二世帯住宅失敗しないコツとは?間取りと費用を徹底解説!

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共働き家庭の増加や高齢化社会の進展により、二世帯住宅への関心が高まっています。
二世帯住宅には非常にたくさんのメリットがあり、家事や育児の助け合い、老後のサポート、生活費の削減に加えて、様々な税制優遇や補助金制度などが魅力です。
とはいえ、「二世帯住宅ってどんな間取りにすればよいのかわかりにくいし、実際ストレスが多いのでは・・・?」と心配に思っている方も多いでしょう。
確かに、二世帯住宅は、設計に失敗すると、生活リズムの違いやプライバシーが確保できないといった問題が生じやすいので注意が必要です。

ストレスなく暮らせる二世帯住宅とはどんな家なのでしょうか?
この記事では、二世帯住宅のメリットとデメリット、間取りと建築費、失敗しないための注意点などをわかりやすく解説していきます。
暮らしやすい二世帯住宅を実現するためには、様々な設計上のノウハウと工夫が必要です。
ぜひ最後までお読みいただき、二世帯・三世代での理想の暮らしを手に入れてくださいね。

1.二世帯住宅のメリット・デメリット

まず、二世帯住宅のメリット・デメリットについてみていきましょう。

1-1.二世帯住宅の【7つのメリット】

1-1-1.【メリット1】家事や育児など助け合える

二世帯住宅では、お互いに家事や育児を助け合えるのが魅力です。
保育園の送迎や放課後の留守番も、祖父母が快く担ってくれるかもしれません。
親世代にとっても、通院や入院、介護などが必要になったとき、子どもたちがすぐ近くでサポートしてくれれば何よりも心強いでしょう。

1-1-2.【メリット2】大家族での暮らしが楽しい

大家族の暮らしは毎日がにぎやかで楽しいものです。
同じ空間で生活すれば孫と祖父母のコミュニケーションが増え、孫の成長や祖父母の生きがいにもつながります。

1-1-3.【メリット3】食費・光熱費を削減できる

両世帯が一緒に暮らせば、別々に暮らすよりも食費や光熱費を節約することができます。
また、帰省のための出費も必要なくなります。

1-1-4.【メリット4】資金面の余裕ができる

二世帯住宅は、親世帯と子世帯で資金を出し合うことができるため、自分たちだけで家を建てるよりも余裕が生まれます。
親世帯が所有する土地に二世帯住宅を建てることも多いですが、この場合には土地の購入費用がかからないため、建物に予算をかけられます。
また、親世帯と子世帯それぞれに収入があれば、「親子リレーローン」や「親子ペアローン」を利用する方法もあります。
なお、親世帯・子世帯で資金を出し合ったときには、資金を出した割合と家の名義の割合を一致させておくように注意しましょう。

1-1-5.【メリット5】税制上のメリットがある

二世帯住宅には税制上のメリットもあります。
親子がそれぞれ住宅ローンを組んだ場合には、それぞれが「住宅ローン控除(ローン減税)」を利用できます。
さらに、登記の形式を「区分所有」にした場合には、固定資産税や不動産取得税の軽減措置を大きく受けられる可能性があります。(登記については記事の末尾のコラムで詳しく解説しています。)

1-1-6.【メリット6】相続税の節税ができる

相続税の節税には、「小規模宅地等の特例」という制度の利用がキーポイントになります。
小規模宅地等の特例」は、被相続人(亡くなった人)が住んでいた土地について、相続税評価額が80%減額される制度です。
二世帯住宅であれば、この特例を利用するための「被相続人と相続人が同居していたこと」という要件がクリアできます。
ただし、他にも様々な要件があるため、詳細は税務署・税理士にご確認ください。
国税庁ホームページ

1-1-7. 【メリット7】補助金が利用できる

二世帯住宅を新築する際に利用可能な補助金制度を2種類ご紹介します。
その他、各自治体が独自に二世帯住宅の補助金制度を設けている場合もあるので確認してみましょう。

(1)地域型住宅グリーン化事業

一定の条件を満たした木造の住宅を新築する場合に、1戸あたり最大140万円の補助金が給付される制度です。
補助金の金額は、住宅の性能(長期優良住宅、ゼロエネルギー住宅など)によって変わり、三世代住宅の場合の加算もあります。
この制度を利用できるのは、認定を受けた中小工務店に依頼して家を建てる場合だけなので、大手ハウスメーカーは対象外です。
また、次章でご紹介する「完全分離型」の二世帯住宅は補助金の対象とならないので注意が必要です。

地域型住宅グリーン化事業

(2)すまい給付金

二世帯住宅に限らず、消費税10%が適用される住宅を取得した場合に受けられる給付金制度です。
所得が少ない場合に、より多くの給付金が受けられる仕組みになっており、金額は最大50万円です。
収入額の目安は775万円以下、床面積50平米以上等の要件があります。

国土交通省 すまい給付金

1-2.二世帯住宅の【3つのデメリット】

1-2-1.【デメリット1】ストレスを感じる可能性がある

二世帯住宅では豊かな暮らしが手に入る一方で、世代間の小さなすれ違いがストレスになってしまうことがあります。
家族とはいってもお互いに気を使う部分はあるため、個人のプライバシーが確保できる部屋をしっかり確保する必要があります。

また、働きざかりの子世帯と、定年後の親世帯では、生活のリズムに違いがあるかもしれません。
具体的には、「食事の時間が合わない、風呂や洗面所を使うタイミングが重なってしまう、就寝中に子どもの足音が気になる」などの問題が出てくる可能性があります。
こうした問題は、それぞれの世帯が独立して生活できるような間取りを採用したり、1階の寝室の上に2階のリビングや風呂を配置しないといった配慮で解決できます。
お互いに窮屈な生活になってしまわないよう、二世帯住宅ならではの工夫を凝らした間取りを採用することが大切です。

1-2-2.【デメリット2】売却しにくい場合がある

二世帯住宅は一般的な住宅に比べて間取りが独特で部屋数も多くなることが多いので、不要になってしまった際に売却が難しいことがあります。
二世帯住宅の中でも、次の章で紹介する「部分共有型」の二世帯住宅(キッチンや風呂等が2つある間取り)が最も売りにくい間取りです。

1-2-3.【デメリット3】床面積が増えるため建築費が高めになる

二世帯住宅は一般的な住宅よりも床面積が広くなることが多いため、建築費も高めになります。
補助金が利用できる場合は、うまく活用しましょう。
また、次の章でご紹介する間取りの作り方によって建築費は大きく変わるので、予算に合わせたプラン作りが大切です。

1-3.二世帯住宅に向いている人は?

上記の特徴を踏まえると、二世帯住宅は次のような人におすすめです。

●助け合って生活したい人

お互いに育児・老後の生活をサポートしながら、助け合って暮らしたい人。
両親との関係が良好で、もっと親しくなりたいとお互いに思い合える人。

●建築費・生活費の負担を抑えたい人

親子で建築資金を出し合って負担を抑えたい人。
子世帯だけでは新築の戸建てを持つことが難しい人。

●土地を持っている人

実家の建て替えを機に二世帯住宅にする人。
すでに土地を所有していて、土地代がかからないので建物にお金をかけられる人。

●相続税評価額を下げたい人

地価の高い場所に親世帯が土地を所有しており、「小規模宅地等の特例」をうまく使って相続税対策したい人。

2.二世帯住宅の間取りタイプは三種類

二世帯住宅の間取りタイプには、「完全同居型」「部分共有型」「完全分離型」の三種類があります。
息子夫婦と同居なのか、娘夫婦と同居なのか、子どもの有無など、それぞれの家族構成や予算に応じて最適な間取りを選びましょう。
それぞれの間取りの特徴について見ていきます。

2-1.完全同居型

完全同居型の二世帯住宅は、キッチン・浴室・玄関・リビングなどは共有し、寝室だけは個別に用意するといった間取りの二世帯住宅です。
日中過ごす空間が重なるため二世帯で共有する時間が多くなります。
親世帯・子世帯で生活リズムに大きなズレがない家庭なら、完全同居型はコミュニケーションがとりやすく、心豊かに大家族の生活を楽しむことができるでしょう。

でも、生活の時間帯に差があったり、家族の関係性が悪化すると、ストレスを感じてしまうかも知れません。
完全同居型では、広いリビングを確保し、2人以上で立てる広いキッチンを選ぶことも多いです。
脱衣所で他の家族と鉢合わせしないように、洗面所と脱衣所を分けるなどの工夫をするのもおすすめです。

完全同居型の二世帯住宅は、普通の一戸建てと同程度の建築費で建てることができ、あまり特殊な間取りではないので売却しやすいのもメリットです。

2-2.部分共有型

部分共有型とは、「玄関のみ共有」「キッチンとリビングのみ共有」など、住宅の一部を共有し、他は独立させるタイプの二世帯住宅です。
家族構成や生活スタイルによって、間取りには様々なバリエーションが考えられます。

人気があるのは、それぞれがキッチンダイニングを持ち、お互いがある程度自由に生活できる家の形です。
各世帯のみの独立したエリアが存在するので、適度にプライバシーを保つことができます。
ただし部分的に独立しているとはいえ、浴室を使用する際の水音、室内を歩くときの足音がお互いの寝室などに響かないよう配慮した間取りにしましょう。
また、キッチンや風呂を2つ作ると、そのぶん建設コストが割高になります。
逆に共用する部分を多くすれば、建築コストを抑えることができますので、ほどよく共有し、ほどよく独立させるのがポイントです。

2-3.完全分離型

完全分離型の二世帯住宅は、玄関・リビング・キッチンなどを完全に独立させた住宅です。
壁で世帯を分けてプライバシーを守り、それぞれのペースで暮らします。
遠すぎず近すぎず、スープの冷めない距離を保てるので安心感があり、いわゆる「近居」に近い感覚となります。
配置は1・2階で上下に分離する方法と左右に分離する方法がありますが、近年では親世帯を1階にして介護を見据えたバリアフリーにすることが多いです。

デメリットは、3タイプの中で最も建築費が高めになることです。
ただし、立地に恵まれているなら、将来的に親世帯が住まなくなった部分を貸して副収入を得ることも可能なので、資産価値は高くなります。

なお、共有部分が少ないので世帯同士で積極的にコミュニケーションをとらないと顔を合わせる機会が少なくなりがちです。
窓や庭などからお互いの気配が感じられる間取りにしたり、どちらかの世帯に広いリビングを持ち、イベントの時に集まりやすくするなどの工夫をするのがおすすめです。

3.二世帯住宅の建築費の相場

二世帯住宅を建てるにはどのぐらいの費用がかかるのでしょうか。
二世帯住宅は一般的な住宅よりも広く、キッチンや風呂等の設備も複数になる場合が多いので、建築費が高めになるのが通常です。
といっても、間取りによって建築費用は大きく異なります。

「完全分離型」の二世帯住宅の建築費は最も高めになります。
玄関、リビング、水回り設備など、すべて独立させた完全分離型は、つまるところ家二軒分に近くなります。
ただし、将来使わなくなった部分を貸して収入を得れば、コスト面では有利になります。

次に高めなのが「部分共有型」の二世帯住宅です。
リビングやキッチンなどの一部分を共有している部分共有型では、どこを独立させてどこを共有するのかによって、かかる費用に差が出てきます。
共有する部分を増やせば、費用は抑えることができます。

最も安く建てられるのは「完全同居型」の二世帯住宅です。
一般的な住宅と同程度のコストで建てることも可能です。

延床面積や間取りによって違いはありますが、二世帯住宅の建築費総額は2,500~4,000万円くらいになるのが一般的です。
できるだけコストを抑えつつ、満足度の高いプランを工夫してくれる建築会社を選びましょう。

4.二世帯住宅を建てるとき押さえておきたい3つのポイント

幸せになるために建てた家。
でも一歩間違えると、二世帯住宅を建てたことに後悔しながら、住宅ローンを払い続けることになりかねません。
快適な二世帯住宅を建てるためには、次の3つのポイントに気を付けましょう。

4-1.二世帯住宅に精通したハウスメーカーに依頼して最適なプランを提案してもらう

「最適な間取り」はそれぞれの家族によって違うので、プロに相談しながら最適なプランを作り上げていく必要があります。

二世帯住宅の間取りで特に注意したいポイントは、次の5つです。

  • 独立させる部分、共有する部分と費用とのバランス
  • プライベート空間の確保
  • 生活リズムの違いへの配慮
  • 将来の介護を見据えた動線やバリアフリー化
  • 各世帯の収納スペースの確保

このように、二世帯住宅を建てるときには様々な工夫が必要なので、二世帯住宅の実績が豊富でノウハウを持ったハウスメーカーを選ぶことが大切です。
複数のハウスメーカーの提案内容(間取り・コストなど)をしっかりと比較検討して、二世帯住宅に精通している企業を見つけましょう。

そして、理想の二世帯住宅を実現するには、コミュニケーション能力の高い担当者に出会えるかどうかも重要なポイントです。
親世帯と子世帯、両方の要望を聞き取ってうまく調整しながら、具体的なイメージを提示してくれる、経験豊富で頼れる担当者を選んでください。

4-2.長い目で将来を見越して考える

二世帯住宅を建てた20年先、30年先を想像してみましょう。
子世帯だけで住むときがきたら、親世帯が使っていた部分をどのように使うのか検討しておく必要があります。
完全分離型なら、親世帯の住戸を賃貸として貸し出すことができ、完全同居型なら子ども世帯が全体を使うことが可能です。
部分共有型の場合は、使わなくなった部分をリフォームしやすいように計画しておくのが理想的です。
設計段階から長い目で将来を見越して、完全同居型・部分共有型・完全分離型を選ぶことをおすすめします。

また、相続が発生したら、二世帯住宅に同居していない兄弟にはどのような形で相続を配分すればよいか考えておくことも必要です。
二世帯住宅を同居親族だけが相続すると、同居していない親族が不公平感を持ちトラブルが発生してしまう可能性もあります。

4-3.コミュニケーションや費用のルールを決めておく

二世帯住宅の成功の鍵は、家づくりの段階で、家族全員のルールを決めておくことです。
二世帯住宅を建てた場合、「1つの家族として基本的に一緒に行動する」ケースと、「近居に近い感覚でそれぞれのペースで暮らす」ケースがあります。
どのような方向性で暮らしたいのか話し合った上で、理想の間取りや設備を決めていきましょう。

例えば、次のような具体的ルールを話し合ってみてください。

  • プライベートスペースには勝手に入らない。
  • 子供が学校から帰宅したら祖父母スペースで過ごす。
  • 朝食はそれぞれの世帯で用意し、夕食はまとめて作る。
  • いきなり訪問するのではなく、事前に連絡する(親子世帯をつなぐインターホンの設置も可能)。
  • 光熱費はそれぞれの世帯で分担して支払う(メーターを分けることも可能)。

それぞれの家族にぴったりの間取りを工夫して、みんなが楽しく暮らせる二世帯住宅を実現してくださいね。

お家のいろは コラム “二世帯住宅の登記にはご注意!”

不動産の登記とは、土地や建物の面積、所有者などの情報を記録したものです。
二世帯住宅を建てたら、法務局で登記を行って、家の面積や所有者などの情報を登録します。
二世帯住宅は登記の方法によって税制上の違いが出るので注意が必要です。
二世帯住宅の登記には、単独登記、共有登記、区分所有登記の三種類があります。

二世帯住宅は、建築費を負担した割合で「共有登記」をするケースが一般的です。
共有登記なら、親と子がそれぞれ住宅ローン控除を利用することができます。
親子で資金を出し合って建てたのに、どちらかの単独名義にしてしまうと、建築資金が贈与されたとみなされて課税対象になってしまう可能性があるのでご注意ください。

完全分離型の二世帯住宅なら、二戸の住宅とみなして「区分所有登記」が可能です。
区分所有登記をすれば、住宅ローン控除だけでなく、固定資産税や不動産取得税等の軽減措置を親と子がそれぞれ受けられるメリットがあります。
ただし、区分所有登記をすると、相続税の「小規模宅地等の特例」を適用する際に、被相続人の所有する部分だけが特例の対象となるという違いも出るため、相続対策を考えるときには注意が必要です。

まとめ

それではおさらいです。
二世帯住宅には、多くのメリットがある一方、デメリットも存在します。
でも、間取りを工夫したりルールを明確にすることで、デメリットを解消することは可能です。

二世帯住宅の間取りタイプは、完全同居型・部分共有型・完全分離型の三種類に大きく分けられます。
建築費が最も安くなるのが「完全同居型」、次に低コストなのが「部分共有型」、最も高めになるのが「完全分離型」です。

ライフスタイルが異なる大人同士が住まう二世帯住宅は、お互いにストレスなく暮らせるよう入念に計画することが大切です。
二世帯住宅に精通した建築会社に設計を依頼し、ライフスタイルや予算に合わせた間取りを選択して、家族皆が満足できる家づくりを目指しましょう。

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