
さまざまある人生の節目のうち、とりわけ大きいのは「マイホームの購入」でしょう。かかる出費は高額なため、「どうせなら早いうちに」と若い20代で買おうという方も少なくありません。
しかし30代・40代に比べて、一般的に収入が少ないとされる「20代」で、マイホームは買えるのでしょうか?この記事では、以下の内容を解説します。
- 20代でマイホーム購入をした方の調査結果と現在のトレンド
- 20代でマイホームを買うメリットとデメリット、重視されるポイント
- 家を建てるローンや資金計画の立て方、また失敗しないポイントやコツ
20代でマイホーム購入の検討を進めるうえで必要な「お金」や「ローン」の話など、周囲の友人には聞きづらい内容をまとめてお伝えいたします。将来を見越した理想の家づくりにぜひお役立てください。
Contents
1. 「20代でマイホームを買った人」の実態を徹底解剖!
マイホームを、収入の少ない20代で買うとなれば、住宅ローンを利用するのが一般的です。しかし、これから買おうとしている方にとって「他の人はどんな方法で買っているのか」ということは、とても気になるポイントです。
特に20代では、まだマイホームの購入を考える人が周りに少なく、質問したくても「親しい友人や家族には聞きづらい‥」という方も多いはずです。
この章では、国土交通省、またフラット35を運営する住宅金融支援機構の調査結果(2021年発表)のデータをもとに、実際の「20代でのマイホームの買い方」、また「購入方法や組んだローンの傾向」についてわかりやすく解説していきます。
1-1. 20代で住宅ローンを組む割合は12.2%
注文住宅(建て替えを除く)の一次取得者(初めて家を建てた人)において、20代は全体の14.5%を占めています。この数字、あなたならどう見えるでしょうか。
家を建てた人が多いのは、おそらく想像を裏切らず、30代が最も多いですが、意外にも20代で家を購入する人は一定数を占めています。
実際に20代でマイホームを購入する人の割合は毎年同程度の割合を占めており、「20代で家を買う人なんていない」「20代だと、まだマイホームは買えない」といった声は間違いであることがわかります。
参考:国土交通省「令和二年度住宅市場動向調査((2) 一次取得・二次取得別の世帯主の年齢)」
1-2. マイホームを建てようと思ったきっかけは?
「HOME4U 家づくりのとびら」に寄せられた相談のうち20代の方が、相談に踏み切ったきっかけを次のように回答しています。
2位:結婚したから(21.9 %)
3位:家族構成が変わったから(17.2 %)
4位:今の家が手狭だから(10.9 %)
一番多くの人のきっかけとなったのが、「家賃を払うより、住宅ローンを返済していくほうがいい」と考えるケースでした。
賃貸であれば修繕や保険の心配はありませんが、長期間支払ったところで手元には何も残りません。一方で、マイホームを建てる場合は一定の年数が経ったのちも、土地の価値が残るため、ゼロにはなりません。
また、結婚などで家族構成が変わるのも20代で起こる大きな変化の1つです。結果、今の家では手狭で不便となれば、「家族みんなが快適に暮らせる注文住宅が建てられないか‥」と願うのは当然といえるでしょう。
1-3. 【住宅ローン】マイホーム資金をどう確保した?
20代に限らずマイホームを建てるすべての人にとって、最も大きな問題は資金の確保でしょう。頭金や住宅ローンの金利、借入限度額といった要素は、どれも建てることができる家の「大きさ」や「質」を制限してしまう可能性があるからです。
どのように住宅ローン組み、資金を確保したのか、調査の結果から実情をピックアップしてみましょう。
住宅ローンを利用した方の割合 | 80% | |
---|---|---|
年間返済額の平均 | 124.7万円 | |
返済負担率の平均 (年間の返済金額の合計/年収) |
17.9% | |
返済期間の平均 | 建物分のローン | 32.4年 |
土地分のローン | 34.2年 |
まず、実際に新築のマイホーム購入した方の8割が住宅ローンを利用して家を建てています。
さらにまた土地の分もローンを組んだ場合は、トータルの借入金額が多くなる分、返済期間は長く設定する場合が多くあります。20代でローンを組む場合は、さらに余裕を持った返済期間を設けることができるでしょう。
参考:国土交通省「令和二年度住宅市場動向調査」
家の建築費用の80%以上を住宅ローンでまかなうのが大半
それでは、住宅ローンを利用した方は、どれほどの金額をローンでまかなっているのでしょうか。マイホームを建築する土地代・工事費用のうち、住宅ローンが占める割合を「融資率」と呼びます。
各金利タイプの融資率について統計をみてみましょう。
融資率はすべての金利タイプで「90%超100%以下」が最も多くなっています。また、融資率80%を超える住宅ローンが全体の半数以上を占めていることも共通点といえます。
また、各金利タイプについては次の項目にて詳しく解説します。
参考:独立行政法人 住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査【住宅ローン利用者調査(2021年4月調査)】」
利用した住宅ローンの金利タイプは変動型が66.3%
住宅ローンを利用するときは、ローンの金利タイプも慎重に選ぶ必要があります。金利タイプが違えば、借り入れた金額が同じでも返済のペースや総額は大きく変わるからです。
金利タイプには3種類あり、それぞれ次のような特徴があります。
- 変動金利型(変動型)
-
金融情勢の変化に伴い、返済途中で定期的に借入金利が見直され、変動する。
- 固定金利期間選択型
-
借入当初の一定期間は固定金利が適用され、期間後は変動金利型に移行するが、再度固定金利が選択できるケースもある。
- 全期間固定金利型
-
借り入れたときの金利が全借入期間を通じて変わらない。その分、金利が高く設定されている。
最新の調査結果では、注文住宅を建てる方は変動型を選ぶことが多く、全体の66.3%と大半を占めています。同調査の「金利タイプを選んだ理由」という質問に対し、圧倒的な第1位となったのが「金利の低さ」という回答です。
現在、変動金利に人気がある主な理由は以下の通りです。
- 住宅ローンの変動金利相場は、過去20年間固定金利を一度も上回ったことがない
- 変動金利の返済には金利が上がっても返済額が5年間据え置かれる「5年ルール」がある
- 返済額の上昇は最大1.25倍までの制限がある。返済額が急激に上がるリスクは低い
上記の理由とともに、長らく続いている「低金利」の状況から、返済期間を長く設定しても金利の支払いが少なく済むという「変動金利」のメリットをとる方が多いといえます。
1-4.【収入面】年収600万円未満で家を建てた人が4割


初めてマイホームを新築した方の年収は、600万円未満が全体の4割を占めています。さらにその40%のなかでも、400万未満の方は約3割、400万~600万の方が7割という割合が示されています。
年収400万から600万円に当てはまる方はもちろん、年収400万未満の方にもマイホームを購入するチャンスがあるということです。20代という年齢や年収を壁と考えず、マイホームの新築を検討してみましょう。
参考:国土交通省「令和二年度住宅市場動向調査( (2) 一次取得・二次取得別の世帯年収)」
「この年収でどれほどの家を建てることができる?」
「この年齢で住宅ローンを借りられる?」
戸建て住宅を新築する資金計画に少しでも疑問が残るなら、一度「HOME4U 家づくりのとびら プラン作成依頼サービス」を使ってみませんか?
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2.「20代でマイホームを買う」メリットとデメリット
20代でマイホームを買う方の割合が一定数いるのは、なぜでしょうか?
ここからは、20代でマイホームを買うメリットとデメリットを解説し、マイホームを買うことにどんな利益があるのかを考えてみましょう。
2-1.メリット
若くしてマイホームを買うことは、マイホームにより長い間住むことであると同時に、働き盛りのうちに返済できるということです。そのほかに以下3つのメリットについて解説します。
- 家賃と違って支払った分が不動産財産として残る
- 住宅ローンの返済期間が長期間にしやすい
- 親の所有する土地・余っている土地を有効活用できる
(1) 家賃と違って支払った分が不動産財産として残る
もし賃貸物件に住んでいれば、毎月の家賃を支払いますが、解約後、手元には何も残りません。確かに災害や老朽化による修繕費を支払う必要はありませんが、家賃が高額なほど「もったいない」と感じることもあるでしょう。
その点、20代でマイホームを買うと、完済すれば「家」や「土地」という資産が残るのは非常に魅力的です。その後は子供へ相続したり、必要なら売却したりすることもできます。
また、価格によっては損害保険料を含めても、これまでの家賃と同じか安くなるくらいの返済で済む場合も多くあります。
定年後、収入が極端に減ったときでも、当面「住む家がある」ことは非常に心強いはずです。働き盛りの今だけでなく、将来を考えるとマイホームは、かけがえのない資産として大いに役立つでしょう。
(2) 住宅ローンの返済期間が長期間にしやすい
20代で住宅ローンを利用すると、返済期間を長く設定できるのもメリットの1つです。長期間になるほど金利負担は増えますが、月あたりの返済額が抑えられるため、余裕を持って返済することができます。
20代で年収が低いと、住宅ローンの借入可能額も少なくなるケースがありますが、すべてを希望通りにできなくとも、本当に大切にしたいことを優先させれば、十分に満足できるマイホームを建てることが可能です。
また理想のマイホーム像に対して「将来リフォームで楽しめるような要素を残しておく」こともでき、また資金面では「借り入れが少なくて済む」といったメリットにも転換することも可能です。
さらにボーナス返済額を多めにしたり、収入が増えたタイミングで繰上返済したりすれば、計画より早く完済することができることも、大きなメリットといえるでしょう。
(3) 親の所有する土地・余っている土地を有効活用できる
もし親が土地や空き家を所有しており、特に活用していなければ、その土地を譲り受けてマイホームを建てることで有効活用できます。放置された不動産は、税金だけがかかってしまう厄介なものです。宅地として活用することで節税対策にもなります。
もちろん、土地を譲り受けるためには生前相続など一定の手続きを踏むことになりますが、土地の購入費用を、建物に資金を回してより高いグレードのマイホームにすることも可能です。
2-2.デメリット
一方のデメリットは、主に資金的な事情によるものが挙げられます。20代といえば人生はまだまだこれから。将来何が起こるかわからないという点は、リスクとして避けられないものかもしれません。
(1) 収入や暮らしに不確定要素が多い
今の世の中、初めて就職した会社に定年までずっと務め続ける方だけでなく、転職やキャリアチェンジする方も少なくありません。そう考えると、今の生活や収入、働き方も含め、将来どのように変化するかはわかりません。
ご自身の事情だけでなく、会社の倒産や、親が倒れるなどして家業を継がざるを得ない場合もあるでしょう。
もちろん、しっかり備えれば、避けられることもあります。ただ世の中にはどうしようもないこともあります。もしもの場合に備えて、無理のないローン計画を立てることが大切です。
また、地元に帰る可能性がある中で家を建てる場合は、なるべく安価なハウスメーカーや商品を選ぶという選択肢も検討しましょう。さらに、将来の売却も考えて、資産価値のある土地を買い、家を建てるということも視野に入れておくとよいでしょう。
(2) 十分な資金を借り入れられない場合がある
一般に住宅ローンで借り入れられる金額は、年収の30%前後といわれています。例えば年収400万円であれば年間120万円の返済(月あたり10万円)までが目安ということです。金利が1%とすると30年ローンならおおむね2,900万円まで、35年ローンでは3,200万円まで借り入れることができることになります。
借入可能額を決めるのは、以下の項目です。
- 年収
- 勤務先企業や勤続年数
- 頭金の有無
年収が少ないほど、借入可能額は少なくなる傾向はありますが、勤務先や頭金(親の援助・預貯金)も大きなポイントとなります。年収だけであきらめず、まずは現在の年収や貯蓄の状況を洗い出し、親からの資金援助が可能かどうかを確認してみましょう。
(3) 資金不足から理想の家づくりができない可能性がある
「頭金やローンの借入金不足から、理想のマイホームが建てられなかった」という声もあります。どうしても理想の家づくりをすべて実現したいという方は、年収が上がり頭金が十分確保できるまで待つしかないというケースもあるでしょう。
しかし、本当に20代で理想のマイホームを建てることは無理なのでしょうか。土地探し、ハウスメーカー選び、資金の集め方、家の建て方。工夫を凝らせば、あなたの満足できるポイントを詰め込んだ家づくりができるはずです。
3.「20代」でマイホーム資金を確保する方法
20代でマイホームを買う資金を得るのは大変です。多くの方は住宅ローンを利用しますが、それにも頭金がある場合とない場合では、借入金額に差が生まれます。
ここでは、20代でマイホーム資金を確保するための方法について、それぞれ解説していきます。
頭金は預貯金だけでなく、親などから援助を受けるという方法もあります。ご自身の置かれている状況から、最適の方法を選択しましょう。
3-1.住宅ローンを利用する
住宅ローン利用者の多くは、資金の80%以上を住宅ローンによる借り入れでまかなっています。当たり前の話ですが、月の返済額を軽くしたければ、頭金を用意してからの利用をおすすめします。
また、頭金が増えることで、融資率が低くなり、そのぶん金利も下がるというメリットもあります。一般的に9割以下の融資率になると、低金利での借り上げが可能となり、逆に9割を超える融資率の場合、高い金利での取引となります。
借入金の1割以上の頭金を用意することができるかどうかは、一つの目安にもなるでしょう。しかし、現在の低金利を有利に生かすために、1割を下回る頭金でもマイホームの新築を選ぶ方も少なくありません。
ご自身の資金状況で比較しながら、どちらがよいかを判断しましょう。
頭金を用意できない場合
頭金を用意しない場合、必要な資金のすべてを住宅ローンでまかなうことになるので、高めの金利を支払うことになります。
月の返済額:76,557円
返済総額:32,153,940円(うち利息は2,153,940円)
ただし、これが家にまつわる支払いの全額ではないことには注意が必要です。火災保険料や工事契約・住宅ローンの契約にまつわる手数料など、いわゆる「諸費用」と呼ばれる部分は頭金などで支払う必要があります。
またランニングコストとして、税金が発生し、修繕費、メンテナンス費用などが必要となる可能性もあります。賃貸住宅の家賃と比較するのなら、これらの費用も加味する必要があるため、ハウスメーカーの保証制度は大変重要なポイントとなります。
頭金を用意できる場合
頭金がある場合は、それだけ住宅ローンの借入額が減るため、支払う金利も少なくなります。
先ほどの例と同様、頭金が10%、300万円を用意する(住宅ローン借入は2,700万円)場合の返済額を計算した場合。
月の返済額:68,901円
返済総額:頭金300万円 + 住宅ローン返済28,938,420円(うち利息は1,938,420円)
諸費用は頭金なしの場合と同じです。頭金なしの場合と比べて、総額で利息は215,520円安く、月の返済額でも7,656円安くなります。それだけ家計の負担も大きく軽くなるでしょう。
頭金が多いほど、金利と月の返済額は抑えられるので、住宅ローンを利用するときは、ある程度の頭金は用意しておきたいものです。
共働きなら2人での効率的な返済も可能
住宅ローンの選択として、一人での借り入れが難しい場合は、共働きの夫婦2人なら、それぞれ住宅ローンを組む「ペアローン」も利用できます。それぞれの収入に応じて借り入れることができるため、合算すると高額の借入が可能です。
この場合、住宅ローンにかかる事務手数料や団体信用生命保険(団信)といった諸費用はそれぞれ別にかかるため、注意が必要です。ペアローン以外にも、一つのローンに対して「連帯債務・連帯保証」の形式をとることで借入金額を上げるという方法もあります。
20代でローンを組む場合、借入金額を増額できることは大きなメリットです。20代でどちらもフルタイムで働いているなら、上記のような方法は、資金を確保しやすい方法のひとつといえます。
また、ペアローンの場合、それぞれが「住宅ローン減税」の対象となるというメリットもあります。補助金や税制の優遇について詳しく知りたい方は、以下の関連記事を合わせてご参照ください。
3-2.親からの援助を受ける
預貯金がない場合、親から資金を援助してもらうという方法もあります。
ここでは、主な3つの手段を解説します。それぞれメリットとデメリットがあるので、親と一緒にじっくり検討して選びましょう。
親から資金を「贈与」してもらう【節税対策にも有効】
まず親から資金を「贈与」してもらう場合を見てみましょう。直系の親や祖父母からの贈与であれば「相続時精算課税制度」を利用でき、住宅取得の特例を併用することで最大3,500万円までは贈与税が非課税になります。
「相続時精算課税制度」は本来の相続を、亡くなる前に先に受け取る制度で、贈与金額が2,500万円に達するまで何度でも控除できる制度です。亡くなって相続するときに精算されますが、それまでの贈与の合計額が2,500万円以下であれば、贈与税はかかりません。
これに住宅取得等資金贈与の非課税の特例を併用すれば、さらに最高1,000万円まで非課税となるため、合計で非課税枠は最高で3,500万円となります。
住宅取得等資金贈与の非課税の特例を適用するには、細かく設定された贈与される人の条件や建物の条件を満たさなくてはなりません。
また、建物が省エネ、耐震、バリアフリーなど一定の要件を満たしている場合は非課税限度額が高くなります。またこの特例は、2021年12月31日までの契約締結し、さらに贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までの間に税務署への申告する必要があります。
この方法のデメリットをあえて挙げるとすれば、申告の手間でしょう。それほどメリットの大きい制度のため、20代でマイホームを買うためにご両親や祖父母から資金援助を受けるなら、ぜひ利用したい税制特例といえます。
参考:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
「宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税のあらまし」
親から資金を「借入」する
たとえ親でも割り切って、贈与ではなく「借入」するという方法は、土地や建物の担保が不要で、金利や返済期間も比較的自由に設定できるメリットがあります。
身内とはいえ、返済期限を決めず、都合がよいときだけ返済する形式では、贈与とみなされ贈与税の対象となってしまう可能性があります。それを避けるためにはきちんと「借用書」を作り、いくらをいつまでにどのように返済するかを明確にすることが大切です。返済するときも、銀行振込などを使った返済の記録を残しておきましょう。
また、金利も一般の金融機関の住宅ローンの最低水準程度であればよいですが、ゼロにしてしまうと贈与とみなされる可能性があるため、この点にも注意が必要です。
借用書を作る際は、税務署などで問題ない借り入れ条件かどうか、相談してみましょう。
土地やマイホームを「共有財産」とする
親と自分の共同でマイホームを買うという方法です。土地や建物の持分割合を、支払った金額に応じて設定、登記すれば、どれほど親の割合が高くても贈与にはあたりません。
ただしこの場合、親もマイホームの所有者になるため、持分割合に応じて不動産取得税や固定資産税が課されます。
また、親が亡くなったときは持分割合が相続の対象になることには注意が必要です。
特に相続では、相続人が複数の場合、資産をどう配分するかが問題になります。この方法を選ぶときは、相続のことまで相続人全員ときちんと話し合う必要があるでしょう。

“結婚していなくてもローンは借りられる?”
20代でマイホームを買うのは、結婚してからと決まっているわけではありません。最近は独身で暮らす人が増え、そのまま住宅ローンを利用して家を買うことも増えてきました。
住宅ローンのポイントには、年齢や健康状態、担保評価、勤続年数などが挙げられますが、借りられるかどうかは「返済できるかどうか」で決まります。結婚しているかどうか、男性か女性かといったことはそこまで重視されてはいません。
金融機関によっては、結婚前の婚約中のカップルやLGBTQカップル、事実婚カップルでも利用できる住宅ローンもあります(ただし、数は少ないため、状況に応じて探す必要があります)。
結婚していなくても、住宅ローンでは通常通り審査され、借りられるかどうかが決まることになります。独身や女性だからと尻込みする必要はありません。建売の戸建住宅であれ、豪華な注文住宅であれ、これからは独身の方が買うケースも増えていくでしょう。
4.「20代」で家を買って後悔した失敗談とリスク対策
最後に、20代で家を買った方の失敗談を2つ紹介します。実際の失敗談はたくさん知っているほど役立つはずです。
ここでは、住宅ローン返済が厳しいという失敗談と、資金計画のミスで家計が大変になったという失敗談から、それぞれのリスクに対してどう対策するとよいかを解説します。
4-1. 理想の家を追い求めてローン返済が家計を圧迫するまでに
家を買うのは人生の一大イベントです。ましてや20代であれば、家はこれからの人生をより充実させるための、まさに「城」です。理想の間取りや設備を追求したくなるのは当然でしょう。
しかし予算を超えたマイホームには、大きな後悔が待っているようです。
家にかかる費用は、結局自分で支払うお金であることを忘れてはいけません。かかる費用はなるべく正確に把握し、全体の予算をしっかり返済できる範囲内に収めつつ、理想を追求しましょう。ハウスメーカーからの見積もりにきちんと含まれているか、抜けている項目がないかなどじっくり確認することが重要です。
4-2. 概算の資金計画のままローンを組んで、厳しい暮らし向きに‥
家を買うとき、資金をどのように確保するか、その方法や手順など細かに相談に乗ってくれるのがハウスメーカーです。それはもちろん「家を建ててもらうため」。提示された資金計画を見て「これならいける」と鵜呑みにすると、後悔することになるかもしれません。

無料のマイホーム相談会で提示された資金計画を鵜呑みに
ハウスメーカーの開催する「無料マイホーム相談会」で、概算と前置きされながらも提示された資金計画を見て思わず「思ったより月の支払いが少ない」と感じ、気持ちはすっかり「購入モード」に。しかしその資金計画は、自己資金と借入可能額が上限いっぱいまで使ったものでした。そのまま住宅ローンを申し込んでしまい、返済はまさに上限ギリギリで生活の余裕がなくなってしまいました。
住宅ローンは複数の金融機関を比較して決めましょう
家を買うことに慣れていなければ、ハウスメーカーに誘導され、指定の金融機関で住宅ローンを申し込むことになってしまうこともあるでしょう。しかし、住宅ローンは金利や内容など、金融機関によって違いがあることは知っておく必要があります。
住宅ローンは、面倒でも複数の金融機関を比較して利用を決めるのがおすすめです。もちろん、ハウスメーカーの資金計画も参考にします。しかしそれ以外の選択肢もじっくり調べて、自分に最も利用しやすい住宅ローンを選ぶことが大切です。
5.マイホームで重視したいポイントと注意点
マイホームを買うにあたって、重視したいポイントにはそれぞれ違いがあるかもしれません。しかし、20代で「マイホームを建てたい」と考えている多くの方に共通するポイントもあります。
ここからは、20代の方がマイホームを建てる際に重視すべきポイントとその注意点について詳しく解説します。
5-1.子育てがしやすい「間取り」
20代で結婚や出産をきっかけにマイホームを建てたいと計画を始める場合、子育てに対応した家づくりは欠かすことのできないポイントの1つです。間取りを考える際には、以下のようなポイントを意識しておくとよいでしょう。
子育てしやすい間取りのポイント | 具体策 |
---|---|
キッチンから子供が遊んでいる姿が見えること | 対面式のオープンキッチンにする |
家の中で遊ぶ空間があり、ケガをしないよう配慮してあること |
|
成長に伴って必要になる個室にするための工夫をすること |
|
バリアフリー住宅のポイント、平屋を建てる際のポイントについては以下の関連記事で詳しく解説しています。必要に応じて合わせてご参照ください。
5-2.メンテナンス費用を軽減する「素材選び」
マイホームを買うとき、意外と価格に影響するのが建物の「素材」です。建物の基礎となる柱などはもちろんですが、家を雨風から守る「屋根」や「外壁」の素材は、断熱性、遮音性の高いものがおすすめです。
屋根や外壁は、家の中でも特に傷みやすい部分です。定期的にメンテナンスしなくてはいけない部分ですが、より長く効果が続く素材を用いれば、将来のメンテナンス費用も抑えることができます。
マイホームを買うときは、使われている素材にも注意し、その後のメンテナンスなどにかかる費用についてもよく検討する必要があるでしょう。
5-3.家を建てるハウスメーカー選びは慎重に
マイホームを建てる際に、何より大切なのは「ハウスメーカー選び」です。というのは、ハウスメーカーによって得意な設計や造りは異なり、デザインや間取り、提供するサービス内容にもそれぞれの特徴があるからです。
ハウスメーカーを選ぶ際には、以下のポイントに注意して比較しましょう。
- ご家族に合った間取りの提案をしてくれる
- こだわりの素材や家づくりの技術に定評がある
- 建売住宅や分譲地、土地探しにも力を入れている
- アフターサービスや保証内容が充実している
- 担当者との相性がよいかどうか
またハウスメーカーによって使う素材や工法も違うため、似たような間取り、デザインでも価格にかなり開きがある場合も少なくありません。
一生に何度もないマイホーム購入だからこそ、ご自身の条件から絞り込んだ複数のハウスメーカーに同条件でのプラン提案・見積もりを依頼し、価格の他素材や工法についてもじっくり確かめましょう。
まとめ
20代でマイホーム、しかも注文住宅を購入することは、手元に残る資産や住みよい住環境を手に入れるという大きなメリットがあります。しかし、資金をどう確保するかなど課題があり、以下のような対策が必要となるケースは少なくありません。
- 住宅ローンを活用する(頭金を集める、ペアローンなど夫婦で借りる方法をとる)
- 親からの資金援助を受ける(生前贈与を受ける、共有財産にする など)
住宅ローンを多く借り入れるには「できるだけ頭金の金額を増やす」「夫婦でローンを組む」などの工夫が必要です。また、住まいの購入を目的とした親の援助は、一定額まで贈与税の非課税対象となるため、節税対策にもつながります。
住宅ローンを含めたマイホームの資金計画は細かな点が多く、後で思いがけぬ出費につながるケースもあるため、しっかりと把握することが大切です。
将来の理想像やライフスタイル、そして今後のリスクを加味し、無理のない返済を第一に置きつつ、しっかりと検討しましょう。
この記事のポイント まとめ
20代でマイホームを購入した人は全体の14.5%。毎年同程度の割合が20代でマイホームを購入しています。
20代でマイホーム購入を検討する理由は以下の通りです。
1位:家賃を払い続けるのがもったいないから(26.6 %)
2位:結婚したから(21.9 %)
3位:家族構成が変わったから(17.2 %)
4位:今の家が手狭だから(10.9 %)
詳細は、本記事の「1-1.20代で住宅ローンを組む割合は12.2%」「1-2. マイホームを建てようと思ったきっかけは?」をご参照ください。
参照:国土交通省「令和二年度住宅市場動向調査((2) 一次取得・二次取得別の世帯主の年齢)」
- 全体の80%の方が住宅ローンを利用している。
- 住宅ローンの年間の返済額平均は124.7万円で、年収における返済負担率は17.9%。
- 住宅ローンの返済期間の平均は、建物分は32.4年、土地分は34.2年。
- 融資率(家を建てる費用に対する住宅ローンの割合)は「90%超100%以下」が最も多い。
- 低金利であることから、金利タイプは変動型を選ぶ方が69%で最も多い。
- 年収600万円未満で家を建てた人は全体の4割を占めている。
詳しい内容については「1-3.【住宅ローン】マイホーム資金をどう確保した?」をご覧ください。
20代でマイホームを買うメリット
- 家賃と違って支払った分が不動産財産として残る
- 住宅ローンの返済期間が長期間にしやすい
- 親の所有する土地・余っている土地を有効活用できる
20代でマイホームを買うデメリット
- 収入や暮らしに不確定要素が多い
- 十分な資金を借り入れられない場合がある
- 資金不足から理想の家づくりができない可能性がある
各項目の詳細については、「2.「20代でマイホームを買う」メリットとデメリット」にて詳しく解説しています。
まず、住宅ローンを組むために、用意できる「頭金」を整理してください。が用意できる場合はその分金利が下げられるため、月々の支払額も小さくなります。
逆に、頭金を用意できない場合は、金利が高くなる分、月々の返済額が上がります。しかし、教育費などその他の出費や税金、将来必要となる修繕費なども必要となるため、家計を圧迫しすぎないようにご注意ください。
具体的なシミュレーション例について知りたい方は「3-1.住宅ローンを利用する」をご確認ください。
共働きのご夫婦・パートナー同士なら、それぞれで住宅ローンを組む「ペアローン」
やひとつの住宅ローンを「連帯債務・連帯保証」で組むという方法で、より多くの資金を確保することも可能です。
また、ご両親や祖父母からの援助を受けられる場合は、非課税になる特例があるため、忘れずにご活用ください。
詳しい方法については「共働きなら2人での効率的な返済も可能」「3-2.親からの援助を受ける」をご参考ください。
注文住宅にこだわりの素材選びで費用が1,000万円増
郊外に注文住宅を建てたため、土地の価格が思ったより安く済んだ。しかし壁の塗装や断熱性の高い壁材など、より理想に近い家を建てようとこだわっていくうちに、当初の見込みより1,000万円もオーバー。ローンの返済でギリギリの生活になってしまいました。老後の資金が確保できるかが心配です。
必要な費用は細かく把握しておけばよかった‥
家づくりの資金計画を自己流でやったものの、引っ越し費用などの諸経費や、将来必要になるだろう進学費や介護費、家の修繕費も考えて返済金額を設定せず、想像以上に家計を圧迫。慎重に検討すべきだったと後悔しています‥。