マイホームを考えるときには、戸建てにするか集合住宅にするかをまず決めなければなりません。両者を比較して、庭があってのびのびと生活できる戸建て住宅に憧れを持つ方も多いでしょう。戸建て住宅にも集合住宅にも、それぞれメリットとデメリットがあるため、情報をそろえた上で判断する必要があります。
本記事では、戸建て住宅と集合住宅の特徴を押さえ、中でも戸建て住宅に焦点を当てて解説していきます。
- 近年の住宅の傾向
- 戸建て住宅のメリット・デメリット
- 戸建て住宅を建てるときのポイント
ぜひ最後まで読んで、後悔のない家づくりに役立ててください。
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Contents
1.戸建て・集合住宅の違い
まずは戸建て住宅と集合住宅の違いを押さえましょう。戸建て住宅には1世帯が住む場合が多く、近隣の世帯との距離を保てます。「一戸建て」「一軒家」といった言葉でも表現される形態です。集合住宅には1つの建物の中に壁を隔てた複数の世帯があり、4つの種類に大きく分類できます。以下ではそれぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
1-1.戸建てとは
戸建てとは、1つの建物に1つの世帯が住んでいる住宅のことです。親・子・孫の同居する二世帯住宅の場合も、戸建てと呼ぶことがあります。同じ意味で使われることが多いのが「一戸建て」「一軒家」という言葉です。戸建てはほかの世帯と隣接しない独立した建物であることから、のびのびと生活や子育てができるため人気の住宅の形態です。
1-2.集合住宅とは
集合住宅とは、1つの建物の中に複数の世帯が住む独立した住居を含む住宅のことです。エントランスや廊下などの共用部分を持つマンションやアパートなどが身近な例です。ほかにも、住居が複数入っているが共用部分がなく独立した生活のできる長屋があります。隣と壁を共有するが土地の所有権は住人が持つテラスハウス、住民が建物のみを所有しているタウンハウスなど、特殊な形態の集合住宅もあります。
2.戸建てと集合住宅はどちらが多い?
日本ではもともと集合住宅よりも戸建て住宅の方が多かったものの、近年は集合住宅の割合が増えてきています。集合住宅はとくに東京や大阪の都市部で多く、高層化の傾向にあります。ただしこれは全国的な傾向ではなく、地域差が大きいものです。集合住宅の割合は都道府県によって20%台から70%台まで大きな差があるため、物件の見つけやすさも大きく異なります。以下ではデータをもとに、近年の住宅の傾向を解説します。
2-1.集合住宅が増えつつある
2018年の総務省の調査では、住宅のうち戸建ては約54%、集合住宅は約46%となっています。1978年の調査では戸建てが約65%でしたが、少しずつ集合住宅が割合を増やしています。住宅数を見ると、戸建てが約2900万戸、集合住宅が約2500万戸です。中でも集合住宅は1988年の約1150万個から倍以上になっており、集合住宅の増加が読み取れます。
2-2.集合住宅は高層化している
集合住宅の階数を見ると、15階建て以上の高層住宅の数は2003年に比べて約3倍になっています。その半数を東京や大阪が占めており、都市部で顕著な傾向が見られます。限られた土地に多くの人が住むためには集合住宅の高層化が有効であり、20階建て以上のタワーマンションも多く建築されてきました。利便性の高さから高層の集合住宅を選ぶ人も多く、需要の高さが読み取れます。
2-3.地域差が大きい
戸建てと集合住宅の割合は地域ごとのさが大きいものです。たとえば、2018年の調査での戸建ての割合は、秋田県では約80%、東京都では約27%です。つまり、集合住宅の割合は秋田県で約20%、東京都で約73%となっています。地域によって地価や需要が異なるため、住宅の種類の傾向も大きく異なり、都市部であるほど集合住宅の割合が大きいことがわかります。
3.戸建てに住むメリット
マイホームの選択肢の一つとして、戸建て住宅に憧れる方も多いでしょう。戸建て住宅を選ぶメリットには、以下の点があります。
- 土地が資産になる
- 駐車場代がかからない
- 音のトラブルが起こりにくい
- それぞれの家庭に合わせた家が建てられる
- 庭を使える
土地と建物を所有することになるため、デザインや設計、生活などの自由度が高い点が大きな魅力です。資産として売却ができることも、将来的な安心材料の1つです。
3-1.土地が資産になる
戸建て住宅を購入する場合は建物と土地が自分の資産となります。生活や家族構成の変化によって、将来的に売却することも視野に入れられます。立地や条件のいい戸建て住宅であれば、売却後により多くのお金を手元に残せるでしょう。そのため、売却の可能性がある場合は、手放すときの資産価値がどれくらいになるかを考慮することが必要です。
3-2.駐車場代がかからない
戸建て住宅の敷地内に駐車スペースを設けられるため、駐車代がかかりません。月々の駐車代はそこまでかからない場合も、年単位で見ると大きな額になります。車を所有する限り駐車スペースは必要であるため、駐車代の負担は軽視できません。住宅のすぐそばに駐車スペースを設けられることもメリットです。ほかにも駐輪場や物置など、住宅以外に必要なスペースを設けられます。
3-3.音のトラブルが起こりにくい
戸建て住宅は近隣と距離があるため、少々騒いだり音を立てたりしても漏れにくく、トラブルにつながりにくいものです。とくにファミリー世帯では、子どもが騒いだり音を立てたりすることは防ぎきれません。戸建て住宅であれば生活で発生する音がトラブルになりにくく、自由な設計を楽しめる注文住宅を選択して防音室を間取りに含めることもできます。安心してのびのびと子育てのできる環境を作れるでしょう。
3-4.それぞれの家庭に合わせた家が建てられる
家を戸建てで新築する際、とくに自由な設計を楽しめる注文住宅であれば、好みやライフスタイルなどを活かして家庭に合った家を建てられます。たとえば、子どもの人数に合わせた間取りを確保する、楽器を演奏できる防音室を作る、キャンプ用品を収納する専用部屋を作るといったことが可能です。内装や外壁にも、色やテイストなどの好みを反映できます。使い方の自由度の高さはメリットの1つといえます。
3-5.庭を使える
戸建て住宅の場合は、家の周りに庭などのスペースを設けることが一般的です。バーベキューやガーデニングをするスペースが取れるため、理想の生活に近づけるでしょう。デザインや設置する機器なども自由に決められるため、日々の楽しみにもなります。人生で多くの時間を過ごす家で、こうした余暇を過ごせることには、暮らしやすさや生きがいにもつながるでしょう。
駐車場や庭を含む間取りなど、検討する間取りだと、実際の予算はどのくらいになるだろうか、と具体的に考えることもあるでしょう。
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4.戸建てに住むデメリット
戸建て住宅には多くの魅力がありますが、以下のデメリットも理解しておく必要があります。
- 集合住宅に比べて防犯面が劣る
- 維持管理が必要
- 立地は集合住宅に比べて悪くなる場合がある
家のことはすべて自分たちでしなければならない点が、戸建て住宅の大変さの1つです。集合住宅であれば管理会社がしてくれることも、家庭ごとに各自で行わなければなりません。加えて、駅の近くや中心地の土地は取得しにくく、戸建て住宅は少し離れた場所になることが一般的です。
4-1.集合住宅に比べて防犯面が劣る
戸建て住宅は住居部分が1階にあり、空き巣の侵入経路となりやすい窓も多くあるため、防犯の面で不安が残ります。集合住宅の場合は、エントランスのオートロックや防犯カメラなど、管理会社による防犯の施策が行われている場合が多いものです。しかし、戸建て住宅は個々で所有するもののため、防犯も自分で行わなければなりません。
4-2.維持管理が必要
戸建て住宅では、家屋の維持管理も自分で行う必要があります。定期的なメンテナンスを行うことで、生活する上で良好な状態を保持でき、数十年後の資産価値にもつながります。気を付けなければならないのは、屋根や外壁などの劣化しやすい部分や、床下のシロアリ被害など目に見えにくい部分、キッチンやトイレなどに設置している機器などです。修繕やメンテナンスにかかる費用を見越して、計画的にお金を貯めておくとよいでしょう。
4-3.立地は集合住宅に比べて良くない場合がある
戸建て住宅は土地の購入が必要であり、集合住宅と比べると立地の条件が劣る傾向にあります。駅の近くなど立地のいい場所は、空き地になりにくく地価も高いものです。ある程度の広さも必要であるため、都市部や中心部からは少し距離のある場所の方が、土地を探しやすいでしょう。
戸建てに住むデメリットをお伝えしましたが、防犯面、維持管理、立地も含めて、様々な対策も検討できるため、複数のプランを比較してみる、もしくはプロに相談してみることをおすすめします。
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5.後悔しない戸建て住宅を建てるポイント
戸建て住宅は一度建てたら転居や建て替えが難しいものです。だからこそ、後悔しないためのポイントを事前に知っておく必要があります。具体的には以下のポイントが挙げられます。
- 家族に便利な立地を選ぶ
- 建物のメンテナンスを行う
- 汎用性のある建物にする
- 需要のある土地の形を選ぶ
入居後の生活をイメージして、暮らしやすい立地や間取りにすることが大切です。快適に生活するためには、こまめなメンテナンスも欠かせません。将来的に売却する際にも、状態がよいと売れやすい傾向にあります。加えて、売りやすさを考えるなら土地選びも重要なポイントです。
5-1.家族に便利な立地を選ぶ
生活の拠点となる家には、立地が重要です。職場や学校との距離や、スーパーや病院など周辺の環境を考慮して、家族が無理なく生活できる場所を選ぶ必要があります。立地のいい場所は地価が高いため、通勤通学が無理なくでき、なおかつ中心から少し離れた場所を選ぶことも選択肢の1つです。生活をイメージして、優先順位を決めて立地を選びましょう。
また、将来的に売却する可能性のある場合も、立地は重要です。駅や主要地に近く利便性の良い立地であるほど資産価値も高くなります。さまざまな条件を総合的に考えることが大切です。
5-2.建物のメンテナンスを行う
快適に暮らすには、建物のメンテナンスが不可欠です。せっかくマイホームを購入するなら、できる限り生活しやすい環境を維持することが大切です。こまめに掃除をしたり、壊れた部分は修繕したりと、家を大切に使いましょう。継続的にメンテナンスをすることで、不具合や汚れが大きくなる前に対処できるため、年数がたっても良好な状態を維持できるでしょう。資産価値にも関わるため、重視したい部分です。
5-3.汎用性のある建物にする
戸建て住宅の資産価値や売却を検討される場合は、多くの人にとって使いやすい建物にすることをおすすめします。こだわりを多く盛り込むと、自分にとっては使い勝手が良くても売却時に買い手がつきにくくなることがあります。デザインや設計の時点では問題ないと感じても、実際に住んでみると思ったよりも不便という場合もゼロではありません。特定の用途を想定した部屋は少なくし、仕切りを動かすことで部屋の数を調節できるといった、柔軟性のある間取りにするといいでしょう。
5-4.需要のある土地の形を選ぶ
将来的に土地や建物の売却を考えるなら、立地だけでなく土地の形も重要です。長方形や正方形の土地は売れやすいですが、三角形の土地や細長い通路から土地に出入りする「旗竿地」と呼ばれる形の土地はニーズか少ないため、買い手がつきにくい傾向にあります。旗竿地のデメリットは、道路よりも奥まった場所にあるため、日当たりや風通しの悪い場合がある、建築の重機が入りにくく工事費がかさむ可能性があるといった点が挙げられます。売却のことはもちろん、自分自身への影響も考慮しましょう。
まとめ:戸建ての良さを活かせる家にしよう
近年は集合住宅の割合も増加傾向ですが、戸建て住宅は、家づくりの中で根強い人気のある選択です。
戸建て住宅のメリットには、資産として所有できることや設計の自由度などがあります。音のトラブルが起こりにくい点や庭を使える点は、ファミリー層にとって嬉しいポイントでしょう。一方で、防犯や維持管理をしなければならない点は、戸建てだから必要になるポイントです。
戸建て住宅を選ぶなら、こうしたメリットとデメリットを事前に押さえておくことが大切です。そのうえで、戸建てならではのメリットを活かせるような家づくりを目指しましょう。
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