サブリースとは?メリットやデメリット、トラブル回避法もわかりやすく解説

プロが徹底解説!サブリースの仕組みやトラブルの回避方法とは

数年前、某ハウスメーカーに対するサブリースの集団訴訟が話題となりました。

現在、アパート経営を行っている人、またはこれからアパート経営を行いたい人は、他人ごとではないと思っている方も多いのではないでしょうか。サブリース契約に関するトラブルについては、バブル崩壊後にトラブルが一巡したため、裁判所の見解も明確です。

これからサブリース契約を締結する方は、こうした過去の判例や国の見解、サブリースの仕組みを、しっかり理解した上で契約する必要があります。

そこでこの記事では、サブリース契約の仕組みやトラブルの回避方法について、詳しく解説します。これからのアパート経営に、ぜひ役立ててください。

1. サブリースとは

サブリースとは、アパートやマンションなどの集合住宅をサブリース会社が一括借り上げし、入居者に又貸し(転貸)することです。ここでは賃貸集合住宅でのサブリース契約の中身を覗いてみます。

1-1. サブリースは賃貸物件管理方法のひとつ

サブリースとは、複数戸あるアパート等をサブリース会社が一括で借上げ、各戸はサブリース会社が転貸するという仕組みです。

サブリース会社が建物全体を借り上げるため、基本的に一定額の賃料が支払われることになっています。転貸部分の空室や賃料変動に関しては、直接的に建物オーナーは影響を受けることはありません。そのことからサブリースでは、「家賃保証」や「空室保証」をうたっていることがあります。

サブリース会社が各戸から受け取る賃料は空室が発生すれば減り、変動します。そのため、空室が多くなり過ぎると各戸からの家賃が建物オーナーへ支払う家賃よりも低くなる場合もあり、いわゆる「逆ザヤ」が発生するリスクを抱えています。

このサブリース会社側のリスクを軽減できる契約方式がパススルー型です。パススルー型とは、空室状況によってオーナーの賃料収入が変動する方式のことをいいます。そのため、サブリース契約であっても、空室リスクをオーナー側も追うこともあることに注意が必要です。

サブリースをすることによって、建物オーナーは各戸の入居者と個別の賃貸借契約を締結する必要はありません。

悪質入居者を入居させた責任や、賃料不払に対する督促、クレーム対応等は、全てサブリース会社が引き受ける形となります。

サブリースでは、建物オーナーが全く知識や経験が無くてもアパート経営が可能です。また遠方の物件でもアパート経営が可能となるというメリットもあります。

1-2. サブリース会社とは

新築アパートの場合、サブリース会社はハウスメーカーの子会社となることが多いです。 ハウスメーカーの子会社は、建物仕様をよく分かっており、建物のトラブルが発生した場合は安心して管理を任せることのできるメリットがあります。

ハウスメーカーの子会社は、建物仕様を良く分かっており、建物のトラブルが発生した場合は安心して管理を任せることのできるメリットがあります。

ハウスメーカーは、グループ会社全体で、「建物の建築」と「サブリース」、「修繕」を全て丸抱えで行ってくれます。建物オーナーは、ほとんど何も心配することなくアパート経営をできます。また、企業側も長く収益を上げ続けることができるシステムになっています。

一般的にハウスメーカー系列のサブリース会社は空室が発生すると、地元の不動産会社に賃貸募集を依頼します。そのため、ハウスメーカー系のサブリース会社は、入居者の獲得能力に建物オーナーと大きな差が出るわけではありません。ただし、系列の物件を集めたサイトを設けるなどして入居者を獲得している企業もあります。

立地条件に恵まれている物件などは、管理を得意とする不動産会社とサブリース契約を結べることもあります。

2.サブリース契約の特徴

サブリース契約では過去、さまざまなトラブルが問題となった経緯があります。そこで、サブリース契約の特徴、仕組みをわかりやすく解説します。

2-1.サブリース契約にはトラブルが多い?

数年前、ハウスメーカーに対して貸主側からの集団訴訟が話題となり、国からもサブリース契約に関する注意喚起があったことなどから、世間的に「サブリース契約=トラブル」というイメージが定着してしまったことは否めません。

ただし、サブリース契約は国が契約書の体裁を作成する、企業側の見直しなどもあり、トラブル発生を抑制する仕組みが整いつつあります。

では、サブリース契約のどのような特徴がトラブルに発展したのでしょうか。

一つは、サブリース会社の倒産に伴うトラブルです。サブリース会社と契約してローンを組み、シェアハウスを新築したオーナーにサブリース会社からの賃料収入が入らなくなったことから多くのオーナーが自己破産や廃業に追い込まれました。

もう一つ「家賃保証」をうたっていた企業と契約したものの、契約期間中に賃料の減額請求や契約打ち切りがあったトラブルです。

当時、サブリース等に関し、最高裁判所まで争われた事件もありましたが、司法の採用した見解は、極めてシンプルで、サブリースとは賃貸借契約であるという考えです。

言い換えると、建物オーナーとサブリース会社の共同事業ではなく、単純に貸主と借主との関係であるという見解を明確にしています。

バブル崩壊後は、サブリース会社から建物オーナーに対して賃料の値下げ要求を認めさせる裁判が相次ぎました。結果的に、裁判所はサブリース会社の要求を認め、サブリース会社からの賃料の値下げ交渉ができるようになりました。

一方、現在、行われている集団訴訟は、バブル時代とは逆で、建物オーナーからサブリース会社に対しての訴訟です。

サブリース会社から賃料の値下げ要求があり、納得がいかないという理由で訴訟が行われています。しかしながらこの争点は、既にバブル崩壊後に決着がついています。

サブリース会社は、借主ですので、賃料が周辺相場と比べて高ければ、借主は貸主に対して当然に賃料減額を要求できるためです。

サブリース契約とは、特殊な契約があるわけではなく、普通の賃貸借契約であるということを理解しておきましょう。また、「家賃保証」をうたっていても、それが契約期間中有効ではないということを念頭に置く必要があります。

2-2.普通借家契約に基づく契約となる

サブリース契約は、賃貸借契約であるため、そのルールは借地借家法に基づきます。借地借家法には借主と貸主の権利と義務が規定されています。

借地借家法に規定されている借主や貸主の権利として、賃料に関しては、借主からは賃料減額請求、貸主からは賃料増額請求がそれぞれ認められています。

つまり、サブリース会社からの賃料減額請求は、借地借家法に基づき認められる当然の権利ということです。

借地借家法は、本来的に弱い立場の人である借主を守るための法律です。法律的に守られているのは借主のサブリース会社 であり、建物オーナーではありません。仮にサブリース会社を相手取って裁判をしようとしても、簡単に勝てる相手ではないという理解をしておく必要があります。

借地借家法で規定する賃貸借契約には、 普通借家契約 定期借家契約 という2種類の契約があります。

普通借家契約とは更新がある契約です。一方で、定期借家契約とは更新が無く、契約期間が終了すると、退去しなければならない契約になります。

借地借家法においては、普通借家契約は借主の権利を強固に守っているという特徴があります。例えば、貸主側の都合で借主を退去させるには、立退き料が発生することもあります。

一方、定期借家契約とは、契約期間終了後、借主が確実に退去しなければならない契約です。契約終了時点では、立退き料はもちろん発生しません。家賃の減額に関しても、定期借家契約と普通借家契約では異なります。

通常、サブリース会社との賃貸借契約は、普通借家契約で行われます。

普通借家契約では、借主の立場が強く守られているため、家賃改定に関して借主に不利となる条項は無効です。

例えば、普通借家で「家賃は10年間固定とし、減額できないものする」というような契約を結んでも、この契約は無効となります。「家賃は増額できないものとする」という借主に有利な契約は有効です。

サブリース会社は、普通借家契約では、「家賃は固定とする」という条文を入れても、家賃減額交渉は可能であることを十分に知っています。

契約交渉時点では、建物オーナーに対して譲歩した「フリ」をしますが、実はちっとも譲歩していないのです。

2-3.サブリース契約には免責期間がある

新築の場合、サブリース契約では賃料の免責期間が設定されることがあります。賃料の免責期間とは、竣工後数か月にわたって、サブリース会社から建物オーナーへの賃料の支払いが行われない期間です。

竣工後、満室にするには一定の時間がかかるため、その間の賃料を免除することが免責期間になります。

免責期間中に早期に満室になればサブリース会社の儲けとなります。一方で、免責期間を過ぎても建物オーナーへ支払う賃料以上に部屋を埋めることができなければ、逆ザヤが発生することになります。

サブリースの免責期間は1ヶ月程度のものが多いです。多いものだと3ヶ月程度の物件もあります。

例えば、 アパートの竣工時期が2~3月のベストシーズンであれば、免責期間は短くなります。 それに対し、アパートの竣工時期が4~5月といった人の動かない時期に重なってしまうと、免責期間は長くなる傾向にあります。

また、新築でも駅から10分以上離れた立地の悪い物件であれば、免責期間は長くなります。

3.サブリースにかかる費用相場

サブリースは、賃料の「料率」に相場があります。料率とは、満室の賃料を100%とした場合、建物オーナーへ支払う家賃は満室時の何%かという数値です。

サブリースの料率は、80~85%というのが一般的です。 但し、都内の戸数が多いワンルームマンションなど、ほとんど空室が発生しないような物件であれば、料率は85~90%の間程度の物件も存在します。

標準的な物件では、 相場は83%程度が目安 になります。

サブリース会社にとっては、料率が高いほど、「逆ザヤ」リスクが高まります。そのため地方の物件や築古物件等の空室リスクが高い物件ほど、料率も低い傾向です。

サブリースは、入居者募集や建物管理などにかかる費用の一切をサブリース会社が請け負います。費用は家賃収入とオーナーへ支払う賃料の差額から賄われるため、オーナー側が修繕費用以外の管理費用を負担することはありません。土地や建物の固定資産税・都市計画税の負担は毎年オーナーが負うことになります。

4.サブリース契約のメリット

サブリースは賃貸集合住宅の管理に関する契約方式の一つですが、管理委託にはないメリットが多くあります。サブリース契約のメリットをまとめました。

  • 家賃滞納リスクがなくなる
  • 安定収入が得られる
  • 経費の負担を軽減できる
  • 管理業務一切がなくなる

詳しく解説します。

4-1.家賃滞納リスクがなくなる

サブリース契約では1棟貸しの契約となるため、賃料収入は建物の貸与に基づく対価となります。そのため、万が一家賃滞納が発生しても収入額には影響がありません。

家賃滞納では家賃収入がない状態なのに、一定期間を超えないと退去を求められない、場合によっては清掃などで多額の退去費用を負担することになるなど、経営に影響を及ぼしかねない大きな損失を被ることになります。

サブリースでは、家賃滞納が起こったとしても対応や損失はサブリース会社が負います。オーナーは一定の賃料収入を得られる状態が続くため、家賃滞納リスクから解放されることになります。

4-2.安定的な収入が得られる.家賃滞納リスクがなくなる

たとえ空室があっても、毎月決まった額の収入があることは、サブリースの最大のメリットといえるでしょう。

サブリースでは、サブリース会社と集合住宅1棟の賃借契約を結ぶ契約方式です。つまり、1棟の経営状況は賃料に即時反映されるわけではありません。そのため、空室の有無に関係なく月々の収入は安定します。

賃貸経営における最大のリスクともいわれる空室リスクと無縁の賃貸経営ができることは安心度が高いといえるでしょう。

4-3.経費の負担を軽減できる

サブリースの場合、賃貸経営にオーナーが関与することは基本的にありません。そのため、修繕費以外の経営にかかる経費はサブリース会社が持つこととなり、オーナーは経費の負担を軽減できます。

軽減できる費用は入居者募集にかかる広告・宣伝費や管理にかかる人件費などです。契約内容によっては、修繕費用もサブリース会社持ちとなることがあります。

4-4.管理業務が一切がなくなる

サブリース契約の賃貸経営では、管理業務と経営改善の措置はサブリース会社の裁量に任せることになります。そのため、オーナーが行うことは土地と建物の賃借契約にかかる手続きと毎年の税にかかわる負担のみです。 清掃やクレーム対応などの管理業務にオーナーがかかわることはありません。

入居者募集などもサブリース会社の裁量となるため、オーナーに賃貸経営の知識がなくても始められることは、サブリースのメリットでもあります。

5.サブリース契約のデメリット

サブリース契約に関するトラブルは、デメリットやリスクを正しく把握しておくことで回避が可能になることもあります。本章で、サブリース契約のデメリットを確認します。

  • 賃料減額要求がある
  • 修繕工事と紐づいているためにコストが割高
  • 差別化経営ができない
  • 契約解除がしにくい
  • サブリース会社が倒産するリスクがある

以下で詳しく解説します。

サブリース契約のデメリットをトラブルに発展させないためにはサブリース会社の選択が非常に重要です。「賃貸経営HOME4U」を活用すれば、複数社のプランを比較検討できます。

5-1. 賃料減額要求がある

サブリース契約は普通借家契約です。普通借家契約では、借主の権利が守られており、借主が不利となる賃料改定条項は無効になります。

そのため、サブリース契約は、借主であるサブリース会社からは賃料減額要求ができることになります。

賃料の減額は、例えば空室が増加した場合や、賃料が下落した場合にサブリース会社から建物オーナーに対して行われます。サブリース会社は逆ザヤが発生する前に、建物オーナーに対する賃料を下げて、逆ザヤの発生を防ごうとするためです。

サブリース契約は、「家賃保証」とか「空室保証」と呼ばれますが、結局のところ、家賃や空室は保証されていません。サブリース会社から賃料減額がある以上、建物オーナーは間接的に空室リスクを負っている形になります。

サブリース会社からの賃料減額請求は、バブル崩壊後に出た裁判判例でも認められています。サブリース会社から建物オーナーに対し、賃料減額を要求することに関しては、法律的に全く問題ないということも知っておくべき事項といえるでしょう。

また、新築でサブリースを始めると、最初の数か月間は賃料が入らない免責期間があることにも注意が必要です。

5-2. 修繕工事と紐づいているためにコストが割高

サブリース会社はハウスメーカーの子会社であることが多いです。元施工会社グループ会社であることが、サブリースの問題をさらに複雑にします。

サブリース契約の中では、修繕工事に関し、指定工事業者以外は修繕工事をできないという契約内容であるケースも多くあります。

本来、修繕工事とサブリースは全く別物です。しかしながら、サブリース会社がハウスメーカーの子会社であることから、グループ会社を修繕工事の指定会社にしていることがほとんどです。

修繕工事業者が、ハウスメーカーの子会社に指定されていると、建物オーナーは他の業者に発注することができません。

例えば、指定工事業者の金額が割高であっても、他に変えることができない仕組みになっています。

家賃を下げられてしまえば、修繕費などのコストも安く抑えたいですが、修繕費のコストだけは割高の指定業者のまま残ってしまいます。

ハウスメーカーは、戦略的に「建物の建築」と「サブリース」、「修繕」の3つを受注する仕組みを取っています。

ハウスメーカーは元々、工事を請け負う企業です。そもそもサブリース契約を取るのも、本業である修繕工事を受注するのが目的です。

サブリース契約をすると、修繕工事もグループ会社に紐づいており、コストが割高になるという問題も潜みます。

5-3. 差別化経営ができない

サブリース会社は、ハウスメーカーの子会社であるため、不動産の賃貸仲介に強い会社というわけではありません。

サブリース会社では、空室が発生すると、基本的には街の不動産会社へ募集を依頼し、賃貸仲介を丸投げします。

しかもサブリース会社は扱っている物件数が多いため、空室が発生した場合の対応も、極めて機械的です。

サブリースは行わず、各住戸と直接賃貸する方式でアパート経営をしている人もいますが、そのような人は、他の物件と差別化をするのに必死です。

また、アパート経営に成功している人の中には、建物オーナー自らが不動産会社に出向いて物件の営業をしている人もいます。

サブリース物件は基本的には何も努力をしていないことがほとんどです。直接賃貸を行っているアパート経営者からしてみると、サブリース物件は入居者募集に手を抜いているため、楽勝の相手になっています。

サブリース会社は、最悪、空室が発生しても建物オーナーに対して賃料の減額を行えば良いので、熱心に空室対策を取ることはありません。

サブリース物件は、他の物件と差別化しにくいという問題点も潜んでいます。

サブリース会社の対応が目に余る場合、サブリース会社を切替えるということも視野に入れて考える必要があります。

5-4. 契約解除がしにくい

サブリース契約は借地借家法に基づく契約です。そのため、賃借人であるサブリース会社の立場が強く、基本的にはオーナー側からの契約解除はできない仕組みになっています。

アパートの立ち退き要請と同様、契約解除には正当な事由が必要です。「賃料の見直し請求」や「損益がでたから」などは正当な事由には当たりません。

契約解除を申し出るには違約金などで解決する方法がありますが、事前にそうしたリスクを念頭においておく必要があるでしょう。

5-5.サブリース会社倒産リスクがある

契約を結んでいたサブリース会社が倒産すると、所有物件に入居者がいる状態であってもサブリース会社から賃料収入が得られなくなる恐れがあります。

これまで、管理をしていたサブリース会社がなくなるため、すべての管理業務をオーナーが担わなければならない状態になります。多くのケースで、経営ノウハウは引き継がれることはないため、入居者の情報さえわからないまま経営を始めなければならないこともあるでしょう。

この状態で退去があると、サブリース会社が管理していた敷金をオーナーが自己資金から返金しなければなりません。

6. サブリースのよくあるトラブルと回避方法

ここでは、サブリースの代表的なトラブルを紹介します。トラブルは事前の対策で回避できるものもあります。回避方法も併せてご確認ください。

トラブルリスクを軽減させるためには、相性の良い管理会社選びが重要です。良い管理会社選びには「賃貸経営HOME4U」をご活用ください。

6-1. 契約内容にはない賃料引き下げを要求された

「契約期間中の家賃保証をうたっていたが、期間の途中にも関わらず、サブリース会社から賃料引き下げを要求された。ローン返済も残っており、引き下げは厳しいと突っぱねたかったが、できなかった」

サブリースの場合、空室状態が続くと、契約に設定された賃料の引き下げをサブリース会社から要求されます。そのため、建物オーナーとしては、サブリース会社と一緒になって空室対策を考える必要があります。

サブリース会社は、「空室が増えました、だから家賃を下げてください」と普通に言ってきます。

本来のアパート経営であれば、空室が発生したら空室を埋めるための空室対策を行います。もし、サブリース会社が建物オーナーに対して家賃を下げられないのであれば、頭を使って空室対策を考えるはずです。

サブリース会社は、家賃は減額できる立場であるため、空室が発生すれば家賃を減額すれば良いと思っています。これはある意味、サブリース会社の「甘え」です。

そのため、もしサブリース会社が家賃減額の話を持ってきたら、まずは建物オーナーが一緒になって空室対策を考えるという姿勢が必要です。

空室対策を行ってみても、改善しなければ賃料を減額に応じるというのが順番です。何も空室対策をせずに減額に応じるのは、あまりに芸がありません。

直接賃貸であれば、空室対策として、敷金・礼金・更新料をトリプルゼロにするといったような対策も考えられます。しかしながら、入居者との契約条件はサブリース会社の裁量領域のため、このような対策は打ちにくいです。

そこで建物オーナーとして考えられるのが、入居に関する条件緩和です。例えば、ペット可やDIY可、壁紙の貼り替え可というような建物に影響を与えるような部分で条件を緩和します。

もちろん、ペット可にしてしまえば、室内は痛みます。DIY可にしても、どこまで許容するかの問題はあります。

但し、これらの対策は建物オーナーの了解を得られない限り、サブリース会社はできない対策です。

しかしながら、このような対策を建物オーナー自ら言い出せば、本気度は伝わります。

もし、サブリース会社が「いや、そこまではちょっと」という話になれば、例えば「事務所利用可」や「ルームシェア可」、「高齢者可」といった緩和条件を提示してください。このような条件緩和は、賃貸人となるサブリース会社が了承しないとできません。

サブリース会社にアイディアを投げかけることで、「賃料減額の前にやるべきことがまだまだある」という認識をさせることが重要です。

安易に賃料減額には応諾せず、こちらから空室対策のアイディアを提案することで賃料減額を避けるようにして下さい。そのためには、建物オーナーは、サブリース契約であっても、普段から空室対策の知識を勉強しておく必要があります。

サブリースでも油断をせず、空室対策の勉強をしておきましょう。

6-2. リフォームの提案があったが資金がない

「空室率が上がって、サブリース会社からリフォームを勧められたが資金がない。空室率改善ができないとしてサブリース会社から賃料減額を要求された」

サブリース会社の中でも、良心的な会社は、空室対策を提案してくることがあります。サブリース会社は建物に詳しい会社が多いため、提案してくる内容は、主にはリフォームが中心です。

リフォームはお金がかかるため、リフォーム提案をされても嫌がる建物オーナーはたくさんいます。しかしながら、アパート経営ではリフォームはつきものです。

建物オーナーがリフォームに協力しないとなると、サブリース会社は強硬に賃料減額を要求せざるを得ません。

賃料減額を避けるには、まずは、「リフォームに協力する姿勢」を見せることが重要になります。

但し、ここでもサブリース会社の言いなりでリフォームすることは得策ではありません。リフォームはお金がかかりますが、リフォームは本当に空室対策に役立ったのかが見えにくいという性質を持っています。

リフォームは費用対効果が見えにくいものであるため、リフォームする内容も慎重に検討する必要があります。

リフォームによる空室対策についても普段から情報を仕入れ、取捨選択できる知識を身につけておく必要があります。

また、月々の収入からリフォームに備えておくことも大切です。

6-3. サブリース会社の言いなりに賃料減額に応じてしまった

「サブリース会社に賃料減額を要求され、言われるがまま減額に応じてしまった。気が付くと、ローン返済もあり収益はカツカツに……」

サブリース契約では、借主からの賃料減額請求は認められますが、もちろん貸主からの賃料増額も認められます。賃料交渉は、減額だけではないということがポイントです。

賃料の増減については、あくまでも交渉です。交渉で絶対NOという姿勢を貫けば、別に下げる必要はありません。

但し、サブリース会社も賃料の値下げ交渉のプロですので、毎年のように賃料の減額を要求してきます。そこに根負けして下げてしまう人は多いです。

一方で、 世の中の賃料は毎年下がっているわけではありません。借地借家法の考えは、近隣同種の建物と比較して、賃料に乖離が見られる場合には、下げる要求をしてもよいし、上げる要求をしてもよいというスタンスです。

建物オーナーとしては、賃料減額要求に備えて、周辺の賃料相場をしっかり調べておくことが重要です。

賃料がほとんど昨年と変わっていなければ、賃料減額に応じる必要はありません。交渉ごとですので、こちらもしっかりと理論武装しておく必要があります。

安易に賃料の値下げに応じてしまう人は、厳しい言い方をすると準備不足の人です。周辺賃料をしっかりと調査し、根拠をもって、賃料減額要求を跳ね除けるようにしてください。

6-4. 解約したいが違約金が発生する

「今のサブリース会社と賃借契約を解除したい。しかし、違約金を請求されていて、資金調達に迫られている」

サブリース契約は普通借家契約ですので、簡単に今のサブリース会社を解約することはできません。

サブリース契約は普通借家契約であるため、中途解約となると、いわゆる「立ち退き」ということになります。そのため、建物オーナー側から立ち退きを要求すると、立退き料の問題に発展しかねません。サブリース会社を立ち退かせるためには、サブリース会社が自ら退去する方向に誘導するのがベストです。

サブリース会社との契約を解除するには、賃料減額には絶対に応じないか、もしくは逆に賃上げ交渉をするという方法があります。

サブリース契約は賃貸借契約であるため、借主からの賃料減額請求は認められますが、貸主からの賃料増額請求も当然に認められます。

よって、貸主から賃料を上げる要求することも全く問題ありません。サブリース会社は賃料増額をされてしまうと、逆ザヤになるリスクが高まりますので、「それであれば退去します」という流れになります。

ちなみに、サブリース会社を退去させても、転貸人の各入居者は引き続き残ります。各入居者の支払っている賃料もそのままです。サブリース会社を新たな不動産会社に引き継ぐか、もしくはそのまま直接賃貸してしまうという選択肢もあります。

サブリース会社を切替える場合には、新しいサブリース会社と十分に段取りを相談した上で行うとよいでしょう。

7.サブリース会社や管理会社を選ぶポイント

サブリース会社や管理会社選びは、賃貸経営の収益性にも大きな影響があるため、しっかりと見極めたいものです。ここでは、サブリース会社や管理会社を選ぶときに注目したいポイントを紹介します。

サブリース会社や管理会社は複数社を検討して、相性などを比較するのがおすすめです。「賃貸経営HOME4U」では、簡単な入力で複数社の比較検討が可能です。

7-1.現実的な事業計画に基づく契約か

賃料設定は、サブリース契約において重要な項目です。周辺の家賃相場を確認し、将来性、建物の状況などを鑑みて事業計画を作成し、どのような契約が結べるかを確認するとよいでしょう。経営の将来性をしっかり見据えた契約でないと、ものの数年で減額請求が来た、ということにもなりかねません。

7-2. 経営状態は安定しているか

サブリース会社の経営状況も必ず確認しておきます。かつてのサブリーストラブルではサブリース会社の倒産で多くのオーナーが廃業、負債を抱える事態となりました。したがって、確かな実績があるかのほか、業務提携している企業や系列の企業などの確認も、経営状態を測るポイントになります。

経営状態が安定していれば、トラブルにもしっかり対応できる体制が整っていると判断でき、安定的に賃貸経営をできる可能性が高まるでしょう。

7-3. 契約内容に納得できるか

サブリースは賃貸経営・管理を一任できる契約方式です。そのため、契約内容は非常に重要になってきます。契約内容の中でも以下のものをしっかり比較検討できると安心です。

  • 家賃保証の割合
  • 免責期間と賃料見直しのスパン
  • 定期メンテナンス内容と修繕費用負担について
  • 解約時の条件

これらの契約内容の詳細と事業計画を見比べて、長期的に収益化できるかどうかを確認するとよいでしょう。

7-4. 一括無料相談サービスを利用する

サブリース会社の切替をするときに、世の中には数えきれないほどの不動産会社があり、その一社一社に個別に見積もりを取るのはとても手間がかかる上、その会社が本当に優良な企業かどうかの見極めを自分で一からやるのは、かなりの負担になります。

そこでお使いいただきたいのが、同時に複数の不動産会社に賃料査定依頼や相談ができる「賃貸経営 HOME4U(ホームフォーユー)」 です。

無料で利用できる上、NTTデータグループが運営しているので、個人情報のセキュリティもしっかりしていて安心です。

サブリース会社に不安や不満を感じている人は、「賃貸経営HOME4U(ホームフォーユー)」なら、物件に関する簡単な項目を入力するだけで、相談可能な賃貸管理会社を、システムがまとめて自動的にリストアップしてくれます。

まとめて複数の賃貸管理会社に一括相談ができますので、個別に自力で探すより、はるかに手軽に複数プランが入手可能です。

管理プランは各社で異なるので、できるだけ多くの会社からプラン提示を受け、比べることをおススメします。

先ほど洗い出して頂いた「現在の管理会社の何についてどのような不満があるのか」ということについても相談してみることで、各社の対応の違いが見えてきます。

幅広く相談先を選択することで、あなたにピッタリの優れたサービスを提供している管理会社が見つかる可能性が高まります。

まとめ

サブリース契約とは、賃貸借契約そのものです。

借主であるサブリース会社からの賃料の値下げ要求は、合法的に認められています。また、サブリースには、賃料減額や修繕工事業者の指定、差別化しにくい等の問題を含みます。

現在のサブリース会社に不安を感じるようであれば、「賃貸経営HOME4U(ホームフォーユー)」を使って切り替えるのも1つです。

サブリースといっても、建物オーナーとしては空室対策を勉強や周辺の賃料相場の調査をしておくことも重要です。普段からサブリース会社から賃料の値下げを回避するための準備をしておきましょう。

この記事のポイントまとめ

サブリースは?

サブリースとは、集合住宅をサブリース会社が一括借り上げし、入居者に又貸し(転貸)することです。

詳しくは「サブリースとは」と「サブリース契約の特徴」をご覧ください。

サブリースのメリットとデメリットは?

サブリースには以下のようなメリットがあります。

  • 家賃滞納リスクがなくなる
  • 安定的な収入が得られる
  • 経費の負担を軽減できる
  • 管理業務一切がなくなる

また、デメリットは以下のようなものです。

  • 賃料減額要求がある
  • 修繕工事と紐づいているためにコストが割高
  • 差別化経営ができない
  • 契約解除がしにくい

詳しくは「サブリース契約のメリット」と「サブリース契約のデメリット」をご覧ください。

サブリース契約のよくあるトラブルとは?

サブリースでのよくあるトラブルは以下のようなものがあります。

  • 契約内容にはない賃料引き下げを要求された
  • リフォームの提案があったが資金がない
  • 解約したいが違約金が発生する

詳しくは「サブリースのよくあるトラブルと回避方法」をご覧ください。

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