一戸建て賃貸はデメリットが多い?賃貸マンションとの比較・住まいの選び方解説

一戸建て賃貸住宅は賃貸マンションと比べると広い物件が多く、駐車場が付くこともあるといったメリットはありますが、物件数が少なく、賃貸住宅全体のわずか2%程度しかありません。

そのため、立地や築年数などの条件が合う物件が見つかりにくいというデメリットがあります。

また、古い物件が多く、断熱性能やセキュリティが不十分なケースもあります。

この記事では、一戸建て賃貸を選ぶ前に知っておきたい、デメリットやメリット、選び方についてまとめました。

この記事でわかること
  • 一戸建て賃貸のデメリット
  • 一戸建て賃貸のメリット
  • 賃貸住宅の選び方

「賃貸住宅は気軽に引っ越せるのが魅力」ともいわれますが、実際には引っ越し代や原状回復費用などの多額の費用がかかり、そう気軽には引っ越せません。暮らしやすい住まいを選ぶためにも、ぜひご覧ください。

戸建てにしようかマンションにしようか、あるいは注文住宅にしようか…と、マイホームの種類に迷っている方は「住み替え」の記事もご覧ください。

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1.一戸建て賃貸住宅のデメリット

一戸建て賃貸住宅のデメリット_イメージ

賃貸住宅には、マンションやアパートなどの集合住宅だけでなく、戸建て住宅もあります。

部屋数の多さにこだわる方や、庭や駐車場の付いた物件に暮らしたい方なら、一戸建て賃貸住宅は一つの選択肢ですが、注意しておきたいデメリットもあります。

一戸建て賃貸住宅のデメリット
  • 供給数が少なく、条件に合う物件が見つかりにくい
  • 築年数が経っている物件が多く、住宅性能に問題がある物件もある
  • 光熱費がかさむ傾向にある
  • セキュリティ対策が必要なことがある
  • 近所付き合いがある
  • 庭の手入れに手間がかかることがある

実際に暮らしてみると「こんなはずでは……」と後悔することがあるかもしれません。満足できる住宅に暮らすためにも、一戸建て賃貸住宅のデメリットについて確認しておきましょう。

1-1.供給数が少なく、条件に合う物件が見つかりにくい

国土交通省が実施した「建築着工統計調査 住宅着工統計(2023年)」によれば、2023年に着工した新築賃貸住宅343,894戸のうち、賃貸一戸建てとして建てられたのは5,735戸でした。賃貸住宅全体に占める一戸建ての割合は約2%ですが、新築に限ると一戸建ては全体のわずか1.7%であることからも、賃貸住宅として新しく建てられる一戸建ては少ないことがわかります。

住宅着工戸数(2023年)
住宅の種類 建築着工戸数
新設貸家合計 343,894戸
新設貸家一戸建 5,735戸(1.7%)
新設貸家長屋建 71,284戸(20.7%)
新設貸家共同住宅 266,875戸(77.6%)

注文住宅や分譲住宅として建てられた一戸建てが、後日、賃貸物件として活用される可能性があるため、実際に市場に出回っている一戸建て賃貸住宅の割合は1.7%よりは多くなると考えられます。

しかし、マンションやアパートといった共同住宅と比べると、一戸建ての賃貸住宅が圧倒的に少ないことは予想に難くありません。

少ない物件の中で、立地や部屋数、設備などの条件をすべて満たす物件が見つかる可能性はかなり低いと考えられます。条件を妥協するか、賃貸一戸建て以外の選択肢を検討するかが必要になるかもしれません。

1-2.築年数が経っている物件が多く、住宅断熱に問題がある物件もある

一戸建ては頻繁に建て替えられるものではなく、また、賃貸用に新築される物件が多いわけでもありません。注文住宅や分譲住宅として建てられ、年数が経ってから賃貸物件として市場に出回ることもあるため、築年数が経っている物件が多いと考えられます。

住宅の断熱性能やセキュリティなどは、日々進化しています。築年数が経った物件は、新築物件と比べると住宅性能が劣るかもしれません。

1-3.光熱費がかさむ傾向にある

一戸建てはマンションやアパートなどの集合住宅に比べると、床面積が広く、光熱費がかさむ傾向にあります。

また、1-2のとおり築年数が古く、断熱性や気密性が十分でない物件なら、さらに光熱費がかかるかもしれません。

近年では高性能なマンションや、ZEH、長期優良住宅といった補助金制度を活用してお得に建てられる新築住宅が軒を連ねる街並みも珍しくはありません。

そのようなマイホームに憧れがある方にとっては物足りなさを感じるかもしれません。

1-4.セキュリティ対策が必要なことがある

一戸建て賃貸は築年数が経っているものも多く、新築物件と比べるとセキュリティに問題がある物件もあります。また、新築物件や築浅物件であっても、建築主自身が暮らす持ち家と比べてセキュリティへのこだわりが低く、安心して暮らせないと感じるかもしれません。

しかし、セキュリティに問題があっても、賃貸住宅では賃借人が勝手に対応することはできません。まずは大家さんに相談し、大家さんが必要と判断したセキュリティ対策を実施することが必要です。

また、大家さん主導で行われるセキュリティ対策が十分でない可能性や、大家さんが対応してくれない可能性もあります。自費でセキュリティ対策を実施し、退去時に原状回復の実施や費用を求められるリスクもあるでしょう。

1-5.近所付き合いがある

賃貸マンションと比べると、一戸建て賃貸は近所付き合いが密になる傾向にあります。いつまで暮らすかわからない状態での近所付き合いは面倒と考える方にとっては、デメリットといえるでしょう。

たとえば、賃貸マンションではゴミは契約業者が回収してくれますが、一戸建てでは地域のゴミ捨て場まで各自で持って行かなくてはいけません。ゴミの出し方について注意を受けたり、ゴミ捨て場の掃除当番を定期的に引き受けたりすることもあります。こういった些細なことであっても、何ヶ月・何年と続くのはストレスに感じるでしょう。

1-6.庭の手入れに手間がかかることがある

一戸建て賃貸には、庭が付いていることもあります。「小さな子どもを遊ばせるスペースがほしい」「ガーデニングを楽しみたい」と考える方なら、メリットといえるでしょう。

しかし、忙しい方や庭に興味のない方にとっては、庭の存在がデメリットになる可能性があります。手入れをせずに放置すると、害虫が増えたり、日当たりや風通しが悪くなったりするため、暮らしにくくなるかもしれません。庭木や雑草が成長して隣家の敷地に入り込み、トラブルの原因になることもあります。

また、庭の手入れをしないと、善良なる管理者としての注意義務「善管注意義務」に違反し、退去時に多額の原状回復費を請求されるリスクもあります。善管注意義務については賃貸契約書に記載されているため、入居前に確認しておきましょう。

反対に、庭を有効活用したいと考えていた方にとっても、庭の存在が負担になるケースもあります。賃借人には入居時と同じ状態に戻して退去する「原状回復義務」が課せられるため、ガーデニングや家庭菜園を楽しみにくくなるかもしれません。

賃貸一戸建てのデメリットは持ち家だったらある程度解消ができる余地もあり、またマンションよりも広さがある分、家賃も高めの物件が多い傾向があります。
家賃と同じ月々の支払いで、家を購入してみるというのも選択肢にいれてみてもよいでしょう。
よりカスタマイズができる注文住宅なら、自由に性能やセキュリティにこだわった住宅を建てられるため、満足度の高い一戸建てが完成します。

ただ、一戸建てには興味はあるものの、住宅展示場へ行って営業担当者と話すのは抵抗があるという方も多いのではないでしょうか。「まだ悩んでいる段階なのに、強く勧められたらどうしよう」「いきなり予算とか聞かれても困る」という方もいるでしょう。

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2.一戸建て賃貸住宅のメリット

一戸建て賃貸住宅のメリット_イメージ

一戸建て賃貸には下記のようなメリットもあります。

一戸建て賃貸住宅のメリット
  • マンションと比べて広い物件が多い
  • 生活音を気にせずに暮らせる
  • 駐車場付き物件もある

一戸建て賃貸の主なメリットを紹介します。

2-1.マンションと比べて広い物件が多い

PDF国土交通省のデータ」によれば、全住宅の一戸あたりの広さは平均93.0平米ですが、一戸建て住宅に限ると129.3平米でした。

このことからも、マンションやアパートと比べて、一戸建て住宅は広い物件が多いことがわかります。リビングや浴室などの共同利用するスペースが広かったり、部屋数が多く各自が個室を確保できたりといったメリットを感じられるでしょう。

2-2.生活音を気にせずに暮らせる

戸建て住宅なら、マンションのように上下左右に別住居がないため、生活音を気にせずに暮らしやすくなります。周囲の生活音も聞こえにくくなるため、静かな暮らしを実現できるかもしれません。

マンションの構造や間取りによっては、十分に注意をしていても、水を流す音や足音が響くことがあります。また、生活音が原因で階下や隣家の住民とトラブルが生じることもあるため、常日頃から音に配慮して暮らすことが必要です。

2-3.駐車場付き物件もある

マンションでも駐車場付き物件はありますが、1階の一部のみのことが多く、あまり一般的ではありません。

しかし、一戸建て住宅なら駐車場が付いた物件は珍しくなく、通勤や通学に車を使っている方ならより便利に生活できるようになります。また、駐車場代がかからない物件もあり、月々の支出を減らせるかもしれません。

3.【賃貸住宅】一戸建て・集合住宅の選び方

住宅を選ぶときは、ご自身や一緒に暮らす方のライフスタイルや好みなどに合っていることが大切です。賃貸一戸建てか、賃貸マンション・賃貸アパートか迷ったときには、次のポイントに注目してみましょう。

賃貸住宅を選ぶときの注目ポイント
  • 居住条件
  • 普段の移動手段
  • 将来の住まい

それぞれのポイントについて解説します。

3-1.居住条件

賃貸マンションや賃貸アパートは、もとももともと賃貸物件として建てられていることが一般的です。

そのため、居住期間の条件がなく、貸主側に正当な事由がない限り、契約を更新して暮らし続けることが可能です。

一方、賃貸一戸建ては賃貸物件として建てられた物件もありますが、もともとは注文住宅や分譲住宅として建てられた物件も少なくありません。そのため、「家主が転勤先から戻って来るまで」「子ども世帯が引き継ぐまで」のように、大家さんの都合で居住期間が決まっていることがあります。

一時的に借りるだけなら問題はないかもしれませんが、長きにわたって暮らす予定があるなら、居住期間が限定されている物件は避けるほうが良いでしょう。

3-2.普段の移動手段

戸建て住宅は集合住宅と比べると、一戸あたりの土地面積が広くなるため、駅前や複数の交通手段を選択できる便利な土地に建っていることは少ない傾向にあります。

そのため、一戸建て賃貸に暮らすなら、普段の移動手段は車のほうが適しているかもしれません。

また、マンションは別途駐車場代が発生するだけでなく、敷地内に駐車場がないリスクや、すでに敷地内の駐車場が埋まっているリスクもあります。

普段から車で移動している方だけでなく、車を所有している方も、戸建て住宅を検討してみましょう。

3-3.将来の住まい

将来的にマイホームを持つ予定なら、暮らしたい住まいを研究するためにも、購入予定の住宅の種類を借りてみてはいかがでしょうか。
分譲マンションを購入するなら賃貸マンション、戸建て住宅を購入するなら賃貸一戸建てを検討できます。

ただし、マイホームを持つためには、住宅ローンの頭金や手数料などにまとまった資金が必要です。住宅資金を貯めるためにも、住宅の種類だけでなく家賃にもこだわり、できれば低く抑えるようにしましょう。

国土交通省の「賃貸住宅市場の実態について」によれば、賃貸一戸建ては賃貸マンションよりも平米あたりの賃料が低い傾向にあります。例えば、首都圏では賃貸一戸建ての1平米あたりの賃料は、賃貸マンションよりも1,000円、賃貸アパートよりも700円ほど安価です。家賃を抑えられる分、マイホームの獲得に必要な資金を早く貯められるかもしれません。

持ち家と賃貸の費用をシミュレーション!注文住宅と建売・分譲の比較も

参考:PDF国土交通省|賃貸住宅市場の実態について

4.一戸建てなら「注文住宅」を視野に入れてみよう

一戸建て賃貸のデメリットは、「注文住宅」で解消できるものも多くあります。

例えば、供給数が少ない一戸建て賃貸では条件に合う物件が見つからなくても、注文住宅なら自由に間取りや設備を決められるため、理想の住まいを実現しやすくなります。

また、断熱性能にこだわれば、冬温かく夏涼しい住まいに光熱費を抑えて暮らすことが可能です。セキュリティも同様です。建物だけでなく外構も自由に決められるため、低木を植えて死角を減らしたり、防犯カメラや忍び返しなどを設置したりできます。

注文住宅には、長期的に見ればコスト面でのメリットもあります。
PDF国土交通省のデータ」によれば、注文住宅を購入した方の住宅ローンの平均年間返済額は155.2万円です。ボーナス時にも通常の返済額を返済すると仮定し、14で割って1か月あたりの返済額を求めると、約 11.1万円となります。

一方、賃貸住宅の平均家賃(共益費含む)は約8.3万円です。注文住宅のほうが1か月あたり約4.6万円住宅にかかる負担は大きくなりますが、補助金を上手に活用したり、自分の予算・要望に合致したハウスメーカーを見つけたりするならば、月々の家賃程度に負担を抑えることは可能です。(参考:国土交通省|令和5年度 住宅市場動向調査 報告書

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また、一時的に住宅費がかさんでも、住宅ローンが終われば注文住宅のほうが住宅にかかる負担は少なくなります。家賃なしに暮らせるだけでなく、売却してまとまった資金を得たり、子どもに残したりできるのも持ち家ならではのメリットといえます。

注文住宅に興味を持ったときは、家づくりのプロに相談してみましょう。

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まとめ

一戸建て賃貸は賃貸マンションと比べると供給数が少なく、条件に合う物件が見つかりにくいというデメリットがあります。また、築年数が古く、断熱性能やセキュリティに不安がある物件も少なくありません。

理想の住まいを追求するなら、ぜひ「注文住宅」にも目を向けてみてはいかがでしょうか。一時的に出費がかさむことがあっても、将来的に家賃の支払いがなくなるため、長期的に見れば住宅費を抑えられることもあります。

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