この記事では、4,000万円の住宅ローンを組んで新築住宅を建てたいと考えている方に向け、以下の内容を解説します。
- 4,000万円の住宅ローンを組むのに必要な世帯年収
- 4,000万円で住宅ローンを組むシミュレーション
- 住宅ローンの返済を早く終わらせるコツ
4,000万円の住宅ローンを組む際に必要な情報をまとめたので、ぜひ資金計画の際の参考にしてください。
年収・年齢別の目安や借入額別シミュレーションについてはこちらの記事で解説しています。
Contents
1.住宅ローン4,000万円を組むための世帯年収
初めに、4,000万円の住宅ローンを組むために必要な世帯年収を解説します。
4,000万円の住宅ローンを組むために必要な年収は、以下の通りです。
4,000万円の住宅ローンを組むために必要な年収は……
基本的に700万円、理想的には800万円から
※あくまでも目安です。実際には細かな基準による審査が設けられ、他に借入金がないかどうかなども関わってくるため、銀行にご相談ください。
一般的に、適正な借入金額は額面年収の5~6倍を目安にするとよいとされています。
この基準に照らし合わせると、以下の計算式が成り立ちます。
4,000万円÷5~6=約666万~800万円
例えば世帯年収700万円の6倍で考える場合には、4,200万円程度を借り入れられることになります。
より詳しく適切な借入金額を知りたい場合は、返済負担率を確認しましょう。
返済負担率とは、年収のうち、年間返済額がどれだけの割合を占めているかを示す数値のことで、自分の年収に借り入れたい金額がふさわしいかどうかをチェックできます。
返済負担率は、以下の計算式によって求められます。
負担率の計算式
返済負担率=年間返済額 ÷ 額面年収×100
返済負担率は、25%程度におさめられると無理がなく、20%程度におさめられると余裕をもった理想値といわれています。
4,000万円を借り入れる場合の、年収ごとの返済負担率を比較してみましょう。
条件は以下の通りです。
金利……1.8%
返済方法……元利均等返済
返済期間……35年
月々の支払額12.9万円
※金利がずっと一定で変わらないとした場合で計算しています。なお、この計算で返済負担率が適正になったとしても、実際に金融機関で組んだ計算とは違う場合がございますので、あくまでも目安としてお使いください。
年収 | 700万円 | 800万円 | 1,000万円 |
---|---|---|---|
負担率 | 22.1% | 19.4% | 15.5% |
※住宅金融支援機構「借入希望金額から返済額を計算」で算出
いずれも負担率が25%までに抑えられていますが、4,000万円の借入となると高年収でもそれなりの負担がかかります。
住宅ローン4,000万円の返済はきついのかを詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
年収毎に注意したいポイントを以下から説明していきます。
1-1.世帯年収700万円の場合のポイント
返済負担率は22.1%です。
月の手取りが大体45万円として考えると、占める返済額の負担は3割程度で、負担としては標準レベルです。
返済負担率だけで見れば、年収600万円程度でも借入れられないことはありませんが、そうすると返済負担率は25.8%となり、基準値を超えます。
年収のおよそ6.7倍の額を借り入れることになりますので、無理のない返済計画としてはおすすめできません。
1-2.世帯年収800万円の場合のポイント
年収800万だと、理想値の20%を下回ります。
月の手取りを50万円と仮定しても、ローン返済の負担は3割を切る値となります。
1-3.世帯年収1,000万円の場合のポイント
年収1,000万円では、月の手取りは60万円程度なので、そのうち21%がローンの返済に充てられることになります。
ここで注意しておくべきは、返済負担率が理想値を大幅に下回っていても、月々の返済額は手取り月収の2割を占めていることです。
余裕を持った返済計画にしたければ、できる限り理想の20%内におさめる必要があります。
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住宅金融支援機構によると、全国の住宅ローンを組んでいる人に関するデータは以下の通りです。
世帯年収 | 629万円 |
---|---|
年齢 | 48.0歳 |
借入額 | 3,040万円 |
建設費 | 3,863万円 |
年収は平均して600万円台、年代は40代になってから住宅ローンを組む人が多いようです。
借入金は3,040万円とあり、建築費の約8割を住宅ローンで借り入れている傾向があります。
住宅ローンを組む期間は、おおむね30~35年が多いため、40代から組み始めると完済時には70代です。
余裕を持つためには、30代など比較的歳が若い内から検討してもよいでしょう。
返済期間を5年延ばせるだけで、毎月の負担は軽減されます(ただし、総支払額は増えてしまいます)。
平均よりも年齢が若く、今後給料が上がっていくことが明らかな場合には、返済期間を短くすることで、総支払額を抑えることも可能です。
参考:住宅金融支援機構「 2023年度 フラット35利用者調査」
2.金利・返済方法の種類とシミュレーション
住宅ローンには金利があり、選ぶタイプによってパーセンテージが異なります。
また、返済方法にも種類があり、何を選ぶかによって月々の支払額や総支払額に差が出てくるので、ここでチェックしておきましょう。
2-1.金利の種類と特徴・選び方
金利には、大きく分けて以下3つの種類があります。
- 全期間固定金利
- 固定金利期間選択
- 変動金利
それぞれの特徴と、メリット・デメリットは以下の通りです。
全期間固定金利 | ||
---|---|---|
特徴 |
|
|
メリット |
|
|
デメリット |
|
|
固定金利期間選択 | ||
特徴 |
|
|
メリット |
|
|
デメリット |
|
|
変動金利 | ||
特徴 |
|
|
メリット |
|
|
デメリット |
|
これらの情報を元に、選び方のポイントを解説すると、以下のようになります。
選び方のポイント | |
---|---|
全期間固定金利 |
|
固定金利期間選択 |
|
変動金利 |
|
一般的な解釈では、
- 「金利の上昇下降に一喜一憂することなく、金額が一定で返済計画を立てやすい方を選びたい」という人が全期間固定金利
- 「家庭の出費が集中する時期は決まっているから、とりあえず固定にしておいてそのあとの出方を考えたい」という人が固定金利期間選択
- 「もし金利が上昇しても資金的にカバーできるだけの余裕があるから、低金利によって受けられる恩恵は受けておきたい」という人が変動金利
を選んでいる傾向にあります。
2-2.金利のパーセンテージによる差額
金利0.4%・1.5%・2%では、総支払額・総利息額にどの程度の差が出るのかシミュレーションしてみます。
- 0.4%…変動金利の借入時に多い
- 1.5%…固定金利期間選択の10年固定や、かなり安い金利の35年固定金利などの借入時に設定されていることが多い
- 2%…35年固定金利に多い
返済期間……35年
返済方法……元利均等返済
※返済期間中、金利に全く変動がなかったものと仮定する
金利 | 0.4% | 1.5% | 2% |
---|---|---|---|
月々の支払額 | 102,076円 | 122,473円 | 132,505円 |
総支払額 | 4,287万1,920円 | 5,143万8,660円 | 5,565万2,100円 |
総利息額 | 287万1,920円 | 1,143万8,660円 | 1,565万2,100円 |
このように、金利0.4%と2%では、総支払額・総利息額になんと約1,280万円も差が出ます。
各パーセンテージのポイントを見てみましょう。
変動金利に多い「金利0.4%」の場合
月々の支払額は、10万2,076円で済みます。
金利1.8%の12万9,000円と比べると、2万7,000円程度安いです。
返済負担率は17.5%におさまり、月々の手取りに占める負担も2割程度になるため、余裕を持った返済が可能です。
ただし、変動金利は5年ごとに価格改定が行われるため、0.4%の金利がいつまでも続くわけではないことに注意が必要です。
固定金利10年・安い35年に多い「金利1.5%」の場合
月々の支払額は12万2,473円です。
年収700万円で計算すると、返済負担率は21%となります。
固定金利35年に多い「金利2%」の場合
月々の支払額は13万2,505円です。
年収700万円で計算した時の返済負担率は22.7%で、基準値に近付きます。
2-3.返済方法の種類と特徴・選び方
返済方法には、「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があります。
それぞれの特徴とメリット・デメリットは以下の通りです。
元利均等返済 | ||
---|---|---|
特徴 |
|
|
メリット |
|
|
デメリット |
|
|
元金均等返済 | ||
特徴 |
|
|
メリット |
|
|
デメリット |
|
選び方のポイント | |
---|---|
元利均等返済 |
|
元金均等返済 |
|
元利均等返済は、総返済額が高くなるものの、借入当初の返済額が元金均等返済に比べて少なく、毎月ずっと一定であることから返済計画が立てやすい特徴があります。
元金均等返済は、総返済額が元利均等返済に比べて低くなりますが、借入当初の返済額は高い傾向にあります。
審査の際に必要な年収も高くなるため、資金に余裕がないと選択は厳しいでしょう。
また、元金均等返済は取り扱っていない銀行も多く、そもそも選べないという可能性もあります。
2-2のシミュレーションを用い、元利均等返済と元金均等返済による支払額の差額を見てみましょう。
金利 | 0.4% | 1.5% | 2% |
---|---|---|---|
月々の支払額 | 102,076円 | 122,473円 | 132,505円 |
総支払額 | 4,287万1,920円 | 5,143万8,660円 | 5,565万2,100円 |
金利 | 0.4% | 1.5% | 2% |
---|---|---|---|
月々の支払額 | 108,571円 (+6,495円) |
145,237円 (+22,764円) |
161,904円 (+29,399円) |
総支払額 | 4,280万6,412円 (-65,508円) |
5,052万4,740円 (-91万3,920円) |
5,403万3,068円 (-161万9,032円) |
※( )は元利均等返済との差額
※総利息額の差は、総支払額の差に等しい
以上のように、金利や返済方法によって月々の支払いや総支払額には違いがあるため、金利の動向をチェックしながら自分たちのライフスタイルに合った資金計画を立てる必要があります。
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3.住宅ローンの返済を早く終わらせるために出来る工夫
住宅ローンの返済を早く終わらせるためには、国や自治体の助成や補助、減税制度を賢く使うことが大切です。
代表的な助成・補助金制度・減税措置をご紹介します。
事業名 | 概要 |
---|---|
子育てエコホーム支援事業 |
子育て世帯・若者夫婦世帯による、高い省エネ性能を有する住宅の新築及び住宅の省エネ改修工事等に対して最大100万円/戸の補助金を支給。 |
給湯省エネ2024事業 |
戸建、共同住宅等によらず、高効率給湯器を設置する方に対し、補助金を支給。 |
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス補助事業 |
「ZEH」の戸建住宅を新たに建築する、又は新築建売住宅を購入する方に対して、「ZEH:55万円/戸、ZEH+:100万円/戸」の補助金を支給。追加設備によってはさらに加算額がある。 公式サイト:https://zehweb.jp/ |
LCCM住宅整備推進事業 |
ライフサイクルカーボンマイナス(LCCM)住宅を新築する方に対し、設計費、建設工事等における補助対象工事の掛かり増し費用の合計額の1/2(補助限度額 140万円/戸)を支給。 公式サイト:https://www.kkj.or.jp/sustainable/lccm/lccm-index_2024.html |
※2024年8月現在の情報
概要 | |
---|---|
住宅ローン控除 (減税) |
13年間、年末時に残っている住宅ローンの額の0.7%分が、その年に支払った所得税額等から控除される制度。 |
また、以下のような住宅を購入する際に使える減税制度もあります。
- 登録免許税の税率軽減
- 不動産取得税の軽減
- 固定資産税の軽減
- 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置
助成金・補助金・減税制度について詳細を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
「住宅ローンに関する記事」を他にも用意しております。あわせてご覧ください。
まとめ
4,000万円の住宅ローンを組む際に、押さえておきたい情報をお伝えしました。
住宅ローンを組む際には、これらをしっかり理解し、後悔のない組み方を選択しましょう。
それではおさらいです。
この記事のポイント
借りられます。
返済負担率は22.1%なので、標準レベルといえるでしょう。
詳細は「1-1.世帯年収700万円の場合のポイント」をご覧ください。
例えば、以下のような条件の場合は、月々の支払額は129,000円となります。
- 金利……1.8%
- 返済方法……元利均等返済
- 返済期間……35年
「1.住宅ローン4,000万円を組むための世帯年収」で詳細をご確認ください。
住宅ローンの組み方まとめ