子育てグリーン住宅支援事業とは?特徴やメリット、申請の流れを解説

子育てグリーン住宅支援事業とは、令和6年度補正予算案に盛り込まれた、省エネ住宅取得のための補助金制度です。名称に「子育て」と入っていますが、条件に該当するとすべての世帯が対象になります。

この記事では、子育てグリーン住宅支援事業に関する、以下の内容をご紹介します。

この記事でわかること
  • 子育てグリーン住宅支援事業の概要
  • 子育てグリーン住宅支援事業のメリット
  • 子育てグリーン住宅支援事業の申請のおおまかな流れ

ぜひ最後までご覧いただき、家づくりの参考にしてくださいね。

※この記事は、国土交通省「子育てグリーン住宅支援事業について」や環境省「脱炭素志向型住宅の導入支援事業(子育てグリーン住宅支援事業)について」をもとに作成しています。

※2025年2月12日時点の情報をまとめています。

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1.子育てグリーン住宅支援制度とは

子育てグリーン住宅支援制度イメージ

子育てグリーン住宅支援制度とは、2025年に新たに始まる省エネ住宅取得のための補助金制度のことです。2025年1月19日時点では、予算案の段階ですが、子育て世帯や若者夫婦世帯を中心としたすべての世帯が、高い省エネ性能を備えた住宅を新築するときや、住宅のリフォーム工事を行うときに利用できるとされます。

1-1.制度を実施する背景

省エネ住宅の新築やリフォームを支援する、子育てグリーン住宅支援制度を実施することで、2050年カーボンニュートラルの目標達成を目指します。2050年カーボンニュートラルとは、2050年までに、日本国内で排出される温室効果ガスの全体の量を実質ゼロにすることです。

環境省:「カーボンニュートラルとは – 脱炭素ポータル

1-2.GX志向型住宅とは?ZEH水準基準との違い

子育てグリーン住宅支援制度の補助金の対象となる省エネ住宅のうち、全世帯が対象になるのはGX志向型住宅(脱炭素志向型住宅)です。GX志向型住宅とは、ZEH水準住宅や長期優良住宅よりも高い省エネ性能を有する住宅を指します。

GXとは「グリーントランスフォーメーション」の略称で、脱炭素やカーボンニュートラルで社会を変える取り組みのことです。GX志向型住宅の早期普及を促進することで、くらし関連分野のGXを実現し、家庭部門のCO2排出量削減の達成を目指します。

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2.子育てグリーン住宅支援制度の対象となる条件・補助金額

子育てグリーン住宅支援制度の対象となる条件と補助金額について、新築とリフォームのケース別にご紹介します。

2-1.家を新築するケース

家を新築するケースにおける、対象住宅と補助金額は以下のとおりです。

【家を新築するケースにおける対象住宅と補助金額】
対象となる世帯 対象となる住宅 補助金額
全世帯 GX志向型住宅 160万円
子育て世帯など 長期優良住宅 建て替え前住居を除去する場合:100万円
上記以外の場合80万円
ZEH水準住宅 建て替え前住居を除去する場合:60万円
上記以外の場合40万円

※子育て世帯など:子育て18歳未満の子がいる世帯、または若者夫婦(夫婦のいずれかが39歳以下)世帯

2-2.既存の家をリフォームするケース

リフォームでは以下の条件に当てはまると、予定されている補助金が支給される見込みです。

【既存の家をリフォームするケースにおける対象工事と補助金額】
対象となる必須工事 補助金額
  1. 開口部(窓や玄関などのドア)の断熱改修
  2. 躯体の断熱改修 ※1
  3. エコ住宅設備の設置 ※1
左記の必須工事3つすべて実施した場合
⇒上限60万円/戸
左記の必須工事のいずれか2つを実施した場合
⇒上限40万円/戸

※1 ZEH水準住宅の省エネ性能以上の改修を行う場合

参考:国土交通省「子育てグリーン住宅支援事業について」

「子育てグリーン住宅支援事業精度」のほかにも、注文住宅がお得になる補助金・助成金制度はたくさんあります。

条件に合うならぜひ活用したいところですが、これらの仕組みは非常に複雑なため、自分たちだけで情報をまとめるのは大変かもしれません。

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3.2024年の子育てエコホーム支援事業との主な違い

子育てグリーン住宅支援事業は、2024年度に実施された「子育てエコホーム支援事業」を一部引き継ぎ、2025年版に変化させた制度といえます。両制度の主な違いは、以下のとおりです。

【家を新築するケース】
子育てエコホーム支援事業 子育てグリーン住宅支援事業 子育てエコホーム支援事業と子育てグリーン住宅支援事業の違い
長期優良住宅:100万円
ZEH水準住宅:80万円
GX志向型住宅:160万円
長期優良住宅:80万円 ※1
ZEH水準住宅:40万円 ※1
・エコホーム支援事業では基本的に子育て世帯と若者夫婦世帯
のみが対象だったが、子育てグリーン住宅支援事業では
すべての世帯を対象とした「GX志向型住宅への補助」が追加
・子育てエコホーム支援事業と比較し、長期優良住宅と
ZEH水準住宅の補助金額が減額に

※1 建て替え前住居を除去する場合+20万円

【家を新築する場合の】子育てエコホーム支援事業と子育てグリーン住宅支援事業の違いは下記です。

  • エコホーム支援事業では基本的に子育て世帯と若者夫婦世帯のみが対象だったが、子育てグリーン住宅支援事業ではすべての世帯を対象とした「GX志向型住宅への補助」が追加
  • 子育てエコホーム支援事業と比較し、長期優良住宅とZEH水準住宅の補助金額が減額に
【既存の家をリフォームするケース】
子育てエコホーム支援事業 子育てグリーン住宅支援事業 子育てエコホーム支援事業と
子育てグリーン住宅支援事業の違い
必須工事は以下のうちの1つ

  1. 開口部(窓や玄関などのドア)の断熱改修
  2. 躯体の断熱改修
  3. エコ住宅設備の設置

※1戸あたりの補助金額は20~60万円

必須工事は以下のうちの2つ

  1. 開口部(窓や玄関などのドア)の断熱改修
  2. 躯体の断熱改修
  3. エコ住宅設備の設置

※1戸あたりの補助金額は40~60万円

・子育てグリーン住宅支援事業の必須工事は
子育てエコホーム支援事業より1つ増加
1戸あたりの補助金額の下限額がアップ
【家をリフォームする場合の】子育てエコホーム支援事業と子育てグリーン住宅支援事業の違いは下記です。

  • 子育てグリーン住宅支援事業の必須工事は子育てエコホーム支援事業より1つ増加
  • 1戸あたりの補助金額の下限額がアップ

4.子育てグリーン住宅支援制度の申請期間

子育てグリーン住宅支援事業は、令和6年度補正予算案に盛り込まれた段階であり、正式な申請期間は公表されていません。(2025年1月19日時点)

ただし、2024年に実施された「子育てエコホーム支援事業」の申請期間であった「2024年3月29日から12月31日」と同様のスケジュール感である可能性があります。

子育てグリーン住宅支援事業の実施が決定され、詳細が公表された場合には、早めに申請期間を確認しましょう。

5.子育てグリーン住宅支援制度で補助金を申請するおおまかな流れ

申請期間と同様に、子育てグリーン住宅支援制度を申請する流れもまだ公表されていません。

ただし、2024年度の子育てエコホーム支援事業制度と同じような流れの可能性があるため、エコホーム支援事業の流れを確認しておきましょう。

【申請の流れ】
1.住宅省エネポータルへの登録 施工会社は、アカウントを「住宅省エネポータル」に登録
2.支援事業者の登録 施工会社は、事務局へ「支援事業者」として登録申請を行う
必要書類(印鑑証明書、登記事項証明書など)を提出する
3.工事請負契約の締結 施工会社と建築主で工事請負契約を締結する
4.共同事業規約の締結 施工会社と建築主は共同事業実施規約を締結する
5.工事開始・交付申請の予約 工事開始後、施工会社はポータルにて交付申請の予約を行う
6.交付申請 施工会社は工事が一定進捗した段階で、正式に交付申請する
7.交付決定 審査を経て交付が決定する
8.工事完了・実績報告 工事完了後、施工会社は完了報告と実績報告を事務局に提出する
9.補助金交付 報告審査後、補助金が施工会社に振り込まれる

このように補助金の申請業務は、ハウスメーカーや工務店が行うことが基本です。

6.国土交通省・環境省・経済産業省の連携で併用できる制度

国土交通省、経済産業省及び環境省は、子育てグリーン住宅支援事業についても、3省が取り組む住宅の省エネリフォームなどを支援する補助制度を、ワンストップで利用可能とします。

ワンストップで各制度を併用できる仕組みは、子育てエコホーム支援事業制度を含めた「住宅省エネ2024キャンペーン」を踏襲するイメージです。

各省が実施する、省エネ住宅の普及を支援する補助制度は以下をご参照ください。

【国土交通省・経済産業省・環境省の省エネ住宅の普及を支援する補助制度】
実施省庁 制度名 概要
国土交通省 【新築・リフォーム】子育てグリーン住宅支援事業 高水準の省エネ住宅の新築や省エネリフォームを支援
経済産業省 【新築】蓄電池を設置する場合の補助事業 家庭用蓄電池等の導入を支援
【リフォーム】給湯省エネ2025事業 高効率給湯器の設置を支援
高効率給湯器の設置を支援 賃貸集合住宅向けの給湯器交換を支援
環境省 【リフォーム】先進的窓リノベ2025事業 窓の断熱改修工事を支援

上記の経済産業省と環境省の制度であれば、「子育てグリーン住宅支援事業」との併用が可能です。

6-1.【新築】蓄電池費用の3分の1補助

新築住宅では、子育てグリーン住宅支援事業と蓄電池を設置する場合の補助事業を併用して申請することが可能です

蓄電池を設置する場合の補助事業とは、DR(ディマンド・リスポンス)に活用できる家庭用等蓄電システムの導入を支援する事業のことです。

DRは、電力需要を制御し、電力需給バランスを調整する仕組みのことを指します。さらに、再生エネルギーの導入拡大によって電力供給が過剰となるタイミングでは、DRにより需要時間帯をシフトすることで、再エネ由来の電力を有効に使うことも可能になります。(参考:経済産業省 資源エネルギー庁「ディマンド・リスポンスってなに?」)

蓄電池を設置する場合の補助事業の補助率は3分の1以内とされており、上限額は発表されていません。仮に蓄電池の設置費用が150万円であった場合、最大で50万円の補助を受けられる可能性があるでしょう。

子育てグリーン住宅支援事業では、GX志向型住宅の場合に最大で160万円/戸の補助金を受けられます。そのため、このケースでは、最大で受けられる補助金は以下の金額になると考えられます。

  • 160万円(子育てグリーン住宅支援事業)+50万円(蓄電池補助)=210万円
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6-2.【リフォーム】窓の改修や給湯器の導入支援

リフォームでは、子育てグリーン住宅支援事業と、以下の3つの事業の併用が可能です。

【リフォームで子育てグリーン住宅支援事業との併用が可能な事業】

  • 先進的窓リノベ2025事業(補助金の上限額:200万円)
  • 給湯省エネ2025事業(補助金の上限額:20万円)
  • 賃貸集合給湯省エネ2025事業(補助金の上限額:7万円)

たとえば、子育てグリーン住宅支援事業では、GX志向型住宅の場合に最大で160万円/戸の補助金を受ける際に、さらに「先進的窓リノベ2025事業」と「給湯省エネ2025事業」を併用したとします。その場合、受け取れる補助金は最大で380万円となります。

参考:環境省「住宅の省エネ化の支援強化に関する予算案を閣議決定  ~環境省・経済産業省・国土交通省が連携して取り組みます~
経済産業省「給湯省エネ2025事業(令和6年度補正予算案「高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金」)について

7.子育てグリーン住宅支援制度の注意点

子育てグリーン住宅支援制度の注意点イメージ

ここからは、子育てグリーン住宅支援制度を利用する際の主な注意点を解説します。

7-1.あらかじめ事業者登録した会社のみが申請可能

子育てグリーン住宅支援事業は、あらかじめ事業社登録したハウスメーカーや工務店のみが申請できる点を押さえておきましょう。

基本的に、建築主が申請手続きを行う必要はありません。
しかし、申請を行うためには、施工会社が事前に事務局に登録している必要があります。

ハウスメーカーや工務店を選ぶ際に、子育てグリーン住宅支援事業への登録予定があるかどうかを確認するとしておきましょう。

7-2.補助金がおりるのは工事完了後

補助金がおりるのは工事完了後であることも、押さえておくべきポイントです。補助金は、ハウスメーカーや工務店の申請を受け、事務局が支給決定を通知した後、工事完了報告を受けてハウスメーカーや工務店に振り込まれます。そのため、補助金相当額についても、一度ハウスメーカーや工務店に支払う必要があります。

ただし、補助金を工事の最終支払金に充当できる場合もあるため、詳細についてはHOME4U 家づくりのとびらに相談してみましょう。

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まとめ

子育てグリーン住宅支援事業とは、2025年に住宅を新築する場合や、既存の住宅をリフォームする場合に活用できる補助金制度です。名称に 「子育て」と入っていますが、条件を満たせばすべての世帯が対象となる点が特徴です。

2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、ZEH水準を大きく上回る省エネ住宅の導入や既存住宅の省エネ改修をする際の負担を軽減し、省エネ住宅の普及を促進します。

GX志向型住宅を新築する場合、最大で160万円の補助金を受けられるため、住宅取得時にかかるコストを抑えられます。さらに、国土交通省・経済産業省・環境省の3省が連携し、住宅の省エネリフォームなどを支援する補助制度がワンストップで利用可能であるため、蓄電池設置費用の3分の1以内の補助もセットで受けることが可能です。

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