注文住宅なのになぜ安い?ローコスト住宅の秘密と注意点

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注文住宅を建てたいけれど、できるだけコストは抑えたい。そこで選択肢に上がるのがローコスト住宅です。

注文住宅の価格はハウスメーカーや工務店によってさまざまです。一般的な価格の注文住宅とローコストの注文住宅は、いったい何が違うのでしょうか。

本記事では、ローコスト住宅を検討しているけれど、「本当に予算内で建てられるのか」や「本当にベストな選択なのだろうか」と不安に感じている方、「安かろう悪かろう」で後悔したくないという方、どうやってローコストで建てられる建築会社を選べばよいのかわからない方に向けて、ローコストメーカーが注文住宅を安く建てられる理由、ローコストで建てるために施主側でも実行できるポイント、ローコスト住宅を計画する上での注意点、そしてローコストで注文住宅が建てられるハウスメーカーや工務店の探し方までわかりやすくご説明いたします。

注文住宅を建てた後の後悔は、価格帯にかかわらず発生します。ローコスト注文住宅を建てるなら、予算内でとことん理想の家づくりが実現するよう、ぜひ楽しみながら計画を進めてください。

1.ローコスト住宅とは?

ローコスト住宅とは、一般的な住宅に比べて建築コストを抑えた住宅のことを指します。

  • 予算はあまり多くは取れないけれど、土地があるから家を建てたい
  • 分譲住宅や中古住宅ではなく、やはり注文住宅でマイホームが欲しい
  • コンパクトな(もしくはシンプルな)家を建てたい(建て替えたい)
  • といった方々から人気を集めています。

しかし、ローコスト住宅はなぜ一般的な住宅よりも安く建てることができるのでしょうか。
実際にどれくらいの金額で建てることができるのかも含めて、ご説明します。

1-1.ローコスト住宅の建築費はどれくらい?

明確な定義があるわけではありませんが、一般的には建物の建築坪単価が40万円程度、もしくは工事費の総額が2,000万円までの住宅をローコスト住宅と呼ぶことが多いようです。

一方、一般的な注文住宅の場合は、建築坪単価が60万円前後、工事費の総額が2,500万~3,000万円くらいになることが多いようです。建て売りの分譲住宅でも建物価格は1,500万~2,000万円くらいするため、そう考えるとローコスト住宅は確かに手頃な価格に感じられることでしょう。

1-2.ローコスト住宅はなぜ安いのか

それでは、なぜローコスト住宅は低価格で建てることができるのでしょうか。
その答えは、粗利です。
粗利とは、建物の総額から原価を差し引いた金額で、利益と経費をすべて合計したものを指します。

広告宣伝費や人件費、研究開発費など、経費の多いハウスメーカーほど1棟あたりの粗利率は高くなります。
ローコスト住宅が建てられるハウスメーカーでは、集客方法を工夫して広告費をカットしたり、作業の合理化により人件費を抑えたりして経費の削減に取り組んでいます。
特に合理化によるコストカットは重要で、使用する建材や設備のグレードを統一することで、大量発注による仕入れコストのダウンや発注ロス(余り)の削減に努めています。工事の仕様が一定だと作業効率も上がるので、現場監督や職人が品質を損なうことなく数棟の新築物件を掛け持ちすることも可能になります。
このように、現場の稼働率を高めることで利益を上げ、建築費をコストダウンしてお客さまに還元しているのです。

2.ローコストで注文住宅を建てるには?

ローコストで注文住宅を建てるには、ハウスメーカーの社内的な取り組み以外にも、プランニングをする上で施主側でも工夫できるポイントがいくつかあります。

具体的な内容をあげますので、参考にしてください。

2-1.建築費を抑える工夫をする

すべての希望を100%かなえようと思うと、ローコスト住宅の実現は難しくなります。
しかし、プランの内容を見直してみることで、それほど妥協をしなくても建築コストは意外と簡単に抑えることができるものです。

2-1-1.間取りもデザインも「シンプル」に

建築費の大部分を占めるのは、建物の構造に関わる部分です。したがって、建物の形状をできるだけシンプルにすることで建築コストは大幅にカットできることが少なくありません。

建物を四角い箱のような家にするとコストダウンできるということは、ご存じの方も多いかもしれません。
なぜ、四角い家だと建築コストが下がるのでしょうか。
四角い家と凹凸のある家を比較してみると、同じ床面積でも凹凸のある家のほうが壁面の量が多くなります。つまり、単純に使用材料の数量が増えるのです。また、凹凸が多いほどコーナーの部材が増え、材料のロスも出やすくなり、細かい作業も多くなります。そのため、材料費や手間代が余計にかかるのです。

同様に、同じような床面積でも2階建てに比べると平屋は割高になると言われています。
2階建ての家に比べて、平屋の家は基礎や屋根の面積が大きくなってしまうのがコストアップの原因です。
そこで、平屋の場合は階段や廊下のようなデッドスペースを極力減らし、家全体の面積を抑えることで金額を調整します。

四角い総二階の家が最もコストを抑えられるというのは、上記のような理由によるものなのです。

2-1-2.「規格」「標準仕様」を大事にする

ローコスト住宅は、グレードや仕様を統一することで合理化を図っているとお伝えしました。つまり、「規格」や「標準仕様」なしではローコスト住宅は成立しません。

同じ材料を大量発注することで安価に仕入れられるということは、普段使わない材料を仕入れる場合は割高になってしまうということでもあります。
そのため、内外装材や設備を標準以外のものに変更すると建築コストは一気に上がり、最終的にはローコストどころか一般的な住宅よりも高い家になってしまうということが起こりうるのです。

また、いくら大きな窓が欲しいと思っても、規格外のサイズではオーダーメイドになってしまいます。網戸やカーテンも特注になり、その分コストが上がります。建材はできるだけ規格内に納めたほうがよいでしょう。
造り付けの家具は木工での造作ではなく、建材を使った家具のほうがコストを抑えることができます。

また、ローコスト住宅の場合、性能面でも規格が設けられていることが多いです。
最近では高性能を売りにしたローコスト住宅も増えていますし、一般的な性能であっても法律で定められた範囲は当然クリアしています。ローコストだからといって不安を感じる必要はないでしょう。

2-1-3.動線は「コンパクト」にまとめる

ローコストの基本は、面積を小さくすることです。
坪単価が40万円とすると、3坪小さくすれば単純計算で120万円のコストダウンになります。
3坪というとだいたい畳6枚分。6畳間を減らすのは難しいかもしれませんが、部屋ごとの面積を少しずつ小さくし、デッドスペースをなくすことで、狭さを感じさせることなくコンパクトにまとめることは十分可能です。

間仕切り壁をできるだけ少なくしたシンプルな間取りにすると、構造や仕上げ、建具にかかるコストをカットできるだけでなく、機能的で使い勝手のよい動線に仕上がるというメリットもあります。

人の動線だけでなく、配管の動線をコンパクトにまとめることもコストダウンにつながります。
例えば、トイレや浴室、洗面、キッチンなどの水まわりは一カ所にまとめて集約することで配管が短くなり、工事の手間も少なくなります。
同様に、水まわりを敷地内のできるだけ道路に近い位置に配置することで、屋外の給排水工事にかかる費用もカットできるでしょう。

2-2.家に求めることの優先順位は明確に

注文住宅にはこだわりを持っている方も多く、それらをすべて実現したいと思うのは決して悪いことではありません。
しかし、ローコストで高品質な注文住宅を建てるためには、100%希望をかなえようとするのではなく、費用対効果を考えながら優先順位を決めてプランニングしていくことが重要になります。

「子供部屋6畳のところを4畳半にして、リビングにキッズコーナーをつくろう」
「キッチンはどうしてもグレードアップしたいから、ほかの設備は標準品でいいかな」
「来客は年に数回程度だし、客間はやめて畳コーナーにしておこう」

このように、妥協するのではなく発想の転換をすることで、それほど我慢せずにコストダウンしていくことができます。

3.ローコスト住宅で後悔しないための注意点

ローコストの注文住宅を建てる上で注意しなければならないのは、契約後の追加工事による予算オーバーです。

「費用を抑えるためにローコストメーカーを選んだのに、数十万円単位で追加が出てきて、気付いたら一般的な住宅と同じような金額になっていた」
ローコスト住宅を建てた方の中には、こんな理由で後悔している方も少なくありません。

なぜこのようなことになってしまうのか、追加工事による予算オーバーを回避するにはどうすればよいのか、その具体策をお伝えします。

3-1.複数社の提案内容と金額を比較する

注文住宅の建築コストというのは大変わかりづらく、出てきた金額が適正かどうかを判断するためには、数社の提案内容を比較検討する必要があります。

大切なのは、希望を伝えてその条件を満たすプランを提案してもらうのではなく、希望と予算を伝え、できるだけ希望をかなえた上で予算内に収まるプランを提案してもらうことです。

同じ予算で面積が小さめのプランを提示してきたハウスメーカーは、価格帯が比較的高めであることがわかります。しかし、その分他社に比べて構造やデザイン、性能面などで優れている可能性もありますから、提案内容と金額をしっかり見比べて判断してください。

他社と比べて極端に金額の安いハウスメーカーは、避けたほうがよいでしょう。安すぎるプランでは下請け会社を買いたたいている可能性がありますから、品質への悪影響も考えられます。

ローコスト住宅として平均的な価格帯のハウスメーカーを選択することをおすすめします。

また、注文住宅は分譲住宅を購入する場合と違い、何度も打ち合わせを重ねることになります。
休日ごとの打ち合わせでご家族に負担がかからないよう、一度に提案を受けるのは3~4社程度にとどめておくとよいでしょう。

3-2.プランの内容はきちんとチェックする

プランの内訳をすべてチェックするのは難しいですが、建材や設備のグレードは、カタログまたはショールームで確認することができます。

ローコスト住宅の場合、グレードが低めに設定されていることが多いため、あとからグレードアップして追加費用が発生する場合が少なくありません。
グレードアップするとしても早い段階でわかっていれば、他の部分でコストダウンして調整するか、予算を見直すことも可能です。

次に、「プラン内容に含まれていない項目」を確認します。
例えば、図面に外構や家具が描かれていても、それらはあくまでも参考イメージで提案内容には含まれていない場合があります。あとからオプションとして追加し、余計な費用が発生することのないよう、最低限「外構」「家具」「冷暖房空調設備」「照明器具」「カーテン」が含まれているかどうか見ておきます。また、これら以外にも実際に住むとなった時にほかに必要な工事がないかどうか、担当者に確認してください。

また、プランの書類の表記に関して「一式見積もり」は一般的に信頼性が低いと言われていますが、ローコスト注文住宅の場合、必ずしもそうとは言い切れません。
費用を細かく積み上げていくと、工事費の総額は大きくなります。そのため、ローコストメーカーは「この金額でお願いします」と毎回一定の金額で下請け会社に発注します。合理化された仕組みの上で継続発注が可能だからこそ、「一式見積もり」というシステムが成り立つのです。

3-3.予算には余力を残しておく

提案内容と金額を比較し、ようやく1社に絞って契約を結んだとしても、絶対に予算オーバーしないとは限りません。
契約して着工し、工事が進んでいくのを見ているうちに、どうしても「ここをもっとこうしたい」という希望が出てくるかもしれないからです。むしろ、まったく追加費用が発生しないまま竣工することのほうが珍しいと思っておきましょう。

解決策としては、予算を決める際に少し余力を残しておくことです。総工費の1割程度を予算取りしておくと、万が一の追加費用にも対処できるでしょう。
そして、現時点でどれだけ追加費用が発生しているか一目でわかるような増減リストをハウスメーカーの担当者に作ってもらい、追加工事が増えすぎないよう歯止めをかけておくことをおすすめします。

4.ローコストの注文住宅はどこへ頼めばいい?

それでは、ローコストの注文住宅はどこに依頼すれば建てられるのでしょうか。

できるだけコンパクトかつシンプルにまとめることで、どこのハウスメーカーでもある程度のコストダウンはできるでしょう。しかし、それだけでは限度があります。
できるだけ品質のよいローコスト住宅を建てるには、経験により蓄積されたノウハウと、下請け会社や職人との協力関係が必要不可欠だからです。

いきなり住宅展示場へ行って、実績のないハウスメーカーにローコスト住宅の相談をすることはできません。まずはしっかりとリサーチしてから依頼先を決定します。
大手ハウスメーカーは総じて価格帯が高めなので、いわゆるローコストメーカーやローコスト住宅を売りにしている地域の工務店を探してみてください。

最近では、ローコストでも高耐震や高気密・高断熱のもの、長期優良住宅対応のもの、デザイン性に優れたものなど、いろいろな選択肢があるはずです。

まとめ

「安かろう悪かろう」というのは昔の話で、今や「ローコスト住宅」は注文住宅の1つのジャンルとして確立されています。

とにかく安くマイホームを手に入れたいというのであれば、建て売りの分譲住宅や中古住宅を購入するという選択肢もあるでしょう。しかし、ローコストであるか否かに関係なく、注文住宅を建てたいと希望されている方は多いのではないでしょうか。注文住宅であれば、建築中の現場を確認できるという安心感もあります。

どうすればコストダウンできるのか、ムダな費用をかけずに済むのかしっかりと頭に入れた上で、ぜひ信頼できるハウスメーカーを選び、理想のローコスト住宅建築を実現してください。

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