本記事は住宅ローンを利用して家を購入する方に向けて、住宅ローン控除で「自分はいくら戻ってくるのか?」を網羅的且つ簡潔に解説し、還付金額について具体的にイメージが持てるようにしています。
早速ですが、令和6年または令和7年に新築住宅へ入居した場合、13年間の合計で下記金額が戻ってきます。
住宅種類 | 最大控除額 (13年間分) |
---|---|
長期優良住宅・低炭素住宅 | 409.5万円 (455万円) |
ZEH水準省エネ住宅 | 318.5万円 (409.5万円) |
省エネ基準適合住宅 | 273万円 (364万円) |
※( )内は子育て世帯・若者夫婦世帯が令和6年中に入居した場合の最大控除額
参考:国土交通省「住宅ローン減税(所得税・個人住民税)」
最高額は「子育て世帯・若者夫婦世帯」が「長期優良住宅・低炭素住宅」を購入した場合の455万円です。
このように還付額は諸条件で大きく変わります。本文ではその仕組みを詳しく説明します。
- 住宅ローン控除がいくら戻ってくるのか
- 住宅ローン控除の計算方法やシミュレーション
- 住宅ローン控除以外のお得な補助金・助成金や減税制度
また、住宅ローン控除の適用条件や申請方法、申請するための必要書類等については下記記事をご覧ください。
住宅ローンを組む際の全体像を把握しておきたい方は「住宅ローンの流れ」の記事もご覧ください。
Contents
1.住宅ローン控除(減税)の還付金とは
住宅ローン控除の還付金とは、個人が住宅ローンを借り入れてマイホームを購入した際に、
最長で13年間にわたり、住宅ローン残高の0.7%が所得税および一部住民税から控除される金額のことです。
また還付金は基本、
「所得税を納めた後に、住宅ローン控除が還付金として指定口座に振り込まれる」
のですが、所得税納税額以上の還付金がある場合は、
「徴収する予定の住民税が軽減される」
形で還付されます。
また、住宅ローン控除の利用要件等の基本的な内容については、下記記事をご覧ください。
2.住宅ローン控除(減税)でいくら戻るのか?
住宅ローン控除額が「最大でいくら戻ってくるのか」と「控除額の計算方法」を解説します。
2-1.最大控除額は条件によって異なる
住宅ローン控除額は、購入する物件の種類やローン額によって異なります。
控除額が異なる主な要因は、以下のとおりです。
- 「新築住宅」「中古住宅」「リフォーム」によって控除額が異なる。
- 住宅の種類ごとに「借入限度額」と「年間の最大控除額」が決まっている。
- 入居年により控除額は変わる。
- ローン残高が多い場合、最大控除額を超えた金額は控除されない。
特に「環境にやさしい住宅」ほど最大控除額が増える傾向が強く、2024年からは「省エネ住宅に該当しない新築住宅」には住宅ローン控除が適用されなくなりました。
住宅種類 | 借入限度額 | 年間の 最大控除額 |
---|---|---|
長期優良住宅・ 低炭素住宅 |
4,500万円 (5,000万円) |
31万5,000円 (35万円) |
ZEH水準 省エネ住宅 |
3,500万円 (4,500万円) |
24万5,000円 (31万5,000円) |
省エネ基準 適合住宅 |
3,000万円 (4,000万円) |
21万円 (28万円) |
その他の住宅 | 住宅ローン 控除適用なし (3,000万円) |
― (21万円) |
※上段:居住開始年が2024年~2025年、下段:(居住開始年が2022年~2023年)
※子育て世帯・若者夫婦世帯が令和6年中に入居した場合は「2022年~2023年」の水準が適用
参考:国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
住宅種類 | 借入限度額 | 年間の最大控除額 |
---|---|---|
長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅・ 省エネ基準適合住宅 |
3,000万円 | 21万円 |
その他の住宅 | 2,000万円 | 14万円 |
参考:国税庁「No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
借入限度額 | 年間の最大控除額 |
---|---|
2,000万円 | 14万円 |
参考:国税庁「No.1211-4 増改築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
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2-2.住宅ローン控除の計算方法
住宅ローン控除の計算方法は、以下のとおりです。
住宅ローン控除
= 年末時点の住宅ローン残高 × 0.7%
2-2-1.年間の最大控除額を上回った場合
年間の最大控除額を上回った金額を還付金として受け取ることはできません。
例えば、新築の省エネ基準適合住宅に2024年に入居した場合、住宅ローン控除における年間借入限度額は3,000万円、年間控除額は最大21万円です。
5,000万円の住宅ローン残高があったとしても、35万円(5,000万円×0.7%)全額の控除は受けられません。
2-2-2.控除額が所得税を上回った場合
住宅ローン控除額によっては、所得税を控除しても控除額が残るケースがあります。
その場合、残った控除額は「住民税」から差し引かれます。
ただし、住民税を差し引く金額には上限が定められています。
以下のうちいずれか小さい額が差し引かれる。
- 所得税で控除しきれなかった住宅ローン控除額
- 前年分の所得税の課税所得金額の5%(上限9万7,500円)
2-2-3.住宅ローン控除のシミュレーション
以下の場合の住宅ローン控除のシミュレーションをすると、15万円分が還付金として戻ってくるうえ、住民税から6万円分が軽減されます。
- 年末時点の住宅ローン残高:3,000万円
- 所得税:15万円
- 前年分の課税所得金額:450万円
住宅ローン控除(21万円)= 年末時点の住宅ローン残高(3,000万円) × 0.7%
所得税で控除しきれなかった控除額(6万円)= 所得税における住宅ローン控除額(21万円)-所得税額(15万円)
以下2つのうち、金額が小さい方(6万円)
- 所得税で控除しきれなかった控除額 = 6万円
- 前年分の所得税の課税所得金額(450万円)の5% = 22.5万円
参考:総務省「所得税から住宅ローン控除額を引ききれなかった方」
なお、所得税の控除を受けるには申告をしなければなりませんが、住民税は所得税で申告した内容を市区町村が把握できる仕組みがあるため申告不要です。
住宅ローン控除の申請方法、申請するための必要書類等については下記記事をご覧ください。
3.住宅ローン控除以外のお得な補助金・助成金と減税制度
新築住宅を建てる際には、住宅ローン控除以外にもお得な「補助金制度」や「減税制度」があります。
補助金の種類 | 支援対象 | 補助金額 |
---|---|---|
子育てエコホーム支援事業 | 子育て世帯・若者夫婦世帯による、高い省エネ性能を有する住宅の新築及び住宅の省エネ改修工事等に対して支給 |
|
給湯省エネ2024事業 | 戸建、共同住宅等によらず、高効率給湯器を設置する方 |
|
ネット・ゼロ・エネルギー ・ハウス補助事業 |
「ZEH」又は「ZEH+」の戸建住宅を新たに建築する、又は新築建売住宅を購入する方 |
|
LCCM住宅整備推進事業 | ライフサイクルカーボンマイナス(LCCM)住宅を新築する方 | 設計費、建設工事等における補助対象工事の掛かり増し費用の合計額の1/2 (補助限度額 140万円/戸) |
東京ゼロエミ住宅導入促進事業(東京都のみ) | 省エネ性能の高い住宅を新築で建築する際に受けられる助成制度 | 最大240万円 |
減税制度 | 内容 |
---|---|
登録免許税の税率軽減 |
|
印紙税の軽減 |
|
不動産取得税の軽減 |
|
固定資産税の軽減 |
|
住宅取得資金等の 贈与税の軽減措置 |
|
補助金・助成金制度や減税制度については下記記事で詳しく解説しています。あわせてご確認ください。
「住宅ローンや補助金に関する記事」を他にも用意しております。あわせてご覧ください。
この記事のポイント まとめ
令和6年〜令和7年に新築住宅に入居する場合、以下の金額が最大で戻ってきます。
住宅種類 | 最大控除額 (13年間分) |
---|---|
長期優良住宅・低炭素住宅 | 409.5万円 (455万円) |
ZEH水準省エネ住宅 | 318.5万円 (409.5万円) |
省エネ基準適合住宅 | 273万円 (364万円) |
※( )内は子育て世帯・若者夫婦世帯が令和6年中に入居した場合の最大控除額
詳しくは「2-1.最大控除額は条件によって異なる」で解説しています。
住宅ローン控除の計算方法は、以下のとおりです。
住宅ローン控除 =
年末時点の住宅ローン残高 × 0.7%
ただし、条件等によって控除額は異なります。
詳しくは「2-2.住宅ローン控除の計算方法」をご覧ください。
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