本記事では、注文住宅を建てるにあたり、太陽光発電システム設置をご検討の方に、以下の内容を解説します。
- 新築住宅に太陽光発電システムを設置・運用する仕組み
- 設置費用・維持費用の内訳や費用目安、電気の売買価格、補助金制度
- 「新築時」に設置するメリット、検討時の注意点、費用節約のポイントなど
太陽光発電システムの導入が、建築後の家計や地球環境に対してどのようなメリットとなるかについても説明するので、ぜひ参考にしてください。
またFITによる2023年度の売電価格について知りたい方は、「2-2.家庭用太陽光発電の売電価格」からお読みください。
注文住宅のおすすめ設備について知りたい方は「注文住宅の設備」の記事もご覧ください。
Contents
1.住宅用太陽光発電の仕組み!ZEH住宅とは?
住宅用太陽光発電とは、屋根部に取り付けた太陽電池モジュール(ソーラーパネル)を使って発電や売電をする仕組みのことです。
太陽電池モジュール(ソーラーパネル)に太陽光があたると発電し、つくられた電気はパワーコンディショナーを通じて家庭用に使用できる形に変換されます。また、発電した電気をすべて使い切れないときは、契約した電力会社に売電(電力を売って利益を得ること)されるので、発電量が多いときにも無駄にはなりません。
1-1.太陽光発電の収益は「売電価格」「自家発電」「設置コスト」で見る!
太陽光発電システムを設置することで、自家発電が可能になり、電力会社から買う電力量が減ります。また、あまった電力は売電できるため、発電量が多いときには収益を得ることができます。
売電価格は資源エネルギー庁により毎年改正されています。年々価格は下がり気味のため、売電によって得られる収益も減少傾向にあるといえるでしょう。しかし、太陽光発電システム自体の価格も下落しているため、収益率(利回り)が下がっているわけではありません。
ただし、太陽光発電システムに対するニーズは高く、世界で需要高となっていることから、設置コストは下げ止まりも見込まれます。太陽光発電システムを導入するのであれば、早めに検討するほうが良いでしょう。
1-2.オール電化と太陽光発電で電気代ゼロ、もしくは節約が可能
オール電化と太陽光発電を組み合わせることで、電気代を低く抑えられることがあります。本来、オール電化とはガスを使用せずに電気だけで家庭内のエネルギーをまかなう方法なので、ガスに頼っている部分が電気に変わる分、電気代は高額になることが一般的です。
しかし、太陽光発電とオール電化を組み合わせることで、電気代が安く設定されている夜間の電力を活かしてお湯を沸かすなど、日中の電気使用量を抑えられることもあります。
ガスの基本料金が不要になる点も、光熱費のコストダウンにつながるでしょう。
また、太陽光発電や蓄電池と組み合わせることで、災害時にも水や電気が使えるといったメリットがあります。エネルギーコストを下げるだけでなく、万が一に備えるためにも、太陽光発電システムの導入やオール電化を検討できるでしょう。
1-3.ZEHは太陽光発電システムで消費電力をゼロにする「エコ住宅」!
ZEH住宅(ゼッチ、Net Zero Energy Houseを省略した言葉)は、太陽光発電など再生可能エネルギーシステムを導入し、家庭内で必要な電気をすべて家庭内でまかなう消費電力ゼロのエコ住宅です。一般的な住宅よりも消費エネルギー量が低く、断熱性能と省エネ性能、創エネ性能の3つの性能を兼ね備えています。
住宅用太陽光発電は、ZEH住宅に欠かせません。太陽光発電を組み込んだZEH住宅を建てることで、より大きく電気代を節約できるという経済的なメリットがあります。また、電力会社から購入する電力量が減るため、結果的には化石燃料などを使った発電量が減り、二酸化炭素などのカーボン排出量を抑えて地球温暖化防止にもつながります。
地球環境を守り、次世代により良い状態で引き継いでいくためにも、ZEH住宅は大切な考え方といえます。
ただし、すべてのハウスメーカーや工務店がZEH住宅に対応しているわけではありません。
ZEHを検討する際には、ZEH対応のハウスメーカーから建築依頼先を選びましょう。
なお、一定の基準を満たすことで、国のZEH補助金を活用することが可能です。ZEH補助金の制度は少々複雑で、さらに年度ごとに改良や変更が重ねられているため、最新の情報について詳しく知りたい方は、一度プロの解説を聞いてみるのがよいでしょう。
ハウスメーカーではなく第三者の意見を聞きたいという方には、「HOME4U 家づくりのとびら」の無料相談サービスがおすすめです。完全無料でハウスメーカー出身の専門アドバイザーに、補助金制度や予算なども含めた家づくりに関する相談ができます。
2. 住宅用太陽光発電システム設置の「費用相場」「売買価格」「補助金」
売電価格は年々下がっていますが、同時に住宅用太陽光発電システムを設置する費用相場も下がっているため、設置費用の回収後は収益性が期待できます。
また、住宅用太陽光発電システムを導入する際に利用できる補助金制度を活用すれば、さらに導入費用を抑えられ、収益性を高めることができるでしょう。
ここからは、太陽光発電システムを導入する前に知っておきたいシステム設置の「費用相場」と「補助金」制度について解説します。
2-1.住宅用太陽光発電を設置する費用相場
経済産業省の調達価格等算定委員会がまとめた「令和4年度以降の調達価格等に関する意見」によれば、住宅用太陽光発電システムの設置費用相場は低下傾向にあります。
1kW当たりの設置費用 | |
---|---|
2017年度 | 34.4万円/kW |
2018年度 | 31.3万円/kW |
2019年度 | 29.2万円/kW |
2020年度 | 28.3万円/kW |
2021年度 | 28.0万円/kW |
※住宅用太陽光発電システムの設置価格の上位46%の数値を中央値としています。
2022年度は25.9万円/kWになることが予想されており、今後も低下傾向が続くと予想されるでしょう。
ただし、前述のように太陽光発電システムに対するニーズの高まりから、いつまでも低下傾向が続くと考えることは難しいという見方もあり、早めの対応が必要といえます。
2-2.住宅用太陽光発電の売電価格
収益性を考える上では、売電価格の相場も押さえておきましょう。資源エネルギー庁の公表資料によれば、10kW未満の住宅用太陽光発電システムにおいて、2023年度に設置された場合、1kWhあたりの売電価格は16円を10年間保証します。
2020年度からの売電価格の推移は以下のとおりです。
住宅向けの太陽光発電の場合、10kW未満が参照すべき基準となります。
10kW未満 | 10kW以上50kW未満 | 50kW以上250kW未満 | |
---|---|---|---|
2020年度 | 21円 | 13円 | 12円 |
2021年度 | 19円 | 12円 | 11円 |
2022年度 | 17円 | 11円 | 10円 |
2023年度 | 16円 | 10円 | 9.5円 |
売電価格は年々下がっており、早期に売電を始めるほうが高収益を期待できると考えられます。
2-3.太陽光発電の設置で使える補助金・減税政策
住宅用太陽光発電システムを導入するときには、次のような新築住宅の補助金制度、減税制度を利用できることがあります。
- ZEH支援事業
- 地域型住宅クリーン事業
- 住宅ローン減税
いずれも住宅設備などに条件が定められているので、ハウスメーカーの担当者などと相談して、設計の時点から注意する必要があります。
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3.太陽光発電システム設置費用・維持費の内訳
太陽光発電システムにより売電や節電を実現すれば、長期的に見れば電気代の節約に繋がることがあります。
経済産業省の「 令和4年度以降の調達価格等に関する意見」に基づき、最初にどの程度の費用がかかるのか、また、維持費についても見ていきましょう。
3-1.太陽光発電システム設置費用の内訳
太陽光発電システムの工事費の平均金額は1kWあたりおおよそ6.6万円です。
太陽光発電システムには、以下の設備が含まれます。
- 太陽電池モジュール(ソーラーパネル)
- 架台
- パワーコンディショナー、接続箱
- 発電量モニター
- 蓄電池システム(オプション・希望する場合のみ)
上記に加え、施工費用が必要です。施工費用は設置会社によって異なるので、いくつかの会社から見積もりを取るようにしましょう。
ここからは、それぞれの2021年の平均費用をもとに紹介します。
(1)太陽電池モジュール
太陽電池モジュールとは太陽光を受けてエネルギーに変換する装置が集合したシステムで、太陽光パネルとも呼ばれます。1kWあたり17.1万円が相場です。
(2)架台
架台は太陽電池モジュールを支える部分です。屋根の傾斜などによって適した素材が異なります。また、降雪量が多い地域は、通常よりも高さのある架台が必要になり、費用にも影響を与えることがあります。1kWあたり2.1万円が相場です。
(3)パワーコンディショナー、接続箱
パワーコンディショナーとは、太陽電池モジュールで発電した電気を直流から交流に変換する設備のことです。接続箱を通して、太陽電池モジュールで生み出された電気をまとめ、パワーコンディショナーに送ります。パワーコンディショナーの費用相場は1kWあたり4.2万円です。
(4)発電量モニター
発電量モニターとは、発電量や売電量を確認するモニターです。モニターの価格は販売会社によって異なります。
(5)蓄電池システム(オプション・希望する場合のみ)
蓄電池システムとは発電した電力を蓄える設備です。各商品の蓄電容量によって費用に差があるため、実際にかかる費用も80万〜200万円と幅があります。
3-2.太陽光発電システムの維持・メンテナンスにかかる費用
太陽光発電システムが適切に稼働するためにも、定期的なメンテナンスや交換は欠かせません。主に次の2つの費用を準備しておきましょう。
- システム点検費用
- パワーコンディショナー交換費用
また、20年間の維持費・メンテナンス費用を1年ごとにならした金額は以下の通りです。
システム点検費用
太陽光発電システムは3〜4年に一度点検することが推奨(FITではおよそ4年に一度の点検を義務化)されています。システムの大きさにもよりますが、5kW程度の発電量のシステムで平均1回2.9万円程度の点検費用がかかります。
パワーコンディショナー交換費用
パワーコンディショナーは最長でも20年に一度は交換が必要になります。経済産業省のデータによれば、交換費用の相場は22.4万円です。
4.新築時・建築後、太陽光発電システムの設置はどっちがよい?
太陽光発電システムは、新築時に設置する必要はありません。中古住宅を購入したときなどは、建築後に設置することもあります。新築と建築後で、収益面や設置費用においてどう変わるのかを見ていきましょう。
4-1.新築時に太陽光発電システムを設置するメリット
- 太陽光発電を組み入れた家の設計ができ、より多くの売電・節約ができる
- 低金利の住宅ローンを利用することが可能
- エネルギー消費を抑えた「ZEH住宅」など補助金・減税を見据えた新築が可能
太陽光発電システムの導入費用を抑えたいのであれば、建築時の設置がおすすめです。他の作業と一緒に行うため、施工費用も少なくなる傾向にあります。また、太陽光発電システムにかかる費用も住宅ローンに組み込むことが可能です。
4-2.建築後に太陽光発電システムを設置するデメリット
- 追加工事費用が必要となる
- 設置する位置や屋根の傾斜によって、太陽光発電を最大限活かしきれない可能性が高い
建築後に太陽光発電システムを設置するときは、施工費用が割高になる可能性があります。また、屋根の形状や傾斜が太陽光発電システムと合わない可能性もあります。特殊な架台などが必要になる場合、費用もその分、高額になります。
5.住宅用太陽光発電の導入時に確認・検討しておくべきこと
住宅用太陽光発電システムを検討するときは、次の4点に留意する必要があります。
- 土地の向きや周辺の環境
- 住宅の屋根材や傾斜
- 「屋根材一体型」「屋根置き型」の検討
- 「ハイブリッドパワコン」「蓄電池同地設置」の検討
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
5-1.土地の向きや周辺の環境
土地の向きや周辺環境によっては、南側に大きな屋根を付けられない可能性があります。また、屋根を取り付けても日当たりが期待できないときには、発電量もあまり期待できないでしょう。
太陽光発電システムを取り入れた家づくりをする場合、土地探しは大変重要な意味を持ちます。
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5-2.住宅の屋根材や傾斜
屋根材や傾斜によっても、太陽光発電モジュールが取り付けにくくなることがあります。特殊な架台が必要になったり、発電量があまり期待できなかったりする可能性もあるので注意が必要です。
5-3.「屋根材一体型」「屋根置き型」の検討
屋根材一体型の太陽電池モジュールもありますが、費用が割高になる可能性があります。一方、屋根置き型は比較的安価でメンテナンスも簡単などのメリットがありますが、屋根部分への負担があるなどの課題もあります。
新築と同時に太陽子発電システムを設置することで、その負担を含めて屋根の検討をすることができます。また、完成後に設置する場合は、ハウスメーカーの屋根保証がなくなる可能性もあるため、事前に確認しておく必要があります。
5-4.「蓄電池同時設置」「ハイブリッドパワコン」の検討
太陽光発電システムを検討する際には、蓄電池を同時に設置するかについても検討してみましょう。
蓄電池があると緊急時にも電力を利用できるようになりますが、設置費用は高額になります。
また、蓄電池を導入する場合には、多機能なパワーコンディショナーである「ハイブリッドパワコン」も同時に検討するとよいでしょう。
- 蓄電池と一体型になったもの
- 後付け蓄電池、電気自動車などの蓄電装置にも直流のまま送電できるもの
ハイブリッドパワコンは機能が優れているぶん、高額な傾向にあります。蓄電池と一体化して導入するか、後付けするかなど、将来を見据えて検討しましょう。
失敗を回避するためには、多くの実績を持つ信頼できるハウスメーカーに依頼することが大切です。資金計画とともに、こだわりたいポイントに合わせたハウスメーカー探しを行いましょう。
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6.住宅用太陽光発電システム設置費用を抑えるポイント
次の2点に留意し、住宅用太陽光発電システムの設置に関わる費用を抑えていきましょう。
- 複数のハウスメーカー・工務店から見積もりを取る
- 保証・シミュレーション結果が充実したハウスメーカーを選ぶ
6-1.複数のハウスメーカー・工務店から見積もりを取る
いくつかの会社から見積もりを取ることで、費用相場がわかり、妥当な金額で依頼できるようになります。補助金制度が適用されるかなども尋ねつつ、納得できる会社を選びましょう。
6-2.保証・シミュレーション結果が充実したハウスメーカーを選ぶ
保証やシミュレーション結果が充実しているハウスメーカー・工務店を選ぶことで、しっかりとメンテナンス計画を立てることができるため、結果としてメンテナンス費用を抑えられます。
太陽光システムの導入実績やしっかりとした提携先を持っているハウスメーカーは、保障面やシミュレーション作成能力も優れており、ハウスメーカーを比較する際の大きな指標となるでしょう。
まとめ
太陽光発電システムを導入することで、電気料金の削減を目指せます。また、二酸化炭素の排出も抑え、エコ活動に貢献できる点もメリットです。システム価格の下げ止まりや売電価格のさらなる低下も予想されるので、早めに設置を検討してみましょう。
この記事のポイント まとめ
住宅における太陽光発電システムは、屋根などに設置した太陽電池モジュール(ソーラーパネル)で電気をつくり、自宅で使う電力として消費することで電力を節約、また電力会社に電気を売ることで利益を得る仕組みを意味します。
詳しい内容については「1.住宅用太陽光発電の仕組み!ZEH住宅とは?」にて解説しています。
経済産業省の調達価格等算定委員会がまとめた「令和4年度以降の調達価格等に関する意見」によると、2021年度の住宅用太陽光発電システムの設置費用の平均額は28.0万円/kWでした。
2022年度も25.9万円/kWになることが予想されており、低下傾向が予想されていますが、材料の高騰から下げ止まりとなるという見方も増えています。
詳細は、「2-1.住宅用太陽光発電を設置する費用相場」をご確認ください。
2023年度に設置された太陽光発電システムの売電価格(FIT)は、16円/kWhで、10年間保証されます。
- ZEH支援事業
- 地域型住宅クリーン事業
- グリーン住宅ポイント制度
- 住宅ローン減税
太陽光発電を取り入れた家の新築を検討する場合は、上記の補助金・減税政策の活用を検討してください。
詳しくは「2-3.太陽光発電の設置で使える補助金・減税政策」をご一読ください。
設置費用の内訳は以下の通りです。
- 太陽電池モジュール
- 架台
- パワーコンディショナー、接続箱
- 発電量モニター
- 蓄電池システム(オプション・希望する場合のみ)
各費用の解説・費用相場は「3-1.太陽光発電システム設置費用の内訳」をご覧ください。
住宅に太陽光発電システムの設置を考える際には、以下の点について注意・検討が必要です。
- 土地の向きや周辺の環境
- 住宅の屋根材や傾斜
- 「屋根材一体型」「屋根置き型」の検討
- 「蓄電池同時設置」「ハイブリッドパワコン」の検討
具体的な注意点、検討すべき内容については、「5.住宅用太陽光発電の導入時に確認・検討しておくべきこと」をご参照ください。
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