子育てエコホーム支援事業とは、2024年3月から交付申請の受付を開始した補助金制度です。
一定の条件を満たしている場合は、新築住宅の建築・購入やリフォームを実施する際に申請でき、最大100万円の補助金を受給できます。
内容 | 補助金額 |
---|---|
長期優良住宅の新築建築・購入*1 | 100万円/戸 50万円/戸 |
ZEH住宅の新築建築・購入*1 | 80万円/戸 40万円/戸 |
長期優良リフォーム*2 | 上限45万円/戸 上限30万円/戸 |
その他のリフォーム*2 | 上限30万円/戸 上限20万円/戸 |
既存住宅購入を伴うリフォーム | 上限60万円/戸 |
*1 下段は市街化調整区域に立地し、なおかつ土砂災害警戒区域もしくは浸水想定区域にある住戸
*2 上段は子育て世帯・若者夫婦世帯、下段はその他の世帯
詳細は公式ホームページにまとめられていますが、「家づくりに慣れておらず、よくわからなかった…」という方も多いでしょう。
- 育てエコホーム支援事業の概要
- 子育てエコホーム支援事業の注意点
- 子育てエコホーム支援事業の申請方法
子育てエコホーム支援事業は2024年12月31日に申請受付を終了する予定ですが、予算上限に達した場合は早期に終了する可能性があります。
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注文住宅で活用できる補助金全般について知りたい方は「新築の補助金」の記事もご覧ください。
※この記事は2024年3月時点の子育てエコホーム支援事業【公式】を参考に作成しています。
Contents
1.子育てエコホーム支援事業とは?
まずは子育てエコホーム支援事業について、以下の内容を把握しておきましょう。
- 背景:カーボンニュートラルの早期実現を目指すため
- 予算:2,500億円
- 対象世帯:新築は子育て世帯と若者夫婦世帯
- 補助対象:新築は長期優良住宅かZEH住宅のみ
- 補助金額:新築で40万~100万円/戸
- 適用条件:2024年3月以降~12月31日に申請
以下より1つずつ解説します。
1-1.背景
2020年10月、日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにする、「カーボンニュートラル」を目指すことを宣言しました。(参考:環境省「脱炭素ポータル」)
カーボンニュートラルの達成には、温室効果ガスの排出量を削減することは絶対条件といえます。
光熱費が高騰する中、省エネ住宅のニーズは以前よりもさらに高まりつつありますが、省エネ住宅は建築費や取得費が高く、良さを理解していても、あえて選択しないケースもあるかもしれません。
とりわけ収入に比べて支出が多い傾向にある子育て世帯や若者夫婦世帯にとっては負担が大きく感じるでしょう。
「子育てエコホーム支援事業」は、省エネ住宅の建築や取得、省エネ住宅へのリフォームを経済的に支援し、省エネ投資の下支えをすることを目的として始まる事業です。
省エネ住宅の普及を促進することで温室効果ガスの排出量を減らし、カーボンニュートラルの早期実現を目指します。
1-2.予算
子育てエコホーム支援事業の予算は以下のとおりです。
- 令和5年度補正予算:2,100億円
- 令和6年度当初予算案:400億円
前身事業である2023年の「こどもエコすまい支援事業」は、令和4年度補正予算1,500億円で始まり、令和5年度当初予算で209億3,500万円を増額。1,709億3,500万円が予算として組まれましたが、予定より3か月も早く上限に達し、早期受付終了しています。(詳細はコラムで解説)
今回の「子育てエコホーム支援事業」は「こどもエコすまい支援事業」よりも800億円近く増額されていますが、子育てエコホーム支援事業も早期終了が予想されるため、早めに行動することをおすすめします。
1-3.対象世帯
子育てエコホーム支援事業の対象世帯は、以下のとおりです。
- 新築建築・購入:子育て世帯と若者夫婦世帯
- リフォーム:全世帯
子育て世帯と若者夫婦世帯の定義については、以下をご覧ください。
子育て世帯 | 2023年4月1日時点で18歳未満の子を有する世帯 |
---|---|
若者夫婦世帯 | 申請時点で夫婦であり、なおかつ2023年4月1日時点でいずれかが39歳以下である世帯 |
ただし、2024年3月末までに着工する場合、子育て世帯は2022年4月1日時点で18歳未満の子を有すること、若者夫婦世帯は2022年4月1日時点でいずれかが39歳以下であることに定義が変わるためご注意ください。
1-4.補助対象
新築建築・購入の場合は、エコホーム支援事業者であるハウスメーカーや工務店と工事請負契約を締結することが条件となります。
また、建築・購入する住宅は、長期優良住宅かZEH住宅のいずれかでなくてはいけません。
ほかにも細かい条件があり、まとめると以下のとおりです。
- エコホーム支援事業者と工事請負契約を締結する
- 住宅は長期優良住宅かZEH住宅のいずれか
- 長期優良住宅かZEH住宅の証明書がある
- 建築主(所有者)自身が居住する
- 住戸の床面積が50平米以上240平米以下である
- 土砂災害特別警戒区域もしくは災害危険区域に原則立地しない
- 交付申請時に基礎工事を完了している、もしくは住戸あたりの補助額以上の出来高の工事を完了している
一方、リフォームの場合も、エコホーム支援事業者であるハウスメーカーや工務店と工事請負契約を締結することが条件となります。
- エコホーム支援事業者と工事請負契約を締結する
- リフォームする住宅を所有している
- 工事にかかる合計金額が5万円以上である
- 開口部・外壁・屋根・天井・床の断熱リフォーム、エコ住宅設備の設置などいずれかの工事を行う
上記のすべての条件を満たしている場合は、以下のような項目が補助対象となります。
- 防災性向上やバリアフリー化のためのリフォーム
- 空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
- リフォーム瑕疵保険への加入
また、開口部の断熱リフォーム工事を実施する場合は、子育て対応リフォーム工事も補助対象です。
1-5.補助金額
子育てエコホーム支援事業の、工事ごとの補助金額は以下をご覧ください。
工事 | 補助金額 |
---|---|
長期優良住宅の新築建築・購入*1 | 100万円/戸 50万円/戸 |
ZEH住宅の新築建築・購入*1 | 80万円/戸 40万円/戸 |
長期優良リフォーム*2 | 上限45万円/戸 上限30万円/戸 |
その他のリフォーム*2 | 上限30万円/戸 上限20万円/戸 |
既存住宅購入を伴うリフォーム | 上限60万円/戸 |
*1 下段は市街化調整区域に立地し、なおかつ土砂災害警戒区域もしくは浸水想定区域にある住戸
*2 上段は子育て世帯・若者夫婦世帯、下段はその他の世帯
既存住宅購入を伴うリフォームを行う場合については、子育て世帯と若者夫婦世帯のみが補助対象となるのでご注意ください。
1-6.適用条件(スケジュール)
子育てエコホーム支援事業の適用条件は、2023年11月2日以降に着手した対象工事について、交付申請期間に申請することです。契約日については問われません。
項目 | 期間 |
---|---|
対象工事 | 2023年11月2日以降に着手 |
契約日 | 不問 |
交付申請期間 | 2024年3月以降~12月31日 |
交付申請期間は2024年3月以降~同年12月31日ですが、予算上限に達すると期間中であっても受付が締め切られます。
条件に該当する場合は、早めに申請することが大切です。
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2023年の「こどもエコすまい支援事業」とは何が違う?
「こどもエコすまい支援事業」は、2023年に実施されていた補助金制度です。
カーボンニュートラルの実現を目指すために実施されていたこと、新築建築・購入は子育て世帯と若者夫婦世帯のみを対象としていたことなど、目的や条件はほぼ「子育てエコホーム支援事業」と同じです。
しかし、以下の点に関しては異なります。
補助金事業 | こどもエコすまい支援事業 | 子育てエコホーム支援事業 |
---|---|---|
補助金額 | 一律最大100万円 | 長期優良住宅は最大100万円だが、ZEH住宅は最大80万円 |
対象住宅 | 長期優良住宅 ZEH住宅 低炭素住宅 性能向上計画認定住宅 |
長期優良住宅 ZEH住宅 |
床面積 | 50平米以上 | 50平米以上240平米以下 |
申請期間 | 2023年3月31日~ 9月28日 | 2024年3月以降~12月31日まで |
なお、こどもエコすまい支援事業は最長2023年12月31日まで申請を受け付ける予定でしたが、2023年9月28日に予算上限に到達したため、予定よりおよそ3か月も早く受付を終了しています。
子育て世帯・若者夫婦世帯向けの補助金制度は年々認知度が高くなっており、子育てエコホーム支援事業も早期終了が予想されます。
条件を満たす場合は、早めに申請しましょう。
2.子育てエコホーム支援事業の注意点
子育てエコホーム支援事業を活用する前に確認しておきたい注意点をまとめました。
- 交付申請時点で基礎工事が完了している必要がある
- 新築住宅に関しては1回のみ申請できる
- 同一住宅では新築住宅とリフォームの両方の補助金を受給できない
- 同一住宅では国の補助金制度と併用できない
- 地方自治体の補助金制度は原則として併用可能
補助金事業は条件が多いですが、すべてを満たしていないと受給できません。
申請が正常に受理されるよう、ぜひ前もってチェックしてみてください。
2-1.交付申請時点で基礎工事が完了している必要がある
子育てエコホーム支援事業の交付申請ができるのは、基礎工事を完了している場合のみです。
基礎工事が完了する日の目途がついたら、3か月前のタイミングで申請予約を行ってください。
申請予約をすると3か月間は予算が確保されるため、実際の申請前に予算が終了していても補助金を受給できます。
ただし、申請予約をしてから3か月以内に基礎工事が完了しない場合は、補助金を受給できません。
再度、交付申請を行うことになりますが、その時点で予算上限に到達している可能性があるため、予約時期を正確に見極めるようにしてください。
確実に補助金を受給するためにも、可能な限り早めに申請することが大切です。
2-2.新築住宅に関しては1回のみ申請できる
注文住宅の新築もしくは新築分譲住宅の購入に際して、子育てエコホーム支援事業の補助金を受給した場合は、別の新築住宅の建築・購入する場合であっても、子育てエコホーム支援事業の交付申請はできません。
ただし、新築住宅の建築・購入において子育てエコホーム支援事業の補助金を受給した方が、別の住宅を購入して対象リフォーム工事を行う場合は、子育てエコホーム支援事業に再度交付申請できます。
また、対象リフォーム工事を行う際に子育てエコホーム支援事業の補助金を受給した場合も、別の新築住宅を建築・購入するのであれば、子育てエコホーム支援事業に再度交付申請を行うことが可能です。
2-3.同一住宅では新築住宅とリフォームの両方の補助金を受給できない
新築住宅を建築あるいは購入し、その後、同一住宅において子育てエコホーム支援事業の対象リフォーム工事を行う場合は、補助金申請は1回のみ行えます。
新築建築・購入のときに子育てエコホーム支援事業の補助金を申請した場合は、リフォーム時には子育てエコホーム支援事業の交付申請ができない点に注意をしてください。
2-2で解説したとおり、ただし、同一住宅でない場合は、新築建築・購入とリフォームの両方で子育てエコホーム支援事業の補助金に申請できます。
予算上限に到達していない時期であれば、早めにエコホーム支援事業者をとおして申請手続きを行いましょう。
2-4.同一住宅では国の補助金制度と併用できない
子育てエコホーム支援事業で補助金を受給した住宅に関しては、国が実施する他の補助金制度を利用できません。
- 先進的窓リノベ2024事業
- 給湯省エネ2024事業
国の補助金制度のうち複数制度の条件を満たす場合は、補助金額や実施時期などを比較し、もっとも条件がよいものを選びましょう。
2-5.地方自治体の補助金制度は原則として併用可能
同一住宅においては、国の補助金制度を複数併用することは原則として不可能です。
しかし、国の補助金制度の適用を受けた住宅であっても、地方自治体の補助金制度であれば、条件を満たして申請すれば受給できることがあります。
注意点としては、地方自治体の補助金制度の中には、国費が充当されているものもある点が挙げられます。
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3.子育てエコホーム支援事業の申請方法とスケジュール
子育てエコホーム支援事業では、実際の申請手続きはエコホーム支援事業者が行います。
依頼するハウスメーカー・工務店がエコホーム支援事業者でないと適用されないため、まずはエコホーム支援事業者か確認し、補助金需給について相談することが大切です。
なお、申請が受理され、補助金を受給できるときは、最終支払分の契約代金に充当される形で受け取ります。
ハウスメーカー・工務店に最終支払を行うときに、子育てエコホーム支援事業の補助金額が反映されているか明細書で確認しましょう。
以下より、子育てエコホーム支援事業への申請を含めた家づくりのスケジュール例を紹介します。
4月 |
|
---|---|
5月~7月 | 工事請負契約の締結、着工、交付申請予約 |
8月~10月 | 一定以上の工事完了、交付申請 |
11月~ | 竣工、精算、引き渡し |
子育てエコホーム支援事業を活用して新築住宅を建築する場合、工事請負契約の時期は問われませんが、着工や交付申請の時期が基準を満たしている必要があります。
また、交付申請時に基礎工事が終わっていることも求められるため、綿密なスケジュールを立てたうえで行動しましょう。
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まとめ
子育てエコホーム支援事業は、注文住宅の新築や新築分譲住宅の購入に活用できる子育て世帯・若者夫婦世帯向けの補助金制度です。
長期優良住宅なら最大100万円、ZEH住宅なら最大80万円の補助金を受給できるため、条件に該当する場合はぜひ申請してみてはいかがでしょうか。
ただし、工事や申請時期が決まっているため、綿密にスケジュールを立てていないと適用されない可能性があります。
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