店舗兼住宅(店舗付き住宅・店舗併用住宅)とは、同じ建物の中に店舗と住居のスペースがある住宅のことです。
レストランやカフェなどの飲食店、サロン、美容室、クリニック、動物病院、士業、コンサルティング、コンビニなど、さまざまな業態で取り入れられています。
今回は、店舗兼住宅を作る際の間取りについて、以下の内容を解説します。
- 業態別の間取り事例
- 階数別・狭小地の間取り事例
- 間取りを考える際のポイント・注意点
店舗兼住宅の間取りを考える前に知っておくべきこともお伝えするので、ぜひ最後までご覧ください。
Contents
1.【業態別】店舗兼住宅の間取り例4つ
自宅で事業を始められる店舗兼住宅は、自宅と別にテナント料を払う必要がなくなり、職場までの通勤時間もないため、自営業を始めたい方の中には検討している方も多いでしょう。
店舗兼住宅を検討することが多い業態には、以下のようなものがあります。
- サロン・美容室
- カフェ・飲食店
- 医院・クリニック
- 士業、コンサルティング など
まずは、上記の業態別に店舗兼住宅の代表的な間取りをチェックしていきましょう。
1-1.【サロン・美容室向け/3階建て】の店舗兼住宅間取り例
サロンや美容室の店舗を兼用する場合には、1階に美容室、2階・3階に居住スペースを配置するなど、住宅の気配を感じさせず、美容室という非日常感を演出するデザインにすると良いでしょう。
道路側からは住宅があるように見えない外観にし、居住空間は道路側ではない方向に大きく開口した部分を作って開放感のあるデザインにすると、おしゃれな見た目に仕上がりやすいです。
1-2.【カフェ・飲食店向け/2階建て】の店舗兼住宅間取り例
カフェやレストランなどの飲食店を兼用した住宅にしたい場合には、テラス席やウッドデッキを取り入れた間取りにすると良いでしょう。
外の空間を活用してテラス席を作ることで席数を増やせるうえ、開放感があってSNS映えするような素敵なスペースがうまれます。
テラス席やウッドデッキを取り入れた間取りにする場合には、設計段階からハウスメーカーにテラス席用の庭を作りたいと相談しておきましょう。
1-3.【医院・クリニック向け/3階建て】の店舗兼住宅間取り例
開業医の方が医院やクリニック、整骨院を兼用する場合には、外壁塗装にシックな色を使い、周囲との区別化を図ることがおすすめです。
出入りしやすい1階部分を医院やクリニックにしたうえで、道を歩く人からも院内が確認しやすい大きな窓を設置すると、安心感がうまれます。
整骨院の場合には、店舗部分を広々とした間取りにすると、全体に目が届きやすくなり、より効率的に施術できるでしょう。
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1-4.【士業、コンサルティング向け/2階建て】の店舗兼住宅間取り例
士業、コンサルティング業の店舗部分を作る場合には、シンプルデザインで機能的な空間にすると良いでしょう。
サロンや美容院、クリニックなどの広々とした自由な空間の間取りとは異なり、応接スペースや給湯室、事務室、打ち合わせコーナーなど、必要に応じて部屋を分けることで、使い勝手がよくなります。
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2.【階数別・狭小地】店舗兼住宅の間取り例3つ
次は、「平屋建て」や「三階建て住宅」などの建物の階層別、土地の広さ別に、店舗兼住宅の代表的な間取りを見ていきましょう。
2-1.平屋建ての店舗兼住宅間取り例
店舗兼住宅の間取りでは、1階に店舗、2階以上を住宅のスペースに使うケースが多いですが、平屋建ての建物を店舗兼住宅にすることも可能です。
平屋建ての店舗兼住宅にする場合には、お客様が入りやすいように、道路に面した前面側を店舗スペースとして使うと良いでしょう。
道路側からは見えにくいように、奥に居住スペースを配置すれば、平屋建てであっても店舗スペースと居住スペースとを独立させた間取りにできます。
道路に面した前面からは店舗スペースしか見えないため、すっきりとした見た目にできるでしょう。
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2-2.3階建て住宅の店舗兼住宅間取り例
3階建て住宅を店舗兼住宅にする場合には、1階部分を店舗スペースにするのがおすすめです。
店舗の収入だけでなく、さらに収益を得たい場合には、賃貸住宅のスペースも作り、店舗兼賃貸住宅として使っても良いでしょう。二世帯住宅にすることも可能です。
将来的に貸し出す可能性がある場合には、店舗部分と居住部分をしっかり切り離すようにしてください。
また、1階はスイーツを販売するお店、2階は喫茶フロア、3階部分からを自宅として使うケースもあります。
2-3.狭小住宅の店舗兼住宅間取り例
都市部などに多い狭小地での新築を検討しているのであれば、2階建てや3階建て、あるいはそれ以上の多層階にして、店舗と住宅のスペースを分けます。
天井の高さを高くすることで、狭小住宅でも広々とした空間を演出できますよ。
ただし、となりの敷地との隙間がないような狭小住宅を建てる際は、外壁や開口部などを施工するために必要な足場を設けるスペースも取りにくいです。
ハウスメーカーや工務店によって対応できる1階ごとの延床面積が異なるケースもあるため、狭小地での施工事例が豊富かどうか、確認をしておくと安心です。
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3.店舗兼住宅の間取りや外観を考える際のポイント
店舗兼住宅の間取りや外観を考える際のポイントは、以下のとおりです。
- 1階部分に店舗を作る
- 従業員用スペースやバックヤードを作る
- テラス席など、SNSに映える外観を意識する
- 営業面と生活面の動線を考える
- バリアフリーを意識する
これらのポイントを理解して、店舗兼住宅の間取りや外観を考えるようにしましょう。
3-1.一階部分に店舗を作る
先述したように、店舗兼住宅の間取りを作る際には、1階部分を店舗スペースにすることをおすすめします。
外から店内の様子が見えやすく、道行く人が「どのようなお店なのか」わかるようにしたほうが、入店のハードルが下がり、集客しやすくなるのです。
2階に店舗スペースを配置すると、一気に集客力が落ちるといわれているため、注意しましょう。
3-2.従業員用スペースやバックヤードを作る
従業員用スペースやバックヤードを作ることで、店内のスペースを狭めてしまうことを懸念する方もいるでしょう。しかし、商品の在庫や掃除用具などの置き場、従業員の着替え、事務作業をする場所は必要です。
「店内のスペースが狭くなってしまう」という心配がある方は、デッドスペースの見直しや間取りの有効活用について、ハウスメーカーに相談しましょう。
3-3.テラス席など、SNSに映える外観を意識する
カフェやレストランなどの飲食店を併用した住宅にする場合、ウッドデッキやテラス席などを用意してSNSに映える外観を意識することもポイントの1つです。
店舗を営業していないときにはプライベート空間として利用できるため、ウッドデッキやテラス席のスペースを自宅の憩いの場として使えます。
3-4.営業面と生活面の動線を考える
店舗の見た目だけではなく、実際に住み始めてからの動線をしっかりとイメージすることが重要です。
居住部分の生活動線はもちろん、店舗部分の働きやすさとお客様の利用のしやすさに考慮し、適した動線になるように考えましょう。セキュリティ区画を分けるなど、防犯性を高める工夫も大切です。
3-5.バリアフリーを意識する
バリアフリーに配慮されたお店であれば、高齢者はもちろん、ベビーカーや車いすを利用するお客様も入りやすく、客層の幅が広がります。
例えば、店内にトイレを作る際、排水勾配の確保のために段差が生じてしまった場合には、スロープを設置するなど、誰もが使いやすい店づくりを意識して設計しましょう。
建築基準法:店舗併用住宅と店舗兼住宅の違い
店舗兼住宅と店舗併用住宅は、建築基準法において異なる建築物として定められています。
どちらも店舗と住宅のスペースがある建物だという点では同じですが、大まかには以下の違いがあります。
- ・店舗兼住宅…内部での行き来が可能
- ・店舗併用住宅…内部での行き来を問われないが、店舗部分と居住部分が明確に分けられている
建築基準法上では、店舗兼住宅と店舗併用住宅とで、建てられる土地などに違いがあることが大きなポイントです。
そのため、店舗併用住宅が建てられない第一種低層住居専用地域であっても、条件に合う店舗兼住宅であれば店舗や事務所が作れます。
ただし、この場合は店舗・事務所部分を他人に賃貸できないなど注意点もあるため、各条件を整理して間取りを決めましょう。
4.店舗兼住宅の間取りの家を建てる前に!家づくりの失敗例と失敗しないコツ
ここでは、実際に店舗兼住宅の間取りの家を建てた際に生じたよくある失敗例と、失敗しないコツを3つ紹介します。
よくある失敗例は下記のとおりです。
- プライバシーを守りにくい
- 兼用する分、店舗・住まいが狭くなる
- 店舗と住宅の割合によってはローンが組めなくなる
以下より詳細をチェックしていきましょう。
4-1.プライバシーを守りにくい
失敗しないコツ:居住スペースとの境界を明確にする
プライベート空間である居住部分と、不特定多数の人が出入りする店舗とが一緒になることで、プライバシーを守りにくくなります。
間取りを考える際は、プライバシー対策とともに、自宅部分と店舗部分両面のセキュリティ対策も検討しましょう。在庫を管理できるバックヤードや防犯カメラ、金庫の設置などがその例です。
なお、店舗内を360度ビューイングする写真を用意して、ホームページなどで紹介する際には、プライベート空間やセキュリティ面に支障がないか、よく注意して検討しましょう。
4-2.兼用する分、店舗・住まいが狭くなる
十分な広さを確保できず、手狭な間取りになってしまった
店舗側の広さばかり考えて間取りを作ったため、居住スペースの収納場所を多くとれず、手狭に感じてしまいました。
失敗しないコツ:店舗・住まいの中で何を重視するかを考え、間取りを決める
店舗が小さくなってしまうと、例えばレストランやカフェなどの飲食店なら席数が減る、クリニックなら待合スペースや診療スペースが減るなど、売上を上げにくくなってしまいます。
採算性を含め、事前にしっかりと事業計画を練ったうえで間取りを考えましょう。
また、店舗部分にばかり気を取られ、居住部分が狭くなることで生活しづらくなる可能性があることにも注意してください。
4-3.店舗と住宅の割合によってはローンが組めなくなる
思っていたような住宅ローンを組めず、金銭面で苦労した
自分のこだわりを詰めた間取りでお店を開くことを考えていましたが、住宅ローンの適用がされず、金銭的な面で苦労しました。こだわりを汲んでもらえるのは嬉しかったですが、間取りを考える上でリスクがあることを教えてもらえたら嬉しかったです。
失敗しないコツ:住宅ローンの情報をしっかりと集め、検討する
店舗兼住宅の費用の支払いを住宅ローンで行いたい場合には、店舗と住宅の割合によってはローンが組めなくなる恐れがあることにも注意しましょう。
住宅ローンは住宅に対するローンのため、適用させるためには「建物全体の床面積のうち、半分以上の面積が自宅であること」や「自己使用する建物であること」などの要件があります。
法人が建物の融資を受ける際の融資を受けることも検討できますが、住宅ローンであれば35年ローンを組めるなど、比較的有利な点が多いため、しっかり情報を整理しておきましょう。
また、ハウスメーカーによって設備のグレードや坪単価は異なるため、家づくりの資金計画を練る際には、複数のハウスメーカーから見積もりを提出してもらい、比較しましょう。
こうした失敗・後悔を避けるためにも、ぜひ「HOME4U(ホームフォーユー)間取り作成依頼サービス」で、実際にハウスメーカーから間取りプランを提案してもらい、具体的なイメージを持ってプランニングを進めてみてください。
モデルハウスや営業所の訪問前に間取りプランを検討できるため、失敗のリスクを大きく軽減することができます!
5.店舗兼住宅の間取りを考える前に知っておくべきこと
最後に、店舗兼住宅の間取りを考える前に知っておくべきことを解説します。
- 店舗兼住宅を建てるメリット・デメリット
- 店舗兼住宅を建てられる用途地域
- 店舗兼住宅を建てる際の費用
1つずつ見ていきましょう。
5-1.店舗兼住宅を建てるメリット・デメリット
店舗兼住宅を建てることには、メリット・デメリットがあります。
それぞれを理解したうえで、店舗兼住宅を建てるかどうかを検討しましょう。
- 家賃負担の軽減になる
- 店舗までの通勤時間がなくなる
- 建築費の一部を経費として計上でき節税になる
- 仕事と家庭を両立しやすい
- 店舗部分を貸し出すこともできる など
- 集客に合う立地だと人通りが多く、住宅として住みにくい可能性がある
- 住宅だけの建築費よりも高くなる
- 将来売却が難しい など
5-2.店舗兼住宅を建てられる用途地域
建物を建築する土地の用途地域によっては、店舗兼住宅を建てられない可能性があります。
例えば、第一種低層住居専用地域は基本的には店舗は建てられません。
しかし、条件によっては特例的に店舗が建てられるケースもあります。
5-3.店舗兼住宅を建てる際の費用
店舗兼住宅を建てる際の費用は、飲食店なのかアパレル店なのかなど、店舗部分の利用の仕方によって必要な設備などが変わってくるので、事前に費用相場を掴むことは難しいです。
費用相場を具体的にイメージするには、実際にハウスメーカーから自分たちに合った建築プランの見積もりを複数もらうのが良いでしょう。
まとめ
本記事では、店舗兼住宅の間取り例や間取りを考える際のポイント・注意点を紹介しました。
それではおさらいです。
この記事のポイント
店舗兼住宅で美容室を兼用する場合、1階に店舗、2階に居住スペースを配置すると、生活感を感じさせない、非日常感のある空間を演出できます。
詳しくは「1-1.【サロン・美容室向け/3階建て】の店舗兼住宅間取り例」をご覧ください。
平屋の店舗兼住宅にする場合、お客様が入りやすいよう道路に面した前面側を店舗スペースとして使うと良いです。
詳しい間取り図は「2-1.平屋建ての店舗兼住宅間取り例」をご覧ください。
狭小地に店舗兼住宅を建てる際には、2階建てや3階建て、あるいはそれ以上の多層階を検討すると良いです。
間取り事例や注意点は「2-3.狭小住宅の店舗兼住宅間取り例」をご覧ください。
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