注文住宅を検討する際に、旗竿地という言葉を聞くことがあるでしょう。旗竿地とは、上から敷地を見た際に「旗」と「竿」のような形をした土地のことで、道路に接する土地部分が細長く、奥に建物が建っています。
土地の形ゆえに、家を建てるうえでは制限がある一方で、隠されたメリットも多いため、旗竿地で注文住宅を検討するのであれば、しっかり理解しておく必要があります。
この記事では、旗竿地について以下の点を紹介します。
- 旗竿地が恥ずかしいと言われる理由
- 旗竿地のメリット
- 旗竿地を検討する際に確認しておきたい
最後までぜひご覧になり、注文住宅の候補に旗竿地も入れてみてください。
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土地購入から家づくりを始める方は「土地の探し方」もご覧ください。
1.旗竿地とは?
旗竿地が恥ずかしいと言われる理由を解説する前に、旗竿地とは何かについて、まずは解説します。旗竿地とは、上から土地を見た際に「旗」と「竿」からなる形をした土地のことです。土地の形が竿につけた旗のような形をしていることから、旗竿地と名付けられています。
旗竿地が生じる原因に関係しているのが、建築基準法です。建物を建てる際に、建築基準法には一定の条件を満たさなければならない「接道義務」という規定があります。接道義務とは、幅員4mの道路に2m以上間口が接していなければ、住宅の建築ができないという規定のことです。
接道義務は、原則として都市計画区域および準都市計画区域内、つまりは住宅などを建てる地域に適用される規定です。この接道義務を満たすために、土地部分を道路側へ伸ばしたために旗竿地ができていることがほとんどです。
なお、旗竿地は不整形地に分類されます。四角くて平らな土地を整形地と呼ぶのに対し、三角形や五角形だったり、敷地内に高低差があったりする土地を不整形地と呼び、旗竿地もその1つです。
不整形地は整形地と比べると家を建てるにおいて間取りなどの制限が発生しやすくなりますが、土地の需要が高い都市部では不整形地でも需要が高いため、旗竿地は都心部でよく見られることが多くなっています。
2.なぜ「旗竿地は恥ずかしい」と言われるのか?
ここからは、旗竿地がなぜ「恥ずかしい」と言われるのかについて説明していきます。旗竿地に家を建てるうえで、多くの人が悩むポイントとしては下記の3点が挙げられます。
- 駐車スペースが狭いから
- 日当たりが悪いから
- 工事費用が高くなる場合があるから
2-1.駐車スペースが狭いから
1つめの理由は駐車スペースが狭いからです。土地と道路の接している部分が少ない旗竿地では、どうしても駐車スペースが狭くなってしまうデメリットがあります。
旗竿地において駐車スペースとなるのは、主に路地部分の敷地である「竿」部分です。その場合、道路に接している幅の広さが重要になってきます。上記で説明したように、間口は最短約2mのため、普通車や軽自動車以外の車では駐車自体も難しいうえに、乗り降りにも手間がかかってしまうでしょう。
仮に旗竿地の「旗」の部分に駐車スペースを確保できたとしても、車の転回は不可能です。そのため、バックで「竿」部分を進む必要が出てきます。
さらに、どうしても駐車スペースが確保できない場合は、駐車場を近くに借りることもあり得るでしょう。せっかくのマイホームなのに、自家用車を停めるのに一苦労するデメリットから、旗竿地が恥ずかしいと言われています。
2-2.日当たりが悪いから
2つめの理由が、旗竿地の日当たりの悪さによるものです。旗竿地は奥まった敷地になるため、建物自体が周囲の建物に囲まれるケースが多く、日当たりや風通しが悪い傾向があります。
また、日当たりや風通しは、家への住み心地に大きく影響してくるため、採光や通気性などの環境が悪いとあまり住み心地の良い家にはなりません。
さらに、風通しが悪いと外壁が痛んだり、コケやカビが生えやすくなったりしてしまうデメリットもあります。マイホームの住環境を重視している方は、注意しましょう。そのため、旗竿地でマイホームを建てる場合は、設計や間取りでこれらの要因を解消できるようにすることが大切です。
日当たりが悪いことによる影響は、雪の降る地域では余計に大きくなります。旗竿地に雪が積もった場合、除雪車が敷地内に入れず、自分で雪かきや除雪を行うことになるため注意が必要です。
竿の部分が長ければ長いほど、除雪する距離も長くなります。家庭用の除雪機で対応できることが多いようですが、雪の降る地方で旗竿地にマイホームを建てようと検討中の方はご注意ください。
そのほか、旗竿地における構造上のデメリットとして、家から郵便ポストまでの距離が遠いことも挙げられます。郵便ポストが遠いと、雨の日や寒い日に、ポストを見にいくだけで面倒です。
もちろん、ポストを家の近くに設置することもできるでしょう。そうすると今度は郵便屋さんやセールスマンが家の敷地に入ることになってしまうデメリットがあります。こういった、意外なデメリットもあることを理解しておきましょう。
旗竿地のこれらのデメリットをメリットに変える方法を知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
2-3.工事費用が高くなる場合があるから
3つめの理由が、工事費用が高くなる可能性がある点です。旗竿地に住宅を建築する場合、以下のような理由で想定以上のコストがかかるケースがあります。
- 路地状部分が狭すぎて重機などが入れない
- 職人の作業が増え、料金が割り増しになる
- ガス・電気などのインフラ設備が土地まで通っていない可能性がある
旗竿地は特異な形状のため路地が狭く、建築重機がなかまで入っていけない場合があります。もし重機がなかに入れなかった場合は、職人が機械分の作業もすることになり、職人の作業も増えてしまうため、結果的に工事費が高くなってしまう可能性があるでしょう。
また、土地まで電線や水道管が通っていない可能性も否定できません。その場合は引き込み工事が必要となり、追加で工事費がかかってきます。旗竿地の購入を検討している場合は、まずは建築先のメーカーが旗竿地に対してどれほどのノウハウや知見があり、得意としているか、追加費用はどれほどかを事前に調査しておくとよいでしょう。
ただし、初めて家づくりをする場合は情報収集や検討に時間を要してしまうことが多くあります。
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3.旗竿地は恥ずかしくない!旗竿地のメリット
旗竿地が恥ずかしいと言われる理由について解説しました。一方で、旗竿地には多くのメリットがあることも事実です。主なメリットとして、以下の5つが挙げられます。
- 立地の割に安い
- 建物にお金をかけられる
- 固定資産税が安い
- 人目が気にならない
- 災害の被害が少なくて済む場合がある
3-1.立地の割に安い
旗竿地の1つめのメリットは、立地の割に価格が安い傾向にあることです。旗竿地は特殊な形状をしているため、周囲の土地と比較して2~3割程度安く購入できる可能性があります。
人気のエリアに住みたいけど高くて土地が購入できないと思っていても、旗竿地なら予算内に収まる可能性があるかもしれません。
3-2.建物にお金をかけられる
旗竿地は立地の割に安い傾向にあるため、予算を建物に回せる点が、2つめのメリットです。希望するプランやオプションがあった場合、予算が限られていて諦めざるを得ないこともあるでしょう。
しかし、旗竿地であれば、土地代が安く浮かせることが可能なため、プランやオプションの希望が叶ったり、憧れだった大手ハウスメーカーに建築を依頼できたりする可能性が出てきます。
また、建物に回さずとも、理想の家を実現するために家具や家電の費用にあてることもできるでしょう。
3-3.固定資産税が安い
3つめのメリットが、固定資産税を安く抑えられる点です。固定資産税は、土地の評価に応じて額が上がります。住宅の建設に適した正方形や長方形の土地と旗竿地とを比較すると、旗竿地には建物を建てるために使えない部分があるため、評価が低くなり、価値も下がる傾向にあります。
また、評価額をもとに計算される都市計画税もそれにともない低くなるため、旗竿地は購入後の税金の支払いを抑えられるメリットがあるといえるでしょう。
3-4.人目が気にならない
4つめのメリットが、人目を気にせず落ち着いて生活できる点です。旗竿地は道路に面しているのが間口部分のみで、奥まった敷地に住宅があるため、道路からの人目が気になりません。
また、子育て世帯の方の場合、玄関の前がすぐに道路といったことがないため、子どもの飛び出しなどによる事故の心配もありません。
視線や危険からプライバシーを守りつつ、安心して生活できるのは、旗竿地ならではのメリットです。
3-5.災害の被害が少なくて済む場合がある
隣家に囲まれている旗竿地だからこそのメリットは、災害の被害などが少なくて済む場合が多い点です。旗竿地は周囲を建物で囲まれているケースが多く、周囲の建物が盾の役割になって台風などの被害が少ない傾向があります。半面、火災に関しては近隣の建物の状態に影響を受けやすいため、購入前に様子をよく伺った方がよいでしょう。
周囲に建物があることによるデメリットの日当たりや風通しの悪さは、工夫次第で解決可能です。
たとえば、下記のダイワハウスの建築事例では人目に触れにくい旗竿地の特徴を生かした、プライベートな空間づくりを意識した設計が行われています。
引用元:https://www.daiwahouse.co.jp/jutaku/feature/indexlife/zizai/case7/
4.旗竿地がおすすめな方
続いて、旗竿地がおすすめの方を紹介します。旗竿地が向いているのは、以下のような方です。
- 静かな環境を求める方
- 家の外装内装にお金をかけたい方
- 洗濯が外干しできなくても良い方
4-1.静かな環境を求める方
旗竿地は、道路から離れた場所に建物が建っているため、静かな環境を求める方にピッタリといえます。人の声や車の音、排気ガスなども気になりづらいのが魅力です。
なかには、駅や街中へのアクセスも良い旗竿地もあるため、好立地で理想のマイホームを持ちたい方にとって、旗竿地は魅力的な選択肢といえるでしょう。
4-2.家の外装内装にお金をかけたい方
家の内外装にお金をかけたい方も、旗竿地を選ぶようにしましょう。旗竿地は土地が安いため、内外装に予算を回せます。
旗竿地であれば、土地の特性を行かしてガーデニングに凝った庭を作ったり、3階に屋上を作ってBBQを楽しんだりといったことも可能です。また、お気に入りの家具や家電がある場合は、そちらを揃えて室内を充実させてもいいでしょう。
土地から建物まですべてで思い通りにできればいいですが、お金をかけるところとかけないところのメリハリをつけて理想を追求することも重要です。
4-3.洗濯が外干しできなくても良い方
洗濯物を外で干さなくても気にならないという方も、旗竿地が向いています。旗竿地は日当たりが悪いケースが多いため、洗濯物を外で干すとどうしても時間がかかってしまうものです。
普段から洗濯乾燥機を使って乾燥させる方や部屋干しが好きな方にとっては問題ないため、旗竿地を選ぶといいでしょう。
旗竿地をうまく活用した家を建築するにあたっては、その土地の特徴・特性を理解したハウスメーカーや工務店との調整が不可欠です。効率的に自分に合うハウスメーカーを把握するために、まずは無料で使える HOME4U(ホームフォーユー)プラン作成依頼サービスを活用することをおすすめします。
複数のハウスメーカーへ同時に間取りや予算などの相談が可能で、もし「ちょっと違うな…」と思ったら、メーカーへのお断り代行もいたします。
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5.旗竿地を検討するなら確認しておきたいこと
最後に、旗竿地を検討する際に確認しておきたいポイントをご紹介します。確認ポイントは、以下の5点です。
- 電気の中継ポールの必要性
- 間口の広さ
- 水道の引き込み費用の有無
- 近隣住民への配慮
- 工事費の追加料金の有無
5-1.電気の中継ポールの必要性
旗竿地では、電柱から家へ引き込む電線のたるみをなくすために、中継ポールが必要な場合があります。中継ポールは20万〜40万円するため、事前に確認しておきましょう。
5-2.間口の広さ
旗竿地に注文住宅を建てる場合は、間口が3m以上ある旗竿地を選びましょう。建築基準法では開口が2m以上となっていますが、2mでは車を置くと人が通るのも大変な状況です。
一般的なスーパーの駐車スペースは2.5mのため、人が通れるスペースを確保するのであれば、間口が3m以上ある旗竿地を選ぶといいでしょう。
なお、ミラーを開いた状態の各車種の車幅は、以下のようになっています。
- 軽自動車:1.7m以下
- 普通車:約2m
- コンパクトカー:約1.9m
マイカーの購入も同時に検討している場合は、上記の数値も参考にしてください。
5-3.水道の引き込みの有無
旗竿地は道路から水道管までの距離が長い分、水道の引き込み費用が別途必要になる可能性があります。止水栓まで、メーター器まで、など引き込む条件によって値段も変わってくるため、早めに確認するようにしましょう。
5-4.近隣住民への配慮
旗竿地に家を建てる際に注意したいのが、近隣住民とのトラブルです。安心して長く暮らすためにも、トラブルは避けたいところでしょう。
旗竿地は四方を住宅に囲まれている場合が多く、周囲の建物との距離が近いため、工事中の騒音が近隣に響きやすいです。また、狭い道幅で工事用トラックや業者が行き来することで、近隣住民の通行の妨げになる場合もあります。
旗竿地の工事は、整形地と比べて工事時間が長くなる傾向にあるため、近隣に迷惑をかける期間も長くなりがちです。近隣との関係は工事後も続くため、入念な配慮を心がけましょう。
5-5.工事費の追加料金の有無
購入する旗竿地の条件に応じて、どのような追加費用がかかるのかを事前に確認することが大切です。土地代が安くても、建築費用がかさんで予算オーバーとなってしまうことも考えられます。
事前に必要な予算を把握しておくためにも、HOME4U(ホームフォーユー)プラン作成依頼サービスで、効率的にハウスメーカー複数社を平行して比較・検討することをおすすめします。
まとめ
旗竿地は、決して恥ずかしいものではありません。立地の割に安く土地を買えて建物にお金を回せたり、人目を気にせず静かに生活できたり、多くのメリットが存在します。
たしかに、駐車スペース問題や日当たりの問題など解決すべき点はいくつかあるのは事実です。しかし、工夫次第でデメリットは解消できます。
本記事で旗竿地についての詳細を押さえ、理想の注文住宅を実現しましょう。