別情報に制度が変更となりましたが、両者の役割や用途は同じです。

また、土地の権利書を紛失したとしても、土地の権利を失うわけではありません。

土地の売却を検討している方は、信頼できる不動産会社に売却依頼することが大切です。

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