耐震等級3にする必要はあるか?|耐えられる地震の規模と、等級別の「違い」について

耐震等級3の住宅 メリットとデメリット

耐震等級とは住宅品質確保法で定められている基準で、3が最上級です。
標準仕様で耐震等級3を採用しているハウスメーカーもあり、家づくりのポイントとしても注目されています。

この記事では、耐震等級3について以下の内容を解説します。

この記事でわかること
  • 耐震等級3の強度
  • 耐震等級3のメリット・デメリット
  • 耐震等級別の特徴

地震に強いハウスメーカーを知りたい方は「地震に強いハウスメーカー14社」の記事を、注文住宅でおすすめのハウスメーカーの特徴や違いを、大手・中堅・ローコスト別について知りたい方は「ハウスメーカー比較」の記事もご覧ください。

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1.耐震等級3とは?

耐震等級3は、耐震性が極めて高いことを示しています。

そもそも耐震等級とは、地震に対する建物強度を示す基準で、1〜3まであります。
2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品質確保法)」によって定められました。

1-1.耐震等級3が耐えられる地震の規模

1981年6月以降に建てられた建物なら、すべて「震度6強~7程度の地震で倒壊・崩壊しない」という建築基準法上の耐震基準を満たしています。(耐震等級1)

耐震等級3の強度は、

建築基準法上の耐震基準の1.5倍以上です。

建築基準法上の耐震基準(耐震等級1)は、「震度6強~7程度の地震で倒壊・崩壊しない」ことなので、耐震等級3は、震度6強~7程度の1.5倍の地震に耐えられる強さを持つということになります。

これは警察署や消防署など、災害時に拠点となる建物と同じレベルの耐震性能だとされています。

平成28年に起きた熊本地震では耐震等級1相当の建物が19棟倒壊・大破したのに比べ、耐震等級3の建物は大きな損傷はなく、ほとんどが無被害であったという報告があります。

参照:国土交通省住宅局 「熊本地震における建築物被害の原因 分析を行う委員会」報告書のポイント

ただし、耐震等級3であっても何度も強い地震にさらされれば当然強度は落ちてしまうので、その点は注意が必要です。

1-2.耐震等級3の認定にかかる費用

建物や依頼先によっても変わりますが、認定を受けるには10万~30万円ほどかかります。

耐震等級3を認定してもらうには、第三者機関に依頼して構造計算や許容応力度計算などをしてもらう必要があります。

1-3.耐震等級3の住宅のメリット

耐震等級3の住宅のメリットとしては、主に以下の2つが挙げられます。

  • 安心して暮らせる
  • 住宅ローンや地震保険料の優遇を受けられる

それぞれのメリットを説明します。

1-3-1.安心して暮らせる

大地震が繰り返し起こっても倒壊・損壊しにくいだけでなく、地震後の建物の損傷が少ないと予想されるため、被害額も抑えやすくなります。
耐震等級3の住宅なら、地震の多い日本でも安心して暮らせるでしょう。

1-3-2.住宅ローンや地震保険料の優遇を受けられる

住宅ローンの「フラット35」を利用する場合、耐震等級3の住宅には優遇金利が適用されます。
具体的には、「フラット35 S(金利Aプラン)」を利用することで、借り入れ開始から5年間、金利を0.5%引き下げることができます。

また、耐震等級3の認定を受けることで地震保険が50%割引になります。

「住宅ローンの基礎知識」や「地震保険料などの家の維持費」について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

1-4.耐震等級3の住宅のデメリット

一方で、耐震等級3の住宅には、主に以下のデメリットが挙げられます。

  • 建築費が高くなることがある
  • 希望の間取りを実現できないことがある

それぞれのデメリットについて説明します。

1-4-1.建築費が高くなることがある

耐震等級3の住宅を建てるには、耐力壁や耐震金物を取り付けるだけでなく、基準を満たした屋根材や基礎を選択しなければならないので、建築費が高くなってしまいます。

加えて、耐震等級の認定を受ける費用も必要になります。

「建築費」などの家を建てる費用について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

1-4-2.希望の間取りを実現できないことがある

耐震等級3の建物にするには、耐力壁を多く使用する、かつバランス良く配置する必要があるため、希望の間取りを実現できない可能性があります。
たとえば、柱のない広い間口や高い吹き抜けは、構造的に弱くなるため、耐震等級3の建物にするのは難しい場合が多いです。

「おすすめの間取り」を知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

1-5.「耐震等級3」と「耐震等級3相当」の違い

「耐震等級3相当」とは、「耐震等級3」と同等の工法や資材を用いて建ててはいるものの、耐震等級の判定を受けていない建物を指します。

構造上の耐震強度は問題ないため耐震性は十分に高いと考えられますが、住宅ローンの金利や地震保険料の優遇を受けるときには「耐震等級3であること」が求められるため、注意が必要です。

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2.耐震等級3と耐震等級1・2の違いについて

耐震等級3と、耐震等級1・2との差・違いを表で説明します。

【耐震等級別の違い 比較表】
耐震等級1
耐震強度 震度6強~7程度の地震でも倒壊・崩壊しない
該当する建物 すべての建物
長期優良住宅の
認定基準
満たさない
地震保険の割引率 10%
耐震等級2
耐震強度 耐震等級1の1.25倍
該当する建物 学校や病院などの避難所に指定される建物
長期優良住宅の
認定基準
満たす
地震保険の割引率 30%
耐震等級3
耐震強度 耐震等級1の1.5倍
該当する建物 警察署や消防署などの災害時の拠点となる建物
長期優良住宅の
認定基準
満たす
地震保険の割引率 50%

耐震等級3は、耐震等級1~2と比べて「強度」「地震保険の割引率」が一番高いです。

耐震等級を3にするための住宅設備の費用は、一般的に約120万円~、耐震等級の認定を受けるための費用は10~30万円となっています。

3.耐震等級3は必要か

ずばり、

必須ではありませんが、「安心して暮らしたい」かつ「費用に余裕がある」方は、耐震等級3の建物にすることをおすすめします。

たとえ耐震等級3の建物であっても、強震度の地震が繰り返し起こったときは、倒壊・崩壊・損傷する可能性もあります。
しかし、耐震等級3の建物は、耐震等級1・2の建物に比べて強度が高いのは事実であり、地震が起きた時の揺れも少ないでしょう。

その分費用はかかりますし、理想の間取りを実現できない可能性もあるので、ご自身が何を大切にするかによって必要かどうかが決まります。

耐震等級3の家、地震に強い家を作りたい方はこちらの記事もご覧ください。

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この記事のポイント まとめ

耐震等級3が耐えられる地震の規模

耐震等級3の住宅は、建築基準法上の耐震基準の1.5倍以上の耐震強度がある住宅です。
これは、震度6強~7程度の1.5倍の地震に耐えられる強さを持つということになります。

詳細は、「1-1. 耐震等級3が耐えられる地震の規模」をご覧ください。

耐震等級3の住宅のメリット・デメリットは?

メリット・デメリットは以下です。

メリット デメリット
  • 安心して暮らせる
  • 住宅ローンや地震保険料の優遇を受けられる
  • 建築費が高くなることがある
  • 希望の間取りを実現できないことがある

詳細は、「1-3.耐震等級3の住宅のメリット」「1-4.耐震等級3の住宅のデメリット」をご覧ください。

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