「中庭」とは、壁や建物に囲まれている屋外空間のことです。パティオとも呼ばれ、おしゃれな住空間を演出してくれます。
この記事では、中庭のある家について以下の点を紹介します。
- 中庭の一般的なタイプ
- 中庭のメリットとデメリット
- 中庭のおしゃれなアイデア例
ぜひご覧になり、中庭のある家を建築する際の参考にしてください。
注文住宅のおすすめ設備について知りたい方は「注文住宅の設備」の記事もご覧ください。
1.そもそも「中庭」とは?
中庭とは、建物や壁などに囲まれたオープンスペースの庭のことです。住宅内にあり、屋根に覆われていない空間を指し、平屋でも二階建て、三階建ての戸建てでも作れます。
中庭は建物に囲まれているため、外からの視線が気にならずプライベートな空間を確保できるのが特徴です。また、採光性や通風性に富んでいるほか、近年は高いインテリア性から新築住宅やリフォームで中庭のある家への需要が増えてきています。
なお、「パティオ」や「コート」も中庭と同じ意味の言葉です。パティオとはスペインで中庭を指す言葉で、タイルを敷き詰めた床が特徴的で樹木が植えられていたり噴水があったりします。
一方のコートとは、パティオなどの家の外の空間にある中庭の総称です。
コートハウスについては、「コートハウスの基礎知識&実現できるくらしの例」でも詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
2.中庭の種類は主に3種
中庭のある家の形は、主に「コの字型」「ロの字型」「町家型」の3種類に分かれます。
どういった中庭にしたいかに応じて家の形も変わってくるため、注意しましょう。ここでは、各タイプの特徴を解説します。
2-1.コの字型
コの字型の中庭は、家が中庭を囲うようにコの字型に建っているタイプです。家の中心に中庭があるため、室内にいても風や日光を取り入れやすく、緑も感じられるようになっています。また、三方から庭を囲む形で一方は開いているため、中庭自体から開放感が得られるのが特徴です。
ただし、家がコの字になっているため間取りに多少工夫が必要な点は理解しておきましょう。
2-2.ロの字型
ロの字型の中庭は、家の中心に中庭があるタイプです。四方から中庭が囲まれているため、中庭を完全にプライベートな空間にできるのがメリットです。また、中庭からの光を、家のどこにいても受けられて明るい空間を演出できます。
一方で、建物の内側に庭を作ることになるため広い敷地が必要なうえ、壁などの建材が増えることで建築費が高くなります。さらに、囲われているため湿気対策が欠かせないほか、緑を植えた場合などは庭の排水にも細心の注意を払わなければなりません。
2-3.町屋型
町屋型の中庭は、家の中を進んでいくと庭が登場するタイプを指します。「うなぎの寝床」とたとえられるような狭小住宅の特徴を活かした中庭です。
もともと町屋は間口が狭く細長い作りのため、風通しが悪いのが懸念点としてありました。それを解消するために作られたのが中庭です。隣家の壁に両隣を囲まれていても、建物中央に中庭があることで家の中に空間が生まれ、風通しがよくなります。
町屋型は敷地があまり広くない場合でも、採用しやすい点が特徴です。一方で、ほかの形状の中庭に比べると壁に囲まれた部分が少ないため、プライバシーの確保に配慮が必要になってきます。
3.中庭のある家のメリット5つ
中庭のある家には、次の5つのメリットがあります。
- 採光に優れている
- プライベートな空間を確保できる
- 風通しが良い
- セキュリティに優れている
- 家と外との距離が近くアウトドアを楽しめる
一つずつ詳しく見ていきましょう。
3-1.採光に優れている
マイホームを持つうえで、明るさは確保したいと考える人は多いのではないでしょうか。中庭がある家は、採光性に優れているメリットがあります。
一般的な造りの戸建てでは、日の差し込まない部屋ができてしまうのが現状です。日当たりを考慮して南側の庭に面して大きな窓を配置することが多いものの、奥まった部屋や北側に面する部屋では光が届かないところも出てきます。
その点、中庭があると家の表面積が増えることで開口部が設けやすく、光を家の中に取り入れやすくなります。たとえば、コの字型やロの字型の家で中庭を設ければ、北側の部屋でも南向きの開口部を作れるでしょう。
また、空間の開放感が増して広く感じたり、建てる際に方位や周辺環境をあまり気にせずともよくなったりするメリットもあります。
3-2.プライベートな空間を確保できる
中庭は、一般的な庭とは違って建物の内部にあるため、外からの目線が気になりません。そのため、プライベートな空間を確保できるのがメリットです。
子どもたちが遊んだり、洗濯物を干したりしても家の外にいる人から見えることがないため安心できます。家の中から見守りやすく、外からの目は届きにくいため、プライベートな空間を持ちたい人にはピッタリです。
また、窓を介して各部屋が向かい合せになるため、離れた部屋にいてもお互いに家族の気配を感じられつつ、適度な距離感で各自のプライベートも保てるのが中庭のある家のよさでもあります。
さらに、隣の家との距離が近い場合は、開口部が外向きでないぶん、家の中にいるときのプライバシー性も保たれやすくなります。
3-3.風通しが良い
家に中庭があると開口部を設けやすくなるため、風を家の中に取り入れやすくなるのもメリットです。窓が外側の壁にしかない家の場合、空気の循環を効率よくおこなえません。空気の循環が悪いと、ホコリやカビなどが発生しやすく、健康に悪影響を及ぼす恐れも考えられます。
その点、家に中庭があれば、窓を開放すれば家中に空気を循環させることが可能です。なかでもコの字型、ロの字型の家の場合は、壁面が多くなるためそれに応じて窓の数も増えます。季節に応じた風の通り道に窓を設ければ、年間を通じて風通しの良い家になるでしょう。
3-4.セキュリティに優れている
中庭がある家であれば、セキュリティの面でも安心です。とくにロの字型の中庭であれば、全方位が壁に囲まれているため、防犯性に優れています。また、外から人に入られる心配もないため窓を開放したままでも問題ないでしょう。
人が入って来られない中庭側に窓を設ければ、道路側に大きな窓を設置する必要もなくなります。隣家や通りに面した外側は、小さな窓だけでも採光と通風を確保したうえで防犯面も確保できる家に仕上がるでしょう。
3-5.家と外との距離が近くアウトドアを楽しめる
家に中庭があることで、家と外との距離が近くなります。中庭に出やすくなるため、気軽に中庭でバーベキューやガーデニングなどのアウトドアを楽しめるでしょう。
そのほか、庭にウッドデッキなどを設置してリビングとして活用したり、夏場に子どものプール遊びなどをしたり、ペットとひなたぼっこしたりと、楽しみ方は無限大です。家族みんなにとって過ごしやすいスペースになります。
4.中庭のある家のデメリット5つ
中庭のある家には、メリットがある半面、次のようにデメリットが5つあります。
- 建築コストがかかる
- 土地の広さによっては住空間が狭まる
- 冷暖房効率が落ちやすい
- 家事動線が長くなりやすい
- 熱や湿気がこもりやすい
一つずつ詳しく見ていきましょう。
4-1.建築コストがかかる
中庭のある家を建てる際に、建築コストがかかってしまうことはデメリットといえるでしょう。
中庭はロの字型やコの字型など建物に囲まれることで生まれる空間のため、四角の家では中庭はできません。そのため、中庭を作れるだけの土地の広さが必要です。もちろん、家族が暮らす家自体の広さも必要なため、それなりに土地代が高くつくことは考慮しておきましょう。
また、中庭を作るにあたって、家を建てる際の材料費も考えなければならない要素です。一般的な凹凸のない形の家に比べて、ロの字型やコの字型の家は、庭に面する表面積が広くなり窓も増えるため、外壁代やサッシ代などの材料費が増えてしまいます。
さらに、形状が複雑化することにともない、家の強度を確保することも必要です。明るさをしっかり確保したいからと窓を多く設ければ、そのぶん建築費用が高くなってしまうでしょう。
そのほかにも、庭を通してほかの部屋と行き来したい、アウトドアリビングのように使いたい、という希望がある場合は、外構工事や屋外用照明器具や給水・排水設備設置などのコストが発生するため、その分も費用がアップします。
同じ予算で中庭のある家を建てる場合は家が狭くなり、同じ広さで比較すれば建築コストは高くつくことです。
あわせて、メンテナンス費用もかかることを覚えておきましょう。戸建ての場合、10~15年に1度メンテナンスをする必要があります。中庭がある家は、説明したように家の形状が複雑です。
また、窓が多いため、日常的な掃除でおこなうガラス拭きに手間がかかりがちです。2階に窓がある場合は自身で掃除をできない場合もあるため、業者に依頼する必要が出てくるでしょう。
中庭を作る場合は、建築コストだけでなく、将来のメンテナンスについても考えておくことが大切です。
4-2.土地の広さによっては住空間が狭まる
中庭は、建物内で囲まれた空間です。そのため、限られた土地の中に住空間も作る必要があります。敷地が狭い家の場合、中庭を取ることで居住空間が少なくなってしまう恐れがあることはデメリットといえるでしょう。
場合によっては、リビングや寝室などに十分なスペースを割けず、生活しづらく感じてしまうこともあるかもしれません。中庭を作るのであれば、住空間のこともしっかり考慮することが重要です。
4-3.冷暖房効率が落ちやすい
中庭を作って家の中から中庭を眺めたり出入りしたりする際に、中庭と家をつなげるのであれば、大きなガラスサッシが必要です。しかし、ガラスサッシを採用することで冷暖房効率が落ちやすいことには留意しておきましょう。
ガラスサッシを通して外部の熱が伝わりやすくなるため、夏場は熱気、冬場は冷気が室内温度に影響し、冷暖房効率が落ちる可能性があります。冷暖房効率が落ちるぶん、光熱費が上がることも考慮しておきましょう。
4-4.家事動線が長くなりやすい
中庭があることで、家の中の家事動線が長くなりやすい点もデメリットです。晴れていれば中庭を突っ切ることで最短で動ける機能的な動線であっても、雨の日などは中庭をぐるりと回らないといけないのであれば、動線が長くなってしまいます。
建物を建てる際は、家事動線のことも考慮したうえで、キッチンや洗濯機置き場、洗濯物を干す位置などの間取りプランもしっかり練るようにしましょう。
4-5.熱や湿気がこもりやすい
中庭は塀で囲まれているため空気がとどまりやすく、湿気や熱がたまりやすくなるため注意が必要です。雨水が流れやすくするために勾配をつけたり、集水マスを増やして雨水を下水に流す工夫をしたりするなど、排水設備をしっかり設けるようにしましょう。
また、外壁の一部に隙間を作って湿気や熱がこもらないようにするのも有効です。
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5.中庭のある家のアイデア例
では、実際に中庭のある家のアイデア例を紹介します。
5-1.アウトドアリビングとして活用できる中庭
中庭をアウトドアリビングとして活用する方法もあります。アウトドアリビングとは、室内のリビングとつなげるように中庭を設けて、屋外に共有空間を作ることです。
憩いの場として使うのであれば、タイル張りやウッドデッキにしてテーブルセットを置きやすくするといいでしょう。また、お客さんにも楽しんでもらいたいのであれば、リビングの床と中庭の高さを同じくらいにして、素材の印象をそろえておくと、ひと続きの広い空間としておもてなしできます。
5-2.緑豊かで子どもの遊び場になる中庭
中庭にウッドデッキや芝生を設けて、緑豊かな子どもの遊び場にすることもできます。忙しく子どもを外遊びに連れていけないときでも、家事や仕事をしながら見守れ、安心して遊ばせることが可能です。
5-3.プライバシー性を重視した中庭
ロの字型などの中庭の場合は、家の中央に向かって多くの窓が設けられたプライバシー重視の中庭を検討してみてはどうでしょうか。
外観は一見閉鎖的な雰囲気を漂わせていますが、一歩中に入れば明るく落ち着いた中庭が目に入ります。外部からの侵入の心配が少ない家の中で、ゆっくり自分たちらしい癒やしの空間を演出できます。
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6.中庭がある家をオーダーするなら?
中庭がある家を建てる場合は、ハウスメーカーや工務店などにオーダーすることになります。まずは各会社に問い合わせをしてみましょう。
中庭は、建物や外壁に囲まれることによって生まれる庭のため、間取りプランに大きく影響を及ぼすものです。しかし、会社によっては自由度が低かったりして、理想的な中庭を実現できない場合もあるでしょう。
それを防ぐためにも、どのような家にしたいのか、どのような中庭が希望でどのように使いたいかなど整理をすることが大切です。
家づくりの検討中に疑問やお悩みが出てきたら、自分たちだけで抱え込まず、時には無料サービスを活用して時間や労力を無駄にしないことも大事です。
まとめ
中庭のある家は、採光に優れていたりプライベート空間を確保できたり、通気性がよかったりと、多くのメリットがあります。一方で、建築コストがかかったり、冷暖房効率が下がったり、家事動線が長くなり安くなったりというデメリットもあるため、それぞれをしっかり把握したうえで検討することが重要です。
本記事を参考に、ハウスメーカー側と要件を整理しながら、納得のいく中庭のある家を実現させましょう。
外観編:詳細プラン解説記事集
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