家を建てるには購入費の他に維持費が必要になります。
新築する際には、暮らし始めてからの維持費も視野に入れてプランを立てる必要があるのです。
- 一軒家にかかる維持費の相場
- 維持費のシミュレーション事例
- 維持費を抑えるコツ
事前に新築住宅の維持費について押さえておけば、購入時だけでなく、暮らし始めてからの出費を含めた資金計画を立てることができます。
「子どもが二人いる場合、どんな間取りの家がいいの?」、「断熱性・気密性に優れた家ってどんなもの?」など、家づくりに対する疑問・質問はひとりで悩まずプロに相談することで解決できます。
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注文住宅の平均的な費用を知りたい方は「注文住宅の相場」の記事もご覧ください。
Contents
1.一軒家の年間維持費はどのくらい?
一軒家の維持費には、平均年間約30万〜50万円かかるといわれています。
維持費項目 | 年間金額 |
---|---|
税金 | 年間約10万~25万円 |
保険料 | 年間約4万~8万円 |
修繕費 | 年間約16万円 |
これは、毎年30万~50万円かかるという意味ではなく、30年間に必要とされる費用を合計し、年数で割って求めた数字です。
次章で解説しますが、維持費のうち「修繕費」は毎年決まった額がかかるわけではないため、年度ごとにかかる税金や保険料を把握しながら、計画的に積み立てていく必要があります。
年間30万~50万円を目安に維持費として貯蓄しておくと、外壁の塗り替えなどの大規模な修繕工事が必要になっても、ある程度余裕を持って対応できるでしょう。
2.一軒家の維持費の内訳と費用目安
一軒家の維持費には、主に次の3項目があります。
- 税金
- 保険料
- 修繕費
以下より、各項目の概要や費用目安について解説します。
2-1.税金
税金 | 年間約10万~25万円 |
---|
家を建ててからかかる税金には、固定資産税と都市計画税があります。
その年の1月1日時点で、土地や建物などの固定資産を所有している方に課せられる税金
1月1日以降に一軒家を購入すると翌年から課せられる(購入年は不要)
土地・建物が「市街化区域※」にある場合に課せられる税金
※市街地や10年以内の優先的な市街化を計画されている区域
固定資産税額や都市計画税額を計算するときは、土地と建物に分けて考えることが必要です。
2-1-1.土地
まずは土地の計算方法を紹介します。
- 固定資産税額の計算方法
固定資産評価基準×1.4%
※小規模宅地等の特例が適用されると200平米以下の部分に関しては1/6、200平米超の部分に関しては1/3に減額されます。 - 都市計画税額の計算方法
固定資産評価基準×0.3%
※小規模宅地等の特例が適用されると200平米以下の部分に関しては1/3、200平米超の部分に関しては2/3に減額されます。
2-1-2.建物
次に、建物の計算方法を紹介します。
- 固定資産税額の計算方法
固定資産評価基準×1.4%
※新築の場合は3年間(認定長期優良住宅は5年間)1/2になるため、負担は軽減されます。 - 都市計画税額の計算方法
固定資産評価基準×0.3%
2-1-3.シミュレーション
以下の場合を例に、土地・建物にかかる固定資産税と都市計画税をシミュレーションしてみます。
【例】以下の一軒家の場合
- 土地の固定資産評価基準が1,500万円(面積100平米)
- 建物の固定資産評価基準が2,000万円(長期優良住宅、床面積100平米)
土地
固定資産税額:1,500万円×1/6×1.4%=3万5,000円
都市計画税額:1,500万円×1/3×0.3%=1万5,000円
建物
固定資産税額:2,000万円×1/2×1.4%=14万円
都市計画税額:2,000万円×0.3%=6万円
上記例では小規模宅地等の特例が適用されていますが、新築住宅の特例措置は3年ないし5年のみ適用される点に注意しましょう。
なお、建物は築年数が経つと固定資産評価基準が減り、負担が軽くなります。
2-2.保険料
保険料 | 年間約4万~8万円 |
---|
家を建ててからかかる保険料には、主に火災保険料と地震保険料があります。
火災保険料は、建物の構造や保険金額、補償内容などによって決まります。
また、補償対象を家屋だけにするか、家財も含めるかによって保険料が変わる点に注意しましょう。
地震保険料は、建物の構造や保険金額以外だけでなく、都道府県によっても大きく変わります。
いずれも人によって金額に差は出ますが、火災保険だけなら保険料は年間1万~2万円、地震保険料も含めると4万~8万円ほどと見積もっておくとよいでしょう。
2-3.修繕費
修繕費 | 年間約16万円 |
---|
維持費のうち、もっとも高額になるのが修繕費です。
先述のとおり、毎年決まった額がかかるわけではありませんが、必要なときに必要な金額を用意できるよう、計画的に積み立てていきましょう。
修繕費は家屋自体にかかる費用と、設備にかかる費用に分けられます。
2-3-1.家屋自体にかかる費用
築20年ほど経過すると、壁や天井などの家屋内のクロスの張り替え、築30年ほど経過すると床のフローリングの張り替えが必要になるでしょう。
いずれも張り替える面積や素材によって費用が異なりますが、各60平米張り替えるとすると、壁に10万円、天井は10万円、床は40万円ほどかかることもあります。
また、家屋の外も修繕が必要になります。
修理内容 | 費用目安 |
---|---|
屋根塗装 | 35万円~70万円 |
屋根カバー工法 | 110万円~130万円 |
屋根葺き替え | 120万円~220万円 |
屋根材の部分修理 | 10万円~30万円 |
雨漏りの修理 | 20万円~35万円 |
雨樋の修理 | 10万円~30万円 |
棟板金の交換 | 5万円~20万円 |
修理内容 | 相場 | 費用目安(30坪の場合) |
---|---|---|
外壁塗装 | 約1,800円~7,500円/㎡ | 60万円~120万円 |
外壁張り替え | 約7,000円~10,000円/㎡ | 100万円~200万円 |
ひび割れ修理 | 約1,800円~2,500円/㎡ | 1万円~5万円(足場なし) 20万円~50万円(足場あり) |
シーリング(コーキング)補修 | 打ち替え:約900円~1,200円/m 打ち増し:約700円~1,000円/m |
5万円~20万円 |
ケレン(サビ取り) | 約200円~2,000円/㎡ | 1万円~20万円 |
雨漏り修理 | 被害状況・箇所により異なる | 5万円~50万円 |
高圧洗浄 | 約100円~300円/㎡ | 2万円~5万円 |
※修理する箇所、素材、範囲によって金額は異なります。
例えば、屋根と外壁をすべて張り替える場合であれば、素材にもよりますが300万~500万円ほど必要になるでしょう。
家を建てる際は、今後どういったメンテナンスが必要になるか確認をしながら、使う素材を決めると安心です。
2-3-2.設備にかかる費用
設備も、グレードや性能によって取り替え費用が異なります。
例えば、比較的早く寿命が来る設備として給湯器が挙げられますが、10年に一度取り替えるとすると、1回につき約25万円、30年間使うと考えるとトータル約75万円が必要です。
そのほかの設備は30年間のうちでも取り替える回数は1回程度でしょう。以下の費用が目安となります。
設備 | 費用目安 |
---|---|
コンロ | 30万円 |
換気扇 | 15万円 |
ユニットバス | 200万円 |
システムキッチン | 150万円 |
トイレ | 25万円 |
いずれもグレードや大きさなどによって費用は大きく変わるので、あくまで目安に留めてください。
このように、家を建てた後にはさまざまな項目の費用がかかるため、家を作る段階で将来を見据えた資金計画を立てておく必要があります。
今後かかる維持費も含めて、注文住宅のプロに相談!
家を建てる際には今後どういったメンテナンスが必要になるか、税金などの支払いはどうなるか考える必要があります。
使用する素材の耐用年数など、将来的な目線を持ち、家づくりをすることで、万が一の出費に備えることができます。
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3.【事例別】毎年かかる一軒家の維持費シミュレーション
一軒家に毎年かかる維持費を、いくつかの事例ごとにシミュレーションしてみましょう。
- 3,000万円の戸建て住宅の場合
- 4,000万円の戸建て住宅の場合
- 都市部に建てる戸建て住宅の場合
なお、いずれの事例も修繕費は年間16万円、保険料は年間8万円に設定しています。
それでは1つずつ見ていきましょう。
事例1:3,000万円の戸建てにかかる維持費シミュレーション
設定
- 土地1,000万円(面積100平米)
- 建物2,000万円(床面積100平米)
- 固定資産評価基準は地価の7割=700万円
- 建物の初年度の減価補正率は0.8=1,600万円
土地
固定資産税額:700万円×1/6×1.4%=1万6,333円
都市計画税額:700万円×1/3×0.3%=7,000円
建物
固定資産税額:1,600万円×1/2×1.4%=11万2,000円
都市計画税額:1,600万円×0.3%=4万8,000円
初年度の固定資産税と都市計画税の合計額は18万3,300円(100円未満は切り捨て)です。
減価補正率と新築住宅の特例措置を3年間適用すると、30年間の税額は以下のようになり、合計約442万円かかります。
年数 | 減価 補正率 |
土地 | 建物 | 合計額 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
固定資産税 | 都市計画税 | 固定資産税 | 都市計画税 | |||
1年目 | 0.8 | 16,333円 | 7,000円 | 112,000円 | 48,000円 | 183,300円 |
5年目 | 0.64 | 16,333円 | 7,000円 | 179,200円 | 38,400円 | 240,900円 |
10年目 | 0.5 | 16,333円 | 7,000円 | 140,000円 | 30,000円 | 193,300円 |
20年目 | 0.26 | 16,333円 | 7,000円 | 72,800円 | 15,600円 | 111,700円 |
30年目 | 0.2 | 16,333円 | 7,000円 | 56,000円 | 12,000円 | 91,300円 |
30年間の合計 | 489,990円 | 210,000円 | 3,081,400円 | 727,800円 | 4,416,900円 |
※建物の固定資産税は4年目に上がるため、ご注意ください。
参考: 法務局「経年減価補正率表」
なお、上記に保険料と修繕費を足すと、1年目にかかる維持費は約42万3,300円。
月ごとに約3.5万円を積み立てる試算となります。
事例2:4,000万円の戸建てにかかる維持費シミュレーション
設定
- 土地1,000万円(面積100平米)
- 建物3,000万円(床面積100平米)
- 固定資産評価基準は地価の7割=700万円
- 建物の初年度の減価補正率は0.8=2,400万円
土地
固定資産税額:700万円×1/6×1.4%=1万6,333円
都市計画税額:700万円×1/3×0.3%=7,000円
建物
固定資産税額:2,400万円×1/2×1.4%=16万8,000円
都市計画税額:2,400万円×0.3%=7万2,000円
初年度の固定資産税と都市計画税の合計額は26万3,300円(100円未満は切り捨て)です。
減価補正率と新築住宅の特例措置を3年間適用すると、30年間の税額は以下のようになり、合計約642円かかります。
年数 | 減価 補正率 |
土地 | 建物 | 合計額 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
固定資産税 | 都市計画税 | 固定資産税 | 都市計画税 | |||
1年目 | 0.8 | 16,333円 | 7,000円 | 168,000円 | 72,000円 | 263,300円 |
5年目 | 0.64 | 16,333円 | 7,000円 | 134,000円 | 57,000円 | 214,300円 |
10年目 | 0.5 | 16,333円 | 7,000円 | 105,000円 | 45,000円 | 173,300円 |
20年目 | 0.26 | 16,333円 | 7,000円 | 54,000円 | 23,000円 | 100,300円 |
30年目 | 0.2 | 16,333円 | 7,000円 | 42,000円 | 18,000円 | 83,300円 |
※建物の固定資産税は4年目に上がるため、ご注意ください。
参考: 法務局「経年減価補正率表」
なお、上記に保険料と修繕費を足すと、1年目にかかる維持費は約50万3,300円。
月ごとに約4.2万円を積み立てる試算となります。
事例3:都市部の戸建てにかかる維持費シミュレーション
都市部は土地が高くなるため、地方の一軒家とは税額も変わります。
設定
- 土地2,000万円(面積100平米)
- 建物3,000万円(床面積100平米)
- 固定資産評価基準は地価の7割=1,400万円
- 建物の初年度の減価補正率は0.8=2,400万円
土地
固定資産税額:1,400万円×1/6×1.4%=3万2,666円
都市計画税額:1,400万円×1/3×0.3%=1万3,999円
建物
固定資産税額:2,400万円×1/2×1.4%=16万8,000円
都市計画税額:2,400万円×0.3%=7万2,000円
初年度の固定資産税と都市計画税の合計額は28万6,600円(100円未満は切り捨て)です。
減価補正率と新築住宅の特例措置を3年間適用すると、30年間の税額は以下のようになり、合計約712万円かかります。
年数 | 減価 補正率 |
土地 | 建物 | 合計額 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
固定資産税 | 都市計画税 | 固定資産税 | 都市計画税 | |||
1年目 | 0.8 | 32,666円 | 13,999円 | 168,000円 | 72,000円 | 286,600円 |
5年目 | 0.64 | 32,666円 | 13,999円 | 134,000円 | 57,000円 | 237,600円 |
10年目 | 0.5 | 32,666円 | 13,999円 | 105,000円 | 45,000円 | 196,600円 |
20年目 | 0.26 | 32,666円 | 13,999円 | 54,000円 | 23,000円 | 123,600円 |
30年目 | 0.2 | 32,666円 | 13,999円 | 42,000円 | 18,000円 | 106,600円 |
※建物の固定資産税は4年目に上がるため、ご注意ください。
参考: 法務局「経年減価補正率表」
4.建てる前に知っておきたい!一軒家の維持費の失敗例と失敗しないコツ
ここでは、実際に家を建てた後に生じたよくある失敗例と、失敗しないコツを4つ紹介します。
よくある失敗例は下記のとおりです。
- メンテナンスの回数が増えてしまった
- 税金の軽減率が適用されなかった
- 光熱費が高くついた
- アフターサービスが不十分だった
それぞれの詳細と対策について解説します。
4-1.メンテナンスの回数が増えてしまった
失敗しないコツ:メンテナンスや耐久性を考慮して素材を選ぶ
住宅を良好な状態で保つためにも、定期的なメンテナンスは必要です。
しかし、メンテナンス費用がかさむと、経済的な負担が大きくなってしまいます。
例えば、雨で汚れが落ちる外壁材などのメンテナンスが簡単な資材を選ぶと、手間なく美しく保てるだけでなく、費用がかかりにくくなるでしょう。
また、どんなにおしゃれでも、耐久性に優れていないのであれば早くに寿命が来て、外壁や屋根などの取り替えが必要になります。
耐久性が高い素材を使用した外壁や屋根の中から自分の好みに合った製品を選ぶことで、余分な修繕費を抑えましょう。
4-2.税金の軽減率が適用されなかった
家の広さを考慮しなかった結果、税金の軽減率が適用されなかった
土地の大きさにあわせて家づくりをしたところ、固定資産税・都市計画税の軽減率が下がり、思っていたよりも多くの税金を支払うことになってしまった。
失敗しないコツ:大きすぎる家を建てない
大きすぎる家を建てると、税金が高くなってしまいます。
住宅用地の固定資産税や都市計画税には軽減措置がありますが、200平米を超えると軽減率が下がり、節税額は減ってしまいます。
また、建物にも3年間(認定長期優良住宅は5年間)は軽減措置が適用されますが、床面積が120平米を超える部分には適用されません。
資材も増えるため、修繕費も高くなるでしょう。
4-3.光熱費が高くついた
気密性・断熱性にこだわらなかった結果、光熱費が高くついた
安く家を建てようと思い、気密性・断熱性に優れた高価な素材・部材ではなく、なるべくコストを抑えたものを使い、家を建てました。その分エアコンの効きが悪く感じ、光熱費が高くついてしまったと思います。
失敗しないコツ:省エネ住宅・長期優良住宅を建てる
維持費の他に、光熱費も考えておきましょう。
住宅用太陽光発電システムを導入した住宅やZEH(ゼッチ)など、省エネ住宅を建てて光熱費を抑えると、住宅にかかる費用を抑えやすくなるでしょう。
また、先述のとおり、長期優良住宅を建てると、建物にかかる固定資産税の軽減措置適用の期間が2年間延びます。
これらの住宅は建てる際に費用が高くつきますが、補助金制度もあるため気になる方は調べてみましょう。
4-4.アフターサービスが不十分だった
アフターサービスの内容が物足りず、満足な保証を得られなかった
依頼したハウスメーカーのアフターサービスの適用範囲が狭く、相談をしてみたものの修理費用が高くついてしまった。もっとハウスメーカーをきちんと比較しておけばよかった。
失敗しないコツ:充実したアフターサービスのハウスメーカーを選ぶ
ハウスメーカーによってアフターサービスの内容や適用期間が異なります。
アフターサービスが充実したハウスメーカーを選ぶと、修繕費を抑えることができ、維持費全体も安くなるでしょう。
ハウスメーカーを比較検討しながら、理想の家づくりについて注文住宅のプロに相談!
家を建てる際は建築費だけではなく、今後の維持費やアフターサービスも考えておく必要があります。
「そもそも維持費を抑えるのってどうしたらいいの?」といった疑問・質問がある場合は、注文住宅のプロに相談をしながら、各ハウスメーカーの情報を整理して決めると失敗がありません。
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まとめ
住宅は、購入費だけでなく維持費がかかります。
一軒家であれば年に約30万~50万円と、決して安くはない金額が必要です。
住宅を購入するときには維持費についても留意し、資材や広さなどを決めていきましょう。
この記事のポイント
家を建ててからかかる税金には、固定資産税と都市計画税があり、年間約10万~25万円かかるといわれています。
詳細は「2-1.税金」や「3.【事例別】毎年かかる一軒家の維持費シミュレーション」をご覧ください。
安い素材を使用した結果、メンテナンスの回数が増えてしまった
初期費用を抑えるため、メリット・デメリットを考えずとにかく安い素材を使用していました。結果的にコケが生えやすかったり、部分修理が必要になったりとメンテナンスの手間が増えてしまい、もっと素材のことを考えて家づくりをすればよかったと思った。