スロップシンクとは、底の深い流しのことです。汚れもの専用で、掃除用流しともいわれます。洗面所やキッチンで洗うにはためらうようなものを、きれいにするときに使います。子どもが手足を洗ったり、洗濯物をつけ置きしたりとさまざまな用途で利用が可能です。

この記事では、次の3点を紹介します。

ぜひ最後までご覧いただき、新築やリフォームの際の参考にしてください。

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1.スロップシンクとは

スロップシンクとは、おもに掃除の際に使う大きめの流しのことです。英語のスロップ（slop）は、「汚水や台所の洗い流しの水」を意味し、「掃除用シンク」または「マルチシンク」とも呼ばれます。海外の家では、掃除の際にモップを洗ったり園芸道具をきれいにしたりするときに利用します。

スロップシンクは、キッチンや洗面所で洗うには躊躇するような汚れものをきれいにするときに便利です。間取図では「SK」と表記されている場合があり、これはTOTOのスロップシンクの型番が「SK」であるのが一つの理由です。

スロップシンクは、設置する場所によって活用方法が異なります。洗濯機のそばに設置する場合は、洗濯物の予洗いに利用できます。また屋外に設置すれば、家庭菜園の水やりやキャンプ用品を洗うのに重宝するでしょう。

さまざまな用途や場所で活用できる点が、スロップシンクの魅力です。

2.スロップシンクを設置するメリット

スロップシンクを設置するおもなメリットは、以下の2点です。

• 汚れもの専用の流しとして活用できる
• 大きくて深さが必要なものが洗いやすい

次に、スロップシンクを設置するメリットを詳しく説明します。

2−1.汚れもの専用の流しとして活用できる

スロップシンクのメリットの一つは、汚れもの専用の流しとして活用できることです。泥でよごれた靴やモップ、雑巾などは、洗面所やお風呂場でも洗うのはためらわれます。小さな子どもがいる家庭なら、手や顔、身体を洗う場所と、汚れものを洗う場所を分けたいと感じる方は多いでしょう。

洗濯機のそばにあれば、おねしょや食べ物で汚れたシーツや衣類を洗うのに便利です。洗濯機に直接入れず、予洗いができます。

また幼稚園生や小学生がいる家庭では、絵の具や習字道具を洗う機会が増えます。これらを洗うときは、シンク自体が汚れるため、汚れても構わないスロップシンクは好都合です。

部活やクラブでスポーツをしている子どもがいれば、ユニフォームや靴は泥でひどく汚れます。スロップシンクは水をためておけるので、ひどく汚れたものをつけ置きして、ある程度きれいにしてから洗えます。

2−2.大きくて深さが必要なものが洗いやすい

スロップシンクは大きくて深さがあるため、かさばるものを洗う際にも活躍します。たとえば、布団やシーツの予洗いやつけ置きも可能です。

家庭菜園が趣味の場合、大根や白菜のように大きめな野菜を洗うのにぴったりです。きれいに泥を洗い流してからキッチンに運べるため、キッチンが泥で汚れることはありません。

またペットのシャンプーに利用する方も多いことでしょう。スロップシンクほどの深さがあれば、泡や水が跳ねるのをそれほど気にせず洗えます。また、ケージを洗ったり糞尿を始末したりする際にも便利です。ペットのシャンプーに利用する場合は、ペットのサイズを考慮するとよいでしょう。

ほかにも、キッチンのレンジフードやクーラーのフィルターも気兼ねなく洗えます。とくにキッチンのレンジフードは油汚れがひどい場合があり、つけ置きできるシンクがあると助かります。お湯が出るスロップシンクであれば、油汚れも簡単にきれいに落とせるでしょう。

ここまで、スロップシンクのメリットをご紹介しました。希望する間取りや設計にスロップシンクを導入したいと思われた方も多いのではないでしょうか。
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3.スロップシンクを設置するデメリット

スロップシンクは便利な設備ですが、デメリットもあります。スロップシンクを設置するデメリットは、設置するスペースが必要なことです。

もともとスロップシンクは大きいため、設置する際には、半畳ほどのスペースを要するといわれています。設置するスペースが狭すぎると、使いづらく、結局使わなくなる恐れも出てきます。せっかくほかの居住スペースを削って設置しても、使わなければ、スペースも費用も無駄になりかねません。

またスロップシンクを設置するには、追加の工事が必要です。スロップシンクを取りつける場合は、給排水のための配管工事が必要なため、追加の費用がかかります。洗濯機や洗面所のそばに設置するなら、大がかりな配管工事は不要です。しかしながら設置する場所によっては、水道管の延長が必要となり、費用も高額になりがちです。

新築の場合は、最初から費用を抑えられるように設計図に盛り込むことも可能ですが、リフォームで後づけする場合は、壁や床を一度剥いでから設置する場合もあります。スロップシンクを取りつける場合は、費用をかけても設置する価値があるかどうかを検討することが必要です。

またスロップシンクは、洗面ボールのようにさまざまな形や種類があるわけではありません。昨今は、おしゃれなスロップシンクも展開されてきていますが、欲しいサイズやデザインのスロップシンクが見つけられない場合もあるでしょう。その場合は、オリジナルで作るのも一つの選択です。ただし、プラスで費用がかかります。

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4.スロップシンクの設置場所と活用方法

スロップシンクは、設置する場所により活用方法が異なります。ここでは、次の4箇所に設置した場合の活用方法を紹介しましょう。

• 家事室
• 勝手口近く
• 庭・テラス・バルコニー
• ガレージの中

スロップシンクを有効活用できるように、ぜひ参考にしてください。

4−1.家事室

まず家事室とは、洗濯やアイロン、日々の事務作業などを効率的におこなうために設けられたスペースです。ユーティリティースペースとも呼ばれています。専用の部屋を家事室としたり、キッチンやランドリールームの一角を家事室として利用したりします。

家事室にスロップシンクを設けた場合の活用方法は、次の2点です。

• 汚れた衣類や靴のつけ置き洗い
• 学習道具やDIY用品を洗う

4−1−1.汚れた衣類や靴のつけ置き洗い

家事室をランドリールームとして利用している場合、スロップシンクは大いに役立ちます。洗濯機では簡単に落ちないようなひどい汚れの衣類や靴を、スロップシンクにつけ置きしておけます。長時間のつけ置きも、スロップシンクであれば問題ありません。ほかの水回りをつけ置きのために占領されずにすみ、煩わしさを感じなくてすむでしょう。

4−1−2.学習道具やDIY用品を洗う

スロップシンクは、絵の具や習字道具などの学習道具を洗う場所としてぴったりです。洗面所やキッチン周りで学習道具を洗うと、絵の具や墨がついてしまい不衛生です。また洗ったあと、洗面ボールやキッチンシンク自体をきれいにしなければならず、手間暇がかかり面倒でしょう。その点、スロップシンクであれば、汚れるのも気になりません。

また、DIY用品を洗う場所としてもおすすめです。ペンキや道具を洗うと、絵の具や墨と同じようにシンクが汚れてしまいます。スロップシンクは、DIY用品をきれいにする場所としても重宝するでしょう。

4−2.勝手口近く

勝手口近くに設置した場合の活用方法は、次の2点です。

• 汚れた子どもの手足を洗う
• 大きな野菜の泥を落とす

スロップシンクは汚れもの専用の流しですが、家のなかを衛生的に保つ役割も果たします。ここではスロップシンクを勝手口近くに設置した場合に、どのように役立つかを説明しましょう。

4−2−1.汚れた子どもの手足を洗う

勝手口近くにスロップシンクがあれば、汚れた子どもの手足を洗うのに便利です。子どもが泥だらけで帰ってきても、勝手口できれいに汚れを落とせます。足まできれいにできれば、床も衛生的なままです。また子どもは、外から帰ってきたら手洗い・うがいをしなければならないといったよい習慣も身につきます。

4−2−2.大きな野菜の泥を落とす

家庭菜園が趣味の方にとって、勝手口のスロップシンクは大いに役立ちます。野菜の泥を落としたりホースをつけて水やりしたりと、さまざまな使いみちが考えられます。また勝手口はキッチンのそばにあるため、家事動線が短くてすむのも嬉しいポイントです。

野菜の泥を落とすだけでなく、魚などの魚介類を処理するのにも利用できます。魚をさばくと、生臭いにおいが部屋に充満します。外で処理できれば、においに悩まされることもないでしょう。

4−3.庭・テラス・バルコニー

庭・テラス・バルコニーに設置した場合の活用方法は、次の2点です。

• 植物の水やり
• ペットのシャンプー、足洗い場

屋外に設置するときの活用方法を紹介しましょう。

4−3−1.植物の水やり

庭やテラス、バルコニーなどに設置する場合は、植物の水やりに利用できます。ホースをつければ、手間暇のかかる水やりも簡単です。屋外に水栓設備があれば、比較的簡単な工事で取りつけられるのもメリットです。

4−3−2.ペットのシャンプー、足洗い場

ペットのシャンプーや足洗い場としても重宝します。散歩から帰ってきたら、すぐに足をきれいにできます。雨や泥で身体が汚れていても、サッと洗えて便利です。

また、ペットのシャンプーをするときにもおすすめです。毛や泡でシンク周りが汚れるのも気にせずにすみます。ブラッシングで毛を整えるときも、スロップシンクであれば、片付けも簡単です。

4−4.ガレージの中

ガレージ、駐車場の中にスロップシンクを取りつけた場合、カーメンテナンスの際に汚れた手や道具、衣類をその場で洗えます。またガレージで、車やバイクを洗車するときにも好都合です。

ほかにもガーデニンググッズやDIY用品をガレージに収納している場合、手入れや片付けも容易になります。

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5.スロップシンクを設置する際の注意点

スロップシンクを設置する際の注意点は、次の4つです。

• 用途や使用頻度を明確にする
• 周辺に水ハネ対策をする
• 必要に応じお湯が使えるようにしておく
• 屋外では冬場の凍結に注意する

スロップシンクは便利な設備ですが、設置する際には、いくつかのポイントをおさえておくことが大切です。長く便利に利用し続けられるように、こちらで紹介するポイントを参考にしてください。

5−1.用途や使用頻度を明確にする

スロップシンクを設置する場合には、用途や使用頻度を明確にする必要があります。どのような目的で設置するのかをきちんと決めなければ、使い勝手が悪く、「結局あまり使わなかった」という結果になりえます。

たとえば衣類のつけ置きに利用したい場合は、洗濯機があるランドリースペースに設置するのがおすすめです。犬のシャンプーや水やりに使いたい場合は、屋外やテラス、バルコニーに設置するといいでしょう。

用途を明確にすることで、適切な設置場所やスロップシンクの大きさ、深さを決められます。

5−2.周辺に水ハネ対策をする

スロップシンクは通常のシンクよりも深さがありますが、それでも壁や床に水がハネることはよくあります。水ハネだけでなく絵の具や墨、犬の毛などが飛んで、思った以上に汚れる可能性もゼロではありません。

水ハネがひどいと、壁や床の変色や変形、カビ発生の原因になります。そのためシンク周りの壁や床には、水ハネ対策が必要です。壁や床には、耐水性や撥水性のある素材で仕上げておけば安心です。

5−3.必要に応じお湯が使えるようにしておく

スロップシンクでお湯が使えるようにしておくと、1年中、快適に使えます。寒い冬でも、汚れものを洗う際に快適です。水だけで落とすには難しいしつこい油汚れや泥汚れも、お湯が使えればきれいにしやすくなります。

手洗いやペットのシャンプーに利用する予定であれば、必ずお湯を使えるようにしておきましょう。費用が追加でかかっても、お湯が出なければ利用しなくなります。

5−4.屋外では冬場の凍結に注意する

一般的に、スロップシンクの配管は露出している場合が多いため、屋外に設置するときには冬場の凍結に注意する必要があります。配管周りに凍結防止帯や保温チューブをつけるなどの対策が有効です。

どのような対策が必要かわからない場合は、ハウスメーカー・工務店担当者などへ相談するとよいでしょう。

6.スロップシンクの設置費用はどのくらい？

スロップシンクを設置するためには、本体の購入費と配管工事費の2種類がかかります。まずスロップシンク自体ですが、昨今はさまざまな種類が販売されており、価格にも幅があります。スロップシンクにこだわり、オリジナルなものを作ってもらうと、その分高額になりがちです。シンク本体と加工の費用だけで、10万円以上というケースもあります。

また配管工事費ですが、洗面台や洗濯機のそばに設置するのであれば、それほど大がかりな配管工事は必要なく、費用を抑えることが可能です。しかしながら水道管から離れた場所に設置するとなると、床や壁を剥いで配管工事をする必要が出てくるため、余計に費用がかかります。

配管がむき出しになっているシンプルなスロップシンクを設置する場合、おおよその費用は10万円前後です。しかし設置場所やデザインにこだわる場合は、20万円程度を目安に考えておくとよいでしょう。

スロップシンクを設置する場合は、どこに、どのような用途で利用するのかをしっかりと決めておくことが大事です。

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まとめ

スロップシンクは、汚れもの専用の流しとして便利な設備です。とくに子どものいる家庭では、おねしょで汚れたシーツを洗ったり、泥汚れの靴や衣服をつけ置きしたりするのに重宝するでしょう。

ペットを飼っている方にはペットのシャンプー台として、また家庭菜園を趣味とする方には野菜の泥を落とす流し場として有用です。ほかにも、さまざまな用途で利用できます。

しかしスロップシンクの設置場所や本体の大きさ、深さを考慮しなければ、実際に使いづらいものになってしまい、使わなくなる恐れもあります。スロップシンクを取りつける場合は、どのような目的で設置するのか、その用途と適切な設置場所を検討することが大切です。
ぜひ本記事をご参考にしていただき、理想のマイホームを叶えてくださいね。