相続で手に入れたり、住み替えで空き家になった一戸建てを賃貸してみたいと検討されている方もいらっしゃると思います。
不動産はお金を生み出す資産でもありますので、有効に活用すれば新たな収入を生み出すこともできます。
一方で、一戸建てを貸すということは賃貸経営を始めるということでもありますので、「賃貸経営の注意点」をあらかじめ知っておくと大きな失敗を防ぐことができます。
そこでこの記事では、一戸建てを賃貸に出すことを検討している方に向けて、「失敗しないために知っておきたい10個の注意点」を紹介します。
ぜひ最後までおつきあいいただき、上手にリスク回避をしながら賃貸経営が始められるようにしてくださいね!
Contents
1.一戸建てを賃貸するメリット
まずは頭を整理するために、「一戸建てを賃貸するメリット」を見ていきましょう。
主に以下の3点があります。
- 資産を有効活用できる
- 家賃収入を得られる
- アパートよりも競合が少ない
1つ目は「資産を有効活用できる」という点です。
不動産は売ってもお金に替えることはできますが、貸してもお金を生み出すことができます。
特段、今すぐまとまったお金が必要ではないという状況であれば、「手放さずに貸す」という選択肢も十分に考えられます。
2つ目は「家賃収入を得られる」という点です。
住宅の家賃収入は景気の変動を受けにくいため、とても安定しているというメリットがあります。
リスクが低く、将来の収益見通しも立てやすいという点が家賃収入の魅力です。
3つ目としては、「アパートよりも競合が少ない」という点が有利です。
賃貸物件は、戸建て賃貸よりもアパートの方が圧倒的に多くなっています
理由としては、同じ広さの敷地で建物を建てた場合、1戸しか貸せない戸建てよりも、複数戸貸せるアパートの方が効率は良いからです。
そのため、アパートはすぐに増えますが、戸建て賃貸はなかなか増えないという状況です。
一戸建てを賃貸するということは、競合相手の少ない市場で賃貸経営を行うことになるので、経営環境はアパートよりも安定しています。
2.一戸建てを賃貸するときの10個の注意点
前章でメリットはわかりましたが、やみくもに賃貸経営を始めるのは失敗のもとです。
そこでこの章では、初めて賃貸経営をする人が陥りがちなリスクに対する10個の注意点を紹介していきます。
これさえ押さえておけば、リスクをかなり抑え込むことができますので、ぜひ参考にしてください。
2-1.実績のある管理会社を選ぶ
一戸建てを賃貸するにあたって最も重要なことは、実績のある管理会社を選ぶという点です。
一戸建ての賃貸は、まず管理会社に管理を委託することから始めます。
管理会社は、物件の管理だけでなく、空室が発生した際、入居者を決めてくれるという極めて重要な役割を果たします。
そのため、管理会社が良いと賃貸経営が上手く行きます。
同じ物件でも、管理会社を切り替えるだけで埋まらなかった空室が埋まるようになりますので、管理会社の実力はとても重要となります。
一戸建て賃貸の成否を決めるのは、管理会社の選択次第といっても過言ではなく、下手な管理会社を選択してしまうと、最初から賃貸経営につまずいてしまう恐れがあるのです。
しかしながら、良い管理会社を見つけるといっても、一般の方にはどのようにすれば適切な管理会社を選ぶことができるのかわかりにくいですよね?
そこで、おススメなのが「 賃貸経営 HOME4U(ホームフォーユー)」です。
運営元のNTTデータグループの審査により、全国の優良な管理会社が登録されており、無料相談を利用すると管理会社があなたの物件にぴったりあった管理メニューを提案してくれます。
自分で管理会社をいちから調べなくても、簡単に実力の高い管理会社を見つけられる点がメリットです。
昨今は、不動産投資家の中でも管理会社の重要性が強く認識されるようになってきている時代です。
管理会社は一戸建て賃貸の成否を決める鍵となりますので、「 賃貸経営 HOME4U」を使ってぜひ優良な管理会社と出会ってください。
2-2.できればリフォームをしておく
一戸建てを賃貸するのであれば、貸す前にできればリフォームをしておくことをおススメします。
リフォームに関しては、「売却」と「賃貸」で考え方を分ける必要があります。
一戸建てを売却するのであればリフォームは不要ですが、賃貸するのであればリフォームはすべきです。
売却でリフォームが不要な理由は、売却では投じたリフォーム費用が売却額によって回収できないリスクが高いことによります。
一方で、賃貸ではリフォームは極力すべきです。
賃貸で物件をリフォームすべき理由は、以下の2点があります。
- 圧倒的に貸しやすくなるから
- 賃貸人には修繕義務があるから
1つ目は、リフォーム物件は圧倒的に貸しやすくなるというのが理由です。
賃貸物件は、貸主の所有物ですので借主は自由にリフォームできません。
売却物件なら、買主の所有物になるため、買主は自由にリフォームすることができます。
「リフォームできる買主」と「リフォームできない借主」では立場が全く異なります。
売却では物件に多少の難があっても買主が購入後にリフォームできるため、問題なく売却できます。
一方で、賃貸では物件に難があった場合、借主が入居後に自分でリフォームすることができないことから、極端に貸しにくくなるのです。
2つ目理由としては、賃貸人には修繕義務があるという点です。
賃貸物件は貸主の所有物ですので、物件に最初から損傷があれば貸主が修繕を行います。
借主が故意(わざとという意味)に破損したものでなければ、修繕は貸主側でしなければならないのです。
そのため、賃貸物件は基本的に修繕の必要のない状態で貸すことが基本となります。
古い一戸建てで損傷部分が多い場合には、事前に修繕を行ってから貸し出す必要があります。
ただし、貸す前にフルリフォームをする必要はありません。
やるべきなのは「破損個所の修繕」と「部分リフォーム」だけで良いので、コストを抑えながら実施することがポイントです。
賃貸物件で効果のあるリフォーム箇所は、以下のような部分があります。
- キッチン
- トイレ
- バス
特にキッチンが新しくきれいになっていると貸しやすくなりますので、デザイン性の高いおしゃれなものにリフォームしておくことをおススメします。
2-3.貸すときの原状を確認しておく
貸すときの原状を確認しておくことが注意点です。
原状とは、「貸したときの元の状態」のことを指します。
賃貸借では、貸主には修繕義務がありますが、借主には原状回復義務があります。
原状回復義務とは、簡単にいうと借主が退去する際、借りたときの状態に戻すという義務です。
まず、借主に原状回復義務を負わせるには、お互いに原状を把握することが必要となります。
借主が入居中に壊してしまったものに関しては借主に原状回復義務がありますが、入居前から元々壊れていたものに関しては貸主に修繕義務があります。
原状があいまいの状態で貸してしまうと、退去時に原状回復の範囲でトラブルになることが多いです。
原状回復のトラブルを避けるためには、借主の入居時に「物件状況確認書」を作成することがポイントとなります。
物件状況確認書とは、以下のような表のことです。
物件状況確認書では、入居時に各部位の写真を付けておくことがポイントです。
また、借主が退去時も以下のように物件状況確認書に状況を追記します。
毎回、新しい入居者が入る度に写真付きで物件状況確認書を作成することで、それぞれの入居者の原状回復の範囲を明らかにしていくようにします。
借主が負う原状回復義務とは、借主の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、退去時に、借主の故意・過失や善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用など、借主の責任によって生じた損耗や傷を復旧することであると定められています。
【原状回復の対象となるもの】
- 故意(わざと)・過失(うっかり)で損傷させたもの
- 善管注意義務違反
- その他通常の使用を超えるような使用によって損傷させたもの
逆に言えば、上記以外のものは原状回復の対象にはならないということです。
借主の入居から退去までの間に生じた「経年変化」や「通常損耗」は原状回復の対象ではないということになります。
経年変化や通常損耗には、例えば家具の設置によるカーペットの凹みや日照による畳やクロスの変色等が挙げられます。
退去時の物件状況確認書には、経年変化や通常損耗が原因と思われる部分については、原因に経年変化または通常損耗と記載し、貸主負担にて修繕を行うことになります。
入退去時の物件状況確認書の作成や、借主負担か貸主負担かの判断については、通常は管理会社が行ってくれます。
貸主としては、貸主負担と判断された部分に関しては、貸主の費用負担にて修繕を行う必要があることを認識しておくことがポイントです。
尚、原状回復に関しては、国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」という指標を出しており、実務ではほぼ標準ルールとして利用されています。
原状回復に関しては、国土交通省もガイドラインを出しているくらいなので、賃貸借でトラブルとなりやすい部分であると認識しておきましょう。
2-4.適切な契約の種類を選ぶ
一戸建てを賃貸する際は、適切な契約の種類を選ぶことがポイントです。
賃貸借契約には、大きく分けて「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があります。
普通借家契約とは更新ができる契約で、定期借家契約とは更新ができない契約になります。
別の表現をすると、普通借家契約は借主の権利が強く守られているのに対し、定期借家契約は貸主の権利が守られているというイメージの契約です。
普通借家契約は、アパートや賃貸マンションなどで一般的に広く採用されています。
普通借家契約では、借主の物件を借りる権利が強く守られていることから、借主が更新したいと申し出ればそのまま更新することができる契約です。
逆に、普通借家契約で貸主から更新拒絶をしたい場合には、貸主には正当事由と立ち退き料の2つが必要となります。
正当事由とは、借主を退去させるに足る正当な理由のことです。
立ち退き料とは、貸主から借主に支払う金銭の給付になります。
普通借家では借主を退去させるために、わざわざ立ち退き料が必要であることから、実質的に貸主側から退去させることができない契約となっています。
一方で、一戸建ての賃貸では、例えば転勤などで、将来、再び自分が住む予定があるケースもあります。
将来再び自分で住む場合には、確実に入居者を退去させることができない普通借家契約は都合が悪いため、定期借家契約を採用することになります。
定期借家契約は、更新という概念がなく、契約期間が満了したら確定的に賃貸借契約が終了する契約です。
契約終了時に正当事由や立ち退き料は必要なく、一戸建てを確実に取り戻すことができます。
よって、転勤などで一時的に一戸建てを賃貸する場合には、定期借家契約で貸し出すことが一般的です。
ただし、定期借家契約は借主が安心して住み続けることができない契約であるため、賃料が相場よりも安くなってしまうというデメリットがあります。
もし今後、長期的に一戸建てを賃貸していく計画であれば普通借家契約を選択するのが適切です。
どちらの賃貸借契約を選択するかは、再び利用する可能性があるか否かで決めることがポイントとなります。
2-5.用法や入居者要件を決めておく
一戸建てを賃貸する場合、貸主側で用法や入居者要件を決めておくことがポイントです。
貸主側で禁止する用法としては、具体的には以下のものがあります。
- 店舗や事務処理用は不可(居住の用に限る)
- 喫煙は不可
- ペット飼育不可
- 楽器演奏不可
- 同居や同棲は不可
禁止事項は緩くすると、最初の入居者を募集しやすくできるというメリットがありますが、その反面、次の入居者を募集しにくくなるデメリットがあります。
例えば、タバコを吸われて物件が臭くなってしまうと、次の入居者に貸しにくくなります。
よって、長期的な賃貸経営を考えるにあたっては、禁止事項は少なくとも上記のような一般的な物件の水準程度に設けておくことが必要です。
また、入居者要件も決めておくこともポイントとなります。
一般的には、以下のような入居者を入居させない貸主は多いです。
- 単身の高齢者
- 外国人
単身の高齢者の場合、孤独死等の問題が生じるリスクがあります。
外国人は、ゴミ出しルールが分からず、ご近所トラブルを引き起こすリスクがあります。
一方で、単身の高齢者は入居させない物件が多いことから、逆に単身の高齢者の入居も認めると、空室対策にもなります。
入居者要件は、賃貸の需給のバランスを見ながら、管理会社と相談した上で決めることをおススメします。
2-6.家賃保証会社を検討する
一戸建てを賃貸する際は、家賃保証会社を検討することがポイントです。
家賃保証会社とは、借主や家賃を滞納した際、借主に代わって家賃を支払ってくれる会社のことを指します。
従来は、借主に連帯保証人を付けさせることが一般的でした。
しかしながら、昨今は借主に連帯保証人を頼める人がいないといった事情が増えてきており、連帯保証人ではなく家賃保証会社を付けることで入居を認めるケースが多くなっています。
家賃保証会社を利用する場合、保証料は借主が負担しますので、貸主側に特に経済的な負担は生じないのが特徴です。
家賃保証会社を付けることで、物件の募集条件に「連帯保証人不要」と謳うと入居者を獲得しやすくなるというメリットがあります。
賃貸の需給バランスを見ながら、家賃保証会社を上手く活用することを検討してみてください。
2-7.管理会社に十分な入居審査を行ってもらう
戸建てを賃貸する場合、管理会社に十分な入居審査を行ってもらうことがポイントです。
入居審査とは、入居希望者が物件を貸すに値するかを判断する簡単な審査のことを指します。
入居審査が甘いと、以下のような入居者トラブルが発生する可能性があります。
- 家賃を滞納する
- 夜間に騒ぐ
- 同居や同棲をする
- ペットを飼う
- 汚部屋にする
- ご近所トラブルを引き起こす
- 夜逃げする
入居者トラブルは完全に防ぐことはできませんが、入居審査によって相当に抑えることが可能です。
入居審査は、借主の収入等の書面における審査だけでなく、会話の受け答えから推測される人間性も考慮して審査が行われています。
管理会社は、最初の電話での問い合わせの雰囲気や、物件案内時の何気ない会話からその人の人柄を見抜き、トータル的に審査を行っていることが通常です。
入居審査の良否は、管理会社の経験量に大きく左右されますので、実績の豊富な管理会社ほどトラブルの少ない入居者を決めてくれる傾向があります。
したがって、貸主としては実績豊富な管理会社をしっかり選ぶことがポイントです。
2-8.近い将来売却予定がないか検討する
元々マイホームだった一戸建てを貸す場合、近い将来売却予定がないか検討することも注意点となります。
理由としては、一定期間を過ぎるとマイホームの売却で利用できた税金の特例を利用できなくなるからです。
マイホームの売却では、政策的な配慮から売却時になるべく税金が発生しないように特例が用意されています。
特例には、節税を可能とする特例や、税金還付を受けることができる特例等、計5種類の特例が存在します。
これらの特例は、全て居住用財産(マイホームのこと)であることが要件となっており、居住用財産以外の不動産では適用できないことになっています。
居住用財産には、定義が存在し、所有者本人が直前までマイホームとして住んでいれば居住用財産に該当します。
また、他人に貸した場合でも、所有者本人が転居してから3年後の12月31日までの間に売却すれば居住用財産とみなされることとなっています。
つまり、マイホームであった一戸建てを他人に貸しても、転居してから3年後の12月31日までに売れば居住用財産の特例を利用できますが、3年後の12月31日を過ぎてから売却してしまうと居住用財産の特例は使えなくなるということです。
そのため、一戸建てを長期間貸す予定がなく、この先2~3年のうちに売却する予定のある方は、居住用財産の特例が利用できるうちに売却した方がお得です。
尚、マイホームではなく相続した一戸建ては、1度でも賃貸してしまうとそれだけで3,000万円特別控除と呼ばれる特例が利用できなくなります。
「相続した空き家」と「元マイホーム」は扱いが異なりますのでご注意ください。
2-9.確定申告のルールを知っておく
一戸建ての賃貸を始めるなら、確定申告のルールを知っておくことがポイントです。
個人の所得は、不動産所得、譲渡所得、給与所得、山林所得、事業所得、利子所得、配当所得、退職所得、一時所得、雑所得と呼ばれる10種類の所得に分類されます。
このうち、一戸建てを貸したり、アパート経営をしたりすることで得る収益は「不動産所得」に該当します。
サラリーマンが受け取っている給料は、給与所得に該当します。
年収が2,000万円を超えていない給与所得者であれば、確定申告は行っていないのが通常です。
しかしながら、給与所得者であっても給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が年間で20万円を超える場合には、毎年確定申告を行う必要があります。
不動産所得は、家賃収入のことではなく、以下のように必要経費を差し引いたものを指します。
必要経費とは、主に以下のようなものが該当します。
- 固定資産税および都市計画税
- 建物の損害保険料(火災保険や地震保険)
- 管理委託料
- 軽微な修繕費
- 入居者募集費用(仲介手数料等)
- 減価償却費
賃貸経営を始めるなら、確定申告が毎年必要となるということを認識しておくことがポイントです。
2-10.転勤以外なら住宅ローンは完済しておく
一戸建てを貸す場合、転勤以外なら住宅ローンは完済しておくことが注意点です。
住宅ローンは銀行との契約で資金使途が定められています。
住宅ローンの資金使途は「自宅の購入」であり、「投資物件の購入」とは異なります。
住宅ローンで建てた家を他人に貸すと、投資物件の購入をしていることと同じになるため、銀行との契約違反となってしまう可能性が高いです。
契約違反とみなされた場合、銀行によってはアパートローンへの借り換えを要求してきます。
アパートローンは住宅ローンよりも金利が高く、融資期間も短いため、返済額が一気に高くなってしまいます。
ただし、転勤などの必要やむを得ない理由で一時的に賃貸を行う場合には、多くの銀行は賃貸することを認めてくれます。
そのため、転勤であれば事前に銀行に了解を取って堂々と貸すという選択が適切です。
資金使途違反は銀行との契約違反になりますので、転勤以外の場合には住宅ローンは完済してから貸すことが前提となります。
まとめ
いかがでしたか。
一戸建て賃貸の注意点について解説してきました。
一戸建てを賃貸すると家賃収入が得られる点がメリットです。
一戸建ての賃貸では10個の注意点がありましたが、なんといっても「実績のある管理会社を選ぶ」ことは必要不可欠です。
ぜひ「 賃貸経営 HOME4U」で優良な管理会社を見つけ、リスク回避のための様々な知恵を借りながら、賃貸経営の成功への第一歩を踏み出してください!