注文住宅の駐車場のつくり方!7つのポイントと費用相場・失敗事例を解説

注文住宅の駐車場 失敗しない7つのポイント

注文住宅に駐車場をつくる際には、軽自動車1台につき幅2.0m以上、長さ3.6m以上の広さが必要で、コンクリートで地面を固める場合は20万円程度の費用がかかります。

スペースも費用もそれなりに必要なので、新居となるマイホームには「本当に駐車場が必要なのか」「駐車場をつくるなら何から決めればよいのか」とお悩みの方も多いでしょう。

そこでこの記事では、注文住宅の駐車場づくりのポイントについて、以下の内容をまとめました。

この記事でわかること
  • 理想の駐車場をつくるポイント
  • 駐車場の費用相場とシミュレーション
  • 駐車場の失敗事例と対策

駐車場の基本的なサイズ目安やデザインの種類、駐車場をつくるかどうかの見極め方もお伝えするので、ぜひ最後までご覧いただき、理想のマイホームへの近道にしてください。

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1.理想の駐車場をつくる7つのポイント

注文住宅に駐車場をつくる際には、次の7つのポイントを押さえて計画を建てていくと、理想の駐車場に近付けます。

駐車場づくりのポイント
  1. 台数・駐車場のサイズ
  2. 駐車場のデザイン
  3. 地面部分の種類
  4. 駐車の仕方
  5. 照明とエクステリア
  6. 防犯用設備
  7. 専門家に相談する

それぞれのポイントについて見ていきましょう。

1-1.台数・駐車場のサイズ

まずは、駐車する車の台数を決めます。
通常は所有する車の台数ですが、敷地が広い場合は1~2台分、多めに見積もってもよいかもしれません。

駐車する台数を決めたら、次は広さです。
国土交通省では公共の建物などに駐車場をつくるときの指針として、次の基準を設けています。

駐車場のサイズ目安
車の種類 駐車スペースの横幅 駐車スペースの縦幅
軽自動車 2.0m 3.6m
小型乗用車 2.3m 5.0m
普通乗用車 2.5m 6.0m

個人の住宅の場合、かならずしも上記の基準を満たす必要はありません。しかし、サイズの小さな駐車場は何かと使いにくくなるため、ぜひ参考にしてください。

なお、「ドアの開閉を無理なくしたい」「大きな荷物があっても積み込みやすくしたい」など、なるべく広さに余裕のある駐車場にしたい方は、以下の目安を参考にして駐車スペースを確保しておきましょう。

駐車場のサイズ目安(広め)
車の種類 駐車スペースの横幅 駐車スペースの縦幅
軽自動車 2.4m 4.3m
小型乗用車 2.7m 5.0m
普通乗用車 2.7m 5.7m

車のサイドに60cmほどのスペースがあるとドアを開け閉めできますが、90cmあるとドアは全開できるため、より使い勝手がよくなります。

なお、運転席ドアだけでなく助手席や後部座席のドアも全開して乗降するためには、駐車スペースの横幅は3.5m程度必要です。ワンボックスカーなどでスライドドアから車椅子ごと乗降するときも、横幅が3.5mあるとスムーズです。

また、前面道路の幅が狭いときはバックでの駐車が難しくなるため、駐車スペースの横幅は広めに取っておきましょう。後部から乗降するときは、横幅ではなく縦幅を長めに確保してください。

現在だけでなく将来的な可能性も考え、適切な広さを決めていきましょう。

参考:国土交通省「PDF駐車場設計・施工指針

1-2.駐車場のデザイン

広さを決めたら、次は駐車場のデザインを決めます。主に次の3つがあります。

駐車場のデザイン
  • オープンタイプ
  • カーポートタイプ
  • ガレージタイプ
  • ビルトインガレージ

オープンタイプ

オープンタイプ

駐車場の屋根は必須ではありませんが、オープンタイプにして野ざらしにすると雨や雪が車のボディに直接当たって早く傷んでしまうため、できれば屋根は取り付けておきましょう。広めの屋根なら、悪天候でも車に乗降しやすくなるというメリットもあります。

カーポートタイプ

カーポートタイプ

カーポートは、支柱と屋根だけのシンプルなスタイルです。壁を作らないため、費用が抑えられます。ただし、防犯性の面ではビルトインガレージやガレージに劣るため、道路と接する部分にカーゲートやチェーンポールなどを取り付けて、外部から入りにくいようにしておきましょう。

ガレージタイプ

ガレージタイプ

ガレージとは、屋根と三方向以上の壁がついたスタイルです。シャッターを取り付ければ、盗難やいたずらから車を守れたり、倉庫としても活用できたりします。
ただし、住宅との距離が近いと、居住空間の日差しを遮ることもあるため注意してください。

ビルトインガレージ

ビルトインガレージ

ビルトインガレージは、建物の1階部分に駐車スペースを組み込むスタイルです。シャッターを取り付ければ、防犯性を高められるだけでなく、倉庫やDIYの作業スペースとしても活用できます。

また、駐車スペースの上部は居住スペースとして活用できるため、狭小地にもおすすめです。

1-3.地面部分の種類

地面部分にも、いくつか選択肢があります。主な選択肢としては、次のものが挙げられます。

駐車場の地面部分
  • 砂利
  • アスファルト
  • コンクリート

費用を抑えたいなら、砂利がおすすめです。砂利を敷き詰めると、敷地内に入るだけで音がするため、防犯性が高まります。
しかし、石をはじいてしまうと車のボディに傷がつく可能性があり、注意が必要です。

汚れや傷のリスクを回避したいなら、アスファルトかコンクリートがおすすめです。いずれも耐久性が高いため、メンテナンス費用がかかりにくいです。
ただし、アスファルトに関しては熱に弱く、ひび割れすることもあります。直射日光が当たる場所に駐車場をつくるなら、コンクリートのほうがよいかもしれません。

1-4.駐車の仕方

2台以上の車を停める方法としては、次の3つが考えられます。

駐車のパターン
  • 直角駐車:道路に対して直角に駐車。車と車は側面が隣り合う
  • 縦列駐車:道路に対して直角に駐車。1台目の車の後方に2台目の車の前面がくる
  • 並列駐車:道路に対して並行に駐車。1台目の車の後方に2台目の車の前面がくる

それぞれのメリット・デメリットについては、以下をご覧ください。

駐車のパターン別メリット・デメリット
駐車の仕方 メリット デメリット
直角駐車
  • 車を出し入れしやすい
  • 建物内のプライバシーを守れる
  • 窓の位置によっては排気ガスが入り込む
  • 塀の高さによっては視界が遮られる
縦列駐車
  • 旗竿地を無駄なく活用できる
  • 少ないスペースで駐車できる
  • 後方の車が出しにくい
  • 車止めを設置できないため、車がぶつかることがある
並列駐車
  • 少ないスペースで駐車できる
  • 建物内に排気ガスが入り込みにくい
  • 駐車するために何度も切り返す必要がある
  • 敷地の幅が狭いときは選択できない

1-5.照明とエクステリア

住宅の前に街灯がないときは、照明を設置するようにしましょう。

街灯がある場合でも、ビルトインガレージやガレージのように屋内型の駐車場には、照明が必要です。また、照明を設置することで、防犯性を高められます。

照明以外にも、植栽やチェーンポール、カーゲート、シャッターなどのエクステリアも決めておきましょう。建物を依頼した業者以外に外構を依頼するときは、建物の雰囲気やデザインと調和するようにトータルコーディネートすることも大切なポイントです。

1-6.防犯用設備

ガレージやカーポートを設置すると、死角が増えます。不審者が敷地内に立ち入ったり、車を傷つけたりする可能性も想定されるため、防犯用設備も検討しましょう。

防犯用設備の設置例
  • 防犯カメラや人感センサーライトを設置する
  • 地面に砕石を撒いておく
  • ガレージならシャッターを取り付ける
  • カーポートには高さのあるカーゲートを組み合わせる

1-7.専門家に相談する

どのような駐車場にするか迷ったときは、設計実績が豊富な専門家に相談するのもひとつの方法です。所有する車の台数や車種、前面道路の幅、予算などにあわせて、適切な駐車場をプランニングしてもらえます。

相談するときは、アドバイザーの経歴に注目してみましょう。有名ハウスメーカーで担当者を務めた経験があり、アドバイザーとして長期間活躍しているなら、提案力が高いと考えられます。

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2.注文住宅の駐車場にかかる費用とシミュレーション

注文住宅の駐車場にかかる費用とシミュレーション イメージ

駐車場の建設費用は、デザインや地面部分の種類によって異なります。
それぞれの相場目安について見ていきましょう。

2-1.駐車場のデザインごとの費用相場

駐車場のデザインごとの費用相場は、以下のとおりです。

駐車場のデザイン別 費用相場
デザイン 収容台数:費用相場
オープンタイプ 地面部分により異なる(2-2参照)
カーポートタイプ(チェーンポールを設置する場合) 1台:15万円~(23万円~)
2台:30万円~(42万円~)
ガレージタイプ 1台:100万~300万円
2台:200万~600万円
ビルトインガレージ 1台:200万~400万円
2台:500万~800万円

※1台あたり15平米で計算しています。また、ガレージタイプとビルトインガレージはシャッター代も含みます。

2-2.地面部分の種類による費用相場

地面部分の種類によっても駐車場の費用相場は変わります。

なお、ガレージタイプとビルトインガレージはコンクリートを選択することが一般的です。

オープンタイプやカーポートタイプを選択する場合は、メリット・デメリットを把握したうえで、適切な地面部分の種類を選びましょう。

駐車場の地面部分別 費用相場
地面部分 収容台数:費用相場
砂利 1台:18万円~
2台:32万円~
アスファルト 1台:20万円~
2台:40万円~
コンクリート 1台:20万円~
2台:40万円~

2-3.【費用シミュレーション】駐車場あり・なしを比較

駐車場を設置することで、外構費用がかさみます。

ここでは、注文住宅(土地購入費用含む)に、3台分の駐車スペースを確保した場合の費用と、駐車場をつくらない場合の費用をシミュレーションして比較します。

【駐車場をつくらない注文住宅の費用】

4,455万円
※参考:PDF住宅金融支援機構「2021年度 フラット35利用者調査」

【3台分の駐車場がある注文住宅の費用】
  • ビルトインガレージ:5,200万~5,500万円
  • ガレージタイプ:4,700万~5,400万円
  • カーポートタイプ:4,600万円~
  • オープンタイプ:4,515万円~

※地面部分はコンクリートで計算します。

以上が、注文住宅に駐車場をつくる際の費用相場やシミュレーションですが、実際にはエクステリアや照明、防犯設備などによっても費用は大きく変動するものです。

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3.注文住宅の駐車場の失敗事例と対策

駐車場づくりに失敗しないためにも、よくある失敗事例を知っておくことが大切です。
事例と対策を紹介します。

3-1.客用の駐車場も含め3台分にしたが、使う機会がない

客用の駐車場も含め、3台分を確保したものの、使う機会がないというケースは少なくありません。

駐車場の広さを後から増やすことは困難なので、敷地に余裕があるなら、駐車スペースは多めに確保しておきたいですが、余裕がない状態であれば話は別です。居住スペースが狭くなり、快適な生活を実現しにくくなるおそれもあります。

保有する車の台数が2台で、「もしも」に備えたい方は、駐車スペースは2台分のみにして、縦を少し長めに設定しましょう。来客時には車をいつもより後方に駐車することで、前方に1台分の駐車スペースをつくり出せます。

3-2.駐車場を1台分にしてしまい、ご近所トラブルに…

駐車スペースを1台分しか確保できなかったときは、知人や親戚が車で訪れる度に、近くのコインパーキングなどを利用することになります。
コインパーキングが満車のときや、そもそも近くにコインパーキングがないときなどは、敷地からはみ出して停めることになるかもしれません。ご近所からも迷惑に思われ、トラブルに発展することがあります。

頻繁に来客がある場合なら、家の車+1台分の駐車スペースを確保するほうがよいでしょう。

3-3.車が汚れてしまい、メンテナンスに時間がかかる

地面を土のままにしておくと、車が汚れやすくなり、メンテナンスに時間がかかります。
アスファルトかコンクリートを選び、水溜りができにくいようにしておきましょう。

また、オープンタイプやカーポートタイプの駐車場を選んでも、車が汚れやすくなります。
乗車する機会が少ないなら、車体カバーをかけてホコリや鳥のフンから守りましょう。

3-4.家の駐車場が停めにくい

車幅ぎりぎりに駐車スペースを設定すると、乗降だけでなく出し入れにも時間がかかるようになります。

敷地内で駐車場を広げることが難しいときは、小型車や軽自動車への乗り換えも検討しましょう。

3-5.固定資産税が割高になった

ガレージタイプとビルトインガレージは、固定資産税の課税対象です。
新たに設置すると、固定資産税の税額が増えることもあるため注意しましょう。

注文住宅の「よくある失敗事例」を見る

4.注文住宅に駐車場は必要?見極める2つのポイント

注文住宅に駐車場が必要とは限りません。車を所有していない場合や、将来的に購入する予定がない場合は、駐車場なしという選択も可能です。

しかし、車がない場合でも駐車場があると便利なのも事実です。知人や宅配の車が停めやすくなることや、道路と建物の間にスペースが生まれ、プライバシーを守りやすくなるなどのメリットもあります。

駐車場をつくるかどうか迷ったときは、次の2つのポイントを確認してみてください。

  • 十分なスペースを確保できるか
  • 費用に見合うか

それぞれのポイントについて見ていきましょう。

4-1.十分なスペースを確保できるか

駐車場をつくると、その分建物を建てるスペースが狭くなってしまいます。
居住スペースを確保しつつ、駐車スペースも確保できるのか、今一度考えてみましょう。

また、複数台分の駐車場をつくるときは、さらに広い駐車スペースが必要です。単純に車の台数倍に面積が増えるのではなく、ドアを開け閉めする幅も確保しておく必要があります。

もし十分な場所が確保できないときは、ビルトインガレージとして建物に組み込む方法も検討できますが、他の駐車場デザインよりも費用がかさむ点に注意しましょう。

4-2.費用に見合うか

駐車スペースを確保するためには広い土地が必要であり、広い土地は費用がかさみます。
地価が高い場所なら、駐車スペースだけでも数百万円、数千万円の土地代がかかることも珍しくありません。

また、駐車場をつくるときには、整地費用や設備費用、工事費用などもかかります。とりわけガレージタイプやビルトインガレージのように建物として駐車場をつくるときには固定資産税もかかり、住み始めてからも出費があるため注意が必要です。

車を所有する期間が限定的なら、月極駐車場を借りるほうが経済的な可能性もあります。

まとめ

注文住宅の駐車場についてお伝えしました。
それではおさらいです。

この記事のポイント

注文住宅の駐車場のサイズは?

国土交通省では公共の建物などに駐車場をつくるときの指針として、次の基準を設けています。

  • 軽自動車:横幅2.0m、縦幅3.6m
  • 小型乗用車:横幅2.3m、縦幅5.0m
  • 普通乗用車:横幅2.5m、縦幅6.0m

しかし、実際にはもっと余裕をもってスペースを確保したほうが車の出入りがしやすいです。
詳細は「1.理想の駐車場をつくる7つのポイント」をご覧ください。

注文住宅の駐車場の失敗談は?

この記事では、以下のような失敗事例を紹介しています。

  • 客用の駐車場も含め3台分にしたが、使う機会がない
  • 駐車場を1台分にしてしまい、ご近所トラブルに…
  • 車が汚れてしまい、メンテナンスに時間がかかる
  • 家の駐車場が停めにくい
  • 固定資産税が割高になった

詳しくは「3.注文住宅の駐車場の失敗事例と対策」で解説しています。

注文住宅の駐車場はコンクリート以外でもできる?

可能です。注文住宅の駐車場の地面部分として検討できるのは、主に以下の3つです。

  • 砂利
  • アスファルト
  • コンクリート

ただし、これらは費用相場が異なるので、予算を見ながら検討しましょう。
各費用相場は「2-2.地面部分の種類による費用相場」をご覧ください。

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