叔母さんから数年前に譲り受けた空き家。
なかなか有用な活用法が思い付かなくて、そのままになってはや数年。
処分するにもせっかく譲り受けたしな・・・
固定資産税はかかるし、維持管理もしないと空き家対策法という法律もできたみたいだし、どうしたら良いんだろう・・・。
と、活用方法が分からず大切な空き家を持て余していませんか?
2019年4月に総務省より発表された2018年(平成30年)の「全国の空き家数」は846万戸にのぼり全国の総住宅数の13.6%を占める結果となりました。
これは5年前に比べ26万戸の増加であり、今現在も年々増え続けています。
今回は、そんな宙ぶらりんな空き家をどうしたら良いか困っているあなたのために、空き家の有効活用方法についてご紹介します。
不動産のプロ直伝の「どうにかしたい空き家」から「得する空き家」に変える全ノウハウをご覧ください。
Contents
1.得する空き家の活用方法「3選+1」
1-1.大家さんになって人(会社・事業者)に貸す
空き家を建て替えたりせずになるべく活かしたい、不労取得で家賃収入を得たい方におすすめです。
- 家賃収入ができる。
- 家賃収入ができるので管理維持費もまかなえる。
- 建物自体を利用できるので、建て替えの費用などが比較的安く済む
- 借り手がつかないと収入が得られない。
- 建物の管理維持費(掃除や壊れたものの修繕、修理)がかかる。
空き家が一軒家の場合、マンションの場合、倉庫や店舗である場合、種別がさまざまなように大家さんになった際に貸し出す形態もまたさまざまですが、簡単に大きく分けると以下の2つとなります。
- 一般的な住宅だった場合は、居住用として貸し出そう
- お店や倉庫だった場合は、会社・事業用として貸し出そう
以降でそれぞれの内容を事例交えてご紹介します。
1-1-1.一般的な住宅だった場合は、居住用として貸し出そう
これまで人が住んでいた空き家ならばそのまま住居用として貸し出すのが一般的で簡単です。方法としては一軒丸ごとそのまま貸す以外に、一室ごとまたは階ごとのシェアハウスとして貸し出すなどが考えられます。
こちらは、築50年の空き家をリノベーションして賃貸住宅として貸し出したものです。
大家さんは30代の男性、家自体はお父様がお祖父様のために立てられた家だそうで、50年間手を加えながら住んできた大切な家とのことです。
内装も年季を感じさせる調度品を変更し、白で統一されたさわやかなものに生まれ変わっています。
空き家だった築50年以上の民家を女性専用シェアハウスに改築した例です。
6部屋+共用スペースの和室、洋室、キッチンを可能な限りDIYで改装し、6部屋をそれぞれ居住用として貸し出しています。
民家だったため居住用の6部屋はそれぞれ広さも形も異なっていますが、値段設定もそれによって差別化が図られています。
このように、一般的な住宅はリノベーションやリフォームなどで手を加え、居住用として貸し出すのがほとんどのパターンです。
高く貸したいなら、部屋のリフォーム・クリーニングは必須です。リフォームやリノベーションについては個人で行う方もまれにいらっしゃるようですが、専門業者に頼むケースがほとんどです。専門の業者を探すには以下のようなサイトが参考になります。
1-1-2.お店や倉庫だった場合は、会社・事業用として貸し出そう
倉庫やお店だったものなど、ある程度の広さがある空き家であるなら、会社・事業用に適しているといえます。こちらも、設備によっては必要のないものを改装の必要が出てきたりします。
住居用と同じで物件の年数が経っていれば、設備(水周り、お風呂、トイレや内装)によっては新しいものに変えたり、場合によっては建物自体のリノベーションが必要になったりもします。
こちらは石川県金沢市にある、空き家を古着屋に改装した例です。
実は賃貸住宅ではなく、放置されていた空き家を活用した例ですが、リノベーションを行うことで素敵なお店に生まれ変わります。
こちらは広島県尾道市にある、空き家を洋品店に改装した例です。
この事例は、空き家再生事業をおこなっているNPO法人がかかわっています。このようなNPO法人も全国各地に増えており、地域活性にも一役買っています。
リフォームやリノベーションについては住居用と同じく、専門業者に頼むケースがほとんどになります。
大家さんで貸す場合に、よく聞く質問と回答について
主に、以下のような課税の違いがあります。
- 住居用・・・非課税
- それ以外・・・課税
ただ個人の場合だと事業者に貸した場合でも、余程立地が良く高い賃料が取れるお店などでない限り、年間賃料が1,000万円を超えることは稀なことなので、頭の片隅においておいてください。
経営という言葉から何か資格が必要なのではないかとか、お金をもらうから商売として個人事業主や会社を立ち上げなくてはいけないのではといった心配を持つ方もいるかもしれませんが、その必要はありません。
確かに知っておいて損はないことや資格などはありますが、それがないとできないということはありません。ただ、確定申告の際に不動産所得の申告が必要です。
そういった知識などや情報、さらには個人で動くのは難しい入居者の募集、管理業務などは不動産会社に頼ることもできるので、利用するのもひとつの方法です。
賃貸経営の会社を探すには、「賃貸経営HOME4U」などの一括で相談できるサービスを利用するとよいでしょう。
1-2.解体して、土地を活用する
古く、建て替えないと利用できないような空き家や、広い土地を持っているかたにおすすめです。
建て替えではなく更地をそのまま利用する形なので、主にコインパーキングや月極駐車場、トランクルームや太陽光発電などの活用方法があります。
- 更地を活かすから初期投資が抑えられる。
- 解体費用がかかる。
- 固定資産税が高くなる。
土地活用については「最適な活用法がわかる!目的や立地で選ぶ土地活用の方法と種類」で詳しく紹介していますので参考にしてください。
1-2-1.知っておくべき解体の手順
建物の解体には解体業者に頼むことがほとんどですが、解体の依頼主(建物の持ち主)が行わなくてはならないこともあります。
- 解体工事をすることを市区町村に届け出る
80㎡(約25坪)以上の延床面積の建物を解体する際は、解体工事着工の7日前までに「建設リサイクル法」の届出書類を、市区町村に提出しなくてはなりません。
正式には「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」といい、解体で出る廃棄物をなるべくリサイクルに回し、且つ廃棄物は適正に処理することを目的とした法律です。
提出は家主、依頼者の義務となりますが、多くの場合は解体業者が代行してくれます。この際、解体業者が届け出ていない場合、家主、依頼者の責任となり、罰則を受けることになるため、きちんと確認を取りましょう。
- 残っている置物、家具や家電の処分
家電リサイクル法の対象になる家電は購入先、各メーカーに問い合わせの上引き渡し、家具などは自治体、行政の清掃局へ粗大ゴミとしての処分の相談しましょう。
対象となるのは以下の「家電4品目」と呼ばれるものです。
- エアコン
- テレビ(ブラウン管、液晶・プラズマ)
- 冷蔵庫・冷凍庫
- 洗濯機・衣類乾燥機
- 電気・ガスを止める
解体工事が始まる前に電気・ガスを停止しましょう。請求書などに記載されている各事業所に電話で手続きするのが、早く確実です。
水道に関しては解体業者が工事中や工事終了後、道の掃除や散水のために使用する場合があるため、解体業者と停止の時期を決めてください。
- 浄化槽の汲取り
浄化槽がある場合、中身の汲取りを業者へ依頼しておけば、浄化槽本体は解体業者にまかせられます。汲取りに関しては自治体で対応している地域もあるので、確認してみてはいかがでしょうか。
- 解体工事後の手続き
家屋の解体が完了したら、1ヶ月以内に建物が無くなったことを法務局へ申請をする必要があります(建物滅失登記)。これも家主、依頼者に義務付けられています。
司法書士、行政書士、土地家屋調査士等の専門家へ委任する事もできますが、大体3~7万円の手数料がかかります。解体業者でも代行している場合あるので、確認して下さい。どちらの場合でも「委任状」と「印鑑証明」が必要となります。
このプロセスを経て家の解体が終われば、あとは更地をいかに活用するかになります。
解体工事に関することなら、解体工事の相場が地域別、建物別で調べられたりするこんなサイトもあるので参考にしましょう。
これは土地の所有者が、建物解体後の更地をコインパーキング業者へ貸し出している事例です。
コインパーキングは、専門の企業を通すほうが、個人で色々揃えるよりはるかに効率が良いです。
精算機やロック板、看板など必要になるものを個人で揃え、管理するのは至難の業だからです。
同じ駐車場だと月極駐車場などもありますが、立地によってどちらが良いかは要検討です。
コインパーキングと月極駐車場、共に駐車場であることには変わりはありませんが、両者には大きな違いがあります。
それは駐車場法に関わるか関わらないかです。
駐車場法とは、以下3つの条件に当てはまる駐車場の設置には市区町村への届け出が必要とする基本法です。
- 1.道路一般公共の用に供する駐車場(利用者を限定せず、誰でも利用ができる)
- 2.自動車、バイクの車室(駐車枠内)の面積が合計500㎡以上のもの
- 3.利用者から時間駐車料金を徴収するもの
1と3に関してはコインパーキングが当てはまるため、2の「駐車面積が500㎡以上」に該当すれば届け出が必要になります。
しかし月極駐車場のような定期的に契約し、その契約者にのみ駐車を提供する形態の駐車場は、1の時点であてはまらないため、届け出の必要はありません。
他にも太陽光発電などもありますが、500㎡(約150坪)以上の広い土地でないと収益が出にくいことや、機器の購入、設置、メンテナンスと意外とコストがかかります。
狭小地だと、自動販売機やコインロッカーの設置、バイクや自転車用駐輪場など特定の需要をターゲットにした方法もあります。
土地の活用ならば、大手企業から土地活用のプランを取り寄せられる一括プラン請求サイトが便利です。
1-3.売却する
活用という点では少し離れますが、売却して手放してしまうこともひとつの手です。
- 空き家に関する色々な心配がなくなる。
- 売却できればまとまったお金になる。
- 手放すことになる。
- 売れない間は固定資産税などの税金を払わなくてはならない。
最近では空き家を中心とした買取サービスもあるので活用してみたらいかがでしょうか。買取サービスは単なる売却とは違い、買い取った上でリフォーム、リノベーションを自社で行い、それを売る形態をとります。
そのほかにも、不動産会社を色々比較して選べる一括査定サイトの利用も便利です。
HOME4Uは、NTTデータグループが16年以上運営している老舗の不動産一括査定サイトです。提携している不動産会社は、厳しい審査を潜り抜けた信頼できる会社のみです。安心して査定を依頼することができるでしょう。
+1.その他の事例
+1-1.旅館や民宿など、自分で事業を起こして利用する
古民家ブームなどで、空き家を旅館や民宿などの宿泊施設に利用する試みが全国でも増えています。
雰囲気のある古民家でなくても、一般の空き家や、倉庫などの広い面積があれば、ホテルや旅館、民宿、ユースホステル、あるいは山小屋や、下宿などの宿泊施設としての活用が考えられます。
ホテルや旅館、民宿、ユースホステル、山小屋、下宿などを経営するためには、旅館業法にのっとって都道府県知事に届出が必要になるため注意が必要です。
2.これは押さえておきたい!空き家活用を始めるまえに知っておきたい3つのポイント
2-1.更地のままだと固定資産税が6倍になる!?
通常、住宅のある土地は固定資産税が優遇されています。
- 住宅用地で住宅1戸につき200平米以下の用地(小規模住宅用地):課税標準額×1/6
- 住宅用地で住宅1戸につき200平米を超える部分の用地(一般住宅用地):課税標準額×1/3
つまり200平米以下の用地だと、もともと1/6だった減免がなくなるので今までかかっていた税金の6倍の額になってしまいます。
住宅を解体して更地のままで放置しておくと、のちのちビックリなんてことになります。
2-2.住居があっても固定資産税が6倍になる!?(空家対策特別措置法)
2015年5月26日に施行された「空家対策特別措置法」によって、「特定空家等」に指定された空き家は、住居であっても固定資産税の減免対象外になります。
- 倒壊等、著しく保安上危険となるおそれのある状態
- 著しく衛生上、有害となる状態
- 適切な管理が行われず景観を損なった状態
- 周辺の生活環境の保全のために放置することが不適切な状態
管理されていない荒れた空き家と自治体が判断すれば、「住宅用地(住居用)」ではないとされ、固定資産税の優遇処置からはずされるのです。
2-3.建て替え、解体で自治体から補助金が出る場合も。
空き家の増加に伴い、国や地方自治体も補助金を出すなどして、空き家の活用に対する対策に乗り出しています。
そういった自治体の補助金に関しては以下のサイトのような全国の地方自治体ごとにどういった補助金があるのか検索できるサイトもあるので活用しましょう。
3.まとめ
国や自治体、地域活性のためにNPO法人なども乗り出して、空き家の活用方法はまだまだ広がりを見せています。持て余していた空き家を「処分」ではなく「活用する」へ変えて得する運用を目指しましょう!
(2019/08/20追記:全国の空き家数の最新データ更新に伴い、一部数値を修正しております。)