これから家を建てる方や、すでにマイホームをゲットした方の中には、「いずれは住宅ローンを一括返済したい」と考えている方もいらっしゃるでしょう。
住宅ローンは返済期間が長引くほど利息が増えるため、一括返済すれば利息を減らすことが可能です。
とはいえ、安易に検討するのは、以下のようなデメリットやリスクがあるためおすすめできません。
- 手数料が発生することがある
- 親から借りて返済すると贈与税が発生することがある
- 住宅ローン控除が適用されなくなることがある
- 急な出費に対応できなくなることがある
- 住宅ローンを生命保険代わりに利用できなくなる
今後の生活に支障が出ることもあるため、この記事で住宅ローンの一括返済について情報を整理しておきましょう。
- 住宅ローン一括返済のメリットとデメリット
- 住宅ローン一括返済に適したタイミング
- 完済を早める「繰り上げ返済(一部返済)」について
「住宅ローンを早く完済したいけれど、リスクは避けたい!」という方は、ぜひ最後までご覧いただき、最適な返済方法の参考にしてくださいね。
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住宅ローンの基本パターンについて押さえておきたい方は「注文住宅の住宅ローンの流れ」の記事もご覧ください。
Contents
1.住宅ローンを一括返済するメリット
住宅ローンは、必ずしも最初に決めた借入期間で返済するものではありません。
途中でまとまった金額を返済して借入期間を短縮したり、一括返済して住宅ローン契約そのものを解消したりすることも可能です。
手元資金に余裕があるときや、相続でまとまった資金が入ったときは一括返済を検討してみましょう。
一括返済には次のようなメリットがあります。
- 利息を減らせる
- 家計と気持ちに余裕が生まれる
- 保証金の一部が返還されることがある
それぞれの詳細を説明します。
1-1.利息を減らせる
利息は、借入期間が長引くほど高額になります。
一括返済すれば、以後に発生する予定の利息を払う必要がなくなり、利息を大幅に減らすことが可能です。
住宅ローンは高額かつ借入期間が長い傾向にあるため、利息も高額になりがちです。一括返済で利息を減らすことで支払総額が抑えられるのは大きなメリットといえるでしょう。
1-2.家計と気持ちに余裕が生まれる
住宅ローンを一括返済すれば、毎月の支払から解放されて、気持ちに余裕が生まれるかもしれません。
住宅ローンは、手元に充分なお金がないときでも住宅を購入できるので、多くの人が利用しますが、多額のお金を借りることや長期間負債を抱えることが、ストレスになることもあるでしょう。
一括返済で家計に余裕が生まれると、臨時支出にもスマートに対応できるようになりそうです。
1-3.保証金の一部が返還されることがある
住宅ローンを借りるときには、保証会社の保証をつけることがあり、保証金を支払うこともあります。
保証金は保証期間に対して金額が決まることが多いため、住宅ローンを一括返済して期間を短縮できれば、契約時に一括で支払っていた保証金が一部返還されることがあります。
ただし、返還時には手数料が発生するため、保証期間が短縮された分の保証金を全額受け取れるわけではありません。どの程度の返還を受けられるのか、金融機関に問い合わせてみましょう。
2.住宅ローンを一括返済するデメリット
住宅ローンを一括返済すると、少なからずデメリットやリスクが生じます。
- 手数料が発生することがある
- 親から借りて返済すると贈与税が発生することがある
- 住宅ローン控除が適用されなくなることがある
- 急な出費に対応できなくなることがある
- 住宅ローンを生命保険代わりに利用できなくなる
以下より1つずつ詳細を確認しましょう。
2-1.手数料が発生することがある
金融機関によっては、一括返済時に手数料がかかることがあります。
一括返済によって軽減できる利息よりも手数料が高額な場合は、実質的に損をしていることになります。
損をしないためにも、一括返済をする前に軽減できる利息と手数料を比較しておきましょう。
2-2.親から借りて返済すると贈与税が発生することがある
早く住宅ローンを終わらせたくて、親や祖父母からお金を受け取って一括返済をする方もいるでしょう。
しかし、親から受け取った金額が年間110万円を超えると贈与税が発生するので注意が必要です。
110万円を超える金額を受け取るときは、「借りる」という形にすることで贈与税を回避できることがあります。後で贈与を疑われないためにも、借用書を作成し、返済方法や返済期限、金利などを決めておくことも有用です。
2-3.住宅ローン控除が適用されなくなることがある
住宅ローン控除は10年間、あるいは13年間、所得税額・住民税額を減らせる制度です。
しかし、年末時点で住宅ローン残高があることが条件となるため、一括返済をしてしまうと以後の年度は適用されなくなってしまいます。
一括返済によって減額できる利息が住宅ローン控除によって減税できる金額よりも多ければよいのですが、減税額のほうが多いときは損をします。慎重にシミュレーションしてから一括返済をしましょう。
2024年1月から「住宅ローン減税」の仕組みが以下のように変更されました。
借入限度額
子育て世帯・若者夫婦世帯※が2024(令和6)年に入居する場合、以下の水準を維持する。
認定住宅:5,000万円/ZEH水準省エネ住宅:4,500万円/省エネ基準適合住宅:4,000万円
※18歳以下の子どもがいる、 もしくは夫婦のいずれかが39歳以下の世帯
床面積要件緩和措置の期限
新築住宅の床面積要件を40平米以上に緩和する措置(合計所得金額1,000万円以下の年分)の建築確認の期限を以下のとおり延長する。
2023(令和5)年12月31日 → 2024(令和6)年12月31日
新築住宅の条件
2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅は、省エネ基準を満たす住宅であることを条件とする。
※借入限度額は省エネ性能に応じて異なる
※申請には「省エネ基準以上適合の証明書」が必要
参考:国土交通省「住宅ローン減税」
2-4.急な出費に対応できなくなることがある
預貯金全額を使って一括返済すると、住宅ローンの返済もなくなりますが、手元資金もなくなってしまいます。
急な出費に対応できなくなり、別のローンを借りる必要が生じるかもしれません。
一括返済を検討する際には、急な出費に必要と思われる金額を手元に残しても実行できるのかを考えてみましょう。
2-5.住宅ローンを生命保険代わりに利用できなくなる
住宅ローンを借りるときは、団体信用生命保険(団信)に加入することが一般的です。
団信に加入すると、返済途中に死亡あるいは高度障害状態になるとローンの返済が免除されます。
しかし、一括返済をすると団信の適用もなくなってしまいます。住宅ローンを生命保険代わりに使用できなくなるので、万が一に備える別の方法を検討しておくことが必要です。
以上が、住宅ローンを一括返済するデメリットです。
基本的には、事前に現実的な資金計画を立て、無理なく返済していくことが一番。
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3.住宅ローンを一括返済する最適なタイミング
デメリットやリスクに対して充分に対策すれば、住宅ローンの一括返済はメリットの多い選択といえます。
資金に余裕があるときは一括返済して、ローンのない生活を目指してみてはいかがでしょうか。
特に次のタイミングは、一括返済に適しています。
- 住宅ローン控除が終了したとき(10年後、13年後など)
- 相続などでまとまったお金が入ったとき
以下より、詳しく説明します。
3-1.住宅ローン控除が終了したとき(10年後、13年後など)
住宅ローン控除は、年間最大35万円の所得税額・住民税額を減税できる制度です。メリットが多いので、できれば最大年数利用するようにしましょう。
入居した年によっても異なりますが、新築住宅と買取再販住宅の場合は最大13年間、既存住宅は最大10年間の住宅ローン控除が適用されます。住宅ローン控除の適用が終了した後に一括返済し、減税額を減らさないように調整してはいかがでしょうか。
3-2.相続などでまとまったお金が入ったとき
相続などでまとまったお金が入ったときも、住宅ローンの一括返済を検討できます。預貯金を減らさずに済むため、急な出費にも対応することが可能です。
ただし、相続税が発生するときは、相続した全額を住宅ローンの返済に充てられない可能性があります。
住宅ローンを一括返済してから「相続税が払えない!」といったことにならないよう、正しく相続税を支払った後に相続財産の使い道を決めるようにしましょう。
4.住宅ローンの返済を早く終わらせる一括返済以外の方法
一括返済以外の方法でも、住宅ローンの返済を早く終わらせることは可能です。
住宅ローンを早く解消したい方は、次の方法を検討してみましょう。
- 繰り上げ返済(一部返済)
- 借り換え
各方法のメリットや注意点を説明します。
4-1.繰り上げ返済(一部返済)
繰り上げ返済(一部返済)とは、毎月の返済とは別に任意で返済することです。
ローン残高すべてを返済することは難しくても、繰り上げ返済で残高の一部を返すのであればハードルは低いでしょう。
繰り上げ返済をすることでローン残高が早く減り、返済期間や利息を減らせられます。
しかし、金融機関によっては繰り上げ返済時に手数料がかかることもあるので注意しましょう。繰り上げ返済によって減額できる利息よりも手数料が高いときは、損をすることになります。
4-2.借り換え
好条件な住宅ローンに借り換えることも検討してみましょう。適用金利が低いローンに借り換えれば、利息が減る可能性があります。
ただし、借り換え時に次の費用がかかることがあるので注意が必要です。
- 既存ローンを完済する際の手数料
- 新規ローンを契約する際の諸経費
これらの合計額が借り換えによって減額できる利息よりも多いときは、借り換えにより損をしてしまいます。金融機関に相談し、発生する費用と減額できる利息を比較してから借り換えを実施するようにしましょう。
初めての家づくりを効率よく進めるには、無料サービスを活用するとよいです。
5.住宅ローンを一括返済・繰上げ返済したときのシミュレーション例
実際のところ、住宅ローンを一括返済・繰上げ返済するとどの程度の利息を減らせるのでしょうか。以下の条件をもとに、シミュレーションしてみましょう。
ローン残高:1,000万円
金利:1.2%(実質年率)
返済方法 | 返済額 | 毎月返済する予定だった額 | 減額できる利息 |
---|---|---|---|
繰上げ返済 | 500万円 | 10万円 | 13万1,877円 |
15万円 | 8万7,763円 | ||
20万円 | 6万6,103円 | ||
一括返済 | 1,000万円 | 10万円 | 54万1,273円 |
15万円 | 35万4,070円 | ||
20万円 | 26万3,783円 |
繰上げ返済であれば3か月分で28万5,743円、一括返済であれば3か月分で115万9,126円の利息を軽減することができます。
上記はあくまでシミュレーション例であり、目安ですが、ぜひ参考にしてください。
6.住宅ローンを一括返済した後の注意点
住宅ローンの一括返済をした後にもいくつか注意すべきポイントがあります。
特に注意したいポイントとしては、次の2つが挙げられます。
- 抵当権抹消登記が必要
- 必要に応じて生命保険に加入する
各ポイントを説明します。
6-1.抵当権抹消登記が必要
住宅ローンを借りるときは、通常、ローンで購入する住宅を担保に設定します。担保に設定するときは、法務局で「抵当権設定登記」をしなくてはいけません。
抵当権とは、万が一、ローン契約者が返済できなくなったときに、ローンを提供する金融機関は住宅を競売にかけ、売却代金を強制的にローン返済に充当できる権利のことです。金融機関は抵当権設定登記を行うとことで、安心して融資を行うことができます。
住宅ローン残高を一括返済してローンを完済すると、住宅に抵当権をつける必要がなくなります。法務局で「抵当権抹消登記」を行い、抵当権を外しましょう。
抵当権抹消登記には次の費用がかかります。
費用項目 | 費用相場 |
---|---|
登録免許税 | 不動産1件あたり1,000円 ※土地と建物が担保になっている場合は2件となるため2,000円かかります。 |
司法書士へ支払う代行報酬 | 1万円程度 ※ローン契約者自身が手続きしても問題はないので、節約したい方は自力で手続きしましょう。 |
6-2.必要に応じて生命保険に加入する
住宅ローンを完済すると、団信の適用を受けられなくなります。万が一に備えて家族の生活を守る保証が必要だと感じる方は、生命保険への加入を検討しましょう。
例えば、死亡や高度障害状態になったときのために、子どもの教育費を遺しておきたいなら、学資保険や定期保険を検討できます。
学資保険であれば子どもの入学などのタイミングで、定期保険なら死亡あるいは高度障害状態になったタイミングで保険金を受け取ることが可能です。
また、病気などで長期間働けなくなったときの保証が必要な方なら、就業不能保険も視野に入れてみましょう。働けないときは給付金を受け取れるので、収入が減っても生活に支障が生じにくくなります。
まとめ
住宅ローンの一括返済には少なからずリスクがあります。
一括返済しても手元に充分な資金が残る場合や、住宅ローン控除の適用期間が終わっている場合などはメリットが多いと考えられますが、いずれの状況にも当てはまらないときは、一部返済も検討しましょう。
一部返済するだけでも、住宅ローンの返済期間や利息を減らせることがあります。
ただし、一部返済に手数料がかかるときは、ある程度まとまった金額を返済するようにしましょう。
一括返済・一部返済のいずれを実施するときも、損をしないかどうか確認しておくことが不可欠です。手数料や住宅ローン控除による減税額なども考慮して、損をしない選択をしましょう。
この記事のポイント
一括返済とは、住宅ローンの残高をすべて支払い、ローンを完済する方法です。一括返済には以下のようなメリットがあります。
- 利息を減らせる
- 家計と気持ちに余裕が生まれる
- 保証金の一部が返還されることがある
詳細は「1.住宅ローンを一括返済するメリット」で解説しています。
繰り上げ返済をすることで住宅ローン残高が早く減り、返済期間や利息を減らせられます。
「4-1.繰り上げ返済(一部返済)」で詳細お伝えしているので、一括返済が難しい方はぜひ検討してみてください。
ローン残高1,000万円、金利1.2%(実質年率)の場合、3か月分で28万5,743円程度の利息を軽減することができます。
詳細は「5.住宅ローンを一括返済・一部返済したときのシミュレーション例」をご覧ください。
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