健康住宅とは?特徴やメリット、省エネ住宅との関係を解説

住み手の健康を意識して設計された家は、建材に自然素材を用いている、高気密・高断熱である、換気機能が良いといった特徴があります。このような「健康住宅」であれば、「ヒートショック」や「シックハウス症候群」などの健康被害を回避できるでしょう。

この記事では、健康住宅に関する以下の情報をお伝えします。

この記事でわかること
  • 健康住宅の特徴
  • 健康住宅のメリット
  • 健康住宅によって防げる健康被害

ぜひ最後までご覧いただき、家づくりの参考にしてくださいね。

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1.健康住宅とは

健康住宅イメージ

近年、住む人の健康を第一に考えて設計された「健康住宅」が注目されています。
健康住宅には、建材に自然素材を用いている、高気密・高断熱である、換気機能が良いといった特徴があります。
それにより、「ヒートショック」や「シックハウス症候群」などの、住宅環境に由来する健康被害を回避しやすい点がメリットです。

2.健康住宅の特徴

健康住宅との特徴として挙げられるのは、以下の4点です。

【健康住宅の特徴】
  • 自然素材を用いた建材
  • 高気密・高断熱
  • 優れた換気システム
  • 快適な室温の維持

それぞれの特徴を解説します。

2-1.自然素材を用いた建材

健康住宅の特徴として、自然素材を用いた建材が使われている点が挙げられるでしょう。国産の「無垢材」は「集成材」と異なり、有害物質を含む防腐剤や接着剤が使用されていないため、シックハウス症候群のリスクが低いといえます。

ちなみに、「集成材」とは、薄い木材を何枚も重ねて接着剤で接着させた建築材料のことです。供給量が多くて容易に入手でき、安価であるため住宅に広く使用されています。
しかし、シックハウス症候群のリスクが高く、頭痛や目、のどの痛みなどの病気を引き起こしやすい点に注意が必要です。人によっては体内でアレルギー反応を引き起こし、かゆみや湿疹といったアレルギー症状が出る場合もあります。

健康住宅においては、人体に害を及ぼす物質が含まれた建材が使われていないことが重要です。自然由来の素材であるため、空気を浄化する作用を持つものもあります。

2-2.高気密・高断熱

高気密・高断熱であることも、健康住宅の特徴の1つです。

高気密・高断熱の家は、室内温度が一定に保たれるため快適で過ごしやすく、ヒートショックを予防できる点がメリットです。

気密性を高めるためには、壁や天井などのすき間を減らして空気の出入りを防止しなければなりません。気密テープやシートを貼ったり、すき間の生じにくい断熱材や窓サッシを使用したりします。

また、断熱性を高める方法としては、断熱材を使用して熱の出入りを防ぐことが大切です。性能の高い断熱材や窓サッシ・玄関ドアを使い、設計時の計算値が地域ごとに定められた基準値を超えると、高い断熱性が期待できます。

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2-3.優れた換気システム

健康住宅には、優れた換気システムも欠かせません。

近年は、空気の質も大きく注目されています。人間は毎日大量の空気を摂取しており、空気中の花粉や排気ガスだけでなく、家の中で発生するダニやカビ、微生物による空気の汚染を防ぐことが重要です。

すき間の多い、昔ながらの日本家屋では換気の必要はほとんど必要ありませんでした。しかし、住居の気密性が高まることで換気能力が低下するため、しっかりと換気を行わなければなりません。

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2-4.快適な室温の維持

快適な室温が維持されると、健康の維持・増進が期待できます。室温が急激に変化することで起きる、ヒートショックの防止に効果的です。

家全体の温度差が少なくなるように保つために、とくに寒さを感じやすい浴室や脱衣所、トイレに暖房器具を設置するなどして対策しましょう。

また、温度差が生じやすい窓付近の対策としては、耐熱性の高い窓ガラスを採用したり、厚手のカーテンをつけたりして温度差が生まれることを防ぐことがおすすめです。

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3.健康住宅によって防げる健康被害

健康住宅によって防げる健康被害イメージ

健康住宅によって防げる健康被害として挙げられるのは、以下の4点です。

【健康住宅によって防げる健康被】
  • シックハウス症候群
  • ヒートショック
  • アトピー
  • 熱中症

それぞれの内容について解説します。

3-1.シックハウス症候群

シックハウス症候群とは、目がチカチカしたり、鼻水やのどの痛み、頭痛などの症状があらわれたりする健康被害です。建材や家具などから発生する化学物質による健康被害であり、住宅の高気密化が進んだことなどが原因で増加しつつあります。

シックハウス症候群を防ぐには、換気システムを設置したり、特定の有害物質を含む建材の使用を制限したりするなどの対策が必要です。とくに以下の2つの化学物質に注意しましょう。

【シックハウス症候群の原因となる化学物質】
  • クロルピリホス
  • ホルムアルデヒド

クロルピリホスは防蟻剤・木材保存剤などに使用され、人体に入るとけいれんやめまい、吐き気、頭痛などを引き起こすことがあります。

また、ホルムアルデヒドはパーティクルボードなどに使用される化学物質で、強い刺激臭で目や鼻に刺激を与えるほか、せきやくしゃみを誘発します。呼吸困難も引き起こす物質であるため、注意が必要です。

参照元:国土交通省住宅局「 PDF快適で健康的な住宅で暮らすために 改正建築基準法に基づくシックハウス対策

シックハウス症候群になりにくい新築住宅とは?選び方や原因と対策を紹介

3-2.ヒートショック

ヒートショックとは、体温が急激に変化することで体がストレスを感じ、それによって健康が悪影響を受ける健康被害のことです。ヒートショックは血圧の乱高下を引き起こし、心筋梗塞や脳卒中などの重大な健康被害の原因となることもあります。

寒い季節に暖房の効いた暖かい場所から寒い場所に移動したり、寒い場所から暖房の効いた場所に入ったりする際に起こりやすいとされています。ヒートショックが起こりやすい代表的な場所としては、冬場の寒い浴室や脱衣所・トイレが挙げられるでしょう。

3-3.アトピー

アトピー性皮膚炎とは、皮膚のバリア機能が低下したり、皮膚に炎症があらわれたりすることで、かゆみのある湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返す病気のことです。外からアレルゲンなどの刺激が入りやすくなっているため、これらは免疫細胞と結びつき、炎症を引き起こします。

アトピーを防ぐには、室内のダニやカビの発生を防ぐことや、ホルマリンなどの化学物質の入った建材を使用しないといった対策が必要です。

3-4.熱中症

熱中症も、健康住宅によって防げる健康被害の1つです。

総務省消防庁によると、2023年7月10日~16日における熱中症の発生場所(速報値)は、約42.4%が住居であるという結果でした。(参考:総務省消防庁 「PDF令和5年7月の熱中症による救急搬送状況 」)

適切に冷房が使用されていなかったり、換気が不十分であったりすると、室内でも熱中症を発症します。とくに高齢者や乳幼児は、体温調整が難しいため気づかないうちに熱中症になってしまうケースも少なくありません。

エアコンを適切に使用して快適な温度を保つことや、風通しの良い環境にすることが求められます。

4.健康住宅のメリット

健康住宅に住むメリットは、健康被害を回避できるだけではありません。主に以下のようなメリットが得られます。

【健康住宅に住むメリット】
  • 快適な生活が送れる
  • 住宅自体の価値が高まる
  • 長く住み続けられる

それぞれのメリットの内容について解説します。

4-1.快適な生活が送れる

健康住宅は、快適な生活を提供してくれるでしょう。

例えば、夏は涼しく冬は暖かい環境であれば、ストレスのない生活を送れます。また、自然素材を使用しているために、ナチュラル志向の方に好まれる、視覚的な刺激の少ない仕様にできることも健康住宅のメリットといえます。

4-2.住宅自体の価値が高まる

健康や環境などの側面に配慮した健康住宅は、不動産としても価値が高まりやすいといえるでしょう。

近年は人々の健康意識が高まっていることもあり、健康住宅の仕様や特性は大きな魅力であり、一般的な住宅と比較して、より高額で売却できる可能性があります。

4-3.長く住み続けられる

健康住宅は、家そのものの寿命が長く、長期間にわたって住み続けられる点もメリットです。

例えば高気密・高断熱の家であれば、季節を問わずに室内の温度と湿度を適切に保てます。その結果、結露の発生を抑制し、木材の腐食やカビの発生を防ぐことが可能です。このように、家の劣化を抑えられれば建物の寿命は延び、長く住み続けられます。

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5.健康と省エネ住宅の関係

一部のハウスメーカーでは、ここまでお伝えしてきた「健康住宅」のような商品ラインナップがありますが、実は多くのハウスメーカーが取り扱う「省エネ住宅」と呼ばれる商品でも健康を守ることが可能です。省エネ住宅は、地球環境に優しく光熱費を削減できるだけでなく、ヒートショックや熱中症を防ぐ健康住宅の側面も持ち合わせます。

6章では、省エネ住宅に関する、減税・補助金の情報もご紹介します。

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6.省エネ住宅の減税・補助金制度

省エネ住宅の減税・補助金制度イメージ

省エネ住宅に関する、減税・補助金制度は以下のとおりです。

【省エネ住宅の減税・補助金制度】
  • 住宅ローン控除
  • 認定住宅の所得税の特別控除
  • 特定リフォームに係る所得税の減税
  • 子育てグリーン住宅支援事業

それぞれの制度の概要を解説します。

6-1.住宅ローン控除

住宅ローン控除とは、年末時の住宅ローン残高に応じて、所得税や住民税の控除が受けられる制度のことです。

割賦償還方式で返済期間10年以上かけて返済する住宅ローンについて一定条件を満たすと、入居した年から最長13年間は年末時点での住宅ローン残高の0.7%にあたる金額を、所得税や住民税から控除できます。

【住宅ローン控除(2024年税制改正後)】
控除率 0.7%
控除期間 最長13年間
借入限度額
(新築、2025年入居の場合)
長期優良住宅・低炭素住宅:4,500万円
ZEH水準省エネ住宅:3,500万円
省エネ基準適合住宅:3,000万円

税制改正により、2024年以降に新築住宅について住宅ローン控除を適用させるには、「省エネ基準適合住宅」以上が必須条件となりました。

なお、住宅ローン控除は、住宅ローン減税とも呼ばれますが、正式な名称は「住宅借入金等特別控除」です。

参照元:国土交通省「住宅ローン減税

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6-2.認定住宅の所得税の特別控除

認定住宅の所得税の特別控除とは、国が定めた「認定長期優良住宅」や「認定低炭素住宅」を新築・購入などした際に、住宅面積に応じた金額を控除できる制度のことです。認定低炭素住宅は、2014年以降に住んだケースのみ該当します。

所得税控除ではなく税制控除であるため、算出した税額から直接控除額を差し引くことが特徴です。控除しきれなかった場合は、その分を翌年の所得税額から控除することが可能です。

【認定住宅の所得税の特別控除(2022年1月1日から2025年12月31日まで)】
控除率 10%
対象となる住宅 認定長期優良住宅
認定低炭素住宅
特定エネルギー消費性能向上住宅
限度額 650万円

参照元:国税庁「No.1221 認定住宅等の新築等をした場合(認定住宅等新築等特別税額控除)

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長期優良住宅とは?認定の条件やメリット・デメリットを解説

6-3.特定リフォームに係る所得税の減税

特定リフォームに係る所得税の減税とは、省エネ改修や耐震改修などのリフォームをする際に、その年の所得税から控除を受けられる減税制度です。住宅ローンなどの利用がなくても適用できます。

【特定リフォームに係る所得税の減税/省エネ改修工事】
居住年 対象工事 控除対象限度額 控除率
2024年~2025年 省エネ改修工事 250万円
※太陽光発電装置を
設置する場合は350万円
10%

さらに、上記の工事のうち限度額を超過する部分と、上記の工事と合わせて行う一定の増改築工事に要した費用の合計額について、1,000万円まで5%に相当する金額を控除が受けられます。

※上記工事にかかった金額と同額または1,000万円-上記工事の控除対象額のうち、少ない方の金額に対して、5%に相当する金額を控除

参照元:国土交通省「PDF省エネ改修に係る所得税額の特別控除

6-4.子育てグリーン住宅支援事業

「子育てグリーン住宅支援事業」は、2024年度補正予算案に盛り込まれた、省エネ住宅取得のための補助金制度です。「子育て」と記載されていますが、条件を満たした全世帯が対象とされています。ここでは、新築するケースにおける対象住宅と補助金額を確認しておきましょう。

【家を新築するケースにおける対象住宅と補助金額】
対象となる世帯 対象となる住宅 補助金額
全世帯 GX志向型住宅
(脱炭素志向型住宅)
160万円
子育て世帯など 長期優良住宅 建て替え前住居を除去する場合:100万円
上記以外の場合80万円
ZEH水準住宅 建て替え前住居を除去する場合:60万円
上記以外の場合40万円

※子育て世帯など:子育て18歳未満の子がいる世帯、または若者夫婦(夫婦のいずれかが39歳以下)世帯
※GX志向型住宅:ZEH水準住宅や長期優良住宅よりも高い省エネ性能を有する住宅

参照元:国土交通省「※重要※令和6年度補正予算案に「子育てグリーン住宅支援事業」が盛り込まれました。

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まとめ

近年、注目を集めている健康住宅とは、住む人の健康を第一に考えて設計された家のことです。建材に自然素材が使用されている、高気密・高断熱である、換気機能が良いといった特徴があり、それにより「ヒートショック」や「シックハウス症候群」などの健康被害を回避できます。

健康住宅は健康的な生活を送れるだけでなく、住宅自体の価値が高いことや長く住み続けられるといったメリットもあります。健康に配慮した住まいを希望するなら、ぜひ本記事でご紹介した内容を参考に、理想の家づくりを実現してください。

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