【初期・メンテナンスコストを徹底比較】「タイル外壁」の参考事例&メリット・デメリット

タイル外壁 メリット・デメリット

タイル外壁は抜群の高級感を誇り、耐久性も高い優れた素材です。
この記事では、タイル外壁のメリット・デメリットに加え、初期費用と固定資産税・メンテナンス費等コスト面にも踏み込んで詳細に解説致します。

この記事でわかること
  • タイル外壁のメリット・デメリット
  • 固定資産税・メンテナンス費用などの他外壁との比較
  • 施工シミュレーションと実例

自分にあったハウスメーカーがわからない」「比較・検討すべきハウスメーカーはどこ?」
そんな方は「HOME4U(ホームフォーユー)」がおすすめ。190社以上のハウスメーカーから「あなたにあったハウスメーカー」を最大5社ピックアップ!さらにプラン作成依頼が可能です。以下からぜひご利用ください!

かんたん3分入力
自分にあった 家づくりプランを
まとめて依頼!
STEP1
STEP2

1. 外壁の基礎知識&「タイル外壁」に向いているのはこんな人

外壁には、大きく分けて以下の四種類があります。

  • サイディング系
  • モルタル
  • タイル
  • ALC

この記事ではタイルとの比較対象として、日本の住宅での使用率が高い「窯業系サイディング」と「モルタル」をしばしば例に挙げます。

タイル外壁を選ぶのに向いている人は以下の通りです。

  • 住宅のデザイン性にこだわる人
  • 初期費用を十分にかけられる人
  • 次の世代に長く受け継ぎたい人

以下で一つずつ解説いたします。

1-1. 外壁の基礎知識

外壁の種類は、大きく4つに分けられます。

  • サイディング系
  • モルタル
  • タイル
  • ALC

サイディング外壁は、更に細かく分類すると、「窯業系」「金属系」「樹脂系」「木質系」の4つに分けられ、特に窯業系サイディングは日本の住宅のおよそ8割を占めていると言われます。

モルタルは、水と砂とセメントを混ぜ合わせて作った外壁材で、防水シートの上に板を張り、更に防水紙をかぶせて金属網を張った壁の上にペースト状のそれを塗ります。
かつての主流で、今も数は減ったものの根強い人気を誇っている外壁材です。

タイルは石や粘土などの自然由来の原料を高温で焼き固めた外壁材で、抜群の耐久力と美観を誇りますが、主に初期費用の高さから使用率は高くなく、日本全体でもわずか3%前後と言われています。
安価な窯業系サイディングにもタイル張りに似せたデザインのものがあるので、それで代替している方も多いのでしょう。

ALCとは軽量気泡コンクリートのことで、珪石、セメント、生石灰、発泡剤から作られています。非常に軽いため家全体が軽量化し、地震発生時の家への負担が大幅に削減できるので、耐久性にも優れています。
ですが壁材同士のつなぎ目が多いうえに防水性が低く、初期・メンテナンス費用共に高額なため、こちらも日本における住宅での使用率は3%前後です。

この記事内ではタイルとの比較に、住宅での使用率が高い窯業系サイディングとモルタルをしばしば例に挙げます。

1-2. タイル外壁が向いているのはこんな人

タイル外壁を選ぶのに向いている人は、以下の通りです。

  • 住宅のデザイン性にこだわる人
  • 初期費用を十分にかけられる人
  • 次の世代に長く受け継ぎたい人

「おしゃれな家にしたい」「西洋風の洗練された家が欲しい」というように、住宅のデザイン性にこだわる方は、タイルを選ぶとよいでしょう。圧倒的に美しい住宅を手に入れることが出来ます。

ですが、高級感があって将来的なメンテナンス性が良いとはいえ、新築時にかけられる費用があまりにもカツカツだとかえって余計なストレスを背負い込むことになりますので、初期費用にはある程度予算に余裕がある方におすすめ致します。

また、重厚な見た目に加え耐久性に優れ、汚れや色落ちの心配も少ないなど機能性も十分なため、子供・孫に末永く家を受け継いでいきたい方には、ぜひともお選びいただきたい素材です。

2. タイル外壁の主な特徴3つ

タイル外壁の特徴は主に以下の3つです。

  • 初期費用が高額だが、トータルコストは安い
  • 耐久性が高く、美観を長く保つ
  • 高級感があり、デザイン性に優れている

以下の章で一つずつ解説いたします。

2-1. 特徴1 初期費用が高額だが、トータルコストは安い

特徴1 初期費用が高額だが、トータルコストは安い イメージ

タイル外壁は、1㎡で約13,000円~35,000円の施工費がかかります。
例えば一般的に普及率の高い窯業系のサイディングは1㎡で約3,000円~9,000円で済むため、最も安いもの同士で比べると4倍近い差があることになります。

しかし、サイディングは7~10年でシーリング工事や塗り替えなどで140万円程度のメンテナンスを定期的に必要とします。
一方タイルは高圧洗浄を主として50万円程度で済み、ざっくり40年で比較すると360万円もの差が出ることになります。
加えて、サイディングを貼り換えるといった大きな修繕をすると差は更に開きます。
他の外壁素材と比べても、タイルのメンテナンス費用が安価で済むことに違いはありません。

また、タイルは固定資産税が高い外壁としても知られていますが、その差は1㎡あたり約61円で、その他屋根の勾配や床材・吹き抜けなどの住宅デザインでも変わってくるため、そこまで甚大な影響を及ぼすことはありません。



2-2. 特徴2 耐久性が高く、美観を長く保つ

特徴2 耐久性が高く、美観を長く保つ イメージ

外壁タイルは、石や土などを高温で焼き固めた自然素材から成る素材です。
そのため劣化や色落ちがしにくく、傷・汚れへの耐久性は、人工的なアクリル塗装などに比べて抜群に良いことが証明されています。

2-3. 特徴3 高級感があり、デザイン性に優れている

特徴3 高級感があり、デザイン性に優れている イメージ

外壁タイルは素材に立体感があり、建売住宅に多いサイディング等と比べられない高級感・重厚感を持っています。
また、質感やタイル自体の装飾性も優れたものなど多数種類が選べる他、貼り方によってもデザイン性を追求しやすく、他の住宅との差別化が可能です。

3. タイル外壁のメリット&デメリット解説

タイル外壁の最大のメリットは「メンテナンス費用の安さと手間のなさ」、一方のデメリットは「初期費用の高さ」です。

この章では、タイル外壁のメリット・デメリットを詳しく解説していきます。

<表 基礎断熱のメリット・デメリット一覧>
メリット デメリット
  • メンテナンス費用が安価
  • 高級感があり、デザイン性が高い
  • 耐久性に優れており、美観を長く保つ
  • 初期費用が高い
  • 固定資産税が割高
  • 職人の腕前によって剥離や浮きの危険がある

3-1.タイル外壁のメリット

タイル外壁のメリットは、主に以下の通りです。

  • メンテナンス費用が安価
  • 高級感があり、デザイン性が高い
  • 耐久性に優れており、美観を長く保つ

以下で一つずつ、詳しく解説いたします。

3-1-1. メリット1 メンテナンス費用が安価

メリット1 メンテナンス費用が安価 イメージ

タイル外壁は耐久性が高く汚れがつきにくいため、定期的なメンテナンス費用が最小限で済みます。

メンテナンスの周期はおおむね10年ごとになることが多いです。

一般的な外壁材である窯業系サイディングと基本的なメンテナンス費用を比べてみると、30坪100㎡の一般的な住宅の場合、おおまかにこのようになっています。

<表 10年ごとのタイルとサイディング メンテナンス費用のおおまかな比較>
タイル 約30~50万円
窯業系サイディング 約70~150万円
モルタル 約80~120万円

大きな劣化がなく、10年ごとにこの費用がかかってくると想定してざっくり40年間での差額を計算すると、

  • 窯業系サイディング……タイル外壁と比べて60~400万円
  • モルタル……タイル外壁と比べて200~280万円

の差が生じます。
なお、窯業系サイディングの場合、多くは築25年~30年の間に張り替えがありますので、その場合費用は150~300万程度かかり、更に差が開きます。

この高額な価格差の訳は、タイルの場合の主なメンテナンスが洗浄とコーキングの補修と言った軽い修繕なのに対し、サイディングやモルタルなどの他素材では、塗装が主になって来るためです。

塗装は防水や紫外線から素材を守るなどの効果も担っているため、劣化すると素材自体がだめになり、家全体が急速に傷んでしまいます。

長年に渡ってメンテナンスが最小限で済むタイル外装の家は、そもそもの家全体が強い耐久性を持っているということになりますし、定期的に多額の費用を工面しなければならないという精神的負荷も負わずに済みますので、トータルコストとしてはかなり優秀だと言えるでしょう。

3-1-2. メリット2 高級感があり、デザイン性が高い

メリット2 高級感があり、デザイン性が高い イメージ
メリット2 高級感があり、デザイン性が高い イメージ

タイル外壁の最大とも言えるメリットが、見た目の高級感とデザイン性の高さです。

建売住宅を含む日本の住宅の約8割に採用されている窯業系のサイディングと外観を比べると、タイルは、面状(ざらざら、つるつる等の質感)・釉薬・形状・サイズなどのバリエーションが豊富で、組み合わせ次第でオリジナリティが出しやすいという特徴があり、思う存分外観に凝ることが出来ます。

また、ほかの外壁材にない立体感を持っていますので、重厚感のある高級な佇まいの家になります。

3-1-3. メリット3 耐久性に優れており、美観を長く保つ

メリット3 耐久性に優れており、美観を長く保つ イメージ

タイルは非常に優れた耐久性を有しています。
原料が石や粘土などを焼き固めて作った自然由来の素材であるため、他の外壁材と比べても劣化・変色のしにくさは歴然の差があります。

吸水率が5%以下と低いため、雨水が浸透する心配はほとんどなく、汚れもつきにくいです。ついたとしても雨水がタイルの表面に膜を張ることで、自然と流れ落ちます。

更に傷がつきにくいこともメリットの一つです。例えば海沿いなど、頻繁に砂に擦られる立地であったり、台風が多くて何かが飛んできたりしても、ほとんど傷はつかず、もし傷がついても部分的な補修で済みます。

3-2.タイル外壁のデメリット

タイル外壁のメリットは、主に以下の通りです。

  • 初期費用が高い
  • 固定資産税が割高
  • 職人の腕前によって剥離や浮きの危険がある

以下で一つずつ、詳しく解説いたします。

3-2-1. デメリット1 初期費用が高い

デメリット1 初期費用が高い イメージ

タイル外壁の最大のデメリットは、初期費用の高さにあります。他の外壁材と比べても、その高さは群を抜いています。

<表 代表的な外壁材のおおよその初期費用>
価格(㎡ごと) 30坪住宅の場合のおおおよその価格
タイル外壁 約13,000円~35,000円 約150万円~
窯業系サイディング 約3,000円~5,000円 約50~150万円
モルタル(アクリル塗料) 約5,000円~ 約70~120万円
ALC 約7,000円~10,000円 約90~150万円

タイル外壁の場合、通常はタイルの下地にサイディングを使い、その上に手作業で一枚ずつ貼り付けるという手間がかかるため、その分価格は高額になるのです。

メンテナンス費用の面を考えると、長期住むには抜群の機能性であるとはいえ、初期費用にある程度の余裕がないとタイル外壁を選択するのは難しいでしょう。

3-2-2. デメリット2 固定資産税が割高

デメリット2 固定資産税が割高 イメージ

タイル外壁は固定資産税が割高になります。
他の外壁材と比べると、延べ床面積㎡ごとの固定資産税はおおまかに以下の通りです。

<表 1㎡ごとの外壁材の固定資産税比較>
タイル 約166円
漆喰 約162円
サイディング 約105円

サイディングと比べると60円近く差があることになります。素材そのものが高級なことと、その強い耐久性から資産価値が高いと判断されるためです。

ですが、実は外壁だけでなく、以下のような設備によっても固定資産税は上がります。

  • 屋根……勾配、材質によって加算
  • 玄関……床材によって加算
  • エアコン……埋め込み型なら加算
  • 天井……240cm以上で加算
  • トイレ……便器の数によって加算
  • インターホン……色や機能によって加算
  • ガレージ……シャッターの有無や壁の数などによって加算

この他コンセントの数等かなり細かいところまで評価が及ぶため、外壁をタイルにしたとしても、その他のところで浮かせることは可能と考えられます。

3-2-3. デメリット3 職人の腕前によって剥離や浮きの可能性がある

デメリット3 職人の腕前によって剥離や浮きの可能性がある イメージ

稀に事故の事例もありますが、現在はタイルを貼り付ける接着剤の性能なども向上しており、よほどずさんなやり方をしない限り、剥離・浮きの危険性はほとんどないと言えます。

施工会社を選ぶ際には以下のようなことに注意して、必ず複数社に見積もりを依頼したうえで決定しましょう。

  • 施工実績が豊富で、それがネットで見られるかどうか
  • 無料で見積もりを取ってくれるかどうか
  • 質問への対応の態度・スピードが適正な担当者かどうか
  • 他社と比べて、見積額が高すぎたり低すぎたりしないかどうか
【必見】自分の希望にあった
ハウスメーカーを探したい方へ

HOME4U「家づくりのとびら」
オンライン無料相談がおすすめ!

  • 自分にあったハウスメーカーが見つかる
    ハウスメーカーのご案内はもちろん、「こだわり」や希望をハウスメーカーにお伝えします!
  • ハウスメーカー出身アドバイザーに聞ける
    注文住宅のプロ集団が、【中立な立場】でご説明、ご相談にのります。
  • かんたんに自宅から相談できる
    スマホやパソコン、タブレットで簡単に、オンラインで「家からじっくり相談」できます。

4. 【タイルごとの比較あり】タイル外壁の新築費用相場と選び方

この章では、タイル外壁の新築費用を解説したうえで、タイルの選び方をご説明します。
なるべく安くする方法や、デザイン性を追求する方法なども併せて記載しています。

4-1.タイル外壁の新築費用相場概要

基本的なタイル外壁の新築費用相場は、以下の通りです。

<表 タイル外装 1㎡ごとの基本費用内訳>
下地費用※窯業系サイディング 約3,000~5,000円/㎡
タイル費用 約7,000~30,000円/㎡
合計 約10,000~35,000円/㎡

タイル外壁は、メーカー、工法、選ぶタイルの種類、貼り方などによって価格がだいぶ違ってきます。
上記は現在最も代表的な「接着剤張り方法」という方法で、窯業系サイディングを下地として、専用の接着剤でタイルを張っていく方法によるものです。

以下ではメーカーごとのぶれのない、タイルの「サイズ」と「形状」、そして「工法」にフォーカスして、価格帯を分かりやすく比較します。

4-2.外装タイルの選び方

外壁タイルを選ぶためには、以下の5つを決定する必要があります。

  • 素材を決める
  • 色合いを決める
  • 工法を決める
  • サイズを決める
  • 形状を決める

以下で詳しく解説いたします。

4-2-1. 選び方1 素材を決める

タイルには、以下の3種類があります。

<表 素地 分類>
素地の種類 特徴
磁器質 吸水率1%以下、固く透明性があり、最も外壁向き。
せっ器質 吸水率5%以下、磁器質と陶器質の中間に位置する。土もののタイルもここに分類される。
陶器質 吸水率22%以下、強度は磁器質に劣る。凍害の恐れがあり、外装には使われない。

磁器は石英、長石などを焼いたタイルで、光沢があり、非常に硬く、凍害にも強いです。ビルの外構や、商業施設の床タイルによく使用されます。

せっ器は素材そのものの色むらが出るため、自然な風合いが楽しめます。

おすすめは「磁器質」のタイルです。最も吸水率が高く、汚れにくいのでメンテナンスもしやすいという特徴があります。

4-2-2. 選び方2 色合いを決める

タイルには、うわぐすりをかける「施釉」と、かけない「無釉」があります。
それぞれの特徴は以下の通りです。

<表 釉薬 分類>
釉薬の種類 特徴
有釉 色つやを出したり、素材の強度を増すために使う。外壁タイルはほとんどが有釉。
無釉 うわぐすりを塗らない状態。素材そのものの感じが良く出る。

これが色合いを決めるもとです。施釉のタイルは、外壁では例えばマット釉やラスター釉などが有名で、艶やかで華のある印象を抱かせます。一方の無釉タイルは、タイルの素地がそのまま表れるため、素朴な風合いが楽しめるものとなっています。

マット釉 無釉
マット釉、ラスター釉、無釉 イメージ マット釉、ラスター釉、無釉 イメージ

4-2-3.選び方3 工法を決める

タイル張りの工法には、大きく分けて以下の二つがあります。

<表 二つの工法の特徴と価格帯>
特徴 価格帯
乾式工法 接着剤を使う工法。職人の腕が問われないので仕上がりが均一だが、画一的で継ぎ目が出る。
サイディングの上にタイルを張る「接着剤張り工法」もこれに該当する。
安い
湿式工法 モルタルを使う伝統工法。職人の技術を要するため工期が長く価格も高いが、味わい深い高級感ある見た目になる。 高い

  • 安くしたいなら乾式工法
  • より高級感を出したいなら湿式工法

を選択すると良いです。

4-2-4. 選び方4 サイズを決める

外壁タイルのサイズは代表的に6つあり、それぞれの特徴と価格は以下の通りです。

<表 外壁タイルのサイズ6種の特徴と価格>
寸法などの特徴 1㎡あたりの価格
45二丁タイル 95㎜×45㎜。約300㎜×300㎜のシートでまとめ張りにされて売っている。 タイルの中では最も安価。 3,000円/㎡~
二丁掛タイル 227㎜×60㎜。種類が豊富で、最近では主流になりつつある。 8,000/㎡~
ボーダータイル 227㎜×30㎜。非常に美観に優れたタイル。他のタイルと組み合わせてアクセントにもなる。 13,000円/㎡~
50角タイル 45㎜×45㎜。多くはモザイクタイルのサイズで、小さいので様々な組み合わせが可能。個性的に作れる。 5,000円/㎡~
小口平タイル 108㎜×60㎜。かつて主流だったが、最近はあまりなく、種類が少ない。 7,000円/㎡~
ブリックタイル 多種多様なサイズがある。レンガ風ときいてイメージするタイル。本格的で高級感ある質感を持つ。 12,000円/㎡~

安価にしたい場合は、45二丁タイルや50角タイルを使うとよく、高級感を強く出したい場合にはボーダータイルとブリックタイルが美観に優れています。

なお、外壁に使用するタイルが何枚必要になるかは、目地幅も含めて考えなければなりません。
目地幅は、実寸法で示されたサイズと、目地共寸法で示されたサイズの差分を計算して算出します。
目地幅が広いほどかわいらしく、狭いほどスタイリッシュに仕上がります。

4-2-5. 選び方5 形状を決める

外装タイルの形状には、以下の3つがあります。

<表 外装タイルの形状3つの特徴と相場と比べた価格帯>
特徴 相場と比べた価格帯
ユニットタイル 平物タイルを一定数つなげてシート等に貼ったもの。45二丁タイルや50角タイルがこれに該当する。 安い
平物タイル 長方形・正方形の平らなタイル。 相場通り
役物タイル コーナーなど、平面でない場所に使うL字型のタイル。 高い

役物タイルの数が多ければ多いほど、施工費用は割高になります。平物の50%上乗せが一般的です。

5.タイル外壁の新築・メンテナンス費用比較シミュレーション

この章では、タイル外壁の新築・メンテナンス費用相場の詳しい計算を解説したうえで、使用率が高い窯業系サイディングやモルタル塗りと比較して、どのくらいの費用差があるのかを解説いたします。

5-1.タイル外壁と他壁材の新築費用比較シミュレーション

まずはタイル外壁・他壁材の新築費用をざっくりシミュレーションしてみましょう。

以下の条件でシミュレーションをします。

なお、これは「タイル本体+下地の相場価格」を面積で掛けた単純な計算です。メーカーで差が出ますし、家の形でも違いますので、「少なくともこれくらいはかかる」という目安としてご覧ください。

坪数:30坪2階建て
外壁面積:120㎡
工法:接着剤張り工法
タイルの種類:二丁掛けタイル
タイルの価格:9,500円/㎡
下地:窯業系サイディング
下地の価格:5,000円/㎡

9,500円+5,000円=14,500円(下地+タイルの値段)
14,500円×120㎡=174万円

※あくまでも編集部で試算したシミュレーションです。お住まいの地域によって変動するのでハウスメーカー・工務店に確認しましょう。

このシミュレーションから、特に豪勢なあつらえにしなくても、最低150万円以上はかかるということが分かって頂けると思います。

5-1-2.他外壁の新築費用との比較シミュレーション

さて、前章と同じ条件で、他外壁と新築費用を比較してみましょう。
なお、こちらも施工の相場費用と面積をかけたのみの簡単な計算になっておりますので、確かなところはハウスメーカー・工務店にご確認ください。

まずは、窯業系サイディングと比較します。

〈窯業系サイディングとの新築費用比較〉
坪数:30坪2階建て
外壁面積:120㎡
窯業系サイディング:4,500円/㎡

4,500円×120㎡=54万円

〈タイルとの比較〉
174万円-54万円=120万円

次に、モルタルと比較します。

〈モルタルとの新築費用比較〉
坪数:30坪2階建て
外壁面積:120㎡
モルタル:8,000円/㎡

8,000円×120㎡=96万円

〈タイルとの比較〉
174万円-96万円=78万円

以上のシミュレーションから見ると、窯業系サイディングとの比較では120万円、モルタルとの比較では78万円の差が出ます。割合でみると、窯業系サイディングはタイルの約3割、モルタルはタイルの約6割程度の値段で施工することが可能になるということです。

5-2.タイル外壁と他壁材のメンテナンス費用の比較シミュレーション

次にタイル外壁・他壁材のメンテナンス費用をざっくりシミュレーションしてみましょう。

5-2-1.タイル外壁のメンテナンス費用シミュレーション

ここでは、タイル外装のメンテナンス費用のシミュレーションをしてみましょう。
分かり易く概算しているので、「タイルであれば大体このくらいの数字が基本になる」という目安にお使いください。

なお、周期は10年ごとです。

<条件>
坪数:30坪2階建て
外壁面積:120㎡
メンテナンス内容:高圧洗浄、コーキング打ち増し
<相場価格>
足場設置代:700~1,200円/㎡
養生代:300~500円
高圧洗浄代:200~500円/㎡
コーキング打ち増し:500~900円/㎡

各工事の単価は内容や時期で変化しますが、低めの相場価格で計算します。

足場代は、外壁面積が120㎡の場合はおよそ185㎡で計算します。
700円×185㎡=129,500円

養生代は120㎡で計算します。
300円×120㎡=36,000円

高圧洗浄代も120㎡のままで計算します。
200円×120㎡=24,000円

コーキングは、外壁面積が120㎡の場合はおよそ170㎡で計算します。
500円×170㎡=85,000円

ここに足場代と養生代、高圧洗浄代を加えて、
129,500円+36,000円+24,000円+85,000円=27万4,500円

低めの相場価格で、27万4,500円です。

5-2-2.他外壁のメンテナンス費用との比較シミュレーション

さて、前章と同じ条件で、他外壁とメンテナンス費用を比較してみましょう。
なお、こちらも簡単な計算になっていますので、確かなところはハウスメーカー・工務店にご確認ください。
なお、周期はタイルと同じく10年です。

<窯業系サイディングのメンテナンス費用>

<条件>
坪数:30坪2階建て
外壁面積:120㎡
メンテナンス内容:塗り替え、洗浄、コーキング打ち増し
<相場価格>
足場設置代:12万9,500円
養生代:36,000円~
洗浄代:24,000円~
下地代:約8万円程度
コーキング打ち増し:85,000円~
塗料の種類:ウレタン系 1,800円/㎡~

※足場設置代・養生代については「5-2-1.タイル外壁のメンテナンス費用シミュレーション」での計算による

各工事の単価は内容や時期で変化しますが、低めの相場価格で計算します。

塗料代は
1,800円×120㎡=21万6000円です。

129,500円+36,000円+24,000円+80,000円+85,000円+216,000円=570,500円

合計は57万500円になります。

次に、モルタルと比較します。

<モルタルのメンテナンス費用>

<条件>
坪数:30坪2階建て
外壁面積:120㎡
メンテナンス内容:外壁塗装、高圧洗浄
<相場価格>
足場設置代:12万9,500円
養生代:36,000円~
高圧洗浄代:24,000円~
塗料:シリコン系 2,000円/㎡~

※足場設置代・養生代については「5-2-1.タイル外壁のメンテナンス費用シミュレーション」での計算による

各工事の単価は内容や時期で変化しますが、低めの相場価格で計算します。

塗り替えの費用は、
2,000円×120㎡=240,000円です。

12万9500円+36,000円+24,000円+240,000円=

総合計で42万9,500円です。

このようにして比べてみると、メンテナンス費用は窯業系サイディングとタイルでは約30万円。モルタルとタイルでは約15万円安いことが分かるでしょう。

特に窯業系サイディングと比較すると、実に5割程度の値段で済むのです。
その上、これは最も基本的なメンテナンス費用であり、サイディングは重ね張りや、築25年を過ぎたあたりでは全面の張り替えが必要になりますし、モルタルでも塗料が違えば価格が跳ね上がることもあります。

ですが、タイルではメンテナンスの内容は築40年経っても大きく変わることはありません。タイルが割れても部分補修で済み、その料金も1ブロック大体1,000円未満です。

家づくりの費用計画を助ける!

HOME4U(ホームフォーユー)無料サポートサービス

実際の見積もりを
複数比較・検討したい

簡単なスマホ入力だけで、複数のハウスメーカーの見積もりが無料でもらえる「プラン作成サービス」がおすすめ!

▷【無料】プラン作成依頼はこちら

資金計画や補助金活用の
コツが知りたい

ハウスメーカー出身のアドバイザーに、自宅から簡単に相談できる「無料オンライン相談サービス」がおすすめ!

▷【無料】オンライン相談はこちら

6.タイル外壁を設置した際に想定できる事3選

ここでは、住宅にタイル外壁を使用した際に想定できる「良い点」「悪い点」を3つご紹介します。

6-1.【事例】全面タイル張りにした場合

レンガのブリックタイルを壁面全体に張った西洋風の邸宅を建築した際に想定できる「良い点」「悪い点」をご紹介します。

<表 <想定事例>
階数 外壁面積 工法 使用したタイル
2階建て 120㎡ 湿式工法 レンガ調ブリックタイル
想定できる「良い点」 想定できる「悪い点」
  • 湿式工法は長持ちする傾向がある
  • 馬踏み目地がおしゃれ
  • 湿式工法は長持ちするが高い

良い点:湿式工法は長持ちする傾向がある

対策:基礎内断熱や床下エアコンを導入する イメージ

外壁タイル張りのレンガ調の家が理想という方も多いかと思います。

工法は、乾式と湿式があり、湿式にすると数十万円費用が上がりますが、湿式はメンテナンス次第で非常に長持ちします。

良い点:馬踏み目地がおしゃれ

タイル張りには縦に目地が通っている通し目地と、次の目地をずらして張る馬踏み目地がありますが、今回の事例では馬踏み目地を選びました。
通し目地よりもおしゃれに見えますし、童話的な「レンガの家」のイメージは、やはり馬踏み目地。

通し目地に張るよりもお金はかかりますが、とても美しいと感じられ、満足できる方も多いと思います。

悪い点:湿式工法は長持ちするが高い

対策:基礎内断熱や床下エアコンを導入する イメージ

湿式工法は非常に長持ちするという話がありますが、それと同時に費用が高いというデメリットもあります。

レンガ調の家にこだわり、ブリックタイルを湿式で職人が一枚一枚張る湿式方式で、タイル自体も数万円ほどする高価なものを選ぶ方も中にはいるようです。
タイル外壁なら、高級感・重厚感においてはほかに決してひけをとらない住宅になりえるでしょう。

6-2.【事例】モルタル塗りとタイルを組み合わせた場合

家の大部分をモルタル塗りで、玄関周りだけに石目調のタイルをあしらったかわいらしいスタイルの家を想定した際に考えられる「良い点」「悪い点」をご紹介します。

<表 <想定事例>
階数 外壁面積 工法 使用したタイル
2階建て 10㎡ 乾式工法 石目調タイル
想定できる「良い点」 想定できる「悪い点」
  • 石目調のタイルのおかげで個性的な玄関になる
  • 費用がかかるため施工面積が少なくなることも…

良い点:石目調のタイルのおかげで個性的な玄関になる

対策:基礎内断熱や床下エアコンを導入する イメージ

外壁モルタルは温かみがあってかわいいかなと考えているものの、昔からタイル外壁へのあこがれもあり、組み合わせを想定してみました。

石目調のタイルを使ってみたいなあと思い、どこにしようかと一生懸命考え、玄関周りだけに石目調のタイルをあしらうことに。

モルタル塗りだけよりも個性があり、きっとお気に入りの玄関になるでしょう。

悪い点:費用がかかるため施工面積が少なくなることも…

タイルは費用がかかるため、予算が足りずに「もう少し壁のところどころにタイルを張りたかった…」という心残りが生まれる可能性も想像できます。

もしそのようなことになる場合は、リフォームの機会にそなえて貯金して、もっと理想の家に近づけるといった楽しみを作ることもできるでしょう。

全面タイル張りではなく、出来る範囲でタイルを取り入れる事例を想定してみました。

6-3.【事例】安価なユニットタイルで全面タイル張りにした場合

安価なユニットタイルを見つけたことで全面タイル張りがかなった際に考えられる「良い点」「悪い点」をご紹介します。

<表 <想定事例>
階数 外壁面積 工法 使用したタイル
2階建て 約150㎡ 乾式工法 ユニットタイル
想定できる「良い点」 想定できる「悪い点」
  • 高額なためにあきらめていた全面タイル張りの家を手に入れられるかも
  • 見た目でわかってしまうかも・・・

良い点:高額なためにあきらめていた全面タイル張りの家を手に入れられる

対策:基礎内断熱や床下エアコンを導入する イメージ

全面タイル張りの家に憧れる方はきっと多いでしょう。でも、初期費用が非常に高いと聞いて、あきらめている方も多そうです。

ですが、最近は安くて手軽なユニットタイルというものがあります。
「激安タイル」という商品で、値段も驚くほどお手頃です。高級かと言われたら、決してそうではないかもしれませんが、タイル張りの家にあこがれる方の夢を叶えてくれるかもしれません。

悪い点:見た目でわかってしまうかも・・・

安いタイルも最近はずいぶん見た目が良く、発色しっかりしてきているのですが、高いタイルと横で並べると一目でわかるレベルのものも存在します。

外装タイルを諦めてしまう人は、ほとんどはコスト面の厳しさが理由でしょう。最近は1㎡約1,000円強という安価なタイルもあるようです。あまり個性は強く出ないかもしれませんが、それでも、立派にタイル張りの家が出来るでしょう。

7.タイルでおすすめのメーカー7社

ここでは、タイルでおすすめのメーカー7社をご紹介いたします。

7-1. LIXIL

7-1. LIXIL
出典:株式会社LIXIL-公式サイト

種類が非常に豊富で、和風なもの、石材のようなざらざらとした表面感の商品が多く取り扱われている他、特注タイルなども取り扱っています。

LIXIL 外装壁タイル:モザイクタイルページ:https://www.lixil.co.jp/lineup/tile/exterior_wall/exwallmosaic/

おすすめできる方

  • 石材のような見た目、ざらざらした質感が好きな方
  • 和風の外壁タイルをお探しの方

7-2.TILE PARK

7-2.TILE PARK
出典:タイルパーク

現在取り扱っている種類は20種と、数は少ないものの、高級感のあるモザイクタイルや、石材風のタイルを取り扱っています。
こだわりの強い方でも、気に入るタイルを見つけられるのではないでしょうか。

タイルパーク:https://tile-park.com/

おすすめできる方

  • 特に高級感を求める方
  • デザイン性にこりたい方

7-3. TILE STYLE

7-3. TILE STYLE
出典:タイルスタイルx

こちらは西洋風のレンガの家にあこがれの方にはぜひおすすめしたいメーカーです。種類は25種と多くはありませんが、かわいらしく、高級感のあるものが揃っています。

タイルスタイル 外壁ページ:https://www.tile-style.net/fs/tile/c/wall

おすすめできる方

  • 西洋的なレンガ造りを模した家が建てたい方

7-4. ダントー

7-4. ダントー
出典:株式会社Danto Tile

製品数が多く、工法からタイルを選ぶことが出来ます。和風のものからマット釉のカラフルなものまで、幅広く選ぶことが出来ます。

外壁壁 製品検索結果:https://lineup.danto.jp/?mode=cate&cbid=2670338&csid=0&page=6

おすすめできる方

  • 色々な種類から幅広く検討したい方

7-5. Tile Life

7-5. Tile Life
出典:タイルライフ

種類が多く、比較的リーズナブルな価格帯のものを取り扱っています。
1000円台から検討出来る激安タイルの取り扱いがあるので、「タイルは高いから……」とタイル外壁を戸惑っている方もご検討いただけます。

タイルライフ 外壁タイルページ:https://www.tilelife.co.jp/item/gaisou_tile/

おすすめできる方

  • 出来るだけ安めにタイル外壁を検討したい方

7-6. サンワカンパニー

7-6. サンワカンパニー
出典:サンワカンパニー

洗練された上品なデザインのタイルが揃えられています。
ショウルームもあり、イメージがつきやすいでしょう。

サンワカンパニー 外壁タイルページ:https://www.sanwacompany.co.jp/shop/c/C007_11/

おすすめできる方

  • 上品で落ち着いたデザインで外壁をタイル張りにしたい方

7-7. アドヴァングループ

7-7. アドヴァングループ
出典:アドヴァングループ

高級品の輸入タイルの販売店です。
基本的に値段は1万円を超えますが、その分妥協のない素材を手に入れることが出来るでしょう。

アドヴァングループ タイル一覧ページhttps://www.advan.co.jp/eshop/category/K00001/

おすすめできる方

  • 本物志向の方
  • 輸入タイルに興味のある方

ここまで様々な観点から考えうる事例をご紹介しましたが、予算を考慮しながら外壁タイルの仕様を考えるのは大変です。
理想のマイホームを建てるうえで後悔しないためにも、家づくりのとびらで複数社のプランを比較しながら検討を進めるとよいでしょう。

最大5社にプラン作成依頼が可能!

【全国対応】HOME4U(ホームフォーユー)経由で
注文住宅を契約・着工された方全員に
Amazonギフト券(3万円分)贈呈中!

まとめ

タイル外壁の基礎知識や特徴、メリット・デメリット、費用相場、選び方などをお伝えしました。
検討する際にはこれらをしっかり理解し、後悔のない選択をするようにしましょう。
それではおさらいです。

この記事のポイント

タイル外壁のデメリットは?
  • 初期費用が高い
  • 固定資産税が割高
  • 職人の腕前によって剥離や浮きの危険がある

詳細は「3-2.タイル外壁のデメリット」で解説しています。

タイル外壁の費用はいくらですか?

一般的なタイル外壁の新築費用相場は、約10,000~35,000円/㎡程度です。
ただし、メーカー、工法、選ぶタイルの種類、貼り方などによって、価格相場には変動があります。
詳細は「4. 【タイルごとの比較あり】タイル外壁の新築費用相場と選び方」をご覧ください。

外壁のサイディングとタイルの違いは何ですか?

サイディング外壁は、「窯業系」「金属系」「樹脂系」「木質系」の4つに分けられます。
一方、タイル外壁は、石や粘土などの自然由来の原料を高温で焼き固めた外壁材です。
本記事では、他住宅での使用率が高いモルタルも含め、しばしば比較しながら各外壁の特徴を解説しています。

家づくりプラン一括依頼で
複数ハウスメーカーを比較!

家づくりに失敗しないためには、自分に合ったプランを提案してくれるハウスメーカーを見つけ、比較・検討すること。

そこでおすすめなのが「HOME4U(ホームフォーユー)プラン作成依頼サービス」です。

スマホから必要事項を入力するだけで、あなたのご要望に沿ったハウスメーカーを複数社ピックアップ
気になるハウスメーカーを最大5社までお選びいただくと、【完全無料】で家づくりプランを一括依頼することができます。