注文住宅で建てる家の坪数は何坪から広い?土地の広さ・面積の目安とは

家の坪数は何坪から広い? 土地の広さ・面積の目安

注文住宅で家を建てようと考えたとき、「どのくらいの土地の広さが必要なのか」が最初からわかる人は、多くありません。土地の面積が同じでも、所在地によって建ぺい率や容積率が異なるため、建てられる家の大きさは異なります。

これから注文住宅を検討するなら、必要な土地の広さの目安がわかるように、各種の基礎的な情報を学んでおくとよいでしょう。

この記事でわかること
  • 建ぺい率・容積率・建築制限とは何か
  • 家族人数をもとにした快適な間取りとは
  • 広い家を建てるためのコツ
  • 土地と家にかかる固定資産税とは

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1.土地一坪の広さは?

土地一坪の広さは? イメージ

家を建てようと思って住宅情報誌などを見ると、多くの場合、土地の広さは「坪」で表されています。部屋の広さは「平方メートル」「平米」や「畳」で示されることが多いです。では、土地1坪はどの程度の広さなのでしょうか。

「畳」は字のとおり、畳1枚分の広さを表します。畳には江戸間や京間、団地サイズなどがあり、地域や使われる物件によって大きさが異なります。不動産業界では、「1畳=16.2平方メートル」で換算するのが一般的です。

「平米」は「平方メートル」と同じ意味です。「平」が平方の、「米」がメートルの略語になっています。

土地の広さの単位としてよく使われる「坪」は、メートル法で表せば「約3.31平方メートル」です。畳で表すと、2畳(畳2枚分)を1坪に換算します。

住宅の設計に使われる基準単位には、「尺モジュール」と「メーターモジュール」の2種類があります。メーターモジュールは、一般になじみのあるメートル法が基準です。尺モジュールは、江戸時代から使われていた長さや重さの基準である尺貫法をベースにしたもので、「坪」は尺モジュールでの面積の単位です。

尺モジュールで「1間(けん)×1間」の大きさが「1坪」とされます。1間は約1.8182メートルの長さであるため、1坪は約3.31平方メートルとなるわけです。

現在も、建材の多くは尺モジュールで製造されています。メーターモジュールで住宅を設計するハウスメーカーや工務店が限られているのは、そのためです。

2.建築制限、建ぺい率・容積率って?

建築制限、建ぺい率・容積率って? イメージ

30坪(約100平方メートル)の土地を持っているとして、その土地をギリギリいっぱいまで使った住宅を建てることはできません。土地には建ぺい率や容積率が定められており、土地ごとにその数値は異なります。また、場所によって建築制限がかかることもあります。

各種の建築制限、建ぺい率、容積率についての説明は、以下のとおりです。

2−1.建築制限とは?

土地に対して建てられる住宅の広さを決める要素には、建ぺい率、容積率のほかに、建築制限もあります。建築制限は、主に高さの制限です。建築制限の具体例は、以下のとおりです。

2−1−1.低層住居専用の高さ制限

用途地域によっては、建物の高さが制限されている地域があります。第一種または第二種の低層住居専用地域においては、建物の高さの上限が10メートルまたは12メートルに定められています。建物の高さが明確に制限されているのは、「低層住居」の専用地域であるためです。

2階建ての住宅であれば、高さが10メートルに達することは通常ではないため、あまり気にしなくてもよいでしょう。

2−1−2.道路斜線制限

道路斜線制限は、道路や周辺の建物に通風や採光が確保されるように、道路に面した建物の高さを制限するものです。周囲に圧迫感を与えないようにする目的もあります。

住居系の地域とそれ以外の地域で建築制限の内容は異なり、住居系地域の方が、厳しい制限が適用されます。

2−1−3.北側斜線制限

北側斜線制限は、北側に建設された建物の採光条件を確保することを目的とした建築制限です。

2−1−4.日影規制

日影規制は、建物の周囲が一定時間以上、日影にならないように、課せられる規制です。例えば、第一種中高層住居専用地域の場合では、高さ10メートル以上の建物に対して建築物の高さが制限されます。1年で最も影が長くなる冬至の日の、午前8時から午後4時までの8時間に生じる日影を確認したうえで、決められます。

低層住居専用地域の場合、軒の高さが7メートルを超える建物か、地階を除いた階数が3階建ての建物が規制の対象です。3階建て住宅など、高い建物を建てる際には注意が必要です。

日影規制は地方公共団体の条例によって指定されます。対象となる地域は各自治体に確認する必要があるため、注文住宅を建てる場合は、事前にハウスメーカーなどに問い合わせましょう。

斜線制限とは?絶対高さ制限・日影規制など新築住宅で押さえておきたいルール

2−2.建ぺい率とは?

建ぺい率とは、上から見た場合の、土地に対する建物の面積の比率をいいます。建ぺい率は地域により、30%から80%までの間で上限が設定されています。建ぺい率30%の土地に、80%に相当する住宅を建てることはできません。

建ぺい率の上限は、用途地域ごとに定められています。用途地域とは、土地利用の方向性を示す区分です。都市計画法において、市街化区域内の土地は、原則として「低層住居専用地域」「商業地域」など13種類の用途地域に区分されます。

参照元:e-Gov法令検索「都市計画法

2−3.容積率とは?

50坪の土地があり、建ぺい率50%の地域だとすると、50坪×50%で、25坪分の広さの敷地に住宅を建てられます。たとえば2階建ての住宅を建てるとした場合、最大の延床面積(各階の床面積を合算した面積)はどの程度になるでしょうか。それを決めるのが、容積率です。

容積率は、土地に対する延床面積の割合を示します。容積率が100%であれば、50坪の土地に対して延床面積も50坪の住宅が建築できます。容積率は100%を超えることが多く、最大は1300%です。

建ぺい率と容積率は建築基準法で定められており、規定内に収まっているかどうかは、建築確認申請の際にチェックされます。建ぺい率や容積率が規定値を超えている場合、違法建築とみなされ、建築確認申請が認められません。

参照元:e-Gov法令検索「建築基準法

ここでは、建築制限・建ぺい率・容積率について解説しました。規制が多く難しい…と感じる方も多いかもしれません。

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3.50坪の土地にはどのような家を建てられる?

50坪の土地にはどのような家を建てられる? イメージ

50坪の土地があった場合、どのような家を建てられるでしょうか。

住宅金融支援機構の「2022年度フラット35利用者調査」によると、同機構の住宅ローン「フラット35」を利用して建てられた、全国の注文住宅の住宅面積(延床面積)は、平均で122.8平方メートルでした。坪数に換算すると、約37.1坪です。

建ぺい率や容積率などにもよりますが、50坪の土地があれば、通例は全国平均よりも広めの住宅が建てられることがわかります。

国土交通省の「住生活基本計画(全国計画)」によれば、「豊かな住生活の実現の前提として多様なライフスタイルに対応するために必要と考えられる住宅の面積に関する水準」である誘導居住面積水準は、都市部以外の一般的な戸建て住宅では、以下のように示されています。

  • 単身者 55平方メートル
  • 2人以上の世帯 25平方メートル×世帯人数+25平方メートル(10歳未満の子どもが含まれない場合)

50坪は約165平方メートルに相当します。上記の式で計算すると、大人4人の家族の誘導居住面積水準は125平方メートル、大人5人の場合は150平方メートルです。こちらも建ぺい率や容積率により変動はありますが、50坪あれば、大人5人の家族でも豊かな住生活を送れる水準といえそうです。

現実的な建ぺい率と容積率を当てはめて、50坪の土地にどのような家が建てられるかを、以下にご紹介します。パターンは建ぺい率50%、容積率100%の「一般的な住宅地」と、建ぺい率40%、容積率80%の「高級住宅街」の事例です。

参照元:住宅金融支援機構「PDF 2022年度フラット35利用者調査
参照元:国土交通省「PDF 住生活基本計画(全国計画)

3−1.建ぺい率50%、容積率100%(一般的な住宅地)

一般的な住宅地では、建ぺい率は50%、容積率が100%となります。建ぺい率50%を50坪の土地に当てはめると、建物が建てられるのは25坪分の土地です。容積率は100%であるため、延床面積は50坪まで可能です。

2階建て住宅を想定した場合の間取り例としては、1階に23畳前後のLDKと4畳程度の和室、トイレや浴室、玄関などを配し、2階に4.5畳から10畳程度の洋室を数室と、ウォークインクローゼットなどを設けた4LDK~5LDKなどがあります。

建ぺい率から、庭も最大25坪の広さが取れるため、50坪の土地があれば、趣味やこだわりを生かした注文住宅の設計ができるでしょう。

3−2.建ぺい率40%、容積率80%(高級住宅街)

高級住宅地では、隣家との距離感が保てるよう、建ぺい率や容積率が低めに設定されています。建ぺい率を40%、容積率を80%とした場合、50坪の土地に建てられる住宅は20坪分となり、一般的な住宅地より狭くなります。

容積率は80%であるため延床面積は40坪で、一般的な住宅地と比べると10坪手狭になる計算です。住宅の面積が小さくなる分、庭は30坪分、広々と使えます。庭に咲く四季折々の花を愛でたり、ガーデニングに楽しんだりするには好適でしょう。

一般的な住宅地、高級住宅街ともにいえることですが、庭に物置小屋を建てたりガレージを設けたりする場合は、建物面積に含まれることがあるため注意が必要です。

【50坪の土地に建てる注文住宅】おすすめの間取りは?平屋や3階建てのケースも紹介

4.家族人数をもとにした快適な間取りとは?

間取りを検討する際には、家族の人数をもとに考えるのが基本です。前述のとおり、国土交通省の住生活基本計画が示す「誘導居住面積水準」は、2人以上の世帯で「25平方メートル×世帯人数+25平方メートル(10歳未満の子どもが含まれない場合)」とされています。

この計算式を使って、「夫婦2人または家族3人」と「家族4人」にとっての快適な間取りについて、以下に事例をご紹介します。

4−1.夫婦2人または家族3人

夫婦2人または家族3人 イメージ

夫婦2人の場合、誘導居住面積水準は25平方メートル×2+25平方メートル=75平方メートルとなります。
家族3人の場合は、夫婦と子ども1人と仮定すると、誘導居住面積水準は子どもの年齢ごとに以下のとおりです。

  • 子どもが3歳未満 81.25平方メートル
  • 子どもが3~5歳 87.5平方メートル
  • 子どもが6~9歳 93.75平方メートル

夫婦2人または家族3人で住むのに望ましい注文住宅の延床面積は、75~93.75平方メートルと算出されました。

夫婦2人の場合に考えられる間取りとしては、夫婦の寝室とLDKだけのシンプルなものや、夫婦それぞれの部屋を設けた3LDKなどが考えられます。居室の広さは、LDKは15畳程度、夫婦の寝室が8畳、それぞれの部屋は各6畳前後が一般的です。

夫婦と子ども1人の3人家族では、子どもの年齢にもよりますが、上記の3LDKで夫婦それぞれの部屋を子ども部屋と応接間に振り分ける、あるいは子ども部屋の分を増やした4LDKとする間取りも検討できます。

▶【夫婦2人または家族3人の間取り】など、自分の理想を叶える方法をチェック

4−2.家族4人

家族4人 イメージ

家族4人の場合、夫婦と子ども2人とすると、誘導居住面積水準は以下のとおりです。

  • 3歳未満の子どもが2人 87.5平方メートル
  • 6~9歳の子どもが2人 112.5平方メートル

「3歳未満の子どもと3~5歳の子どもが1人ずつ」などの場合は、上記の広さ87.5平方メートルから112.5平方メートルの間の数値となります。2階建て住宅を考えた場合、間取り例としては、1階に15~20畳程度のLDKと6畳の和室、2階に夫婦の寝室8畳と6畳の子ども部屋を2室、その他に玄関や浴室、トイレなどとするのが標準的です。

50坪あれば、上記の間取り案での設計が、無理なく可能です。これらの間取りは子どもの年齢や、家族のライフスタイルなどによって変動があります。どんな暮らしをしたいのか、応接間は必要かなど、さまざまな切り口で検討を深めてください。

▶【家族4人の間取り】など、自分の理想を叶える方法をチェック

5.広い家を建てるためのコツ

広い家を建てるためのコツ イメージ

広い家を建てたいが、保有する土地の面積が狭いということも、往々にあります。また何坪から「広い」と感じるかといった点は、個人差があります。3章にてご紹介した通り、50坪ある場合、大人5人家族でも豊かな住生活を送れる水準といえそうということを、この後のお話の前に確認しておきましょう。
限られた土地面積で、建ぺい率や容積率の制限がある中で広い家を建てるには、裏技のようなものを含め、いくつかの方法やコツがあります。代表的なものの1つが、地下室です。

地下室は、住宅全体の延床面積の3分の1以下の割合なら、延床面積に含まれません。面積が100平方メートルで容積率100%の土地に当てはめると、1階と2階がともに50平方メートルの住宅に、さらに50平方メートルの地下室を設けられることになります。地下室の50平方メートルは、延床面積の3分の1以下であるためです。

同様に、ロフトや屋根裏部屋・屋根裏収納も、それらを設けた階の床面積の2分の1以下なら、延床面積に含まれません。ロフトを作って、部分的に天井の高さを変えると、部屋が広く見える効果もあります。

ベランダやバルコニーは、建物からの張り出した部分が1メートル以下なら、延床面積に含まれません。ベランダやバルコニーの配置を工夫することで、視覚的な広さを確保できます。天井の高さやベランダなどの配置は、設計士と相談するとよいでしょう。

見た目に広さが感じられる手法としては、1階のリビングとウッドデッキでつなぐ方法があります。視線の広がりが生まれ、庭までリビングの延長のように見えます。色味も、視覚的な効果には重要な要素です。明るめの色は膨張色と呼ばれ、壁や天井、床などを明るめの色調にすることで、暗めの色にするよりも大きく広がって見えます。

間取りの使い方も、広さの演出には有効です。たとえばLDKで、リビングとダイニングを一体にしてしまえば、テーブルなどの家具が1セットでまかなえるため、部屋は広くなります。固定観念から解放されると、限られたスペースを大きく使えるようになるかもしれませんね。

ここでは、広い家を建てるためのコツをご紹介しました。事前に情報を集めたうえで、計画的にマイホームづくりにとりかかることで、後悔のない理想の家づくりに繋げられるでしょう。
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6.固定資産税とは?

固定資産税とは? イメージ

土地を購入し、その土地に住宅を建てると固定資産税がかかります。土地や住宅という資産(固定資産)を所有するとかかってくるものであり、その所有者が、資産の所在する市区町村などに納める地方税です。土地でも住宅でも、広くなるほど税額は高くなります。

固定資産税は、その資産価値に応じて算定された税額を納める仕組みです。税額の計算方式は、以下のとおりです。

課税標準額(固定資産の評価額)×1.4% =税額

1.4%が標準税率となっていますが、市町村などによっては、異なる税率を条例で定めている場合があります。実際の税率は、お住いの自治体などでご確認ください。固定資産の評価額は、総務相が定めた基準に基づいて、各自治体が定めます。

土地や住宅の価格は年ごとに変動するため、評価額も3年に1度ずつ見直される決まりです。

以下で、土地と住宅について、それぞれの固定資産税を解説しています。

6−1.土地の固定資産税について

土地の固定資産税評価額は、宅地や畑などの地目ごとに、売買された価格を基礎として決める方式です。宅地の場合は、地価公示価格の7割をめどに評価されます。

住宅やマンションなど、人が住める建物の敷地を「住宅用地」と呼び、住宅用地には税負担を軽減する特例があります。具体的な特例措置は、以下のとおりです。

  • 200平方メートル以下の住宅用地 課税標準額を価格の6分の1に軽減
  • 200平方メートルを超える住宅用地 超えた部分の課税標準額を価格の3分の1に軽減

200平方メートルは、約60.5坪です。6分の1の軽減特例は、かなり広めの土地まで適用されることがわかります。

参照元:総務省「固定資産税

6−2.家の固定資産税について

住宅の固定資産税評価額は、「再建築価格方式」で算定されます。再建築価格方式とは、対象の住宅と同じものを、同じ場所に再び建築した場合に必要となる費用をベースに、経年劣化分などを減算して調整する計算方法です。

住宅の場合も軽減の特例があります。「新築住宅特例」と呼ばれる制度で、一般住宅と長期優良住宅で内容が異なります。長期優良住宅とは、長期に使用するための設備や構造を備えた住宅のことです。

原則として、一般の住宅は3年度、長期優良住宅は5年度にわたり、固定資産税が2分の1に減額されます。建物が3階建て以上で耐火構造の場合は、一般の住宅で5年度、長期優良住宅は7年度に、減額される期間が伸びます。いずれも、居住部分にかかる床面積は120平方メートルが限度です。

この制度は、2024年3月末までに新築された住宅を対象としたものでしたが、2年間延長されることが決まっています。

参照元:国土交通省「PDF 令和6年度国土交通省税制改正概要

まとめ

注文住宅で家を建てる際に、土地の広さはどの程度必要なのかをご紹介してきました。50坪の土地があれば、全国平均よりも広めの住宅が建てられることが、おわかりいただけたでしょう。
家族構成や年齢、ライフスタイルによって必要な広さは異なります。土地によって、建ぺい率や容積率が異なる点にも注意が必要です。注文住宅の建築を検討されているなら、一度、専門家に相談されてはいかがでしょうか。HOME4U(ホームフォーユー)プラン作成依頼サービス(無料)などを活用し、豊富な事例を知っている専門家の知恵を借りるのが、効率的な家づくりにはおすすめです。
ぜひ本記事をご参考にしていただき、理想のマイホームプランを叶えてくださいね。

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