フラット35とは、金融機関が住宅金融支援機構と提携して扱う住宅ローンで、金利が全期間固定である点が主な特徴です。
この記事では、自分に向いているローンがどのような種類か気になっている方や、銀行の住宅ローンとフラット35どちらを選ぶべきか悩んでいる方に向けて、主に以下の項目を説明します。
- フラット35の特徴や借りるための条件
- フラット35のメリット・デメリット
- フラット35に向いている人・やめたほうがいい人
ぜひ、本記事を参考にマイホームを手に入れるための準備を進めてください。
Contents
1.フラット35 とは住宅ローンの一種
フラット35とは、全国300以上の金融機関が住宅金融支援機構と提携して取り扱う住宅ローンのことです。住宅金融支援機構は全額政府が出資する金融機関で、全国の主要都市に8店舗の支店があります。
フラット35を利用できるのは、申込人もしくはその親族が居住する新築住宅の建築資金・購入資金や、中古住宅の購入資金のみで、第三者へ賃貸する目的で物件を購入する際に利用はできません。
ここから、フラット35の特徴や現在の金利、商品の違いなどについて確認していきましょう。
参考:住宅金融支援機構「初めての方へ フラット35」
1-1.フラット35の特徴
フラット35の特徴として、長期固定金利(全期間固定金利型)の住宅ローンであることが挙げられます。全期間固定金利型とは、住宅ローンを借り入れした際の金利が、完済するまで全期間変わらないタイプのことです。
フラット35以外の住宅ローンの中には、変動金利型や固定金利期間選択型もあります。変動金利型は金利情勢によって都度金利が変動するタイプで、固定金利期間選択型は一定期間は固定金利が適用され、期間終了後は変動金利に移行したり、新たな金利で固定金利が適用されたりするタイプのことです。
そして、フラット35は、買取型と保証型に分けられます。買取型と保証型の主な違いは、住宅金融支援機構による債権買取の有無です。
買取型は、住宅金融支援機構が住宅ローンの申し込みを受け付けた金融機関から住宅ローンを買い取り、それを担保に債券を発行して資金調達する方式です。買取型のほうが取扱金融機関は多いため、本記事では買取型を中心に解説します。
1-2.フラット35の金利
フラット35の金利は、取り扱う金融機関や融資率によって異なります。
融資率とは、家を購入した費用のうち、ローンの借り入れで補った部分の割合を指します。
この融資率が9割以下の場合、金利の範囲は年1.840%〜年3.450%です。
融資率が9割を超えてくる場合、金利の範囲は年1.980%〜年3.590%となります。
なお、紹介した金利はいずれも2024年3月時点のものです。利用時期によって金利が変動することがあります。
参考:住宅金融支援機構「金利情報」
1-3.フラット35とフラット35Sの違い
フラット35に関連して、フラット35Sという住宅ローンもあります。フラット35とフラット35Sの主な違いは、金利です。
フラット35Sは、長期優良住宅(国が定めた基準を満たして認定を受けた住宅)のような質の高い住宅に該当する場合に、一定の金利が下がる制度を指します。引き下げ金利幅(2024年3月31日まで)は、以下のとおりです。
- フラット35S(ZEH)当初5年間−0.75%/年
- フラット35S(金利Aプラン)当初5年間−0.5%/年
- フラット35S(金利Bプラン)当初5年間−0.25%/年
住宅の技術基準のレベルは、ZEHが最も高く、金利Aプラン、金利Bプランと続きます。フラット35Sで対象となる住宅性能は、以下の4分野です。
- 省エネルギー性
- バリアフリー性
- 耐震性
- 耐久性・可変性
参考:住宅金融支援機構「フラット35S」
フラット35Sの対象となるには、上記いずれかひとつを満たさなければなりません。そのため、フラット35Sを利用するには、購入する家の建築先・質の高い住宅を供給できるハウスメーカー選びも必要です。
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2.フラット35の主な借入条件
フラット35を利用するには、いくつか条件を満たさなければなりません。主な条件は、以下のとおりです。
- 国籍・年齢
- 借入額・借入期間
- 返済負担率
- 火災保険・団体信用生命保険
それぞれ解説します。
2-1.国籍・年齢
日本国籍の方が、申し込みの要件です。また、外国籍の方も永住許可を受けているか、特別永住者に該当する場合は申し込みできます。
年齢は、申し込み時に満70歳未満であることが要件です。ただし、親子2代にわたって返済する親子リレー返済を利用する場合、後継者が要件(定期的収入がある・満70歳未満・連帯債務者になるなど)を満たせば、満70歳以上でも申し込めます。
参考:住宅金融支援機構「フラット35 ご利用条件」
2-2.借入額・借入期間
100万円以上8,000万円以下が借入額の要件で、借入期間は15〜35年です。ただし、「80歳から申し込み時の年齢を引いた数字」が35年よりも短い場合は、その数字が上限となります。
なお、ローン名の通りフラット20の場合は返済期間が15〜20年、フラット50の場合なら36〜50年です。フラット20は返済期間が短い分低金利で借り入れが可能な商品で、フラット50は長期優良住宅を対象に最長50年で借り入れできる住宅ローンを指します。
参考:住宅金融支援機構「フラット20」
参考:住宅金融支援機構「フラット50」
2-3.返済負担率
返済負担率の要件は、年収によって異なります。年収400万円未満であれば総返済負担率30%以下、年収400万円以上なら35%以下が要件です。
総返済負担率は、年収に占める年間合計返済額の割合で求められます。年間合計返済額は、フラット35だけでなく、マイカーローン・教育ローン・カードローンなどすべての借り入れが対象です。
たとえば、年収500万円の方で、マイカーローン年間返済30万円、フラット35年間返済予定120万円の場合、総返済負担率は要件である35%以下におさまります(30%)。
なお、計算する年収は要件を満たせば合算可能です。主な要件として、年齢が満70歳未満・本人と同居する・連帯債務者になるなどが挙げられます。
2-4.火災保険・団体信用生命保険
フラット35を利用するには、返済終了までの間借入対象の住宅について火災保険に加入しなければなりません。また、建物の火災による損害を補償対象として、保険金額は借入額以上にすることが条件です。
フラット35では、団体信用生命保険は申し込み要件となっていません。団体信用生命保険とは、加入者が死亡、あるいは所定の身体障害状態になった場合に、フラット35の返済が不要となる保険制度です。
希望する場合、フラット35の団体信用生命保険に加入もできます。ただし、その分フラット35の金利が高くなる点に注意が必要です。
フラット35の団体信用生命保険には、新機構団信と新3大疾病付機構団信があります。新機構団信(基本プラン)は死亡・身体障害が対象であるのに対し、新3大疾病付機構団信(充実プラン)は、3大疾病や要介護2から要介護5までのいずれかの状態も含まれる点が主な違いです。
参考:住宅金融支援機構「新機構団体信用生命保険制度」
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3.フラット35のメリットとは
フラット35の主なメリットは、主に以下のとおりです。
- 全期間固定金利でずっと安心
- 団体信用生命保険に加入しなくてもよい
- 保証料や繰上返済手数料が不要
ここから、各メリットを解説します。
3-1.全期間固定金利でずっと安心
全期間固定金利のため、金利が変わらず安心な点が、フラット35の主なメリットです。
変動金利の場合、最初は返済に余裕があっても、金利情勢によって金利が上昇し続ける可能性もあり、途中から返済が苦しくなることも考えられます。一方、全期間固定金利は金利情勢に左右されず、最初に契約した金利のままのため、当初の計画どおりに返済を進められるでしょう。
3-2.団体信用生命保険に加入しなくてもよい
団体信用生命保険に加入しなくてよい点も、フラット35のメリットです。
住宅ローンの中には、団体信用生命保険への加入が必須の商品も少なくありません。そのため、年収・返済負担率・属性などが十分で住宅ローンの審査を通過できる人でも、病歴によって団体信用生命保険に加入できなくて、住宅ローンの利用が困難な場合があります。
その点、フラット35であれば、病歴に関係なく利用できるため安心です。ただし、団体信用保険に加入していないと、自分に万が一のことがあった場合に家族が大変な思いをすることがあるため注意しましょう。
なお、保証型の場合、取扱金融機関によって団信への加入が義務付けられていることがあります。その際、フラット35の団信(新機構団体信用生命保険制度)は利用できません。
3-3.保証料や繰上返済手数料が不要
フラット35は、保証料や繰上返済手数料がかからない点もメリットです。
保証料とは、住宅ローンを借りる際に、金融機関指定の保証会社に支払う費用を指します。かかる保証料は、金融機関や保証会社によってさまざまです。
たとえば、保証料が2%であれば、保証料が数十万円かかります。フラット35を利用することで、このコストを軽減できるでしょう。
繰上返済手数料とは、融資金の全部または一部をまとめて返済することで、総返済額を減らしたり完済時期を早めたりする際にかかる費用を指します。金融機関によって数万円かかるコストを、フラット35なら軽減できるでしょう。
なお、保証型の場合は、金融機関によって繰上返済手数料がかかることがあります。
4.フラット35のデメリットとは
フラット35の主なデメリットは、以下のとおりです。
- ほかの住宅ローンより金利が高い場合がある
- 住宅の審査基準を満たさなければならない
それぞれ解説します。
4-1.ほかの住宅ローンより金利が高い場合がある
フラット35は、ほかの住宅ローンと比べて金利が高い場合がある点がデメリットです。
2024年3月現在、金融機関が取り扱う住宅ローンの中には、変動金利や固定金利期間選択型(固定3年特約、10年特約など)で1%未満を下回る商品もあります。そのため、フラット35を選んだことで、最終的な返済総額がほかの住宅ローンを選んだ場合よりも高くなることもあるでしょう。
ただし、今は金利が1%未満の変動金利の住宅ローンでも、今後金利情勢次第で1%、2%を超える可能性がある点に注意が必要です。
4-2.住宅の審査基準を満たさなければならない
フラット35が定める住宅の審査基準を満たさなければならない点も、デメリットです。フラット35を利用するためには、対象の住宅を住宅金融支援機構が定める技術基準に基づき、物件検査を受けなければなりません。
物件検査を受けるための手数料は、全額借入側の負担です。適合証明機関によっても異なりますが、一般的に数万円の費用がかかります。
参考:住宅金融支援機構「フラット35 の対象となる住宅・技術基準」
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5.フラット35申し込み・審査の流れ
フラット35の申し込みや審査の流れは、以下の流れで進められることが一般的です。
- 金融機関へフラット35を申し込む(団体信用生命保険を申し込む場合もこのタイミング)
- 審査結果が届く
- 承認が出たら、検査機関に設計検査を申請する
- 検査後に合格の通知を受け取ったら、着工
- 工事の途中で検査機関に中間現場検査を申請する
- 検査後に合格通知を受け取ったら、竣工
- 竣工後、検査機関に竣工検査を申請する
- 合格して適合証明書を受け取ったら、金融機関へ提出する
- 金融機関で借入契約を締結する
- 資金受け取りと抵当権設定手続きを進める
- 火災保険に加入する
- (入居)
手続きに必要な書類は、申し込む金融機関によって異なります。所得証明書類・建設費の確認書類・土地の登記事項証明書は共通して必要です。
参考:住宅金融支援機構「フラット35 融資手続・必要書類」
6.フラット35に向いている人・やめたほうがいい人
フラット35は全期間固定金利の住宅ローンのため、将来金利が上昇しないか不安な人、今後の必要な支払額をあらかじめ把握しておきたい人に向いています。
また、団体信用生命保険への加入が必須ではないため、病歴などを理由にほかの住宅ローンを利用できなかった人も、フラット35を検討するとよいでしょう。
一方で、変動金利でまずはできるだけ低い金利で支払っていきたい人は、フラット35以外の住宅ローンの検討がおすすめです。また、床面積が狭いなど、フラット35の定める住宅要件を満たさない人も、別の住宅ローンを検討しなければなりません。
まとめ
フラット35とは、全国300以上の金融機関が住宅金融支援機構と提携して取り扱う住宅ローンのことです。
全期間固定金利で安心な点が、フラット35のメリットとして挙げられます。ただし、変動金利の住宅ローンよりも金利が高いことがある点に注意が必要です。そのため、今低い金利で借りることよりも、将来金利が上昇しないか不安な人にフラット35は向いているでしょう。
フラット35には、住宅の質により金利が下がるフラット35Sという制度もあります。そのため、フラット35を利用する際に、ハウスメーカー選びも慎重に進めることが大切です。
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