【マンション売却の流れ】準備から確定申告までを9ステップで解説

マンション売却 全体の流れを解説!

マンションを売却するには「何を」「どのように」進めていけばいいのでしょうか。

初めてマンション売却を行う方に向けて、売却の進め方知っておくべき基礎知識を、売却の流れに沿って解説します。
全体感を意識しながら、売却に関する重要な部分の知識を簡単に把握できます。

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Contents

STEP1:マンション売却の全体の流れ

まずは、マンションを売却するまでの全体の流れを簡単に見ていきましょう。
売却全体を大きく『売却前』『売却中』『売却後』に分け、さらに詳しく合計の8ステップに分けています。

マンションを売却する流れ
売却前 STEP1:事前準備を始める
(目安:1~2週間)
STEP2:マンションの査定を実施する
(目安:1~2週間)
STEP3:付帯設備表と告知書を作成する
(目安:1週間)
STEP4:選んだ不動産会社と媒介契約を結ぶ
(目安:1週間)
売却中 STEP5:マンションの売り出しを始める
(目安:1~3ヶ月)
STEP6:売買契約を結ぶ
(手付金の受領と仲介手数料の支払い)
(目安:1~2週間)
売却後 STEP7:決済・引き渡しを行う
(目安:売買契約から1か月ほど)
STEP8:(翌年)確定申告と納税する
(マンションを売却した年の翌年に2月16日~3月15日)

マンションを売却する流れ
マンションの売却を個人間で行うこともできますが、非常に難しく、一般的には不動産会社に仲介(売却活動の手伝い)を頼んだうえで進めていきます。
仲介を依頼するために媒介契約を結び、売り出しを開始し買主を探します。募集の広告も不動産会社が担います。

マンション売却の特徴として、一戸建てよりも売れやすい点が挙げられます。
売却完了までの期間は、平均3~6カ月程度ですが、人気な物件ほど短期間で売却できる可能性が高まります。

次章以降では、各ステップについて、事前に知っておきたいポイントを含めて解説していきます。

STEP2:売却に向けた事前準備の開始

STEP3.不動産会社に査定依頼

STEP4.付帯設備表等の作成

STEP5.媒介契約の締結

STEP6.マンションの売り出し開始

STEP7.売買契約の締結

STEP8.マンションの引き渡し

STEP9.確定申告と納税

STEP2:売却に向けた事前準備の開始

▶期間の目安:1~2週間

▶このステップのポイント

  • 必要書類の準備
  • 売却に伴うお金と資金計画
  • 売却相場の確認

不動産会社に査定を依頼する前に、ある程度の事前準備をしておきましょう。
これらの事前準備をしなくても売却はできますが、売却までをスムーズに進めるため、また査定や売却で失敗しないために可能な限り準備しましょう。

2-1.必要書類の準備

マンションの売却には多くの書類が必要になり、売主はそれらの書類を集める必要があります。
以下は、媒介契約までに必要な書類です。

  • 【必須】身分証明書
  • 【必須】登記済証(権利証)または登記識別情報通知
  • 【必須】住宅ローンの返済予定表または残高証明書
  • 購入時の売買契約書と重要事項説明
  • 購入時の販売図面(間取り図)
  • マンション管理規約・使用細則
  • リフォーム履歴の確認資料
  • 固定資産税評価証明書

必須の書類以外は、できれば用意しておきたい書類です。
査定の参考になるため、査定の精度が高まる可能性があります。

トピック:マンション売却に必要な全ての書類

以下の書類が、マンションの売却に必要なすべての書類です。
媒介契約時、売買契約締結時、引き渡し、また売却益が出た場合に行う確定申告時に書類が準備が必要です。

書類名 取得方法・保有者 備考
媒介契約時 身分証明書 売主所有 必須
登記済証(権利証)または登記識別情報 売主所有 必須
住宅ローンの残高証明書または返済予定表 金融機関で取得 必須
購入時の売買契約書と重要事項説明書 売主所有
(手元にない場合は購入した不動産会社や売主にコピーを依頼)
購入時の販売図面(間取り図) 売主所有
(手元にない場合はマンション管理会社に依頼)
マンション管理規約・使用細則 売主所有
(手元にない場合はマンション管理会社に依頼)
リフォーム履歴の確認資料 売主所有
固定資産税評価証明書 市区町村の窓口で取得
売買契約時 身分証明書 売主所有 必須
実印 売主所有 必須
印鑑証明書 売主が自治体の窓口やコンビニで取得 売買契約書に押印した印鑑の証明で必要な場合
登記済証(権利証)または登記識別情報 売主所有 必須
付帯設備表 不動産会社で取得 必須
売買契約書 不動産会社で取得 必須
物件状況確認書(告知書) 不動産会社で取得 必須
引き渡し時 登記済証(権利証)または登記識別情報 売主所有 必須
実印 売主所有 必須
印鑑証明書(3か月以内に発行のもの) 自治体の窓口やコンビニで取得 必須
固定資産税評価証明書 市区町村の窓口で取得
住民票 自治体の窓口やコンビニで取得 住所移転している場合
身分証明書 売主所有 必須
管理費および修繕積立金の額の確認書 売主所有
(手元にない場合はマンション管理組合に依頼)
必須
抵当権の抹消に必要な書類 金融機関で取得 抵当権抹消前の場合
確定申告時 登記事項証明書(登記簿謄本) 法務局で取得 提出が求められる場合がある
住民票の除票 自治体の窓口で取得 提出が求められる場合がある
売却物件の購入時売買契約書など 売主所有 提出が求められる場合がある
売却物件の売却時売買契約書など 売主所有 提出が求められる場合がある
費用を証明する領収書 売主所有 提出が求められる場合がある
譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書) 国税庁ホームページからダウンロード可 提出が求められる場合がある
各種特例を利用するのに必要な書類 国税庁ホームページからダウンロード可 提出が求められる場合がある


2-2.売却に伴うお金と資金計画

マンションの売却は、数百万~数千万円のお金が動く取引です。
不動産会社への手数料(手数料)や税金も発生するため、「いつどのような支払いがあるか」を把握し、資金計画を立てておくことが重要です

ここで、支払いが発生するタイミングと、買主からお金をいただくタイミングを簡単に確認していきましょう。

売却にかかる主な費用(支出) 買主から支払われる代金(収入)
印紙税 手付金
仲介手数料 売却代金
譲渡所得税

マンション売却におけるお金の流れ

売却にかかる費用のうち、最も高額になりやすいのが不動産会社へ支払う仲介手数料です。
売却金額のおよそ3%ほどで、売買契約後と引き渡し後の2回に分けて、半金づつ支払うことが一般的です。

一回目の仲介手数料支払いの前に、手付金。2回目の仲介手数料支払いの前に、売却金額が支払われるため、手持ち資金が少なくても売却はできます。
ただし、引き渡し完了までは売買契約が無効になる可能性もあり、場合によっては手付金を買主に返還することもあります。
そのため、少なくとも仲介手数料分は、あらかじめ予算として用意しておくことをお勧めします。

2-3.売却相場の確認

「売りたいマンションにおよそいくらの価値があるか」を調べておくことは非常に重要です。
明らかにおかしな査定額が分かるほか、不動産会社の査定を比較する材料になるためです。

売却相場は以下2つの方法で調べられます。

どちらの方法でも、できる限り条件の近しい物件を探し、どの程度の価格で売られたか、あるいは売られているかを確認しましょう。

マンション売却の場合は、まず同じマンションの別室の売却事例、売り出し広告が無いかを探してみましょう。

STEP3:不動産会社に査定依頼

▶期間の目安:1~2週間

▶このステップのポイント

  • 査定の方法は3種類
  • 複数社を比較して選ぶ

査定では、「マンションの価値」「査定額の根拠」「売却にどの程度の期間がかかりそうか」などが分かります。

査定額は各社異なり、また対応の質も会社や担当者で異なります。
査定は、査定額を知るためだけでなく、不動産会社選びの材料としても有効です。

3-1.3種類の査定方法

査定には、以下の3つの方法があります。

  • AI査定(匿名査定):簡易的なWEB査定サービス
  • 机上査定:不動産会社が行う簡易的な査定
  • 訪問査定:不動産会社が現地調査まで行う査定

基本的に売却を行うには、最も精度の高い訪問査定が必要です。
机上査定は、不動産会社が行う簡易的な査定で、AI査定は過去の売却事例から自動計算するWEBサービスです。

基本的に、査定の精度は『訪問査定>机上査定>AI査定』の順になるため、売却の検討段階に応じて使い分けましょう。

3-2.複数社を比較し選ぶ

査定額や対応の質は不動産会社ごとに異なります。
また、マンションの売却が得意なのか、一戸建ての売却得意なのか、といった得意不得意の違いもあります。

そのため、売却で後悔しないためには複数社を比較して、慎重に選ぶことが重要です。

不動産会社を比べるときは、複数社にまとめて査定依頼ができる不動産一括査定サービスなどを活用しましょう。
NTTデータグループが運営する不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)なら、一度の入力で、最大6社の不動産会社に査定を依頼できます。

STEP4:付帯設備表等の作成

▶期間の目安:1週間

▶このステップのポイント

  • 付帯設備表の作成
  • 告知書の作成
  • 売却相場の確認

仲介を依頼する不動産会社を決めたら媒介契約を結びますが、その前に作成が必要な2つの『付帯設備表』『告知書』について解説します。

付帯設備表と告知書は、売却する物件がどんなものかを買主に伝える書類です。
いずれも、不動産会社から雛形をもらうことができるので、記入し、不動産会社に渡しましょう。

4-1.付帯設備表の作成

付帯設備表とは、不動産に付帯する設備の有無やそれらの状態を記載する書類です。
例えば、換気扇や給湯器などの有無や、状態を記入します。

【付帯設備の例】

  • コンロ
  • レンジ
  • 流し台
  • シャワー
  • 冷房機器

4-2.告知書の作成

告知書(正式には、物件状況等報告書)は、不動産の瑕疵(欠陥や不具合など)について詳しく記載する書類です。
売主と仲介する不動産会社には、瑕疵について買主に伝える義務があるため、とても重要な書類といえます。

トピック:記載すべき瑕疵とは?

以下の項目に関して、瑕疵が見られる場合は記載が必要です。

  • 雨漏り
  • シロアリ被害
  • 腐食
  • 給排水管の故障
  • 建物の傾き
  • 増改築
  • 火災等の被害
  • 境界、越境について
  • 配管の状況
  • 地盤沈下や土地の軟弱等
  • 敷地内残存物
  • 土壌汚染等
  • 浸水等の被害
  • 近隣の建築計画
  • 騒音・振動・周期等
  • 電波障害
  • 周辺環境に影響を及ぼしかねない施設の有無
  • 近隣(自治会等)の取り決めなど
  • その他(心理的瑕疵や近隣トラブル等)

不動産流通経営協会. ”「物件状況等報告書」記入上のご注意【土地建物・土地用】”. 国土交通省(参照2024-04-19)を元に、お家のいろはが独自に作成

STEP5:媒介契約の締結

▶期間の目安:1週間

▶このステップのポイント

  • 媒介契約は3種類
  • 適した媒介契約の選び方

不動産会社に仲介を依頼するための契約を媒介契約と言います。
次の項目で解説しますが、媒介契約には3つの種類があり、物件や自分の要望に応じて適切な媒介契約を結ぶ必要があります。

媒介契約には以下で説明する3種類がありますが、原則いずれも3カ月以上の契約を結ぶことはできず、期限が来たら都度売主が更新するか選択します。
媒介契約の選択は重要ですが、不適切な契約を結んだ場合でも、3カ月後には必ず解除できます。

5-1.3種類の契約方法

媒介契約の種類は、『一般媒介契約』『専任媒介契約』『専属専任媒介契約』の3種類があります。
以下の表は、各媒介契約の主な違いをまとめたものです。

一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
複数業者との契約 × ×
指定流通機構への登録 任意 義務 義務
業務状況の報告義務 報告義務なし 2週間に1回以上 1週間に1回以上
契約有効期間 なし 3ヶ月程度 3ヶ月程度
自分で買主発見 ×

最も大きな違いとしては、『一般媒介契約』は複数の不動産会社と契約ができ、『専任』と付く契約は一社とだけ結ぶ専任の契約です。
また、『一般媒介契約』と『専任媒介契約』は自己発見取引(売主自身が買い手を探して契約すること)が可能ですが、『専属専任媒介契約』はこれができません。

そのため、『一般媒介契約 > 専任媒介契約 > 専属専任媒介契約』の順で、売主側の制約が強くなる(契約の拘束力が高くなる)といえます。

契約の拘束力が強いほど、不動産会社側にも業務に関する様々な義務が発生するため、より積極的な売却活動を期待できます。

5-2.適した媒介契約の選び方

複数社と契約できる『一般媒介契約』の利が大きいように見られがちですが、勢力的な売却活動を見込めない可能性もあります。
『一般媒介契約』の場合、最終的に売買契約を締結させた一社以外は、仲介手数料をもらえずにタダ働きで終わってしまうため、熱心に売却活動をしようと思いにくいためです。

そのため、基本的には『専任媒介契約』か『専属専任媒介契約』をおすすめしています。
親族や知人、隣人など、売主自身が買い手を探せる可能性がある場合は、自己発見取引が可能な『専任媒介契約』にしましょう。
不動産会社によっては、『専属専任媒介契約』の場合にのみ様々な特典が用意されていることもあります。
最終的には、それらサービスも加味して選択しましょう。

『一般媒介契約』をおすすめできるのは、都市部の駅近物件など、各不動産会社が低労力、短期間で売却できるような人気物件の場合です。
確実に売りやすいといえる物件なら、「早く広告したもの勝ち」になりやすいので、一般媒介契約の方が各社の競争が起き、好条件で売却できる可能性が高まります。

媒介契約選びの参考フローチャート

また、専任の媒介契約では、契約する不動産会社の力量や、そもそも悪質な不動産会社でないかの見極めが重要になります。
そうした不動産会社選びの生じるリスクを負いたくない方は、『一般媒介契約』で売り出し、様子を見てみるのも一つの手といえます。

確かな実績のある信頼できる不動産会社を探したい方は、不動産売却 HOME4Uをご活用ください。
最大6社にまとめて査定依頼ができる一括査定サービスで、全国から厳選した優良企業のみと提携しているため、信頼できる不動産会社を各段に見つけやすくなります。

STEP6:マンションの売り出し開始

▶期間の目安:1~3カ月

▶このステップのポイント

  • 内覧準備と対応
  • 買付証明書の受領と条件交渉

不動産会社と媒介契約を結んだら、いよいよ売却活動のスタートです。媒介契約時に決めた売り出し価格で、購入希望者の募集を始めます。

基本的に、購入希望者の募集や問い合わせの対応は不動産会社が行います。
売主は内覧に向けて準備を行い、できる範囲で内覧に参加するようにしましょう。

6-1.内覧準備と対応

内覧でより良い印象を与えられるように、準備は欠かさずに行いましょう。
掃除はもちろんですが、内覧に参加する場合は、住んでいたからこそ分かるアピールポイントもまとめておくと良いでしょう。

【内覧に向けた準備】

  • 掃除をしておく(特に玄関や水回りは入念に)
  • 物件のアピールポイントをまとめておく
  • 物件の弱点について質問を受けた場合の回答を用意しておく
  • 内覧に向けて、居室内の故障箇所や目立つ傷を確認しておく

6-2.買付証明書の受納と条件交渉

内覧が滞りなく進み、購入希望者が購入意思を固めると、買付証明書が提出されます。
買付証明書には、購入希望価格などが記載されているため、価格交渉のきっかけになる場合があります。

無闇に値引きをしないよう、事前に値引可能額を考えておきましょう。
内覧が頻繁に行われており、売却期間にも余裕がある場合は、すぐに値引きを行う必要はないでしょう。

STEP7:売買契約の締結

▶期間の目安:1~2週間

▶このステップのポイント

  • 仲介不動産会社による重要事項説明
  • 手付金の受領
  • 仲介手数料の支払い

売買契約を行う場所は、多くの場合で売主側の仲介不動産会社の事務所です。
売買契約書は、事前に確認することも可能なので、契約日までに目を通しておきましょう。

売買契約当日の流れは次のとおりです。

  1. 仲介不動産会社による重要事項説明
  2. 売買契約書への捺印
  3. 買主から手付金を受領
  4. 売主が不動産会社へ仲介手数料を支払う

7-1.仲介不動産会社による重要事項説明

重要事項説明とは、不動産会社が買主に対して行う、契約に関する重要な事柄の説明です。
不動産の権利や状態、契約解除に関することなど様々な説明を行うため1時間程度かかります。

買主にとっては、このまま購入するかどうかの判断をする最後の材料となります。

7-2.手付金の受領

重要事項を終え、売買契約書をよみあわせたら、捺印し売買契約締結です。
この際、買主から手付金が支払われるのが慣例となっています。

手付金の額に決まりは有りませんが、売却代金のおよそ5~10%が相場となります。

また不動産の売却では、手付金により契約解除できるのが一般的です。
買主は売主に渡した手付金を放棄することで、売主は受け取った手付金の倍額を買主に渡すことで、違約金等なしで契約解除ができます。

7-3.仲介手数料の支払い

不動産会社への仲介手数料の金額は、宅地建物取引業法で上限額が決められており、おおむね売却金額の3%(+消費税)になります。
例えば、3,000万円の不動産を売却する場合は、消費税を含めて105万6千円が上限額となります。

仲介手数料は大きな金額ですので、2回にわけて半金ずつ支払うのが一般的です。

1回目の支払いは、売買契約締結時。
2回目の支払いは、引き渡し完了時です。

お家のいろは コラム
契約とかよくわからないけど大丈夫?
売買契約が近づくと、小難しい話もどんどん増えていきます。
売買契約や、それらにまつわる疑問など、気になることは不動産会社に質問しましょう。

不動産会社選びでは、こうした売主の質問、また不安や希望にしっかりと向き合ってくれるかを見極めることも重要です。
できるだけ複数社に査定を依頼して、担当者の人柄や会社のスタンスを比較してみましょう。

STEP8:マンションの引き渡し

▶期間の目安:売買契約から1カ月ほど

▶このステップのポイント

  • 買主の住宅ローン実行と決済
  • 売主の住宅ローン完成と抵当権抹消
  • 司法書士による所有権移転登記
  • 鍵や書類の引き渡し
  • 仲介手数料・司法書士報酬の支払い

不動産の引き渡しは、単純にマンションの鍵を渡すだけでは終わりません。
引き渡し当日は、上記の箇条書きの様に、上から順に進めていきます。

引き渡しのイメージを明確にしていくために、それぞれの工程について解説していきます。

8-1.買主の住宅ローン実行と決済

多くの場合で、買主は住宅ローンを使ってマンションを購入するでしょう。
この際、引き渡しの場所は買主が住宅ローンを組む金融機関で行うのが一般的です。

引き渡し当日に買主の住宅ローン融資が実行され、残代金の決済を行います。

また、固定資産税などの税金は1月1日時点の所有者である売主が支払うため、引き渡し以降の日割り計算をした税額を買主から受領します。
(なお、売買契約の内容によります。)

8-2.売主の住宅ローン完成と抵当権抹消

住宅ローンを返済しながらマンションを売却する方も少なくないでしょう。
住宅ローンをまだ完済していない売主は、買主から売却代金を受領した後すぐに、自信の住宅ローンを完済します。

住宅ローン完済後は、マンションに設置されている抵当権を抹消する必要があります。
抵当権抹消は本来自分で行うことができますが、引き渡し前に抹消する必要があるため司法書士に依頼し、迅速に手続きするのが一般的です。

8-3.司法書士による所有権移転登記

買主から売却代金等を受領し、売主の抵当権抹消まで済ませたら、マンションの所有権を買主へと移転します。
所有権移転登記は司法書士が行いますが、この費用は買主が負担するのが一般的です。

登記手続きは引き渡し日に行われますが、登記が反映されるまでには1~2週間ほどの時間がかかります。
登記手続きだけ済ませたら、いよいよ実物の引き渡しです。

8-4.鍵や書類の引き渡し

マンションや設備に関する鍵、また鍵受領書や物件引渡確認書、管理規約などの書類を買主に引き渡します。

当然ですが、引き渡しまでには引っ越しは完全に済ませておきましょう。

8-5.仲介手数料・司法書士報酬の支払い

不動産会社への仲介手数料に関しては、売買契約時に半金を払っている場合は、残りの半金を支払います。
(仲介手数料は、『売却代金 × 3% + 6万円(+消費税)』が上限額となります。)

住宅ローン完済後の抵当権抹消を依頼した場合は、司法書士へ報酬を支払います。
司法書士報酬の額は、抵当権抹消登記にかかる登録免許税を併せて、1万5千円~2万円ほどです。

STEP9:確定申告と納税

▶期間の目安:2週間

▶このステップのポイント

  • 必要書類の準備
  • 売却に伴うお金と資金計画
  • 売却相場の確認

マンションを売却して利益(譲渡所得)が生じた場合は、確定申告が必須です。
一方で、売却損(譲渡損失)が生じた場合は、確定申告は任意になります。

以下で説明する、税金を抑える特例を適用するためには確定申告による申請が必要です。
そのため、売却損が生じた場合でも、確定申告をすることをおすすめします。

9-1.税金の計算と特例の適用

譲渡所得に対して課税される税金は、所得税と住民税です。これら2つの税金をまとめて譲渡所得税と呼ぶことがあります。
譲渡所得とは、売却代金から取得費、譲渡費用を差し引いた、利益部分を指します。

譲渡所得税は場合によって高額になりますが、以下のような特例を適用することで、負担を大幅に抑えることができます。

マンション売却で使える主な特例
特例 対適用要件の概要
3,000万円特別控除の特例 マイホームの売却
軽減税率の特例 マイホームの売却で、かつ所有期間が10年超
特定の居住用財産の買換えの特例 マイホームの買い替え
居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例 マイホームの売却で、かつ譲渡損失が発生

マンション売却にかかる税金と特例について詳しく知りたい方は『マンション売却でかかる税金・特例を徹底解説』をご覧ください。

9-2.確定申告と所得税の納税

不動産の売却によって生じた所得は、分離課税であるため、年末調整を行っている給与所得者でも確定申告が必要です。
(所得が生じていない場合は確定申告の義務はありません。詳しくは『マンション売却しても税金がかからないケースとは?』をご覧ください。)

確定申告は、売却の翌年2月16日~3月15日の確定申告期間に税務署にて申告するか、事前に『e-Tax(国税電子申告・納税システム)』で申告しましょう。

譲渡所得にかかる譲渡所得税(所得税と住民税)のうち、所得税は確定申告期間中に納付しなければいけません。

下の記事では、売却益から税額の計算について詳しく解説しています。

10.マンションに関する売却する注意点

ここまでマンションを売却する流れに沿って、必要な基礎知識を解説してきました。

この章ではさらに、売却での失敗を防ぐために知っておきたい注意点を解説します。

10-1.余裕をもって売り急ぎを防ぐ

マンションを安売りしてしまう大きな原因の一つとして、売り急ぎがあります。
売り急いでしまうと、無闇に値下げをしてしまったり、購入希望者の値下げ交渉に弱気になってしまったりします。

そのため、できるだけ余裕を持って売却に取り組むことが重要です。

売り急ぎをしないためには、売却にかかる期間や工程をしっかりと理解して、ゆとりあるスケジュールを考えておく必要があります。

マンション売却にかかる期間は、3~6カ月が目安になります。
もちろん物件によりますが、3カ月ではゆとりがないので、6カ月ほどを見込んでおく方が安心かと思います。

10-2.複数社を比較して信頼できる不動産会社を選ぶ

マンションを売却する際、とりあえず「CMでよく見る大手不動産会社」「近くの不動産会社」に行く方は少なくありません。
大手だから必ず売れるわけではありませんし、近くの不動産会社が実績豊富であるとは限りません。

できるだけいい条件で売却するには、そのマンションを売る力があり、勢力的に売却活動をしてくれる不動産会社である必要があります。
また、悩みや疑問について真摯に向き合ってくれる担当者の方が、円滑に売却を進められます。

こうした良い不動産会社・担当者を見極めるためには複数社の比較が必要です。
不動産会社を比較する場合、それぞれマンションの査定を受ける必要があるため、面倒に感じてしまう方もいますが、妥協せず比較していきましょう。

10-3.売買契約書をよく確認する

売買契約書は、売買契約日の前にも確認することができます。
事前によく読み、不都合な点がないか確認しましょう。

特に『特約』についての確認は重要です。
例えば、契約不適合責任に関する特約や住宅ローンに関する特約などです。

分からない点があれば、仲介不動産会社に相談しましょう。

11.マンション売却の流れに関するよくある質問

マンション売却の流れについて調べている方々は、どのような疑問を持っているのでしょうか?

以下では、マンション売却の流れに関する、3つのよくある質問を紹介します。

  • Q1:マンション売却にかかる期間はどのくらい?
  • Q2:いい不動産会社の見極め方は?
  • Q3:お金を払う、貰うタイミングは?

Q1:マンション売却にかかる期間はどのくらい?

本記事では、マンション売却にかかる期間を3~6カ月と説明しました。
これは事前準備や引き渡しを併せた期間です。

売却期間の長短は、売り出しから買主決定までの工程のスムーズさで大きく左右されます。
マンションの売り出しから買主決定までは、およそ3カ月が目安です。

買主が見つかるまでの期間は、以下の様な要因で長くも短くもなります。

  • 物件の人気度
  • 相場に対する価格設定
  • 競合物件の存在
  • 売り出しの時期
  • 不動産会社選び
  • 媒介契約選び

Q2:いい不動産会社の見極め方は?

「高く売りたい」「早く売りたい」といった売主の希望に最大限応えようと尽力してくれる不動産会社は、良い不動産会社です。
また、そうした希望を実現する力が必要なため、マンション売却の実績が豊富であることも重要です。

上述のような『信頼できる良い不動産会社』を見極めるためのポイントは以下の3つです。

  • マンション売却の実績が豊富
  • 査定額に適正で充分な根拠がある
  • 質問や相談に真摯に対応してくれる

不動産会社には得意不得意があります。
同じ不動産売却の仲介でも、一戸建ての売却実績が多いのと、マンションの売却実績が多いのでは、後者の方がマンション売却を得意としている可能性が高いでしょう。

不動産会社がもつ実力、ひいては売却への自信によっては査定額は高くも低くもなります。
ただし、査定額は高ければいいわけではなく、売却相場に対して逸脱せず、また根拠ある価格であることが重要です。

担当者単位のポイントを言えば、その担当者の態度と知識量はよく見ておくべきでしょう。
売主の質問や相談に対して真摯に向き合ってくれる態度と、回答をするのに十分な知識があるかを確認してみましょう。

お家のいろは コラム
どんな不動産会社に査定依頼すればいい?
不動産会社は、いまやコンビニよりも多くの数があります。

複数社を比較するにしても、まず査定を依頼する不動産会社にあたりを付ける必要がありますが、どのようにピックアップしたらよいでしょうか。

最もおすすめしたい方法は、不動産一括査定サービスの活用です。
不動産一括査定サービスは、1度の入力で複数の不動産会社にまとめて査定依頼ができるサービスです。

おすすめをしたい理由は、査定依頼が簡単になる点ではなく、優良な不動産会社に査定を依頼しやすくなる点です。

不動産一括査定サービスには様々な類似サービスがありますが、いずれも、サービス側が提携する不動産会社にしか査定を依頼できません。
この仕組みから、提携不動産会社の中に悪質な会社が存在すると、サービスの質が落ち、利用されなくなってしまいます。

そのため、多くの不動産一括査定サービスで、「提携不動産会社の厳選」「悪質な不動産会社の排除」といった取り組みが行われています。
不動産一括査定サービスを通して査定依頼することで、悪質な不動産会社に遭遇しにくくなり、優良な不動産会社を探しやすくなります。

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全国から厳選された2,300を超える不動産会社と提携しており、信頼できる不動産会社と出会いやすくなります。

マンション売却査定


Q3:お金を払う、貰うタイミングは?

買主からもらうお金は、売買契約時の手付金と、引き渡し時に決済される売却代金(+固定資産税清算金)です。

一方で売主が支払うお金は、売買契約締結後と引渡し時完了後に支払う仲介手数料(半金ずつ支払うのが一般的)と、翌年支払う税金が主です。
そのため、大きなお金に関しては基本的に、買主の支払いがあってから、売主も支払いを行う流れとなります。

ただし、売買契約書に貼付する印紙代と、売却のために以下のようなサービスを利用した場合は、随時支払いが必要です。

まとめ

マンション売却には、3~6カ月ほどの期間を要します。
売却の流れとしては、以下のように進んでいきます。

STEP2:売却に向けた事前準備の開始

STEP3.不動産会社に査定依頼

STEP4.付帯設備表等の作成

STEP5.媒介契約の締結

STEP6.マンションの売り出し開始

STEP7.売買契約の締結

STEP8.マンションの引き渡し

STEP9.確定申告と納税

よく分からなかった箇所があったら、クリックして読み返してみましょう。
また、各章にある詳しい記事もぜひご覧ください。

売り急ぎをしないように、スケジュールについてしっかり考え、ゆとりのあるマンション売却できるようにしましょう。

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