斜線制限とは前面道路や隣接地など、周りの土地に対して日照・採光・通風を確保することを目的に「建物の高さ」を制限している規制のことです。
種類 | 概要 |
---|---|
道路斜線 制限 |
前面道路の通風・採光・日照に支障をきたさないことや、周辺への圧迫感がないようにすることを目的とした制限 |
北側斜線 制限 |
北側に建設された建物の採光条件を確保することを目的とした制限 |
隣地斜線 制限 |
隣の敷地の建物に対する通風・採光・日照に関して良好な環境を維持することを目的とした制限 |
本記事は注文住宅を建てる際に知っておくべき「斜線制限」について、詳しく解説します。
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Contents
1.道路斜線制限とは
道路斜線制限は「前面道路の通風・採光・日照に支障をきたさないこと」、「周辺への圧迫感がないようにすること」を目的に、建物の高さを制限しています。
「敷地に接する道路の反対側にある境界線」と「前面道路の中心線」で決まる道路斜線を超えない範囲で、建物を建てなければなりません。
- 敷地に接する前面道路の反対側にある境界線をスタート地点として、敷地の方向に規定の勾配の線を引く
- 既定の勾配は、前面道路の中心線上に「1.25:1」の直角三角形で作る角度に設定される(住居地域の場合)
勾配は用途地域によって異なり、住居系地域は「1.25:1」、商業系・工業系地域は「1.5:1」となります。
道路斜線制限の条件
敷地に接する前面道路の反対側にある境界線から、敷地に向かって20~35mの部分を「適用距離」といい、適正距離を超える部分では道路斜線制限は適用されません。
道路斜線制限の詳細な条件は、以下のとおりです。
用途地域 | 戸建ての建築 | 容積率 | 適正距離 | 傾斜勾配 |
---|---|---|---|---|
|
◯ | 200%以下 | 20m | 1.25 |
200%超〜300% | 25m | |||
300%超〜400% | 30m | |||
400%超 | 35m | |||
|
◯ | 400%以下 | 20m | 1.5 |
400%超〜600% | 25m | |||
600%超〜800% | 30m | |||
800%超〜1,000% | 35m | |||
1,000%超〜1,100% | 40m | |||
1,100%超〜1,200% | 45m | |||
1,200%超 | 50m | |||
|
△ (工業専用地域のみ不可) |
200%以下 | 20m | 1.5 |
200%超〜300% | 25m | |||
300%超〜400% | 30m | |||
400%超 | 35m |
斜線制限は理想の階層や外観デザイン、間取りがある方にとっては、実現できるかどうかの重要なポイントです。
理想のマイホームを建てるには、こういった制限に対応しながら自分たちの要望に真摯に向き合ってくれるハウスメーカー探しが求められます。
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2.北側斜線制限とは
北側斜線制限は「北側に建築された建物の採光・日照に支障を確保すること」を目的に、建物の高さを制限しています。
北側の敷地境界線によって決まる北側斜線を超えない範囲で、建物を建てなければなりません。
- 北側にある敷地境界線を基準として、垂直に5mまたは10m上がった先の高さで、規定の勾配の線を引く
- 既定の勾配は「1.25:1」の直角三角形で作る角度に設定される
建てようと考えていた住宅プランが北側斜線の外側にはみ出してしまっていた場合には、屋根に傾斜をつけたり、敷地境界線から離れた場所に住宅を建てたりして、プランを練り直す必要があります。
北側斜線制限の条件
北側斜線制限は用途地域によって条件が異なります。
適用されるのは5つの用途地域のみで、下記に記載以外の用途地域では北側斜線制限は適用されません。
用途地域 | 戸建て の建築 |
基準の 高さ |
傾斜 勾配 |
---|---|---|---|
|
◯ | 5m | 1.25 |
|
10m |
3.隣地斜線制限とは
隣地斜線制限は「通風・採光・日照など隣地の環境を維持することを」を目的に、建物の高さを制限しています。
隣地との間の隣地境界線によって決まる隣地斜線を超えない範囲で、建物を建てなければなりません。
- 隣地境界線を基準として垂直に20mまたは31m上がった先の高さで、規定の勾配の線を引く
- 既定の勾配は「1.25:1」の直角三角形で作る角度に設定される(住居系用途地域の場合)
隣地斜線制限は、20mまたは31mを超えるような建物についての高さ制限です。
20mの建物というと、6~7階建てのマンションの高さに相当します。
主にオフィスビルやマンションの建設の際などに関係がある斜線制限の種類で、一般的な住宅を建てる際には適用されにくいと考えられます。
隣地斜線制限の条件
隣地斜線制限は用途地域によって基準の高さや傾斜勾配が異なります。
また、「第1種低層住居専用地域」「第2種低層住居専用地域」「田園住居地域内」では適用されません。
隣地斜線制限の詳細な条件は、以下のとおりです。
用途地域 | 戸建て の建築 |
基準の 高さ |
傾斜 勾配 |
---|---|---|---|
|
◯ | 20m | 1.25 |
|
31m | 2.5 | |
|
× |
4.用途地域ごとの斜線制限 一覧
斜線制限の適用地域は用途地域ごとに定められていますので、以下の表で確認しましょう。
なお、住居地域以外の地域でも家を建てることは可能ですが、「工業専用地域」だけは家を建てることができません。
用途地域 | 戸建ての建築 | 道路斜線制限 | 北側斜線制限 | 隣地斜線制限 |
---|---|---|---|---|
|
◯ | ◯ | ◯ | ― (絶対高さ制限が有) |
|
◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
|
◯ | ◯ | ― | ◯ |
|
◯ | ◯ | ― | ◯ |
|
◯ | ◯ | ― | ◯ |
|
― | ◯ | ― | ◯ |
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5.斜線制限以外の「建物の高さ」に関する規制
「建物の高さ」に関する規制は斜線制限だけでなく、「絶対高さ制限」や「日影規制」があります。
5-1.絶対高さ制限
絶対高さ制限は「第1種低層住居専用地域」「第2種低層住居専用地域」「田園住居地域内」において家を建てる際、建物の高さを10mまたは12m以下に制限している規制です。
低層住居専用地域や田園住居地域では隣地斜線制限が適用されませんが、適用されないのは「絶対高さ制限」によってさらに厳しく制限されているためです。
参考:建築基準法|第55条
5-2.日影規制
日影規制は建築物周囲の日照を確保するための規制です。
一年で最も影が長くなる12月22日付近の冬至の日、午前8時から午後4時までの間に対象となる場所の影を確認し、一定時間以上連続して影にならないよう建築物の高さを規制します。
用途地域によって規制対象が異なり、例えば低層住居専用地域の場合は「軒の高さが7mを超える建物」または「地階を除いた階数が3階建ての建物」が規制の対象です。
また、日影規制は地方公共団体の条例によって指定されるため、対象となる地域は各自治体に確認する必要があります。
参考:建築基準法|第56条
この記事のポイント
斜線制限とは前面道路や隣接地など周囲の土地に対して、日照・採光・通風を確保することを目的に「建物の高さ」を制限する規制で、3種類あります。
種類 | 概要 |
---|---|
道路斜線 制限 |
前面道路の通風・採光・日照に支障をきたさないことや、周辺への圧迫感がないようにすることを目的とした制限 |
北側斜線 制限 |
北側に建設された建物の採光条件を確保することを目的とした制限 |
隣地斜線 制限 |
隣の敷地の建物に対する通風・採光・日照に関して良好な環境を維持することを目的とした制限 |
詳細は「1.道路斜線制限とは」「2.北側斜線制限とは」「3.隣地斜線制限とは」をご確認ください。
用途地域ごとに「家を建てられるかどうか」「斜線制限が適用されるかどうか」等が定められています。
用途地域 | 戸建ての建築 | 道路斜線制限 | 北側斜線制限 | 隣地斜線制限 |
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◯ | ◯ | ◯ | ― (絶対高さ制限が有) |
|
◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
|
◯ | ◯ | ― | ◯ |
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◯ | ◯ | ― | ◯ |
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◯ | ◯ | ― | ◯ |
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― | ◯ | ― | ◯ |