省エネ住宅を対象とした補助金制度の一つに、「こどもエコすまい支援事業」があります。2023(令和5年)年に実施された「こどもエコすまい支援事業」は、高い省エネ性能を有する「ZEH」などを新築すると、100万円の補助金が交付されるという魅力的な補助金制度でした。
この「こどもエコすまい支援事業」は2023(令和5年)年9月28日に予算上限額に到達し、交付申請および交付申請の予約受付が終了。2024年(令和6年)は「子育てエコホーム支援事業」という名称の補助金制度が2024年3月中下旬から開始し、予算上限に達するまで対応しています。
- 「こどもエコ住まい支援事業」の対象となる「省エネ住宅」の詳細
- 「子育て世帯」または「若者夫婦世帯」という条件の内容
- 補助金を受けるための期限、申請方法
こどもエコすまい支援事業のときは、長期優良住宅も含めたZEH住宅を対象とし1戸100万円の補助でしたが、子育てエコホーム支援事業では長期優良住宅かZEH住宅かに分けられ、補助額が異なる点が最大の変更点です。この制度の利用を検討する場合は、対象者や必要な要件などをしっかり確認したうえで、家づくりを進めていく必要があります。
長期優良住宅やZEH住宅に該当するためにはどのような設備が必要か、またどの程度コストがかかるか、しっかりと把握し組み込んだうえで間取りや資金プランを作成することが大切です。
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Contents
1.こどもエコすまい支援事業とは?
冒頭でもお伝えしたとおり、こどもエコすまい支援事業の補助金対象は高機能な省エネ住宅です。
事業の目的は、国をあげて省エネ住宅を推進することにあり、公表されている事業目的は次のとおりです。
「エネルギー価格高騰の影響を受けやすい子育て世帯・若者夫婦世帯による高い省エネ性能(ZEHレベル)を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修等に対して支援することにより、子育て世帯・若者夫婦世帯等による省エネ投資の下支えを行い、2050年カーボンニュートラルの実現を図る」
カーボンニュートラルというのは、「温室効果ガスの排出量実質ゼロ」を目指すものです。
2.こどもエコすまい支援事業の補助金を受け取る条件
次に、こどもエコすまい支援事業の対象となる「世帯の条件」「住宅の条件」「期限」について押さえましょう。
世帯 |
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住宅 |
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期限 |
※補助金が予算に達すると早めに終了してしまうことがあります。 |
それでは詳しく見ていきましょう。
2-1.「子育て世帯・若者夫婦世帯」が対象
「こどもエコすまい支援事業」の補助金は誰がもらえるのでしょうか?
新築の補助金の対象は「子育て世帯」と「若者夫婦世帯」です。(ちなみに、リフォームの補助金には、「子育て世帯・若者夫婦世帯」という条件はありません。)
「子育て世帯」とは、申請時点において18歳未満の子を有する世帯を指します。
具体的には、2004年4月2日以降に出生した子を有する世帯です。(ただし、2023年3月末までに工事着手を行うものについては、2003年4月2日以降出生の子を有する世帯も対象)
若者夫婦世帯とは、夫婦のいずれかが39歳以下の世帯を指します。
具体的には、夫婦のいずれかが1982年4月2日以降に生まれた世帯です。(ただし、2023年3月末までに工事着手を行うものについては、1981年4月2日以降出生も対象)
2-2.「高い省エネ性能を持つ住宅」が対象
補助金の対象となる主な家は、「ZEH(ゼッチ)」です。
また、太陽光発電設備を設置しない「Nearly ZEH」や、認定長期優良住宅の一部も補助金の対象になります。
ZEHの細かい種類や特徴については、3章で詳しく解説します。
ひとまず、ZEHをはじめとした高機能な省エネ住宅が補助金の対象ということだけ覚えておきましょう。
2-3.こどもエコすまい支援事業の期限
工事着手期限:2022年11月8日以降に基礎工事より後の工程の工事に着手するもの
補助金申請期限:遅くとも2023年12月31日まで
※2023(令和5)年9月28日に上限額に到達
注文住宅の場合、工事の開始時期に注意が必要です。
また、補助金の申請は工事の着手後に行いますが、申請期限は「遅くとも2023年12月31日まで」であり、これより前に補助金申請額が予算上限に達してしまうと、早めに受付を終了してしまう可能性があります。
実際、2023(令和5)年9月28日には上限額に到達し、予定より3か月も早く受付を終了しています。
2022年にも「こどもみらい住宅支援事業」という、こどもエコすまい支援事業の前身の補助金制度があったのですが、こちらは予定していた期限より4か月も早く終了してしまいました。
補助金を利用したい場合には、できるだけ早めに建築プランを決定して工事に着手し、補助金の交付申請の予約をする必要があります。
なお、契約日の期限については、2022年12月16日付で要件が見直されました。
当初は「2022年11月8日以降に工事請負契約を締結したもの」という契約日の制限がありました。
このように、補助金制度の内容は突如更新されることもあります。
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「こどもみらい住宅支援事業」との違いは?2024年は延長される?
先述のとおり、2022年には「こどもみらい住宅支援事業」という制度が実施されていました。
「こどもエコすまい支援事業」と「こどもみらい住宅支援事業」の内容はかなり似ています。
大きな違いは、補助金の対象となる住宅に、より高度な省エネ性能が求められるようになったという点です。
2022年「こどもみらい住宅支援事業」の対象住宅
- ZEH
- 高い省エネ性能を有する住宅
- 一定の省エネ性能を有する住宅
↓
2023年「こどもエコすまい支援事業」の対象住宅
- ZEH
- 令和4年10月1日以降に認定申請をした認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、性能向上計画認定住宅
なお、「こどもみらい住宅支援事業」と「こどもエコすまい支援事業」は併用できません。
「こどもみらい住宅支援事業」は2022年11月28日時点ですでに交付申請・予約を終了しています。
「こどもエコすまい支援事業」は2023年9月28日に交付申請・予約を終了しており、2024年には「子育てエコホーム支援事業」が始まります。
3.こどもエコすまい支援事業対象となる住宅の種類
こどもエコすまい支援事業の対象となる家は、高い省エネ性能を持っている住宅です。環境にやさしい住宅の取得を、国が支援するものとなっています。
ここではこどもエコすまい支援事業の対象となる住宅について、詳しく見ていきましょう。
3-1.主な対象住宅はZEH
「ZEH」という住宅を聞く機会は少しずつ増えてきましたが、内容までは詳しく知らない方も多いと思います。
ZEHは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略で、「断熱性」「省エネ性」「創エネ性」に優れているのが特徴です。
具体的には、高断熱な構造や高い性能を持った省エネ設備によって家庭で消費するエネルギーをできる限り減らし、太陽光発電システムなどでエネルギーを生み出すことで、エネルギー消費量の収支をプラスマイナスゼロにします。
ZEHと認められるためには、一定の技術基準をクリアする必要があります。
つまり、建築を依頼するハウスメーカー選びが非常に重要なポイントといえます。
2022年3月現在、全国のハウスメーカー・工務店など4,722社が「ZEHビルダー」として登録しています。
2020年にハウスメーカーが新築した注文戸建住宅では約56%がZEHとなっており、普及が進んでいます
参考:経済産業省 資源エネルギー庁「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に関する情報公開について」
ZEH住宅に強いおすすめのハウスメーカーについては、「ZEHハウスメーカー」で紹介しているので、ぜひご覧ください。
3-2.Nearly ZEHや一部の長期優良住宅も対象
こどもエコすまい支援事業の対象となるZEHの条件は、次のとおり公表されています。
強化外皮基準に適合し、再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から 20%以上 の一次エネルギー消費量が削減される性能を有するもの(ZEH、 Nearly ZEH、 ZEH Ready、 ZEH Oriented ※又は令和4年10月1日以降に認定申請をした認定長期優良住宅、認定低炭 素住宅若しくは性能向上計画認定住宅はこれに該当します。)
※BELS 評価書に記載される「ゼロエネ相当」(強化外皮基準に適合しないもの)は対象となりません。
専門用語が多くてわかりにくいのですが、ポイントは2つあります。
【ポイント1】太陽光発電は必須ではない
ZEHには省エネ性能のレベルに応じていくつかの種類があります。
こどもエコすまい支援事業の条件には、「創エネルギー」が含まれていません。
そのため、太陽光発電設備のない、「ZEH Oriented」や「Nearly ZEH」も対象になります。
【ポイント2】認定長期優良住宅なども一部対象になる
こどもエコすまい支援事業の住宅対象は幅が狭いように感じますが、実は認定長期優良住宅などの中にもZEH基準をクリアできるものがあります。
補助金の対象となるZEH基準をクリアしているかどうか、ハウスメーカーや工務店に確認してみてください。
ハウスメーカーによっては、グレードアップしなくても、標準仕様のままでZEHの性能基準をクリアできることがあります。
3-3.床面積と立地条件
補助金を受けるためには、省エネ性能のほかに、次の条件があります。
- 自ら居住する目的であること
子育て世帯又は若者夫婦世帯が、自ら居住するための住宅が対象なので、投資目的などは対象外です。 - 延べ床面積50平米以上
床面積は、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積により算定します。
吹き抜け、バルコニー及びメーターボックスは除き、階段下のトイレ及び収納等の面積を含めます。 - 土砂災害特別警戒区域は原則として除外
土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(土砂災害防止法)に定める「土砂災害特別警戒区域の外にあることが条件です。
また、災害レッドゾーン(災害危険区域、地すべり防止区域、土砂災害特別警戒区域、急傾斜地崩壊危険区域、浸水被害防止区域)で建設された住宅の一部も除外されます。
4.こどもエコすまい支援事業の手続き方法
こどもエコすまい支援事業の補助金の申請は、家のオーナーではなく、ハウスメーカー・工務店が行います。
補助金は契約したハウスメーカーや工務店にいったん振り込まれ、契約代金への一部充当または現金の支払いによってオーナーに還元されます。
こどもエコすまい支援事業の補助金申請を希望される場合は、まずは依頼先のハウスメーカーや工務店が、この事業の事業者登録を行っているか、または登録予定があるかを確認しましょう。
こどもエコすまい支援事業の申請の流れで注目すべきは、「交付申請期限」で、「遅くとも令和5年(2023年)12月末」と、既に1年もない状況です。
ハウスメーカーとの契約に2か月程度、建築に約6か月程度かかると考えると、まだハウスメーカーと契約しておらず、エコすまい支援事業の補助を検討されている方は、なるべく早くハウスメーカーを決めましょう。
- ハウスメーカーの目星は何社かある
- ZEH住宅、長期優良住宅で家づくりを検討している
上記に該当する方は、ぜひ無料のHOME4U(ホームフォーユー)プラン作成依頼サービスをご利用ください。
最大5社のハウスメーカー・工務店からまとめて家づくりプランがもらえるため、簡単に比較でき、ハウスメーカー・工務店選びが一気に進みます。
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5.こどもエコすまい支援事業の注意点
こどもエコすまい支援事業を利用したいときには、次の3点に気を付けてください。
- 予算枠が埋まると終了する
- 他の補助金と併用できないことがある
- すべてのハウスメーカーが対応できるわけではない
それぞれ詳しく見ていきます。
5-1.予算枠が埋まると終了する
「こどもエコすまい支援事業」の補助金申請の期限は、「遅くとも2023年12月31日まで」となっていますが、これよりも早く予算枠が埋まってしまうと早期終了してしまう可能性があります。
実際、2023(令和5)年9月28日には上限額に到達し、予定より3か月も早く受付を終了しています。
2022年に実施された「こどもみらい住宅支援事業」では、補助金申請額が予定よりも4ヶ月以上も早く予算上限に達したため、前倒しで受付終了となりました。
注文住宅を建てるには、まず土地やハウスメーカー等を決定し、間取りやデザインを決めて、工事請負契約を結んでから着工となります。
5-2.他の補助金と併用できないことがある
「こどもエコすまい支援事業」は、住宅の取得についての国の他の補助制度と併用できません。
地方公共団体の補助制度については併用可能です(国費が充当されているものを除く)。
他の制度との併用の可否は次のとおりです。
併用可能 |
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---|---|
併用不可 |
|
5-3.すべてのハウスメーカーが対応できるわけではない
すべてのハウスメーカー・工務店が「こどもエコすまい支援事業」の事業者登録をするわけではありません。
興味のあるハウスメーカー等には、支援事業の事業者登録の予定があるかどうか聞いてみて、スムーズに手続きしてもらえそうな企業を選ぶと安心です。
また、ZEH建築に対応していないハウスメーカー・工務店がある点にも要注意です。
大手ハウスメーカーであれば「標準仕様」がZEHに該当し、補助金の対象になる性能をクリアしていることもあります。
まとめ
省エネ住宅の新補助金事業「こどもエコすまい支援事業」について解説しました。
高機能な住宅を建てようと思うと、建築コストは上がってしまうことが多いので、使える補助金制度はしっかり活用したいものですね。
それではおさらいです。
この記事のポイント
後継事業である「子育てエコホーム支援事業」の申し込みを検討しましょう。
こどもエコすまい支援事業の対象となる世帯は、以下のいずれかです。
- 子育て世帯(18歳未満の子を有する世帯)
- 若者夫婦世帯(夫婦のどちらかが39歳以下)
詳細や、住宅の条件、期限については「2.こどもエコすまい支援事業の補助金を受け取る条件」をご覧ください。
対象になります。
こどもエコすまい支援事業の条件には、「創エネルギー」が含まれていません。
こどもエコすまい支援事業の対象となるZEHの条件については「3-2.Nearly ZEHや一部の長期優良住宅も対象」で詳しく解説しています。
こどもエコすまい支援事業は、国費が充当されているものを除き、地方公共団体の補助制度については併用可能です。
詳細は「5-2.他の補助金と併用できないことがある」で解説しています。