不動産売却の3000万円控除とは?適用要件や制度の期限

不動産売却の3000万円控除とは?適用要件や制度の期限

不動産売却で利益がでた場合、譲渡所得税の納付が必要となります。しかし、3,000万円控除が適用されれば、非課税となるため、事前に適用条件にあてはまるか調べておくことが大切です。

該当する場合は、申請のタイミングや必要書類をチェックして、不動産売却の税金について早めに準備しておきましょう。

この記事を読めばわかること
  • 不動産売却で適用できる「3,000万円控除」とは?
  • 3,000万円控除の適用条件
  • 3,000万円控除の申請方法と必要書類
  • 制度の期限など3,000万円控除を適用する際の注意点
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1.不動産売却で適用できる「3,000万円控除」とは?

1.不動産売却で適用できる「3,000万円控除」とは?

不動産売却時に適用できる3,000万円控除とは、マイホームを売った際、売却益の3,000万円までは税金を控除(非課税)にする特例のことをいいます。

不動産売却では税金が発生しますが、税金を大きく分けると次の2種類です。

  • 売却益が出た場合にかかる税金
  • 売却手続きにかかる税金

3,000万円控除の特例は、売却益が出た場合にかかる税金=譲渡所得税(住民税・所得税)です。
売却手続きにかかる税金は、登録免許税と印紙税の2つがあります。

3,000万円の控除を受けるには確定申告による申請が必要となります。売却益が3,000万円に満たなかったから当然に控除してもらえるものではありません。年度末の確定申告で手続きを忘れないようにしましょう。

2.3,000万円控除の適用条件

2.3,000万円控除の適用条件

3,000万控除を受けるためには、以下の6つの条件をすべて満たす必要があります。

  • 売却する物件に「マイホーム」として住んでいること
  • 物件の買主が配偶者や兄弟など、親族ではないこと
  • 売却した年の前年、前々年に、「3000万円の特別控除」または「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び損失の繰越控除の特例」の適用を受けていないこと
  • 売却した年、前年または前々年に、マイホームの買換えや交換の特例を受けていないこと
  • 売却した不動産に関して、他の特例の適用を受けていないこと
  • 災害による売却では、住まなくなった日から3年後の12月31日までの売却であること

出典:国税庁「マイホームを売ったときの特例」

ここで言う「マイホーム」とは、次のいずれかに該当する必要があります。

  • 現在主に住んでいる住居である
  • 既に転居している場合、転居から3年目の年末までの売却である
  • 家屋を解体して土地だけを売却した場合、土地の売却解体までが1年以内である
  • 単身赴任の場合、配偶者が住んでいる建物である

事業用の建物や駐車場、個人の持ち物でも別荘などは対象外となります。

3.不動産売却時の3,000万円控除の申請方法と必要書類

3.不動産売却時の3,000万円控除の申請方法と必要書類

3,000万円控除の申請の具体的な手順と必要書類について解説します。

3-1.マイホームを売却した翌年に確定申告する

3,000万円控除は、マイホームを売却した翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告をする必要があります。たとえば、2023年の1月1日から12月31日の間に売却した場合、確定申告をするのは2024年です。

会社員であれば、勤務先で年末調整が行われるのが一般的なため確定申告をしたことがないという方も少なくありません。申請には以下の書類が必要となるため、時間に余裕を持って準備しておきましょう。

3-2.3,000万円控除を適用するために必要な書類

3,000万円控除の申請には、以下の書類が必要です。

書類 発行場所
確定申告書 税務署(確定申告後により本人所有)
譲渡所得の内訳書 不動産売却後に国税庁より郵送
譲渡した土地・建物の全部事項証明書 法務局
戸籍の附票 役所
取得時(購入時の売買契約書や諸費用の領収書)の書類の写し 本人所有
売却時の書類(売買契約書や売却費用の領収書)の写し 本人所有
マイナンバーまたは住民票の写し 本人所有または役所

書類によって受け取る場所が異なるため、早めに準備をしておくと安心です。

売却時に仲介を依頼した不動産会社に確認すれば、さらに詳細を教えてもらえるでしょう。指示に従って準備を進め、不明点や困ったことがあれば、不動産会社に相談しましょう。

4.不動産売却時に3,000万円控除を適用する際の注意点

4.不動産売却時に3,000万円控除を適用する際の注意点

3,000万円控除を適用するには、以下のような注意点があります。

  • 住宅ローン控除との併用不可の期間がある
  • 「損失の損益通算」「買換え特例」の併用も不可
  • 「10年超所有軽減税率の特例」は併用可能

ほかの特例や控除と併用できないケースもあるため、注意が必要です。
ひとつずつ、詳しく見ていきましょう。

4-1.住宅ローン控除との併用不可

不動産購入時に住宅ローン控除を申請されている場合は、3,000万円控除との併用ができません。また、マイホームを売却する方のなかには、住み替える住宅でローンを組もうと計画されている方もいるでしょう。

売却するマイホームが3,000万円控除の条件に該当するかどうかを確認し、住宅ローン控除とどちらがお得かを検討してみましょう。自分でシミュレーションするのが難しい場合は不動産会社に相談することをおすすめします。

4-2.「損失の損益通算」「買換え特例」の併用も不可

前年または前々年に「譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」や「買換え特例」の適用を受けていると、3,000万円控除を利用できません。

「譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」とは、売却で譲渡損失が発生した際に適用できる特例です。損失が出て赤字となった部分を、給与所得など他の所得から差し引くことができます。

「買い替え特例」とは、マイホームを売却し、新たにマイホームを購入した場合の特例です。本来であれば、売却時に利益が出ると譲渡所得が発生し、納税しなければなりません。しかし、買い替え特例を適用すれば、税金の支払いを先延ばしにすることができます。

4-3.「10年超所有軽減税率の特例」は併用可能

「10年超所有軽減税率の特例」は、3,000万円控除と併用が可能です。「10年超所有軽減税率の特例」とは、10年以上所有している居住用の不動産を売却した場合、譲渡所得の税率が低くなる特例です。

所有期間が5年を超える場合を長期譲渡所得と言います。税率は20%ですが、10年超所有軽減税率の特例が適用されれば約14%まで節税できます。

不動産売却時には税金対策をすることで、支払額が大きく異なるため、何がご自身にとって最もお得か、よく考えて利用しましょう。

5.相続した空き家に利用できる3,000万円の特別控除もある

5.相続した空き家に利用できる3,000万円の特別控除もある

相続して空き家となっている建物を売却した際も、以下の要件を満たせば3,000万円が控除されます。

  • 売却するのは相続で不動産を取得した人である
  • 被相続人である故人が、相続の直前まで居住していた
  • 譲渡価格が1億円以下
  • 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された家屋
  • 売却は相続開始の日から3年目の12月31日まで
  • 売却は2023年(令和5年)12月31日まで
  • 家屋を取り壊した場合には、土地を賃貸していないこと

参照元:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

相続した空き家に利用できる3,000万円の特例を、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」といいます。

この特例ができた当初は、被相続人がひとりで居住するマイホームのみが対象となっていました。しかし、2019年の税制改正によって要件が緩和され、被相続人が老人ホームなどの施設に入っていた場合も対象となります。

3,000万円控除について知りたい方の中には、これから不動産を売る予定の方もいるでしょう。不動産売却を依頼する不動産会社を探している方は、まず一括査定サイトを使って複数社へ査定を依頼しましょう。

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まとめ

マイホームを売って利益が発生した場合、3,000万円まで税金負担を減らすことができる特例を「マイホームを売った時の特例」いいます。マイホームを売却した際、3,000万円の控除を利用するためには6つの要件を満たさなければなりません。また、マイホームを売却した翌年の2月16日から3月15日の間に、確定申告をする必要があります。

申請には、確定申告書や譲渡所得の内訳、売却時の領収書などさまざまな書類が必要です。手続きについて迷ったら不動産会社に相談してみましょう。

不動産会社は売却後のアフターフォローも留意して選びましょう。不動産会社の一括査定「不動産売却 HOME4U(ホームフォーユー)」なら、信頼できる不動産会社がきっと見つかります。不動産売却時にはぜひご活用ください。