
家やマンションを売る場合、「買取」と「仲介」の2種類の売却方法があるのをご存知ですか?
「どうしても早く確実に売りたい」「なかなか物件が売れずに困っている」という方に向いているのが、「買取」という方法です。
逆に、「時間がかかってもいいからできるだけ高く売りたい」という方に向いているのは、「仲介」という方法です。
一般的に不動産を売却する際には「仲介」が広く利用されますが、最近は「すぐに現金化したい」「ご近所に知られたくない」などの理由からスピードを優先するケースも多く、「買取」を選ぶ方も増えてきています。
この記事では、不動産の「買取」と「仲介」の違いを見ながら、あなたが不動産を売却するのであれば、どちらが適しているのかを見ていきましょう。
Contents
1. 不動産の「買取」とは?「仲介」との違い
中古住宅や中古マンションなどの不動産を売る際、売却方法には「仲介」と「買取」の2種類があります。不動産会社が買い手を探す「仲介」という方法が一般的ですが、不動産会社に直接不動産を買い取ってもらう「買取」という方法もあるのです。
仲介は、買い手が見つかるまで、「いつ売却できるのか」「いくらで販売できるのか」という点がわかりません。
一方で、買取は不動産会社と直接交渉するため、すぐに明確な売却予定を立てることができます。しかし、売却金額が相場よりも低くなるため、仲介のほうが高く売れる傾向にあります。
つまり、「買取」と「仲介」で悩んだときにどちらかを選ぶポイントとして、以下のことがいえます。
- 買取が向いているケース:
引っ越しや住み替えで売却を急いでいる・期日までに売却したい・売り手がつきづらい - 仲介が向いているケース:
時間があり、できるだけ高く売りたい・買い手が見つかりやすい
2 .不動産「買取」のメリット・デメリットと注意点
ここからは買取のもつメリットとデメリットについて、仲介の場合と比較しながら詳しく紹介していきます。
まず、不動産の「仲介」と「買取」の主な特徴は以下の通りです。
買取の場合 | 仲介の場合 | |
---|---|---|
不動産の買い手 | 不動産会社 | 個人のお客様 |
売却完了までの目安の期間 | 1ヵ月程度 | 3~6カ月程度(売れない場合もある) |
仲介手数料 | なし | あり(金額の目安:売却価格×3%+6万円+消費税) |
設備修復・契約不適合責任 | なし | あり |
チラシやインターネット広告 | 不要 | 必要 |
内覧 | なし | あり |
売却価格 | 仲介の場合より安い(仲介での売却価格の7~8割程度) | 買取の場合より高い |
売却までのスケジュール | 立てやすい | 立てにくい ※いつ売れるかわからないため |
資金計画 | 立てやすい | 立てにくい ※売却が決まるまで金額がわからないため |
以上の内容から、メリットとデメリット、そして注意点を具体的に紹介していきます。
2-1. 「買取」のメリット
「買取」のメリットは主に以下の5点です。
(1)売却までの日数が短い
不動産会社が直接物件を買い取ってくれるため、価格の折り合いさえつけばすぐに売却することができます。ほとんどの場合が完了まで、1ヵ月程度です。
仲介の場合、早くて3か月、長くて半年以上の時間がかかるため、すぐに不動産売却を進めたい場合は、買取がおすすめです。
(2)内覧の必要がない
通常不動産を売る場合、広告などを見て興味を持ってくれた人たちが、内覧のために何人もの人たちが自宅を訪れます。
まだ居住している場合、片づけなどの必要もありますし、知らない人が来るというストレスもあります。また、内覧のたびに、自分たちの時間を割いて立ち会わねばなりません。
買取の場合は、不動産会社の人が内覧するだけで、一般の人が内覧に訪れることはありません。時間的・精神的な負担を回避できます。
(3)設備修復責任・契約不適合責任がない
不動産仲介で個人の方に売却した場合、売却後に何か欠陥があったときは、売主が責任を負う必要があります。しかし、買取であれば、買い主が不動産会社となるため、設備の修復や欠陥に対する責任を負う必要がありません。
古い建物で修繕費が大きくかかる場合、仲介で売却しても収支がマイナスになってしまう恐れがあります。その場合、買取を選ぶことで、修繕費なしでプラスとなる売却を進めることができます。
(4)仲介手数料がかからない
不動産会社に買い手を見つけてもらって物件を売る場合は、販売金額に応じて仲介手数料を支払う必要があります。しかし、「買取」の場合、直接不動産会社に買い取ってもらうため、仲介手数料はかかりません。
たとえば2000万円で売れた物件の場合、通常は66万円の仲介手数料がかかります。しかし、買取であればこれを払う必要がないということです。
(5)誰にも知られずに売却できる
不動産を売る方の中には、個人的な事情で周囲に売ろうとしていることを知られたくないケースもあるようです。買取は広告を出す必要がないため、周りに知られずに不動産を売却することができます。
2-2. 「買取」のデメリット
「買取」の主なデメリットはひとつです。「仲介」という方法で物件を売るよりも、売却価格が安くなってしまうことです。物件にもよりますが、一般的に相場の2~3割は安くなります。
つまり、買取を選ぶメリットがある具体的なケースとして、以下のような状況が考えられます。
- 仲介手数料や修復費用などを踏まえると、買取のほうが高く売れる場合
- 仲介のほうが高く売れるのは知っているが、とにかく早く売りたい場合
- 買い手とのやり取りや内覧などの手間を省きたい場合
- 古くて売りにくい不動産物件の場合
- 売却することを誰にも知られたくない場合
2-3. 「買取」の注意点
それでは、「デメリットを承知した上で、それでも買取を利用したいな」と思う方のために、買取の注意点をご紹介して行きます。
複数の不動産会社で査定をしよう
仲介の不動産会社の査定は、あくまで「販売できる予想金額」を知らせるものです。しかし、買取の場合、不動産が直接の売買相手になるため、査定金額は「買取価格」になります。
もちろん、不動産会社によって買取価格は違うため、必ず複数の不動産会社に査定を依頼し、金額を比較して選ぶことが大切です。
不動産の一括査定を行いたいなら、NTTデータグループが運営する「不動産売却 HOME4U (ホームフォーユー)」がおすすめです。オンラインで複数の会社に一度に査定を依頼することができます。
大手から地方密着型の不動産会社まで2,100社の不動産会社と提携しており、一番高く売れる不動産会社を比較しながら探すことが可能です。普通に査定を依頼すると、「仲介」としての査定結果が来てしまうため、「買取」を依頼する場合は、必ず要望欄にコメントを残すようにしましょう。
「早く売りたいから」といって、焦ってはいけません
早く売りたいからといって、焦って「買取」を選ぶのは禁物です。なぜなら、新しい物件や人気の場所にある物件は、「仲介」という方法でも早く買い手が現れ、予想以上に早く売れる、といったケースもあるからです。
先ほども触れましたが、「買取」の売却金額は相場よりも安くなります。「新築(比較的新しい)」「人気のエリア」「駅から徒歩5分以内」「売却完了まで3か月くらいなら待っても良い」というすべての条件にあてはまる場合は、まず3か月間「仲介」という方法で売り出してみて、売れなかった時に「買取」に切り替える、という方法も検討してみてください。
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3. 「即時買取」と「買取保証」を使い分ける方法
売れなかったときに買取に切り替える方法をとるなら、おすすめしたいのが「買取保証」です。
まず、買取には2種類の方式があります。ひとつがすぐに買い取りをしてもらう「即時買取」です。もうひとつは一定期間は仲介として買い手を探し、期間内に買い手が見つからなかったら不動産会社が買取を行う「買取保証」です。
3-1. 少し時間があるなら「買取保証」
「買取保証」は仲介で高く売れるチャンスをもちながら、売れないときに買い取ってもらえるという安心感もあります。そのため、以下のように少しでも時間があるケースなら、買取保証を付けてみるのがおすすめです。
- 転勤や引っ越しまでに家を売りたい
- 住み替えの時期が決まっており、それまでに家を売りたい
- 相続や離婚の財産分与で、一定の期間内に家を売りたい
3-2. 早く売るなら「即時買取」!
一方で、「すぐに売却したい」「急いで現金化したい」という場合には、「即時買取」という方法がおすすめです。
また、あまり需要のないエリアの戸建てやマンションの場合、買取保証を付けること自体を断られる可能性もあります。その場合は、別の不動産会社を探し、どうしても見つからなければ即時買取か仲介に切り替えて探すとよいでしょう。
4. 「買取」にかかる費用
不動産会社に買取を依頼した場合、基本的に不動産会社に対して払う仲介手数料はありません。物件を売った場合に必要な費用は、諸費用や税金が全てです。
以下、不動産を買取で売却する場合にかかる主な費用を解説します。
- 印紙税
不動産売買契約書を結ぶ場合、収入印紙を貼って割印することで納税をします。税額は、売買価格によって変わってきます。 - 抵当権抹消登記費用
住宅ローンを組んでいて抵当権がついている場合にかかる費用です。売却して得た利益でローンの残金を返済する場合、抵当権を抹消する必要があります。
その際、不動産1件につき、1,000円の登録免許税が必要となります。中古住宅の場合、土地+家の2件になりますので、2,000円かかることになります。 - 司法書士への報酬
抵当権抹消の手続きを司法書士に依頼した場合は、報酬が発生します。おおよそ5,000円~15,000円程度かかります。手続きは自分でも出来ますが、やはり手間がかかります。慣れない場合は司法書士に依頼したほうがスムーズに進めることができるでしょう。
他にも住宅ローンの繰り上げ返済の手数料や引っ越しのためにかかる費用などがあります。また、不動産を売却した際、購入時より高く売れた場合は、譲渡所得税がかかります。
詳しくは、「不動産売却にかかる費用や内訳、節約方法を解説」でも紹介していますので、参考にしてみてください。
5. 「買取」で不動産を売却する手順
- 不動産屋を探す
チラシやインターネット、地元の不動産など、買取をしてくれる不動産会社を探します。 - 査定を依頼する
売却したい物件の買取価格の査定を不動産会社に依頼します。買取価格を比較できるように、必ず複数の不動産会社に依頼するようにします。
その際、一括査定をしてくれるサイトなどを利用すれば、簡単に複数社に査定してもらうことも可能です。 - 買取価格を提示してもらう
「不動産にどのくらいの価値があるのか」「いくらで買い取ってもらえるのか」を不動産会社が提示してくれます。価格に不満な場合は、交渉してみるのもよいでしょう。どうしても金額の折り合いがつかない場合は、別の不動産会社に再度査定をお願いすることも考えましょう。 - 打合せをする
買取価格に納得がいったら、どんなスケジュールで売買を完了するか等を打合せします。引っ越したいタイミングがある場合、要望を伝えればある程度合わせてもらうことができます。 - 売買契約を行う
不動産会社と売買契約を結びます。 - 物件の引き渡しと代金の支払い
契約が完了後、売主から物件を引き渡すと同時に、不動産会社から代金が支払われます。ここまでにかかる期間は、おおよそ1ヶ月程度となります。
6. 不動産の「買取」で気になるQ&A
ここでは不動産の「買取」や「仲介」の際に気になる疑問点を一問一答形式で紹介します。
6-1.「現在、賃貸中ですが、買取で売却することはできますか?」
質問の回答
可能です。オーナーチェンジ物件として賃貸中のまま買取することできます。現在の賃貸契約を継承致しますので、賃貸人に不都合はありません。
6-2.「居住中でも、売却が決まったらすぐに引っ越さなきゃだめ?」
質問の回答
いいえ、ご心配無用です。居住中の場合は、お客様の引っ越しのタイミングに合わせて取り引きを進めることができます。買い替え先の日程や、お急ぎでの売却の場合、お子さまの転校のタイミングなどご希望のスケジュールをお知らせください。
6-3.「売却する際に、手数料などはかかるのでしょうか?」
質問の回答
いいえ、不動産会社に対する仲介手数料はかかりません。ただし、登記上の住所が現在の住所と異なる場合や、担保権の抹消の場合には、別途、登記費用が発生します。
詳しくは「4. 「買取」にかかる費用」をご参照ください。
6-4.「建物が古くて老朽化しています。このままでも買取は可能?」
質問の回答
はい、可能です。築年数が古い場合や、建物に故障がある場合も、そのままの状態で買い取りすることが可能です。買取後に建物の修繕などを行い、不動産を再生することができます。また、必要であれば不要な家具などの処分も同時に行うことができるのが買取の利点です。
まとめ
不動産の売却を行う際に、「買取」と「仲介」の判断の基準になるのは、「自分にどれだけ時間的な余裕があるか」です。
「とにかく早く不動産を売却したい」「そのままの状態で売りたい」という場合は、「買取」がおすすめです。売却まで期限があるものの、少しでも時間がある場合は、「買取保証」を上手に活用しましょう。
一方、「時間がかかってでも少しでも高く売りたい」という場合は、初めから「仲介」 を選ぶ方がよいでしょう。
売却完了までどれくらいの時間なら許容範囲なのかをしっかりと考えて、メリットを享受できる売却方法を選択してくださいね。